JP6950244B2 - 縫合糸 - Google Patents

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Description

本発明は、経管腔的内視鏡手術において、消化管等の管腔壁に形成された切開部等を縫合する縫合装置に用いられる縫合糸に関する。
経管腔的内視鏡手術(NOTES:Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery)は体表面に創を作らない低侵襲手術として近年注目を集めている。体表を切開し、体腔内の患部へ到達する従来の外科手術とは異なり、内視鏡を用いて口、肛門、尿道口、膣口等の自然孔から消化管、尿道、産道等を経由させて、患部へ処置具を到達させる。このような経管腔的内視鏡手術は、腹腔内観察、肝生検等の診断的手技から虫垂切除、胆嚢摘出、卵管結紮、卵巣摘出、胃小腸吻合など多様な手技への応用の可能性が報告されている。
経管腔的内視鏡手術において、消化管等の管腔壁に形成された切開部(穿孔部や欠損部等を含む)を縫合する縫合装置としては、特許文献1に記載のものが提案されている。この縫合装置は、縫合糸が掛け渡すように装着される二股状の糸支持部を有する前側アームと、その先端部がやじり状に形成された穿刺用の針状部材を有する後側アームと、これらを相対的に回動および移動させる機構を備えている。
ところで、このような縫合装置に用いられる縫合糸としては、特許文献1に記載されているように、糸状部材の両端部に係合部材を取り付けたものが用いられている。縫合糸は、前側アームの二股状の糸支持部のそれぞれに、その両端の係合部材を装着することで、これらの間に渡って着脱可能に支持される。この状態で、前側アームに対して後側アームを近接させて、針状部材の先端部を縫合糸の係合部材に突き刺すことにより、係合部材を針状部材の先端部に係合させ、その後に前側アームに対して後側アームを離間させることにより、針状部材の先端部に係合された係合部材が対応する糸支持部から離脱するようになっている。
係合部材は、略円環板状の係合板部と、該係合板部の外周の一部に接合され、糸状部材の端部を保持する保持部とを有し、該係合板部に形成された貫通穴に複数(特許文献1では、3つ)の突起部を配設して構成されている。針状部材を係合板部の貫通穴に挿入する際には、針状部材のやじり状の先端部からの押圧により突起部が弾性変形して該先端部が該貫通穴を通過する。針状部材を係合板部から引き抜く方向に移動させた際には、針状部材の先端部の一部(やじり状の先端部の返しの部分)が該突起部に係合することで、該貫通穴から針状部材が抜け出さないようになっている。
ここで、縫合時等には、糸状部材の張力が保持部を介して係合板部に作用するため、保持部が接合された部分と突起部が接合された部分との間に相反する力が作用する。しかしながら、特許文献1に記載された従来の縫合糸では、係合板部において、保持部が接合された部分と突起部が接合された部分との間にある程度の距離があるため、係合板部の変形が比較的に大きく、針状部材が係合部材の貫通穴から抜け出してしまう恐れがあった。なお、この対策として、突起部の数を増やし、あるいは突起部の弾性率を大きくすることが考えられるが、針状部材の挿入抵抗が増大するため、妥当とは言えない。
国際公開第2012/101999号
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、針状部材の先端部を係合部材に係合させる際には、なるべく小さい抵抗で挿入でき、一旦係合した後には、なるべく抜け難いという性能を備える縫合糸を提供することである。
本発明に係る縫合糸は、
体内に挿入されて使用される縫合装置が備える針状部材の先端部が係合される係合部材を、糸状部材の両端部にそれぞれ設けてなる縫合糸であって、
前記係合部材は、
前記針状部材の先端部が挿入される貫通穴を有する係合部と、
該係合部の外縁の一部に接合され、前記糸状部材の端部を保持する保持部と、
該係合部の該貫通穴の一部に接合され、該貫通穴の内側を指向して突出する少なくとも1つの突起部と、を有し、
前記突起部の1つを、前記保持部が接合された部分に対応する位置に設けて構成される。
本発明では、突起部の1つを、係合部の貫通穴の保持部が接合された部分に対応する位置に設けているため、保持部が接合された部分と突起部が接合された部分との間の寸法を最小とすることができ、突起部を、係合部の貫通穴の保持部が接合された部分に対応する位置以外の位置に設けた従来技術と比較して、係合部の変形を小さくすることができる。このため、針状部材の係合部に対する挿入抵抗を増大させることなく、または低減しつつ、針状部材が係合部の貫通穴から抜け出してしまうことをより効果的に防止することができる。
本発明に係る縫合糸において、前記突起部を2つ設け、該突起部の前記保持部が接合された部分に対応する位置に設けた1つに対して、該突起部の他の1つを略180°対向する位置に設けことができる。突起部の数が従来技術の3つと比較して少ないので、針状部材の係合部材への挿入抵抗を低減することができ、しかも、突起部の数を減らしたにもかかわらず、針状部材の係合部の貫通穴からの抜け出しの防止効果も従来技術よりも向上させることができる。
