JP6960848B2 - グロープラグ - Google Patents

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Description

本発明はグロープラグに関する。
近年、ディーゼルエンジンの排ガス規制の強化に伴い、グロープラグの高温化が要求されている。そこで、高温化を達成するために、W(タングステン)を主成分とする発熱体を筒状体(チューブ)内に備えたグロープラグが提案されている(特許文献1参照)。
国際公開第2014/206847号
しかし、特許文献1のグロープラグでは、個体間での温度性能がばらつく虞があった。これは、発熱体の材料の主成分として用いられるタングステン(W)が、抵抗比(発熱体の20℃における抵抗値に対する1000℃における抵抗値の比)が大きいことに起因している。発熱体における常温時での個体間の抵抗値にばらつきが生じていると、発熱体におけるグロープラグ通電時の個体間の抵抗値のばらつきがより大きくなり、その結果、個体間での温度性能がばらついてしまうことがあった。
ところで、特許文献1のグロープラグでは、筒状体の先端の溶融部内に発熱体が挿入されて両者が接合されている。この際、溶融部内に挿入される発熱体の量が個体間でばらつくと、発熱体における常温時での個体間の抵抗値にばらつきが生じてしまうことがあった。特に、グロープラグを製造する際、筒状体の先端を溶融凝固させて、溶融部内に発熱体を固定する。このとき、筒状体の溶ける量がばらつくと、溶融部内に挿入される発熱体の挿入量が個体間でばらつく場合がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、個体間で温度性能のばらつきを低減させることを目的とする。
(1)本発明の一形態によれば、
先端が溶融部にて閉塞された筒状体と、
前記筒状体の内側に配置されたコイル状でWを主成分とする発熱体と、を備えるグロープラグであって、
前記発熱体の先端部は、前記溶融部内に挿入されて、前記筒状体と接合されており、
前記グロープラグを、前記グロープラグの軸線に沿うように切断した切断面において、
前記溶融部内に少なくとも一部が配置されつつ、前記軸線の一方側に配された前記発熱体の断面のうち最後端に位置する断面を第1発熱体断面とし、
前記溶融部外に配置され、前記軸線の一方側に配された前記発熱体の断面のうち最先端に位置する断面を第2発熱体断面とし、
前記溶融部外に配置され、前記軸線の一方側に配された前記発熱体の断面のうち前記第2発熱体断面の1つ後ろ側に位置する断面を第3発熱体断面とした場合に、
前記第1発熱体断面の最後端と前記第2発熱体断面の最先端との前記軸線の方向における距離Aは、前記第2発熱体断面の最後端と前記第3発熱体断面の最先端との前記軸線の方向における距離Bより大きいことを特徴とする。
本発明の一形態によれば、距離Aを距離Bよりも大きくしている。つまり、距離Aを広げ、この距離Aの間に、溶融部の後端面が配される構成とされている。従って、例えば、筒状体の溶ける量がばらついて、溶融部の後端面の位置が多少前後したとしても、この後端面の位置を第1発熱体断面と第2発熱体断面のコイル間に確実に入れることができる。よって、溶融部内に発熱体の先端部の所定の量だけを確実に挿入することができ、発熱体における常温時での個体間の抵抗値のばらつきを抑制することができる。従って、個体間の温度性能のばらつきが低減される。
なお、「第1発熱体断面」は、溶融部内に少なくとも一部が配置されていればよく、第1発熱体断面全体が溶融部内に配置されていても良いし、第1発熱体断面の一部が溶融部内に配置されていても良い。
(2)前記距離Aと前記距離Bが、
1.30≦A/B≦4.00の関係式を満たす(1)に記載のグロープラグとすることができる。
上記関係式を満たすと、グロープラグの昇温性能を十分に確保しつつ、発熱体における常温時での個体間の抵抗値のばらつきを抑制することができる。
