以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.FTN
2.技術的課題
3.システムの概略的な構成
4.各装置の構成
4.1.基地局の構成
4.2.端末装置の構成
5.技術的特徴
6.変形例
6.1.変形例1:プレフィックスの制御の一例
6.2.変形例2:装置の移動速度に応じた制御の一例
6.3.変形例3:マルチキャリア変調への拡張
6.4.変形例4:時間方向の圧縮、および周波数方向の圧縮の導入
7.応用例
7.1.基地局に関する応用例
7.2.端末装置に関する応用例
8.むすび
<<1.FTN>>
まず、図1及び図2を参照して、FTNの概要について説明する。LTE/LTE−A等の規格で適用される従来の変調方式では、PSK/QAMなどで変調されたシンボルは、ナイキスト基準にしたがって、時間的に連続するシンボルが互いに干渉し合わないように(即ち、シンボル間干渉が発生しないように)シンボル間隔が設定される。これによって、受信装置側では、(OFDM、MIMOなど付随的な処理を除いて)特別な信号処理を施すことなく受信信号を復調及び復号することが可能である。ただし、周波数利用効率の観点では、変調されたシンボルのシンボル間隔を、シンボル間隔の条件を超えて詰めることが困難なため、与えられた周波数帯域幅、MIMOアンテナ数等により上限が決まることとなる。通信システムの周波数帯域については、これまでのマイクロ波帯域から、より高い周波数である準ミリ波帯域、ミリ波帯域などまで拡張することが検討されているが、周波数帯域の資源は有限であるため、いずれは限界が訪れる。また、MIMOについても、装置におけるアンテナ搭載のための物理的制限があるため、こちらについても限界がある。
このような状況から、FTN(Faster-Than-Nyquist)と呼ばれる技術が注目されている。FTNは、変調されたシンボルのシンボル間隔を、上記に説明したシンボル間隔の条件を超えて詰めることによって、周波数利用効率の向上を図る変調方式・送信方式である。このような構成により、時間的に連続するシンボル間でシンボル間干渉が発生するため、受信装置側では、FTN信号を受信するために特別な信号処理を必要となるが、シンボル間隔の詰め方に応じて周波数利用効率を向上することが可能となる。なお、FTNは、周波数帯域の拡張や、アンテナの増加を伴わずに、周波数利用効率を向上させることが可能であるという大きな利点がある。
例えば、図1Aは、FTNが採用される場合における送信処理の一例について説明するための説明図である。なお、図1Aに示すように、FTNが採用される場合においても、ビットシーケンスに対して誤り訂正符号を付加しPSK/QAM変調を施すまでの処理については、LTE/LTE−A等の規格で適用される従来の送信処理と同様である。また、FTNが採用される場合には、図1Aに示すように、PSK/QAM変調が施されたビットシーケンスに対して、FTNマッピング処理が施される。FTNマッピング処理では、ビットシーケンスに対してオーバーサンプリング処理が施された後、波形整形フィルタによりナイキスト基準を超えてシンボル間隔が調整される。なお、FTNマッピング処理が施されたビットシーケンスは、デジタル/アナログ変換、無線周波数処理等を経て、アンテナへと送出される。
ナイキストレート信号とFaster-Than-Nyquist信号の波形整形フィルタ出力の比較を、図1B、図1Cにそれぞれ示す。従来のナイキストレート信号は、時間的に連続するシンボルがサンプルタイミングではゼロクロスするため、シンボル間干渉(ISI)が発生しないようにデザインされる。一方、FTNは、シンボル間隔を変数(ここでは時間圧縮係数τと呼ぶ)で詰めることで実効的なシンボルレートを上げている。図1Cの例ではτ=0.7の場合を示している。ナイキストレート信号と異なり、時間的に連続するシンボルはサンプルタイミングでもゼロクロスしないため、FTN信号自身がシンボル間干渉を内包している。
ここで図1B、図1Cより、ナイキストレート信号、FTN信号は、シンボル長は同じである点に注意が必要である。つまり、Faster-Than-Nyquistは、シンボル長を短くして(信号帯域幅を広げて)高速化しているわけではない。
また、図2は、FTNが採用される場合における受信処理の一例について説明するための説明図である。アンテナで受信された受信信号は、無線周波数処理、アナログ/デジタル変換等を経た後、FTNデマッピング処理が施される。FTNデマッピング処理では、デジタル信号に変換された受信信号に対して、送信側の波形整形フィルタに対応する整合フィルタ、ダウンサンプリング、残留雑音の白色化処理等が施される。なお、FTNデマッピング処理が施されたデジタル信号(ビットシーケンス)は、チャネル等化処理が施された後、LTE/LTE−A等の規格で適用される従来の受信処理と同様に、デマッピングから誤り訂正復号までの処理を施すことで、送信ビット系列の復号を試みる。
なお、以降の説明では、送信処理において、単に「FTN処理」と記載した場合には、FTNマッピング処理を示すものとする。同様に、受信処理において、単に「FTN処理」と記載した場合には、FTNデマッピング処理を示すものとする。また、図1A〜図2を参照して上記に説明した送信処理及び受信処理はあくまで一例であり、必ずしも同内容に限定されるものではない。例えば、MIMOの適用に伴う各種処理や多重化のための各種処理等が含まれていてもよい。
以上、図1A〜図2を参照して、FTNの概要について説明した。
<<2.技術的課題>>
次に、本開示の実施形態に係る技術的課題について説明する。
上記に説明したように、FTNは、帯域の拡張やアンテナ数の増加を伴わずに周波数利用効率を向上させることが可能である。その一方で、FTNを適用する場合には、上述したように、変調の過程において、時間的に連続するシンボル間でシンボル間干渉が発生する。そのため、受信装置側において、FTN信号を受信するための信号処理(即ち、FTNデマッピング処理)が必要となる。そのため、単にFTNを採用するのみでは、例えば、通信の状態や状況、受信装置の性能等(以降では、総じて「通信環境」と称する場合がある)によっては、FTNデマッピング処理により受信装置に対する負荷が過剰に増大し、ひいては、システム全体の通信品質を劣化させる場合も想定され得る。
そこで、本開示では、FTNを適用した場合において、通信環境に応じてシンボル間隔をより好適な態様で適応的に調整することが可能な仕組みの一例について提案する。
<<3.システムの概略的な構成>>
まず、図3を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概略的な構成を説明する。図3は、本開示の一実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。図3を参照すると、システム1は、基地局100及び端末装置200を含む。ここでは、端末装置200は、ユーザとも呼ばれる。当該ユーザは、ユーザ機器(User Equipment:UE)とも呼ばれ得る。ここでのUEは、LTE又はLTE−Aにおいて定義されているUEであってもよく、より一般的に通信機器を意味してもよい。
(1)基地局100
基地局100は、セルラーシステム(又は移動体通信システム)の基地局である。基地局100は、基地局100のセル10内に位置する端末装置(例えば、端末装置200)との無線通信を行う。例えば、基地局100は、端末装置へのダウンリンク信号を送信し、端末装置からのアップリンク信号を受信する。
(2)端末装置200
端末装置200は、セルラーシステム(又は移動体通信システム)において通信可能である。端末装置200は、セルラーシステムの基地局(例えば、基地局100)との無線通信を行う。例えば、端末装置200は、基地局からのダウンリンク信号を受信し、基地局へのアップリンク信号を送信する。
(3)シンボル間隔の調整
とりわけ本開示の一実施形態では、基地局100は、端末装置200に対してデータを送信する際に、当該データのシンボル間におけるシンボル間隔を調整する。より具体的には、基地局100は、ダウンリンクにおいて、送信対象となるデータのビット系列に対してFTNマッピング処理を施すことで、ナイキスト基準を超えて当該データのシンボル間におけるシンボル間隔を調整する(即ち、シンボル間隔がより狭くなるように調整する)。この場合には、例えば、端末装置200は、基地局100からの受信信号に対してFTNデマッピング処理を含む復調及び復号処理を施すことで、当該基地局100から送信されたデータの復号を試みる。
また、アンプリンクにおいて、FTN処理に基づくシンボル間のシンボル間隔が調整されてもよい。この場合には、端末装置200が、送信対象となるデータのビット系列に対してFTNマッピング処理を施すことで、当該データのシンボル間におけるシンボル間隔を調整する。また、基地局100は、端末装置200からの受信信号に対してFTNデマッピング処理を含む復調及び復号処理を施すことで、当該端末装置200から送信されたデータの復号を試みる。
以上、図3を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概略的な構成を説明した。
<<4.各装置の構成>>
続いて、図4及び図5を参照して、本開示の実施形態に係る基地局100及び端末装置200の構成の例を説明する。
<4.1.基地局の構成>
まず、図4を参照して、本開示の実施形態に係る基地局100の構成の一例を説明する。図4は、本開示の実施形態に係る基地局100の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、基地局100は、アンテナ部110、無線通信部120、ネットワーク通信部130、記憶部140、及び処理部150を備える。
(1)アンテナ部110
アンテナ部110は、無線通信部120により出力される信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ部110は、空間の電波を信号に変換し、当該信号を無線通信部120へ出力する。
(2)無線通信部120
無線通信部120は、信号を送受信する。例えば、無線通信部120は、端末装置へのダウンリンク信号を送信し、端末装置からのアップリンク信号を受信する。
(3)ネットワーク通信部130
ネットワーク通信部130は、情報を送受信する。例えば、ネットワーク通信部130は、他のノードへの情報を送信し、他のノードからの情報を受信する。例えば、上記他のノードは、他の基地局及びコアネットワークノードを含む。
(4)記憶部140
記憶部140は、基地局100の動作のためのプログラム及び様々なデータを一時的に又は恒久的に記憶する。
(5)処理部150
処理部150は、基地局100の様々な機能を提供する。例えば、処理部150は、通信処理部151と、通知部153とを含む。なお、処理部150は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、処理部150は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。
通信処理部151及び通知部153については、後に詳細に説明する。以上、図4を参照して、本開示の実施形態に係る基地局100の構成の一例を説明した。
<4.2.端末装置の構成>
次に、図5を参照して、本開示の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を説明する。図5は、本開示の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、端末装置200は、アンテナ部210、無線通信部220、記憶部230及び処理部240を備える。
(1)アンテナ部210
アンテナ部210は、無線通信部220により出力される信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ部210は、空間の電波を信号に変換し、当該信号を無線通信部220へ出力する。
(2)無線通信部220
無線通信部220は、信号を送受信する。例えば、無線通信部220は、基地局からのダウンリンク信号を受信し、基地局へのアップリンク信号を送信する。
(3)記憶部230
記憶部230は、端末装置200の動作のためのプログラム及び様々なデータを一時的に又は恒久的に記憶する。
(4)処理部240
処理部240は、端末装置200の様々な機能を提供する。例えば、処理部240は、情報取得部241と、通信処理部243とを含む。なお、処理部240は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、処理部240は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。
情報取得部241及び通信処理部243については、後に詳細に説明する。以上、図5を参照して、本開示の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を説明した。
<<5.技術的特徴>>
次に、図6〜図23を参照して、本開示の一実施形態に係る技術的特徴について説明する。
(1)時間リソース構成の一例
まず、図6を参照して、FTNをサポートする場合における時間リソースの構成の一例について説明する。図6は、FTNをサポートする場合における時間リソースの構成の一例について説明するための説明図である。
図6に示す例では、時間リソースは、時間軸方向に沿って無線フレーム(Radio Frame)と呼ばれる単位に区切れられる。また、無線フレームは、時間軸方向に沿って、所定数のサブフレームに区切られる。なお、図6に示す例では、無線フレームは、10個のサブフレームを含む。なお、ユーザに対する時間リソースの割り当ては、サブフレーム単位で行われる。
また、サブフレームは、さらに時間軸方向に沿って、所定の数のシンボルブロックと呼ばれる単位で区切られる。例えば、図6に示す例では、サブフレームは、14個のシンボルブロックを含む。シンボルブロックは、データを伝送するためのシンボルからなる系列部分と、その系列の一部がコピーされたCP部分とによって構成される。また、その他の一例として、シンボルブロックは、データを伝送するためのシンボルからなる系列部分と、既知のシンボルからなる系列部分(所謂、パイロットシンボル)によって構成されていてもよい。なお、CPやパイロットシンボルは、例えば、ガードインターバルとして機能し得る。
以上、図6を照して、FTNをサポートする場合における時間リソースの構成の一例について説明した。
(2)送信装置における処理の一例
続いて、図7〜図10を参照して、FTNをサポートする送信装置における処理の一例について説明する。図7〜図10は、FTNをサポートする送信装置における処理の一例について説明するための説明図である。図7〜図10に示す例では、1以上のユーザに対してFTN信号を送信することを想定している(即ち、ユーザ数(あるいは受信装置数)NU≧1)。また、図7〜図10に示す例では、マルチアンテナ送信を想定している(即ち、送信アンテナポート数(または送信アンテナ数)NAP≧1)。なお、本説明における送信装置は、基地局100及び端末装置200のいずれにも相当し得る。即ち、ダウンリンクにおいては、基地局100が当該送信装置に相当し、主に、当該基地局100における通信処理部151が以下に説明する処理を実行する。また、アップリンクにおいては、端末装置200が当該送信装置に相当し、主に、当該端末装置200における通信処理部243が以下に説明する処理を実行することとなる。すなわち、通信処理部151または通信処理部243は、本開示の制御部の一例として機能しうる。なお、ダウンリンクにおいては、端末装置200が受信装置に相当し、アップリンクにおいては基地局100が受信装置に相当することとなる。
具体的には、図7及び図8に示す例では、例えば、ユーザA、ユーザB及びユーザCの各々のビットシーケンス(例えば、トランスポートブロック)が処理される。これらのビットシーケンスの各々について、いくつかの処理(例えば、図7に示すような、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号化、FEC(Forward Error Correction)符号化、レートマッチング及びスクランブリング/インタリービング)が行われ、その後変調が行われる。そして、図8に示すように、レイヤマッピング、電力割当て、プリコーディング、SPC多重が行われ、アンテナエレメントごとのビットシーケンスが出力される。ここでは、アンテナp1、アンテナp2、及びアンテナp3それぞれに対応するビットシーケンスが出力されたものとして説明する。
図9に示すように、アンテナp1、アンテナp2、及びアンテナp3それぞれに対応するビットシーケンスは、DFT(Discrete Fourier Transform)/FFT(Fast Fourier Transform)、リソースエレメントマッピング、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)/IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)、CP(Cyclic Prefix)挿入などが行われ、CPが付加されたアンテナエレメントごとのシンボル系列が出力される。そして、図10に示すように、CP付加後のシンボル系列に対して、FTN処理としてオーバーサンプリング及びパルスシェイピングが施され、その出力に対してデジタルからアナログ及びRF(Radio Frequency)への変換が行われる。
なお、図7〜図10を参照して説明した送信装置の処理はあくまで一例であり、必ずしも同内容に限定されるものではない。例えば、送信装置は、シングルアンテナ送信を想定したものであってもよい。この場合には、上記に説明した各処理のうち、対応する部分を適宜読み替えればよい。
以上、図7〜図10を参照して、FTNをサポートする送信装置における処理の一例について説明した。
(3)送信信号処理
続いて、FTNが採用される場合における送信信号処理の一例について説明する。なお、本説明では、HetNet(Heterogeneous Network)又はSCE(Small Cell Enhancement)などのマルチセルシステムを想定する。
まず、本説明においては、特に断りが無い限りサブフレームに相当するインデクスは省略するものとする。また、送信装置i及び受信装置uのインデクスそれぞれをi及びuとした場合に、インデクスi及びuは、対応する装置が属するセルのID、または、対応する装置が管理するセルのIDを示すものであってもよい。
ここで、あるサブフレームtにおいて、送信装置iから受信装置uに送信されるビット系列をbi,uとする。このビット系列bi,uは、一のトランスポートブロックを構成するものであってもよい。また、本説明では、送信装置iから受信装置uに対して一のビット系列を送信する場合を例に説明するが、送信装置iから受信装置uに対して複数のビット系列が送信されてもよく、その際に複数のトランスポートブロックを構成して送信されてもよい。
まず、送信対象となるビット系列bi,uに対して、CRCのための符号化、FEC符号化(畳み込み符号、ターボ符号、LDPC符号、など)、符号化率を調整するためのレートマッチング、ビットスクランブル、ビットインタリーブ等の処理が施される。なお、これらの各処理を関数に見立てた場合には、各処理が施された後のビット系列は、以下のように表される。
