JP6962449B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 - Google Patents

液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月7日に出願された日本出願番号2018−41168号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
本開示は、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子に関する。
液晶素子は、テレビやパーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの表示装置をはじめとする各種用途に用いられている。これら液晶素子は、液晶分子を一定の方向に配向させる機能を有する液晶配向膜を具備している。液晶配向膜は一般に、重合体成分が有機溶媒に溶解されてなる液晶配向剤を基板上に塗布し、好ましくは加熱することにより基板上に形成される。液晶配向剤の重合体成分としては、機械的強度や液晶配向性、液晶との親和性に優れていることから、ポリアミック酸や可溶性ポリイミドが広く使用されている。また、液晶配向剤の溶剤成分としては、ポリアミック酸や可溶性ポリイミド等の重合体に対する溶解性が高い溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチロラクトン等の良溶媒)と、基板に対する濡れ広がり性が高い溶媒(例えば、ブチルセロソルブ等の貧溶媒)との混合溶媒が一般に使用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2017−198975号公報 特開2016−206645号公報
液晶テレビとしては、近年、さらなる表示品位の向上による臨場感を得るべく、4K(例えば3840画素×2160画素)や8K(例えば7680画素×4320画素)といった、画素数を増やした表示装置の規格が作られている。表示装置の画素数が増えて画素サイズが小さくなると、画素電極はさらに微細な構造となり、画素電極の形成面は、単位面積当たりの凹凸密度がより高くなる。この場合、画素電極の形成面に液晶配向剤を塗布して配向膜を形成する場合に、画素電極の微細な凹凸構造に対して液晶配向剤が濡れ広がりにくく、基板に対する塗布性を十分に確保できないことが懸念される。微細な凹凸構造に液晶配向剤を塗布する場合にも良好な塗布性が得られるようにするためには、液晶配向剤の溶剤成分としては、重合体に対する溶解性の低下を抑制しつつ、基板に対する濡れ広がり性を高めることが必要である。
また、工業的な生産の観点からは、液晶配向剤の基板への印刷時において印刷機上からの溶剤の揮発を抑えることができ、連続して印刷を行った場合にも印刷機上に重合体が析出しにくいこと、つまり連続印刷性が良好であることが求められる。
さらに近年では、大画面の液晶パネルの普及が進み、従来よりも大型のラインが稼動するようになり、基板の大型化が進んでいる。基板を大型化するメリットとしては、基板一枚から複数枚のパネルが取れるため、工程時間及びコストの低減を図ることができる点や、液晶パネル自体の大型化に対応可能である点などが挙げられる。その一方で、大型基板上に液晶配向膜を形成する場合、従来に比べてポストベーク時に温度ムラが生じやすく、この温度ムラに起因して液晶配向膜のプレチルト角にばらつきが生じ、表示品位の低下を招くことが懸念される。
基板の大型化が進む一方で、スマートフォンやタブレットPCに代表される、タッチパネル式の小型表示パネルの開発も進められている。ここで、タッチパネル式の表示パネルにおいては、タッチパネルの可動面積をより広く、かつ液晶パネルの小型化を両立させるために狭額縁化を図ることが試みられている。また、液晶パネルの狭額縁化に伴い、経年等によりシール剤周辺で表示ムラが視認されることがある。液晶パネルの高精細化、高寿命化を図るためには、こうしたシール剤周辺での表示ムラが長期に亘って視認されにくい(ベゼルムラ耐性が高い)液晶素子が求められる。
本開示は上記課題に鑑みなされたものであり、微細な凹凸構造に対する塗布性及び連続印刷性が良好であり、膜形成時の加熱に際し温度ムラの影響を受けにくく、かつシール剤周辺の表示ムラが少ない液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。
本開示は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
<1> 重合体成分と、下記の[A]化合物と、を含有する、液晶配向剤。
[A]カルボニル基を有する1価の基が酸素含有複素環の環部分に結合した化合物[A1]、及び、ケトン性カルボニル基及びオキシ有機基を有する化合物[A2]よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物。
<2> 上記<1>の液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成する、液晶素子の製造方法。
<3> 上記<1>の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
<4> 上記<2>の液晶配向膜を具備する液晶素子。
本開示の液晶配向剤は、微細な凹凸構造を有する基板面に塗布した場合にも濡れ広がり性が良好であり、基板面に対し均一に液晶配向膜を形成することができる。また、製造プロセスにおいて連続して長時間印刷を行った場合にも、印刷機上に重合体が析出しにくい。しかも、本発明の液晶配向剤は、膜形成時の加熱の際に温度ムラの影響を受けにくく、よって、温度ムラに起因する特性ばらつきが抑制された液晶配向膜を得ることができる。また、シール剤周辺の表示ムラが少ない(ベゼルムラ耐性が良好な)液晶素子を得ることができる。
図1は、評価用ITO電極基板の概略構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は一部を拡大した断面図である。
以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。液晶配向剤は、重合体成分と溶剤成分とを含有し、重合体成分が溶剤成分に溶解されてなる液状の重合体組成物である。
≪重合体成分≫
液晶配向剤に含有される重合体成分は、その主骨格は特に限定されないが、例えばポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリオルガノシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリベンゾオキサゾール、セルロース誘導体、ポリアセタール、スチレン−マレイミド系共重合体、ポリ(メタ)アクリレート等の主骨格が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートを含むことを意味する。
液晶素子の性能を十分に確保する等の観点から、重合体成分は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリアミド、及び重合性不飽和結合を有するモノマーに由来する構造単位を有する重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(以下、「重合体[P]」ともいう。)であることが好ましく、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
<ポリアミック酸>
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることにより得ることができる。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などを;芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’−カルボニルジフタル酸無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、上記テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
(ジアミン化合物)
ポリアミック酸の合成に使用するジアミン化合物としては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらジアミンの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などを;
芳香族ジアミンとして、例えば、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、2,4−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、3,5−ジアミノ安息香酸=5ξ−コレスタン−3−イル、下記式(E−1)
Figure 0006962449
(式(E−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、*−COO−又は*−OCO−(ただし、「*」はXとの結合手を示す。)であり、Rは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、RIIは単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、dは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物、桂皮酸構造を側鎖に有するジアミンなどの側鎖型ジアミン:
p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,10−ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルファニル)ブタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、2,6−ジアミノピリジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノスチルベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレア、1,3−ビス(4−アミノベンジル)ウレア、1,4−ビス(4−アミノフェニル)−ピペラジン、N−(4−アミノフェニルエチル)−N−メチルアミン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン等の主鎖型ジアミンなどを;ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。
(ポリアミック酸の合成)
ポリアミック酸は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることにより得ることができる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましい。分子量調整剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミンなどのモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調整剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の合計100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましい。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は−20℃〜150℃が好ましく、反応時間は0.1〜24時間が好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。特に好ましい有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m−クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と、他の有機溶媒(例えばブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)との混合物を使用することが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1〜50質量%になる量とすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
