JP6948193B2 - クラッド板材の接合構造 - Google Patents

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Description

本発明は、クラッド板材の一端部が鋼板の板面に接合されたクラッド板材の接合構造に関する。
石油精製装置の常圧蒸留装置や減圧蒸留装置の主蒸留塔などの塔槽類等の圧力容器では、長年の使用により胴板の一部分が腐食により減肉した場合、更新や補修をする必要がある。
このような塔槽類の胴板の部分更新工法の一例として、特許文献1および特許文献2に記載のものが知られている。
この工法は、塔槽類の胴板の一部分の大型円筒状胴板部分を更新する工法であって、更新する前記大型円筒状胴板部分を上下方向に複数個の円筒状胴板部分に分け、この円筒状胴板部分を周方向に部分的に切断して取り除き、取り除いて生じた開口に新規部分胴板を溶接により取り付けることを繰り返すことにより、前記各円筒状胴板部分を順次更新して、前記大型円筒状胴板部分を更新する工法である。
また、このような工法において、胴板等の鋼板を耐食性のあるチタンクラッド金属材等のクラッド材に代えて更新すると、胴板等を腐食に強いものにすることができる。
胴板等の鋼板をチタンクラッド材等のクラッド材に代えて更新する場合、チタンは炭素鋼やステンレスとの溶接が困難なため、塔槽類の胴部の材質が変わる境界に溶接個所が生じる構造を採用できない。
その解決法として、チタンクラッド材によって形成された仕切リングを軟鋼等の鋼材との境に設置し縁切りする方法がある。
この方法を図9を参照して説明する。この図に示すように、鋼材からなる胴板1に、鋼板3aにチタン材(ライニングプレート)2を接合してなるチタンクラッド材からなる胴板3を接合するには、まず、接合すべきチタンクラッド材3からなる上側の胴板3の鋼板3aと、接合される下側の鋼板(胴板)1とを溶接する。
次に、チタンクラッド材からなる胴板3の下端部のチタン材(ライニングプレート)2を切除し、この切除によって現れた鋼板3aに、チタンクラッド材からなる仕切リング5の下側の鋼材6を溶接する。
この場合、仕切リング5は非常に直径の大きいものであるため、周方向に複数に分割してなる仕切リング片5a,5aどうしを溶接によって接合する。
溶接によって接合する場合、仕切リング片5aの上側のチタン材7どうしをチタン溶接する(符号W1で示す。)とともに、仕切リング片5aの下側の鋼材6どうしを溶接する(符号W2で示す。)。
その後、チタンクラッド材からなる上側の胴板3のライニングプレート2と、仕切リング片5aの上側のチタン材7とを、チタン材で形成されたL形のチタンアングル8によって接合する。
特許4895221号公報 特許4837135号公報
ところが、チタンクラッド材からなる仕切リング5は、鋼材6とチタン材7とをロール成形によってクラッド接合したものであるので、当該仕切リング5の他端部(内周部)が直接内容液に接する場合、例えば塔槽類内の内容液が鋼材6とチタン材7との境界面に直接接する場合、塔槽類の使用温度条件の変化等により当該境界面に剥離が発生する虞がある。剥離が発生すると、境界面に内容液が侵入し仕切リング5が腐食するばかりか、さらに、腐食の進行が大きい場合は内容液が鋼板3aに達し、鋼板3aとライニングプレート2との接合端部に腐食を起こさせるという問題がある。
また、チタンクラッド材からなる仕切リング片5a,5aどうしを溶接によって接合して仕切リング5を形成すると、仕切リング5の厚さ方向の境界部分、つまり、仕切リング5の上側のチタン材7と、下側の鋼材6との境界部分に未溶融部Sが生じて、空洞Sが形成される。
このように、未溶融部Sの発生に起因する空洞Sが形成されると、この空洞Sから内容液が浸入し、本体母材、すなわち、胴板3の鋼板3aに到達して、鋼板3aとライニングプレート2との接合端部に腐食を起こさせるという問題がある。