上述したビット処理が施されたビット系列(例えば、ビット系列bINT、i,u)は、複素シンボルs(例えば、BPSK、QPSK、8PSK、16QAM、64QAM、256QAM等)にマッピングされ、さらに空間レイヤlにマッピングされる。ここで、受信装置uに対する空間レイヤ数をNSL,i,uとすると、ビット系列bINT、i,uがマッピングされた送信信号は、以下に示すようにベクトル形式で表され得る。
なお、上述した式において、ベクトルSi,u、jの各要素は、ビット系列bINT、i,uがマッピングされた複素シンボルsに相当する。
次いで、空間レイヤにマッピングされた後の送信信号に対して、電力割当て及びプリコーディングの各処理が施される。ここで、送信装置iのアンテナポート数(あるいは、送信アンテナ数)をNAP,iとした場合に、電力割当て及びプリコーディングが施された送信信号は、以下にベクトルxi,uとして示すとおりである。
なお、上記に示した式において、行列Wi,uは、受信装置uについてのプリコーディング行列(Precoding Matrix)である。この行列内の要素は、複素数または実数であることが望ましい。また、行列Pi,uは、送信装置iから受信装置uに向けた信号の送信に、係る電力割当て係数行列である。この行列では、各要素が正の実数であることが望ましい。なお、この行列Pi,uは、以下のような対角行列(即ち、対角成分以外が0である行列)であってもよい。
ここで、送信装置iの通信の対象は、受信装置uのみに限られず他の受信装置vも存在し得る。そのため、例えば、受信装置uに向けた信号xi,uと、他の受信装置vに向けた信号xi,vとは、同一の無線リソースで送信され得る。これらの信号は、送信アンテナポートごとに、例えば、重畳多重、SPC(Superposition Coding)、MUST(Multiuser Superposition Transmission)、NOMA(Non-Orthogonal Multiple Access)等に基づき多重化される。多重化後の送信装置iから送信される信号xiは、以下のように表される。
なお、上記に示した式において、Uiは、送信装置iが信号を多重する受信装置uのインデクスの集合である。また、以降の処理については、送信アンテナポートpごと、及びシンボルブロックgごとの信号処理に着目して説明する。
送信アンテナポートごとの信号は、時間シンボル系列に対して、時間−周波数変換処理(例えば、DFT、FFT等)が施されることで、周波数成分に変換される。ここで、シンボルブロックgに含まれるデータシンボル数をNDS,gとすると、送信装置iから送信ポートpを介して送信されるシンボルブロックgの時間シンボル系列xi,p,gの周波数成分x ̄i,p,gは、以下のように表され得る。なお、本説明において、「x ̄」は、「x」に対してオーバーラインが付された文字を示すものとする。また、以下に示す式中におけるFNは、サイズNのフーリエ変換行列を示すものとする。
変換後の周波数成分x ̄i,p,gは、リソースブロックの周波数方向に沿ってリソースエレメントにマッピングされる。この、周波数成分x ̄i,p,gをリソースエレメントへのマッピングする処理は、以下に示す式のように処理することも可能である。
なお、上記に示す式において、x〜 i,p,gは、周波数成分x ̄i,p,gをリソースエレメントにマッピングした後の周波数成分を示している。なお、本説明において、「x〜」は、「x」の上にチルダが付された文字を示すものとする。また、上記に示す式において、Aは、サイズNIDFT×NDS,gの周波数マッピング行列である。ここで、周波数変換後の成分k’の周波数成分x ̄i,p,g,k’を、成分kに相当する周波数成分x〜 i,p,g,kにマッピングする場合には、周波数マッピング行列の(k,k’)成分は0となる。行列Aは、各行の要素の和が1以下であることが望ましく、各列の要素の和が1以下であることが望ましい。
次いで、リソースエレメントにマッピングされた周波数成分x〜 i,p,gに対して、周波数−時間変換処理(例えば、IDFT、IFFT等)が施され、再度時間系列に変換される。ここで、x〜 i,p,gが変換された時間シンボル系列d〜 i,p,gは、以下のように表される。なお、本説明において、「d〜」は、「d」の上にチルダが付された文字を示すものとする。また、以下に示す式において、FHは、Fのエルミート行列である。
また、周波数成分から時間系列に変換された時間シンボル系列d〜 i,p,gに対して、シンボルブロックごとにCPまたは既知シンボル系列が付加される。例えば、時間シンボル系列d〜 i,p,gに対して長さNCP,gのCPを付加する場合には、CP付加後のシンボル系列d^i,p,gは、以下のように表される。なお、「d^」は、「d」に対してハットが付された文字を示すものとする。
次いで、CP付加後のシンボル系列d^i,p,gに対して、FTN処理が施される。なお、FTN処理は、オーバーサンプリング処理とパルスシェイピングフィルタリング処理とによって構成される。まず、オーバーサンプリング処理に着目する。オーバーサンプル数をNOSとすると、オーバーサンプリング後の時間シンボル系列d’i,p[n]は以下のように表される。なお、以下に示す式においては、シンボルブロックのインデクスgを省略している。
また、オーバーサンプリング後の時間シンボル系列d’i,p[n]に対して、FTNを加味したパルスシェイピング処理が施される。パルスシェイプフィルタのフィルタ係数をΨi,p(t)とした場合に、パルスシェイピング処理の出力は以下のように表される。
ここで、シンボル長をTとした場合に、1/Tはシンボルレートを表す。また、τi,pは、FTNに関する係数であり、0<τi,p≦1の実数値をとる。なお、以降の説明では、係数τi,pを、便宜上「圧縮係数」と称する場合がある。圧縮係数は、シンボル長Tと、FTNにおけるシンボル配置(即ち、シンボル間隔)T’とを結ぶ係数であるとも言える。一般的には、0<T’≦Tであり、τi,p=T’/T≦1の関係となる。
なお、LTE/LTE−A等の規格で適用される従来の変調方式においては、フィルタ係数は、時刻ゼロの値がピークとなるときに、時刻Tごとにゼロの値をとる係数のフィルタ(所謂、ナイキスト基準に準ずるフィルタ(ナイキストフィルタ))であることが好ましいとされている。ナイキスト基準に準ずるフィルタの具体的な一例として、RC(Raised-Cosine)フィルタ、RRC(Root-Raised-Cosine)フィルタ等が挙げられる。なお、上記に説明したFTNを適用し得る送信処理において、ナイキスト基準に準ずるフィルタを利用する場合には、τi,p=1とすれば、生成される信号自体のシンボル間干渉は、原理的にはゼロとなる。
そして、FTN処理が施された信号(即ち、パルスシェイピングフィルタリング処理の出力)に対して、アナログ及び無線周波数(RF)処理が施され、送信アンテナ(アンテナポート)へと送出される。
以上、FTNが採用される場合における送信信号処理の一例について説明した。
(4)セルごと(Cell-Specific)に圧縮係数を変化させるFTN送信方式
続いて、FTNにおける圧縮係数τi,pをセルごと(Cell-Specific)に変化させる場合における送信方式の一例について説明する。
FTNにおいては、圧縮係数τi,pがより小さいほど、FTN自体が内包するシンボル間干渉の影響が大きくなる(換言すると、シンボル間隔が狭くなる)。一方で、所謂無線通信システムにおいては、無線伝搬路においても、多重伝送や伝搬路の非線形周波数特性等によってシンボル間干渉が発生し得る。そのため、FTNを採用した無線通信システムにおいては、FTN自体が内包するシンボル間干渉の影響に加え、無線伝搬路におけるシンボル間干渉の影響についても考慮する必要があり得る。このような状況を鑑みて、本実施形態に係る通信システムは、受信装置におけるシンボル間干渉への対策処理の負荷を加味し、圧縮係数を適応的に調整可能に構成されている。このような構成とすることで、受信装置における負荷と、周波数利用効率のバランスをとることが可能となる。
(a)チャネルの周波数に応じた圧縮係数の調整
まず、図11及び図12を参照して、チャネルの周波数に応じて圧縮係数を調整する場合の一例について説明する。
例えば、図11は、チャネルの周波数と、シンボル間干渉のレベルと、圧縮係数との関係の一例を示している。一般的に、無線伝搬路に起因する遅延スプレッドは、周波数が小さいほど反射波及び回析波等の影響により大きくなり、周波数が高くなるほど直進性が増すため小さくなる。即ち、無線伝搬路におけるシンボル間干渉の影響は、周波数が低いほど大きく、周波数が高いほど小さくなる傾向にある。
このような特性から、無線伝搬路におけるシンボル間干渉への対策に係る処理についても、周波数が高いチャネルにおいては相対的に負荷が軽くなることが推定される。そのため、無線伝搬路におけるシンボル間干渉への対策に関する負荷の軽減分を、FTNが内包するシンボル間干渉への対策に係る処理に充てることで、受信装置における負荷の増大を抑制し、かつ、周波数利用効率を効率的に向上させることが可能となる。
具体的には、図11に示すように、周波数が高いチャネルほどより小さい圧縮係数が適用される構成(換言すると、周波数が低いチャネルほどより大きい圧縮係数が適用される構成)とすることが望ましい。
より具体的な一例として、図11は、送信装置がデータを送信するためのCC(Component Carrier)として、CC0〜CC3が使用される場合の一例について示している。なお、CC0〜CC3のそれぞれに対応する周波数チャネルをチャネルf0〜f3とした場合に、チャネルf0〜f3の周波数の大小関係は、f0<f1<f2<f3となるものとする。なお、図11に示す例では、CC0は、PCC(Primary CC)として設定されており、CC1〜CC3のそれぞれは、SCC(Secondary CC)として設定されているものとする。
ここで、CC0〜CC3それぞれにおいて適用される圧縮係数をτ0〜τ3とした場合に、図11に示す例における圧縮係数τ0〜τ3の大小関係は、τ0≧τ1≧τ2≧τ3となる。
次いで、図12を参照して、チャネルの周波数に応じて圧縮係数を設定する処理の一例について説明する。図12は、チャネルの周波数に応じて圧縮係数を設定する処理の一例を示したフローチャートである。なお、本説明では、送信装置が主体となって圧縮係数を設定する場合を例に説明する。一方で、同処理の主体は必ずしも送信装置には限定されない。具体的な一例として、FTNをアップリンクに適用する場合において、受信装置に相当する基地局が圧縮係数を設定してもよい。
具体的には、まず送信装置は、対象となるCCの周波数帯域を確認する(S101)。そして、送信装置は、対象となるCCの周波数帯域に応じて、当該CCに対応する圧縮係数を設定すればよい(S103)。
以上、図11及び図12を参照して、チャネルの周波数に応じて圧縮係数を調整する場合の一例について説明した。
(b)コンポーネントキャリアに応じた圧縮係数の調整
次に、図13及び図14を参照して、対象となるCCが、PCC及びSCCのいずれかに応じて圧縮係数を調整する場合の一例について説明する。
例えば、図13は、チャネルの周波数と、シンボル間干渉のレベルと、圧縮係数との関係の他の一例を示している。PCCは、基本的にはセル内のすべての端末が送受信できるような状態にあることが望ましい。また、カバレッジの観点から、PCCは可能な限り低い周波数チャネルであることが望ましい。例えば、図11に示した例では、PCCが対象の中で最も低い周波数チャネルとなっている。なお、PCCが、より優先度の高いCCの一例に相当する。
上記に示したPCCの特性から、FTNに起因するシンボル間干渉をより小さくするために、PCCに対応する圧縮係数は、他のCC(SCC)よりも大きい値が適用されることがより望ましい。さらに、PCCについては、圧縮係数を1とする(τ=1)ことで、PCCを介したデータの送受信の信頼性をより高めることも可能である。なお、圧縮係数を1とすることは、FTNを適用しないことと実質的に同義となり、原理的にはFTN処理に伴うシンボル間干渉は発生しないこととなる。
例えば、図13は、CCとして、CC0〜CC3が使用される場合の一例について示している。なお、CC0〜CC3のそれぞれに対応する周波数チャネル、チャネルf0〜f3とした場合に、チャネルf0〜f3の周波数の大小関係は、f0<f1<f2<f3となるものとする。なお、図11に示す例では、CC1は、PCC(Primary CC)として設定されており、CC0、CC2、及びCC3のそれぞれは、SCC(Secondary CC)として設定されているものとする。即ち、図13は、PCCが、対象の中で最も低い周波数チャネルではない場合の一例を示している。なお、CC0〜CC3それぞれにおいて適用される圧縮係数をτ0〜τ3とする。
具体的には、図13に示す例の場合には、PCC(即ち、チャネルf1)において適用される圧縮係数τ1が最も高く設定され(例えば、1に設定され)、他のCC(SCC)において適用される圧縮係数τ0,τ2,及びτ3が、圧縮係数τ1以下に設定されている。このような構成とすることで、PCCを介したデータの送受信の信頼性を確保することが可能となる。なお、圧縮係数τ0,τ2,及びτ3の大小関係については、図11に示す例と同様に、周波数がより高くなるほど圧縮係数がより小さくなるように設定されていてもよい。
次いで、図14を参照して、対象となるCCが、PCC及びSCCのいずれかに応じて圧縮係数を設定する処理の一例について説明する。図14は、対象となるCCが、PCC及びSCCのいずれかに応じて圧縮係数を設定する処理の一例を示したフローチャートである。なお、本説明では、送信装置が主体となって圧縮係数を設定する場合を例に説明する。
具体的には、まず送信装置は、対象となるCCがPCCか否か(即ち、PCC及びSCCのいずれか)を判定する(S151)。対象となるCCがPCCの場合には(S151、YES)、送信装置は、当該CCに対応する圧縮係数として、PCC用の圧縮係数(例えば、τ=1)を設定する(S153)。また、対象となるCCがPCCではない場合には(S151、NO)、送信装置は、当該CCの周波数帯域を確認する(S155)。そして、送信装置は、対象となるCCの周波数帯域に応じて、当該CCに対応する圧縮係数を設定する(S157)。
以上、図13及び図14を参照して、対象となるCCが、PCC及びSCCのいずれかに応じて圧縮係数を調整する場合の一例について説明した。
(c)圧縮係数を設定するための制御テーブルの一例
次いで、圧縮係数を設定する主体(例えば、送信装置)が、上記に説明したように、対象となるCCがPCCか否かや、当該CCの周波数等の条件に応じて、当該CCに対して圧縮係数を設定するための制御テーブルの一例について説明する。
具体的には、以下に表1として示すように、周波数帯域の範囲と圧縮係数の値とがあらかじめ固定的に対応付けられて制御テーブルとして管理されていてもよい。また、当該制御テーブルにおいて、PCCとSCCとのそれぞれに対して、個別に圧縮係数の値が設定されていてもよい。
表1の周波数fは、例えば、コンポーネントキャリアの中心周波数、下限周波数、上限周波数の少なくともいずれかである。上記に表1として示した例では、対象となるCCがPCCの場合には、当該CCに対応する周波数fの範囲に応じて、圧縮係数τpcell0、τpcell1、τpcell2、τpcell4、・・・が設定されている。なお、このとき各圧縮係数の大小関係は、τpcell0≧τpcell1≧τpcell2≧τpcell4≧・・・となっていることが望ましい。なお、PCCに対応する圧縮係数として1が設定されていてもよい。
また、上記に表1として示した例では、対象となるCCがSCCの場合には、当該CCに対応する周波数fの範囲に応じて、圧縮係数τscell0、τscell1、τscell2、τscell4、・・・が設定されている。なお、このとき各圧縮係数の大小関係は、τscell0≧τscell1≧τscell2≧τscell4≧・・・となっていることが望ましい。また、SCCに対応する圧縮係数として、PCCに対応する圧縮係数よりもより小さい値が設定されていることが望ましい。また、表1では、周波数帯域の範囲と圧縮係数の値とがあらかじめ固定的に対応付けられているテーブルを示したが、本開示はこの限りでは無い。例えば、周波数fの値の代わりに、コンポーネントキャリアまたは周波数チャネルのチャネル番号(Frequency Band Index)と、圧縮係数とを対応付けた制御テーブルが用いられても良い。
(5)セルごと(Cell-Specific)に圧縮係数を変更するためのシーケンスの一例
続いて、FTNにおける圧縮係数τi,pをセルごと(Cell-Specific)に変化させる場合における、基地局100と端末装置200との間の通信シーケンスの一例について説明する。
(a)ダウンリンクへの適用について
まず、図15及び図16を参照して、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における、基地局100と端末装置200との間の通信シーケンスの一例について説明する。
ダウンリンクにおいては、基地局100が、セルごとに決定された圧縮係数τi,pに基づき、共有チャネル(データチャネル)を介して送信されるデータにおけるシンボル間のシンボル間隔を調整する。この場合には、基地局100は、セルごとに決定された圧縮係数τi,pをFTNに関連するパラメータとして端末装置200に通知する。これにより端末装置200は、基地局100から通知された圧縮係数τi,pに基づき、当該基地局100から送信されたデータ(即ち、FTN処理が施されたデータ)を復号することが可能となる。
なお、端末装置200が、基地局100により圧縮係数τi,pに基づきFTNマッピング処理が施されたデータを復号するタイミングまでに、当該圧縮係数τi,pを認識できれば、基地局100が端末装置200にFTNパラメータが通知するタイミングは特に限定されない。例えば、基地局100が、端末装置200に対してFTNパラメータを通知するタイミングの一例として、RRC Connection Reconfiguration、System Information、及びDownlink Control Information(DCI)等が挙げられる。特に、セルごと(Cell-Specific)に圧縮係数τi,pが設定される場合には、基地局100は、RRC Connection Reconfiguration、またはSystem Informationにおいて、圧縮係数τi,pを端末装置200に通知することがより望ましい。
(a−1)RRC Connection Reconfigurationによる通知
まず、図15を参照して、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、特に、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の例に着目して説明する。図15は、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例について説明するための説明図であり、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。