<ポリアミック酸エステル>
重合体[P]がポリアミック酸エステルである場合、当該ポリアミック酸エステルは、例えば、[I]上記合成反応により得られたポリアミック酸とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物とを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミン化合物とを反応させる方法、などによって得ることができる。液晶配向剤に含有させるポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。なお、ポリアミック酸エステルを溶解してなる反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステルを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
<ポリイミド>
重合体[P]がポリイミドの場合、当該ポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。反応に使用するポリイミドは、そのイミド化率が20〜99%であることが好ましく、30〜90%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。この方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃である。反応時間は、好ましくは1.0〜120時間である。
このようにしてポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリイミドは、ポリアミック酸エステルのイミド化により得ることもできる。
<ポリアミド>
重合体[P]がポリアミドである場合、当該ポリアミドは、例えばジカルボン酸とジアミン化合物とを反応させる方法等によって得ることができる。ここで、ジカルボン酸は、例えば塩化チオニル等の適当な塩素化剤を用いて酸クロリド化した後にジアミン化合物との反応に供することが好ましい。
ポリアミドの合成に使用するジカルボン酸は特に制限されないが、例えばシュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロブタンジカルボン酸、1−シクロブテンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、4−カルボキシ桂皮酸、3,3’−[4,4’−(メチレンジ−p−フェニレン)]ジプロピオン酸、4,4’−[4,4’−(オキシジ−p−フェニレン)]二酪酸等の芳香族ジカルボン酸;等が挙げられる。合成に使用するジアミン化合物としては、例えばポリアミック酸の説明で例示したジアミン化合物等が挙げられる。ジカルボン酸及びジアミン化合物は、それぞれ1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することができる。
ジカルボン酸とジアミン化合物との反応は、好ましくは塩基の存在下、有機溶媒中において行われる。このとき、ジカルボン酸とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、ジカルボン酸のカルボキシル基が0.2〜2当量となる割合が好ましい。反応温度は0℃〜200℃とすることが好ましく、反応時間は0.5〜48時間とすることが好ましい。有機溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等を好ましく使用することができる。塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、N−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン等の3級アミンを好ましく使用することができる。塩基の使用割合は、ジアミン化合物1モルに対して2〜4モルとすることが好ましい。上記反応により得られる溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
<重合性不飽和結合を有するモノマーに由来する構造単位を有する重合体>
重合体[P]が、重合性不飽和結合を有するモノマーに由来する構造単位を有する重合体(以下、「重合体(Q)」ともいう。)である場合、重合性不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、マレイミド基等を有する化合物が挙げられる。こうした化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸:(メタ)アクリル酸アルキル(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル等の不飽和カルボン酸エステル:無水マレイン酸等の不飽和多価カルボン酸無水物:などの(メタ)アクリル系化合物;スチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド基含有化合物;などが挙げられる。なお、重合性不飽和結合を有するモノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合体(Q)は、例えば重合性不飽和結合を有するモノマーを重合開始剤の存在下で重合することにより得ることができる。使用する重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が好ましい。重合開始剤の使用割合は、反応に使用する全モノマー100質量部に対して、0.01〜30質量部とすることが好ましい。上記重合反応は、好ましくは有機溶媒中で行われる。反応に使用する有機溶媒としては、例えばアルコール、エーテル、ケトン、アミド、エステル、炭化水素化合物などが挙げられ、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが好ましい。反応温度は30℃〜120℃とすることが好ましく、反応時間は、1〜36時間とすることが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、反応に使用するモノマーの合計量(b)が、反応溶液の全体量(a+b)に対して、0.1〜60質量%になるような量にすることが好ましい。上記反応により得られる重合体溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれる重合体[Q]を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
重合体[P]の溶液粘度は、濃度10質量%の溶液としたときに10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、溶液粘度(mPa・s)は、重合体(A)の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
重合体[P]のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは7以下であり、より好ましくは5以下である。なお、液晶配向剤に含有させる重合体[P]は、1種のみでもよく、又は2種以上を組み合わせてもよい。
重合体[P]の含有割合(2種以上含有する場合にはその合計量)は、得られる液晶素子の品質をより良好にする観点から、液晶配向剤に含有される重合体成分の全量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%超であることがさらに好ましい。
≪溶剤成分≫
本開示の液晶配向剤は、下記の化合物[A]を含有する。
[A]カルボニル基を有する1価の基が酸素含有複素環の環部分に結合した化合物[A1]、及び、ケトン性カルボニル基及びオキシ有機基を有する化合物[A2]よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物。
化合物[A]によれば、上記構造を有することにより、重合体成分の溶剤に対する溶解性を改善でき、微細な凹凸形状の電極構造を有する基板表面に対する液晶配向剤の塗布性(印刷性)を改善することができる。また、化合物[A]を用いることによって、液晶配向剤の溶剤成分の沸点を適度な高さに調整することができ、膜形成時の加熱に際し温度ムラの影響を受けにくい。さらに、シール剤周辺の表示ムラの抑制効果を得ることができる点において好適である。
<化合物[A1]>
化合物[A1]が有する酸素含有複素環は、5〜7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。酸素含有複素環の環部分を構成する炭素数は、3〜6であることが好ましく、3〜5であることがより好ましい。
酸素含有複素環は、環内に含まれるヘテロ原子として酸素原子のみを有していてもよいし、酸素原子以外のその他の原子(例えば、硫黄原子、窒素原子等)を有していてもよい。塗布性及びベゼルムラ耐性の改善効果を好適に得ることができる点で、環内のヘテロ原子は酸素原子のみであることが好ましい。
環内の酸素原子の数は、1又は2個であることが好ましい。また、酸素含有複素環は、飽和及び不飽和のいずれでもよい。塗布性、連続印刷性、ポストベーク時の温度ムラ耐性、及びベゼルムラ耐性の性能をバランス良く発現することができる点で、化合物[A1]が有する酸素含有複素環は、環内に炭素−炭素不飽和結合を有さない複素環であることが好ましい。
化合物[A1]が有する酸素含有複素環の具体例としては、例えば、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ヘキサメチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,3−ジオキソラン、γ−ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、フラン、2,3−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン、オキセピン、オキサゾール、ピラン、5,6−ジヒドロピラン、3,4−ジヒドロピラン、1,3−ジオキソール、2−フラノン、3−フラノン、1,3−オキサチオラン、1,3−オキサチオラン−2−オン等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、フラン、2,3−ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、5,6−ジヒドロピラン又は3,4−ジヒドロピランであり、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン又はテトラヒドロピランであることが特に好ましい。
化合物[A1]が有する、カルボニル基を有する1価の基(以下、「カルボニル含有基T」ともいう。)は、好ましくは、カルボキシル基、アミド基(−CO−NH)又は炭素数1〜6の1価の有機基である。なお、本明細書において「有機基」とは、炭化水素基を有する基を意味する。酸素含有複素環の環部分には、カルボニル含有基T以外の置換基(以下、「置換基U」ともいう。)がさらに導入されていてもよい。置換基Uとしては、例えば炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基等が挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましい。置換基Uの数は、酸素含有複素環の環員数に応じて適宜設定されるが、0〜3個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましい。