(3)前記断面において、前記溶融部内に配置されつつ、前記軸線の一方側に配された前記発熱体の断面のうち前記第1発熱体断面の1つ先端側に位置する断面を第4発熱体断面とした場合に、前記第4発熱体断面の最後端と前記第1発熱体断面の最先端との前記軸線の方向における距離C(C=0を含む)は、前記距離B以下である(1)又は(2)に記載のグロープラグとすることができる。
第4発熱体断面と第1発熱体断面の距離Cを、距離B以下とすることで、発熱体先端から筒状体表面までの肉厚を確保することができる。よって、筒状体が摩耗した際の発熱体の露出を抑制することできる。
この形態のグロープラグでは、温度性能のばらつきの低減と、耐久性の向上を両立できる。
なお、ここで、「C=0」とは、第4発熱体断面の最後端と第1発熱体断面の最先端は、軸線の方向における位置が同一であることを意味する。
(4)前記切断面において、前記溶融部内に配置されつつ、前記軸線の一方側に配された前記発熱体の断面のうち前記第1発熱体断面の1つ先端側に位置する断面を第4発熱体断面とし、
前記第4発熱体断面の径方向の最外側部が、前記第1発熱体断面の径方向の最内側部よりも内側に位置しており、
前記第4発熱体断面の最後端が前記第1発熱体断面の最先端よりも後端側に配置されている(1)又は(2)に記載のグロープラグとすることができる。
第4発熱体断面の最後端を、第1発熱体断面の最先端よりも後端側に配置することで、発熱体先端から筒状体表面までの肉厚を確保することができる。よって、筒状体が摩耗した際の発熱体の露出を抑制することできる。
この形態のグロープラグでは、温度性能のばらつきの低減と、耐久性の向上を両立できる。
グロープラグを示す図である。 シースヒータの詳細な構成を示す断面図である。 シース管の先端部付近の断面図である。 グロープラグの製造方法を示すフローチャートである。 ステップS20における溶接工程を示す説明図である。 他の実施形態のステップS20における溶接工程を示す説明図である。 他の実施形態のシース管の先端部付近の断面図である。
1.グロープラグ
図1は、グロープラグ10を示す図である。グロープラグ10は、熱を発生させるシースヒータ(発熱装置)800を備え、ディーゼルエンジンを始めとする内燃機関(図示せず)の始動時における点火を補助する熱源として機能する。グロープラグ10は、シースヒータ800の他、中軸200と、主体金具500とを主に備える。これらグロープラグ10を構成する部材は、グロープラグ10の軸線方向ODに沿って組み付けられている。図1では、軸線Oから紙面右側に外観構成を図示し、軸線Oから紙面左側に断面構成を図示した。なお、本明細書では、グロープラグ10におけるシースヒータ800側を「先端側」と呼び、係合部材100側を「後端側」と呼ぶ。
主体金具500は、炭素鋼を筒状に成形した部材である。主体金具500は、先端側の端部においてシースヒータ800を保持する。また、主体金具500は、後端側の端部において絶縁部材410及びOリング460を介して中軸200を保持する。絶縁部材410の軸線Oに沿った位置は、絶縁部材410の後端に接するリング300が中軸200に加締められることで固定される。さらに、主体金具500の軸孔510内には、絶縁部材410からシースヒータ800に至る中軸200の部位が配置される。軸孔510は、軸線Oに沿って形成された貫通孔であり、中軸200よりも大きな径を有する。軸孔510に中軸200が位置決めされた状態で、軸孔510と中軸200との間には、両者を電気的に絶縁する空隙が形成される。また、軸孔510の先端側には、シースヒータ800が圧入されて接合されている。さらに、主体金具500は、工具係合部520と、雄ネジ部540とを備える。主体金具500の工具係合部520は、グロープラグ10の取り付け及び取り外しに用いられる工具(図示せず)に係合する。雄ネジ部540は、内燃機関(図示せず)に形成された雌ネジに嵌り合う。
中軸200は、導電材料で円柱状(棒状)に成形された部材である。中軸200は、主体金具500の軸孔510に挿入された状態で軸線Oに沿って組み付けられる。中軸200は、先端側に形成された先端部210と、後端側に設けられた雄ネジ部290とを備える。先端部210は、シースヒータ800の内部に挿入される。雄ネジ部290は、主体金具500から後端側に突出している。雄ネジ部290には、係合部材100が嵌り合う。