より具体的には、基地局100は、端末装置200に対してRRC Connection Reconfigurationメッセージを送信する際に、セルごとに設定されたFTNパラメータ(例えば、圧縮係数τi,p)を通知する(S201)。端末装置200は、基地局100からのRRC Connection Reconfigurationメッセージを受信すると、当該メッセージを正しく受信できた旨を示すRRC Connection Reconfiguration Completeメッセージを基地局100に送信する(S203)。この手続きの中で、端末装置200は、基地局100が送信データに対してFTNマッピング処理を施すために使用する圧縮係数τi,p(即ち、基地局100から送信されるデータを復号(FTNデマッピング)するための圧縮係数τi,p)を認識することが可能となる。
次いで、基地局100は、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、端末装置200に対して、データ送受信の周波数(例えば、リソースブロック(RB))及び時間リソース(例えばサブフレーム(SF))であるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)の割り当て情報を送信する(S205)。PDCCHを受信した端末装置200は、当該PDCCHを復号することで、自身に割り当てられた周波数及び時間リソース(PDSCH)を認識することが可能となる(S207)。
次いで、基地局100は、送信対象となるデータに対して、セルごとに設定されたFTNパラメータに基づきFTNマッピング処理を含む各種変調処理を施すことで送信信号を生成し、当該送信信号を指定したPDSCHリソース上に送信する(S209)。端末装置200は、基地局100から割り当て情報により指定されたPDSCHを受信し、受信信号に対して、基地局100から通知されたFTNパラメータに基づくFTNデマッピング処理を含む各種復調及び復号処理を施すことで、基地局100から送信されたデータを取り出す(S211)。なお、端末装置200は、CRC等の誤り検出に基づき誤りなくデータを復号できた場合には、基地局100に対してACKを返信してもよい。また、端末装置200は、CRC等の誤り検出に基づき誤りが検出された場合には、基地局100に対してNACKを返信してもよい(S213)。
以上、図15を参照して、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、特に、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにおいて、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の例に着目して説明した。
(a−2)System Informationによる通知
次に、図16を参照して、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、特に、基地局100が、System Information(SIB:System Information Block)により、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の例に着目して説明する。図16は、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例について説明するための説明図であり、基地局100が、System Informationより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。
より具体的には、基地局100は、セル10内に位置する各端末装置200に対して、SIBメッセージをブロードキャストする。このとき、基地局100は、SIBメッセージ中にFTNパラメータを含めることで、セル10内に位置する各端末装置200に対して当該FTNパラメータを通知する(S251)。これにより、端末装置200は、基地局100が送信データに対してFTNマッピング処理を施すために使用する圧縮係数τi,pを認識することが可能となる。なお、前述したように、SIBメッセージは、セル10内に位置する各端末装置200に対してブロードキャストされるため、当該端末装置200から基地局100へのSIBメッセージに対する返信は発生しない。換言すると、図16に示す例では、基地局100からセル10内に位置する端末装置200に対して、各種パラメータ情報(例えば、FTNパラメータ)が一方向で通知される。
なお、図16において参照符号S253〜S261で示された通信シーケンスは、図15において参照符号S205〜S213で示された通信シーケンスと同様のため、詳細な説明は省略する。
以上、図16を参照して、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、特に、基地局100が、System Informationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の例に着目して説明した。
(b)アップリンクへの適用について
続いて、図17及び図18を参照して、アップリンクに対してFTNを採用した場合における、基地局100と端末装置200との間の通信シーケンスの一例について説明する。
アップリンクにおいては、端末装置200が送信装置となり、基地局100が受信装置となる。一方で、アップリンクにおいて、FTNパラメータの通知及びPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)リソースの割り当てについては、ダウンリンクと同様に、基地局100が担うこととなる。即ち、セルごとに設定されたパラメータ設定(例えば、FTNパラメータの設定)を行う状況下では、セルという一つのエリア中の装置群を考慮すると、基地局100が、各種情報の通知及び各種制御の役割を担うことがより望ましい。
なお、端末装置200が、送信対象となるデータに対してFTNマッピング処理を施すタイミングまでに、当該FTNマッピング処理に適用する圧縮係数τi,pを認識できれば、基地局100が端末装置200にFTNパラメータが通知するタイミングは特に限定されない。例えば、基地局100が、端末装置200に対してFTNパラメータを通知するタイミングの一例として、RRC Connection Reconfiguration、System Information、及びDownlink Control Information(DCI)等が挙げられる。特に、セルごと(Cell-Specific)に圧縮係数τi,pが設定される場合には、基地局100は、RRC Connection Reconfiguration、またはSystem Informationにおいて、圧縮係数τi,pを端末装置200に通知することがより望ましい。
(b−1)RRC Connection Reconfigurationによる通知
まず、図17を参照して、アップリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、特に、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の例に着目して説明する。図17は、アップリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例について説明するための説明図であり、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。
より具体的には、基地局100は、端末装置200に対してRRC Connection Reconfigurationメッセージを送信する際に、セルごとに設定されたFTNパラメータ(例えば、圧縮係数τi,p)を通知する(S301)。端末装置200は、基地局100からのRRC Connection Reconfigurationメッセージを受信すると、当該メッセージを正しく受信できた旨を示すRRC Connection Reconfiguration Completeメッセージを基地局100に送信する(S303)。この手続きの中で、端末装置200は、基地局100に対して送信するデータに対してFTNマッピング処理を施すために使用する圧縮係数τi,pを認識することが可能となる。
次いで、端末装置200は、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)により、基地局100に対して、データを送受信するための周波数及び時間リソースであるPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の割り当てを依頼する。PUCCHを受信した基地局100は、当該PUCCHを復号することで、端末装置200からの周波数及び時間リソースの割り当てに係る依頼の内容を認識する(S305)。
次いで、基地局100は、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、端末装置200に対して、PUSCHの割り当て情報を送信する(S307)。PDCCHを受信した端末装置200は、当該PDCCHを復号することで、自身に割り当てられた周波数及び時間リソース(PUSCH)を認識することが可能となる(S309)。
次いで、端末装置200は、送信対象となるデータに対して、基地局100から通知されたFTNパラメータに基づきFTNマッピング処理を含む各種変調処理を施すことで送信信号を生成する。そして、端末装置200は、生成した送信信号を、基地局100から割り当て情報により指定されたPUSCHリソース上に送信する(S311)。基地局100は、指定したPUSCHを受信し、受信信号に対して、セルごとに設定されたFTNパラメータに基づくFTNデマッピング処理を含む各種復調及び復号処理を施すことで、端末装置200から送信されたデータを取り出す(S313)。なお、基地局100は、CRC等の誤り検出に基づき誤りなくデータを復号できた場合には、端末装置200に対してACKを返信してもよい。また、基地局100は、CRC等の誤り検出に基づき誤りが検出された場合には、端末装置200に対してNACKを返信してもよい(S315)。
以上、図17を参照して、アップリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、特に、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の例に着目して説明した。
(b−2)System Informationによる通知
次に、図18を参照して、アップリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、特に、基地局100が、System Informationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の例に着目して説明する。図18は、アップリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例について説明するための説明図であり、基地局100が、System Informationより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。
より具体的には、基地局100は、セル10内に位置する各端末装置200に対して、SIBメッセージをブロードキャストする。このとき、基地局100は、SIBメッセージ中にFTNパラメータを含めることで、セル10内に位置する各端末装置200に対して当該FTNパラメータを通知する(S351)。これにより、端末装置200は、基地局100に対して送信するデータに対してFTNマッピング処理を施すために使用する圧縮係数τi,pを認識することが可能となる。なお、ダウンリンクの場合と同様に、SIBメッセージは、セル10内に位置する各端末装置200に対してブロードキャストされるため、当該端末装置200から基地局100へのSIBメッセージに対する返信は発生しない。換言すると、図18に示す例では、基地局100からセル10内に位置する端末装置200に対して、各種パラメータ情報(例えば、FTNパラメータ)が一方向で通知される。
なお、図18において参照符号S353〜S363で示された通信シーケンスは、図17において参照符号S305〜S315で示された通信シーケンスと同様のため、詳細な説明は省略する。
以上、図18を参照して、アップリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、特に、基地局100が、System Informationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の例に着目して説明した。
Cell-Specificに圧縮係数を制御する場合、時間方向に対する係数の更新単位として、Semi-Staticの場合とDynamicの場合が考えられる。Semi-Staticな場合として、複数サブフレーム(Subframe)単位、一無線フレーム(Radio Frame)単位、あるいは複数無線フレーム単位に更新することが考えられる。このように更新することで、基地局100(送信装置)および端末装置200(受信装置)は、一回の設定である程度の時間を継続して通信を続けることができる。またこのように更新することで、基地局100および端末装置200は、オーバーヘッドの増加を抑える効果も期待できる。
一方、Dynamicに更新する場合として、所定の時間内で、例えば、一サブフレーム単位あるいは複数サブフレーム単位で更新することが考えられる。またはDynamicに更新する場合として、不定期にサブフレームごとに更新することも考えられる。Dynamicに更新する場合、送信装置及び受信装置は、物理制御チャネル(PDCCH、ePDCCH)で送信される情報によって圧縮係数の値を設定する。このように更新することで、基地局100(送信装置)および端末装置200(受信装置)は、電波伝搬環境の変化に応じて柔軟にパラメータを対応させることができる。
(c)キャリアアグリゲーションを採用する通信システムへの適用について
続いて、キャリアアグリゲーションを採用する通信システムに対してFTNを採用した場合における、基地局100と端末装置200との間の通信シーケンスの一例について説明する。
上記に説明したアップリンク及びダウンリンクの通信シーケンスの一例では、FTNパラメータの通知に利用する周波数チャネルに関しては特に言及していない。一方で、キャリアアグリゲーションのように複数の周波数チャネルをセル内で利用する場合には、所望のチャネルをFTNパラメータの通知に利用することが可能となる。
そこで、本説明では、複数の周波数チャネルをセル内で利用する場合における基地局100と端末装置200との間の通信シーケンスの一例について、図19に示す例に基づき説明する。図19は、キャリアアグリゲーションを含む通信システムにおいて、基地局100と端末装置200との間の通信に利用される周波数チャネルの一例を示した図である。具体的には、図19は、送信装置がデータを送信するためのCCとして、CC0及びCC1が使用される場合の一例について示している。なお、CC0及びCC1のそれぞれに対応する周波数チャネルをチャネルf0及びf1とした場合に、チャネルf0及びf1の周波数の大小関係は、f0<f1となるものとする。また、図19に示す例では、CC0は、PCCとして設定されており、CC1は、SCCとして設定されているものとする。
(c−1)FTNを適用するチャネルによるFTNパラメータの通知
まず、図20及び図21を参照して、基地局100が端末装置200に対して、FTNを適用する周波数チャネルを利用してFTNパラメータを通知する場合の一例について説明する。図20及び図21は、キャリアアグリゲーションを含む通信システムにおいて、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例について説明するための説明図である。なお、図20及び図21は、基地局100が端末装置200に対して、FTNを適用する周波数チャネルを利用してFTNパラメータを通知する場合における、基地局100と端末装置200との間の通信シーケンスの一例について示している。
例えば、図20は、図15を参照して説明した例と同様に、ダウンリンクに対してFTNを採用し、かつ、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。なお、図20において、参照符号S401〜S413で示された通信シーケンスは、図15において参照符号S201〜S213で示された通信シーケンスと同様のため、詳細な説明は省略する。また、図20は、チャネルf1(即ち、SCCであるCC1)に対してFTNが適用される場合の一例を示している。
具体的には、図20に示す例では、基地局100は、参照符号S401に示すように、チャネルf1を利用してRRC Connection Reconfigurationメッセージを端末装置200に送信する。この際に、基地局100は、端末装置200に対してセルごとに設定されたFTNパラメータ(例えば、圧縮係数τi,p)を通知する。
また、基地局100は、送信対象となるデータに対して、セルごとに設定されたFTNパラメータに基づきFTNマッピング処理を含む各種変調処理を施すことで送信信号を生成する。そして、基地局100は、参照符号S409に示すように、チャネルf1を利用して当該送信信号を、端末装置200に指定したPDSCHリソース上に送信することとなる。
また、他の一例として、図21は、図16を参照して説明した例と同様に、ダウンリンクに対してFTNを採用し、かつ、基地局100が、System Informationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。なお、図21において、参照符号S451〜S461で示された通信シーケンスは、図16において参照符号S251〜S261で示された通信シーケンスと同様のため、詳細な説明は省略する。また、図21は、チャネルf1(即ち、SCCであるCC1)に対してFTNが適用される場合の一例を示している。
具体的には、図21に示す例では、基地局100は、参照符号S451に示すように、チャネルf1を利用して、セル10内に位置する各端末装置200に対して、SIBメッセージをブロードキャストする。このとき、基地局100は、SIBメッセージ中にFTNパラメータを含めることで、セル10内に位置する各端末装置200に対して当該FTNパラメータを通知する。
また、基地局100は、送信対象となるデータに対して、セルごとに設定されたFTNパラメータに基づきFTNマッピング処理を含む各種変調処理を施すことで送信信号を生成する。そして、基地局100は、参照符号S457に示すように、チャネルf1を利用して当該送信信号を、端末装置200に指定したPDSCHリソース上に送信することとなる。
以上、図20及び図21を参照して、基地局100が端末装置200に対して、FTNを適用する周波数チャネルを利用してFTNパラメータを通知する場合の一例について説明した。なお、上記では、ダウンリンクに対してFTNを適用する場合の一例に着目して説明したが、アップリンクに対してFTNを適用する場合においても同様であることは言うまでもない。
(c−2)所定のチャネルによるFTNパラメータの通知
