以下、本発明の過熱水蒸気発生装置の実施形態について図を参照して説明する。まず、本発明の一実施形態に係る過熱水蒸気発生装置20を備えた過熱水蒸気発生システム10の構成例を図1に基づいて説明する。図1には、過熱水蒸気発生システム10の構成例を示す模式図が図示されている。
図1に示すように、過熱水蒸気発生システム10は、主に、筐体11、ボイラー装置12、供給管13、中継管14、排出管15、制御装置17、配線18,19、過熱水蒸気発生装置20等により構成されている。例えば、筐体11は、供給管13の導入側端や排出管15の排出側端を除いて、ボイラー装置12、供給管13、中継管14、排出管15、制御装置17、配線18,19、過熱水蒸気発生装置20等を収容している。
ボイラー装置12は、供給管13を介して供給される水を加熱して飽和水蒸気を発生させる飽和水蒸気発生装置である。水は、図略の水源から供給管13の導入側端に流入して供給されている。ボイラー装置12は、例えば、供給管13から供給された水を所定の水位以上で貯留するリザーバと、このリザーバに蓄えられた水を内部に導入するとともに水面上方の空間部に中継管14が接続されているボイラーと、このボイラー内の水に浸かるように底部に設けられ外部から供給される電力により発熱可能な電熱ヒーターと、により構成されている。電熱ヒーターは、配線18を介して制御装置17に電気的に接続されており、制御装置17により制御されている駆動電力の供給を受けて水を100℃以上(ほぼ大気圧下)に加熱する。なお、ボイラー装置12を構成する、リザーバ、ボイラーおよび電熱ヒーターは、図示されていない。
過熱水蒸気発生装置20は、ボイラー装置12から中継管14を介して導入された飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を発生させその過熱水蒸気を排出管15から排出するブースター(補助加熱装置)である。即ち、ボイラー装置12では、電熱ヒーターに駆動電力が供給されることによりボイラー内の水が沸騰して飽和水蒸気が発生し、当該飽和水蒸気は中継管14に排出される。過熱水蒸気発生装置20は、中継管14から流入した飽和水蒸気を、例えば、250℃以上で加熱して過熱水蒸気を発生させる。この過熱水蒸気発生装置20の構成については、後で図2〜図4を参照して詳述する。そのため、ここでは機能概要等の説明に留める。過熱水蒸気発生装置20は、その熱源としてカートリッジヒーター30(図4を参照)を備えている。このカートリッジヒーター30は、配線19を介して制御装置17に電気的に接続されており、駆動電力の供給を制御装置17により制御されている。
制御装置17は、例えば、マイクロコンピュータである。典型的には、マイクロプロセッサ、メモリ、入出力インタフェース、電源ユニット等により構成されており、メモリに記憶されている所定の制御プログラムをマイクロプロセッサが実行することにより、ボイラー装置12の電熱ヒーターや過熱水蒸気発生装置20のカートリッジヒーター30を制御している。これらの制御は、例えば、ボイラー装置12のボイラーや過熱水蒸気発生装置20に設けられている図略の温度センサ等から出力される温度情報に基づいて、ボイラー内の水やカートリッジヒーター30がそれぞれ予め設定されている所定の温度になるように行われている。
次に、過熱水蒸気発生装置20の構成等を図2〜図5に基づいて説明する。図2には、過熱水蒸気発生装置20の外観構成の例を示す側面図が図示されている。また図3には、過熱水蒸気発生装置20の正面図、背面図および径方向断面図がそれぞれ図示されている。さらに図4には、過熱水蒸気発生装置20の軸方向断面図が図示されている。また図5には、過熱水蒸気発生装置20内を流れる水蒸気の流通経路の例を表された説明図が図示されている。
過熱水蒸気発生装置20は、主に、ハウジング21、入力パイプ23、出力パイプ24、プレート25、パッキン26、カートリッジヒーター30、細管40等により構成されており、過熱水蒸気発生システム10の筐体11内の所定位置に取り付けられている。なお、図1においては、当該過熱水蒸気発生装置20は、図面表現の便宜上、単なる矩形状の記号で表されていることに注意されたい。