化合物[A1]は、これらのうち、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006962449
(式(1)中、Aは、酸素含有複素環の環部分から1個の水素原子を取り除いた基であり、環部分にさらに置換基を有していてもよい。Rは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルケニルオキシ基、炭素原子に結合する水素原子が水酸基、シアノ基若しくはアルコキシ基で置換された炭素数5以下の置換アルキル基、炭素原子に結合する水素原子が水酸基、シアノ基若しくはアルコキシ基で置換された炭素数5以下の置換アルコキシ基、炭素原子に結合する水素原子が水酸基、シアノ基若しくはアルコキシ基で置換された炭素数5以下の置換アルケニル基、炭素原子に結合する水素原子が水酸基、シアノ基若しくはアルコキシ基で置換された炭素数5以下の置換アルケニルオキシ基、水酸基、アミノ基又はシアノ基である。Rは、単結合、炭素数1〜3のアルカンジイル基、又は炭素数2若しくは3のアルケンジイル基である。Rは、炭素数1〜3のアルカンジイル基、又は炭素数2若しくは3のアルケンジイル基である。aは0〜2の整数であり、bは0又は1である。1分子中に複数のRを有する場合、複数のRは、互いに同じでも異なっていてもよい。)
式(1)において、A(酸素含有複素環基)が有する酸素含有複素環の具体例及び好ましい例については上記の説明が適用される。Aは、環部分に、「−R−(O−R−(O)−COR」とは異なる置換基をさらに有していてもよい。
のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、置換アルキル基、置換アルコキシ基、置換アルケニル基、及び置換アルケニルオキシ基の炭化水素部分は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。Rの具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ビニル基、1−プロぺニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、及びこれらの基の炭素原子に結合する水素原子が水酸基、シアノ基又はアルコキシ基で置換された基等が挙げられる。
及びRのアルカンジイル基、アルケンジイル基は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよいが、直鎖状であることが好ましい。
aは0又は1であることが好ましい。
を除いた残りの部分(−R−(O−R−(O)−CO−R)、すなわちカルボニル含有基Tの炭素数は、塗布性及び長期印刷性の改善効果がより高い点で、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましい。
化合物[A1]は、好ましくは下記式(1−A)で表される化合物である。
Figure 0006962449
(式(1−A)中、Xは、単結合、酸素原子、炭素数1〜3のアルカンジイル基、炭素数2又は3のアルケンジイル基、*−(O−R−、*−(R−O)−、又は*−(O−R−O−(ただし、Rは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、cは1又は2であり、「*」はAに結合する結合手であることを示す。)である。Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、水酸基、アミノ基又はシアノ基である。ただし、Xが酸素原子又は*−(R−O)−である場合、Rは、アルキル基又はアルケニル基である。Aを除いた残りの部分の炭素数は1〜6の整数である。Aは、上記式(1)と同義である。)
式(1−A)において、Xは、好ましくは単結合、酸素原子又は炭素数1〜3のアルカンジイル基である。Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基であることが好ましく、アルキル基又はアルコキシ基であることがより好ましい。
を除いた残りの部分(−X−CO−R)の炭素数は、2〜6であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。
<化合物[A2]>
化合物[A2]が有する「ケトン性カルボニル基」とは、カルボニル基(−C(=O)−)のうち、カルボニル基を構成する炭素原子に2個の炭素原子が結合しているものをいう。「オキシ有機基」とは、「−O−有機基」で表される基をいう。オキシ有機基の炭素数は、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましく、1〜6であることが特に好ましい。
オキシ有機基において、炭素数1〜20の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、当該炭化水素基の炭素−炭素結合間に2価のヘテロ原子含有基を含む基、上記炭化水素基及び2価のヘテロ原子含有基を含む基が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの具体例としては、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基として、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
また、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環の脂環式飽和炭化水素基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環の脂環式不飽和炭化水素基;ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の多環の脂環式飽和炭化水素基;ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環の脂環式不飽和炭化水素基などが挙げられる。
炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
1価及び2価のヘテロ原子含有基を構成するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NR’−、これらのうちの2つ以上を組み合わせた基等が挙げられる。R’は、水素原子又は1価の炭化水素基である。
炭素数1〜20の1価のオキシ有機基は、上記のうち、炭素数1〜20のオキシ炭化水素基が好ましく、炭素数1〜20のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ基がさらに好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基が特に好ましい。
化合物[A2]が有するケトン性カルボニル基の数は、1〜5個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましく、1又は2個であることがさらに好ましく、1個であることが特に好ましい。また、化合物[A2]が有するオキシ有機基の数は、1〜10個であることが好ましく、1〜6個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2個であることが特に好ましい。
化合物[A2]において、ケトン性カルボニル基とオキシ有機基とは、例えば炭素数1〜20の炭素原子鎖を介して一分子内に存在するものとすることができる。上記炭素原子鎖の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。化合物[A2]の好ましい具体例としては、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006962449
(式(3)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。R10及びR11は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。)
〜R11で表される炭素数1〜20の1価の有機基の具体例としては、例えば化合物[A2]が有するオキシ有機基における有機基として例示した基等が挙げられる。
及びRは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
及びRとしては、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
10及びR11としては、炭素数1〜10の1価の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
化合物[A]は、液晶配向剤の溶剤として使用した場合に本開示の効果を十分に得る観点から、1気圧での融点が25℃以下であって且つ沸点が150℃以上であることが好ましい。化合物[A]の1気圧での沸点は、好ましくは160℃以上であり、より好ましくは165〜250℃であり、さらに好ましくは170〜245℃である。また、化合物[A]の1気圧での融点は、好ましくは、20℃以下であり、より好ましくは10℃以下である。
化合物[A]の具体例としては、例えば下記式(1−1)〜式(1−122)のそれぞれで表される化合物等を挙げることができる。なお、化合物[A]としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。下記式中、「Ac」はアセチル基(−COCH)を表す。
Figure 0006962449
Figure 0006962449
Figure 0006962449
Figure 0006962449
<溶剤[B]>
溶剤成分は、濡れ広がり性がより良好な液晶配向剤とすることができる点で、化合物[A]と共に、アルコール系溶剤、鎖状エステル系溶剤、エーテル系溶剤、及びケトン系溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも一種であって化合物[A]とは異なる溶剤(以下、「溶剤[B]」ともいう。)を更に含むことが好ましい。
溶剤[B]の具体例としては、アルコール系溶剤として、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ダイアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、ベンジルアルコール等を;
鎖状エステル系溶剤として、例えば乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート等を;
エーテル系溶剤として、例えばジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラヒドロフラン、ジイソペンチルエーテル等を;
ケトン系溶剤として、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロペンタノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等を、それぞれ挙げることができる。
溶剤[B]としては、塗布性の改善効果がより高い点で、上記のうち、アルコール系溶剤、鎖状エステル系溶剤、及びエーテル系溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、アルコール系溶剤及びエーテル系溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましく、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ダイアセトンアルコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び3−メトキシ−1−ブタノールよりなる群から選ばれる一種であることがさらに好ましい。なお、溶剤[B]としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<溶剤[C]>