図2は、シースヒータ800の詳細な構成を示す断面図である。シースヒータ800は、シースヒータ800の内部に中軸200の先端部210が挿入された状態で、主体金具500の軸孔510内に圧入され接合されている。シースヒータ800は、シース管810と、発熱コイル820と、後端コイル830と、絶縁体870とを備える。発熱コイル820のことを「先端コイル」とも呼ぶ。発熱コイル820は、本発明のコイル状の発熱体に相当する。
シース管810は、軸線方向ODに延び、先端が閉じられた筒状部材であり、本発明の筒状体に相当する。シース管810は、発熱コイル820と、後端コイル830と、絶縁体870と、を内包する。シース管810は、軸線方向ODに延びる側面部814と、側面部814の先端側に接続し、外側に向けて丸く形成された先端部813と、先端部813とは反対側に開口した端部である後端部819とを備える。この後端部819からシース管810の内部に中軸200の先端部210が挿入されている。シース管810は、パッキン600及び絶縁体870によって中軸200と電気的に絶縁される。一方、シース管810は、主体金具500と接触して電気的に接続されている。シース管810は、例えば、鉄(Fe)とクロム(Cr)と炭素(C)とを含有するオーステナイト系ステンレス材料や、インコネル601(「INCONEL」は登録商標)、Alloy602(ドイツ工業規格(DIN)で規定されたDIN2.4633合金に相当)といったニッケル(Ni)基合金によって形成されている。
絶縁体870は、電気絶縁性を有する絶縁材料の粉末により形成されている。絶縁体870としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)の粉末が用いられる。絶縁体870は、シース管810が中軸200、発熱コイル820、及び後端コイル830を内包することによって、シース管810内に形成された隙間に充填(配置)され、その隙間を電気的に絶縁する。
発熱コイル820は、シース管810の内側に軸線方向ODに沿って配置され、通電によって発熱する。発熱コイル820は、先端側のコイル端部である先端部822と、後端側のコイル端部である後端部829とを備える。先端部822は、シース管810の先端部813内に位置しており、シース管810と電気的に接続される。後端部829は、発熱コイル820と後端コイル830とが溶接されることによって形成された接続部840を介して、後端コイル830と電気的に接続される。発熱コイル820の主成分は、タングステン(W)である。なお、主成分とは、含有率(質量%)が50質量%以上の物質をいう。また、発熱コイル820におけるタングステン(W)の含有率は、99質量%以上であることがより好ましい。
発熱コイル820の線径は特に限定されないが、好ましくは0.1mm〜0.25mmである。
後端コイル830は、先端側のコイル端部である先端部831と、後端側のコイル端部である後端部839とを備える。先端部831は、発熱コイル820の後端部829に溶接されることにより発熱コイル820と電気的に接続される。後端部839は、中軸200の先端部210に接合されることにより中軸200と電気的に接続される。後端コイル830は、例えば、ニッケル(Ni)−クロム(Cr)合金や、鉄(Fe)−クロム(Cr)−アルミニウム(Al)合金により形成されている。
なお、急速昇温性を確保する観点から、グロープラグ10の20℃における抵抗値R20は、0.6(Ω)以下であることが好ましい。グロープラグ10の20℃における抵抗値R20とは、本実施形態では、発熱コイル820の20℃における抵抗値と、後端コイル830の20℃における抵抗値との合計値である。本実施形態では、グロープラグ10の20℃における抵抗値R20は、0.4(Ω)である。また、本実施形態では、発熱コイル820の20℃での抵抗値R120に対する1000℃での抵抗値R11000の比である抵抗比R1と、後端コイル830の20℃での抵抗値R220に対する1000℃での抵抗値R21000の比である抵抗比R2とは、R1>R2の関係にある。