次に、図22及び図23を参照して、基地局100が端末装置200に対して、所定の周波数チャネルを利用してFTNパラメータを通知する場合の一例について説明する。図22及び図23は、キャリアアグリゲーションを採用する通信システムにおいて、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例について説明するための説明図である。なお、図22及び図23は、基地局100が端末装置200に対して、所定の周波数チャネルを利用してFTNパラメータを通知する場合における、基地局100と端末装置200との間の通信シーケンスの一例について示している。また、本説明では、特に、基地局100が、FTNが適用される周波数チャネルとは異なる他の周波数チャネルを利用して、端末装置200にFTNパラメータを通知する場合に着目して説明する。
例えば、図22は、図15を参照して説明した例と同様に、ダウンリンクに対してFTNを採用し、かつ、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。なお、図22において、参照符号S501〜S513で示された通信シーケンスは、図15において参照符号S201〜S213で示された通信シーケンスと同様のため、詳細な説明は省略する。
図22は、チャネルf1(即ち、SCCであるCC1)に対してFTNが適用され、基地局100が、チャネルf0(即ち、PCCであるCC0)を利用して端末装置200にFTNパラメータを通知する場合の一例を示している。図22に示す例では、基地局100は、端末装置200との間の通信を制御するための情報を送信または受信する場合にチャネルf0(即ち、PCC)を利用し、実データを送信する場合にFTNが適用されたチャネルf1(即ち、SCC)を利用している。
より具体的には、図22に示す例では、基地局100は、参照符号S501に示すように、チャネルf0(即ち、PCC)を利用してRRC Connection Reconfigurationメッセージを端末装置200に送信する。この際に、基地局100は、端末装置200に対してセルごとに設定されたFTNパラメータ(例えば、圧縮係数τi,p)を通知する。
また、基地局100は、送信対象となるデータに対して、セルごとに設定されたFTNパラメータに基づきFTNマッピング処理を含む各種変調処理を施すことで送信信号を生成する。そして、基地局100は、参照符号S509に示すように、チャネルf1(即ち、SCC)を利用して当該送信信号を、端末装置200に指定したPDSCHリソース上に送信することとなる。
また、他の一例として、図23は、図16を参照して説明した例と同様に、ダウンリンクに対してFTNを採用し、かつ、基地局100が、System Informationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。なお、図23において、参照符号S551〜S561で示された通信シーケンスは、図16において参照符号S251〜S261で示された通信シーケンスと同様のため、詳細な説明は省略する。
図23は、チャネルf1(即ち、SCCであるCC1)に対してFTNが適用され、基地局100が、チャネルf0(即ち、PCCであるCC0)を利用して端末装置200にFTNパラメータを通知する場合の一例を示している。図23に示す例では、基地局100は、端末装置200との間の通信を制御するための情報を送信または受信する場合にチャネルf0(即ち、PCC)を利用し、実データを送信する場合にFTNが適用されたチャネルf1(即ち、SCC)を利用している。
より具体的には、図23に示す例では、基地局100は、参照符号S551に示すように、チャネルf0(即ち、PCC)を利用して、セル10内に位置する各端末装置200に対して、SIBメッセージをブロードキャストする。このとき、基地局100は、SIBメッセージ中にFTNパラメータを含めることで、セル10内に位置する各端末装置200に対して当該FTNパラメータを通知する。
また、基地局100は、送信対象となるデータに対して、セルごとに設定されたFTNパラメータに基づきFTNマッピング処理を含む各種変調処理を施すことで送信信号を生成する。そして、基地局100は、参照符号S557に示すように、チャネルf1(即ち、SCC)を利用して当該送信信号を、端末装置200に指定したPDSCHリソース上に送信することとなる。
以上のように、FTNパラメータの通知が、所定の周波数チャネルに集中して行われることで、他の周波数チャネルを利用した通信シーケンスにおけるオーバーヘッドを低減することが可能となる。なお、FTNパラメータを通知に利用する周波数チャネルの選択しとして、PCC及びSCCが挙げられるが、セル内のすべての端末装置200が受信可能であるという観点から、PCCを利用してFTNパラメータの通知に係る手続きが実施される構成とすることがより望ましい。また、上述したように、PCCに対応する圧縮係数として、他のCC(SCC)よりも大きい値、または、1(τ=1)を適用することで、FTNパラメータの通知に係る手続き等をより安定させることが可能となる。
以上、図22及び図23を参照して、基地局100が端末装置200に対して、FTNを適用する周波数チャネルを利用してFTNパラメータを通知する場合の一例について説明した。なお、上記では、ダウンリンクに対してFTNを適用する場合の一例に着目して説明したが、アップリンクに対してFTNを適用する場合においても同様であることは言うまでもない。
(c−3)Physical Control Channelに対してFTNを適用しない場合の一例
次に、図24及び図25を参照して、Physical Control Channelに対してFTNを適用せず、FTNパラメータの通知時及びデータの送信時にFTNを適用する場合の一例について説明する。図24及び図25は、キャリアアグリゲーションを採用する通信システムにおいて、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例について説明するための説明図である。なお、図24及び図25は、Physical Control Channelに対してFTNを適用せず、FTNパラメータの通知時及びデータの送信時にFTNを適用する場合における、基地局100と端末装置200との間の通信シーケンスの一例について示している。
例えば、図24は、図15を参照して説明した例と同様に、ダウンリンクに対してFTNを採用し、かつ、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。なお、図24において、参照符号S601〜S613で示された通信シーケンスは、図15において参照符号S201〜S213で示された通信シーケンスと同様のため、詳細な説明は省略する。
図24は、チャネルf1(即ち、SCCであるCC1)に対してFTNが適用される場合の一例を示している。図24に示す例では、基地局100は、PDCCHやPUCCH等のRRC Connection Reconfigurationの送受信にチャネルf0(即ち、PCC)を利用し、その他の制御チャネル(例えば、RRC ConnectionやPhysical Shared Data Channel等)の送受信にチャネルf1(即ち、SCC)を利用している。
より具体的には、図24に示す例では、基地局100は、参照符号S601に示すように、チャネルf1(即ち、SCC)を利用してRRC Connection Reconfigurationメッセージを端末装置200に送信する。この際に、基地局100は、端末装置200に対してセルごとに設定されたFTNパラメータ(例えば、圧縮係数τi,p)を通知する(S601)。また、RRC Connection Reconfigurationメッセージに対する応答としての、端末装置200からのRRC Connection Reconfiguration Completeメッセージの送信においても、チャネルf1(即ち、SCC)が利用される(S603)。
また、基地局100は、PDCCHにより端末装置200に対してPDSCHの割り当て情報を送信する際には、チャネルf0(即ち、PCC)を利用する(S605)。
次いで、基地局100は、送信対象となるデータに対して、FTNマッピング処理を含む各種変調処理を施すことで送信信号を生成し、チャネルf1(即ち、SCC)を利用して、当該送信信号を指定したPDSCHリソース上に送信する(S609)。
また、端末装置200は、基地局100から送信されたデータの復号結果に応じて、当該基地局100に対してACKまたはNACKを返信する。このとき端末装置200は、基地局100に対するACKまたはNACKの返信にチャネルf0(即ち、PCC)を利用する(S613)。
また、他の一例として、図25は、図16を参照して説明した例と同様に、ダウンリンクに対してFTNを採用し、かつ、基地局100が、System Informationにより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。なお、図25において、参照符号S651〜S661で示された通信シーケンスは、図16において参照符号S251〜S261で示された通信シーケンスと同様のため、詳細な説明は省略する。
図25は、チャネルf1(即ち、SCCであるCC1)に対してFTNが適用される場合の一例を示している。図25に示す例では、基地局100は、PDCCHやPUCCH等のRRC Connection Reconfigurationの送受信にチャネルf0(即ち、PCC)を利用し、その他の制御チャネル(例えば、RRC ConnectionやPhysical Shared Data Channel等)の送受信にチャネルf1(即ち、SCC)を利用している。
より具体的には、図25に示す例では、基地局100は、参照符号S651に示すように、チャネルf1(即ち、SCC)を利用して、セル10内に位置する各端末装置200に対して、SIBメッセージをブロードキャストする。このとき、基地局100は、SIBメッセージ中にFTNパラメータを含めることで、セル10内に位置する各端末装置200に対して当該FTNパラメータを通知する。
また、基地局100は、PDCCHにより端末装置200に対してPDSCHの割り当て情報を送信する際には、チャネルf0(即ち、PCC)を利用する(S653)。
次いで、基地局100は、送信対象となるデータに対して、FTNマッピング処理を含む各種変調処理を施すことで送信信号を生成し、チャネルf1(即ち、SCC)を利用して、当該送信信号を指定したPDSCHリソース上に送信する(S657)。
また、端末装置200は、基地局100から送信されたデータの復号結果に応じて、当該基地局100に対してACKまたはNACKを返信する。このとき端末装置200は、基地局100に対するACKまたはNACKの返信にチャネルf0(即ち、PCC)を利用する(S661)。
以上、図24及び図25を参照して、Physical Control Channelに対してFTNを適用せず、FTNパラメータの通知時及びデータの送信時にFTNを適用する場合の一例について説明した。なお、上記では、ダウンリンクに対してFTNを適用する場合の一例に着目して説明したが、アップリンクに対してFTNを適用する場合においても同様であることは言うまでもない。
Cell-Specificに圧縮係数を制御する場合、時間方向に対する係数の更新単位として、Semi-Staticの場合とDynamicの場合が考えられる。Semi-Staticの場合の更新単位として、複数サブフレーム(Subframe)単位、一無線フレーム(Radio Frame)単位、あるいは複数無線フレーム単位に更新することが考えられる。複数サブフレーム単位、一無線フレーム単位、あるいは複数無線フレーム単位に更新することで、送信装置および受信装置は一回の設定である程度の時間を継続して通信を続けることができる。また複数サブフレーム単位、一無線フレーム単位、あるいは複数無線フレーム単位に更新することで、オーバーヘッドの増加を抑える効果も期待できる。
一方、Dynamicの場合の更新単位として、1サブフレーム単位あるいは複数サブフレーム単位で更新することが考えられる。また、Dynamicの場合の更新単位として、不定期にサブフレームごとに更新することも考えられる。1サブフレーム単位あるいは複数サブフレーム単位で更新することによって、または、不定期にサブフレームごとに更新することによって、送信装置は、電波伝搬環境の変化に応じて柔軟にパラメータを対応させることができる。
(6)ユーザごと(User-Specific)に圧縮係数を変化させるシーケンスの一例
上述のようにCell-Specificに圧縮係数を制御し、変化させる他に、ユーザごと(User-Specific)に圧縮係数を制御し、変化させてもよい。ユーザごとに圧縮係数を制御し、変化させることで、ユーザごとに電波伝搬環境が異なるような場合や、電波伝搬環境が時間的に頻繁に変動するような場合にも、その変動に適応したり追従したりしながら送信パラメータを制御し、変化させることが可能となる。
User-Specificに圧縮係数を変化させる場合、送信装置から受信装置へパラメータを通知するためのチャネル、または基地局100から端末装置200へパラメータを通知するためのチャネルとして、物理制御チャネル(PDCCHまたはPUCCH)が使用されても良い。物理制御チャネルは、関連する物理共有チャネル(PDSCHまたはPUSCH)ごとにセットで送信されるため、ユーザごとの制御に適していると言える。さらに、物理制御チャネルの中でも、制御情報(DCIまたはUCI)を用いて通知することが適していると言える。制御情報には、リソース割当て、変調符号化情報、プリコーディング情報、再送制御情報などのUser-Specificなスケジューリング関連の情報を通知するために用いられているため、User-SpecificなFTN関連のパラメータも共に含めるのに適している。
特にセルラーシステムを考慮した場合には、上りリンク、下りリンクともに、基地局100から端末装置200へパラメータを通知することが望ましい。これは、セルラーシステムの場合、基地局100が配下の端末装置200へのスケジューリングなど制御を行うためであり、FTNに関する制御も基地局100が行うことで、制御のフローを一元的にまとめることができるからである。
図26は、図16同様に、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例について説明するための説明図であり、基地局100が、System Informationより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。
図26に示した例において、基地局100は、ステップS253でのPDCCHの送信時に、基地局100が使用するFTN関連のパラメータを端末装置200に通知し、ステップS257において、通知したパラメータを適用してPhysical Shared Data Channelを端末装置200に送信する。
図27は、アップリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例について説明するための説明図であり、基地局100が、System Informationより、FTNパラメータを端末装置200に通知する場合の一例を示している。
図27に示した例において、基地局100は、ステップS253でのPDCCHの送信時に、基地局100が使用するFTN関連のパラメータを端末装置200に通知し、端末装置200は、ステップS2717において、通知したパラメータを適用してPhysical Shared Data Channelを基地局100に送信する。基地局100は、受信信号に対して、セルごとに設定されたFTNパラメータに基づくFTNデマッピング処理を含む各種復調及び復号処理を施すことで、端末装置200から送信されたデータを取り出す(S273)。基地局100は、CRC等の誤り検出に基づき誤りなくデータを復号できた場合には、端末装置200に対してACKを返信してもよい。また、基地局100は、CRC等の誤り検出に基づき誤りが検出された場合には、端末装置200に対してNACKを返信してもよい(S275)。
制御情報の一部として圧縮係数関連のパラメータを送信装置から受信装置へ通知する場合、オーバーヘッド削減の観点から、その値は離散的に量子化されることが望ましい。そのため、通知には、パラメータの値そのものを含めるのではなく、量子化された値をインデックスとして通知し、インデックスと値を1対1で事前に対応付けておくことが望ましい。表2に、圧縮係数のインデックスと圧縮係数の値の対応付けの一例を示す。
ここで、表2には示していないが、対応関係に拡張性を持たせるために、Reserve用の領域を確保しておいてもよい。Reserve用の領域を確保する際には、インデックスの値が大きいところをReserve用領域としてもよい。また、圧縮係数は非負の実数であり、インデックスが大きくなるほど、係数の値は小さくなることが望ましい。これは、値が小さいほど圧縮された信号を受信するための信号処理負荷は大きくなることに起因しており、将来の拡張でReserve領域を実際の値として使うようになった場合に、信号処理能力の高い装置のみ対応できるようになるためである。また、表2でインデックスが0の場合に、圧縮係数を1(圧縮なし)としてもよい。
(7)キャリアアグリゲーションを含む通信システムでFTNを導入する場合における、時間方向のリソース単位の境界の制御(同期)
キャリアアグリゲーションを利用する通信システムでFTNを導入する場合、圧縮係数の値によっては、複数のコンポーネントキャリア(周波数チャネル)の間でサブフレームの長さが異なっている場合が考えられる。複数のコンポーネントキャリアの間でサブフレームの長さが異なっている場合に、コンポーネントキャリア間で時間方向のリソース単位の境界を合わせておくことが考えられる。境界を合わせるか否かによって、クロスキャリアスケジューリングなどコンポーネントキャリア間を跨ぐような制御および情報通知に影響が出るためである。
時間方向のリソース単位を合わせる方法としては、サブフレーム(Subframe)の境界を合わせる方法と、無線フレーム(Radio Frame)の境界を合わせる方法とが考えられる。サブフレームの境界を合わせる場合には、自ずと無線フレームの境界も合う場合も考えられる。
サブフレームの境界を合わせる場合の例を2つ示す。図28は、キャリアアグリゲーション時におけるサブフレーム単位での境界の同期の例を示す説明図である。図28に示したのは、サブフレーム単位の境界をコンポーネントキャリア間で揃えて、かつ無線フレームの境界も揃える場合の例である。
図28に示した例では、2つのコンポーネントキャリアを想定しており、それぞれのサブフレーム長をTSF0、TSF1、無線フレーム長をTRF0、TRF1としている。サブフレームの境界をコンポーネントキャリア間で揃えることは、サブフレーム長をTSF0==TSF1として運用することと同義となる。また、図28では、無線フレーム長もTRF0==TRF1となっている。つまり、無線フレーム当たりのサブフレーム数Nについてもコンポーネントキャリア間で同数ということが言える。圧縮係数τは、コンポーネントキャリア間で異ならせても良く、同じであっても良いが、このケースの場合、コンポーネントキャリア間で圧縮係数が異なる場合には、すなわちTTI(Transmission Time Interval、送信時間)が異なるということになる。
図29は、キャリアアグリゲーション時におけるサブフレーム単位での境界の同期の例を示す説明図である。図29に示したのは、サブフレーム単位の境界はコンポーネントキャリア間で揃えるが、無線フレームの境界はコンポーネントキャリア間で異なる場合の一例である。
