JP6951840B2 - 木質構造部材 - Google Patents

木質構造部材 Download PDF

Info

Publication number
JP6951840B2
JP6951840B2 JP2016237654A JP2016237654A JP6951840B2 JP 6951840 B2 JP6951840 B2 JP 6951840B2 JP 2016237654 A JP2016237654 A JP 2016237654A JP 2016237654 A JP2016237654 A JP 2016237654A JP 6951840 B2 JP6951840 B2 JP 6951840B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wood
layer
heat insulating
wood layer
allowance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016237654A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018091108A (ja
Inventor
加藤 雅樹
雅樹 加藤
真太郎 道越
真太郎 道越
由華 池畠
由華 池畠
慎司 中濱
慎司 中濱
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taisei Corp
Original Assignee
Taisei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taisei Corp filed Critical Taisei Corp
Priority to JP2016237654A priority Critical patent/JP6951840B2/ja
Publication of JP2018091108A publication Critical patent/JP2018091108A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6951840B2 publication Critical patent/JP6951840B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Rod-Shaped Construction Members (AREA)

Description

本発明は、横断面内に木材からなる荷重支持部を有し、その周囲に木材で形成される耐火被覆部を備えた木質構造部材に関する。
平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されたことに伴い、建築物への木材利用の機運が高まっている。一方、可燃物である木材を柱材や梁材等の構造部材に使用する場合には、火災時等の安全性を確保するために耐火性を備えているのが望ましい。
木質構造部材の耐火性を確保することを目的として、荷重支持部に対して耐火被覆する耐火構造が多数開発されている。なお、耐火構造には、火災終了時においても荷重支持部が炭化しないことが求められている。
例えば、特許文献1には、木材で構成された荷重支持部と、荷重支持部にビス締結された外装部と、を備える木質構造部材が開示されている。この外装部は、荷重支持部の外側に配置される木材とモルタル板からなる燃止部材とで構成された燃止層と、燃止層の外側に配置された木材で構成された燃代層とを有している。
また、特許文献2には、難燃薬剤を実質的に含まない木材で構成された表面層と、表面層の内側に隣接する難燃薬剤が注入処理された難燃薬剤注入層とを備える木質構造部材が開示されている。
特開2015−025245号公報 特開2008−031743号公報
特許文献1に記載の木質構造部材は、燃止層がセメント系材料により構成されているため、セメント製造にエネルギーが必要となり、低炭素社会への貢献度が低下してしまう。また、特許文献2に記載の木質構造部材のうち、難燃薬剤が注入処理された木材については、建物の解体後に破棄する際に産業廃棄物となってしまう。また、木材への難燃処理に手間と費用がかかってしまう。
そのため、本発明は、木材が持つ質感を外被部に備え、かつ、外荷重を負担する主要構造部分に木材を配置した耐火性能に優れた木質構造部材を提案することを課題とする。
本発明者らは、荷重支持部の周囲に耐火被覆部を備える木質構造部材として、荷重支持部を覆うように断熱木材層を設けるとともに、その外側の燃え代木材層との間に熱伝導率が非常に小さい空気層(遮断空気層)を設けることで、断熱木材層への燃焼および炭化を抑制できることに着眼して、本発明の木質構造部材に至った。
