JP6948907B2 - マレイミド樹脂及びその製造方法、マレイミド樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents
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Description
(式中、Xはそれぞれ独立に、少なくとも1個以上の芳香族基を含み、50個以下の炭素原子を含む2価の基を表し、Yはそれぞれ独立に1個以上50個以下の炭素原子を含む2価の基を表し、zはそれぞれ独立に、酸無水物残基又はハロゲン化物残基である1価の基を表し、nはそれぞれ独立に0〜20の整数を表す。但しnの平均値であるn’は0を超える値である。)
本発明のマレイミド樹脂は、従来のビスマレイミド化合物、あるいはマレイミドプレポリマーと比較し、優れた溶剤溶解性、熱安定性を有することからワニス経由のプリプレグ、積層板製造において好適に用いることが可能であり、また得られる硬化物は優れた耐熱性、靭性を有することで厳しい環境下でも好適に用いることが可能であり、産業上の利用可能性が極めて高い。
本発明のマレイミド樹脂は、下記一般式(1)で表される。
更に具体的にはXは、本発明のマレイミド樹脂を用いた硬化物の耐熱性と靭性の観点から、例えば、下記式(a)〜(e)のいずれか1である2価の基であることが好ましい。
酸無水物残基は、限定されるものではないが、本発明のマレイミド樹脂を首尾よく得るための観点から、カルボン酸無水物の残基であることが好ましく、また炭素原子数が2以上20以下のものが好ましく、2以上10以下のものがより好ましい。またなかでも、無水酢酸の残基である−CO−CH3(アセチル基)、無水プロピオン酸の残基である−CO−CH2−CH3、無水コハク酸の残基である−CO−CH2−CH2−COOH、無水マレイン酸の残基である−CO−C=C−COOH、又は無水フタル酸の残基である−CO−@−COOH(−@−はベンゼン環構造を有する2価の基−(C6H4)−を表す)、又はこれら基中の水素原子が炭素数1以上20以下(特に炭素数1以上10以下)のアルキル基で置換された基であることがより好ましい。これらの中でも−CO−CH3(アセチル基)が特に好ましい。
ハロゲン化物残基は、限定されるものではないが、本発明のマレイミド樹脂を首尾よく得るための観点から、飽和若しくは不飽和脂肪族基のハロゲン化物の残基であるこれらの脂肪族基、又はカルボン酸ハロゲン化物の残基であることが好ましい。ハロゲン化物残基は炭素原子数が2以上20以下のものが好ましく、2以上10以下のものがより好ましい。中でも、ハロゲン化アリルの残基である−CH3−CH=CH2(アリル基)又はハロゲン化アセチルの残基である−CO−CH3(アセチル基)であることがより好ましい。
すなわち、本発明のマレイミド樹脂はnが1以上のマレイミド化合物のみからなるものやnが同じである化合物からなる純物質であってもよいが、好ましくは、一般式(1)で表されるマレイミド樹脂はn=0の化合物を含みうる、様々な繰り返し数nのマレイミド化合物(分子種)の混合物である。この混合物はnが1以上のマレイミド化合物(分子種)を含むことにより、溶剤溶解性が極めて良好な可溶性マレイミド樹脂となる。
前記平均値n’は好ましくは0.1以上2.0以下であり、更に好ましくは0.2以上1.5以下であり、特に好ましくは0.2以上1.0以下である。n’の値を上記下限以上とすることで溶剤溶解性を一層高めることができる。また、n’の値を上記上限以下とすることで、作業時の取扱い性等において有利なものとなる。樹脂中の全ての式(1)で表される分子のnを特定してそれらの算術平均をとることは容易でない。このため、本発明では、この算術平均をとるのではなく、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)分析により各nに対応する面積比を求め、この面積比に基づいてn’を算出可能としている。n’は具体的には実施例の記載の方法にて測定できる。