図29に示した例でも、2つのコンポーネントキャリアを想定しており、それぞれのサブフレーム長をTSF0、TSF1、無線フレーム長をTRF0、TRF1としている。図29に示した例においても、サブフレームの境界を合わせるということは、TSF0==TSF1ということである。一方、図29に示した例では、無線フレーム長についてはTRF0≠TRF1となっており、つまり無線フレーム長の境界は合わないこととなる。これはつまり、無線フレーム当たりのサブフレーム数がM≠Nという関係にあるということである。サブフレーム数を変える理由としては、無線フレーム内のサブフレームにおける同期信号(PSS(Primary Synchronization Signal)、SSS(Secondary Synchronization Signal)、など)や物理報知チャネル(PBCH(Physical Broadcast Channel))の比率を下げる、つまり、物理共有データチャネル(PDSCH、PUSCHなど)の比率を上げてフレーム利用効率を高めることが考えられる。この結果として、コンポーネントキャリア間で無線フレームの境界が合わなくなることが起こりえる。
図28、図29で示した例のようにコンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が揃っている場合、送信装置は、上述したようなクロスキャリアスケジューリングによる制御を実施することが可能となる。つまり送信装置は、いずれかのコンポーネントキャリアの物理制御チャネルを通じて、他のコンポーネントキャリアのスケジューリング情報(DCIなど)を通知することが可能となる。
続いて、コンポーネントキャリア間で無線フレームの境界を揃える場合の例を示す。図30は、異なるコンポーネントキャリア間で無線フレームの境界を揃えて同期させた場合の一例である。
図30に示した例では、コンポーネントキャリア0、コンポーネントキャリア1の無線フレーム長はTRF0==TRF1の関係を保つこととなる。一方、図30に示した例では、コンポーネントキャリア0、コンポーネントキャリア1のサブフレーム長については、TSF0≠TSF1となることが考えられる。これは、FTNの圧縮係数によるシンボル配置の差によって生じる条件と言える。
図30に示したような状況では、サブフレームの境界はコンポーネントキャリア間で揃わないと言えるため、この条件の場合にはクロスキャリアスケジューリングの実施を回避することが望ましいと言える。つまり、この場合には、各コンポーネントキャリアが自身の無線リソースに対するスケジューリング情報(DCIなど)を通知することで、基地局100と端末装置200の間の手続きを確立することが必要となる。
上記のように、FTNおよびキャリアアグリゲーションにおけるサブフレームおよび無線フレームの境界の同期を鑑みた場合の、クロスキャリアスケジューリングの実施有無の判断の例を説明する。図31、32は、クロスキャリアスケジューリングの実施判断フローの例を示す流れ図である。
まず図31を用いてクロスキャリアスケジューリングの実施判断フローの一例を説明する。送信装置は、まず複数のコンポーネントキャリアを利用するかどうか判断する(S701)。複数のコンポーネントキャリアを利用する場合(S701、Yes)、送信装置は、続いてコンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期しているかどうか判断する(S703)。コンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期している場合(S703、Yes)、送信装置はクロスキャリアスケジューリングを実施してもよいと判断する(S705)。一方、複数のコンポーネントキャリアを利用しない場合(S701、No)、またはコンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期していない場合(S703、No)、送信装置はクロスキャリアスケジューリングを実施しないと判断する(S707)。
すなわち、送信装置は複数のコンポーネントキャリアを利用する場合において、そのコンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期していれば、クロスキャリアスケジューリングを実施してもよいと判断することができる。
続いて図32を用いてクロスキャリアスケジューリングの実施判断フローの一例を説明する。図32に示したのは、FTNのパラメータの値まで含めて判断する場合の例である。
送信装置は、まず複数のコンポーネントキャリアを利用するかどうか判断する(S711)。複数のコンポーネントキャリアを利用する場合(S711、Yes)、送信装置は、続いてFTNを適用するかどうか判断する(S713)。FTNを適用する場合(S713、Yes)、送信装置は、続いてコンポーネントキャリア間で圧縮係数の値が異なるかどうか判断する(S715)。コンポーネントキャリア間で圧縮係数の値が異なる場合(S715、Yes)、送信装置は、続いてコンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期しているかどうか判断する(S717)。コンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期している場合(S717、Yes)や、FTNを適用しない場合(S713、No)、またはコンポーネントキャリア間で圧縮係数の値が同じ場合(S715、No)、送信装置はクロスキャリアスケジューリングを実施してもよいと判断する(S719)。
一方、複数のコンポーネントキャリアを利用しない場合(S711、No)、またはコンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期していない場合(S717、No)、送信装置はクロスキャリアスケジューリングを実施しないと判断する(S721)。
なお、図31、32において、クロスキャリアスケジューリングを実施してもよいと判断した場合でも、送信装置が実際にクロスキャリアスケジューリングを実施するか否かは別途判断を設けてもよい。つまり、ここで送信装置がクロスキャリアスケジューリングを実施してもよいと判断したとしても、送信装置は、クロスキャリアスケジューリングの実施は必須ではない。
(8)FTNを適用する通信システムへのデュアルコネクティビティ(Dual-Connectivity)の導入
上記のようにキャリアアグリゲーションを適用した場合に、特にサブフレームの境界の同期の有無で、スケジューリングの通知方法に制限を設けた方がよいことを説明した。一方で、もし異なるコンポーネントキャリアの間でサブフレームの境界の同期が取れていない場合においても、別の方法で複数のコンポーネントキャリアを利用すること自体を可能にしてもよい。
この方法の例として、デュアルコネクティビティ(Dual-Connectivity、あるいはマルチコネクティビティ(Multi-Connectivity))の実施が考えられる。これは、同期の取れていない複数のコンポーネントキャリアを、それぞれ独立のコンポーネントキャリア(周波数チャネル)のまま、同時に取り扱う手段である。デュアルコネクティビティを適用する場合には、例えば図30のようにサブフレームの境界の同期が取れていないケースにおいても、デュアルコネクティビティでそれぞれのコンポーネントキャリアを利用することが可能となり、トータルとしてより広い帯域幅を通信に利用することが可能となる。
図33は、複数のコンポーネントキャリアを利用する場合の、デュアルコネクティビティの実施判断の一例を示す流れ図である。送信装置は、まず複数のコンポーネントキャリアを利用するかどうか判断する(S731)。複数のコンポーネントキャリアを利用する場合(S731、Yes)、送信装置は、続いてコンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期しているかどうか判断する(S733)。コンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期している場合(S733、Yes)、送信装置はキャリアアグリゲーションを実施してもよいと判断し(S735)、さらにクロスキャリアスケジューリングを実施してもよいと判断する(S737)。一方、複数のコンポーネントキャリアを利用しない場合(S731、No)、またはコンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期していない場合(S733、No)、送信装置はキャリアアグリゲーションを実施しないと判断し(S739)、さらにクロスキャリアスケジューリングを実施しないと判断する(S741)。
続いて図34を用いて複数のコンポーネントキャリアを利用する場合の、デュアルコネクティビティの実施判断の一例を示す。図34に示したのは、FTNのパラメータの値まで含めて判断する場合の、デュアルコネクティビティの実施判断の一例である。
送信装置は、まず複数のコンポーネントキャリアを利用するかどうか判断する(S751)。複数のコンポーネントキャリアを利用する場合(S751、Yes)、送信装置は、続いてFTNを適用するかどうか判断する(S753)。FTNを適用する場合(S753、Yes)、送信装置は、続いてコンポーネントキャリア間で圧縮係数の値が異なるかどうか判断する(S755)。コンポーネントキャリア間で圧縮係数の値が異なる場合(S755、Yes)、送信装置は、続いてコンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期しているかどうか判断する(S757)。コンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期している場合(S757、Yes)や、FTNを適用しない場合(S753、No)、またはコンポーネントキャリア間で圧縮係数の値が同じ場合(S755、No)、送信装置はキャリアアグリゲーションを実施してもよいと判断し(S761)、さらにクロスキャリアスケジューリングを実施してもよいと判断する(S763)。
一方、複数のコンポーネントキャリアを利用しない場合(S751、No)、またはコンポーネントキャリア間でサブフレームの境界が同期していない場合(S757、No)、送信装置はキャリアアグリゲーションを実施しないと判断し(S765)、さらにクロスキャリアスケジューリングを実施しないと判断する(S767)。
なお、図33、34において、クロスキャリアスケジューリングを実施してもよいと判断した場合でも、送信装置が実際にクロスキャリアスケジューリングを実施するか否かは別途判断を設けてもよい。つまり、ここで送信装置がクロスキャリアスケジューリングを実施してもよいと判断したとしても、送信装置は、クロスキャリアスケジューリングの実施は必須ではない。
また、図33、図34において、キャリアアグリゲーションを実施してもよいと判断した場合でも、送信装置が実際にキャリアアグリゲーションを実施するか否かは別途判断を設けてもよい。例えば、受信装置がキャリアアグリゲーションに対応していなければ、送信装置は、キャリアアグリゲーションを実施してもよいと判断した場合でも、キャリアアグリゲーションを実施しないようにしてもよい。また、シンボル間隔の圧縮係数が、異なるセル間または異なるコンポーネントキャリア間で異なってもよく、同じであってもよい。
(9)周波数チャネル以外の他の観点に基づくFTNの制御例
続いて、周波数チャネル以外の他の観点に基づくFTNの制御の一例について説明する。前述したように、FTNを適用することによる作用効果の一つとして、周波数利用効率の向上が挙げられる。このような特性から、通信システム内で利用される無線リソースの制御チャネルに応じて、FTNの適用による有効性が変化する場合がある。
例えば、FTNを適用することで当該FTNの作用効果を得ることが可能な適用範囲の一例として、Channel(即ち、PDSCHまたはPUSCH)が挙げられる。実データの送受信を行うShared Channelに対してFTNを適用することで、例えば、周波数利用効率の向上、及びスループットの向上の効果が得られる。
また、Shared Channelに加えて、Multicast ChannelへのFTNの適用が挙げられる。Multicast Channelは、MBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)等のように、セルラーシステム内での放送系データサービスを実施する際に利用されるチャネル及びリソースである。Multicast Channelに対してFTNを適用することで、例えば、放送系データサービスの品質の向上が期待できる。なお、Shared ChannelやMulticast Channelが、「第2の制御チャネル」の一例に相当する。
一方で、主に制御系(例えば、情報の通知やフィードバック等)に利用するチャネルについては、FTNの適用を避けることが望ましい場合がある。制御系の情報は、通信を成立させるための根幹であるため、送受信の信頼性を高めることが重要であると考えられる。そのため、制御系の情報を送信または受信するためのチャネルに対しては、FTNを適用しないことでシンボル間干渉を回避し、安定した情報の送受信を実現することがより好ましい場合がある。また、制御系の情報を送信または受信するためのチャネルに対してFTNを適用する場合においても、シンボル間干渉の影響がより小さくなるようにFTNパラメータを設定する(例えば、圧縮係数τi,pとしてより1に近い値を設定する)ことが望ましい場合がある。なお、制御系のチャネルとしては、例えば、Broadcast Channel、Control Channel、Synchronization Channel(またはSynchronization Signal)等が挙げられる。なお、上述した制御系のチャネルが、「第1の制御チャネル」の一例に相当する。
また、通信システムでは、チャネル以外にも、無線伝搬路などの変動を推定するためのReference Signalを送信することがある。このようなReference Signalについても、無線伝搬路の推定精度を維持することを目的として、FTNの適用を避けるか、または、シンボル間干渉の影響がより小さくなるようにFTNパラメータを設定することがより好ましい場合がある。
以上、周波数チャネル以外の他の観点に基づくFTNの制御の一例について説明した。
<<6.変形例>>
続いて、本開示の一実施形態の変形例について説明する。
<6.1.変形例1:プレフィックスの制御の一例>
まず、変形例1として、FTNの適用の可否や、適用されるFTNパラメータの内容等のようなFTNの適用状況に応じて、CPやパイロットシンボル等のような、ガードインターバルとして機能し得るプレフィックスの制御の一例について説明する。
上記に説明した通り、FTNにおいては、FTN処理が施された信号は、当該信号自体がシンボル間干渉を内包することとなる。そのため、FTNを採用する通信システムにおいては、仮に無線伝搬路上において遅延波が存在しない(即ち、無線伝搬路におけるシンボル間干渉が発生しない)場合であっても、FTN処理に伴うシンボル間干渉への対策が必要となる場合がある。これらを別の観点から見た場合には、上述したCPは、無線伝搬路におけるシンボル間干渉への対策に相当するため、そもそもシンボル間干渉を内包するFTNについては、CPを付加しない制御としてもよい。この場合には、送信装置側は、例えば、圧縮係数τi,p<1の場合には、CPの長さNCP,g=0となるように制御すればよい。このような構成とすることで、周波数利用効率をさらに向上させることが可能となる。
また、他の一例として、圧縮係数とCPの長さとを連動させてもよい。具体的な一例として、送信装置は、圧縮係数τi,pが小さいほど、CPの長さNCP,gがより短くなるように制御してもよい。なお、このとき、圧縮係数τi,pとCPの長さNCP,gとは、必ずしも比例関係にある必要はない。なお、FTNにおいては、圧縮係数τi,pが小さくなるほどシンボル間干渉の影響がより大きくなる。そのため、圧縮係数τi,pが小さくなるほど、受信装置側では、当該圧縮係数τi,pに伴うシンボル間干渉の影響の大きさに応じて、相対的により強力なシンボル間干渉対策を講じることが求められることとなり、無線伝搬路におけるシンボル間干渉に対してもあわせて対応することが可能となる。
なお、圧縮係数τi,pとCPの長さNCP,gとの間の関係は、制御テーブルとして管理されていてもよい。例えば、以下に示す表3は、圧縮係数の範囲とCPの長さとがあらかじめ対応付けられて制御テーブルの一例を示している。以下に表3として示す例では、圧縮係数の範囲とCPの長さとの間の対応関係を、圧縮係数カテゴリインデクスに基づき管理している。なお、表3に示した圧縮係数カテゴリインデクスごとのCPの長さ(例えば、NCP〜NCP3)の間の大小関係は、NCP0≦NCP1≦NCP2≦NCP3≦…となる。
また、他の一例として、特定の圧縮係数とCPの長さとが対応付けられて制御テーブルとして管理されていてもよい。例えば、以下に示す表4は、圧縮係数の値とCPの長さとがあらかじめ対応付けられて制御テーブルの一例を示している。なお、以下に表4として示す例では、圧縮係数の値とCPの長さとの間の対応関係を、圧縮係数カテゴリインデクスに基づき管理することとなる。
なお、上記の説明では、主に、CPの長さの制御に着目して説明したが、パイロットシンボルについても同様である。
以上、変形例1として、FTNの適用の可否や、適用されるFTNパラメータの内容等のようなFTNの適用状況に応じて、CPやパイロットシンボル等のプレフィックスの制御の一例について説明した。
<6.2.変形例2:装置の移動速度に応じた制御の一例>
次に、変形例2として、送信装置または受信装置の移動速度に応じて圧縮係数を制御する場合の一例について説明する。
装置(送信装置または受信装置)の移動速度が速い場合には、電波路の時間に対する変動も大きくなるため、受信処理が複雑になることが予想される。そのため、送信装置または受信装置の移動速度に応じて、送信装置側が圧縮係数の値を制御することにより、対応する受信装置側の処理の負荷を適応的に制御してもよい。より具体的には、送信装置は、送信装置または受信装置の移動速度が速くなるほど、圧縮係数の値がより大きくなるように(即ち、1に近い値となるように)制御するとよい。このような制御により、送信装置または受信装置の移動速度が速くなるほど、FTN自体が内包するシンボル間干渉の影響がより小さくなるように制御することが可能となる。
なお、装置(送信装置または受信装置)の移動速度と圧縮係数の値との間の関係は、制御テーブルとして管理されていてもよい。例えば、以下に示す表5は、装置の移動速度とCPの長さとがあらかじめ対応付けられて制御テーブルの一例を示している。以下に表5として示す例では、Mobilityカテゴリという分類を定義し、圧縮係数の範囲とCPの長さとの間の対応関係を、当該Mobilityカテゴリに関連付けている。なお、表5として示したMobilityカテゴリインデクスごとの圧縮係数(例えば、τmobility0〜τmobility3)の間の大小関係は、τmobility0≦τmobility1≦τmobility2≦τmobility3≦…≦1となる。
以上、変形例2として、送信装置または受信装置の移動速度に応じて圧縮係数を制御する場合の一例について説明した。
<6.3.変形例3:マルチキャリア変調への拡張>
