JP6961359B2 - 圧粉磁心 - Google Patents

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Description

本発明は圧粉磁心に関し、さらに詳しくは金属磁性粉の充填率が高い圧粉磁心に関する。
近年、インダクタ、チョークコイル、トランス等といったコイル部品やモーターなどの小型化が求められていることから、フェライトと比較して飽和磁束密度が大きく、直流重畳特性が高磁界まで保たれる金属磁性材料が広く用いられるようになった。金属磁性材料の多くは、透磁率の高いFe系の非晶質合金磁性粉が用いられる。Fe系非晶質合金磁性粉は、一般に硬質で、変形し難い。このため、Fe系非晶質合金磁性粉単独では圧縮成形が難しく、適量のバインダーと混合して、圧縮成形することで圧粉磁心(コア)を得ている。
圧粉磁心では、金属磁性粉の粒子同士がバインダーによって結着されることで、金属磁性粉間の絶縁と、磁心形状の保持とが実現されている。その一方で、バインダーが多くなり過ぎると、磁性粉の相対比率が低下し、圧粉磁心の透磁率の低下が避けられない。このため、圧粉磁心に高密度で磁性粉を充填する技術が提案されている。
特許文献1(特開2004-197218)、特許文献2(特開2004-363466)および特許文献3(特開2010-118486)には、非晶質軟磁性粉末と結晶質軟磁性粉末との混合粉末を用いることにより、磁性粉の充填率を改善することが提案されている。結晶質磁性粉は非晶質磁性粉に比べて硬度が低いため、圧縮成形時に結晶質軟磁性粉末を塑性変形させることにより、充填率を向上させ、透磁率を高めることができる。
また、特許文献4(特開2014-103265)には、ビッカース硬度が異なる(高Hvと低Hv)磁性粉を用いることが記載されている。
すなわち、特許文献1〜4では、硬度の異なる磁性粉を併用し、低硬度磁性粉を圧縮成形時の圧力によって変形して、高硬度磁性粉間の空隙を充填することで、磁性粉の充填度を向上させている。
特開2004-197218 特開2004-363466 特開2010-118486 特開2014-103265
上記特許文献1〜4では、磁性粉の充填度は向上するものの、未だにバインダー成分を併用しなければ圧粉成形体の形状維持が困難であった。このことは、特許文献1〜4の実施例においてバインダー成分が併用されていることからも裏付けられる。したがって、本発明は、バインダー成分の使用量をさらに削減し、磁心における磁性粉の相対密度を向上し、究極的にはバインダー成分を使用しなくても圧粉成形が可能な技術を提供することを目的としている。
本発明者らは、圧粉磁心を構成する金属磁性粉の充填率向上を目指し鋭意検討を続けたところ、磁性粉の硬度は、その変形性の指標のひとつではあるが、形状の維持性を反映するものではないことに想到した。すなわち、硬度が低く、変形が容易であっても、除圧後に元の形状に復元すると、磁性粉間の充填性は低下し、また圧粉磁心にクラックが発生することもある。
そこで、本発明者らは、磁性粉の塑性変形と、変形後の形状維持の重要性に鑑みて、材料探索を行い、特定のパラメータ(後述のNIT値)を満足する磁性粉を組み合わせて用いることで、磁性粉の高充填が可能であり、さらに保型性に優れた圧粉磁性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の要旨を含む。
(1) NIT値が10%以上30%以下の第1金属磁性粉と、NIT値が30%を超え90%以下の第2金属磁性粉とを含む圧粉磁心。
(2) 第1金属磁性粉と第2金属磁性粉との合計100質量部当り、第1金属磁性粉を30〜50質量部、第2金属磁性粉を70〜50質量部の割合で含む(1)に記載の圧粉磁心。
(3) 圧粉磁心の全質量に対する樹脂成分の含有量が2質量%以下である(1)または(2)に記載の圧粉磁心。
(4) 第1金属磁性粉のNIT値と第2金属磁性粉のNIT値との差が60%以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の圧粉磁心。
(5) 第1金属磁性粉のNIT値と第2金属磁性粉のNIT値との差が50%以下である(4)に記載の圧粉磁心。
(6) 第1金属磁性粉および第2金属磁性粉がともにFe系軟磁性粉である(1)〜(5)のいずれかに記載の圧粉磁心。
(7) 第1金属磁性粉および第2金属磁性粉のいずれか一方または両方が絶縁被膜を有する(1)〜(6)のいずれかに記載の圧粉磁心。
