[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本願の光モジュールは、光を形成する光形成部を備える。光形成部は、ベース部材と、複数の半導体発光素子と、フィルタと、を含む。ベース部材は、保持面を有する。複数の半導体発光素子は、保持面上に搭載され、波長または偏光方向が異なる光を出射する。フィルタは、保持面上に搭載され、複数の半導体発光素子から出射される発散光を直接受けて合波する。保持面には、合波された発散光の光路に対応する領域に、保持面の外周の一部を含むように凹部が設けられている。半導体発光素子は、凹部の外側に位置する。
本願の光モジュールは、ベース部材に備えられ、半導体発光素子およびフィルタを搭載する保持面に、保持面の外周の一部を含むように凹部が設けられている。凹部は、合波された発散光の光路に対応する領域に設けられている。半導体発光素子は、凹部の外側に位置するように設けられている。このような凹部により、半導体発光素子から出射されフィルタによって合波された発散光のベース部材による光の進行の阻害を抑制することができる。そうすると、合波された発散光の減光が抑制され、出力される光の量を多くすることができる。
このように、本願の光モジュールによれば、出力される光の量を多くすることができる。
(2)上記光モジュールにおいては、凹部を構成する面は、合波された発散光の光路の外側に位置してもよい。このようにすることで、半導体発光素子から出射されフィルタによって合波された発散光の凹部を構成する面による光の進行の阻害をさらに抑制することができる。従って、出力される光の量をより多くすることができる。
(3)上記光モジュールにおいては、凹部を構成する面にフィルタが搭載されてもよい。このようにすることで、半導体発光素子から出射されフィルタによって合波された発散光のベース部材による光の進行の阻害をさらに抑制することができる。
(4)上記光モジュールにおいては、凹部を構成する面は、半導体発光素子が搭載される搭載面から連なる側壁面と、側壁面の搭載面が位置する側とは反対側に位置する端部から連なる底面とから構成されおり、複数の半導体発光素子から出射される光の光軸を含む面と、底面とは平行に配置され、底面上にフィルタが搭載されてもよい。このような底面上にフィルタが設けられることで、複数の半導体発光素子から出射される発散光をより容易に合波することができる。
(5)上記光モジュールにおいては、複数の半導体発光素子から出射される光の光軸を含む面に垂直な方向において、凹部を構成する面と、合波された発散光の光軸との距離は、保持面の外周に近付くにしたがって長くなるようにしてもよい。このような凹部の構成は、フィルタによって合波された発散光の光路に対応する。このため、半導体発光素子から出射されフィルタによって合波された発散光のベース部材による光の進行の阻害をさらに抑制することができる。
(6)上記光モジュールにおいては、凹部を構成する面は、複数の半導体発光素子から出射される光の光軸を含む面に垂直な方向における合波された発散光の光軸との距離が、保持面の外周に向って長くなるように連続的に傾斜している面を含んでもよい。このようにすることで、フィルタによって合波された発散光の光路に対応して、凹部を構成する面と合波された発散光の光軸との距離を長くすることができる。
(7)上記光モジュールにおいては、凹部を構成する面は、複数の半導体発光素子から出射される光の光軸を含む面に垂直な方向における合波された発散光の光軸との距離が、保持面の外周に向って長くなるように多段状に設けられた面を含んでもよい。このようにすることで、フィルタによって合波された発散光の光路に対応して、凹部を構成する面と合波された発散光の光軸との距離を長くすることができる。
(8)上記光モジュールにおいては、複数の半導体発光素子から出射される光の光軸を含む面に垂直な方向から平面的に見て、合波された発散光の光軸に垂直な方向における凹部の幅は、保持面の外周に近付くにしたがって大きくなるようにしてもよい。このような凹部の形状は、フィルタによって合波された発散光の光路に対応する形状となる。このため、半導体発光素子から出射されフィルタによって合波された発散光のベース部材による光の進行の阻害をさらに抑制することができる。
(9)上記光モジュールにおいては、複数の半導体発光素子は、赤色の光を出射する半導体発光素子、緑色の光を出射する半導体発光素子および青色の光を出射する半導体発光素子を含むようにしてもよい。フィルタは、第1フィルタと、第1フィルタとは異なる第2フィルタと、を含むようにしてもよい。第1フィルタおよび第2フィルタは、赤色の光を出射する半導体発光素子、緑色の光を出射する半導体発光素子および青色の光を出射する半導体発光素子から出射される光を合波する。このようにすることで、3つ半導体発光素子から出射される波長の異なる3つの光を合波することができる。