このような問題は、チタンクラッド材からなる仕切リング片以外のチタンクラッド材どうしを溶接によって接合する場合でも生じ得るし、チタンクラッド材以外の溶接が困難なクラッド材どうしを溶接によって接合する場合も生じ得る。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、鋼板の板面にクラッド板材の一端部を接合した場合に、クラッド板材を構成する母材と、この母材にクラッド接合されるクラッド金属材との境界面からの内容液の侵入を防止でき、また、複数のクラッド板材片どうしが溶接によって接合された溶接接合部に生じた未溶融部をシールできるクラッド板材の接合構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明に係るクラッド板材の接合構造は、鋼材または耐食性を有する非鉄金属材からなる母材とクラッド金属材とを接合してなるクラッド板材の一端部が鋼板の板面に接合され、
前記母材と前記クラッド金属材とが爆発圧着法により接合されていることを特徴とする。
ここで、前記クラッド金属材とは、母材と異なる金属で形成され、当該母材にクラッド接合される金属材のことを意味する。
また、母材が耐食性を有する非鉄金属材からなる場合、当該非鉄金属材としてインコネルやハステロイ等を使用することができる。
本発明においては、母材とクラッド金属材とが爆発圧着法によりクラッド接合されているので、従来のロール成形によるクラッド接合に比して接着強度(接合強度)が大きくなる。このため、母材とクラッド金属材との境界面からの内容液の侵入を防止できる。
また、母材がインコネルやハステロイ等の非鉄金属材からなる場合、母材が鋼材である場合に比して、母材とクラッド金属材との電位差による腐食の軽減を図れるとともに、鋼材の腐食で発生する水素によるクラッド金属材の水素脆化の軽減を図れる。
また、本発明の前記構成において、前記鋼板の板面の一部に当該鋼板と異なる金属でかつ前記クラッド金属材と同じ金属製のライニングプレートがクラッド接合され、
前記クラッド板材の前記母材の一端部が前記鋼板の板面に溶接によって接合され、
前記クラッド板材の前記クラッド金属材の一端部が前記ライニングプレートに溶接によって接合されていてもよい。
このような構成によれば、母材の一端部が前記鋼板の板面に溶接によって接合されているので、この接合による接合部からの内容液の侵入を防止できるとともに、クラッド金属材の一端部がライニングプレートに溶接によって接合されているので、この接合による接合部からの内容液の侵入を防止できる。したがって、鋼板の板面にクラッド板材の一端部を接合してなる接合部からの内容液の侵入を防止できる。
また、本発明の前記構成において、前記クラッド板材が、複数のクラッド板材片を接合することによって構成され、
隣り合う前記クラッド板材片どうしが溶接によって接合され、前記クラッド板材片どうしの溶接接合部に生じた未溶融部のシール構造部において、
前記未溶融部は、前記クラッド板材片の他端部から当該クラッド板材片の一端部に向けて延びるようにして前記溶接接合部に設けられ、
前記未溶融部の少なくとも一部をシールするシール手段(第1シール手段)が、
前記クラッド板材片どうしの接合部に、前記未溶融部の一部を含んで前記溶接接合部の溶接線に交差する方向に貫通して設けられた貫通孔と、
前記貫通孔に設けられて、前記未溶融部の開口部に密着可能なシール部材と、
前記シール部材を押圧することによって、当該シール部材を前記未溶融部の前記開口部に密着させる押圧手段と、を備え、
前記貫通孔の前記クラッド金属材側の開口部は、前記クラッド金属材に溶接された第1キャップによって覆われ、
前記貫通孔の前記鋼材側の開口部は、前記鋼材に溶接された第2キャップによって覆われていてもよい。
このような構成によれば、溶接接合部に生じた未溶融部の一部を含んで、溶接接合部の溶接線に交差する方向に貫通して設けられた貫通孔に、シール部材が設けられ、このシール部材を押圧手段によって未溶融部の開口部に押圧して密着させるので、クラッド板材片どうしの溶接接合部に生じた未溶融部の開口部を確実にシールできる。したがって、未溶融部による空洞から内容液が浸入して鋼板に達することがないので、これに起因する腐食を防止できる。
また、貫通孔のクラッド金属材側の開口部は、クラッド金属材に溶接された第1キャップによって覆われており、貫通孔の鋼材側の開口部は、鋼材に溶接された第2キャップによって覆われているので、開口部から内容液が侵入してシール部材および押圧手段に達することがない。したがって、シール部材および押圧手段の腐食を防止できる。