溶剤成分は、溶剤成分に対する重合体の溶解性を担保し、塗布工程における重合体の析出に伴う製品歩留まり低下を抑制することを目的として、化合物[A]と共に、1気圧における沸点が200℃以上であって化合物[A]とは異なる溶剤(以下、「溶剤[C]」ともいう。)を更に含むことが好ましい。
溶剤[C]は、非プロトン性極性溶媒及びフェノール類よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、非プロトン性極性溶媒であることがより好ましい。具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ガンマブチロラクトン、プロピレンカーボネート及び下記式(2)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
Figure 0006962449
(式(2)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子若しくはエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜6の1価の炭化水素基であるか、又は、R21とR22とが互いに合わせられてR21及びR22が結合する窒素原子と共に構成される環構造を表す。R23は、炭素数1〜4のアルキル基である。)
(式(2)で表される化合物)
上記式(2)において、R21及びR22の炭素数1〜6の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜6の鎖状炭化水素基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基、炭素数5又は6の芳香族炭化水素基などが挙げられる。また、当該炭化水素基の炭素−炭素結合間に「−O−」を有する1価の基としては、例えば炭素数2〜6のアルコキシアルキル基等が挙げられる。
21及びR22は、互いに結合することにより、R21及びR22が結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。R21,R22が互いに結合して形成される環としては、例えばピロリジン環、ピペリジン環等を挙げることができ、これらの環にはメチル基等の1価の鎖状炭化水素基が結合されていてもよい。
21及びR22は、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子又はメチル基である。
23の炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。R23は、好ましくはメチル基又はエチル基である。
上記式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ヘキシルオキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、イソプロポキシ−N−イソプロピル−プロピオンアミド、n−ブトキシ−N−イソプロピル−プロピオンアミドなどが挙げられる。なお、溶剤[C]としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶剤成分のうち、化合物[A]の含有割合は、液晶配向剤に含有される溶剤成分の全量に対して、10質量%以上とすることが好ましい。10質量%未満とした場合、液晶配向剤の塗布性の改善効果を十分に得られにくい傾向がある。重合体成分の溶解性と液晶配向剤の濡れ広がり性とのバランスをより良好にできる点で、化合物[A]の含有割合は、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。また、化合物[A]の含有割合は、85質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが特に好ましい。
溶剤[B]の含有割合は、液晶配向剤の濡れ広がり性をより高くできる点で、液晶配向剤に含有される溶剤成分の全量に対して、10質量%以上とすることが好ましく、15質量%以上とすることがより好ましく、20質量%以上とすることがさらに好ましい。また、溶剤[B]の含有割合は、液晶配向剤に含有される溶剤成分の全量に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましく、50質量以下であることが特に好ましい。
溶剤[C]の含有割合は、膜形成時の加熱温度をより低温で行うことができる点で、70質量%以下とすることが好ましい。当該含有割合は、より好ましくは65質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。また、重合体成分の溶剤に対する溶解性を担保する観点から、溶剤[C]の含有割合は、液晶配向剤に含有される溶剤成分の全量に対して、1質量%以上とすることが好ましく、5質量%以上とすることがより好ましく、10質量%以上とすることがさらに好ましい。
液晶配向剤は、溶剤成分として化合物[A]のみを含んでいてもよいが、溶剤成分が、化合物[A]と溶剤[B]とからなるか、又は化合物[A]と溶剤[B]と溶剤[C]とからなることが特に好ましい。ただし、本明細書において「溶剤成分が、化合物[A]と溶剤[B]とからなる」及び「溶剤成分が、化合物[A]と溶剤[B]と溶剤[C]とからなる」とは、化合物[A]、溶剤[B]及び溶剤[C]以外のその他の溶剤を、本発明の効果の妨げにならない程度に含有することは許容される。
その他の溶剤としては、例えばハロゲン化炭化水素系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの具体例としては、ハロゲン化炭化水素系溶剤として、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン等を;炭化水素系溶剤として、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を、それぞれ挙げることができる。その他の溶剤の含有割合は、液晶配向剤に含有される溶剤成分の全量に対して、1質量%以下とすることが好ましく、0.5質量%以下とすることがより好ましく、0.2質量%以下とすることがさらに好ましい。
≪その他の成分≫
液晶配向剤は、重合体成分及び溶剤成分を含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、エポキシ基含有化合物(例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等)、官能性シラン化合物(例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等)、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化触媒、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤等が挙げられる。その他の成分の配合割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、各化合物に応じて適宜選択することができる。
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10質量%の範囲である。固形分濃度が1質量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が10質量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。
≪液晶配向膜及び液晶素子≫
本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子は種々の用途に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置や、調光フィルム、位相差フィルム等として用いることができる。液晶表示装置として用いる場合、液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN型、STN型、垂直配向型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB(Optically Compensated Bend)型など種々の動作モードに適用することができる。
液晶素子の製造方法について液晶表示素子を一例に挙げて説明する。液晶表示素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
(工程1:塗膜の形成)
先ず、基板上に液晶配向剤を塗布し、好ましくは塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一方の面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。一方、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。基板への液晶配向剤の塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法、フレキソ印刷法又はインクジェット印刷法により行う。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、プレベーク時間は、好ましくは0.25〜10分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて、重合体が有するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80〜300℃であり、ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmである。基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって、液晶配向膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。
(工程2:配向処理)
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで塗膜を一定方向に擦るラビング処理や、液晶配向剤を用いて基板上に形成した塗膜に光照射を行って塗膜に液晶配向能を付与する光配向処理等が挙げられる。一方、垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。垂直配向型の液晶表示素子に好適な液晶配向剤は、PSA(Polymer sustained alignment)型の液晶表示素子にも好適に用いることができる。
(工程3:液晶セルの構築)
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば、(1)液晶配向膜が対向するように間隙(スペーサー)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した一方の基板上の所定の場所にシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げる方法(ODF方式)等が挙げられる。製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。スペーサーとしては、フォトスペーサー、ビーズスペーサー等を用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましい。また、ネマチック液晶又はスメクチック液晶に、例えばコレステリック液晶、カイラル剤、強誘電性液晶などを添加して使用してもよい。