(10)上記光モジュールにおいては、複数の半導体発光素子は、同一の波長で偏光方向が異なる光を出射する複数の半導体発光素子を含み、フィルタは、複数の半導体発光素子から出射される偏光方向の異なる光を合波するようにしてもよい。このように同一波長の光が合波されることで、光モジュールを高出力にすることができる。
(11)上記光モジュールにおいては、半導体発光素子はレーザダイオードであってもよい。このようにすることで、波長のばらつきが小さい出射光を得ることができる。
(12)上記光モジュールにおいては、光形成部からの光を透過する出射窓を有し、光形成部を取り囲むように配置される保護部材をさらに備えてもよい。このような構成とすることで、半導体発光素子を大気中の水分や塵から保護しつつ、合波された発散光を得ることができる。
(13)上記光モジュールにおいては、出射窓に設置され、合波された発散光のスポットサイズを変換するレンズをさらに備えてもよい。このようにすることで、コンパクトな形状を維持しつつ、所望のスポットサイズの光を得ることができる。
(14)上記光モジュールにおいては、レンズはコリメートレンズであるようにしてもよい。このようにすることで、複数の光が適切に合波された平行光を得ることができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本願の光モジュールの一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における光モジュールの構造を示す概略斜視図である。図2は、実施の形態1における光モジュールの構造を示す概略斜視図である。図2は、図1に示す光モジュールからキャップを取り外した状態に対応する図である。図3は、実施の形態1における光モジュールの概略断面図である。図3は、実施の形態1における光モジュールを図2中のIII−IIIで示すZ軸方向に沿う平面で切断した場合の断面図である。
図1、図2および図3を参照して、本実施の形態における光モジュール1は、ステム10と、光を形成する光形成部20と、複数のリードピン51と、キャップ40と、を備えている。ステム10は、円盤状の形状を有する。光形成部20は、ステム10の一方の主面10A上に配置される。リードピン51は、ステム10の一方の主面10A側および他方の主面10B側の両側に突出する。キャップ40は、光形成部20を覆うようにステム10の一方の主面10A上に接触して配置される。キャップ40は、中空円筒状の形状を有する。ステム10とキャップ40とは、たとえばYAG(Yittrium Aluminium Garnet)レーザ溶接、抵抗溶接などの手法により溶接され、気密状態とされている。すなわち、光形成部20は、ステム10とキャップ40とによりハーメチックシールされている。
ステム10とキャップ40とにより取り囲まれる空間には、たとえば乾燥空気、乾燥窒素などの水分が低減(除去)された気体が封入されている。キャップ40には、光形成部20からの光を透過する出射窓41が形成されている。出射窓41には、光モジュール1から出射される光のスポットサイズを変換するレンズとして球レンズ43が配置されている。球レンズ43は、コリメートレンズである。球レンズ43は、例えばガラスからなっている。ステム10およびキャップ40は、保護部材を構成する。
図2を参照して、光形成部20は、半円柱状の形状を有するベース部材であるベースブロック60を含む。ベースブロック60は、保持面60Aを有している。保持面60Aは、Y軸方向から平面的に見て矩形状の形状を有する。ベースブロック60は、半円形状を有する底面において、ステム10の主面10Aに固定されている。保持面60Aは、ステム10の一方の主面10Aに対して交差する(より具体的には直交する)搭載面65を含む。ステム10の一方の主面10Aおよび他方の主面10Bは、X−Y平面に沿う。搭載面65は、X−Z平面に沿う。なお、以下の説明において、主面10Aに垂直な方向をZ軸方向、搭載面65および主面10Aに平行な方向をX軸方向、搭載面65に垂直な方向をY軸方向とする。
搭載面65上には、平板状の第1サブマウント71が配置されている。そして、第1サブマウント71上に、第1レーザダイオード81が配置されている。第1レーザダイオード81は、赤色の光を出射する。第1レーザダイオード81から出射される光は、発散光である。第1サブマウント71および第1レーザダイオード81は、Y軸方向から平面的に見て第1レーザダイオード81からの光が保持面60Aの一の辺に沿って出射されるように配置される。より具体的には、第1レーザダイオード81からの光は、Z軸方向に沿って出射される。
搭載面65上には、平板状の第2サブマウント72が配置されている。そして、第2サブマウント72上に、第2レーザダイオード82が配置されている。第2レーザダイオード82は、緑色の光を出射する。第2レーザダイオード82から出射される光は、発散光である。第2サブマウント72および第2レーザダイオード82は、Y軸方向から平面的に見て第2レーザダイオード82からの光が保持面60Aの上記一の辺に交差する他の辺に沿って出射されるように配置される。第2サブマウント72および第2レーザダイオード82は、第2レーザダイオード82からの光が、第1レーザダイオード81からの光と交差する方向(直交する方向)に出射されるように配置される。より具体的には、第2レーザダイオード82からの光は、X軸方向に沿って出射される。