ハウジング21は、例えばステンレス鋼製(以下「ステンレス製」という)の円筒管であり、軸長(長手方向の長さ)が約20cm、軸径(長手方向の軸に対して直交する方向の長さ)が約2cmに設定されている。ハウジング21の一端部21aには、平板円環形状(鍔形状)を有するステンレス製のフランジ部22aが溶接されている。フランジ部22aは、例えば、直径が約5cmに設定されており、その径方向中央部に、カートリッジヒーター30を挿通可能な貫通穴が形成され、またこの貫通穴を囲むように、ボルト27を螺合可能な雌ねじ孔が4箇所に形成されている。
ハウジング21の他端部21bには、出力パイプ24に連通可能な排出穴を有する底部22bが形成されている。また、ハウジング21の周壁21cには、その一端部21a側に入力パイプ23に連通可能な導入穴が形成されている。
入力パイプ23は、ステンレス製の円筒管であり、例えば、その管軸方向の形状がL字状をなすように形成されている。入力パイプ23の一端部には、中継管14に連通かつ接続可能な導入口23aが形成されており、また入力パイプ23の他端部は、ハウジング21の周壁21cの導入穴に連通可能に周壁21cに溶接されている。
本実施形態では、入力パイプ23がハウジング21の周壁21cに設けられることで、後述のように、カートリッジヒーター30の本体31がハウジング21のほぼ軸上に位置する場合においては、本体31から径方向に離れた位置に入力パイプ23が設けられる。そのため、例えば、カートリッジヒーター30(本体31)をハウジング21に取り付けたり、ハウジング21からカートリッジヒーター30(本体31)を取り外したりする際に、入力パイプ23等が邪魔になり難い。したがって、過熱水蒸気発生装置20の製造工程やメンテナンス時における作業効率を向上させることができる。
出力パイプ24も、入力パイプ23と同様に、ステンレス製の円筒管であり、例えば、所定長さの直線状に形成されている。出力パイプ24の一端部には、排出管15を連通かつ接続可能な排出口24aが形成されており、また出力パイプ24の他端部は、ハウジング21の底部22bの排出孔に連通可能に底部22bに溶接されている。
プレート25は、フランジ部22aと同様に、円環形状(鍔形状)を有するステンレス製の平円板である。プレート25の外形は、フランジ部22aとほぼ同形状に形成されているが、カートリッジヒーター30のテーパーねじ33に螺合可能な雌ねじ穴が径方向の中央に形成されている点と、この雌ねじ穴を囲むように、ボルト27を挿通可能な貫通孔が4箇所に形成されている点が異なる。
パッキン26は、耐熱性に優れた円板状のシール部材である。本実施形態では、4本のボルト27によってハウジング21のフランジ部22aにプレート25を取り付けた場合に、フランジ部22aとプレート25の間に当該パッキン26を介在させる。これにより、パッキン26は、これらの間に生じる隙間を埋め得るようにフランジ部22aとプレート25に密着し、フランジ部22aとプレート25の間の気密性を高める。パッキン26には、カートリッジヒーター30を挿通可能な貫通穴やボルト27を挿通可能な貫通孔が形成されている。
カートリッジヒーター30は、例えば、酸化マグネシウムからなるボビンにニクロム線等の発熱線を巻回したものをステンレス製の円筒管内に収容するとともに、同円筒管内に酸化マグネシウムを充填したものである。発熱線がボビンに大径かつ高密度で巻回されている点と、発熱線の両端がステンレス製の円筒管の一端側から外部に引き出されている点において、いわゆるシーズヒーターと異なる。そのため、カートリッジヒーター30は、シーズヒーターに比べて高い温度で発熱することができる。なお、ステンレス製の円筒管が発熱体に相当する。
本実施形態のカートリッジヒーター30は、主に、本体31、プラグ32、保護カバー35等により構成されており、例えば、600℃まで発熱可能である。カートリッジヒーター30は、本体31がハウジング21のほぼ軸上に位置するようにプレート25を介してハウジング21に取り付けられている。
本体31は、前述の発熱線や充填された酸化マグネシウム等を収容するステンレス製の円筒管で覆われる長尺の円柱形状をなす棒状に形成されている。本実施形態では、本体31の長さは、ハウジング21の一端部21a側から他端部21b側に及ぶ大きさに設定されている。本体31の基端には、本体31から引き出された発熱線の両端を覆うとともにテーパーねじ33が形成されたプラグ32が設けられている。
