JP6960815B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、植物繊維及び結着剤を含む。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等のポリエステル、ポリスチレン、ポリメタアクリレート、ポリアクリレート等のアクリル樹脂、ナイロン(ポリアミド)、ポリカーボネート、ポリアセタール等を挙げることができる。熱可塑性樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記植物繊維としては、通常、主成分が天然セルロースであるパルプ繊維が好適に用いられる。なお、主成分とは、質量基準で最も含有量の多い成分をいう。植物繊維中の天然セルロースの含有量の下限は、60質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。植物繊維の原料は、針葉樹、広葉樹、竹、葦等の草本系であってもよく、再生紙であっても良い。ただし、原料の入手のしやすさ等の点から、木材由来又は古紙由来のパルプが好ましい。通常、パルプを叩解することなどによって、所望の植物繊維を得ることができる。
ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の機械パルプ;
茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ;古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)などが挙げられる。
上記結着剤は、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂からなる。この結着剤は、熱可塑性樹脂と植物繊維との相溶性や接合性を高めることができ、これにより熱可塑性樹脂組成物の強度が高まるものと推測される。当該熱可塑性樹脂組成物中において、この結着剤は、熱可塑性樹脂と植物繊維との間に介在する、あるいは、植物繊維の表面の少なくとも一部に付着して存在していると推測される。
当該熱可塑性樹脂組成物は、更に相溶化剤を含有することが好ましい。相溶化剤は、熱可塑性樹脂と植物繊維との相溶性、分散性などを高め、その結果、強度を高めることができる。
当該熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、無機充填剤等を挙げることができる。
当該熱可塑性樹脂の製造方法は特に限定されず、例えば熱可塑性樹脂、植物繊維及び結着剤を混合することによって得ることができるが、以下の方法によって製造することが好ましい。
植物繊維及び結着剤を含む混合物を用意する工程(A)と、
上記混合物を熱可塑性樹脂に添加する工程(C)と
を備える。
上記工程(C)より前に、上記混合物に対する物理的解繊処理により、混合物の体積平均粒子径を5μm以上300μm以下に調整する工程(B)と、
上記工程(C)より後に、上記混合物が添加された熱可塑性樹脂を混練処理する工程(D)と
を備えることが好ましい。
以下、工程順に、各工程について詳説する。
工程(A)においては、植物繊維及び結着剤を含む混合物を用意する。この工程(A)は、以下の工程(A1)及び工程(A2)のいずれかを含む。
工程(A1)植物繊維と結着剤とを混合する工程
工程(A2)結着剤を含有する古紙由来の古紙パルプを用意する工程
上記工程(A1)は、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂を含む一般的な紙を製造する方法と同様の方法によって行うことができる。以下、工程(A1)について説明する。
工程(A2)は、工程(A1)のように、結着剤を含む紙シートを製造するかわりに、結着剤を含有する古紙由来の古紙パルプを用意する工程である。この古紙パルプが、植物繊維及び結着剤を含む混合物である。このような古紙パルプは、古紙となる前の段階において、実質的に工程(A1)を経て製造されており、このような古紙パルプを用いても、上記工程(A1)と同様の上述した効果を得ることができる。
工程(B)においては、上記混合物(紙シート又は古紙パルプ)に対する物理的解繊処理により、混合物の体積平均粒子径を50μm以上300μm以下に調整する。物理的解繊処理としては、乾式粉砕が挙げられる。乾式粉砕することで、粒子の大きさが均一になるため好ましい。粉砕は、ミキサー、ハンマーミル、カッターミル、石臼状マスコロイダー等で行うことができるが、生産性などの点からハンマーミルを用いることが好ましい。
工程(C)においては、上記混合物を熱可塑性樹脂に添加する。このとき、熱可塑性樹脂には、相溶化剤、無機充填剤等の他の成分が添加されていてもよい。各成分の添加は、同時であってもよく、別々であってもよい。
工程(D)においては、上記混合物が添加された熱可塑性樹脂を混練処理する。この混練処理は、通常、溶融混練である。混練は、熱可塑性樹脂のペレットに直接繊維を練りこむ方法でも良いし、熱可塑性樹脂の粉末と上記混合物とを水中で分散し、脱水・乾燥の後、混練する固相せん断法と呼ばれる方法でも良い。
当該熱可塑性樹脂組成物は、従来公知の方法で成形し、強度の高い成形体を得ることができる。成形体の大きさや厚さ、形状等は、特に限定されず、例えばシート状、ペレット状、粉末状、繊維状等とすることができる。
各種測定及び評価は、以下の方法により行った。