本発明では、NIT値の異なる少なくとも2種の金属磁性粉を併用する。第1金属磁性粉は、低NIT値を有し、変形しやすく、また変形後の形状を維持する性質を有する。一方の第2金属磁性粉は高NIT値を有し、比較的硬質であり、変形性は低い。このため、圧粉成形時に第2金属磁性粉の間の空隙に第1金属磁性粉が充填され、またその状態を維持する。この結果、金属磁性粉の充填率が向上し、また保型性に優れた圧粉磁心が得られる。
そして、本発明によれば第1金属磁性粉がバインダーとしての機能を果たすため、樹脂系バインダーの使用量を削減でき、究極的には樹脂系のバインダーを用いることなく圧粉磁心を得ることもできる。
図1は、ナノインデンテーション法による荷重−変位曲線の典型例を示す。
以下、本発明を、具体的な実施形態に基づき説明するが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変は許容される。
(圧粉磁心)
本実施形態に係る圧粉磁心は、2種の金属磁性粉を含む。圧粉磁心には、有機バインダー成分は含まれていても良いが、本発明によれば樹脂系バインダーの使用量を削減でき、究極的には樹脂系のバインダーを用いることなく圧粉磁心を得ることもできる。金属磁性粉の一方または両方には、絶縁被膜が形成されていてもよい。
このような圧粉磁心は、コイル型電子部品の磁心として好適に用いられる。たとえば、所定形状の圧粉磁心内部に、ワイヤが巻回された空芯コイルが埋設されたコイル型電子部品であってもよいし、所定形状の圧粉磁心の表面にワイヤが所定の巻き数だけ巻回されてなるコイル型電子部品であってもよい。ワイヤが巻回される磁心の形状としては、FT型、ET型、EI型、UU型、EE型、EER型、UI型、ドラム型、トロイダル型、ポット型、カップ型等を例示することができる。
(金属磁性粉)
本実施形態における金属磁性粉は、NIT値が10%以上30%以下の第1金属磁性粉と、NIT値が30%を超え90%以下の第2金属磁性粉とを含む。NIT値は、Nano-IndenTation(ナノインデンテーション)法により評価される特性値であり、塑性変形性と形状保持性とを反映するパラメータ値である。
ナノインデンテーション法は、測定装置の基盤上に載置した試料の表面にダイヤモンド製の三角錐の圧子をある荷重まで押し込んだ(圧入)後、その圧子を取り除く(除荷)までの荷重(P)と変位(圧入深さh)の関係(圧入(負荷)−除荷曲線)を測定する方法である。図1に、ナノインデンテーション法による典型的な荷重−変位曲線を示す。
圧入(負荷)曲線は材料の弾塑性的な変形挙動を反映し、除荷曲線は弾性的な回復挙動により得られる。そして、負荷曲線と除荷曲線と横軸で囲まれた面積(α)が、塑性変形に消費したエネルギーEpである。また負荷曲線の最大荷重点から横軸(圧入深さh)に下ろした垂線と除荷曲線とで囲まれた面積(β)が、弾性変形で吸収されたエネルギーEeである。
本実施形態では、負荷曲線の最大荷重点から横軸(圧入深さh)に下ろした垂線と負荷曲線と横軸とで囲まれた面積(α+β)に対する面積(β)の割合(百分率)をNIT値と定義する。
NIT値=100β/(α+β)
第1金属磁性粉のNIT値は10%以上30%以下であり、好ましくは12〜28%、さらに好ましくは15〜25%である。また、第2金属磁性粉のNIT値は30%を超え90%以下であり、好ましくは50〜88%、さらに好ましくは59〜86%である。第1金属磁性粉および第2金属磁性粉のNIT値が上記範囲にあることで、圧粉成形時に第2金属磁性粉の間の空隙に第1金属磁性粉が充填され、またその状態を維持する。この結果、金属磁性粉の充填率が向上し、また保型性に優れた圧粉磁心が得られる。第1金属磁性粉のNIT値が10%未満であると、材質的に軟らか過ぎるため、圧粉成形後に成形体が変形することがある。また第1金属磁性粉のNIT値が30%を超えると、第2金属磁性粉と同程度に硬質であるため、変形が困難になり、成形できないことがある。また、成形できても成形体が形状を維持できないことがある。第2金属磁性粉のNIT値が30%以下であると、第1金属磁性粉と同程度に軟質であるため、成形体の形状を維持できないことがある。また、第2金属磁性粉のNIT値が90%を超えると、成形が困難になり、また成形できても形状を維持できないことがある。
第1金属磁性粉のNIT値と第2金属磁性粉のNIT値との差が大きすぎると、得られる圧粉磁心のコアロスが増大することがある。したがって、第1金属磁性粉のNIT値と第2金属磁性粉のNIT値との差は、60%以下が好ましく、50%以下がさらに好ましい。