搭載面65上には、平板状の第3サブマウント73が配置されている。そして、第3サブマウント73上に、第3レーザダイオード83が配置されている。第3レーザダイオード83は、青色の光を出射する。第3レーザダイオード83から出射される光は、発散光である。第3サブマウント73および第3レーザダイオード83は、Y軸方向から平面的に見て第3レーザダイオード83からの光が保持面60Aの上記他の辺に沿って出射されるように配置される。第3サブマウント73および第3レーザダイオード83は、第3レーザダイオード83からの光が、第1レーザダイオード81からの光と交差する方向(直交する方向)に出射されるように配置される。第3サブマウント73および第3レーザダイオード83は、第3レーザダイオード83からの光が、第2レーザダイオード82からの光に沿った方向(第2レーザダイオード82からの光に平行な方向)に出射されるように配置される。より具体的には、第3レーザダイオード83からの光は、X軸方向に沿って出射される。
第1レーザダイオード81は、Z軸方向に光を出射する。このため、第1レーザダイオード81から出射される光の光軸は、Z軸方向に沿って配置される。第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83は、X軸方向に光を出射する。このため、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83から出射される光の光軸は、X軸方向に沿って配置される。以上から、第1レーザダイオード81の光の出射方向と第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83の光の出射方向とは交差する。より具体的には、第1レーザダイオード81の光の出射方向と第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83の光の出射方向とは直交する。また、第3レーザダイオード83の設置面である第3サブマウント73の主面、第2レーザダイオード82の設置面である第2サブマウント72の主面および第1レーザダイオード81の設置面である第1サブマウント71の主面は、互いに平行である。
第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83の光軸の高さ(搭載面65を基準面とした場合の基準面と光軸との距離;Y軸方向における基準面との距離)は、第1サブマウント71、第2サブマウント72および第3サブマウント73により調整されて一致している。
光形成部20は、第1フィルタ91と、第2フィルタ92と、を含む。第1フィルタ91は、第1レーザダイオード81の出射した光と第2レーザダイオード82の出射した光とが交差する位置に対応する保持面60A上の領域に配置される。第2フィルタ92は、第1レーザダイオード81の出射した光と第3レーザダイオード83の出射した光とが交差する位置に対応する保持面60A上の領域に配置される。第1フィルタ91および第2フィルタ92は、それぞれ互いに平行な主面を有する平板状の形状を有している。第1フィルタ91および第2フィルタ92は、たとえば波長選択性フィルタである。第1フィルタ91および第2フィルタ92は、誘電体多層膜フィルタである。
第1フィルタ91は、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する。第2フィルタ92は、赤色の光および緑色の光を透過し、青色の光を反射する。このように、第1フィルタ91および第2フィルタ92は、特定の波長の光を選択的に透過および反射する。第1フィルタ91および第2フィルタ92の主面は、Z軸方向およびX軸方向に対して傾斜している。より具体的には、第1フィルタ91および第2フィルタ92の主面は、Z軸方向(第1レーザダイオード81の出射方向)およびX軸方向(第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83の出射方向)に対して45°傾斜している。
図3を参照して、第1レーザダイオード81から出射された赤色の光は、光路L1に沿って進行し、第1フィルタ91に入射する。第1フィルタ91は赤色の光を透過するため、第1レーザダイオード81から出射された光は光路L2に沿ってさらに進行し、第2フィルタ92に入射する。そして、第2フィルタ92は赤色の光を透過するため、第1レーザダイオード81から出射された光は光路L3に沿ってさらに進行する。
第2レーザダイオード82から出射された緑色の光は、光路L4に沿って進行し、第1フィルタ91に入射する。第1フィルタ91は緑色の光を反射するため、第2レーザダイオード82から出射された光は光路L2に合流する。その結果、緑色の光は赤色の光と同軸に合波され、光路L2に沿って進行し、第2フィルタ92に入射する。そして、第2フィルタ92は緑色の光を透過するため、第2レーザダイオード82から出射された光は光路L3に沿ってさらに進行する。