図7〜10では、シングルキャリア変調への本実施形態の適用について説明した。一方、本実施形態は、OFDM、OFDMA(Orthogonal frequency-division multiple access)などに代表されるマルチキャリア変調方式にも適用が可能である。
図35、36は、マルチキャリア変調をベースとした本実施形態の送信装置の構成の一例を示す説明図である。なお、図35の前段には、図7、8で示した送信装置の構成と同様の構成が設けられている。マルチキャリア変調をベースとした場合、オーバーサンプル、パルスシェイプフィルタ、時間方向のシンボル配置の圧縮は、サブキャリアごとに行うことが望ましい。また、圧縮係数の値は、所定の周波数方向の単位(例えば、LTEのリソースブロックのような、サブキャリアの塊)の中では同一に揃っていることが望ましい。さらに、同時に同一のユーザ端末装置に割当てられたリソースブロックの間でも圧縮係数の値は同一に揃っていることが望ましい。
<6.4.変形例4:時間方向の圧縮、および周波数方向の圧縮の導入>
(1)周波数方向の圧縮の概要
これまでは、シングルキャリア変調をベースに、時間方向のシンボル配置を圧縮する技術について説明した。一方、マルチキャリア変調をベースとした場合、この時間方向のシンボル配置の圧縮に加える形で、周波数方向のサブキャリア配置の圧縮も導入することが可能となる。
図37は、周波数方向の圧縮がない場合のサブキャリア配置(従来のサブキャリア配置)を示す説明図である。また図38は、周波数方向の圧縮がある場合のサブキャリア配置を示す説明図である。図37に示した従来の配置では、異なるサブキャリア間がちょうど直交する(あるサブキャリアの振幅がピークの周波数において、隣接するサブキャリアの振幅が0である)ように配置されることが特徴であった。周波数方向の圧縮がない場合、サブキャリア間の間隔(Subcarrier spacing)は、シンボル長(Symbol period)の逆数と等しい関係性を有することとなる。ここで、『シンボル長』と『時間方向の圧縮後のシンボル配置間隔』は異なるものである。
一方、図38に示したように、周波数方向で圧縮する場合、サブキャリア間隔≠シンボル長の逆数という関係性を有する結果となる。つまり、あるサブキャリアの振幅がピークの周波数において、隣接するサブキャリアの振幅が0ではない状況となる。特に、周波数利用効率を高めることを考える場合は、サブキャリア間隔<シンボル長の逆数、という関係性にすることが望ましい。図38に示した例では、このサブキャリア間隔<シンボル長の逆数という関係性に基づいている。周波数方向で圧縮する場合は、サブキャリアの間の直交性は崩れて、結果として互いに干渉することとなる。
通信システムとして周波数方向の圧縮を導入するにあたり、時間方向の圧縮と同様に、その圧縮の度合いをパラメータとして表すことが望ましい。図38に示した例では、周波数方向の圧縮係数としてパラメータφを導入しており、このパラメータφを圧縮後のサブキャリア間隔の表現に利用している。サブキャリア間隔をΔf、シンボル長をTとしたとき、周波数方向の圧縮を導入すると、Δf=φ(1/T)<=1/T、という関係になる。
先の説明では、時間方向の圧縮の導入について、コンポーネントキャリアに対して固定的に導入、Cell-Specificに制御、User-Specificに制御、Semi-Staticに制御、Dynamicに制御、RRC Signalingで通知、System Informationで通知、物理制御チャネルで通知、コンポーネントキャリアの周波数に応じた制御、PCell/SCellとの関係性による制御、キャリアアグリゲーション、デュアルコネクティビティとの組み合わせ、などを実施例として示してきた。
ここで、新たに導入した周波数方向の圧縮係数についても、時間方向の圧縮と同様に、コンポーネントキャリアに対して固定的に導入、Cell-Specificに制御、User-Specificに制御、Semi-Staticに制御、Dynamicに制御、RRC Signalingで通知、System Informationで通知、物理制御チャネルで通知、コンポーネントキャリアの周波数に応じた制御、PCell/SCellとの関係性による制御、キャリアアグリゲーション、デュアルコネクティビティとの組み合わせ、などと合わせることが望ましい。
さらに、時間方向の圧縮と周波数方向の圧縮は、それぞれ独立に制御、設定、または通知されてもよい。つまり、パラメータτおよびφの値として、いずれの関係性で通信システムに導入されてもよいということが言える。これによって、電波伝搬環境や達成したい周波数利用効率、データレート、スループットなどに応じて、今まで以上に柔軟に時間および周波数リソースの配置や密度を制御することが可能となる。下記の表6は、時間方向の圧縮係数と周波数方向の圧縮係数が取り得る値の組み合わせの例を示している。
すなわち、送信装置は、シンボル間隔を詰めて送信されるように制御する第1モードと、シンボル間隔を詰めずに送信されるように制御する第2モードと、サブキャリア間隔を詰めて送信されるように制御する第3モードと、サブキャリア間隔を詰めずに送信されるように制御する第4モードと、を有する。第1モードと第2モードとは、いずれか一方が選択され、同様に第3モードと第4モードとは、いずれか一方が選択される。
そして、周波数方向の圧縮を行う場合、周波数方向の圧縮係数φに関する情報を、時間方向の圧縮係数τの場合と同様に、送信装置と受信装置との間で共有させておくことが望ましい。
例えば図15、図20、図22、図24には、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにより、FTNパラメータとして時間方向の圧縮係数τを端末装置200に通知する場合の例を示したが、ここで、FTNパラメータとして時間方向の圧縮係数τに替えて、または時間方向の圧縮係数τとともに周波数方向の圧縮係数φを基地局100が端末装置200に通知してもよい。
また、例えば図16、図21、図23、図25には、ダウンリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、基地局100が、SIBにより、FTNパラメータとして時間方向の圧縮係数τを端末装置200に通知する場合の例を示したが、ここで、FTNパラメータとして時間方向の圧縮係数τに替えて、または時間方向の圧縮係数τとともに周波数方向の圧縮係数φを基地局100が端末装置200に通知してもよい。
また例えば図17には、アップリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、基地局100が、RRC Connection Reconfigurationにより、FTNパラメータとして時間方向の圧縮係数τを端末装置200に通知する場合の例を示したが、ここで、FTNパラメータとして時間方向の圧縮係数τに替えて、または時間方向の圧縮係数τとともに周波数方向の圧縮係数φを基地局100が端末装置200に通知してもよい。
また、例えば図18には、アップリンクに対してFTNを採用した場合における通信シーケンスの一例として、基地局100が、SIBにより、FTNパラメータとして時間方向の圧縮係数τを端末装置200に通知する場合の例を示したが、ここで、FTNパラメータとして時間方向の圧縮係数τに替えて、または時間方向の圧縮係数τとともに周波数方向の圧縮係数φを基地局100が端末装置200に通知してもよい。
(2)時間方向あるいは周波数方向の圧縮を実施した場合のリソースの定義
本実施形態において、時間方向のシンボル間隔の圧縮、または周波数方向のサブキャリアの圧縮を実施した場合、無線リソースのフォーマットの定義について圧縮の有無に応じた定義を与えることが望ましい。これによって、圧縮によりリソースの粒度が変わったときでも送信装置・受信装置の間でリソースのルールを共有することが可能となる。
(A)時間方向の圧縮におけるリソースの定義
時間方向のシンボル間隔の圧縮については、ある通信システム内やセル内においてシンボル間隔が変わることときに、サブフレームの長さ、サブフレームあたりのシンボル数、TTIの長さ、TTIあたりのシンボル数、などを考える事が望ましい。これらを考慮するにあたり、次の2つのケースが実施例として挙げられる。
(A−1)サブフレームの長さ、またはTTIの長さを、時間方向の圧縮によらず一定とする場合
図39は、サブフレームの長さ、またはTTIの長さを、時間方向の圧縮によらず一定とする場合の一例を示す説明図である。図39では、時間方向の圧縮がない場合(τ==1.0)と、時間方向の圧縮がある場合(τ’<1.0)を示している。図39では、時間方向の圧縮がある場合と無い場合とでSymbol Blockの長さが違うように描かれているが、これらはシンボル配置の間隔が異なることを意味しており、シンボル長の長さが異なるという意味ではない。図39に示した例の場合では、サブフレーム長とTTIは等しいものとしている。図39に示した例では、時間方向の圧縮の有無(または異なる圧縮係数)によってサブフレームあたりのシンボル数(またはTTIあたりのシンボル数)が異なることになる。時間方向の圧縮が無い場合のシンボル数Nと時間方向の圧縮がある場合のシンボル数N’の関係はN≠N’となる。特に、圧縮係数の大小関係がτ’<τであるとすると、シンボル数の関係をN’>Nとすることが望ましい。さらに、N’<=(τ/τ’)*Nの関係も満たすことが望ましい。
図40は、サブフレームの長さ、またはTTIの長さを、時間方向の圧縮によらず一定とする場合の一例を示す説明図である。図40に示した例は、サブフレーム長とTTIが異なることを許容する場合である。図40では、時間方向の圧縮が無い場合をサブフレーム長==TTIとして、圧縮がある場合にサブフレーム長>TTIとする場合である。サブフレーム長<TTIとするのは、サブフレーム間の干渉を回避する目的から、許容すべきではない。図40に示した例の場合、サブフレーム内にTTI以外に無送信区間を設けることで、最終的なサブフレーム長は圧縮係数に対して同じになる。なお図40でも、時間方向の圧縮がある場合と無い場合とでSymbol Blockの長さが違うように描かれているが、これらはシンボル配置の間隔が異なることを意味しており、シンボル長の長さが異なるという意味ではない。
送受信時間の遅延を短くするための技術として、TTI Shortening(TTI短縮、送信時間短縮)が考えられる。図40に示したのは、時間方向の圧縮によってTTI Shorteningを実現する場合の例である。
サブフレームあたりのシンボル数N’を時間方向の圧縮(圧縮係数)に応じて変える場合、サブフレーム内のリソースエレメントの構成も再構成することが望ましい。シンボル数が変わることで、単位あたりリソースエレメント数も変わるためである。
図41は、圧縮係数の値の変化に対する、リソースエレメントの構成変更の判断フローの一例を示す流れ図である。ここでリソースエレメントの構成として、リファレンス信号(Reference Signals(RS)、パイロット信号(Pilot Signals)、または既知信号(Known Signals)など、送信装置と受信装置の間で互いに既知である信号やリソースエレメントであり、CSI(Channel State Information) Measurement、チャネル推定、セル検出、セル選択、などに利用される)の配置構成が考えられる。
送信装置は、まず圧縮係数の値が変更されるかどうかを判断する(S801)。圧縮係数の値が変更されると判断した場合は(S801、Yes)、続いて送信装置は、所定のリソース単位内のリソースエレメント数が変更されるかどうかを判断する(S803)。所定のリソース単位内のリソースエレメント数が変更されると判断した場合は(S803、Yes)、続いて送信装置は、リソースエレメント配置内のリファレンス信号の配置箇所(周波数及び時間)を変更する(S805)。一方、圧縮係数の値が変更されないと判断した場合(S801、No)、または所定のリソース単位内のリソースエレメント数が変更されないと判断した場合は(S803、No)、続いて送信装置は、リソースエレメント配置内のリファレンス信号の配置箇所(周波数及び時間)を維持する(S807)。
配置の指標として、サブフレーム内におけるRSリソースエレメントの密度(またはサブフレーム内に占めるRSリソースエレメントの割合)が考えられる。この密度(または割合)を、時間方向の圧縮によらず一定になるように再構成する、または、時間方向の圧縮によって変わるように再構成することが考えられる。RSの密度が一定になるように再構成する場合、異なる時間方向の圧縮が行われる前後で、CSI Measurementやチャネル推定の精度を可能なかぎり保とうとする効果が期待できる。一方、RSの密度を変えるようにリソースエレメントを再構成する場合、時間方向の圧縮に応じて実効的な周波数利用効率、データレート、スループットなどを上下させる効果が期待できる。
(A−2)サブフレームあたりのシンボル数、またはTTIあたりのシンボル数を、時間方向の圧縮によらず一定とする場合
次に、時間方向の圧縮によらずサブフレームあたりのシンボル数あるいはTTIあたりのシンボル数を一定とする例を示す。図42は、時間方向の圧縮によらずサブフレームあたりのシンボル数あるいはTTIあたりのシンボル数を一定とする例を示す説明図である。図42は、無線フレームあたりのサブフレーム数は一定(つまりサブフレーム長は一定)であり、かつ、TTIは時間方向の圧縮に応じて変わる場合の例である。この場合は、サブフレーム内に無送信区間を設けることによってサブフレーム長を一定にできるようにする。図42でも、時間方向の圧縮がある場合と無い場合とでSymbol Blockの長さが違うように描かれているが、これらはシンボル配置の間隔が異なることを意味しており、シンボル長の長さが異なるという意味ではない。このケースでは、圧縮係数の大小関係がτ’<=τの場合、TTIの大小関係はTTI’<=TTIとなる。このケースも、時間方向の圧縮によるTTI Shorteningの一例と言える。
図43は、サブフレームの長さ、時間方向の圧縮によらずサブフレームあたりのシンボル数あるいはTTIあたりのシンボル数を一定とする例を示す説明図である。図43に示した例は、無線フレームあたりのサブフレーム数も時間方向の圧縮に応じて変える例である。なお図43でも、時間方向の圧縮がある場合と無い場合とでSymbol Blockの長さが違うように描かれているが、これらはシンボル配置の間隔が異なることを意味しており、シンボル長の長さが異なるという意味ではない。圧縮係数の大小関係がτ’<=τの場合、無線フレームあたりのサブフレーム数の大小関係はM’>=Mとなり、TTIの大小関係はTTI’<=TTIとなる。このケースも、時間方向の圧縮によるTTI Shorteningの一例と言える。
サブフレームあたりのシンボル数を時間方向の圧縮によらず一定とする場合、リソースエレメントの配置構成も同一のものに保つことが望ましい。リソースエレメントの配置構成も同一のものに保つことで、送信装置および受信装置の間でRSリソースエレメントの配置パターン数を増やすことが不要になり、メモリの実装などを簡略化することが可能となるためである。
(B)周波数方向の圧縮におけるリソースの定義
ここまでは、時間方向の圧縮に応じたシンボル数、サブフレーム数、サブフレーム長、TTI、無線フレームの関係性について述べたが、同様の設定の考え方は周波数方向でも考えられる。ある通信システム内やセル内での、周波数方向のサブキャリア間隔の圧縮については、リソースブロックの帯域幅、リソースブロックあたりのサブキャリア数、コンポーネントキャリア帯域幅、コンポーネントキャリアあたりのリソースブロック数、コンポーネントキャリアあたりのサブキャリア数、IFFT、IDFT、FFT、DFTなど時間−周波数変換の処理サイズ、などの設定が考えられる。
(B−1)リソースブロック(RB)の帯域幅を、周波数方向の圧縮によらず一定とする場合
図44は、周波数方向の圧縮の有無(大小)によらず、リソースブロックの帯域幅を一定に保つ場合の例を示す説明図である。図44の上段は、周波数方向の圧縮が無い(φ==1.0)場合の例であり、下段は、周波数方向の圧縮がある(φ’<=φ<=1.0)場合の例である。なお、図44に示した例では、コンポーネントキャリアの帯域幅も一定であると想定する。つまり、リソースブロックの帯域幅を一定とすることは、コンポーネントキャリアあたりのリソースブロック数Bも一定であることを意味する。一方、リソースブロックあたりのサブキャリア数は、周波数方向の圧縮によって変化することとなる。ここで、周波数方向の圧縮係数が小さくなる(図44のφ’<=φ)場合、リソースブロックあたりのサブキャリア数は大きくなる(図44のK’>=K)。
リソースブロックの帯域幅を、周波数方向の圧縮によらず一定とする場合、送信装置は、周波数方向の圧縮の有無(大小)によって、リソースエレメントの配置構成を変える。配置構成を変える判断は、先の図41で示した時間方向の圧縮係数の変化に対する判断フローと同様である。
(B−2)リソースブロックあたりのサブキャリア数を、周波数方向の圧縮によらず一定とする場合
上記(B−1)とは異なり、リソースブロックあたりのサブキャリア数を一定に保つことも考えられる。図45は、リソースブロックあたりのサブキャリア数を、周波数方向の圧縮によらず一定とする場合の一例を示す説明図である。図45の上段は、周波数方向の圧縮が無い(φ==1.0)場合の例であり、下段は、周波数方向の圧縮がある(φ’<=φ<=1.0)場合の例である。リソースブロックあたりのサブキャリア数を、周波数方向の圧縮によらず一定とする場合には、周波数方向の圧縮によってリソースブロックの帯域幅が変わる。また、周波数方向の圧縮によってリソースブロックの帯域幅が変わることに応じてコンポーネントキャリアあたりのリソースブロック数も変わることとなる。本実施形態では、周波数方向の圧縮係数が小さくなる(図45中のφ’<=φ)場合、コンポーネントキャリアあたりのリソースブロック数が大きくなる(同図中のB’>=B)。一方、リソースブロックあたりのサブキャリア数Kは周波数方向の圧縮係数によらず一定である。
このケースでは、周波数方向の圧縮の有無(大小)に対して同一のリソースエレメントの配置構成を共用することが可能である。ここでリソースエレメントの構成として、リファレンス信号(Reference Signals(RS)、パイロット信号(Pilot Signals)、または既知信号(Known Signals)など、送信装置と受信装置の間で互いに既知である信号やリソースエレメントであり、CSI(Channel State Information) Measurement、チャネル推定、セル検出、セル選択、などに利用される)の配置構成が考えられる。同一のリソースエレメントの配置構成、および同一のリファレンス信号の配置構成が使えることで、信号生成の判断を簡素化することが可能となる。
周波数方向の圧縮によってコンポーネントキャリアあたりのサブキャリア数が変わる場合、送信または受信のためのIFFTあるいはFFTのサイズが切り替えられることが望ましい。IFFTあるいはFFTのサイズの切り替えを可能にするために、送信装置と受信装置(例えば基地局100と端末装置200)との間で、コンポーネントキャリア帯域幅、周波数方向の圧縮係数、およびFFTサイズ(IFFTサイズ、あるいはDFTサイズ(IDFTサイズ))の関連を示すテーブル情報を事前に共有していることが望ましい。下の表7に、コンポーネントキャリア帯域幅、周波数方向の圧縮係数、およびFFTサイズ(IFFTサイズ)の関連テーブルの一例を示す。