第1金属磁性粉および第2金属磁性粉は、特に限定はされないが、好ましくは軟磁性粒子であり、Fe系軟磁性粒子であってもよい。Fe系磁性粒子は、具体的には、純鉄、Fe系合金、Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Si−Al系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni−Si−Co系合金、Fe系アモルファス合金、Fe系ナノ結晶合金等が例示され、純鉄またはFe−Si系合金であることがより好ましい。
好ましい金属磁性粉であるFe−Si系合金では、FeおよびSiの含有量が合計80重量%以上である。また、FeとSiとの比率には特に制限はないが、重量比でSi/Fe=0/100〜10/90であると、飽和磁荷が高くなり好ましい。
金属磁性粉の作製方法には特に制限はないが、例えば、アトマイズ法(例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の各種粉末化法により製造される。
第1金属磁性粉と第2金属磁性粉とは、NIT値が上記範囲にある限り同一の材質であってもよく、異なる材質であっても良い。NIT値は、磁性粉の材質や、磁性粉に添加される不純物の種類、量、磁性粉の熱処理条件により制御できる。たとえば、Fe系磁性粉にカーボンを添加し、1000℃以上で熱処理することで、NIT値が増加する。非制限的な例として、NIT値が18%のFe系磁性粉に、カーボンを0.5質量%添加し1200℃に加熱し、急冷することで、NIT値が35%程度に増加する。同様にNIT値が15%のFe系磁性粉に、カーボンを0.2質量%添加し1100℃に加熱し、急冷することで、NIT値が23%程度に増加する。また、一般にFe系磁性粉では、純度が高くなるほどNIT値が低くなる傾向にあり、純度99.9%のFe系磁性粉ではNIT値が10%程度になる。また、一般に結晶性磁性粉のNIT値は小さく、非晶性磁性粉のNIT値は大きな傾向があるため、磁性粉の結晶性を考慮して、所望のNIT値を有する磁性粉を選択することもでき、また磁性粉の結晶化処理あるいは非晶化処理などにより所望のNIT値を有する磁性粉を得ることもできる。
第1金属磁性粉および第2金属磁性粉のいずれか一方または両方には、絶縁被膜が形成されていてもよい。
絶縁被膜の構成材料としては、例えば、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カドミウムのようなリン酸塩、ケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩(水ガラス)、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウ酸塩ガラス、硫酸塩ガラス等の無機被膜が好ましく用いられる。無機被膜は、特に絶縁性に優れていることから、誘導電流によるジュール損失を特に小さく抑えることができる。また、絶縁被膜を設けることにより、金属材料で構成された各粒子間の絶縁性を特に高めることができる。
絶縁被膜の厚みは、好ましくは5〜100nm、さらに好ましくは5〜50nm、特に好ましくは10〜30nmの範囲にある。絶縁被膜の厚みが薄過ぎると十分な耐食性が得られず、また厚過ぎると金属磁性材料間の間隔が広がってしまい、圧粉磁心としての透磁率μが低下することがある。
本実施形態に係る圧粉磁心を構成する第1金属磁性粉および第2金属磁性粉の大きさ、形状は特に限定はされない。第1金属磁性粉は変形性を有し、第2金属磁性粉間の空隙を充填するため、第1金属磁性粉および第2金属磁性粉の形状がいかなる形状であっても高い充填率が達成できる。したがって、第1金属磁性粉および第2金属磁性粉の形状は特に限定されず、例えば、球形状、楕円形状、円柱形状、多角柱、針状ないし棒状形状、板状形状、円板形状、薄片形状、鱗片形状、不定形状などが挙げられる。また、第1金属磁性粉は変形性を有し、第2金属磁性粉間の空隙を充填するため、第1金属磁性粉は、第2金属磁性粉よりも比較的小粒径であることが好ましい。何ら制限されるものではないが、第1金属磁性粉の円相当径は、好ましくは10〜30μm、さらに好ましくは15〜25μmであり、第2金属磁性粉の円相当径は好ましくは30〜60μm、さらに好ましくは40〜50μmの範囲にある。
圧粉磁心における第1金属磁性粉と第2金属磁性粉との配合比は特に限定はされない。NIT値の高い第2金属磁性粉は、一般的に非晶質であり、結晶質磁性粉に比べて高い透磁率を示すため、圧粉磁心の主成分とすることが好ましい。したがって、第1金属磁性粉と第2金属磁性粉との合計100質量部当り、第1金属磁性粉の配合量は、好ましくは30〜50質量部、さらに好ましくは35〜45質量部であり、第2金属磁性粉の配合量は、好ましくは70〜50質量部、さらに好ましくは65〜55質量部の範囲にある。