本発明のマレイミド樹脂の製造方法は、
下記一般式(2)で表される1分子中に2つのマレイミド基を有するビスマレイミド化合物と、
(式中X、Y及びnは一般式(1)と同じである。)
前記一般式(4)で表されるマレイミド樹脂と、酸無水物、又はハロゲン化物から選択される保護剤とを反応させることにより2級アミンを保護し、3級アミンへ変換する工程と、を含むことを特徴とする、下記一般式(1)で表されるマレイミド樹脂(及び上記一般式(1’)で表されるマレイミド樹脂)の製造方法である。
(式中Xはそれぞれ独立に、少なくとも1個以上の芳香族基を含み、50個以下の炭素原子を含む2価の基を表し、Yはそれぞれ独立に1個以上50個以下の炭素原子を含む2価の基を表し、zはそれぞれ独立に、酸無水物残基又はハロゲン化物残基である1価の基を表し、nはそれぞれ独立に0〜20の整数を表す。但しnの平均値であるn’は0を超える値である。)
本発明のマレイミド樹脂の製造方法に使用するビスマレイミド化合物は、下記一般式(2)で表される1分子中に2つのマレイミド基を有するビスマレイミド化合物を使用する。
本発明のマレイミド樹脂の製造方法に使用するジアミン化合物としては、下記一般式(3)で表される1分子中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物を使用する。
本発明のマレイミド樹脂の製造方法において、2級アミン保護に使用する保護剤としては、2級アミンと反応する官能基を有する化合物として酸無水物、ハロゲン化物を使用することができる。酸無水物としては特に限定は無いが、本発明のマレイミド樹脂の酸無水物残基として上記で例示した基を与えるものが挙げられ、具体的には無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸又はこれらのアルキル基等による置換体等のカルボン酸無水物が挙げられる。またハロゲン化物としては、本発明のマレイミド樹脂におけるハロゲン化物残基として上記で例示した基を与えるものが挙げられ、具体的には塩化アセチル、塩化アリル等が挙げられる。特に好ましくは保護剤はカルボン酸無水物であり、とりわけ好ましくは無水酢酸である。
また、保護剤により、2級アミンを保護し、3級アミンへ変換する工程(II)の反応温度は、高分子量化等を防ぐ観点から、好ましくは室温(25℃)〜150℃、より好ましくは室温〜80℃、さらに好ましくは室温〜60℃である。反応の時間は、ビスマレイミド、ジアミンの組み合わせ、あるいは溶媒種、使用する保護剤により変動するが、1〜24時間程度である。反応圧力は通常常圧下にて行うが、若干の加圧下あるいは減圧下で行っても何ら問題は無い。
本発明のマレイミド樹脂は単独で加熱重合により硬化物を与えることができるが、公知の硬化剤や硬化促進剤等と組み合わせてマレイミド樹脂組成物とすることが出来る。
また、積層板或いはプリプレグは、片面または両面に金属箔を重ね合わせて、必要に応じて加圧しながら加熱処理を行なって金属張積層板を得ることができる。この金属張積層板は、エッチング処理によって回路パターンを形成し、プリント配線板として好適に用いることができる。
(1) 軟化点
機器:自動滴点装置 METTLER TOLEDO製FP83HT
昇温速度 ;2 ℃/min.