図1Aは、本発明の実施形態に係る縫合装置の操作部の構成を示す正面図である。 図1Bは、本発明の実施形態に係る縫合装置の縫合部の構成を示す正面図である。 図2Aは、図1Bに示した縫合部を構成する後側アームの正面図である。 図2Bは、図2Aに示した後側アームの平面図である。 図3Aは、図1Bに示した縫合部を構成する前側アームの正面図である。 図3Bは、図3Aに示した前側アームの平面図である。 図3Cは、図3Bに示した前側アームのキャップを取り外した状態における平面図である。 図4Aは、本発明の実施形態に係る縫合糸の要部を示す斜視図である。 図4Bは、図4Aに示した縫合糸の係合部材に針状部材を係合させた状態を示す斜視図である。 図4Cは、図4Aに示した縫合糸の係合部材の構成を示す展開図である。 図4Dは、本発明の他の実施形態に係る縫合糸の係合部材の構成を示す展開図である。 図5Aは、前側アームに対する後側アームの動作を説明するための正面図であり、後側アームを前側アームから離間させた状態を示す図である。 図5Bは、図5Aの平面図である。 図6Aは、前側アームに対する後側アームの動作を説明するための正面図であり、針状部材を一方の糸支持部に位置決めして、後側アームを前側アームに近接させた状態を示す図である。 図6Bは、図6Aの平面図である。 図7Aは、前側アームに対する後側アームの動作を説明するための正面図であり、針状部材を他方の糸支持部に位置決めして、後側アームを前側アームに近接させた状態を示す図である。 図7Bは、図7Aの平面図である。 図8Aは、本発明の実施形態に係る縫合装置を用いて行われる手技(縫合)の手順を示す図であり、第1工程を示す図である。 図8Bは、図8Aの続きの第2工程を示す図である。 図8Cは、図8Bの続きの第3工程を示す図である。 図8Dは、図8Cの続きの第4工程を示す図である。 図8Eは、図8Dの続きの第5工程を示す図である。 図8Fは、図8Eの続きの第6工程を示す図である。 図8Gは、図8Fの続きの第7工程を示す図である。 図8Hは、図8Gの続きの第8工程を示す図である。 図8Iは、図8Hの続きの第9工程を示す図である。 図8Jは、図8Iの続きの第10工程を示す図である。 図8Kは、図8Jの続きの最終工程を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(縫合装置の全体構成)
図1Aおよび図1Bに示すように、本実施形態に係る縫合装置1は、内視鏡(軟性内視鏡等)2に取り付けられた状態で体内に挿入される装置であり、内視鏡2の不図示のカメラによって視認しながら、腹腔内の臓器や消化管に形成された切開部等を体外における操作により縫合するための装置である。
縫合装置1は、内視鏡2のシャフトに沿って配置されるシース部3、シース部3の近位端に設けられた操作部(ハンドル)4、およびシース部3の遠位端に設けられた縫合部5を概略備えて構成されている。
(シース部)
シース部3は、軸方向に沿って延びた長尺な部材であり、内視鏡2のシャフトの屈曲に追従して屈曲できる程度の柔軟性を有する2本のチューブと1本のワイヤ(または3本のチューブ)から構成されている。すなわち、シース部3は、前側アーム移動ワイヤ31、後側アーム移動チューブ32、およびケースチューブ33を概略備えて構成されている。
前側アーム移動ワイヤ31は、可撓性を有する線材からなり、後側アーム移動チューブ32にスライド可能に挿通されて、該後側アーム移動チューブ32内において、その軸方向に沿って移動可能かつ軸周りに回転できるように設けられている。前側アーム移動ワイは31としては、本実施形態ではワイヤロープを用いている。ワイヤロープは、たとえば金属(ステンレス)等からなる複数本のワイヤ(ケーブル)を螺旋状に撚ってなる撚り線からなるロープである。ただし、ワイヤ31としては、単線からなるワイヤを用いてもよい。また、ワイヤ31に代えて、中空チューブを用いてもよい。
後側アーム移動チューブ32は、ケースチューブ33にスライド可能に挿通された中空チューブからなり、ケースチューブ33内において、その軸方向に沿って移動可能かつ軸周りに回転できるように設けられている。後側アーム移動チューブ32としては、可撓性を有しており、樹脂等からなるチューブを用いてもよいが、本実施形態では、耐久性に優れるコイルチューブを用いている。コイルチューブとしては、金属(ステンレス)等からなる長尺平板を螺旋状に巻回してなる平線コイルチューブを用いることができる。ただし、丸線コイルチューブまたは内面平コイルチューブを用いてもよい。
なお、後側アーム移動チューブ32としては、ワイヤチューブを用いてもよい。ワイヤチューブは、たとえば金属(ステンレス)等からなる複数本のワイヤ(ケーブル)を中空となるように螺旋状に撚ってなるチューブである。
後側アーム移動チューブ32は、その近位端から遠位端まで一様な部材(たとえばコイルチューブ)としてもよいが、本実施形態では、コイルチューブの遠位端に剛性の高い金属からなる略円筒状の部材を溶接固定して、後側アーム移動チューブ32の先端部(チューブ先端部)32aとしている。
ケースチューブ33は、樹脂等からなる可撓性を有する中空チューブである。前側アーム移動ワイヤ31および後側アーム移動チューブ32の近位端は操作部4に接続されており、前側アーム移動ワイヤ31および後側アーム移動チューブ32の遠位端は縫合部5に接続されている。ケースチューブ33の近位端は、操作部4の近傍にまで至っているが、操作部4には接続されておらず、ケースチューブ33の遠位端は、縫合部5の近傍まで至っているが、縫合部5には接続されていない。ケースチューブ33は、たとえば、ポリエチレンや塩化ビニル等の素材で形成することができる。
ケースチューブ33の遠位端には、略円筒状の固定部材33aが一体的に取り付けられており、固定部材33aに内視鏡2のシャフトの先端部が圧入されることにより、縫合装置1を内視鏡2に対して、着脱可能に固定できるようになっている。操作部4の全体をケースチューブ33に対して遠位端側または近位端側に移動(スライド)させることにより、内視鏡2に対して、縫合部5の全体を移動させ、操作部4の全体をケースチューブ33に対してその軸周りに回転させることにより、縫合部5の全体を回転させることができる。
(縫合部)