第1金属磁性粉は、変形しやすく、また変形後の形状を維持する性質を有する。一方の第2金属磁性粉は比較的硬質であり、変形性は低い。このため、圧粉成形時に第2金属磁性粉の間の空隙に第1金属磁性粉が充填され、またその状態を維持する。この結果、金属磁性粉の充填率が向上し、また保型性に優れた圧粉磁心が得られる。そして、第1金属磁性粉がバインダーとしての機能を果たすため、樹脂系バインダーの使用量を削減でき、究極的には樹脂系のバインダーを用いることなく圧粉磁心を得ることもできる。
したがって、本実施形態に係る圧粉磁心では、圧粉磁心の全質量に対する樹脂成分の含有量を2質量%以下とすることができ、また好ましい実施形態では1質量%以下とすることもできる。さらには、バインダーを配合することなく、圧粉成形体を得ても良い。
なお、使用してもよいバインダーを構成する樹脂としては、公知の樹脂を用いることができる。具体的には、各種有機高分子樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示される。
(圧粉磁心の製造方法)
圧粉磁心の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。まず、第1金属磁性粉と第2金属磁性粉と、必要に応じバインダーとを混合し、混合粉を得る。また、必要に応じて、得られた混合粉を造粒粉としてもよい。そして、混合粉または造粒粉を金型内に充填して圧縮成形し、作製すべき磁性体(圧粉磁心)の形状を有する成形体を得る。得られた成形体に対して、熱処理を行うことにより、金属磁性粉が固定された所定形状の圧粉磁心が得られる。熱硬化処理の条件に特に制限はなく、例えば150〜220℃で1〜10時間、熱処理を行う。また、熱処理時の雰囲気にも特に制限はなく、大気中で熱処理をしてもよい。得られた圧粉磁心に、ワイヤを所定回数だけ巻回することにより、インダクタ等のコイル型電子部品が得られる。
また、上記の混合粉または造粒粉と、ワイヤを所定回数だけ巻回して形成された空心コイルとを、金型内に充填して圧縮成形しコイルが内部に埋設された成形体を得てもよい。得られた成形体に対して、熱処理を行うことにより、コイルが埋設された所定形状の圧粉磁心が得られる。このような圧粉磁心は、その内部にコイルが埋設されているので、インダクタ等のコイル型電子部品として機能する。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
以下、実施例を用いて、発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記において、NIT値は以下のように測定した。
<NIT値測定>
ナノインデンテーション測定装置として、超微小押し込み硬さ試験機(ENT−1100a、株式会社エリオニクス製)を使用して、金属磁性粉のNIT値を測定した。金属磁性粉の表面が平面になるように研磨した。研磨は、研磨紙で研磨した後、バフ研磨(6μm)を行い、さらにバフ研磨(1μm)を行った。なお、粉体が小さすぎると正確な測定が行えないため、各金属磁性粉の中から、比較的大粒の粉体を使用する。測定する磁性粉の種類にもよるが、50〜100μm程度の粉体を使用することで、信頼性の高い測定値が得られる。
測定装置の基盤上に載置した試料の表面にダイヤモンド製の三角錐の圧子を1000000μNの加重まで押し込んだ(圧入)後、その圧子を取り除く(除荷)までの荷重(P)と変位(圧入深さh)の関係(圧入(負荷)−除荷曲線)を測定した。下記式に基づきNIT値を算出した。
NIT(%)=100β/(α+β)
使用した各金属磁性粉のNIT値、円相当径、形状を下表にまとめる。下表で、Exは実施例を表し、CExは比較例を表す。
Figure 0006961359
(実施例1)
第1金属磁性粉として、NIT値16%、円相当径20μmのFe系磁性粉を準備した(磁性粉1A)。また、第2金属磁性粉として、NIT値59%、円相当径45μmの楕円形状のアモルファス系磁性粉を準備した(磁性粉2A)。
磁性粉1Aを40質量部、磁性粉2Aを60質量部混合した。混合粉を外径17.5mm、内径11.0mmのトロイダル形状の金型内に充填し、成形圧980MPaで加圧し圧粉磁心の成形体を得た。成形体重量は5gとした。作製した圧粉磁心の成形体を200℃で5時間、大気中での熱硬化処理を行い、圧粉磁心を得た。
(実施例2)