(2)n=0成分量、Mw/Mn(分子量分布):ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)分析によって得られた組成比より算出した。
[GPCの測定条件]
機器:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Waters 製)
カラム:以下のSHODEX製カラム5本を、上流から下流に向けて下記の順序となるように直列に連結して用いた。
KF-804×1本
KF-803×1本
KF-802.5×1本
KF-802×1本
KF-801×1本
また、ガードカラムとしてSHODEX製KF-Gを1本用いた。
カラムオーブン温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1.00mL/分
検出器:Waters 2487 Dual λAbsorbance Detector
検出波長:254nm
(3)平均値n’:ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)分析により得られる各n数毎の面積比より求めることが出来る。
{(n=0面積比)×0}+{(n=1面積比)×1}+{(n=2面積比)×2}+{(n=3面積比)×3}・・・の合算値で平均n数を求めることが出来る。但し、面積比の合計は1とする。
(4)マレイミド当量:ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)分析により得られる各n数毎の面積比と各n数のマレイミド当量とより求めることができる。
例えば、前記一般式(1)で表されるマレイミド樹脂のマレイミド当量は、
〔(n=0面積比)×{n=0のマレイミド当量(285g/eq)}〕
+〔(n=1面積比)×{n=1のマレイミド当量(670g/eq)}〕
+〔(n=2面積比)×{n=2のマレイミド当量(1055g/eq)}〕
+〔(n=3面積比)×{n=3のマレイミド当量(1440g/eq)}〕
+〔(n=4面積比)×{n=4のマレイミド当量(1825g/eq)}〕
・・・の合算値で求めることが出来る。但し、面積比の合計は1とする。
(実施例1)
冷却管、攪拌機を具備した四つ口フラスコに、ビスマレイミド化合物として2,2'-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン 160.00g ( 0.56 モル)、ジアミンとして、1,6−ヘキサメチレンジアミン8.14g (0.14 モル) 及び溶媒としてのフェノール 640.00g を加え、50℃に昇温し均一に溶解させた。溶解後50℃で1時間マイケル付加反応を行い、ビスマレイミドとジアミンのマイケル付加体を含む反応液を得た。得られたマイケル付加体を含む反応液に2級アミンの保護剤としての無水酢酸 28.63 g (0.28 モル)を投入し、保護反応を3時間行った。反応終了後、反応液を150℃まで加熱し、減圧下フェノールを除去し、本発明のマレイミド樹脂(樹脂A)を得た。得られたマレイミド樹脂の軟化点は135℃であり、GPC分析によるn=0成分は52%、であった。また、平均値n’は0.77であり、ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量Mwは1180、数平均分子量Mnは697であり、分子量分布(分散度)Mw/Mnは1.69であった。また、マレイミド当量は586g/eqであった。得られたマレイミド樹脂のGPCチャートを図1に示す。
実施例1のジアミンとしての1,6−ヘキサメチレンジアミンを4.07g(0.07モル)、保護剤としての無水酢酸を 14.32 g (0.14モル)とした以外は、実施例1と同様にして本発明のマレイミド樹脂(樹脂B)を得た。得られたマレイミド樹脂の軟化点は117℃であり、GPC分析によるn=0成分は72%、であった。また、平均値n’は0.37であり、ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量Mwは783、数平均分子量Mnは572であり、分子量分布(分散度)Mw/Mnは1.37であった。また、マレイミド当量は425g/eqであった。得られたマレイミド樹脂のGPCチャートを図2に示す。
実施例1のジアミンとしての1,6−ヘキサメチレンジアミンを2.71g (0.05モル)、保護剤としての無水酢酸を10.20 g (0.10モル)とした以外は、実施例1と同様にして本発明のマレイミド樹脂(樹脂C)を得た。得られたマレイミド樹脂の軟化点は112℃であり、GPC分析によるn=0成分は82%であった。また、平均値n’は0.23であり、ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量Mwは666、数平均分子量Mnは533であり、分子量分布(分散度)Mw/Mnは1.25であった。また、マレイミド当量は361g/eqであった。得られたマレイミド樹脂のGPCチャートを図3に示す。