前記課題を解決するために、本発明は、荷重支持部と、前記荷重支持部の周囲に被覆された耐火被覆部とを備える木質構造部材であって、前記耐火被覆部は、断熱木材層、遮断空気層および燃え代木材層で構成され、前記遮断空気層は、前記断熱木材層と前記燃え代木材層との間に複数の平面視矩形状あるいは平面視L字状の連結部材が介設されていることにより形成されていて、前記連結部材の一方の面は前記燃え代木材層に接着されていて、前記連結部材の他方の面は、前記燃え代木材層の延焼および炭化の範囲が拡大した際には、前記連結部材とともに前記燃え代木材層が前記断熱木材層から脱落するように、前記断熱木材層に非接着状態で当接しており、前記断熱木材層、前記遮断空気層および前記燃え代木材層は前記荷重支持部から外側に向って順に積層されてなることを特徴としている。
かかる木質構造部材によれば、火災時には燃え代木材層が外側表面から燃焼して炭化が進むが、燃え代木材層と断熱木材層との間に熱伝導率が小さい遮断空気層が設けられているため、断熱木材層の燃焼および炭化を防止し、ひいては、荷重支持部への影響を防止することができる。そのため、耐火性能を備えた木質耐火部材を構築することができ、ひいては、建築基準法を満足する耐火構造を実現することが可能となる。
また、燃え代木材層と断熱木材層との間に介設された連結部材が断熱木材層には接合されていないため、燃え代木材層の燃焼および炭化の範囲が拡大した際には、燃え代木材層とともに連結部材が断熱木材層から脱落する。そのため、炭化した燃え代木材層の内側面からの熱輻射がなくなり、荷重支持部および断熱木材層による構造体としての性能を維持することができる。
また、前記遮断空気層は、前記断熱木材層の外側の全周囲に形成されており、前記燃え代木材層は、複数の板材が積層されてなり、隣接する前記板材同士は、各板材の端部の位置をずらした状態で接合されているのが望ましい。
かかる木質構造部材によれば、燃え代木材層の表面(外面)から伝達される熱が、燃え代木材層の内側に直線的に伝達されることを防止することができ、ひいては、木質構造部材の耐火性能を向上させることができる。
本発明の木質構造部材によれば、木材が持つ質感を外被部に備え、かつ、外荷重を負担する主要構造部分に木材が配置されているため、木材のみを使用した耐火構造を実現することが可能である。また、木質構造部材は、建物解体後に産業廃棄物になることもなく、低炭素社会に貢献することができる。
(a)は第一実施形態に係る木質構造部材を示す平面図、(b)は(a)に示す木質構造部材のA−A部分拡大縦断面図である。 標準加熱温度曲線を示すグラフである。 (a)は熱伝導解析に使用した解析モデルの断面図、(b)は熱伝導解析結果による加熱後120分経過時の温度分布図である。 第一実施形態の木質構造部材の熱伝導解析結果による燃え代木材層と、断熱木材層及び荷重支持部の表面温度の推移を示すグラフである。 (a)は遮断空気層が設けられていない耐火木質部材の加熱実験結果、(b)および(c)は加熱実験前後の試験体を示す外観写真である。 (a)および(b)は2時間耐火性能を確保するための第一実施形態の木質構造部材の断面設計例である。 (a)および(b)は他の形態に係る木質構造部材を示す断面図である。
〔第一実施形態〕
本発明は、燃え代部分に相当する燃え代木材層と、加熱終了後に燃え代部分の燃焼、炭化を止めることができる燃え止まり部分に相当する遮断空気層と、断熱木材層を備えた木質構造部材である。遮断空気層は、断熱木材層と燃え代木材層との間に連結部材を設置することにより確保した所定の隙間である。また、連結部材を燃え代木材層に接着させるとともに断熱木材層に非接着状態にて設置することで、燃え代木材層が延焼して炭化が進んだ際に連結部材とともに燃え代木材層を脱落させて、断熱木材層への燃焼または炭化を遮断し、耐火性能を確保するものである。
本発明の第一実施形態を図1に示し、断熱木材層及び燃え代木材層を形成する木材の断面形状が異なる変形例を図6に示す。
以下、添付図面を参照して、本発明による木質構造部材の実施形態と、耐火性能に関する検証解析結果について、説明する。
本実施形態の木質構造部材1は、建物の柱を構成する部材であって、図1(a)に示すように、断面視正方形を呈している。なお、木質構造部材1の断面形状は限定されるものではなく、例えば、矩形状や円形状であってもよい。
木質構造部材1は、中心部分を構成する荷重支持部2と、荷重支持部2の周囲に被覆された耐火被覆部3とを備えている。
荷重支持部2は、いわゆる構造部材であって、木質構造部材1に上載あるいは接続された屋根、梁、床等を支持することが可能な断面寸法を有している。本実施形態の荷重支持部2は、断面正方形の杉の集成材により構成されている。なお、荷重支持部2を構成する材料は、杉に限定されるものではなく、例えば、檜や栂等であってもよい。また、荷重支持部2は、集成材に限定されるものではなく、無垢材であってもよい。