第3レーザダイオード83から出射された青色の光は、光路L5に沿って進行し、第2フィルタ92に入射する。第2フィルタ92は青色の光を反射するため、第3レーザダイオード83から出射された光は光路L3に合流する。その結果、青色の光は赤色の光および緑色の光と同軸に合波され、光路L3に沿って進行する。
上記のように合波された光は、光路L3に沿って進行し、キャップ40の出射窓41に配置された球レンズ43を通って光モジュール1の外部へと出射する。なお、合波された光の光軸は、Z軸方向に沿って配置される。キャップ40の出射窓41からは、赤色、緑色および青色の光が合波されて形成された光が出射することとなる。
第1レーザダイオード81から出射される光は、レンズを通過することなく第1フィルタ91および第2フィルタ92に直接到達する。第2レーザダイオード82から出射される光は、レンズを通過することなく第1フィルタ91および第2フィルタ92に直接到達する。第3レーザダイオード83から出射される光は、レンズを通過することなく第2フィルタ92に直接到達する。すなわち、第1レーザダイオード81と第1フィルタ91との間には、レンズは配置されない。また、第2レーザダイオード82と第1フィルタ91との間には、レンズは配置されない。さらに、第3レーザダイオード83と第2フィルタ92との間には、レンズは配置されない。第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83からの光は、レンズを通過することなく出射窓41に到達する。
保持面60Aには、保持面60Aの第1フィルタ91が搭載されている領域を避けて、第1フィルタ91により合波された光の出射方向側の所定の位置からベースブロック60のステム10の主面10Aが位置する側とは反対側に位置する端部61にまで至る凹部62が設けられている。凹部62は、Y軸方向に凹むように設けられている。凹部62は、保持面60Aの外周60Bの一部を含むように設けられている。凹部62は、第1フィルタ91および第2フィルタ92によって合波された光の光路に対応する領域に設けられる。より具体的には、凹部62は、第1フィルタ91および第2フィルタ92によって合波された光の光路に沿って設けられている。凹部62は、Y軸方向から平面的に見て、第1フィルタ91および第2フィルタ92によって合波された光の光路と交差する保持面60Aの外周60Bを含むように設けられている。凹部62を構成する面621は、搭載面65から連なる側壁面63と、側壁面63の搭載面65が位置する側とは反対側に位置する端部から連なる底面64とから構成されている。
Y軸方向から平面的に見て、凹部62は、保持面60Aの外周60Bに近付くにしたがって、X軸方向の幅が大きくなるテーパ状の形状を有する。Y軸方向から平面的に見て、合波された光の光路のX軸方向の幅よりも凹部62のX軸方向の幅は大きく設けられている。
図4は、実施の形態1における光モジュール1の概略断面図である。図4は、実施の形態1における光モジュール1を図2中のY−Z平面に沿う平面で切断した場合の断面図である。図4を参照して、発散光である合波された光の光路Sの外縁は、外縁S1と外縁S2とによって示される。凹部62は、合波された光の光路Sの外縁S1およびS2よりも外側に位置するように設けられている。より具体的には、凹部62の底面64は、合波された光の光路Sの外縁S1およびS2よりも外側に位置するように設けられている。なお、側壁面63についても、合波された光の光路Sの外縁S1およびS2よりも外側に位置する。
このように、実施の形態1の光モジュール1は、ベースブロック60に備えられ、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83と、第1フィルタ91および第2フィルタ92とを搭載する保持面60Aに、保持面60Aの外周60Bの一部を含むように凹部62が設けられている。凹部62は、合波された発散光の光路に対応する領域に設けられている。第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83は、凹部62の外側に位置するように設けられている。このような凹部62により、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83から出射され第1フィルタ91および第2フィルタ92によって合波された発散光のベースブロック60による光の進行の阻害を抑制することができる。そうすると、合波された発散光の減光が抑制され、出力される光の量を多くすることができる。このように、実施の形態1の光モジュール1によれば、出力される光の量が多くなる。