さらに、第1キャップはクラッド金属材に溶接され、第2キャップは鋼材に溶接されているので、溶接熱が直接シール部材に伝わることがない。このため、シール部材の溶接熱による変形が無く、シール部材のシール性の信頼性が高まる。
また、本発明の前記構成において、前記クラッド板材が、複数のクラッド板材片を接合することによって構成され、
隣り合う前記クラッド板材片どうしが溶接によって接合され、前記クラッド板材片どうしの溶接接合部に生じた未溶融部のシール構造部において、
前記未溶融部は、前記クラッド板材片の他端部から当該クラッド板材片の一端部に向けて延びるようにして前記溶接接合部に設けられ、
前記未溶融部の少なくとも一部をシールするシール手段(第2シール手段)が、
前記クラッド板材片の他端部に、前記未溶融部の一部を含んで設けられた挿入孔と、
この挿入孔に挿入されて当該挿入孔の開口部をシールする挿入部材と、を備えていてもよい。
このような構成によれば、クラッド板材片の他端部に、未溶融部の一部を含んで設けられた挿入孔に挿入部材が挿入され、この挿入部材によって挿入孔の開口部がシールされるので、挿入孔からの内容液の侵入を防止できる。したがって、未溶融部による空洞を通って内容液が鋼板に達することがないので、これに起因する腐食を防止できる。
また、本発明の前記構成において、前記クラッド板材が、複数のクラッド板材片を接合することによって構成され、
隣り合う前記クラッド板材片どうしが溶接によって接合され、前記クラッド板材片どうしの溶接接合部に生じた未溶融部のシール構造部において、
前記未溶融部の少なくとも一部をシールするシール手段が、
前記クラッド板材片どうしの接合部に、前記未溶融部の一部を含んで前記溶接接合部の溶接線に交差する方向に貫通して設けられた貫通孔と、
前記貫通孔に設けられて、前記未溶融部の開口部に密着可能なシール部材と、
前記シール部材を押圧することによって、当該シール部材を前記未溶融部の前記開口部に密着させる押圧手段と、
前記クラッド板材片の他端部に、前記未溶融部の一部を含んで設けられた挿入孔と、
この挿入孔に挿入されて当該挿入孔の開口部をシールする挿入部材と、を備え、
前記貫通孔の前記クラッド金属側の開口部は、前記クラッド金属に溶接された第1キャップによって覆われ、
前記貫通孔の前記鋼材側の開口部は、前記鋼材に溶接された第2キャップによって覆われていてもよい。
つまり、シール手段は、上述した第1シール手段と第2シール手段の双方を備えていてもよい。
このような構成によれば、第1シール手段および第2シール手段の双方の効果を得ることができる。
また、本発明の前記構成において、前記鋼板は、塔槽類の胴部および/または頂部を構成する鋼板であってもよい。
このような構成によれば、塔槽類の胴部および/または頂部を構成する鋼板をチタンクラッド材等のクラッド材に代えて更新する場合に、クラッド板材片どうしの溶接接合部に生じた未溶融部の少なくとも一部をシール手段によってシールできる。したがって、未溶融部による空洞から内容液が浸入して鋼板に達することがないので、これに起因する腐食を防止できる。
本発明によれば、母材とクラッド金属材とが爆発圧着法により接合されているので、母材とクラッド金属材との境界面からの内容液の侵入と互いの剥離を防止できる。また、隣り合うクラッド板材片どうしが溶接によって接合され、クラッド板材片どうしの溶接接合部に生じた未溶融部の少なくとも一部をシール手段によってシールできるので、未溶融部(空洞)から内容液が浸入して鋼板に達することがなく、これに起因する腐食も防止できる。