耐火被覆部3は、荷重支持部2の外面を覆う部材であって、構造部材ではない。本実施形態の耐火被覆部3は、断熱木材層4、遮断空気層5および燃え代木材層6が積層されてなる。
断熱木材層4は、荷重支持部2の外面に当接している。すなわち、断熱木材層4は、耐火被覆部を構成する断熱木材層4、遮断空気層5および燃え代木材層6の中で最も荷重支持部2側に配設されている。断熱木材層4は、4枚の断熱板材41,41,…を組み合わせることにより断面視枠状に形成されている。各断熱板材41は、荷重支持部2の表面に当接している。本実施形態の断熱板材41は、厚さ20mmのカラマツ板により構成されている。断熱木材層4の角部(断熱板材41同士の接合部)では、一方の断熱板材41の端面が他方の断熱板材41の板面に当接した状態で、他方の断熱板材41を貫通した木ビス42を介して接合されている。なお、断熱板材41を構成する材料はカラマツに限定されるものではなく、例えば、杉や檜等であってもよい。また、断熱板材41同士の接合方法は限定されるものではなく、例えば、接着剤により接着してもよい。また、断熱木材層4を構成する断熱板材41の枚数は限定されるものではない。すなわち、枠状の断熱板材41は、2層以上積層してもよい。また、断熱板材41の板厚は、板の種類等に応じて適宜決定すればよい。なお、断熱板材41を2層以上積層する場合には、積層された断熱板材41の端部の位置をずらすのが望ましい。
遮断空気層5は、断熱木材層4の外側に形成された空気層である。すなわち、遮断空気層5は、断熱木材層4と燃え代木材層6との間に形成された断面視枠状の隙間(空間)である。遮断空気層5の角部には、連結部材7,7,…が配設されている。すなわち、遮断空気層5は、断熱木材層4と燃え代木材層6との間にスペーサーとしての連結部材7が介設されていることにより形成されている。連結部材7の一方の面は燃え代木材層6に接着されていて、連結部材7の他方の面は断熱木材層4に非接着状態で当接している。なお、連結部材7の燃え代木材層6への接合方法は限定されるものではなく、例えば、木ビス等により固定してもよい。また、連結部材7は、必ずしも燃え代木材層6に固定する必要はない。さらに、連結部材7は、必要に応じて設置すればよい。
連結部材7は、2枚の50cm角、10mm厚の連結板材71,71をL字状に組み合わせることにより形成されている。連結部材7は、図1(b)に示すように、高さ方向に所定の間隔をあけて複数配設されている。なお、連結部材7同士の高さ間隔は限定されるものではないが、本実施形態では500mmとする。また、連結部材7を構成する板材の寸法も限定されるものではない。また、連結部材7は、必ずしも平面視L字状である必要はなく、例えば、平面視矩形状であってもよい。また、連結部材7は、予めL字状に加工された部材であってもよい。本実施形態の連結部材7は、カラマツにより構成されているが、連結部材7を構成する材料は限定されるものではなく、他の木材、不燃材料、準不燃材料、難燃材料等により構成してもよい。例えば、鋼材、石膏ボード、ケイ酸カルシウム等により連結部材7を構成してもよい。
燃え代木材層6は、断熱木材層4の外側に隙間(遮断空気層5)を介して積層されている。本実施形態の燃え代木材層6は、4枚の燃え代板材61,61,…を角部において接合することにより断面視枠状に形成されている。本実施形態では、枠状の燃え代板材61が4枚積層されている。積層された燃え代板材61同士は、角部において板材の端部の位置をずらした状態で接合されている。燃え代木材層6の角部では、一方の燃え代板材61の端面が他方の燃え代板材61の板面に当接した状態で、他方の燃え代板材61を貫通した木ビス62を介して接合されている。本実施形態の燃え代板材61には、厚さ20mmのカラマツ板を使用する。なお、燃え代板材61を構成する材料はカラマツに限定さえるものではない。また、燃え代板材61同士の接合方法は限定されるものではなく、例えば、接着剤により接着してもよい。また、断熱板材41の板厚は、板の種類や燃え代木材層6の層厚等に応じて適宜決定すればよい。例えば、カラマツよりも炭化速度が大きい杉を燃え代板材61として使用する場合には板厚を大きくする。また、燃え代板材61の角部の構造は限定されるものではなく、必ずしも積層された燃え代板材61の端部同士をずらしておく必要はない。
燃え代木材層6の層厚(燃え代板材61の板厚や積層数)は、想定される火災時の加熱温度および加熱時間に応じて決定する。以下、図2に示すISO834の標準加熱温度曲線に基づき、本実施形態の木質構造部材1の外被部分に、1時間加熱温度を加えた場合について、燃え代木材層6の層厚を決定する手順を示す。
先ず始めに、燃え代木材層6の層厚は、加熱温度が木の発火温度(約500℃)以下に下がるまで、燃え代木材層6の裏面(遮断空気層5との境界面)が炭化しないように設定する。次に、図2では、加熱温度が約500℃に下がるまでに100分程度経過するため、本実施形態では、燃え代木材層6の裏面が260℃(炭化する温度)に達するまで100分以上確保できるように、厚さを80mmとした。なお、より長い耐火時間が必要となることが予想される場合には、燃え代木材層6の厚さを大きくすればよい。