このプラグ32のテーパーねじ33は、プレート25の径方向の中央に形成されている雌ねじ穴の雌ねじに対して螺合可能であることから、プラグ32がプレート25にねじ締結されることによって、カートリッジヒーター30は、プレート25を介してハウジング21に取り付けることが可能になる。また、螺合の進行につれて拡径するテーパー形状であることから、ねじの緩みが抑制されるとともに雌ねじ穴の雌ねじとテーパーねじ33の雄ねじとの両ねじ溝間の隙間形成を抑制し両者を気密状態に密着させることが可能になる。プラグ32には、テーパーねじ33と反対側に保護カバー35が接続されている。この保護カバー35は、本体31から引き出された発熱線の両端(一端側と他端側)とこれらに接続される配線19の接続部とを覆う。
細管40は、真鍮(黄銅)製の円筒管であり、本実施形態では、軸長が約17cmに設定されている。本実施形態では、細管40は、ハウジング21内に収容された場合において、細管40の一端部40aが入力パイプ23に連通する周壁21cの導入穴よりもハウジング21の他端部21b側に位置し、かつ、細管40の他端部40bがカートリッジヒーター30の本体31の先端よりもハウジング21の一端部21a側に位置するように、軸長が設定されている。
これにより、細管40の一端部40aが入力パイプ23に連通する周壁21cの導入穴よりもハウジング21の一端部21a側に位置している場合に比べて、入力パイプ23から流入した飽和水蒸気を細管40の一端部40aに導き易くなるので、細管40の内側を流通することなく細管40の外側を通る飽和水蒸気を減らすことが可能になる。したがって、飽和水蒸気の加熱効率を向上させることができる。
また、細管40は、その外周壁がカートリッジヒーター30の本体31の外周壁31aに接触するようにハウジング21内に収容されている。また、細管40の外周壁が、それに隣接する他の細管40の外周壁にも接触するようにハウジング21内に収容されている。細管40の外周壁は、ハウジング21の周壁21cの内周面にも接触している。
本実施形態では、本体31の全周囲を取り囲み得るように、8本の細管40をハウジング21内に収容している(図3(C)参照)。なお、図示されていないが、これらの細管40と周壁21cとの間に形成される隙間には、例えば、真鍮製の棒体が介在している。この棒体の径方向(長手方向の軸に対して直交する方向)の断面は、例えば、円形状、楕円形状、矩形状、三角形状、五角形状等の多角形状等、当該隙間の存在により細管40がその径方向に移動し難い形状に形成されている。これにより、ハウジング21内で細管40がガタツキ難くして過熱水蒸気発生装置20が振動した場合に生じ得る騒音の発生を抑制している。
このように過熱水蒸気発生装置20を構成することによって、カートリッジヒーター30の本体31が、例えば、約300℃で発熱すると、その熱が本体31の周囲に配置された複数の細管40に直接的に伝わる。そのため、入力パイプ23の導入口23aから導入された飽和水蒸気がこれらの細管40の一端部40aから管内に流入して細管40の内周壁に接することにより、本体31の熱が細管40を介して当該飽和水蒸気に熱伝達されることから、当該飽和水蒸気体は、例えば、250℃〜290℃で加熱される。これにより、細管40の他端部40bから流出する水蒸気は過熱水蒸気になるため、出力パイプ24の排出口24aから過熱水蒸気が排出される(図5に示す矢印付きの破線)。
また、ハウジング21内においては、細管40の外側を飽和水蒸気が細管40の外周壁に接することによっても当該飽和水蒸気に熱伝達されることから、このような飽和水蒸気も、細管40の外周壁で、例えば、250℃前後に加熱される。これにより、細管40の外周壁に沿って他端部40bから流出する水蒸気も過熱水蒸気になるため、出力パイプ24の排出口24aから過熱水蒸気が排出される。
さらに、細管40の外周壁がハウジング21の周壁21cの内周面にも接触することから、本体31が発した熱の一部は、細管40を介して周壁21cに伝わる。そのため、ハウジング21内において、細管40の外側を流通する飽和水蒸気が周壁21cの内周面に接することで当該飽和水蒸気に熱伝達されることから、このような飽和水蒸気も、例えば、250℃前後に加熱される。これにより、ハウジング21の周壁21cの内周面に沿って他端部21bから流出する水蒸気も過熱水蒸気になるため、出力パイプ24の排出口24aから過熱水蒸気が排出される。