本発明の実施の形態を示すもので、クラッド板材の接合構造を説明するための概略斜視図である。 同、クラッド板材の接合構造の側断面図であり、(a)はチタンアングルを使用しない場合の側断面図、(b)はチタンアングルを使用した場合の側断面図である。 同、シール部材の斜視図である。 同、第2シール手段の要部を示すもので、(a)は側断面図、(b)は正面図である。 同、第2シール手段の第1変形例の要部を示すもので、(a)は側断面図、(b)は正面図である。 同、第2シール手段の第2変形例の要部を示すもので、(a)は側断面図、(b)は正面図である。 同、第2シール手段の第3変形例の要部を示すもので、(a)は側断面図、(b)は正面図である。 同、仕切リング片どうしの溶接接合部に生じた未溶融部のシール方法を説明するための工程図である。 従来の仕切リング片どうしの溶接構造を説明するための概略斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、クラッド板材の一端部が鋼板の板面に接合されたクラッド板材の接合構造(以下、接合構造と略称する。)を説明するための概略斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態の接合構造は、クラッド板材片(クラッド板材)10の一端部(外周部)が鋼板3aの板面(内面)に溶接によって接合された接合構造である。また、本実施の形態では、塔槽類の鋼材からなる胴板の一部(特に塔槽類の胴部の上端部に位置する胴板の一部)をチタンクラッド材からなる胴板3に代えて更新する際において、塔槽類の胴部の内周部に溶接される大型の仕切リング5を周方向に複数に分割してなる仕切リング片(クラッド板材片)10,10どうしを溶接によって接合している。
クラッド板材片(仕切リング片)10は、母材11にクラッド金属材12をクラッド接合してなるものであり、母材11とクラッド金属材12とは爆発圧着法により接合されている。
爆発圧着法は、2種類の金属を爆発力によって高速で衝突させ、金属どうしを結合(接合)させる加工法であり、単に、爆着と称されることもある。
爆発圧着法では、火薬の爆発によって発生した大きな圧力によって、金属どうしを原子レベルで接合させている。この接合面は波状になるので、接触面が広くなり、非常に接合強度が高くなる。また、爆発圧着法では、従来の溶接などで接合不可能な金属をきわめて強固に接合することができ、例えばチタンと炭素鋼(軟鉄)、チタンと耐食性を有する非鉄金属材との接合に適している。
本実施の形態では、母材11である鋼材11とクラッド金属材12であるチタン材12とが爆発圧着法によりクラッド接合されている。
また、母材11としては耐食性を有する非鉄金属材、例えばインコネル(登録商標)やハステロイ(登録商標)等を使用してもよい。
また、本実施の形態では、図2(a)に示すように、鋼板3aの板面の一部にチタン製のライニングプレート2がクラッド接合されている。また、仕切リング片10の鋼材(母材)11の一端部が鋼板3aの板面に溶接によって接合され、仕切リング片10のチタン材(クラッド金属材)12の一端部がチタン製のライニングプレート2にチタン溶接によって接合されている。
すなわち、胴板3の内周面側を構成するライニングプレート2の下端部が切除されることで、鋼板3aの内周面が露出されており、この露出した鋼板3aの板面に、仕切リング片10の下側を構成する鋼材11の一端部(外周部)が溶接によって接合されている。なお、溶接した部分は黒塗りの三角形で示している。以下において、溶接した分は同様に黒塗りの三角形で示す。
また、ライニングプレート2は、その下端部が仕切リング片10の外周部まで延在することで、仕切リング片10の外周部に重なっている。すなわち、仕切リング片10を構成する上側のチタン材12の一端部(外周部)はライニングプレート2の表面に当接され、チタン溶接によって接合されている。
また、ライニングプレート2の下端部はチタン材12を越えて、鋼材11の外周部の所定の深さまで達している。一方、鋼材11の外周部は所定の深さまで所定の幅で切り欠かれており、この切欠部11aにライニングプレート2の下端部が挿入されている。
次に、チタンクラッド材からなる仕切リング片10,10の溶接構造および仕切リング片10,10どうしの溶接接合部に生じた未溶融部のシール構造について説明する。
仕切リング片10,10どうしの溶接は、図1に示すように、仕切リング片10,10の上側のチタン材12,12どうしをチタン溶接する(符号W1で示す。)とともに、仕切リング片10,10の下側の鋼材11,11どうしを溶接する(符号W2で示す。)ことによって行われている。