本実施形態の木質構造部材1によれば、木材のみを利用した耐火構造を実現することで、低炭素社会に貢献することができる。また、当該木質構造部材1は、建物の解体、廃棄時に産業廃棄物になることもない。
また、火災時には燃え代木材層6が外側表面から燃焼し、炭化が進むが、燃え代木材層6と断熱木材層4との間に熱伝導率が小さい遮断空気層5が設けられているため、断熱木材層4の燃焼および炭化を防止し、ひいては、荷重支持部2への影響を防止することができる。そのため、耐火性能を備えた木質耐火部材を構築することができ、ひいては、建築基準法を満足する耐火構造を実現することが可能となる。また、燃え代木材層6が炭化後に脱落するので燃焼が荷重支持部2に燃え移ることを防止できる。そのため、火災が発生した場合であっても、構造部材としての機能を維持することができる。また、燃え代板材61同士は、端部の位置をずらした状態で接合されているため、燃え代木材層6の表面(外面)から伝達される熱が、燃え代木材層6の内側に直線的に伝達されることを防止することができる。
断熱木材層4と燃え代木材層6との間に形成された遮断空気層5は、燃え代木材層6が燃焼している際には断熱層として機能するとともに、燃え代木材層6と断熱木材層4が分断されていることで、燃え代木材層6から断熱木材層4への連続的な炭化を防止できる。連結部材7が断熱木材層4には接合されていないため、燃え代木材層6の燃焼および炭化の範囲が拡大した際には、燃え代木材層6とともに連結部材7が断熱木材層4から脱落する。そのため、炭化した燃え代木材層6の内側面からの熱輻射がなくなるとともに、燃え代木材層6から断熱木材層4に燃え移ることが無くなり、荷重支持部2および断熱木材層4による構造体としての性能を維持することができる。
断熱木材層4が荷重支持部2の表面を覆っているため、燃え代木材層6からの輻射熱や、燃え代木材層6が脱落した後の加熱温度による荷重支持部2の炭化を抑制する。
荷重支持部2と耐火被覆部3とが別部材により構成されているため、地震や火災等よって耐火被覆部3に損傷が生じた場合は、耐火被覆部3のみを修復すればよく、したがって、補修が容易である。また、荷重支持部2と耐火被覆部3とが別部材により構成されているので、運搬時や施工時に各部材を取扱いやすい。
以下、本実施形態の木質構造部材1にISO834の標準加熱温度曲線(図2参照)の1時間加熱温度を与えた場合の熱伝導解析結果を示す。なお、本解析では、燃え代木材層6の脱落を考慮していない。
熱伝導解析には、汎用FEMプログラムであるABAQUSを使用した。解析モデルは、図3(a)および(b)に示すように、10mm角のメッシュに分割し、2次元平面伝熱要素を配置した。図3(b)は、熱伝導解析結果による加熱後120分経過時の温度分布図である。解析では、図3(a)に示す解析モデルの最外縁部分に、標準加熱温度曲線に基づく加熱温度を加えた後、360分経過後までの温度分布を確認した。また、加熱面の熱的境界条件については、有効輻射率を0.82、対流熱伝達率を23.2W/(m・K)とした。板材は全てカラマツ材を想定し、密度は539kg/m、熱伝導率は0.107W/(m・K)、比熱は1.36kJ(kg・K)、含水率は0.0%(絶乾状態)とした。さらに、空気層は熱伝導率が0.0241(W/m・K)と非常に小さいので完全断熱としてモデル化を行い、遮断空気層5における熱の移動は輻射の影響のみを考慮して形態係数を1.0とした。なお、輻射は、燃え代木材層6の裏面において最も温度が高くなる角部(測点P)の温度を用いた。
図4に示すように、加熱開始後60分までに900℃を上回る温度を本実施形態の木質構造部材1の外縁部分に加えた後、加熱開始後120分経過時には加熱温度が最大加熱時より450℃付近まで低下した状態であっても、断熱木材層4の表面温度(測点P)は、燃え代木材層6の裏面からの輻射熱の影響で上昇している。一方、荷重支持部2の表面(測点P)の温度は、断熱木材層4の表面温度が290℃程度まで上昇した場合でも、炭化温度である260℃を下回っていた。なお、本解析では、木材が燃焼した後に炭化が進んだ段階で脱落する現象等は解析モデルに取り込んでいないが、加熱温度が十分に下がった後に燃え代木材層6が脱落した場合は、断熱木材層4および荷重支持部2の温度はさらに低下すると推定される。したがって、本実施形態の木質構造部材1は、本解析結果により、燃え代木材層6と断熱木材層4の間に遮断空気層5を設けられていることで、断熱木材層4で覆われた荷重支持部2の表面温度は加熱後240分経過後であっても炭化温度260℃を下回り、耐火性能に優れた木質構造部材1であることが確認できた。