続いて、必要に応じて液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせる。偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、又はH膜そのものからなる偏光板が挙げられる。こうして液晶表示素子が得られる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の例において、重合体の重量平均分子量Mw、重合体溶液中のポリイミドのイミド化率、重合体溶液の溶液粘度、及びエポキシ当量は以下の方法により測定した。以下の実施例で用いた原料化合物及び重合体の必要量は、下記の合成例に示す合成スケールでの合成を必要に応じて繰り返すことにより確保した。
[重合体の重量平均分子量Mw]
重量平均分子量Mwは、以下の条件におけるGPCにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン、又はリチウムブロミド及びリン酸含有のN,N−ジメチルホルムアミド溶液
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH−NMRを測定した。得られたH−NMRスペクトルから、下記数式(1)によりイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1−(A/(A×α)))×100 …(1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)は、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS C 2105に記載の塩酸−メチルエチルケトン法により測定した。
化合物の略号は以下の通りである。なお、以下では、式(DA−X)で表される化合物(ただし、Xは1〜8の整数)を単に「化合物(DA−X)」と示すことがある。
(ジアミン化合物)
Figure 0006962449
(溶剤)
Figure 0006962449
Figure 0006962449
<重合体の合成>
[合成例1:ポリイミド(PI−1)の合成]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物(TCA)22.4g(0.1モル)、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン(PDA)8.6g(0.08モル)及び3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル(HCDA)10.5g(0.02モル)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)166gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20質量%含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は90mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液に、NMPを追加してポリアミック酸濃度7質量%の溶液とし、ピリジン11.9g及び無水酢酸15.3gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなNMPで溶媒置換(本操作によって脱水閉環反応に使用したピリジン及び無水酢酸を系外に除去した。以下同じ。)することにより、イミド化率約68%のポリイミド(PI−1)を26質量%含有する溶液を得た。得られたポリイミド溶液を少量分取し、NMPを加えてポリイミド濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は45mPa・sであった。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリイミド(PI−1)を得た。
[合成例2:ポリイミド(PI−2)の合成]
テトラカルボン酸二無水物として、TCA110g(0.50モル)及び1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン160g(0.50モル)、ジアミンとして、PDA91g(0.85モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン25g(0.10モル)及び3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン25g(0.040モル)、並びにモノアミンとしてアニリン1.4g(0.015モル)を、NMP960gに溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は60mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP2,700gを追加し、ピリジン390g及び無水酢酸410gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなγ−ブチロラクトン(GBL)で溶媒置換することにより、イミド化率約95%のポリイミド(PI−2)を15質量%含有する溶液約2,500gを得た。この溶液を少量分取し、NMPを加え、ポリイミド濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は70mPa・sであった。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリイミド(PI−2)を得た。
[合成例3:ポリイミド(PI−3)の合成]
使用するジアミンを、3,5−ジアミノ安息香酸(3,5DAB)0.08モル及びコレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン(HCODA)0.02モルに変更した以外は、上記合成例1と同様の方法によりポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は80mPa・sであった。
次いで、上記合成例1と同様の方法によりイミド化を行い、イミド化率約65%のポリイミド(PI−3)を26質量%含有する溶液を得た。得られたポリイミド溶液を少量分取し、NMPを加えてポリイミド濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は40mPa・sであった。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリイミド(PI−3)を得た。
[合成例4:ポリイミド(PI−4)の合成]
使用するジアミンを、4,4’−ジアミノジフェニルメタン0.06モル、化合物(DA−1) 0.02モル、及び化合物(DA−2) 0.02モルに変更した以外は、上記合成例1と同様の方法によりポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は60mPa・sであった。
次いで、上記合成例1と同様の方法によりイミド化を行い、イミド化率約65%のポリイミド(PI−4)を26質量%含有する溶液を得た。得られたポリイミド溶液を少量分取し、NMPを加えてポリイミド濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は33mPa・sであった。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリイミド(PI−4)を得た。
[合成例5:ポリイミド(PI−5)の合成]
使用するジアミンを、4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート(上記式(DA−3)で表される化合物)0.098モル、及び化合物(DA−4)0.002モルに変更した以外は、上記合成例1と同様の方法によりポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は70mPa・sであった。
次いで、上記合成例1と同様の方法によりイミド化を行い、イミド化率約60%のポリイミド(PI−5)を26質量%含有する溶液を得た。得られたポリイミド溶液を少量分取し、NMPを加えてポリイミド濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は45mPa・sであった。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリイミド(PI−5)を得た。
[合成例6:ポリアミック酸(PA−1)の合成]
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CB)200g(1.0モル)、ジアミンとして2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル210g(1.0モル)を、NMP370g及びGBL3,300gの混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応を行い、固形分濃度10質量%、溶液粘度160mPa・sのポリアミック酸溶液を得た。次いで、このポリアミック酸溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリアミック酸(PA−1)を得た。
[合成例7:ポリアミック酸(PA−2)の合成]
テトラカルボン酸二無水物としてTCA7.0g(0.031モル)、ジアミンとして化合物(DA−5)13g(TCA1モルに対して1モルに相当する。)を、NMP80gに溶解し、60℃で4時間反応を行うことにより、ポリアミック酸(PA−2)を20質量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は2,000mPa・sであった。なお、化合物(DA−5)は、特開2011−100099号公報の記載に従って合成した。次いで、このポリアミック酸溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリアミック酸(PA−2)を得た。
[合成例8:ポリアミック酸(PA−3)の合成]
使用するジアミンを、1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレア(上記式(DA−6)で表される化合物)0.7モル、及び化合物(DA−7)0.3モルに変更した以外は、上記合成例6と同様の方法によりポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は95mPa・sであった。次いで、このポリアミック酸溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリアミック酸(PA−3)を得た。
[合成例9:ポリアミック酸(PA−4)の合成]
使用するテトラカルボン酸二無水物を、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.0モルに変更するとともに、使用するジアミンを、p−フェニレンジアミン0.3モル、化合物(DA−7)0.2モル、及び1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン0.5モルに変更した以外は、上記合成例6と同様の方法によりポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は90mPa・sであった。次いで、このポリアミック酸溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリアミック酸(PA−4)を得た。
[合成例10:ポリアミック酸(PA−5)の合成]