縫合装置1の縫合部5は、図1Bに示すように構成されている。すなわち、縫合部5は、縫合糸6が装着される前側アーム51と、結紮具7が装着される後側アーム52とを備えて構成されている。
後側アーム52は、図2Aおよび図2Bに示されているように、針状部材52a、針支持部52b、後側ガイド部52c、および突起部材52dを有している。後側ガイド部52cは略円筒状の部材からなり、後側ガイド部52cの上端側に略短冊板状の針支持部52bの一端が固定されており、後側ガイド部52cの下端側に突起部材52dが固定されている。
針支持部52bの他端には、前方(遠位端側)を指向して、針状部材52aの基端部が固定されている。突起部材52dは、突起52eを有している。これらの針状部材52a、針支持部52b、後側ガイド部52cおよび突起部材52dは、特に限定されないが、ステンレス等の金属からなり、それぞれ別々の部品として形成された後に、レーザ溶接等により互いに一体的に固定されている。なお、突起52eは、特に限定されないが、本実施形態では、針支持部52bの延在方向に対して180°反対側に突出するように配置されている。
後側アーム52は、後側ガイド部52cの後端面(近位端側の端面)が後側アーム移動チューブ32の先端部32aに、レーザ溶接等により一体的に固定されている(図1B参照)。後側ガイド部52cは、突起部材52d側の端部から、後述する前側ガイド部53の内側に挿入され、その軸方向に沿ってスライド可能かつ軸周りに回動可能に保持されるようになっている。
針状部材52aは、その基端側から先端側に向かって、直胴状の大径部52a1、先細のテーパ部52a2、直胴状の小径部52a3、および先端が鋭利に形成されたやじり部52a4を有している。やじり部52a4は、その基端の外径が小径部52a3の先端の外径よりも大きく、小径部52a3との連結部分に僅かに段差ができるように形成されている。針状部材52aは、その先端が前側アーム51に向いた状態かつ、その中心軸が後側ガイド部52cの中心軸と略平行となるように針支持部52bに固定されている。
後側アーム移動チューブ32をその中心軸周りに回転させれば、針状部材52aの中心軸がチューブ先端部32aの中心軸と略平行な状態を維持したまま、針状部材52aをチューブ先端部32aの中心軸周りに回動(旋回)させることができる。
なお、針状部材52aは、縫合する対象(管腔壁)に突き刺してその対象を貫通させることができ、しかも、対象を貫通した状態から逆方向に移動させて対象から引き抜くことができる程度の長さおよび強度を有するものであればよく、その素材や長さ、軸径は特に限定されない。たとえば、縫合装置1によって胃壁を縫合する場合であれば、その長さは、胃壁を貫通できる程度の長さであればよく、その素材は金属製が強度の点で好ましい。たとえば、針状部材52aの長さは、7〜20mm程度が好ましく、7〜10mm程度がより好ましい。また、針状部材52aの大径部52a1の軸径は1.5〜3.0mm程度、小径部52a3の軸径は0.5〜1mm程度、やじり部52a4の軸径は最大径で0.6〜1.5mm程度が好ましい。
針状部材52aの基端部(大径部52a1)には、図1Bに示すように、縫合糸6(糸状部材6c)を結紮するための結紮具7が装着される。結紮具7は、略円柱状に形成された接続部の軸方向の一端に縫合糸6の糸状部材6cが通される結紮用ループ7cを一体的に設け、他端に結紮装置が連結される連結用ループ7bを一体的に設けてなる本体部と、該接続部に、弾性を有する素材からなる略円筒状のチューブ(締付チューブ)7aを、スライド可能に外嵌して構成されている。結紮時には、チューブ7aを結紮用ループ7c側にスライドさせることにより、該結紮用ループ7cがその内腔に引き込まれる。本体部の素材としては、たとえばポリアミド樹脂が用いられ、締付チューブ7aの素材としては、たとえばシリコーンエラストマーが用いられる。
なお、特に限定されないが、本実施形態では、結紮用ループ7cをチューブ7a内に引き込み過ぎてしまい、結紮用ループ7cがチューブ7aから抜け出してしまうことを防止するため、該結紮用ループ7cの一部を係止する係止部材7dを設けている。また、結紮具7としては、可撓性を有する線材の両端を結合して略ループ状(無端状)に成形してループ部材とするとともに、ループ部材の中間部分を略平行するように互いに近接させて、該中間部分に、弾性を有する素材からなる略円筒状のチューブ(締付チューブ)7aをスライド可能に外嵌して構成されたものを用いてもよい。
前側アーム51は、図1B、図3A〜図3Cに示すように、一対の糸支持部51a,51a、前側ガイド部53およびキャップ54を概略備えて構成されている。一対の糸支持部51a,51aは、略V状(円弧状、コの字状、U字状等であってもよい)に形成されて二股状になっており、糸支持部51a,51aのそれぞれの先端部近傍間に渡るように、縫合糸6が装着される。
ここで、縫合糸6について、図4A〜図4Cを参照して説明する。縫合糸6は、後側アーム52の針状部材52aの先端部としてのやじり部52a4が係合される一対の係合部材6a,6bと、糸状部材6cとを備えて構成されており、糸状部材6cの両端に係合部材6a,6bが取り付けられている(図1Bも参照)。
係合部材6a,6bは、針状部材52aのやじり部52a4が係合される係合板部(係合部)61および糸状部材6cに取り付けられるために該糸状部材6cの端部を保持する保持板部(保持部)62を一体的に備えて構成されている。係合板部61は、本実施形態では、略円環状に形成された薄板から構成され、係合板部61に形成された貫通穴61aに針状部材52aのやじり部52a4が挿入される。
保持板部62は、係合板部61の外周(外縁)の一部に接合されており、係合板部61と略同一の面となっている第1部分とこれに対して略90°に折り曲げられた第2部分とを有している。保持板部62の第2部分には、糸状部材6cの端部を締め付けて保持するための一対のかしめ板部62a,62aが一体的に形成されている。