冷却管、攪拌機を具備した四つ口フラスコに、ビスマレイミド化合物として2,2'-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン 160.00g ( 0.56 モル)、ジアミンとして、1,6−ヘキサメチレンジアミン8.14g (0.14 モル) を溶媒としてのフェノール 640.00g を加え、50℃に昇温し均一に溶解させた。溶解後50℃で1時間マイケル付加反応を行い、ビスマレイミドとジアミンのマイケル付加体を含む反応液を得た。得られたマイケル付加体を含む反応液を150℃まで加熱し、減圧下フェノールを除去する過程でゲル化し、樹脂が得られなかった。
比較例1の溶媒をフェノールからテトラヒドロフラン(THF)に変更し、同様の条件でマイケル付加体を含む反応液を得、50℃で減圧下THFを除去し、2級アミンが保護されていないマレイミド樹脂(樹脂D)を得た。得られたマレイミド樹脂のGPC分析によるn=0成分は52%であった。また、平均値n’は0.85であり、ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量Mwは1240、数平均分子量Mnは704であり、GPCの分子量分布Mw/Mnは1.76であった。また、マレイミド当量は554g/eqであった。得られたマレイミド樹脂のGPCチャートを図4に示す。軟化点測定中の加熱によりゲル化が生じたため軟化点は測定できなかった。
冷却管、攪拌機を具備した三つ口フラスコに、ジアミンとして1,6−ヘキサメチレンジアミン 8.14g (0.14 モル)を溶媒としてのフェノール 40.00g に溶解させ、保護剤としての無水酢酸 28.63 g (0.28モル)を加え、室温で3時間アセチル化反応を行い、ジアミンの2級アミン化反応を行った。得られた2級アミンを含む反応液にビスマレイミド化合物としての2,2'-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン 160.00g( 0.56 モル)と溶媒としてのフェノール 600 g を加え50℃に昇温し、均一に溶解させ、さらに1時間反応させたが、反応進行しなかった。さらに、反応温度を150℃に昇温し、3時間反応させたが、2級アミンとビスマレイミドのマイケル付加は進行せず、一部ビスマレイミドの自己重合が進行したのみであり、本発明のマレイミド樹脂は得られなかった。このことを示す反応生成物のGPCチャートを図5に示す。
実施例1〜3で得られた樹脂A〜C及びそれらの原料でありマイケル付加反応をしていないビスマレイミドである2,2'-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(化合物A)の融点と25℃におけるメチルエチルケトン(MEK)への溶解性の比較を表2にまとめた。
機器:示差走査熱量計(DSC) TAインスツルメント製Q-2000
昇温速度 ; 10℃/min.
雰囲気;N2(50ml/min)
測定温度領域 ;-20℃〜150℃
吸熱ピークのピークトップのときの温度を融点とした。
以下に示す方法で溶解性試験によって評価した。
溶媒:メチルエチルケトン(以下MEKと略記)
溶解条件:密閉容器にMEK 100gを加え、室温(25℃)で溶解しなくなるまで樹脂を少量ずつ添加し、最終的に溶解した量を溶解性として記録した。
以下の機器を用いて硬化性を測定した。
使用機器:株式会社サイバー製 自動硬化時間測定装置
測定条件:150℃ 600rpm
測定方法:マレイミド樹脂単独、またはマレイミド樹脂と硬化剤及び硬化促進剤とを含むマレイミド組成物を50質量%MEK溶液に調製する。調整したMEK溶液を約0.6mL量り取り装置の熱板上に乗せ測定する。トルクが装置の測定上限トルク値の20%になった時間をゲル化時間として計測した。
・マレイミド樹脂/硬化剤比率:等当量数にて配合
・硬化促進剤:ジクミルパーオキサイド
・硬化促進剤添加量:対アリル基当量数0.5mol%、2.0mol%
以下に硬化物の作成で用いた材料について説明する。
(1)アリルフェノール樹脂
o-アリルフェノール樹脂:明和化成株式会社製「MEH-8000H」、アリル基当量:141g/eq(2)硬化促進剤
ジクミルパーオキサイド(DCPO)
(3)銅箔:電解銅箔(福田金属箔粉工業社製 CF-T9B-THE、厚さ35μm)
(1)接着性(ピール強度)
マレイミド樹脂組成物を130℃で溶融しガラスクロス((株)有沢製作所 M2116)に含浸させプリプレグを作成した。このプリプレグを8枚重ねた後、銅箔(福田金属箔粉工業
(株) CF-T9B-THE)で両面を挟み130℃でプレスした。さらに200℃で1.5時間、次いで230度で1.5時間加熱することで銅張り積層板を得た。この積層体の銅箔をエッチングし、10mmの帯状のパターンを形成し試験片とした。試験片の90°ピール強度をオートグラフ(株式会社島津製作所製 AG-5000D)を用いて下記の条件にて測定した。