上記実施の形態では、凹部62を構成する面621は、合波された発散光の光路Sの外側に位置する。このようにすることで、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83から出射され第1フィルタ91および第2フィルタ92によって合波された発散光の凹部62を構成する面621による光の進行の阻害をさらに抑制することができる。従って、出力される光の量をより多くすることができる。
上記実施の形態では、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83から出射される光の光軸を含む面(X−Z平面)に垂直な方向(Y軸方向)から平面的に見て、合波された発散光の光軸に垂直な方向(X軸方向)における凹部62の幅は、保持面60Aの外周60Bに近付くにしたがって大きくなる。このような凹部62の形状は、第1フィルタ91および第2フィルタ92によって合波された発散光の光路Sに対応する形状となる。このため、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83から出射され第1フィルタ91および第2フィルタ92によって合波された発散光のベースブロック60による光の進行の阻害をさらに抑制することができる。
上記実施の形態では、凹部62を構成する面621に第2フィルタ92が搭載されている。このようにすることで、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83から出射され第1フィルタ91および第2フィルタ92によって合波された発散光のベースブロック60による光の進行の阻害をさらに抑制することができる。
上記実施の形態では、凹部62を構成する面621は、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83が搭載される搭載面65から連なる側壁面63と、側壁面63の搭載面65が位置する側とは反対側に位置する端部から連なる底面64とから構成されている。第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83から出射される光の光軸を含む面(X−Z平面)と、底面64とは平行に配置されており、底面64上に第2フィルタ92が設けられている。このような底面64に第2フィルタ92が設けられることで、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83から出射される発散光をより容易に合波することができる。
上記実施の形態では、半導体発光素子はレーザダイオードであるため、波長のばらつきが小さい出射光を得ることができる。
上記実施の形態では、光形成部20からの光を透過する出射窓41を有し、光形成部20を取り囲むように配置されるキャップ40をさらに備えるため、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83を大気中の水分や塵から保護しつつ、合波された発散光を得ることができる。
上記実施の形態では、出射窓41に設置され、合波された発散光のスポットサイズを変換する球レンズ43、をさらに備えるため、コンパクトな形状を維持しつつ、所望のスポットサイズの光を得ることができる。
上記実施の形態では、球レンズ43はコリメートレンズであるため、複数の光が適切に合波された平行光を得ることができる。
上記実施の形態では、底面64に第2フィルタ92が配置される構成としたが、これに限らず、第2フィルタ92は、凹部62の外側の保持面60A上に搭載されるようにしてもよい。
上記実施の形態では、第1フィルタ91は、凹部62の外側に位置する構成としたが、これに限らず、第1フィルタ91および第2フィルタ92は、底面64上に搭載されるようにしてもよい。このようにすることで、第1フィルタ91によって合波された発散光のベースブロック60による光の進行の阻害をさらに抑制することができる。
上記実施の形態では、凹部62は、合波された光の光路のX軸方向の幅よりも凹部62のX軸方向の幅は大きく設けられている構成としたが、これに限らず、例えばY軸方向から平面的に見て、凹部62のX軸方向の幅は、合波された光の光路のX軸方向の幅と一致するように設けてもよい。
また、上記実施形態においては、出射窓41にコリメートレンズとして球レンズ43が配置されている例を説明したが、光モジュール1はコリメートレンズなどのレンズを有していなくてもよい。例えば出射窓41には球レンズ43の代わりに平板ガラスが配置されていてもよい。また光モジュール1から出射される光の進行経路上にある、光モジュール1とは別の部材にコリメートレンズを配置することもできる。また上記光モジュールにおいては、集光位置を無限遠として設計してもよい。この場合、集光位置を無限遠として設計するために、コリメートレンズ以外の構造を採用してもよい。
上記実施形態においては、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82、および第3レーザダイオード83から出射される光は、それぞれ波長の異なる複数の色であったが、これらのレーザダイオードのうち任意の2つまたは3つが同一の波長を有する同色の色を出射するものであってもよい。