第1金属磁性粉として、NIT値25%、円相当径23μmのFeNiSiCo系磁性粉を準備した(磁性粉1B)。また、第2金属磁性粉として、NIT値65%、円相当径47μmの球状のアモルファス系磁性粉を準備した(磁性粉2B)。
磁性粉1Bを40質量部、磁性粉2Bを60質量部混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(実施例3)
第1金属磁性粉として、磁性粉1Bを準備した。また、第2金属磁性粉として、NIT値65%、円相当径40μmの破片状のアモルファス系磁性粉を準備した(磁性粉2C)。
磁性粉1Bを40質量部、磁性粉2Cを60質量部混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(実施例4)
第1金属磁性粉として、磁性粉1Aを準備した。また、第2金属磁性粉として、NIT値70%、円相当径42μmの楕円形状のアモルファス系磁性粉を準備した(磁性粉2D)。
磁性粉1Aを40質量部、磁性粉2Dを60質量部混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(実施例5)
第1金属磁性粉として、磁性粉1Bを準備した。また、第2金属磁性粉として、磁性粉2Aを準備した。また、バインダーとして、熱硬化樹脂であるエポキシ樹脂および硬化剤であるイミド樹脂を準備した(以下「バインダー」と記載)。
磁性粉1Bを40質量部、磁性粉2Aを60質量部、および磁性粉の合計重量に対し2質量%のバインダーを混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(実施例6)
第1金属磁性粉として、磁性粉1Aを準備した。また、第2金属磁性粉として、NIT値63%、円相当径50μmの不定形状のアモルファス系磁性粉を準備した(磁性粉2E)。
磁性粉1Aを40質量部、磁性粉2Eを60質量部混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(実施例7)
第1金属磁性粉として、磁性粉1Bを準備した。また、第2金属磁性粉として、NIT値86%、円相当径36μmの楕円形状のアモルファス系磁性粉を準備した(磁性粉2F)。
磁性粉1Bを40質量部、磁性粉2Fを60質量部およびバインダー1質量%を混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(実施例8)
第1金属磁性粉として、磁性粉1Aを準備した。また、第2金属磁性粉として、磁性粉2Aを準備した。
磁性粉1Aを30質量部、磁性粉2Aを70質量部混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(実施例9)
第1金属磁性粉として、磁性粉1Aを準備した。また、第2金属磁性粉として、磁性粉2Aを準備した。
磁性粉1Aを50質量部、磁性粉2Aを50質量部混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(実施例10)
第1金属磁性粉として、磁性粉1Aを準備した。また、第2金属磁性粉として、磁性粉2Aを準備した。また、これらとは別にNIT値63%、円相当径40μmの不定形状のアモルファス系磁性粉を準備した(磁性粉3A)。
磁性粉1Aを40質量部、磁性粉2Aを60質量部、磁性粉3Aを10質量部混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(比較例1)
比較例1では、NIT値が30%を超える第2金属磁性粉を2種用いた。
第2金属磁性粉として、磁性粉2Aを準備した。また、これらとは別にNIT値33%、円相当径20μmの不定形状のFe−2Si系磁性粉を準備した(磁性粉2G)。
磁性粉2Gを40質量部、磁性粉2Aを60質量部混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(比較例2)
第2金属磁性粉として、磁性粉2Bおよび2Gを準備した。
磁性粉2Gを40質量部、磁性粉2Bを60質量部混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(比較例3)
磁性粉2Aのみを使用して、実施例1と同様に圧粉成形を行なったが、保型性が悪く、磁心形状を維持できなかった。
(比較例4)
磁性粉2Cのみを使用して、実施例1と同様に圧粉成形を行なったが、保型性が悪く、磁心形状を維持できなかった。
(比較例5)
比較例5では、NIT値が30%を超える第2金属磁性粉を2種用いた。