本実施形態では、細管40を真鍮(黄銅)製にしている。これにより、細管40をステンレス鋼で構成する場合に比べて細管40の部品コストを抑制することが可能になる。真鍮(黄銅)は、一般的に、ステンレス鋼に比べて低コストであり、また熱伝導率も高いからである。また、発熱した本体31の熱を細管40やハウジング21の周壁21cに効率良く伝えることも可能になる。真鍮の熱伝導率は、混合している銅と亜鉛の配分に左右されるものの、ステンレス鋼の熱伝導率(16.7〜20.9)に比べて桁違いに大きい(真鍮は106)からである。なお、熱伝導率の単位は、[W/(m・K)](W(ワット),m(メートル),K(ケルビン))である。
なお、真鍮の溶解温度も、混合している銅と亜鉛の配分に左右され、一般的には800℃前後であるが、400℃前後で変性したり軟化したりし得る。そのため、本実施形態では、カートリッジヒーター30の発熱温度の上限を予め350℃に設定し、本体31が発熱温度が350℃以下になるように制御装置17により制御している。本実施形態の過熱水蒸気発生装置20は、各図を見ても解るように温度センサを備えていない。そのため、本実施形態では、例えば、温度センサの代わりにカートリッジヒーター30を構成するニクロム線等の発熱線の抵抗値を測定し、その抵抗値から本体31の発熱温度を推定する。
より具体的には、制御装置17は、カートリッジヒーター30に対する駆動電力を間欠的に供給し、駆動電力を供給していない期間中に本体31の発熱線の抵抗値を測定する。そして、この測定により得られた抵抗値を、予め設定されている所定のマップを用いて本体31の発熱温度を推定する。例えば、駆動電力を供給していない期間が2分間隔で5秒間生じる場合には、その5秒間の間に本体31の発熱線の抵抗値を測定して本体31の発熱温度を推定する。抵抗値の測定は、測定精度を高めるために複数回行ってもよい。
この所定のマップは、例えば、所定サンプル数のカートリッジヒーター30に対して、本体31の外周壁31aの表面温度(例えば、300℃〜500℃)に対する当該本体31の発熱線の抵抗値を測定する。これにより得られた所定サンプル数のデータに基づいて標準的な基準データを作成し、基準データによる対応関係(本体31の発熱線の抵抗値と本体31の発熱温度との対応関係)を所定のマップとして制御装置17のメモリに予め記憶させて、本体31の発熱温度を推定に用いる。
なお、発熱線の抵抗値Rhは、例えば、配線19を介して本体31の発熱線に所定値(既知)の電流Iを流すことにより得られる電位差Vd(アナログ値)を、A/D変換器等によりディジタル値に変換し、Vd/I(=Rh)を演算することよって得られる。
このようにカートリッジヒーター30の発熱温度を制御することによって、細管40を最適な温度状態に保つことが可能になるので、細管40が真鍮製であっても、例えば、細管40の軟化や変性を防いだり、酸化による劣化を抑制したりすることも可能になる。また、カートリッジヒーター30の発熱線の寿命を延ばしたり、カートリッジヒーター30の空焚きを防いだりすることも可能になる。
以上説明したように、本実施形態の過熱水蒸気発生装置20は、飽和水蒸気を導入する入力パイプ23をハウジング21の一端部21a側に有し他端部21b側に過熱水蒸気を排出する出力パイプ24を有するハウジング21と、ハウジング21内に収容されてハウジング21の一端部21a側から他端部21b側に及ぶカートリッジヒーター30の棒状の本体31と、ハウジング21内において本体31の周囲に、本体31の外周壁31aに接して配置され、入力パイプ23からハウジング21内に導入された飽和水蒸気が一端部40a側から入り加熱された過熱水蒸気が他端部40b側から出る複数の細管40と、を備える。
過熱水蒸気発生装置20では、カートリッジヒーター30の本体31は、ハウジング21の一端部21a側から他端部21b側に及ぶ棒状であり、本体31の周囲において複数の細管40が本体31の外周壁31aに接して配置される。これにより、本体31が発熱することにより発せられた熱は、本体31の周囲に配置された複数の細管40に直接的に伝わる。また、カートリッジヒーター30の本体31の全周囲を取り囲み得るように、細管40が配置されている。