使用するジアミンを、2,4−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン0.2モル、4,4’−ジアミノジフェニルアミン0.2モル、及び4,4’−ジアミノジフェニルメタン0.6モルに変更した以外は、上記合成例6と同様の方法によりポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10質量%の溶液として測定した溶液粘度は95mPa・sであった。次いで、このポリアミック酸溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリアミック酸(PA−5)を得た。
[合成例11:ポリアミック酸エステル(PAE−1)の合成]
2,4−ビス(メトキシカルボニル)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,3−ジカルボン酸0.035モルを塩化チオニル20mlに加え、N,N−ジメチルホルムアミドを触媒量添加し、その後80℃にて1時間攪拌した。その後、反応液を濃縮し、残留物をγ-ブチロラクトン(GBL)113gに溶解した(この溶液を反応液Aとした。)。別途、p−フェニレンジアミン0.01モル、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン0.01モル、及び化合物(DA−8)0.014モルをピリジン6.9g、NMP44.5g及びGBL33.5gに加えて溶解させ、これを0℃に冷却した。次いで、この溶液へ反応液Aを1時間かけてゆっくりと滴下し、滴下終了後、室温にて4時間撹拌した。得られたポリアミック酸エステルの溶液を800mlの純水に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿物をろ過した。続いて、400mlのイソプロピルアルコール(IPA)で5回洗浄し、乾燥することでポリマー粉末15.5gを得た。得られたポリアミック酸エステル(PAE−1)の重量平均分子量Mwは34,000であった。
[合成例12:ポリオルガノシロキサン(APS−1)の合成]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECETS)100.0g、メチルイソブチルケトン500g及びトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で撹拌しつつ、80℃で6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2質量%硝酸アンモニウム水溶液により、洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒及び水を留去することにより、反応性ポリオルガノシロキサン(EPS−1)を粘調な透明液体として得た。この反応性ポリオルガノシロキサン(EPS−1)について、H−NMR分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。得られた反応性ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量Mwは3,500、エポキシ当量は180g/モルであった。
次いで、200mLの三口フラスコに、反応性ポリオルガノシロキサン(EPS−1)を10.0g、溶媒としてメチルイソブチルケトン30.28g、反応性化合物として4−ドデシルオキシ安息香酸3.98g、及び触媒としてUCAT 18X(商品名、サンアプロ(株)製)0.10gを仕込み、100℃で48時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて得た溶液を3回水洗し、有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、溶剤を留去することにより、液晶配向性ポリオルガノシロキサン(APS−1)を9.0g得た。得られた重合体の重量平均分子量Mwは9,900であった。
[実施例1]
1.液晶配向剤の調製
上記合成例1で得たポリイミド(PI−1)に、溶剤として2−アセチルメチルフラン(AcMeF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)及びブチルセロソルブ(BC)を加えて、固形分濃度6.5質量%、溶剤の混合比がAcMeF:NMP:BC=10:60:30(質量比)の溶液とした。この溶液を十分に撹拌した後、孔径1μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(S−1)を調製した。なお、液晶配向剤(S−1)は、主に垂直配向型の液晶表示素子の製造用である。
2.表面凹凸性(印刷性)の評価
上記1.で調製した液晶配向剤(S−1)を、ガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換した200℃のオーブンで1時間加熱(ポストベーク)することにより平均膜厚0.1μmの塗膜を形成した。得られた塗膜の表面を原子間力顕微鏡(AFM)にて観察し、中心平均粗さ(Ra)を測定した。Raが5nm以下の場合を印刷性「良好(○)」、5nmよりも大きく10nm未満であった場合を「可(△)」、10nm以上の場合を「不良(×)」と評価した。その結果、本実施例では印刷性「良好」の評価であった。
3.連続印刷性の評価
上記で調製した液晶配向剤(S−1)について、基板への印刷を連続して行った場合の印刷性(連続印刷性)について評価した。評価は以下のようにして行った。まず、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷機(株)製、オングストローマー形式「S40L−532」)を用いて、アニロックスロールへの液晶配向剤(S−1)の滴下量を往復20滴(約0.2g)の条件にて、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に印刷した。基板への印刷は、1分間隔で新しい基板を用いながら20回実施した。
続いて、液晶配向剤(S−1)を1分間隔でアニロックスロール上にディスペンス(片道)し、その都度、アニロックスロールと印刷版とを接触させる作業(以下、空運転という)を合計10回行った(この間、ガラス基板への印刷は行わない)。なお、この空運転は、液晶配向剤の印刷を意図的に過酷な状況下で実施するようにするために行った操作である。
10回の空運転の後、続いてガラス基板を用いて本印刷を行った。本印刷では、空運転後、基板を30秒間隔で5枚投入し、印刷後のそれぞれの基板を80℃で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃で10分間加熱(ポストベーク)して、膜厚約0.08μmの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察することにより印刷性(連続印刷性)を評価した。評価は、空運転後の本印刷1回目から重合体の析出が観察されない場合を連続印刷性「良好(○)」、空運転後の本印刷1回目では重合体の析出が観察されるが、本印刷を5回実施する間に重合体の析出が観察されなくなる場合を連続印刷性「可(△)」、本印刷を5回繰り返した後においても重合体の析出が観察される場合を連続印刷性「不良(×)」とした。その結果、この実施例では連続印刷性「良好(○)」であった。なお、印刷性が良好な液晶配向剤では、連続で基板を投入している間に重合体の析出が良化(消失)することが実験により分かっている。また更に、空運転の回数を15回、20回、25回に変更し、それぞれについて上記と同様にして液晶配向剤の印刷性を評価したところ、この実施例では、空運転を15回及び20回としたときには「良好(○)」、25回のときには「可(△)」であった。
4.微細凹凸表面への塗布性評価
図1に示す評価用ITO電極基板10を用いて、微細凹凸表面に対する液晶配向剤の塗布性を評価した。評価用ITO電極基板10としては、ガラス基板11の一方の表面に、ストライプ形状のITO電極12が所定間隔をあけて複数配置されたものを使用した(図1参照)。なお、電極幅Aは50μm、電極間距離Bは2μm、電極高さCは0.2μmとした。この評価用ITO電極基板10の電極形成面に、濡れ性評価装置LSE−A100T(ニック社製)を用いて、上記1.で調製した液晶配向剤(S−1)を滴下し、基板の凹凸表面への馴染みやすさを評価した。このとき、液量に対する液滴の濡れ広がり面積S(mm/μL)が大きいほど、液滴の濡れ広がりが大きく、微細凹凸表面に対する液晶配向剤の塗布性が良好であるといえる。
評価は、面積Sが15mm/μL以上である場合に「優良(◎)」、面積Sが10mm/μL以上15mm/μL未満である場合に「良好(○)」、面積Sが5mm/μLよりも大きく10mm/μL未満である場合に「可(△)」、面積Sが5mm/μL以下である場合に「不良(×)」とした。その結果、本実施例では面積Sは14mm/μLであり、微細凹凸表面への塗布性は「良好」と判断された。
5.垂直配向型液晶表示素子の製造
固形分濃度を3.5質量%とした点、及びフィルターの孔径を0.2μmとした点以外は上記1.と同様にして液晶配向剤(S−1)を調製した。この調製した液晶配向剤(S−1)を、一対(2枚)のITO膜からなる透明電極付きガラス基板にスピンナーを用いて塗布し、80℃ のホットプレートで1分間プレベークを行った後、窒素に置換したオーブン中、200℃で1時間加熱して溶媒を除去することにより、膜厚0.08μmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数400rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.1mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行い、次いで、100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。なお、このラビング処理は、液晶の倒れ込みを制御し、配向分割を簡易な方法で行う目的で行った弱いラビング処理である。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、一対の基板の液晶配向膜面を、対向させて重ね合わせて圧着し、150℃で1時間加熱して接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板の間隙にネガ型液晶(メルク製、MLC−6608) を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止し、さらに液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃ で10分間加熱した後に室温まで徐冷した。さらに、基板の外側両面に、偏光板を2枚の偏光板の偏光方向が互いに直交するように貼り合わせることにより液晶表示素子を製造した。
6.ポストベークの温度ムラに対するプレチルト角のばらつき特性(ポストベークマージン)の評価
上記5.の方法に従い、異なるポストベーク温度(120℃、180℃及び230℃)で液晶配向膜を作製し、得られた液晶表示素子のプレチルト角をそれぞれ測定した。そして、230℃の測定値を基準プレチルト角θpとし、基準プレチルト角θpと測定値θaとの差Δθ(=θp−θa)により、ポストベークの温度ムラに対するプレチルト角のばらつき特性を評価した。なお、Δθが小さいほど、温度ムラに対するプレチルト角のばらつきが小さく優れていると言える。プレチルト角の測定は、非特許文献(T. J. Scheffer et.al. J.Appl.Phys. vo.19, p.2013(1980))に記載の方法に準拠して、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法により測定した液晶分子の基板面からの傾き角の値をプレチルト角[°]とした。評価は、Δθが0.2°以下であった場合を「良好(○)」、0.2°よりも大きく0.5°未満であった場合を「可(△)」、0.5°以上であった場合を「不良(×)」とした。その結果、この実施例では、ポストベーク温度が180℃の場合にポストベークマージン「良好」、120℃の場合に「良好」の評価であった。