次に、図5に、遮断空気層5を備えた本実施形態の木質構造部材1(図4参照)と比較するために、遮断空気層を設けることなく、荷重支持部2の周囲に、断熱木材層4が設置された耐火木質部材の加熱実験で得られた各木材層の裏面温度と加熱時間の関係(図5(a))と、加熱実験前後の試験体の外観写真(図5(b)、(c))を示す。加熱実験は、60分間加熱した後、加熱を停止して240分後(4時間後)まで放置した。炉内平均温度は、加熱を停止してから60分経過した加熱開始から120分の時点には230℃程度まで低下した。しかし、断熱木材層4の裏面温度は、炉内の燃焼火を停止した後であっても温度が上昇し、燃焼終了180分後(3時間後)には、断熱木材層4の残火が荷重支持部2の集成材に着火し、集成材が燃え尽きた。
断熱木材層4の裏面温度は、図5(a)に示すように、燃焼停止後であっても上昇するものの、隅部の裏面温度が、中央部の裏面温度より早く上昇した。また、加熱実験終了時には、図5(c)に示すように、断熱木材を構成する荷重支持部2と断熱木材層4の各木材層は全て燃え尽きた。よって、本加熱実験では、荷重支持部2と断熱木材層4で構成される断熱木材においては、断熱木材の表面を焼く燃焼火が停止されても、断熱木材層内に留まる残火の進展を止めることは困難であり、荷重支持部2に着火した。
したがって、木質構造部材では、木材表面層の燃焼または炭化、或いは残火の進展を止める層が必要であり、燃え止まり層に相当する本発明による遮断空気層5が有効である点が確認できた。
実施例の木質構造部材1によれば、燃え代木材層6と断熱木材層4との間に遮断空気層5が形成されているため、燃え代木材層6が加熱により燃焼した場合であっても、連続的な燃焼を防ぐことができる。
また、実施例の木質構造部材1によれば、燃え代木材層6を早期に燃焼させて、木質構造部材1から脱落させることで、熱源(燃焼している木)を荷重支持部2から離隔させて、荷重支持部2に燃焼による影響が及ぶことを防止できる。
〔実施例〕
図6に、2時間耐火が必要な中低層事務所ビルの1階柱を対象とした木質構造部材1の断面設計例(実施例1、実施例2)を示す。
図6(a)は実施例1であり、柱が梁と剛接合された柱梁架構において、柱断面が940mm×940mmの正方形状の場合で、荷重支持部2が600mm×600mmである。実施例1では、荷重支持部2はカラマツ材で形成し、当該荷重支持部2から外側に向って、断熱木材層4、遮断空気層5、燃え代木材層6を順に積層した。断熱木材層4は、厚さ20mmの平板を荷重支持部2の外側面に接着させた。遮断空気層5は、隙間を10mm確保した。燃え代木材層6は、厚さ20mmの平板を7層に積層化を行い、厚さを140mmとした。
また、図6(b)は実施例2であり、柱断面が1540mm×640mmの長方形状で、荷重支持部2が1200mm×300mmである。断熱木材層4、遮断空気層5、及び燃え代木材層6は、実施例1と同様の厚さを確保した。本実施例(実施例1、実施例2)の木質構造部材1では、2時間の耐火性能を確保するために、自ら燃焼し炭化することで断熱層を形成する燃え代層に相当する燃え代木材層6の厚さを140mmとした。よって、1時間耐火の木質構造部材1の場合、燃え代木材層6の厚さが70mmに薄層化されるが、他の荷重支持部2とともに、遮断空気層5、及び断熱木材層4の厚さには変化はない。
荷重支持部2を形成するカラマツ材は、日本では北海道から本州北部にかけて分布する針葉樹であり、乾燥時の比重は0.53程度で、其々の強度特性として、圧縮強度Fcは45N/mm、引張強度は85N/mm、せん断強度8N/mm程度である。また、カラマツ材と圧縮強度が同等のコンクリートと比較した場合、木材であるカラマツ材は、芯材の有無や乾燥状態で強度のバラツキがあるものの、コンクリートに比べて、引張強度、せん断強度ともに約10倍を上回る強度特性を示す構造材である。よって、実施例1、及び実施例2によるカラマツ材を荷重支持部に用いた木質構造部材1は、Fc=45N/mm程度のコンクリート柱に相当する鉛直荷重程度まで負担できる。
〔その他の変形例〕
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、柱について説明したが、木質構造部材1の用途は柱に限定されるものではなく、例えば、梁であってもよい。
前記実施形態では、断熱板材41および燃え代板材61として平板を使用したが、断熱板材41および燃え代板材61は平板に限定されるものではない。例えば、図7(a)に示すように、断面視コ字状の成形木材を組み合わせることにより断熱木材層4または燃え代木材層6を形成してもよいし、図7(b)に示すように、断面視L字状の成形木材を組み合わせることにより断熱木材層4または燃え代木材層6を形成してもよい。
1 木質構造部材
2 荷重支持部
3 耐火被覆部
4 断熱木材層
41 断熱板材
5 遮断空気層
6 燃え代木材層
61 燃え代板材
62 木ビス
7 連結部材