係合板部61の貫通穴61aには、その基端部が貫通穴61aの内周の一部に接合され、その先端が貫通穴61aの内側(中心)を指向して突出する一対の突起部61b,61bが一体的に設けられている。一方の突起部(第1突起部)61bは、保持板部62(第1部分)が接合された部分に対応する位置に設けられている。他方の突起部(第2突起部)61bは、該一方の突起部61bに対して略180°対向する位置に設けられている。
突起部61b,61bの先端面の周方向の形状は、貫通穴61aと略同軸をなす略円弧状となっており、板厚方向の形状は、軸方向(針状部材52aが挿入される方向)と略平行となっている。ただし、突起部61b,61bの先端面の周方向の形状は直線状としてもよいし、板厚方向の形状はテーパ状としてもよい。突起部61b,61bの先端面の板厚方向の形状をテーパ状とする場合には、入り易く抜け難いという観点から、上部より下部が突出するようなテーパ状にするとよい。
係合部材6a,6bは、特に限定されないが、たとえば板厚が0.05〜0.2mm程度の薄板の表面を適宜にマスクして、エッチング加工することにより、図4Cに展開して示すような形状に成形し、かしめ板部62a,62aを、糸状部材6cの端部を締め付けるようにかしめる(塑性変形させる)ことにより、糸状部材6cの両端にそれぞれ取り付けるようにできる。係合部材6a,6bの製法としては、エッチング加工に限られず、レーザ加工等を用いてもよいが、レーザ加工は熱の影響等により製品間で加工精度にバラツキが多く、断面形状も粗いため、これらの観点等から、エッチング加工の方が優れている。
係合板部61の外径は0.90〜1.50mm程度、内径(貫通穴51aの径)はφ0.60〜1.20mm程度、突起部61b,61bの先端によって形成される径はφ0.40〜1.00mm程度、突起部61b,61bの幅は、突起部61b,61bの貫通孔51aが形成する円に沿った円弧の長さに対応する中心角として30〜45°程度とすることができる。突起部61b,61bの基端部(貫通穴61aに接合される部分)には、特に限定されないが、フィレットを設けることが好ましい。
なお、突起部61b,61bを含む係合板部61および保持板部62は、上述のように同時に一体成形する必要はなく、別々に成形した後に、互いに溶接等により固定するようにしてもよい。また、本実施形態では、突起部61b,61bを含む係合板部61および保持板部62は、薄板から構成したが、その一方または両方は薄板でない係合部または保持部としてもよい。たとえば、係合部は略円筒状の部材としてもよい。
また、本実施形態では、突起部の数を2つとしたが、図4Dに示すように、3つとしてもよい。この場合には、3つの突起部61bのうちの1つは、保持板部62(第1部分)が接合された部分に対応する位置に設け、残りの2つは、それぞれ略120°の角度間隔で略対称に配設する。突起部の数を4つ以上としてもよく、この場合にも、突起部の1つは、保持板部62(第1部分)が接合された部分に対応する位置に設け、残りは、それぞれ略等角度間隔で配設するとよい。
図1B、図3A〜図3Cに戻り、前側アーム51の糸支持部51a,51aのそれぞれの先端部には、前面(遠位端側の面)および後面(近位端側の面)に渡って貫通する貫通孔51b,51bが形成されており、該貫通孔51b,51bの後面側に係合部材6a,6bが係合可能な収容空間(不図示)が形成されている。貫通孔51b,51bの側部の一部には、縫合糸6が通過し得るように、内外に渡り貫通溝51c,51cが形成されている。収容空間は、該貫通孔51b,51bよりも僅かに大きい径であって、係合部材6a,6bをその貫通穴61aが糸支持部51a,51aの貫通孔51b,51bに対して略同心となるように配置した状態で、その内壁によって係脱可能に係合され得る程度の径に設定されている。糸支持部51a,51aの中央部には縫合糸収容部(不図示)が設けられており、糸支持部51a,51aに渡って配置された縫合糸6(糸状部材6c)の中間部分は、この縫合糸収容部に収容されるようになっている。
なお、本実施形態では設けていないが、前側アーム51には、この縫合装置1の体内への挿入時等に、針状部材52a(やじり部52a4)を保護するための針収容穴を有していてもよい。針収容穴としては、糸支持部51a,51aの一方に設けてもよいし、糸支持部51a,51aとは別に(たとえば、一方の糸支持部と他方の糸支持部との間の部分に)突起部を設けて、該突起部に設けるようにしてもよい。
前側アーム51の糸支持部51a,51aのそれぞれの基端部側の接合部分には、上下に貫通する貫通穴51dが形成されており、この貫通穴51dに、略円柱状のガイドシャフト51eが後面側を指向して突出するように固定されている。このガイドシャフト51eは、後側ガイド部52cの内腔にスライド可能に挿入され、後側アーム52の中心軸方向の往復移動および回動を案内する部材である。ガイドシャフト51eは、本実施形態では、ステンレス等の金属からなり、ガイドシャフト51eの後端(近位端側の端部)は、前側アーム移動ワイヤ31の遠位端がレーザ溶接等により、一体的に固定されている。
前側ガイド部53は、略円筒状の部材からなり、背面側の一部の肉厚が正面側よりも厚く形成されて、厚肉部53aとなっている。厚肉部53aには、上下方向(中心軸に実質的に平行する方向)に延在するとともに、放射方向に凹陥するように一対の凹状ガイド溝53b,53b形成されている。これらの凹状ガイド溝53b,53bは、そのいずれかに、後側アーム52の突起部材52に形成された突起部52eがスライド可能に遊嵌されることにより、該後側アーム52の中心軸方向のスライドを案内する部位である。