このようにして、仕切リング片10,10どうしを溶接すると、仕切リング片10,10の厚さ方向の境界部分、つまり、図2(a)に示すように、仕切リング片10の上側のチタン材12と、下側の鋼材11との境界部分に未溶融部Sが生じて、空洞Sが形成される。
このように、未溶融部Sの発生に起因する空洞Sが形成されると、この空洞Sから内容液が浸入し、本体母材、すなわち、胴板3の鋼板3aに到達して当該鋼板3aとライニングプレート2との接合下端部に腐食を起こさせるため、この未溶融部(空洞)Sの少なくとも一部、つまり未溶融部Sの流路の途中や一端部がシール手段20によってシールされている。
シール手段20は、第1シール手段21と第2シール手段22とを備えている。
第1シール手段21は、仕切リング片10,10どうしの接合部に、未溶融部Sの一部を含んで溶接接合部の溶接線L(図1参照)に交差(直交)する方向に貫通して設けられた貫通孔23と、この貫通孔23に設けられて、未溶融部Sの開口部(貫通孔23に開口する開口部)S1に密着可能なシール部材24と、シール部材24を押圧することによって、当該シール部材24を未溶融部Sの開口部S1に密着させる押圧手段25とを備えている。
貫通孔23は未溶融部Sの流路断面を横切るようにし設けられており、異なる直径の2つの孔23a,23bとから構成されており、孔23aの下側に孔23bが同軸に配置されている。また、孔23aは孔23bより大径となっており、これによって孔23aの下面には円環状の座面23cが形成されている。また、孔23aは仕切リング片10を構成する上側のチタン材12と下側の鋼材11の上部とに連続して形成され、孔23bは鋼材11に孔23aの下方に連続して形成されている。
シール部材24は、図3に示すように、変形防止用の円環状のリング24aと、このリング24aの上縁部に上方に突出するようにして形成された一対のシール部24b,24bとから構成されている。
リング24aの外径は貫通孔23の孔23aの内径とほぼ等しくなっており、軸方向の長さは孔23aの深さより短くなっている。シール部24b,24bはリング24aの径方向に対向して配置されており、リング24aの周方向に沿って湾曲した略矩形板状に形成されている。また、シール部24bの外周面はリング24aの外周面と面一の円弧面状に形成されており、当該外周面がシール面24cとなっている。さらに、シール部24bの内周面は円弧面状に形成されるとともに、上方に向かうほどシール部24bが薄くなるような傾斜面に形成されている。
このようなシール部材24は貫通孔23にその上方から挿入されている。そして、シール部材24のリング24aは、貫通孔23に設けられている座面23cに設置されるとともに、シール部24b,24bのシール面24c,24cが未溶融部Sの開口部S1を塞ぐようにして当該開口部S1の周囲に密接するようにして配置されている。
押圧手段25は、シール部材24のシール部24b,24bを未溶融部Sの開口部S1に密着させるためのものであり、テーパ押拡ボルト26と、ナット27と、バネ座金28とを備えている。
テーパ押拡ボルト26は、円錐台状に形成された本体部26aと、この本体部26aの下端面から下方に延在する雄ねじ部26bとを備えている。本体部26aの外周面は下方に向かうほど先細りするようなテーパ面となっており、このテーパ面の傾斜角(貫通孔23の軸に対する傾斜角)は、シール部24bの内周面の傾斜角(貫通孔23の軸に対する傾斜角)と等しくなっている。
また、本体部26aの軸方向(上下方向)の長さは貫通孔23の深さ(上下方向の長さ)より長くなっており、当該本体部26aの上端部は貫通孔23の上端開口部より上方に突出している。本体部26aの上端部には、ナット27を回す際にテーパ押拡ボルト26の共回りを防止するために使用される工具が係合する係合部26cが設けられている。また、本体部26aの下端部は貫通孔23の孔23b内に配置されている。
雄ねじ部26bは本体部26aの下面から下方に延在し、その下端部は貫通孔23の下端開口部より下方に突出している。そして、この突出している雄ねじ部26bにバネ座金28が外挿されたうえで、ナット27が螺合されている。バネ座金28は貫通孔23の下端周囲の鋼材11の下面およびナット27に当接している。