JIS P8121−2:2012に準拠して測定した。
植物繊維の水分散液を用いて体積基準粒度分布を測定し、植物繊維の粒子径としてメジアン径(D50)を求めた。
混合物の水分散液を用いて体積基準粒度分布を測定し、混合物の粒子径としてメジアン径(D50)を測定した。
JIS K7171:2008(プラスチック−曲げ特性の求め方)に準拠して測定した。
(紙シートの製造:工程(A))
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクレファイナーにてカナダ標準フリーネス640mLに調整し、植物繊維とした。この植物繊維100質量部に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂であるスミレーズレジンAC36質量部(住友化学、有姿、濃度8%)、硫酸バンド4質量部(有姿、濃度27%)、アニオン性ポリアクリルアミドハーマイドF15 2質量部(ハリマ化成、有姿、濃度15%)を加え、原料スラリーを調製した。
上記紙シートをカッターミルで粉砕し、混合物粒子(D50:90μm、嵩密度:120g/m3)を得た。なお、混合物粒子中の植物繊維の粒子径(D50)も90μmであった。
上記混合物粒子10質量部、相溶化剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン粉末(化薬アクゾ製のカヤブリッド)5質量部、及び熱可塑性樹脂としてのポリプロピレン粉末(日本ポリプロ製、ノバテックPP射出成型グレードM3、粒径500μm程度、融点158℃)85質量部を500mlビーカー中で撹拌し、混合処理を行った。混合した粉末を180℃に調整した二軸混練機にて45rpmで混練し、実施例1の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物をペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
上記熱可塑性樹脂組成物ペレットを180℃で直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)に射出成形した。
混合物粒子と相溶化剤と熱可塑性樹脂とを50質量部、5質量部及び45質量部で混合したこと以外は、実施例1と同様に行った。
上記メラミン−ホルムアルデヒド樹脂をポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂とした以外は、実施例1と同様に行った。
混合物粒子のかわりに、LBKPパルプを家庭用ジューサーミキサーにて2000回転/分にて5分間粉砕した粒子(嵩密度:60g/m3)を使用した以外は、実施例1と同様に行った。
混合物粒子のかわりに、レッテンマイヤー社製のセルロース微粒子(D50:200μm)を使用した以外は実施例1と同様に行った。
得られた各直方体試験片について、上記した方法にて、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。測定結果を表1に示す。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂、植物繊維及び結着剤を含有し、
上記結着剤が、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂からなり、
上記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン及びポリアセタールから選択される1又は2以上の組合せからなり、
上記植物繊維100質量部に対する上記結着剤の含有量が、0.5質量部以上20質量部以下である熱可塑性樹脂組成物。 - 上記植物繊維の主成分が天然セルロースである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記植物繊維の体積平均粒子径が、5μm以上300μm以下であり、
上記結着剤が、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂及び/又はポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂である請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 植物繊維及び結着剤を含む混合物を用意する工程と、
上記混合物を熱可塑性樹脂に添加する工程と
を備え、
上記混合物を用意する工程が、
植物繊維と結着剤とを混合する工程、又は
結着剤を含有する古紙由来の古紙パルプを用意する工程を含み、
上記結着剤が、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂からなる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 上記添加する工程より前に、上記混合物に対する物理的解繊処理により、混合物の体積平均粒子径を5μm以上300μm以下に調整する工程と、
上記添加する工程より後に、上記混合物が添加された熱可塑性樹脂を混練処理する工程と
を備える請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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