これらの凹状ガイド溝53b,53bは、前側ガイド部53の上部(後端)には至っておらず、前側ガイド部53の上部には円弧状に凹陥された接続溝53cが形成されている。この接続溝53cは、後側ガイド部51を前側ガイド部52に対して、近位端側にスライドさせて、突起部52eがこの接続溝53cの位置にあるときに(すなわち、凹状ガイド溝53b、53bから抜け出した状態で)、後側ガイド部52c(後側アーム52)の旋回(回動)が許容するための部位である。接続溝53cの両端(面)は、それぞれ凹状ガイド溝53b,53bの内壁の外側部分に連続しており、その深さは凹状ガイド溝53b,53bの深さと同じとなっている。なお、凹状ガイド溝53b,53bは、前側ガイド部53の下部(前端)に至っている。
前側ガイド部53の正面側の上部には、切欠部が形成されている。この切欠部の底辺部(前端側の辺部)53dの両側には、上下方向(中心軸に実質的に平行する方向)に延在するとともに、内外に渡って貫通して形成された貫通ガイド溝53e,53eが形成されている。これらの貫通ガイド溝53e,53eは、そのいずれかに、後側アーム52の針支持部52bがスライド可能に遊嵌されることにより、該後側アーム52の中心軸方向のスライドを案内する部位である。貫通ガイド溝53e,53eの両側の側辺部は、中心軸方向に実質的に平行するとともに、互いに実質的に平行する面となっている。
これらの貫通ガイド溝53e,53eの上端(後端)は切欠部の底辺部53dに至っており、下端(前端)は前側ガイド部53の下部(前端)には至っていない。貫通ガイド溝53e,53eの下端(前端)の位置は、前側アーム51の針支持部52bが嵌合されて、当該下端まで至った際に、針状部材52aのやじり部52a4の後端が、縫合糸6の係合部材6aまたは6bを貫通して、係合し得る程度の位置に設定されている。
前側ガイド部53の切欠部の両側の側辺部の後側(近位端側)の一部は、傾斜部53f,53fとなっており、前側(遠位端側)の残りの一部は、貫通ガイド溝53e,53eの両側の側辺部の一方(互いに外側となる側)と実質的に同一の面となるように形成されている。貫通ガイド溝53e,53eの両側の側辺部の他方(互いに内側となる側)と底辺部53dとの接続部分は、針支持部52bが貫通ガイド溝53e,53e内に円滑に誘導されるように、円弧状に面取りされて面取部53g,53gとなっている。なお、この接続部分は、円弧状に限られず、針支持部52bが貫通ガイド溝53e,53e内に円滑に誘導されることを条件として傾斜面状であってもよい。
前側ガイド部53の後端には、キャップ54が取り付けられている。キャップ54は、後側ガイド部52cが配置される円弧状の凹部54aを有している。後側ガイド部52cにシャフトピン51eが内挿されて、後側アーム52と前側アーム51とが組み合わされた状態において、前側ガイド部53の後端に取り付けることにより、後側アーム52が前側アーム51から抜け出さないようにする部材である。
次に、図5A,図5B,図6A,図6B,図7Aおよび図7Bを参照して、前側アーム51と後側アーム52の相対的な動作について説明する。まず、図5Aおよび図5Bに示されているように、後側アーム52を前側アーム51に対して離間するようにスライドさせた状態では、後側アーム52の突起部材52d(突起部52e)が前側ガイド部53の接続溝53cに位置する。この状態では、後側アーム52は、前側アーム51に対して、中心軸周りに接続溝53cの両端面で規定される所定の角度範囲(本実施形態では、略90°)内で自在に回動(旋回)し得る。
この状態から、後側アーム52を、図5Aにおいて符号P1を付して一点鎖線で示すように(図5Bにおいて時計方向に)回動させると、後側アーム52の突起部52eが前側ガイド部53の接続溝53cの一方の端面に当接し、これ以上の時計方向への回動は規制される(図6B参照)。この状態で、後側アーム52を前側アーム51に対して近接するようにスライドさせると、突起部52eが接続溝53cの一方の端面に沿って移動し、突起部52eが前側ガイド部53の一方の凹状ガイド溝53bに導かれ、当該凹状ガイド溝53bに嵌合(遊嵌)される。突起部52eと凹状ガイド溝53bとの嵌合は、突起部52eが凹状ガイド溝53bに円滑に導かれるように、比較的にラフに設定されている。すなわち、クリアランスが比較的に大きめに設定されている。
これにより、後側アーム52の前側アーム51に対する回動が制限され、後側アーム52は凹状ガイド溝53bに沿って中心軸方向に案内される。後側アーム52を前側アーム51に対してさらに近接するようにスライドさせると、針支持部52bが貫通ガイド溝53eに導かれ、当該貫通ガイド溝53eに嵌合(遊嵌)される。針支持部52bと貫通ガイド溝53eとの嵌合は、針状部材52aのやじり部52a4の先端が一方の糸支持部51aの貫通孔51bに正確に導かれるように、スライドに支障がないことを条件として比較的にタイトに設定されている。すなわち、クリアランスが比較的に小さめに設定されている。
後側アーム52を前側アーム51に対してさらに近接するようにスライドさせると、針支持部52bが貫通ガイド溝53eに案内されて、針状部材52aのやじり部52a4の先端が一方の糸支持部51aの貫通孔51bに導かれ、針支持部52bが貫通ガイド溝53eの前端に当接して停止する。これにより、図6Aおよび図6Bに示されているように、針状部材52aのやじり部52a4の先端が一方の糸支持部51aの貫通孔51b内の該貫通孔51bに支持される縫合糸6の一方の係合部材6a(図1B参照)に適切に係合し得る所定位置に位置される。