図3は、シース管810の先端部813付近の断面図である。シース管810は、先端が溶融部891にて閉塞されている。
図3は、グロープラグ10を、グロープラグの軸線Oに沿いつつ、溶融部891内の発熱コイル820の断面が軸線Oを中心線とした両側に同数現れるように切断した切断面を示している。図3においては、軸線Oよりも右側を一方側とし、軸線Oよりも左側を他方側とする。図3では、溶融部891内の両側にそれぞれ2つの断面が現れている。図3には、軸線Oを通る位置において切断された発熱コイル820と、シース管810と、絶縁体870と、が示されている。
シース管810の溶融部891には、柱状晶(デンドライト)が含まれている一方、溶融部891以外の母材部893は、溶融部891の組織とは異なる組織を有している。母材部893の組織としては、例えば、繊維状組織、鍛造組織等が含まれている。なお、柱状晶、繊維状組織、鍛造組織であるか否かの判断は、切断面をシュウ酸溶液中で電解エッチングする(JIS G 5071 2012年発行)等の公知の金属組織観察により行うことができる。
発熱コイル820の先端のn巻(nは自然数)は、溶融部891内に挿入された状態とされている。本実施形態では、発熱コイル820の先端の2巻が溶融部891内に挿入された状態とされている。
図3に示すように、溶融部891内では、軸線Oの一方側及び他方側に、それぞれ先端側(図面下側)から順に1巻目901、2巻目902が現れている。
溶融部891の外では、軸線Oの一方側及び他方側に、それぞれ先端側(図面下側)から順に3巻目903、4巻目904が現れている。
溶融部891内には、軸線Oの一方側に配された発熱コイル820の断面のうち最後端に位置する第1発熱体断面902aが現れている。また、溶融部891内には、軸線Oの一方側に配された発熱コイル820の断面のうち第1発熱体断面902aの1つ先端側に位置する第4発熱体断面901aが現れている。また、溶融部891の外では、軸線Oの一方側に配された発熱コイル820の断面のうち最先端に位置する第2発熱体断面903aが現れている。さらに、溶融部891の外では、軸線Oの一方側に配された発熱コイル820の断面のうち第2発熱体断面903aの1つ後ろ側に位置する第3発熱体断面904aが現れている。
本実施形態では、第1発熱体断面902aと第2発熱体断面903aの距離Aが、第2発熱体断面903aと第3発熱体断面904aの距離Bよりも大きくされている。
距離Aの値は、特に限定されないが、好ましくは0.2mmより大きく0.6mm以下である。
距離Bの値は、特に限定されないが、好ましくは0.1mm以上0.2mm以下である。
このように、距離Aが、距離Bよりも大きくされていると以下の作用効果を奏する。
本発明の一形態によれば、距離Aを広げ、この距離Aの間に、溶融部891の後端面895が配される構成とされている。従って、例えば、シース管810の溶ける量がばらついて、溶融部891の後端面895の位置が前後したとしても、この後端面895の位置を第1発熱体断面902aと第2発熱体断面903aの間に確実に入れることができる。よって、溶融部891内に発熱コイル820の先端部の所定の量だけを確実に挿入することができ、常温時での個体間の抵抗値のばらつきを抑制することができる。従って、個体間の温度性能のばらつきが低減されるとともに、発熱コイル820がシース管810から外れることを抑制することができる。なお、以上の関係によって、個体間の温度性能のばらつきが低減する点については、後述する実施例によって詳細に説明する。
さらに、本実施形態では、距離Aと距離Bが、以下の関係式を満たすことが好ましい。
1.30≦A/B≦4.00
A/Bが1.30以上であると、個体間の温度性能のばらつきを抑制することできる。A/Bが4.00以下であると、グロープラグ10の昇温性能を十分に確保できる。
さらに、本実施形態では、第4発熱体断面901aと第1発熱体断面902aとの距離Cが、距離B以下であることが望ましい。
第4発熱体断面901aと第1発熱体断面902aの距離Cの値は、特に限定されないが、好ましくは0mm以上、0.10mm以下である。