第2金属磁性粉として、磁性粉2Aを準備した。また、これとは別にNIT値65%、円相当径40μmの楕円形状のアモルファス系磁性粉を準備した(磁性粉2H)。
磁性粉2Aを40質量部、磁性粉2Hを60質量部混合し、実施例1と同様に圧粉成形を行なったが、保型性が悪く、磁心形状を維持できなかった。
(比較例6)
磁性粉2Hにバインダー3質量%混合し、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
(比較例7)
比較例7では、実施例1の第1金属磁性粉(磁性粉1A)に代えて、NIT値5%、円相当径15μmの純Fe系磁性粉(磁性粉3B)を使用した以外は、実施例1と同様に圧粉成形を行なったが、保型性が悪く、磁心形状を維持できなかった。
(比較例8)
比較例8では、実施例1の第2金属磁性粉(磁性粉2A)に代えて、NIT値95%、円相当径45μmの破片状のアモルファス系磁性粉(磁性粉3C)を使用した以外は、実施例1と同様に圧粉成形を行なったが、保型性が悪く、磁心形状を維持できなかった。
(比較例9)
磁性粉1Aのみを使用して、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。
上記で作成した各圧粉磁心について、以下の評価を行った。
<保型性>
作成した圧粉磁心を、目視及び拡大鏡で観察する。コアの崩れ、割れ、クラックの有無を観察し全てにおいて異常が無いかどうかを確認する。異常が無い場合を「良好」とし、僅かに異常はあるが、コア形状を維持できる場合には「可」として、コア形状が維持できなかった場合を「不良」とした。なお、保型性が不良の場合には、以下の相対密度、透磁率、コアロスの測定は行っていない。
<相対密度>
得られた圧粉磁心の密度を、その寸法および質量から算出し、算出された圧粉磁心の密度を、磁性粉の質量比率から計算した真密度で除して、占積率(相対密度)を算出した。
<透磁率>
得られた圧粉磁心について、初透磁率を測定した。初透磁率は、圧粉磁心にワイヤを巻きつけ巻き数を12turnとして、LCRメーター(HP社LCR428A)によって測定した。
<コアロス>
得られたトロイダルコアサンプルに、1次巻線および2次巻線を1次20回2次14回ずつ巻回し、2MHz、10mT、23℃での電力損失Pcvを測定した(単位:kW/m3)。測定は、B−Hアナライザー(岩崎通信機株式会社製SY−8232)を用いて行った。
以上の結果を下表にまとめる。
Figure 0006961359
上記より、NIT値が10%以上30%以下の第1金属磁性粉と、NIT値が30%を超え90%以下の第2金属磁性粉とを組み合わせて使用することで、保型性、相対密度、透磁率の高い圧粉磁心が得られることが分かる。第1金属磁性粉を使用しない場合には、十分な保型性が得られず、磁心の形状が維持できないか(比較例3、4、5)、または相対密度の低い磁心が得られる(比較例1、2)。第1金属磁性粉を使用しない場合でも、バインダーを配合することで、磁心成形は可能であるが、相対密度が低下し、透磁率も低下する(比較例6)。第1金属磁性粉に代えて、NIT値が過度に低い金属磁性粉を用いても、磁心の形状維持はできなかった(比較例7)。第2金属磁性粉に代えて、NIT値が過度に高い金属磁性粉を用いても、磁心の形状維持はできなかった(比較例8)。また、第2金属磁性粉を用いない場合には、透磁率が上がらず、保型性も十分ではなかった(比較例9)。

Claims (6)

  1. NIT値が10%以上30%以下の第1金属磁性粉と、NIT値が30%を超え90%以下の第2金属磁性粉とを含み、
    圧粉磁心の全質量に対する樹脂成分の含有量が1質量%以下である圧粉磁心。
  2. 第1金属磁性粉と第2金属磁性粉との合計100質量部当り、第1金属磁性粉を30〜50質量部、第2金属磁性粉を70〜50質量部の割合で含む請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 第1金属磁性粉のNIT値と第2金属磁性粉のNIT値との差が60%以下である請求項1または2に記載の圧粉磁心。
  4. 第1金属磁性粉のNIT値と第2金属磁性粉のNIT値との差が50%以下である請求項に記載の圧粉磁心。
  5. 第1金属磁性粉および第2金属磁性粉がともにFe系軟磁性粉である請求項1〜のいずれかに記載の圧粉磁心。
  6. 第1金属磁性粉および第2金属磁性粉のいずれか一方または両方が絶縁被膜を有する請求項1〜のいずれかに記載の圧粉磁心。
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