Claims (2)

  1. 荷重支持部と、前記荷重支持部の周囲に被覆された耐火被覆部と、を備える木質構造部材であって、
    前記耐火被覆部は、断熱木材層、遮断空気層および燃え代木材層で構成され、
    前記遮断空気層は、前記断熱木材層と前記燃え代木材層との間に複数の平面視矩形状あるいは平面視L字状の連結部材が介設されていることにより形成されていて、
    前記連結部材の一方の面は前記燃え代木材層に接着されていて、
    前記連結部材の他方の面は、前記燃え代木材層の延焼および炭化の範囲が拡大した際には、前記連結部材とともに前記燃え代木材層が前記断熱木材層から脱落するように、前記断熱木材層に非接着状態で当接しており、
    前記断熱木材層、前記遮断空気層および前記燃え代木材層は、前記荷重支持部から外側に向って順に積層されてなることを特徴とする、木質構造部材。
  2. 前記遮断空気層は、前記断熱木材層の外側の全周囲に形成されており、
    前記燃え代木材層は、複数の板材が積層されてなり、
    隣接する前記板材同士は、各板材の端部の位置をずらした状態で接合されていることを特徴とする、請求項1に記載の木質構造部材。
JP2016237654A 2016-12-07 2016-12-07 木質構造部材 Active JP6951840B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016237654A JP6951840B2 (ja) 2016-12-07 2016-12-07 木質構造部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016237654A JP6951840B2 (ja) 2016-12-07 2016-12-07 木質構造部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018091108A JP2018091108A (ja) 2018-06-14
JP6951840B2 true JP6951840B2 (ja) 2021-10-20