これにより、例えば、[背景技術]の欄で述べたように、束ねられた複数の加熱管の束を円筒状の外壁部分で覆いこの外壁部分の外周にヒーターを巻き付ける外周ヒータータイプの構成(特許文献1;特開2017−101910号公報)や、ステンレス鋼製の細管を複数本束ねてその周囲を円筒状の加熱管で覆いこの加熱管の外周に断熱材を介在させて加熱コイルを巻回する誘導加熱タイプの構成(特許文献2;特開2006−40714号公報)に比べて、本体31の外側に拡がるように伝わる熱が有効に活用される。そのため、加熱効率が向上することから、特許文献1,2の構成に比べ、装置の体格を大幅に小さくすることが可能になる。換言すれば、装置の体格が大幅に小さくなるため、体格が大きい場合に比べて細管40の加熱に寄与しない熱の拡散が抑制されて加熱効率が向上する。よって、簡素な構成でありながら複数の細管40を流通する飽和水蒸気を加熱することが可能になる。
したがって、装置構成を簡素にすることができる。また、複数の細管40の束の周囲にヒーターやコイルを巻回する必要がないため、ハウジング21内に細管40の束を覆う円筒形状の管等を収容する必要もない。そのため、部品点数を減らすことも可能になる。したがって、製品コストを低減することができる。
なお、上述した実施形態の過熱水蒸気発生装置20では、カートリッジヒーター30の本体31(の外周壁31a)に接するように本体31の周囲に複数の細管40を配置する構成を採用したが、本体31の外周壁31aに直接接触させることなく、外周壁31aの近傍に複数の細管40を配置する構成を採ってもよい。この構成の場合には、外周壁31aに接するように複数の細管40を配置する構成に比べると、本体31と細管40の間の熱抵抗が増加することから、飽和水蒸気の加熱効率は低下するものの、細管40を配置することのできる円周の直径を大きくすることが可能になるため、例えば、細管40の配置密度を高めたり、配置の自由度を向上したりすることが可能になる。
また、例えば、図6(A)に示すように、本体31の周囲に配置した複数の細管40の周囲を内管50で覆い、この内管50の外周に複数の細管43をさらに配置してもよい。この構成の場合には、内管50の内周面は、複数の細管40の外周壁に接触している。また、内管50の外周面は、その周囲に配置される複数の細管43の外周壁に接触している。さらに、複数の細管43の外周壁は、内管50の外周面に接触するとともに、ハウジング121(上述の実施形態のハウジング21に相当する)の周壁の内周面にも接触している。なお、細管43も真鍮製でありその軸径や軸長は、上述の実施形態の細管40と同様に設定されている。また、ハウジング121はステンレス製であり、ハウジング21よりも大径に設定されている点が、上述の実施形態のハウジング21と異なる。
さらに、例えば、図6(B)に示すように、本体31の周囲に配置した複数の細管40の束の周囲を、細管40よりも大径の細管45を複数配置してもよい。この構成の場合には、細管45は、真鍮製であり、その軸径(長手方向の軸に対して直交する方向の長さ)は、例えば、細管40の約2倍に設定されている。また細管45の軸長は、上述の実施形態の細管40と同様に設定されている。また、複数の細管45の外周壁は、細管40の外周壁に接触するとともに、ハウジング221(上述の実施形態のハウジング21に相当する)の周壁の内周面にも接触している。ハウジング221はステンレス製であり、ハウジング21よりも大径に設定されており、また板厚が厚い点等が、上述の実施形態のハウジング21と異なる。
図6(A)や図6(B)に示す構成例(改変例)のように、複数の細管40の束の周囲に、さらに複数の細管43や細管45を配置することによって、カートリッジヒーター30の本体31が発熱することにより発せられた熱は、複数の細管40の束の周囲に配置される複数の細管43や細管45にも伝わる。そのため、これらの細管43,45内を流通する飽和水蒸気も加熱することが可能になる。つまり、細管43,45を設けた分、飽和水蒸気の流量が増える。したがって、加熱することのできる飽和水蒸気の流量を増加させることができる。