7.ベゼルムラ耐性の評価
上記5.の方法に従い、固形分濃度3.5質量%の液晶配向剤(S−1)を用いて垂直配向型液晶表示素子を製造した。得られた垂直配向型液晶表示素子につき、25℃、50%RHの条件下に30日保管し、その後、交流電圧5Vで駆動して点灯状態を観察した。評価は、シール剤周辺にて、輝度差(モアブラック又はモアホワイト)が視認されなければ「良好(○)」、視認されるが、点灯後20分以内に輝度差が消失すれば「可(△)」、20分経過しても輝度差が視認される場合を「不良(×)」とした。その結果、この液晶表示素子は「可」と判断された。
[実施例2〜10及び比較例1〜8]
重合体の種類及び配合量、並びに溶剤組成をそれぞれ下記表1に記載の通りとしたほかは実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。また、調製した液晶配向剤を用いて実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を下記表2に示した。
[実施例11]
1.液晶配向剤の調製
重合体成分及び溶剤組成を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして液晶配向剤(S−11)を調製した。なお、液晶配向剤(S−11)は、主に水平配向型の液晶表示素子の製造用である。
2.液晶配向剤の評価
液晶配向剤(S−11)を使用した以外は実施例1と同様にして表面凹凸性、連続印刷性及び微細凹凸表面への塗布性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
3.ラビングFFS型液晶表示素子の製造
固形分濃度を3.5質量%とした点、及びフィルターの孔径を0.2μmとした点以外は実施例11の上記1.と同様にして液晶配向剤(S−11)を調製した。続いて、平板電極(ボトム電極)、絶縁層及び櫛歯状電極(トップ電極)がこの順で片面に積層されたガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とのそれぞれの面上に、固形分濃度3.5質量%の液晶配向剤(S−11)を、スピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間加熱(プレベーク)した。その後、庫内を窒素置換した200℃のオーブンで1時間乾燥(ポストベーク)を行い、平均膜厚0.08μmの塗膜を形成した。
次いで、塗膜表面に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数500rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行い、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。
次いで、液晶配向膜を有する一対の基板につき、液晶配向膜を形成した面の縁に液晶注入口を残して直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、一対の基板間に液晶注入口よりネマチック液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを120℃で加熱してから室温まで徐冷し、液晶セルを製造した。なお、一対の基板を重ねあわせる際には、それぞれの基板のラビング方法が反平行となるようにした。また、2枚の偏光板の偏光方向が各々、ラビング方向と平行及び直交方向となるように偏光板を貼り合わせた。
なお、トップ電極については、電極の線幅を4μm、電極間の距離を6μmとした。また、トップ電極としては、電極A、電極B、電極C及び電極Dの4系統の駆動電極を用いた。この場合、ボトム電極は、4系統の駆動電極のすべてに作用する共通電極として働き、4系統の駆動電極の領域のそれぞれが画素領域となる。
4.ラビングFFS型液晶表示素子の評価
上記3.で得られたラビングFFS型液晶表示素子を使用した以外は実施例1と同様にしてポストベークマージンを評価した。また、上記3.に記載の方法に従ってラビングFFS型液晶表示素子を製造し、ベゼルムラ耐性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
[実施例12及び13]
重合体成分及び溶剤組成を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして液晶配向剤(S−12)、(S−13)をそれぞれ調製した。また、液晶配向剤(S−12)、(S−13)をそれぞれ使用した以外は実施例1と同様にして表面凹凸性、連続印刷性及び微細凹凸表面への塗布性を評価するとともに、実施例11と同様にしてラビングFFS型液晶表示素子を製造して各種評価を行った。それらの結果を下記表2に示した。
[実施例14]
1.液晶配向剤の調製
重合体成分及び溶剤組成を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1の1.と同様にして液晶配向剤(S−14)を調製した。なお、液晶配向剤(S−14)は、主にPSA型の液晶表示素子の製造用である。
2.液晶配向剤の評価
液晶配向剤(S−14)を使用した以外は実施例1と同様にして表面凹凸性、連続印刷性及び微細凹凸表面への塗布性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
3.液晶組成物の調製
ネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)10gに対し、下記式(L1−1) で表される液晶性化合物を5質量%、及び下記式(L2−1)で表される光重合性化合物 を0.3質量%添加して混合することにより液晶組成物LC1を得た。
Figure 0006962449
4.PSA型液晶表示素子の製造
固形分濃度を3.5質量%とした点、及びフィルターの孔径を0.2μmとした点以外は実施例14の上記1.と同様にして液晶配向剤(S−14)を調製するとともに、調製した液晶配向剤(S−14)を用いて、実施例1の「5.垂直配向型液晶表示素子の製造」に記載の方法と同様にして、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚) 得た。次いで、MLC−6608に代えて、上記で調製した液晶組成物LC1を用いた点、及び偏光板を貼り合わせなかった点以外は、実施例1と同様にして液晶セルを製造した。
次いで、上記で得た液晶セルに対し、電極間に周波数60Hzの交流10Vを印加し、液晶が駆動している状態で、光源にメタルハライドランプを使用した紫外線照射装置を用いて、紫外線を50,000J/mの照射量にて照射した。なお、この照射量は、波長365nm基準で計測される光量計を用いて計測した値である。さらに、基板の外側両面に、偏光板を2枚の偏光板の偏光方向が互いに直交するように貼り合わせることにより液晶表示素子を製造した。
5.PSA型液晶表示素子の評価
上記4.で得られたPSA型液晶表示素子を使用した以外は実施例1と同様にしてポストベークマージンを評価した。また、上記4.に記載の方法に従ってPSA型液晶表示素子を製造してベゼルムラ耐性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
[実施例15〜17、27、28、及び比較例9]
重合体成分及び溶剤組成を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、各液晶配向剤を使用した以外は実施例1と同様にして表面凹凸性、連続印刷性及び微細凹凸表面への塗布性を評価するとともに、実施例14と同様にしてPSA型液晶セルを製造してポストベークマージン及びベゼルムラ耐性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
[実施例18]
1.液晶配向剤の調製
重合体成分及び溶剤組成を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1の1.と同様にして液晶配向剤(S−18)を調製した。なお、液晶配向剤(S−18)は、主に光垂直配向型の液晶表示素子の製造用である。
2.液晶配向剤の評価
液晶配向剤(S−18)を使用した以外は実施例1と同様にして表面凹凸性、連続印刷性及び微細凹凸表面への塗布性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
3.光垂直配向型液晶表示素子の製造
固形分濃度を3.5質量%とした点、及びフィルターの孔径を0.2μmとした点以外は実施例18の上記1.と同様にして液晶配向剤(S−18)を調製した。また、調製した液晶配向剤(S−18)を用い、ラビング処理に代えて、Hg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いた偏光紫外線の照射を行ったほかは、実施例1の「5.垂直配向型液晶表示素子の製造」に記載の方法と同様にして、光垂直配向型液晶表示素子を製造した。なお、偏光紫外線の照射は、基板法線から40°傾いた方向から行い、照射量は200J/mとし、偏光方向はp−偏光とした。また、この照射量は、波長313nm基準で計測される光量計を用いて計測した値である。
4.光垂直配向型液晶表示素子の評価
上記3.で得られた光垂直配向型液晶セルを使用した以外は実施例1と同様にしてポストベークマージンを評価した。また、上記3.に記載の方法に従って光垂直型液晶表示素子を製造してベゼルムラ耐性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
[実施例19及び20]
重合体成分及び溶剤組成を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1の1.と同様にして液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、各液晶配向剤を使用した以外は実施例1と同様にして表面凹凸性、連続印刷性及び微細凹凸表面への塗布性を評価するとともに、実施例18と同様にして光垂直配向型液晶表示素子を製造してポストベークマージン及びベゼルムラ耐性をした。それらの結果を下記表2に示した。
[実施例21]
1.液晶配向剤の調製
重合体成分及び溶剤組成を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1の1.と同様にして液晶配向剤(S−21)を調製した。なお、液晶配向剤(S−21)は、主に光FFS型の液晶表示素子の製造用である。
2.液晶配向剤の評価
上記1.で調製した液晶配向剤(S−21)を使用した以外は実施例1と同様にして表面凹凸性、連続印刷性及び微細凹凸表面への塗布性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
3.光FFS型液晶セルの製造
固形分濃度を3.5質量%とした点、及びフィルターの孔径を0.2μmとした点以外は実施例21の上記1.と同様にして液晶配向剤(S−21)を調製した。また、調製した液晶配向剤(S−21)を用い、ラビング処理に代えて、Hg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いた偏光紫外線の照射を行ったほかは、実施例11の「3.ラビングFFS型液晶表示素子の製造」に記載の方法と同様にして、光FFS型液晶表示素子を製造した。なお、偏光紫外線の照射は、基板から垂直方向から行い、照射量は10,000J/mとし、偏光方向は、実施例11におけるラビング処理の方向と直交する方向とした。また、この照射量は、波長254nm 基準で計測される光量計を用いて計測した値である。
4.光FFS型液晶表示素子の評価
上記3.で得られた光FFS型液晶表示素子を使用した以外は実施例1と同様にしてポストベークマージンを評価した。また、上記3.に記載の方法に従って光FFS型液晶表示素子を製造してベゼルムラ耐性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