(測定条件)
引き剥し速度:50mm/分
得られた硬化物を厚さ2mm×幅5mm×長さ5mmの形状に切削加工して試験片とした。試験片のガラス転移温度を熱機械分析装置(島津製作所製 TA-600)を用いて下記の条件にて測定した。昇温速度5℃/minにて、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
(測定条件)
昇温条件:5℃/分
測定上限:350℃
雰囲気 :30mL/分の窒素流下
得られた硬化物を厚さ2mm×幅25mm×長さ40mmの形状に切削加工して試験片とした。試験片の3点曲げ試験による応力及び弾性率を恒温槽付万能試験機(エー・アンド・デイ社製)を用いて下記の条件にて測定を行った。
(測定条件)
試験速度 :2mm/分
支点間距離:60mm
温度 :25℃
MEH-8000H 9.62 g (仕込み量当たりのアリル基の数(当量数)0.07モル)を130℃で加熱攪拌し、樹脂A 40.00 g(仕込み量当たりのマレイミド基の数(当量数)0.07モル)を添加して、攪拌しながら溶融混合した。樹脂Aが完全に溶融し、混入した気泡がなくなるまで攪拌した。さらに、硬化促進剤としてのジクミルパーオキサイド 0.18gを加えて攪拌し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を真空脱泡した後、金型に注型し、200℃で1.5時間、次いで230℃で1.5時間加熱処理することによって、硬化物を得た。
MEH-8000H 7.64 g (仕込み量当たりのアリル基の数(当量数)0.05モル)を110℃で加熱攪拌し、樹脂D 30.00 g(仕込み量当たりのマレイミド基の数(当量数)0.05モル)を添加して、攪拌しながら溶融混合した。樹脂Dが完全に溶融し、混入した気泡がなくなるまで攪拌した。さらに、硬化促進剤としてのジクミルパーオキサイド 0.44 gを加えて攪拌し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を真空脱泡した後、金型に注型し、200℃で1.5時間、次いで230℃で1.5時間加熱処理することによって、硬化物を得た。
MEH-8000H 49.47 g (仕込み量当たりのアリル基の数(当量数)0.35モル)を130℃で加熱攪拌し、化合物A 100.00 g (仕込み量当たりのマレイミド基の数(当量数)0.35モル)を添加して、攪拌しながら溶融混合した。化合物Aが完全に溶融し、混入した気泡がなくなるまで攪拌した。さらに、硬化促進剤としてのジクミルパーオキサイド2.84gを加えて攪拌し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を真空脱泡した後、金型に注型し、200℃で1.5時間、次いで230℃で1.5時間加熱処理することによって、硬化物を得た。
また、アリルフェノール化合物及び硬化促進剤を含む組成物の硬化性評価では、実施例7において良好な硬化性を与える。比較例5の組成物のゲル化時間が長いことは、2級アミンを保護していない樹脂Dの熱時安定性が悪く、マレイミドの自己重合が優先して進行し、アリルフェノールノボラックとの共重合が進まないことが原因として考えられる。したがって、本発明のマレイミド樹脂は単体での自己重合性を抑制した熱安定性を有しており、アリルフェノール樹脂と好適に硬化物を与えることが出来る。
Claims (10)
- n=0成分が90%以下である請求項1に記載のマレイミド樹脂。
- 示差走査熱量測定による融点が150℃以下である請求項1又は2に記載のマレイミド樹脂。
- 25℃におけるメチルエチルケトン100gあたりの溶解性が100g以上である請求項1〜3の何れか1項に記載のマレイミド樹脂。
- 下記一般式(2)で表される1分子中に2つのマレイミド基を有するマレイミド化合物と、
前記一般式(4)で表されるマレイミド樹脂と、酸無水物又はハロゲン化物から選択される保護剤とを反応させる工程と、を含む、下記一般式(1)で表されるマレイミド樹脂の製造方法。
- 一般式(3)で表される1分子中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物が、直鎖脂肪族ジアミンである請求項5に記載のマレイミド樹脂の製造方法。
- 保護剤が無水酢酸であることを特徴とする請求項5又は6に記載のマレイミド樹脂の製造方法。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載のマレイミド樹脂を含むマレイミド樹脂組成物。
- 請求項8のマレイミド樹脂組成物の硬化物。
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