このような構成の押圧手段25では、テーパ押拡ボルト26の係合部26cに工具を係合してナット27を締め付け方向に回すと、このナット27がバネ座金28を撓ませながら、テーパ押拡ボルト26が下方にねじ込まれていく。これに伴って本体部26aが軸回りに回転しながら下降していき、これによって、本体部26aの外周面(テーパ面)がシール部材24のシール部24b,24bの内周面を押し拡げることで、シール部24b,24bを外側に押し拡げる。シール部24b,24bが外側に押し拡げられることによって、そのシール面24c,24cが未溶融部Sの開口部S1を塞ぐようにして当該開口部S1の周囲に密着して、当該開口部S1がシールされる。また、バネ座金28を撓ませることにより、バネ効果によるテーパ押拡ボルト26の応力緩和による緩みを防止する。
また、貫通孔23のチタン材12側の開口部は、第1キャップ31によって覆われている。第1キャップ31は上端が閉塞された円筒状のもので、チタンによって形成されている。第1キャップ31の内径は貫通孔23の上端開口部の内径より大きく、高さは貫通孔23の上端開口部から突出しているテーパ押拡ボルト26の上端部の突出高さより高くなっている。このような第1キャップ31の下端開口部はチタン材12の上面に溶接(チタン溶接)によって接合されている。
また、貫通孔23の鋼材11側の開口部は、第2キャップ32によって覆われている。第2キャップ32は下端が閉塞された円筒状のもので、耐食性材料(ステンレス鋼、インコネル等)によって形成されている。第2キャップ32の内径は貫通孔23の下端開口部の内径より大きく、高さは貫通孔23の下端開口部から突出しているテーパ押拡ボルト26の雄ねじ部26bの突出高さより高くなっている。このような第2キャップ32の上端開口部は鋼材11の下面に溶接によって接合されている。
このように、貫通孔23の上端開口部と下端開口部が第1キャップ31と第2キャップ32とによって覆われているので、貫通孔23に上端開口部および下端開口部から内容液が侵入するのを防止できる。
第2シール手段22は、仕切リング片(クラッド板材片)10の他端部(内周部)に、未溶融部Sの一部を含んで設けられた挿入孔35と、この挿入孔35の開口部35dをシールする挿入部材36とを備えている。
すなわち、図4に示すように、仕切リング片10の他端部(内周部)には、断面円形状の挿入孔35が鋼材11とチタン材12との境界面および未溶融部Sの他端部(一部)を含んで設けられている。したがって、挿入孔35の底面には未溶融部Sの他端部が開口している。また、挿入孔35の中心はクラッド界面(鋼材11とチタン材12との境界面)Kより鋼材11側へ所定寸法tだけずれて配置されている。このように挿入孔35を配置することによって、当該挿入孔35を削孔する際に堅いチタン材12の切削量を少なくすることができるので、削孔を容易に行えるとともに、鋼材11より薄いチタン材12の削孔による強度低下や破損を防止できる。
挿入部材36は先端部に向かうほど先細りとなる円柱状のものでチタンによって形成されており、その長さは挿入孔35の深さより長くなっている。このような挿入部材36は挿入孔35に挿入されており、この状態において、挿入孔35の開口縁部に挿入部材36の外周面が密着している。これによって、挿入孔35の開口部35dがシールされている。
また、挿入孔35の底部には挿入部材36を挿入する前に、シール材37が挿入されており、このシール材37が挿入部材36によって挿入孔35の底面に密着されている。したがって、このシール材37によって未溶融部Sの他端部の開口がシールされている。
なお、シール材37は挿入しなくてもよいが、未溶融部Sへの内容液の侵入をより確実に防止するために挿入する方が好ましい。
また、挿入孔35から突出している挿入部材36の基端部は、その略上半分がチタン材12の他端部(内周部)とチタン溶接されている。これによって、塔槽類の運転中における挿入部材36の抜け落ちを防止している。
図5は、第2シール手段22の第1変形例を示す断面図である。
この第1変形例では挿入部材36がチタンで形成された半割の挿入部材片36aと、炭素鋼で形成された半割の挿入部材片36bとから構成され、鋼製の挿入部材片36bにチタン製の挿入部材片36aがクラッド接合されている。なお、挿入孔35およびシール材37は図4に示す例と同様であるので、同一符号を付してその説明を省略する。