[実施例22〜26]
重合体成分及び溶剤組成を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1の1.と同様にして液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、各液晶配向剤を使用した以外は実施例1と同様にして表面凹凸性、連続印刷性及び微細凹凸表面への塗布性を評価するとともに、実施例21と同様にして光FFS型液晶セルを製造して各種評価を行った。それらの結果を下記表2に示した。
[実施例29]
1.液晶配向剤の調製
重合体成分及び溶剤組成を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1の1.と同様にして液晶配向剤(S−29)を調製した。なお、液晶配向剤(S−29)は、主にTNモード型の液晶表示素子の製造用である。
2.液晶配向剤の評価
上記1.で調製した液晶配向剤(S−29)を使用した以外は実施例1と同様にして表面凹凸性、連続印刷性及び微細凹凸表面への塗布性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
3.TN型液晶表示素子の製造
固形分濃度を3.5質量%とした点、及びフィルターの孔径を0.2μmとした点以外は実施例29の上記1.と同様にして液晶配向剤(S−29)を調製した。続いて、この液晶配向剤(S−29)を用い、ラビング処理を、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数500rpm 、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.4mmの条件で行ったほかは、実施例1の「5.垂直配向型液晶表示素子の製造」に記載の方法と同様にして、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。次に、MLC−6608に代えて、ポジ型液晶(メルク製、MLC−6221)を用い、一対の基板を重ね合わせる際にそれぞれの基板のラビング方法が直交するようにし、2枚の偏光板の偏光方向が各々の基板のラビング方向と平行方向となるようにしたほかは実施例1と同様にして、TN型液晶表示素子を製造した。
4.TN型液晶表示素子の評価
上記3.で得られたTN型液晶表示素子を使用した以外は実施例1と同様にしてポストベークマージンを評価した。また、上記3.に記載の方法に従ってTN型液晶表示素子を製造してベゼルムラ耐性を評価した。それらの結果を下記表2に示した。
Figure 0006962449
表1中、重合体成分の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体成分の合計100質量部に対する各重合体の配合割合(質量部)を示す。溶剤組成の数値は、液晶配向剤の調製に使用した溶剤成分の合計100質量部に対する各溶剤の配合割合(質量部)を示す。化合物の略号は以下の通りである。各例では、固形分濃度が異なる2種類の液晶配向剤(固形分濃度6.5質量%及び3.5質量%)を調製し、連続印刷性及び凹凸塗布性の評価では固形分濃度6.5質量%の液晶配向剤を用い、ベークマージン及びベゼルムラ耐性の評価では固形分濃度3.5質量%の液晶配向剤を用いた(下記表3についても同じ)。
<溶剤>
a:2−アセチルメチルフラン
b:2−フランカルボン酸メチル
c:フラクトン
d:酢酸テトラヒドロフルフリル
e:α−アセチル−γ−ブチロラクトン
f:α−メトキシカルボニル−γ−ブチロラクトン
g:テトラヒドロピラン−4−カルボン酸メチル
h:酢酸=3−ジヒドロピラニル
i:4−アセチル(テトラヒドロピラン)
j:2−(アセチルメチル)ジオキサン
k:γ−ブチロラクトン
m:プロピレンカーボネート
n:フルフリルアルコール
o:テトラヒドロフルフリルアルコール
p:テトラヒドロ−4−ピラノール
q:ソルケタール
r:N−メチル−2−ピロリドン
s:ブチルセロソルブ
t:ダイアセトンアルコール
u:ジエチレングリコールジエチルエーテル
v:N−エチル−2−ピロリドン
Figure 0006962449
表2から分かるように、化合物[A]を含む実施例1〜29は、印刷性、連続印刷性、及び微細凹凸表面に対する塗布性のいずれも、「優良」、「良好」又は「可」の評価であった。また、ポストベークマージンも小さく、得られた液晶表示素子のベゼルムラ耐性は「良好」又は「可」の評価であった。これらの中でも、溶剤c、d、e、f、g、h、i、jを用いた場合には、連続印刷性により優れており、溶剤c、d、e、f、gを用いた場合には、さらにベゼルムラ耐性に優れていた。また、溶剤c、d、gを用いた場合には、さらに凹凸塗布性に優れていた。これらの中でも、連続印刷性、凹凸塗布性、ポストベークマージン及びベゼルムラ耐性の改善効果がより高い点で、溶剤c、dが特に優れていた。
これに対し、化合物[A]を含まない比較例1〜9は、微細凹凸表面に対する塗布性が実施例よりも劣っていた。また、比較例1〜3、9は重合体が析出しやすく、連続印刷性も劣っていた。
[実施例30〜33]
重合体の種類及び配合量、並びに溶剤組成をそれぞれ下記表3に記載の通りとしたほかは実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。また、調製した液晶配向剤を用いて実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を下記表4に示した。
Figure 0006962449
化合物の略号は以下の通りである。
w:2,4−ジメトキシ−2,4−ジメチルペンタン−3−オン
x:2,4−ジエトキシ−2,4−ジメチルペンタン−3−オン
y:2,4−ジメトキシペンタン−3−オン
z:2,4−ジメトキシプロパン−3−オン
Figure 0006962449
表4から分かるように、化合物[A]を含む実施例30〜33は、印刷性、連続印刷性、及び微細凹凸表面に対する塗布性のいずれも「良好」の評価であった。また、ポストベークマージンも小さく、得られた液晶表示素子のベゼルムラ耐性は「良好」の評価であった。
10…評価用ITO電極基板、11…ガラス基板、12…ITO電極

Claims (15)

  1. 重合体成分と、下記の[A]化合
    [A]カルボニル基を有する1価の基が酸素含有複素環の環部分に結合した化合物[A1]、及び、ケトン性カルボニル基及びオキシ有機基を有する化合物[A2]よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合
    と、を含有し、
    前記[A]化合物は溶剤であり、
    前記[A]化合物の含有割合は、前記液晶配向剤に含まれる溶剤成分の全量に対して1 0質量%以上である、液晶配向剤。
  2. アルコール系溶剤、鎖状エステル系溶剤、エーテル系溶剤及びケトン系溶剤よりなる群から選ばれる少なくとも一種である溶剤[B]を更に含有する、請求項に記載の液晶配向剤。
  3. 記溶剤[B]の含有割合は、前記液晶配向剤に含まれる溶剤成分の全量に対して20〜90質量%である、請求項に記載の液晶配向剤。
  4. 1気圧における沸点が200℃以上である溶剤[C]を更に含有する、請求項に記載の液晶配向剤。
  5. 記溶剤[B]の含有割合は、前記液晶配向剤に含まれる溶剤成分の全量に対して20〜80質量%であり、
    前記溶剤[C]の含有割合は、前記液晶配向剤に含まれる溶剤成分の全量に対して10〜70質量%である、請求項に記載の液晶配向剤。
  6. 重合体成分と、下記の[A]化合物
    [A]カルボニル基を有する1価の基が酸素含有複素環の環部分に結合した化合物[A 1]、及び、ケトン性カルボニル基及びオキシ有機基を有する化合物[A2]よりなる群 から選ばれる少なくとも一種の化合物
    と、
    アルコール系溶剤、鎖状エステル系溶剤、エーテル系溶剤及びケトン系溶剤よりなる群 から選ばれる少なくとも一種である溶剤[B]と、
    を含有し、
    前記[A]化合物は溶剤であり、
    前記溶剤[B]の含有割合は、前記液晶配向剤に含まれる溶剤成分の全量に対して20 〜90質量%である、液晶配向剤。
  7. 重合体成分と、下記の[A]化合物
    [A]カルボニル基を有する1価の基が酸素含有複素環の環部分に結合した化合物[A 1]、及び、ケトン性カルボニル基及びオキシ有機基を有する化合物[A2]よりなる群 から選ばれる少なくとも一種の化合物
    と、
    アルコール系溶剤、鎖状エステル系溶剤、エーテル系溶剤及びケトン系溶剤よりなる群 から選ばれる少なくとも一種である溶剤[B]と、
    1気圧における沸点が200℃以上である溶剤[C]と、
    を含有し、
    前記[A]化合物は溶剤であり、
    前記溶剤[B]の含有割合は、前記液晶配向剤に含まれる溶剤成分の全量に対して20 〜80質量%であり、
    前記溶剤[C]の含有割合は、前記液晶配向剤に含まれる溶剤成分の全量に対して10 〜70質量%である、液晶配向剤。
  8. 前記化合物[A]は、1気圧での融点が25℃以下であって沸点が150℃以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  9. 前記化合物[A1]は、下記式(1)で表される化合物である、請求項1〜8のいずれ か一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 0006962449
    (式(1)中、Aは、酸素含有複素環の環部分から1個の水素原子を取り除いた基であり、環部分にさらに置換基を有していてもよい。Rは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルケニルオキシ基、炭素原子に結合する水素原子が水酸基、シアノ基若しくはアルコキシ基で置換された炭素数5以下の置換アルキル基、炭素原子に結合する水素原子が水酸基、シアノ基若しくはアルコキシ基で置換された炭素数5以下の置換アルコキシ基、炭素原子に結合する水素原子が水酸基、シアノ基若しくはアルコキシ基で置換された炭素数5以下の置換アルケニル基、炭素原子に結合する水素原子が水酸基、シアノ基若しくはアルコキシ基で置換された炭素数5以下の置換アルケニルオキシ基、水酸基、アミノ基又はシアノ基である。Rは、単結合、炭素数1〜3のアルカンジイル基、又は炭素数2若しくは3のアルケンジイル基である。Rは、炭素数1〜3のアルカンジイル基、又は炭素数2若しくは3のアルケンジイル基である。aは0〜2の整数であり、bは0又は1である。1分子中に複数のRを有する場合、複数のRは、互いに同じでも異なっていてもよい。)
  10. 前記酸素含有複素環は、環内に炭素−炭素不飽和結合を有さない複素環である、請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  11. 前記化合物[A2]は、下記式(3)で表される化合物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 0006962449
    (式(3)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。R10及びR11は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。)
  12. 前記重合体成分として、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリアミド、及び重合性不飽和結合を有するモノマーに由来する構造単位を有する重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成する、液晶素子の製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  15. 請求項14に記載の液晶配向膜を具備する液晶素子。
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