距離Cを、距離B以下とすることで、発熱コイル820の先端からシース管810の表面までの肉厚(図3において符号Dで示す厚み)を確保することができる。よって、シース管810が摩耗した際のコイル820の露出を抑制することでき、耐久性を向上できる。
ここで、他の実施形態(変形例)のグロープラグ10について、図7を参照しつつ説明する。なお、他の実施形態のグロープラグ10において、既述実施形態のグロープラグ10と略同じ構成部位には同符号を付けて、構造、作用及び効果の説明は省略する。
他の実施形態では、既述実施形態と同様に、第4発熱体断面901aの径方向の最外側部901aaが、第1発熱体断面902aの径方向の最内側部902aaよりも内側に位置している。
他の実施形態では、次の点が、既述の実施形態と相違している。
すなわち、第4発熱体断面901aの最後端901abが、第1発熱体断面902aの最先端902abよりも後端側に配置されている。つまり、第4発熱体断面901aと第2発熱体断面902aとが、軸線方向ODにおいて重なるように配置されている。この配置とすることで、発熱コイル820の先端からシース管810の表面までの肉厚(図7において符号Dで示す厚み)を確保することができる。よって、シース管810が摩耗した際のコイル820の露出を抑制することでき、耐久性を向上できる。
2.グロープラグ10の製造方法
図4は、グロープラグ10の製造方法を示すフローチャートである。グロープラグ10の製造では、まず、発熱コイル820と中軸200と、が溶接される(ステップS10)。具体的には発熱コイル820と後端コイル830とが溶接され、さらに、後端コイル830の後端部839と、中軸200の先端部210と、が溶接される。次に、発熱コイル820の先端部822と、シース管810の先端部813と、が溶接される(ステップS20)。ステップS20を「溶接工程」とも呼ぶ。
図5は、ステップS20における溶接工程を示す説明図である。この工程では、まず、開口815を有する先端部813Pを備え、この開口815に向かって次第に縮径する形状に成形されたシース管810Pを用意する。用意されたシース管810Pの先端部813Pの内側に、発熱コイル820の先端部822の2巻き目822Pを当接するようにして配置する(図5(a))。次に、先端部813Pの外側から、例えばアーク溶接によって先端部813Pを溶融して凝固させることにより開口815を閉塞させつつ、発熱コイル820の先端部822とシース管810の先端部813とを溶接する(図5(b))。こうすることにより、発熱コイル820の先端部822がシース管810の先端部813に取り囲まれて埋め込まれる。また、溶接工程において、発熱コイル820の融点より低く、シース管810の融点より高い温度で発熱コイル820とシース管810とが溶接されるように、溶接機器の出力や、溶接時間などを調整する。
なお、シース管810の先端部813と発熱コイル820の先端部822との間に、シース管810を構成する金属と発熱コイル820を構成する金属との合金が形成された場合、その合金からなる合金部の厚さは10(μm)以下である。合金部は、発熱コイル820の先端部822とシース管810の先端部813との境界付近を例えばEPMA(Electron Probe Micro Analyser)などによって分析することにより検出して、厚さを算出することができる。なお、本実施形態のグロープラグ10には、合金部は形成されていない。
ステップS20における溶接工程が完了すると、次に、シース管810の内に絶縁体870が充填される(ステップS30)。絶縁体870が、発熱コイル820と、後端コイル830と、中軸200とを内包することによってシース管810内に形成された空隙に充填されて、シースヒータ800の組み立てが完了する。
シースヒータ800が組み立てられると、シースヒータ800に対し、スウェージング加工が施される(ステップS40)。スウェージング加工とは、シースヒータ800に対して打撃力を加えてシースヒータ800を縮径させ、シース管810内に充填した絶縁体870を緻密化させる加工である。スウェージングに伴ってシースヒータ800に打撃力が加えられると、打撃力がシースヒータ800内部に伝えられることにより、絶縁体870が緻密化される。