同一のコンポーネントキャリア帯域幅において周波数方向の圧縮係数が小さくなる場合、サブキャリア数は増加する方向に変化が生じる。従って、サブキャリア数の増加に合わせてFFTサイズ(IFFTサイズ、DFTサイズ、IDFTサイズ)は大きくなるようにテーブルが設定されていることが望ましい。例えば、周波数方向の圧縮係数が1の場合のFFTサイズがNF(表7に示した例では、コンポーネントキャリア帯域幅が5MHzの場合はNF5、10MHzの場合はNF10)であることを想定すると、周波数方向の圧縮係数が1.0から0.8に変更になる場合、FFTサイズは(1/0.8)*NF==1.25NF近辺の整数値を取ることが望ましい。例えばFFTサイズは、小数点以下切り上げ(ceil(1.25NF))または小数点以下切り捨て(floor(1.25NF))、もしくは切り上げまたは切り捨て後の整数に近い2のべき乗の整数、などの値を取ることが望ましい。
(3)サブフレーム境界での時間方向(シンボル間隔)の圧縮の有無、またはリソースブロック境界での周波数方向(サブキャリア間隔)の圧縮の有無について
複数の送受信装置(マルチユーザ)で無線リソースを共用する場合、時間リソースまたは周波数リソースのいずれか一方、またはその両方をユーザごとに割り当てることが考えられる。その際に、これまで説明してきたようなシステムでは、時間リソースとしてサブフレーム(またはTTI)、周波数リソースとしてリソースブロックを割当て単位として考えることができる。
このようなケースで、時間方向または周波数方向の圧縮を考える場合、ユーザへの割当て単位の境界にあたる部分では圧縮を行わないか、または境界にあたる部分の圧縮係数を他の領域での圧縮係数より大きくするなどして、割当て単位間のオーバーラップを緩和することが望ましい。つまり、時間方向で言うと、サブフレーム内はシンボル間隔を圧縮するが、サブフレーム境界では圧縮を行わないようにする。また、周波数方向では、リソースブロック内のサブキャリア間隔は圧縮するが、リソースブロック境界では圧縮を行わないようにする。
このような措置を取ることによって、受信装置が信号を復調や復号する際に、他のユーザの信号を復調や復号することなく、自身の信号を復調や復号することが可能となるためであり、すなわち、受信信号処理の簡略化に繋がることとなる。
図46〜図48は、時間リソース割当て単位の境界および周波数リソース割当て単位の境界におけるリソース圧縮の一例を示す説明図である。図46は、周波数−時間リソース配置を示す説明図である。図47は、時間軸上のサブフレーム内およびサブフレーム間のシンボル間隔の圧縮の違いを示す説明図である。図48は、周波数軸上のリソースブロック内およびリソースブロック間のサブキャリア間隔の圧縮の違いを示す説明図である。
セルラーシステムの時間リソースおよび周波数リソースは、図46に示したように、通常は時間的および周波数的に連続的に配置されている。つまり、割当て単位となるサブフレームおよびリソースブロックも連続的になる。このような時間的および周波数的に連続的なリソースに対して、本実施形態を適用する場合、シンボル間隔の圧縮の度合い、およびサブキャリア間隔の圧縮の度合いは、割当て単位内部と割当て単位境界で異なるようにすることが望ましい。
例えば図47に示した時間領域のリソースを考えた場合、シンボル長をTと想定すると、サブフレーム内のシンボル間隔はTin==τT<=Tである。これに対して、サブフレーム境界のシンボル間隔はTb==Tとすることが考えられる。このようにサブフレーム内のシンボル間隔及びサブフレーム境界のシンボル間隔を決定することで、送信装置が時間的に連続するサブフレームをそれぞれ異なるユーザに割り当てた場合に、各ユーザは自身へ割当てられたサブフレーム以外のサブフレームを干渉除去のためなどに受信することが不要となり、受信信号処理を簡素化することが可能となる。なお、サブフレーム境界のシンボル間隔Tbは必ずしもTb==Tである必要はない。ただし、受信装置が受信信号の処理負荷を簡素化するために、Tin<=Tbを満たすような値を取ることが望ましい。
図48に示した周波数領域のリソースについても、上述の時間領域のリソースと同様のことが考えられる。リソースブロック内のサブキャリア間隔はΔfin==φ(1/T)<=(1/T)であるのに対して、リソースブロック境界のサブキャリア間隔はΔfb==1/Tとする(またはΔfin<=Δfbの値の関係性にする)。このようにリソースブロック内のサブキャリア間隔とリソースブロック境界のサブキャリア間隔とを決定することで、時間領域のリソースの場合と同様に、受信装置は、受信信号の処理負荷を簡素化することが可能となる。
<<7.応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。例えば、基地局100は、マクロeNB又はスモールeNBなどのいずれかの種類のeNB(evolved Node B)として実現されてもよい。スモールeNBは、ピコeNB、マイクロeNB又はホーム(フェムト)eNBなどの、マクロセルよりも小さいセルをカバーするeNBであってよい。その代わりに、基地局100は、NodeB又はBTS(Base Transceiver Station)などの他の種類の基地局として実現されてもよい。基地局100は、無線通信を制御する本体(基地局装置ともいう)と、本体とは別の場所に配置される1つ以上のRRH(Remote Radio Head)とを含んでもよい。また、後述する様々な種類の端末が一時的に又は半永続的に基地局機能を実行することにより、基地局100として動作してもよい。さらに、基地局100の少なくとも一部の構成要素は、基地局装置又は基地局装置のためのモジュールにおいて実現されてもよい。
また、例えば、端末装置200は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末、携帯型/ドングル型のモバイルルータ若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、端末装置200は、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、端末装置200の少なくとも一部の構成要素は、これら端末に搭載されるモジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)において実現されてもよい。
<7.1.基地局に関する応用例>
(第1の応用例)
図49は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第1の例を示すブロック図である。eNB800は、1つ以上のアンテナ810、及び基地局装置820を有する。各アンテナ810及び基地局装置820は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。
アンテナ810の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、基地局装置820による無線信号の送受信のために使用される。eNB800は、図49に示したように複数のアンテナ810を有し、複数のアンテナ810は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図49にはeNB800が複数のアンテナ810を有する例を示したが、eNB800は単一のアンテナ810を有してもよい。
基地局装置820は、コントローラ821、メモリ822、ネットワークインタフェース823及び無線通信インタフェース825を備える。
コントローラ821は、例えばCPU又はDSPであってよく、基地局装置820の上位レイヤの様々な機能を動作させる。例えば、コントローラ821は、無線通信インタフェース825により処理された信号内のデータからデータパケットを生成し、生成したパケットをネットワークインタフェース823を介して転送する。コントローラ821は、複数のベースバンドプロセッサからのデータをバンドリングすることによりバンドルドパケットを生成し、生成したバンドルドパケットを転送してもよい。また、コントローラ821は、無線リソース管理(Radio Resource Control)、無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、移動性管理(Mobility Management)、流入制御(Admission Control)又はスケジューリング(Scheduling)などの制御を実行する論理的な機能を有してもよい。また、当該制御は、周辺のeNB又はコアネットワークノードと連携して実行されてもよい。メモリ822は、RAM及びROMを含み、コントローラ821により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、送信電力データ及びスケジューリングデータなど)を記憶する。
ネットワークインタフェース823は、基地局装置820をコアネットワーク824に接続するための通信インタフェースである。コントローラ821は、ネットワークインタフェース823を介して、コアネットワークノード又は他のeNBと通信してもよい。その場合に、eNB800と、コアネットワークノード又は他のeNBとは、論理的なインタフェース(例えば、S1インタフェース又はX2インタフェース)により互いに接続されてもよい。ネットワークインタフェース823は、有線通信インタフェースであってもよく、又は無線バックホールのための無線通信インタフェースであってもよい。ネットワークインタフェース823が無線通信インタフェースである場合、ネットワークインタフェース823は、無線通信インタフェース825により使用される周波数帯域よりもより高い周波数帯域を無線通信に使用してもよい。
無線通信インタフェース825は、LTE(Long Term Evolution)又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、アンテナ810を介して、eNB800のセル内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース825は、典型的には、ベースバンド(BB)プロセッサ826及びRF回路827などを含み得る。BBプロセッサ826は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、各レイヤ(例えば、L1、MAC(Medium Access Control)、RLC(Radio Link Control)及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol))の様々な信号処理を実行する。BBプロセッサ826は、コントローラ821の代わりに、上述した論理的な機能の一部又は全部を有してもよい。BBプロセッサ826は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を含むモジュールであってもよく、BBプロセッサ826の機能は、上記プログラムのアップデートにより変更可能であってもよい。また、上記モジュールは、基地局装置820のスロットに挿入されるカード若しくはブレードであってもよく、又は上記カード若しくは上記ブレードに搭載されるチップであってもよい。一方、RF回路827は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ810を介して無線信号を送受信する。
無線通信インタフェース825は、図49に示したように複数のBBプロセッサ826を含み、複数のBBプロセッサ826は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。また、無線通信インタフェース825は、図49に示したように複数のRF回路827を含み、複数のRF回路827は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、図49には無線通信インタフェース825が複数のBBプロセッサ826及び複数のRF回路827を含む例を示したが、無線通信インタフェース825は単一のBBプロセッサ826又は単一のRF回路827を含んでもよい。
図49に示したeNB800において、図4を参照して説明した処理部150に含まれる1つ以上の構成要素(通信処理部151及び/又は通知部153)は、無線通信インタフェース825において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、コントローラ821において実装されてもよい。一例として、eNB800は、無線通信インタフェース825の一部(例えば、BBプロセッサ826)若しくは全部、及び/又はコントローラ821を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがeNB800にインストールされ、無線通信インタフェース825(例えば、BBプロセッサ826)及び/又はコントローラ821が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてeNB800、基地局装置820又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
また、図49に示したeNB800において、図4を参照して説明した無線通信部120は、無線通信インタフェース825(例えば、RF回路827)において実装されてもよい。また、アンテナ部110は、アンテナ810において実装されてもよい。また、ネットワーク通信部130は、コントローラ821及び/又はネットワークインタフェース823において実装されてもよい。また、記憶部140は、メモリ822において実装されてもよい。
(第2の応用例)
図50は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第2の例を示すブロック図である。eNB830は、1つ以上のアンテナ840、基地局装置850、及びRRH860を有する。各アンテナ840及びRRH860は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。また、基地局装置850及びRRH860は、光ファイバケーブルなどの高速回線で互いに接続され得る。
アンテナ840の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、RRH860による無線信号の送受信のために使用される。eNB830は、図50に示したように複数のアンテナ840を有し、複数のアンテナ840は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図50にはeNB830が複数のアンテナ840を有する例を示したが、eNB830は単一のアンテナ840を有してもよい。
基地局装置850は、コントローラ851、メモリ852、ネットワークインタフェース853、無線通信インタフェース855及び接続インタフェース857を備える。コントローラ851、メモリ852及びネットワークインタフェース853は、図49を参照して説明したコントローラ821、メモリ822及びネットワークインタフェース823と同様のものである。
無線通信インタフェース855は、LTE又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、RRH860及びアンテナ840を介して、RRH860に対応するセクタ内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース855は、典型的には、BBプロセッサ856などを含み得る。BBプロセッサ856は、接続インタフェース857を介してRRH860のRF回路864と接続されることを除き、図49を参照して説明したBBプロセッサ826と同様のものである。無線通信インタフェース855は、図50に示したように複数のBBプロセッサ856を含み、複数のBBプロセッサ856は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図50には無線通信インタフェース855が複数のBBプロセッサ856を含む例を示したが、無線通信インタフェース855は単一のBBプロセッサ856を含んでもよい。
接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)をRRH860と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)とRRH860とを接続する上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
また、RRH860は、接続インタフェース861及び無線通信インタフェース863を備える。
接続インタフェース861は、RRH860(無線通信インタフェース863)を基地局装置850と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース861は、上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
無線通信インタフェース863は、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、典型的には、RF回路864などを含み得る。RF回路864は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、図50に示したように複数のRF回路864を含み、複数のRF回路864は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、図50には無線通信インタフェース863が複数のRF回路864を含む例を示したが、無線通信インタフェース863は単一のRF回路864を含んでもよい。
図50に示したeNB830において、図4を参照して説明した処理部150に含まれる1つ以上の構成要素(通信処理部151及び/又は通知部153)は、無線通信インタフェース855及び/又は無線通信インタフェース863において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、コントローラ851において実装されてもよい。一例として、eNB830は、無線通信インタフェース855の一部(例えば、BBプロセッサ856)若しくは全部、及び/又はコントローラ851を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがeNB830にインストールされ、無線通信インタフェース855(例えば、BBプロセッサ856)及び/又はコントローラ851が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてeNB830、基地局装置850又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
また、図50に示したeNB830において、例えば、図4を参照して説明した無線通信部120は、無線通信インタフェース863(例えば、RF回路864)において実装されてもよい。また、アンテナ部110は、アンテナ840において実装されてもよい。また、ネットワーク通信部130は、コントローラ851及び/又はネットワークインタフェース853において実装されてもよい。また、記憶部140は、メモリ852において実装されてもよい。
<7.2.端末装置に関する応用例>