次に、図5Aにおいて符号P1を付して一点鎖線で示すように、後側アーム52を前側アーム51に対して離間するようにスライドさせて元の状態に戻し、後側アーム52の突起部材52d(突起部52e)を前側ガイド部53の接続溝53cに位置させる。この状態から、後側アーム52を、図5Aにおいて符号P2を付して二点鎖線で示すように(図5Bにおいて反時計方向に)回動させると、後側アーム52の突起部52eが前側ガイド部53の接続溝53cの他方の端面に当接し、これ以上の反時計方向への回動は規制される(図7B参照)。この状態で、後側アーム52を前側アーム51に対して近接するようにスライドさせると、突起部52eが接続溝53cの他方の端面に沿って移動し、突起部52eが前側ガイド部53の他方の凹状ガイド溝53bに導かれ、当該凹状ガイド溝53bに嵌合(遊嵌)される。突起部52eと凹状ガイド溝53bとの嵌合は、突起部52eが凹状ガイド溝53bに円滑に導かれるように、比較的にラフに設定されている。すなわち、クリアランスが比較的に大きめに設定されている。
これにより、後側アーム52の前側アーム51に対する回動が制限され、後側アーム52は凹状ガイド溝53bに沿って中心軸方向に案内される。後側アーム52を前側アーム51に対してさらに近接するようにスライドさせると、針支持部52bが貫通ガイド溝53eに導かれ、当該貫通ガイド溝53eに嵌合(遊嵌)される。針支持部52bと貫通ガイド溝53eとの嵌合は、針状部材52aのやじり部52a4の先端が他方の糸支持部51aの貫通孔51bに正確に導かれるように、スライドに支障がないことを条件として比較的にタイトに設定されている。すなわち、クリアランスが比較的に小さめに設定されている。
後側アーム52を前側アーム51に対してさらに近接するようにスライドさせると、針支持部52bが貫通ガイド溝53eに案内されて、針状部材52aのやじり部52a4の先端が他方の糸支持部51aの貫通孔51bに導かれ、針支持部52bが貫通ガイド溝53eの前端に当接して停止する。これにより、図7Aおよび図7Bに示されているように、針状部材52aのやじり部52a4の先端が他方の糸支持部51aの貫通孔51b内の該貫通孔51bに支持される縫合糸6の他方の係合部材6b(図1B参照)に適切に係合し得る所定位置に位置される。
このように、本実施形態では、後側アーム52が前側アーム51に近接する方向(第1方向)に、該後側アーム52をスライドさせると、突起部52eが凹状ガイド溝53bに案内され、さらに針支持部52bが貫通ガイド溝53eに案内される。これにより、針状部材52aのやじり部52a4の先端が糸支持部51aの貫通孔51b内の該貫通孔51bに支持される縫合糸6の係合部材6a,6bに適切に係合し得る所定位置まで正確に導かれる。したがって、前側アーム51に対して後側アーム52を近接させる際に、前側アーム51に対する後側アーム52の回動方向の位置がずれてしまうことが効果的に防止される。このため、従来技術のように、再度位置合わせを行わなければならないという場合がなくなり、縫合処置を迅速に行うことができるようになる。
本実施形態では、凹状ガイド溝53b,53bおよび突起部52eよる比較的に粗い案内構造と、貫通ガイド溝53e,53eおよび針支持部52bによる比較的に精密な案内構造を組み合わせているので、全体として円滑な案内を行うことができる。貫通ガイド溝53e,53eおよび針支持部52bによる比較的に精密な案内構造のみでは、貫通ガイド溝53e,53eと針支持部52bとの間のクリアランスが小さいため、貫通ガイド溝53e,53eに対する針支持部52bの導入が円滑に行えない場合がある。しかし、本実施形態のように、凹状ガイド溝53b,53bおよび突起部52eとよる比較的に粗い案内構造を追加することにより、かかる問題を解消でき、全体として円滑な案内を実現し得る。
ただし、凹状ガイド溝53b,53bおよび突起部52eよる比較的に粗い案内構造を省略して、貫通ガイド溝53e,53eおよび針支持部52bによる比較的に精密な案内構造のみとしてもよい。また、貫通ガイド溝53e,53eおよび針支持部52bによる案内構造を省略して、凹状ガイド溝53b,53bおよび突起部52eとよる案内構造のみとしてもよく、この場合に、凹状ガイド溝53b,53bと突起部52eとのクリアランスを比較的に小さく設定してもよい。単独の案内構造とした場合には、両者の組み合わせの場合と比較して、円滑な案内の観点からはやや劣る場合があるが、構造を簡略にすることができる。
(操作部)
縫合装置1の操作部(ハンドル)4は、図1Aに示すように構成されている。すなわち、操作部4は、スライダ部41およびベース部42を備えて構成されている。スライダ部41がベース部42にスライド可能に設けられており、スライダ部41は、ベース部42に対して、先端(遠位端)側に移動した位置と基端(近位端)側に移動した2つの位置に移動し得るようになっている。
具体的には、スライダ部41は、その遠位端側が略円柱状に形成された円柱部41aとなっており、その近位端側には該円柱部41aにその遠位端が固定されたグリップ部材41bを有している。スライダ部41の円柱部41aには、その遠位端に開口し、その軸芯に沿って延在する略円柱状のワイヤ挿入孔(不図示)が形成されており、前側アーム移動ワイヤ31の近位端側の部分がスライダ部41の円柱部41aに接続固定されている。
ベース部42は、一対の略対称に形成された半割部材を複数のネジ等(不図示)により接合してなる略円筒状の部材からなり、その近位端に開口し、その軸芯に沿って延在する略円柱状のスライダ部挿入孔(不図示)を有している。このスライダ部挿入孔にスライダ部41の円柱部41aが挿入されることにより、スライダ部41がベース部42に対して、該軸芯に沿ってスライド可能にかつ該軸心周りに回動可能に取り付けられている。