シースヒータ800にスウェージング加工が施されると、シースヒータ800と主体金具500とが組み付けられて、グロープラグ10が組み立てられ(ステップS50)、グロープラグ10が完成する。具体的には、中軸200が一体化されたシースヒータ800を主体金具500の軸孔510に圧入して固定すると共に、主体金具500の後端部分において、Oリング460や絶縁部材410を中軸200に嵌め込み、係合部材100を主体金具500の後端に設けられた中軸200の雄ネジ部290に締め付ける。また、ステップS50では、グロープラグ10に対してエージング処理が施される。具体的には、組み立てられたグロープラグ10に通電することによって、シースヒータ800を発熱させて、シースヒータ800の外表面に酸化膜を形成させる。
実施例により本発明を更に具体的に説明する。
なお、実験例2〜6は、本発明の実施例に該当し、実験例1は、比較例に該当する。
1.グロープラグの作製
各実験例のグロープラグ10では、発熱コイル820の先端形状をそれぞれ調整することによって、距離A、距離B、距離Cを調整した。
その他の条件は以下の通りである。
・発熱コイル820には、タングステン材(線径φ0.20mm)を使用した。
・後端コイル830には、ニッケル−クロム合金材(線径φ0.38mm)を使用した。
・常温抵抗値は0.330Ωに調整した。
・シース管810の外径は、細径部をφ3.25mmとした。
・各距離は、温度測定後のグロープラグ10を解体し、グロープラグの軸線Oに沿いつつ、溶融部891内の発熱コイル820の断面が軸線Oを中心線とした両側に同数現れるように切断した切断面を用いて測定した。
後端コイル830の先端部831と、発熱コイル820の後端部829とが溶接された部分が、左側(他方側)に現れようにして、右側(一方側)の切断面において各コイル間クリアランスを測定した。
2.性能試験
2.1 温度のばらつき
各実験例について、それぞれ20本のグロープラグ10を用意した。各グロープラグ10に定格電圧を印加して、100秒後の温度を測定した。各実験例の20本のグロープラグ10の温度について3σの値を求め、次のように評価した。
3σの値が70℃未満;○(良好)
3σの値が70℃以上;×(不良)
ここで、定格電圧は次のようにして決定した。すなわち、各実験例の最初の1本の電圧感度を測定して、電圧と温度との関係を求め、温度が1100℃となる電圧を定格電圧とした。
なお、温度は、シース管810の先端から2mmの位置を、PR熱電対(白金−白金ロジウム熱電対)及び放射温度計にて測定した。
2.2 耐久性
各グロープラグ10に、2秒で1000℃昇温する電圧を印加後、1100℃で飽和となる電圧を180秒間継続して印加した。その後、120秒間風冷し、常温に戻した。これを1サイクルとするサイクル試験を実施した。各グロープラグ10に対して7000サイクル実施した。この耐久試験中に断線が発生するか否かを次のように評価した。
500時間後(約6000サイクル後)も断線なし;○(良好)
500時間(約6000サイクル)よりも前に断線;×(不良)
なお、温度は、シース管810の先端から2mmの位置を、PR熱電対(白金−白金ロジウム熱電対)及び放射温度計にて測定した。
2.3 急速昇温性
各グロープラグ10に、11Vを2秒印加した際の2秒後の温度を測定した。温度は、シース管810の先端から2mmの位置を、PR熱電対(白金−白金ロジウム熱電対)及び放射温度計にて測定した。この急速昇温性は次のように評価した。
2秒時到達温度 900℃以上;○(良好)
2秒時到達温度 900℃未満;×(不良)
3.試験結果
試験結果を表1に示す。
Figure 0006960848
実験例2〜6では、温度のばらつきの指標である3σの値が70℃未満であり、個々のグロープラグ10の温度のばらつきが少なかった。一方、実験例1では、温度のばらつきの指標である3σの値が70℃以上であり、温度のばらつきが大きかった。従って、距離Aが、距離Bよりも大きくされている場合には、個体間の温度性能のばらつきが低減できることが確認された。