また、これらのレーザダイオードのうち任意の2つまたは3つが同一の波長で偏光方向が異なる光を出射するものであってもよい。例えば、任意の2つのレーザダイオードについて、偏光方向が垂直に交差するように配置してもよい。この場合、フィルタとしては2つのレーザダイオードから出射される偏光方向の異なる光を合波するフィルタを用いるとよい。すなわち、フィルタは偏波合成フィルタを含む構成としてもよい。このように同一波長の光が合波されることで、光モジュールを高出力にすることができる。
次に変形例について説明する。図5は、実施の形態1における光モジュール1の第1の変形例を示す概略断面図である。図5を参照して、凹部62を構成する面621は、Y軸方向における合波された発散光の光軸Tとの距離が、外周60Bに向って長くなるように連続的に傾斜している面を含む。より具体的には、凹部62を構成する面621は、搭載面65から連なる側壁面63と、傾斜面644と、を含む。傾斜面644は、Z軸方向に対して連続的に傾斜するテーパ面である。Y軸方向における傾斜面644と合波された発散光の光軸Tとの距離D1は、外周60Bに向って長くなる。このようにすることで、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82、および第3レーザダイオード83から出射され第1フィルタ91および第2フィルタ92によって合波された発散光の光路Sに対応して、凹部62を構成する面621と合波された発散光の光軸Tとの距離を長くすることができる。
図6は、実施の形態1における光モジュール1の第2の変形例を示す概略断面図である。図6を参照して、凹部62を構成する面621は、Y軸方向における合波された発散光の光軸Tとの距離が、外周60Bに向って長くなるように多段状に設けられた面を含む。より具体的には、凹部62を構成する面621は、搭載面65から連なる側壁面63と、側壁面63の搭載面65が位置する側とは反対側に位置する端部から連なる底面64とから構成される。底面64は、第一の面641と、第二の面642と、第三の面643とを含む。第一の面641および第二の面642は、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83から出射される光の光軸を含む面(X−Z平面)に平行に配置されている。第二の面642は、第一の面641よりも保持面60Aの外周60B側に位置する。第三の面643は、第一の面641と、第二の面642とを繋ぐように配置される。第三の面643は、第一の面641および第二の面642に交差する(直交する)ように配置される。なお、第2フィルタ92は、第二の面642上に搭載されている。
Y軸方向における合波された発散光の光軸Tと第二の面642との距離D3は、合波された発散光の光軸Tと第一の面641との距離D2よりも大きくなるように構成される。すなわち、第一の面641と、第二の面642とは、段差状に設けられている。この場合、凹部62を構成する面621は2段からなる面を含む。このような構成によっても、第1フィルタ91および第2フィルタ92によって合波された発散光の光路Sに対応して、凹部62を構成する面621と合波された発散光の光軸Tとの距離を長くすることができる。また、X−Z平面に平行な第二の面642に第2フィルタ92が搭載されることで、第1レーザダイオード81、第2レーザダイオード82および第3レーザダイオード83から出射される発散光をより容易に合波することができる。なお、上記変形例においては、凹部62を構成する面621は2段からなる面を含む構成としたが、これに限らず、3段以上の多段状に設けられた面を含む構成としてもよい。
(実施の形態2)
次に、本願の光モジュール1の実施の形態2について説明する。実施の形態2は、ステムと、ベース部材と、レーザダイオードおよびフィルタの数とを除いて、実施の形態1と同様の構成を有する。すなわち、実施の形態2においては、ステムおよびベース部材の構造と、レーザダイオードおよびフィルタの数が、実施の形態1の場合と異なっている。以下、実施の形態1の場合とは異なる点について主に説明する。
図7は、実施の形態2における光モジュールの構造を示す概略斜視図である。図8は、実施の形態2における光モジュールの構造を示す概略斜視図である。図8は、図7に示す光モジュールからキャップを取り外した状態に対応する図である。図9は、実施の形態2における光モジュールの構造を示す概略平面図である。
図7および図8を参照して、本実施の形態における光モジュール100は、ステム110と、光を形成する光形成部120と、キャップ140と、複数のリードピン151とを備えている。ステム110は、矩形平板状の形状を有する。光形成部120は、ステム110の一方の主面110A上に配置されている。キャップ140は、光形成部120を覆うようにステム110の一方の主面110A上に接触して配置される。リードピン151は、ステム110の他方の主面110B側から一方の主面110A側まで貫通し、一方の主面110A側および他方の主面110B側の両側に突出する。光形成部120は、実施の形態1の場合と同様に、ステム110とキャップ140とによりハーメチックシールされている。キャップ140には、光形成部120からの光を透過する出射窓141が形成されている。