また、ベース部42は、その遠位端に開口し、その軸芯に沿って延在する略円柱状のチューブ挿入孔(不図示)を有しており、チューブ挿入孔に後側アーム移動チューブ32の近位端側が挿入されて、後側アーム移動チューブ32の近位端側の部分がベース部42に接続固定されている。
(縫合工程)
以下、上述した縫合装置1を使用した切開部の縫合工程(縫合作業)について、図8A〜図8Kを参照して説明する。なお、以下では、胃壁に形成された切開部を縫合する場合を例として説明する。
まず、縫合装置1を取り付けた内視鏡2のシャフトを胃内に挿入して、縫合装置1の縫合部5を縫合すべき切開部近傍に配置する。次いで、操作部4を操作して、図1Bに示すように、前側アーム51に対して後側アーム52を離間させた状態とする。
この状態で、図8Aに示す第1工程を実施する。図8Aに示す第1工程では、まず、操作部4をケースチューブ33に対して全体的に遠位端側に押し込むとともに、必要に応じて回転させて、同図に示されているように、後側アーム52に対して離間して配置されている前側アーム51のみを切開部SHに挿入する。これと前後して、前側アーム51に対して後側アーム52を回動させて、前側アーム51の一方の糸支持部51aと針状部材52a(やじり部52a4)によって切開部SHの一方の口縁部Saが挟まれた状態となるように、前側アーム51と後側アーム52を配置する。
次いで、後側アーム52に対して前側アーム51を近接させると、図8Bに示されているように、針状部材52aが一方の口縁部Saに突き刺さり、該口縁部Saを貫通し、さらに針状部材52aのやじり部52a4が一方の糸支持部51aの収容空間内に収容(支持)された係合部材6aの貫通孔を貫通して通過する。これにより、係合部材6aの貫通孔は、針状部材52aの小径部52a3に至り、係合部材6aが針状部材52aに係合された状態となる。
次いで、操作部4を操作して、縫合部5において、後側アーム52に対して前側アーム51を離間させた状態とすると、図8Cに示されているように、係合部材6aが係合された針状部材52aが一方の口縁部Saに挿通させる際に形成された孔(以下、第1穿孔という)を逆行して胃内に戻る。これにより、縫合糸6の一部(係合部材6a側の一部)が一方の口縁部Saを貫通した状態となる。
その後、図8Dに示されているように、前側アーム51の他方の糸支持部51aと針状部材52aによって切開部SHの他方の口縁部Sbが挟まれた状態となるように、前側アーム51と後側アーム52を配置する。
この状態から、操作部4を操作して、前側アーム51に対して後側アーム52を近接させると、図8Eに示されているように、針状部材52aが他方の口縁部Sbに突き刺さり、該口縁部Sbを貫通し、さらに針状部材52aのやじり部52a4が他方の糸支持部51aの収容空間内に収容(支持)された係合部材6bの貫通孔を貫通して通過する。これにより、係合部材6bの貫通孔は、針状部材52aの小径部52a3に至り、係合部材6bが針状部材52aに係合された状態となる。
次いで、操作部4を操作して、後側アーム52に対して前側アーム51を離間させた状態とすると、図8Fに示されているように、係合部材6bが係合された針状部材52aが他方の口縁部Sbに挿通させる際に形成された孔(以下、第2穿孔という)を逆行して胃内に戻る。これにより、縫合糸6の一部(係合部材6b側の一部)が他方の口縁部Sbを貫通した状態となる。
これにより、縫合糸6の両端が固定されている一対の係合部材6a,6bがいずれも一本の針状部材52aに係合した状態となり、縫合糸6によって、針状部材52a(つまり胃内)から第1穿孔を貫通して胃外にでて、胃外面から第2穿孔を貫通して針状部材52a(つまり胃内)に戻る輪が形成される。
次いで、操作部4を操作して、図8Gに示されているように、前側アーム51(糸支持部51a)を、切開部SHを通して胃内に移動させる。前側アーム51(糸支持部51a)が胃内に入ると、針状部材52aが切開部SHから離間し、縫合糸6の両端が切開部SHから離間するように移動するので、縫合糸6において第1穿孔を貫通している部分と第2穿孔を貫通している部分とが引き寄せられ、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbの端面同士が当接して接合される。
縫合装置1による切開部SHの縫合作業が終了したならば、続いて、縫合糸6の結紮作業を行う。この作業には、不図示の結紮装置が用いられる。結紮装置としては、たとえば、内視鏡の処置具案内管を介して管腔内に導入される結紮チューブおよび該結紮チューブ内に摺動可能に挿通された結紮ワイヤを備え、該結紮ワイヤの遠位端に、該チューブの遠位端から突出することにより自己の弾性により略V字状に開脚し、該チューブの遠位端部に引き込まれることにより閉脚するようにした連結フックを設けて構成されたものを用いることができる。
図8Gに示すように、結紮具7は、針状部材52aの基端部(大径部52a1)に、結紮用ループ7c(図1B参照)が挿入された状態で保持されているので、結紮装置の結紮チューブ8(図8H参照)の遠位端を結紮具7の連結用ループ7bの近傍に配置し、結紮チューブ8から突出されて開脚した連結フックで該連結用ループ7bを把持し、該連結用ループ7bを結紮チューブ8の遠位端部に引き込むことにより、結紮具7を結紮チューブ8の遠位端に連結する。
次いで、図8Hに示されているように、結紮具7が連結された結紮チューブ8の先端部を、切開部SH側(図8Hにおいて下方)へ移動させて、結紮具7の結紮用ループの内側に縫合糸6の両端部が挿通された状態とする。これにより縫合糸6が絞り込まれ、縫合糸6の両端部が束ねられた状態となる。