さらに、A/Bの値が1.30以上4.00以下の要件も満たす実験例2、3では、個体間の温度性能のばらつきを抑制でき、しかも昇温性能を十分に確保できることが確認された。
また、1巻目と2巻目の距離Cが、距離B以下という要件も満たす実験例2〜5は、約6000サイクル後であっても、発熱コイルの先端が、シース管の先端から露出することなかった。このように、距離Cが、距離B以下の場合には、耐久性が優れることが確認された。
<他の実施形態(変形例)>
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
(1)上記実施形態では、グロープラグ10は、図5(a)に示すように、開口815を有するシース管810Pを用いて製造されていたが、図6(a)に示すように製造に用いるシース管810Rに開口を設けなくてもよい。図6では、上記実施形態のグロープラグと略同じ構成部位には同符号を付けて、構造、作用及び効果の説明は省略する。
(2)上記実施形態では、発熱コイル820の先端の2巻が溶融部891内に挿入された状態について説明したが、これに限られることはない。例えば、発熱コイル820の先端の1〜5巻が溶融部891内に挿入された状態であっても良い。
10…グロープラグ
100…係合部材
200…中軸
210…先端部
290…雄ネジ部
300…リング
410…絶縁部材
460…Oリング
500…主体金具
510…軸孔
520…工具係合部
540…雄ネジ部
600…パッキン
601…インコネル
800…シースヒータ
810…シース管
813…先端部
814…側面部
815…開口
819…後端部
820…発熱コイル
822…先端部
829…後端部
830…後端コイル
831…先端部
839…後端部
840…接続部
870…絶縁体
890…溶融部
891…溶融部
893…母材部
901…1巻目
902…2巻目
903…3巻目
904…4巻目

Claims (3)

  1. 先端が溶融部にて閉塞された筒状体と、
    前記筒状体の内側に配置されたコイル状でWを主成分とする発熱体と、を備えるグロープラグであって、
    前記発熱体の先端部は、前記溶融部内に挿入されて、前記筒状体と接合されており、
    前記グロープラグを、前記グロープラグの軸線に沿うように切断した切断面において、
    前記溶融部内に少なくとも一部が配置されつつ、前記軸線の一方側に配された前記発熱体の断面のうち最後端に位置する断面を第1発熱体断面とし、
    前記溶融部外に配置され、前記軸線の一方側に配された前記発熱体の断面のうち最先端に位置する断面を第2発熱体断面とし、
    前記溶融部外に配置され、前記軸線の一方側に配された前記発熱体の断面のうち前記第2発熱体断面の1つ後ろ側に位置する断面を第3発熱体断面とした場合に、
    前記第1発熱体断面の最後端と前記第2発熱体断面の最先端との前記軸線の方向における距離Aは、前記第2発熱体断面の最後端と前記第3発熱体断面の最先端との前記軸線の方向における距離Bより大きく、
    前記距離Aと前記距離Bが、
    1.30≦A/B≦4.00の関係式を満たすグロープラグ。
  2. 前記切断面において、
    前記溶融部内に配置されつつ、前記軸線の一方側に配された前記発熱体の断面のうち前記第1発熱体断面の1つ先端側に位置する断面を第4発熱体断面とし、
    前記第4発熱体断面の最後端と前記第1発熱体断面の最先端との前記軸線の方向における距離C(C=0を含む)は、前記距離B以下である請求項1に記載のグロープラグ。
  3. 前記切断面において、
    前記溶融部内に配置されつつ、前記軸線の一方側に配された前記発熱体の断面のうち前記第1発熱体断面の1つ先端側に位置する断面を第4発熱体断面とし、
    前記第4発熱体断面の径方向の最外側部が、前記第1発熱体断面の径方向の最内側部よりも内側に位置しており、
    前記第4発熱体断面の最後端が前記第1発熱体断面の最先端よりも後端側に配置されている請求項1又は請求項2に記載のグロープラグ。
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