なお、図6(A)や図6(B)に示す構成例(改変例)では、本体31の周囲に配置される複数の細管40が一重(一段)目を構成していると概念した場合には、さらにその周囲に配置される細管43や細管45は二重(二段)目を構成していると概念できる。このような複数段構成は、過熱水蒸気発生装置20の装置仕様により、本体31が発した熱が過熱水蒸気を発生させるために有効な温度範囲(例えば、150℃や200℃)内で伝わる限り、例えば、三重(三段)、四段(四重)や五段(五重)にしてもよい。
また、上述した実施形態やその改変例の過熱水蒸気発生装置20では、細管40,43,45を真鍮(黄銅)製にしたが、例えば、ステンレス製よりも低コストの材料であれば、例えば、アルミニウム製等の他の金属材料や非金属材料であってもよい。
なお、細管40,43,45をステンレス製で構成してもよい。これらの細管を真鍮製で構成する場合に比べて、細管自体のコストは増加するものの、本実施形態では、カートリッジヒーター30の本体31の全周囲を取り囲み得るように、細管40,43,45が配置されている。これにより、特許文献1の外周ヒータータイプの構成や、特許文献2の誘導加熱タイプの構成に比べて、本体31の外側に拡がるように伝わる熱が有効に活用される。そのため、加熱効率が向上することから、特許文献1,2の構成に比べて、装置の体格を大幅に小さくすることが可能になる。換言すれば、装置の体格が大幅に小さくなるため、体格が大きい場合に比べて細管40、43,45の加熱に寄与しない熱の拡散が抑制されて加熱効率が向上する。
したがって、特許文献1,2の構成に比べれば、装置が小型になることにより、必要な金属材料等が減少するため、製品コストの低減につながる。また、細管40,43,45をステンレス製で構成した場合においても、装置構成を簡素にすることができるため、それに伴う部品点数の減少により製品コストを低下させることが可能になる。
また、細管40,43,45をステンレス製にすることにより、カートリッジヒーター30の発熱上限温度(例えば、600℃)までこれらの細管を加熱することが可能になるため、飽和水蒸気をより高温で加熱して600℃に近い高温の過熱水蒸気を発生させることが可能になる。カートリッジヒーター30の発熱温度を低く(例えば、300℃)抑えることにより、ステンレス製の細管40,43,45の寿命を延ばす事も可能になる。
さらに、上述した実施形態やその改変例の過熱水蒸気発生装置20では、ハウジング21,121,221を円筒形状の管(円筒管)で構成したが、管の径方向断面の形状は、円形に限られることはなく、例えば、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状や、楕円形状、長円(小判)形状等の変形円形状等の任意の形状に構成してもよい。また、細管40,43,45についても、円筒形状の管(円筒管)で構成したが、管の径方向断面の形状は、円形に限られることはなく、例えば、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状や、楕円形状、長円(小判)形状等の変形円形状等の任意の形状に構成してもよい。
またさらに、上述した実施形態やその改変例の過熱水蒸気発生装置20では、カートリッジヒーター30の本体31が、ハウジング21,121,221(筒体)のほぼ軸上に位置するように構成したが、これらの筒体の軸から外れた位置にカートリッジヒーター30の本体31を配置してもよい。また、カートリッジヒーター30を複数本用いる場合には、例えば、細管40,43,45を配置した円周上に、他のカートリッジヒーター30の本体31が位置するように、他のカートリッジヒーター30を配置してもよい。
さらに、フィーダー線のメガネフィーダーの径方向(長手方向の軸に対して直交する方向)断面形状のように、2つのハウジング21を径方向に連結させてそれぞれのハウジング21のほぼ軸上にカートリッジヒーター30の本体31を配置する構成を採ってもよい。これにより、2本のカートリッジヒーター30により細管40を加熱することが可能になり、また細管40の本数も増加するため、飽和水蒸気の流量を大幅に増加させることが可能になり、過熱水蒸気の発生量を増大させることができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示し得るものである。