縫合糸6の両端部が束ねられた状態から、連結フックが結紮チューブ8内にさらに引き込まれるように結紮ワイヤをスライドさせると、図8Iに示されているように、締付チューブ7a内に結紮用ループ7cが縫合糸6とともに引き込まれ、締付チューブ7a内に結紮用ループ7cおよび縫合糸6が密着しかつ圧縮された状態で収容される。つまり、結紮用ループ7cと縫合糸6とがチューブ7a内に締まり嵌めされた状態で収容されることになるので、縫合糸6および結紮用ループ7cの一端部は、チューブ7aから抜け落ちないように固定される。これにより、縫合糸6の結紮が完了する。
縫合糸6の結紮が完了したならば、結紮ワイヤの位置が変化しないようにしつつ、結紮ワイヤに対して結紮チューブ8を引き込むように近位端側にスライドすると、結紮チューブ8の遠位端から連結フックおよびループ部材の他端部が突出(露出)し、連結フックが自己の弾性により開脚して、把持が解除され、図8Jに示されているように、結紮状態とされた結紮具7から結紮装置が分離される。
最後に、図8Kに示されているように、結紮具7と縫合部5(針状部材52a)との間の縫合糸6をループカッターと称される内視鏡用はさみ鉗子等により切断して、結紮具7と縫合部5とを切り離し、さらに必要に応じて、結紮状態の結紮具7のループ部材の他端部を、ループカッター等により切断し、回収することにより、1針の縫合に係る一連の手技が完了する。
上述した実施形態では、縫合糸6において、2つの突起部61bのうちの1つ(第1突起部)を、係合板部61の貫通穴61aの保持板部62が接合された部分に対応する位置に設けているため、保持板部62が接合された部分と突起部62bが接合された部分との間の寸法を最小とすることができる。したがって、突起部62bを、係合板部62の貫通穴62aの保持板部62が接合された部分に対応する位置以外の位置に設けた従来技術と比較して、係合板部62の変形を小さくすることができる。このため、針状部材52aの係合板部61に対する挿入抵抗を増大させることなく、または低減しつつ、針状部材52aが係合板部61の貫通穴61aから抜け出してしまうことを効果的に防止することができる。
また、2つの突起部61bのうちの他の1つ(第2突起部)を、第1突起部に対して略180°対向する位置に設けているので、突起部の数が従来技術の3つと比較して、少ないため、針状部材52aの係合部材6a,6bへの挿入抵抗を低減することができ、しかも、針状部材52aが係合板部61の貫通穴61aからの抜け出しの防止効果も従来技術よりも向上させることができる。
実施例の試験片として、図4Aに示した構成のもの、すなわち突起部61bが2つで、そのうちの1つを係合板部61の貫通穴61aの保持板部62が接合された部分に対応する位置に設け、他の1つをこれと180°対向する位置に設けた構成の係合部材6aを5個準備した。各試験片について、係合部材6aの保持板部62(第2部分)を治具に固定して、図2Aに示した針状部材52aを図4Bに示すように係合板部61の貫通穴61aに挿入し、針状部材52aのやじり部52a4の返しの部分が突起部61bを通過させた際の荷重(係合荷重)を測定した。この状態から針状部材52aを係合板部61から引き抜き、その時の荷重(破断荷重)を測定した。その結果、係合荷重の平均値は4Nであり、破断荷重の平均値は11Nであった。
比較例の試験片として、従来構成のもの、すなわち突起部が3つで、そのうちの1つを係合板部の貫通穴の保持板部が接合された部分に対応する位置に対して180°対向する位置に設け、他の2つを120°の角度間隔で略対称に配置した係合部材を5個準備した。この試験片に対して、上述した実施例と同様に係合荷重および破断荷重を測定した。その結果、係合荷重の平均値は4.5N、破断荷重の平均値は8.5Nであった。
これらの結果から明らかなように、実施例の試験片の方が比較例の試験片よりも係合荷重が小さくなっており、針状部材の挿入がし易くなっているとともに、破断荷重が大きくなっており、針状部材が抜け難くなっていることが確認できた。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上述した実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
1…縫合装置
2…内視鏡
3…シース部
31…前側アーム移動ワイヤ
32…後側アーム移動チューブ
33…ケースチューブ
4…操作部
41…スライダ部
42…ベース部
5…縫合部
51…前側アーム
51a…糸支持部
52…後側アーム
52a…針状部材
52a4…やじり部
52b…針支持部
52c…後側ガイド部
52d…突起部材
52e…突起部
53…前側ガイド部
53a…厚肉部
53b…凹状ガイド溝
53c…接続溝
53d…底辺部
53e…貫通ガイド溝
53f…傾斜部
53g…面取部
54…キャップ
6…縫合糸
6a,6b…係合部材
61…係合板部(係合部)
61a…貫通穴
61b…突起部
62…保持板部(保持部)
62a…かしめ板部
6c…糸状部材
7…結紮具
7a…締付チューブ
7b…連結用ループ
7c…結紮用ループ
SH…切開部
Sa,Sb…口縁部
8…結紮チューブ(結紮装置)

Claims (1)

  1. 体内に挿入されて使用される縫合装置が備える針状部材の先端部が係合される係合部材を、糸状部材の両端部にそれぞれ設けてなる縫合糸であって、
    前記係合部材は、
    前記針状部材の先端部が挿入される貫通穴を有する係合部と、
    該係合部の外縁の一部に接合され、前記糸状部材の端部を保持する保持部と、
    該係合部の該貫通穴の一部に接合され、該貫通穴の内側を指向して突出するつの突起部と、を有し、
    前記突起部の1つを、前記保持部が接合された部分に対応する位置に設け、該突起部の前記保持部が接合された部分に対応する位置に設けた1つに対して、該突起部の他の1つを略180°対向する位置に設けた縫合糸。
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