図8を参照して、光形成部120は、ベース部材であるベース板160を含む。ベース板160は、Z軸方向から平面的に見て、長方形状の形状を有する。ベース板160は、保持面160Aを有する。保持面160Aは、Z軸方向から平面的に見て、矩形状の形状を有する。ベース板160の保持面160Aが位置する側とは反対側の面は、ステム110の主面110Aに固定されている。保持面160Aは、搭載面69を含む。搭載面69は、ステム10の主面110Aと平行な面である。搭載面69およびステム110の主面110Aは、いずれもX−Y平面に沿う。なお、以下の説明において、主面110Aに垂直な方向をZ軸方向、ベース板160のZ軸方向から見た時の長辺方向をX軸方向、ベース板160のZ軸方向から見た時の短辺方向をY軸方向とする。
図8および図9を参照して、搭載面69上には、平板状の第1サブマウント71と、平板状の第2サブマウント72と、第1フィルタ91とが搭載されている。第1サブマウント71上には、第1レーザダイオード81が配置されている。第1レーザダイオード81は、X軸方向に光を出射する。第1レーザダイオード81は、赤色の光を出射する。第2サブマウント72上には、第2レーザダイオード82が配置されている。第2レーザダイオード82は、Y軸方向に光を出射する。第2レーザダイオード82は、緑色の光を出射する。
第1フィルタ91は、それぞれ互いに平行な主面を有する平板状の形状を有している。第1フィルタ91の主面は、X軸方向およびY軸方向に対して傾斜している。より具体的には、第1フィルタ91の主面は、X軸方向(第1レーザダイオード81の出射方向)およびY軸方向(第2レーザダイオード82の出射方向)に対して45°傾斜している。
第1レーザダイオード81から出射された光は、光路L1に沿って進行し、第1フィルタ91に入射する。第2レーザダイオード82から出射された光は、光路L2に沿って進行し、第1フィルタ91に入射する。第1フィルタ91において合波された光は、光路L3に沿って進行し、キャップ140の出射窓141を通って光モジュール1の外部へと出射する。なお、合波された光の光軸は、X軸方向に沿って配置されている。
図8および図9を参照して、ベース板160は、保持面160Aの外周160Bの一部を含むように凹部66が設けられている。凹部66は、Z軸方向に凹むように設けられている。凹部66は、保持面160Aの1つの隅を含むように設けられている。凹部66は、合波された光の光路に対応する領域に設けられる。より具体的には、凹部66は、合波された光の光路に沿って設けられている。凹部66は、Z軸方向から平面的に見て、合波された光の光路と交差する保持面160Aの外周160Bを含むように設けられている。凹部62を構成する面621は、搭載面69から連なる側壁面67と、側壁面67の搭載面65が位置する側とは反対側に位置する端部から連なる底面68とから構成されている。
凹部66は、Z軸方向から平面的に見て、矩形状の形状を有する。Z軸方向から平面的に見て、合波された光の光路のY軸方向の幅よりも凹部66のY軸方向の幅は大きく設けられている。
第1レーザダイオード81および第2レーザダイオード82は、凹部66の外側に位置するように設けられている。第1フィルタ91は、底面68上に搭載されている。
上記実施の形態2の構造を有する光モジュール100によっても、実施の形態1と同様に、出力される光の量が多くなる。
上記実施の形態では、凹部66は、合波された光の光路のY軸方向の幅よりも凹部66のY軸方向の幅は大きく設けられている構成としたが、これに限らず、Z軸方向から平面的に見て、凹部66のY軸方向の幅は、合波された光の光路のY軸方向の幅と一致するように設けてもよい。
なお、上記サブマウントは、サブマウント上に搭載される素子等に熱膨張係数が近い材料からなるものとされ、たとえばAlN、SiC、Si、ダイヤモンドなどからなるものとすることができる。また、ステムおよびキャップを構成する材料としては、たとえば熱伝導率の高い材料である鉄、銅などを採用してもよいし、AlN、CuW、CuMoなどを採用してもよい。
上記実施の形態の構造は、本願の光モジュールの構造の一例である。上記実施の形態においては、2個または3個のレーザダイオードからの光が合波される場合について説明したが、4個以上のレーザダイオードからの光が合波されてもよい。また、上記実施の形態では、半導体発光素子の一例としてレーザダイオードが採用される場合について説明したが、半導体発光素子として発光ダイオードが採用されてもよい。またこの場合においても、これらの半導体発光素子のうち任意の2つ以上が同一の波長を有する同色の色を出射するものであってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。