Family

ID=62563617

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016237654A Active JP6951840B2 (ja) 2016-12-07 2016-12-07 木質構造部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6951840B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4213126B2 (ja) * 2005-01-17 2009-01-21 吉野産業株式会社 建造物の支柱構造
JP4664698B2 (ja) * 2005-02-09 2011-04-06 株式会社竹中工務店 複合木質構造材及び複合木質構造材の製造方法
JP5608017B2 (ja) * 2010-08-31 2014-10-15 住友林業株式会社 木製独立柱
JP6186174B2 (ja) * 2013-05-23 2017-08-23 株式会社竹中工務店 木質構造部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018091108A (ja) 2018-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2018145654A (ja) 木質耐火部材
JP5990425B2 (ja) 構造部材の接合構造
JP6414670B2 (ja) 耐火集成材
JP5990424B2 (ja) 構造部材の接合構造
JP4871660B2 (ja) 上階柱と下階柱との接合構造及び上階柱と下階柱との接合方法
JP5925426B2 (ja) 柱梁接合構造、及び柱梁接合方法
JP6824063B2 (ja) 木質耐火部材
JP4065416B2 (ja) 構造材および建築物
JP6936561B2 (ja) 柱梁接合部の耐火構造
JP2017053098A (ja) 木質構造部材の接合構造
JP6126831B2 (ja) 柱部材の接合構造、及び柱部材の接合方法
JP6951840B2 (ja) 木質構造部材
JP7174514B2 (ja) 木質耐火部材
JP6348692B2 (ja) 耐火木質部材、及び耐火木質部材の製造方法
JP7080295B2 (ja) 木質耐火部材
JP6368540B2 (ja) 床構造
JP6758560B2 (ja) 木製建築部材
JP6010430B2 (ja) 床構造
JP6890082B2 (ja) 木質壁
JP6423655B2 (ja) 床構造
JP2018017083A (ja) 接合構造
JP6308980B2 (ja) 耐火柱及び耐火梁
JP7198157B2 (ja) 接合構造
JP2014129669A (ja) 耐火性能の評価方法、及び耐火性能の試験方法
JP6758561B2 (ja) 木製建築部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190924

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210420

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210521

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210907

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210927

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6951840

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150