(第1の応用例)
図51は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912、1つ以上のアンテナスイッチ915、1つ以上のアンテナ916、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
プロセッサ901は、例えばCPU又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM及びROMを含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
無線通信インタフェース912は、LTE又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース912は、典型的には、BBプロセッサ913及びRF回路914などを含み得る。BBプロセッサ913は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路914は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ916を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース912は、BBプロセッサ913及びRF回路914を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース912は、図51に示したように複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含んでもよい。なお、図51には無線通信インタフェース912が複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含む例を示したが、無線通信インタフェース912は単一のBBプロセッサ913又は単一のRF回路914を含んでもよい。
さらに、無線通信インタフェース912は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN(Local Area Network)方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ913及びRF回路914を含んでもよい。
アンテナスイッチ915の各々は、無線通信インタフェース912に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ916の接続先を切り替える。
アンテナ916の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース912による無線信号の送受信のために使用される。スマートフォン900は、図51に示したように複数のアンテナ916を有してもよい。なお、図51にはスマートフォン900が複数のアンテナ916を有する例を示したが、スマートフォン900は単一のアンテナ916を有してもよい。
さらに、スマートフォン900は、無線通信方式ごとにアンテナ916を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ915は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図51に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
図51に示したスマートフォン900において、図5を参照して説明した処理部240に含まれる1つ以上の構成要素(情報取得部241及び/又は通信処理部243)は、無線通信インタフェース912において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、プロセッサ901又は補助コントローラ919において実装されてもよい。一例として、スマートフォン900は、無線通信インタフェース912の一部(例えば、BBプロセッサ913)若しくは全部、プロセッサ901、及び/又は補助コントローラ919を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがスマートフォン900にインストールされ、無線通信インタフェース912(例えば、BBプロセッサ913)、プロセッサ901、及び/又は補助コントローラ919が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてスマートフォン900又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
また、図51に示したスマートフォン900において、例えば、図5を参照して説明した無線通信部220は、無線通信インタフェース912(例えば、RF回路914)において実装されてもよい。また、アンテナ部210は、アンテナ916において実装されてもよい。また、記憶部230は、メモリ902において実装されてもよい。
(第2の応用例)
図52は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、1つ以上のアンテナスイッチ936、1つ以上のアンテナ937及びバッテリー938を備える。
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
無線通信インタフェース933は、LTE又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、典型的には、BBプロセッサ934及びRF回路935などを含み得る。BBプロセッサ934は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路935は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ937を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース933は、BBプロセッサ934及びRF回路935を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、図52に示したように複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含んでもよい。なお、図52には無線通信インタフェース933が複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含む例を示したが、無線通信インタフェース933は単一のBBプロセッサ934又は単一のRF回路935を含んでもよい。
さらに、無線通信インタフェース933は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ934及びRF回路935を含んでもよい。
アンテナスイッチ936の各々は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ937の接続先を切り替える。
アンテナ937の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送受信のために使用される。カーナビゲーション装置920は、図52に示したように複数のアンテナ937を有してもよい。なお、図52にはカーナビゲーション装置920が複数のアンテナ937を有する例を示したが、カーナビゲーション装置920は単一のアンテナ937を有してもよい。
さらに、カーナビゲーション装置920は、無線通信方式ごとにアンテナ937を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ936は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図52に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
図52に示したカーナビゲーション装置920において、図5を参照して説明した処理部240に含まれる1つ以上の構成要素(情報取得部241及び/又は通信処理部243)は、無線通信インタフェース933において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、プロセッサ921において実装されてもよい。一例として、カーナビゲーション装置920は、無線通信インタフェース933の一部(例えば、BBプロセッサ934)若しくは全部及び/又はプロセッサ921を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがカーナビゲーション装置920にインストールされ、無線通信インタフェース933(例えば、BBプロセッサ934)及び/又はプロセッサ921が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてカーナビゲーション装置920又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
また、図52に示したカーナビゲーション装置920において、例えば、図5を参照して説明した無線通信部220は、無線通信インタフェース933(例えば、RF回路935)において実装されてもよい。また、アンテナ部210は、アンテナ937において実装されてもよい。また、記憶部230は、メモリ922において実装されてもよい。
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。即ち、情報取得部241及び/又は通信処理部243を備える装置として車載システム(又は車両)940が提供されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
<<8.むすび>>
以上、図3〜図52を参照して、本開示の一実施形態に係る装置及び処理について説明した。
本開示の一実施形態に依れば、例えば、システム1のダウンリンクに着目した場合には、基地局100は、通信環境に応じて決定された時間方向または周波数方向の圧縮係数(例えば、セルごとに決定された圧縮係数)を、FTNパラメータとして端末装置200に通知する。また、基地局100は、端末装置200に向けた送信の対象となるデータを変調し、変調後のビットシーケンスに対してFTNマッピング処理を施すことで、当該ビットシーケンスにおけるシンボル間隔またはサブキャリア間隔を調整する。そして、基地局100は、FTNマッピング処理が施されたビットシーケンスに対して、デジタル/アナログ変換、無線周波数処理等を施すことで得られる送信信号を端末装置200に送信する。このような構成に基づき、端末装置200は、基地局100からの受信信号から得られるビットシーケンスに対して、事前に通知された時間方向または周波数方向の圧縮係数に基づきFTNデマッピング処理を施すことで、基地局100から送信されたデータを復号することが可能となる。
また、他の一例として、システム1のアップリンクに着目した場合には、基地局100は、通信環境に応じて決定された時間方向または周波数方向の圧縮係数(例えば、セルごとに決定された圧縮係数)を、FTNパラメータとして端末装置200に通知する。この通知を受けて、端末装置200は、基地局100に向けた送信の対象となるデータを変調し、変調後のビットシーケンスに対してFTNマッピング処理を施すことで、当該ビットシーケンスにおけるシンボル間隔またはサブキャリア間隔を調整する。そして、端末装置200は、FTNマッピング処理が施されたビットシーケンスに対して、デジタル/アナログ変換、無線周波数処理等を施すことで得られる送信信号を基地局100に送信する。このような構成に基づき、基地局100は、端末装置200からの受信信号から得られるビットシーケンスに対して、当該端末装置200に対して事前に通知した時間方向または周波数方向の圧縮係数に基づきFTNデマッピング処理を施すことで、基地局100から送信されたデータを復号することが可能となる。
以上説明したように、本開示の一実施形態に依れば、通信システムは、受信装置におけるシンボル間干渉やサブキャリア間干渉への対策処理の負荷を加味し、圧縮係数を適応的に調整可能に構成されている。このような構成とすることで、より好適な態様で、受信装置における負荷と、周波数利用効率との間のバランスをとることが可能となる。即ち、本実施形態に依れば、多種多様な周波数及び装置を通信システムで利用及び収容することが可能となり、ひいては、通信システムの拡張性及び柔軟性をより向上させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
無線通信を行う通信部と、
所定の条件に基づき設定された、ビット系列から変換された複素シンボル系列の時間方向のシンボル間隔または周波数方向のサブキャリア間隔の少なくとも一方を詰めて前記通信部から端末に送信されるように制御する制御部と、
を備える、装置。
(2)
前記制御部は、前記シンボル間隔の詰め量または前記サブキャリア間隔の詰め量を固定的に設定する、前記(1)に記載の装置。
(3)
前記制御部は、前記シンボル間隔の詰め量または前記サブキャリア間隔の詰め量をセル毎またはコンポーネントキャリア毎に設定する、前記(1)に記載の装置。
(4)
前記制御部は、上位レイヤのシグナリングで送信される情報によって前記シンボル間隔の詰め量または前記サブキャリア間隔の詰め量を設定する、前記(3)に記載の装置。
(5)
前記制御部は、前記シンボル間隔の詰め量または前記サブキャリア間隔の詰め量を所定の時間で動的に設定する、前記(1)に記載の装置。
(6)
前記制御部は、物理制御チャネルで送信される情報によって前記シンボル間隔の詰め量または前記サブキャリア間隔の詰め量を設定する、前記(5)に記載の装置。
(7)
前記制御部は、前記シンボル間隔を詰めて前記通信部から端末に送信されるように制御する第1モードと、前記シンボル間隔を詰めずに前記通信部から端末に送信されるように制御する第2モードと、で動作する、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の装置。
(8)
前記制御部は、前記第1モードと前記第2モードとで同じ送信時間長を用いる、前記(7)に記載の装置。
(9)
前記制御部は、前記第1モードと前記第2モードとで異なるリソースエレメント配置構成を用いる、前記(8)に記載の装置。
(10)
前記制御部は、前記第1モードと前記第2モードとで同じ送信シンボル数を用いる、前記(7)に記載の装置。
(11)
前記制御部は、前記第1モードと前記第2モードとで同じ無線フレームの長さを用いる、前記(10)に記載の装置。
(12)
前記制御部は、前記サブキャリア間隔を詰めて前記通信部から端末に送信されるように制御する第3モードと、前記サブキャリア間隔を詰めずに前記通信部から端末に送信されるように制御する第4モードと、で動作する、前記(1)〜(12)のいずれかに記載の装置。
(13)
前記制御部は、前記第3モードと前記第4モードとで同じリソースブロック帯域幅を用いる、前記(12)に記載の装置。
(14)
前記制御部は、前記第3モードと前記第4モードとで異なるリソースエレメント配置構成を用いる、前記(13)に記載の装置。
(15)
前記制御部は、前記第3モードと前記第4モードとでリソースブロックあたり同じサブキャリア数を用いる、前記(12)に記載の装置。
(16)
前記制御部は、前記第3モードと前記第4モードとでコンポーネントキャリアあたり異なるリソースブロック数を用いる、前記(15)に記載の装置。
(17)
前記制御部は、複数のセルまたはコンポーネントキャリアをキャリアアグリゲーションとして用いる、前記(1)〜(16)のいずれかに記載の装置。
(18)
前記制御部は、前記シンボル間隔の詰め量または前記サブキャリア間隔の詰め量の少なくとも一方を異なるセル間または異なるコンポーネントキャリア間で異ならせる、前記(17)に記載の装置。
(19)
前記制御部は、前記シンボル間隔を詰めて前記通信部から端末に送信されるように制御する第1モードにおいて、異なるセル間または異なるコンポーネントキャリア間で時間方向の境界を揃える、前記(18)に記載の装置。
(20)
前記制御部は、前記シンボル間隔の詰め量または前記サブキャリア間隔の詰め量の少なくとも一方を異なるセル間または異なるコンポーネントキャリア間で同一にする、前記(17)に記載の装置。
(21)
前記制御部は、前記シンボル間隔を詰めて前記通信部から端末に送信されるように制御する第1モードまたは前記サブキャリア間隔を詰めて前記通信部から端末に送信されるように制御する第3モードにおいて、セルまたはコンポーネントキャリア間で詰め量が異なり、かつ時間方向の境界または周波数方向の境界が同期していない場合、当該セルまたはコンポーネントキャリアをキャリアアグリゲーションの組み合わせから除外する、前記817)〜(20)のいずれかに記載の装置。
(22)
前記制御部は、複数のセルまたはコンポーネントキャリアをデュアルコネクティビティで用いる、前記(1)〜(21)のいずれかに記載の装置。
(23)
前記制御部は、前記シンボル間隔の詰め量または前記サブキャリア間隔の詰め量の少なくとも一方を異なるセル間または異なるコンポーネントキャリア間で異ならせる、前記(22)に記載の装置。
(24)
前記制御部は、前記シンボル間隔の詰め量または前記サブキャリア間隔の詰め量の少なくとも一方を異なるセル間または異なるコンポーネントキャリア間で同一にする、前記822)に記載の装置。
(25)
前記制御部は、前記シンボル間隔を詰めて前記通信部から端末に送信されるように制御する第1モードにおいて、時間方向の境界と、該境界以外の領域とで前記シンボル間隔の詰め量を異ならせる、前記(1)に記載の装置。
(26)
前記制御部は、時間方向の境界では前記シンボル間隔を詰めない、前記(25)に記載の装置。
(27)
前記制御部は、前記サブキャリア間隔を詰めて前記通信部から端末に送信されるように制御する第3モードにおいて、周波数方向の境界と、該境界以外の領域とで前記サブキャリア間隔の詰め量を異ならせる、前記(1)に記載の装置。
(28)
前記制御部は、周波数方向の境界では前記サブキャリア間隔を詰めない、前記(27)に記載の装置。
(29)
前記制御部は、前記シンボル間隔または前記サブキャリア間隔を詰めて前記通信部から端末に送信されるように制御する場合において、異なるユーザへの信号が送信される時間リソースまたは周波数リソースの少なくともいずれかの境界と、該境界以外の領域において、前記シンボル間隔の詰め量または前記サブキャリア間隔の詰め量を異ならせる、前記(1)〜(28)のいずれかに記載の装置。
(30)
前記制御部は、異なるユーザへの信号が送信される時間リソースまたは周波数リソースの少なくともいずれかの境界では、前記シンボル間隔または前記サブキャリア間隔を詰めない、前記(29)に記載の装置。
(31)
無線通信を行うことと、
プロセッサが、所定の条件に基づき設定された、ビット系列から変換された複素シンボル系列の時間方向のシンボル間隔または周波数方向のサブキャリア間隔の少なくとも一方を詰めて端末に無線で送信されるように制御することと、
を含む、方法。
(32)
コンピュータに、
無線通信を行うことと、
所定の条件に基づき設定された、ビット系列から変換された複素シンボル系列の時間方向のシンボル間隔または周波数方向のサブキャリア間隔の少なくとも一方を詰めて端末に無線で送信されるように制御することと、
を実行させる、コンピュータプログラム。