このような挿入部材36は、その挿入部材片36aを上側に向けるとともに挿入部材片36bを下側に向けて挿入孔35に挿入されている。つまり、チタン製の挿入部材片36aをチタン材12側に寄せ、鋼製の挿入部材片36bを鋼材11側に寄せて、挿入部材36が挿入されている。
そして、挿入孔35から突出している挿入部材36の基端部は、その略上半分のチタン製の挿入部材片36aがチタン材12の他端部(内周部)とチタン溶接されるとともに、略下半分の鋼製の鋼材11の他端部(内周部)と溶接されている。これによって、塔槽類の運転中における挿入部材36の抜け落ちをより確実に防止している。
図6は、第2シール手段22の第2変形例を示す断面図である。この第2変形例では挿入部材38がショルダーボルト38となっているとともに、挿入孔35の開口部35dにチタンガスケット39が設けられている。なお、挿入孔35の配置状態は図4に示す例と同様であるので、同一符号を付してその説明を省略する。
挿入孔35の内周面には雌ねじ部35aが形成されており、この雌ねじ部35aにショルダーボルト38の雄ねじ部38aが螺合されている。また、挿入孔35の開口縁部には円形状のガスケット溝35cが設けられており、このガスケット溝35cに円形リング状のチタンガスケット39が嵌め込まれている。
そして、このチタンガスケット39の表面にショルダーボルト38の円板状の胴部38bが、当該ショルダーボルト38をねじ込むことによって密着されている。これによって、挿入孔35の開口部35dがシールされている。
図7は第2シール手段22の第3変形例を示す断面図である。この第3変形例では挿入部材40がテーパシールボルト40となっているとともに、挿入孔41が先細りとなるテーパ孔41となっている。なお、挿入孔41の配置状態は図4に示す挿入孔35の配置状態と同様であるのでその説明を省略する。
テーパシールボルト40はその外周面が先細りするテーパ面となっており、このテーパ面に雄ねじ部40aが形成されている。この雄ねじ部40aにシールテープ(図示略)が巻き付けられるか、またはシール膜が塗布されている。また、テーパシールボルト40はその基端部にテーパシールボルト40を軸回りに回す際に使用される工具が係合する係合部40bが設けられている。
挿入孔41の内周面は先細りするテーパ面となっており、このテーパ面に雌ねじ部41aが形成されている。この雌ねじ部41aにテーパシールボルト40の雄ねじ部40aが螺合されている。この雄ねじ部40aにはシールテープ(図示略)が巻き付けられるか、またはシール膜が塗布されているので、雄ねじ部40aは雌ねじ部41aに密着されている。これによって、挿入孔41の開口部41dがシールされている。
また、挿入孔41の底部にはテーパシールボルト40を挿入する前に、シール材37が挿入されており、このシール材37がテーパシールボルト40によって挿入孔41の底面に密着されている。したがって、このシール材37によって未溶融部Sの他端部の開口がシールされている。
なお、シール材37は挿入しなくてもよいが、未溶融部Sへの内容液の侵入をより確実に防止するために挿入する方が好ましい。
次に、仕切リング片(クラッド板材片)10,10どうしの溶接接合部に生じた未溶融部Sをシールする方法について説明する。
第1シール手段21によってシールする場合、まず、図8(a)に示すように、チタンクラッド材からなる胴板3の内周面に仕切リング片10の一端部(外周部)を接合する。この場合、胴板3の内周面側を構成するライニングプレート2の下端部を切除することで、鋼板3aの内周面を露出させ、この露出させた鋼板3aの板面に、仕切リング片10の下面側を構成する鋼材11の一端部(外周部)を溶接によって接合する。また、仕切リング片10を構成する上側のチタン材12の一端部(外周部)をライニングプレート2の表面にチタン溶接によって接合する。
次に、仕切リング片10,10どうしの接合部に、未溶融部Sの一部を含んで溶接接合部の溶接線に交差(直交)する方向に貫通する貫通孔23を形成する。この場合、上側の大径の孔23aと、下側の小径の孔23bを上下に連続しかつ同軸に形成する。
次に、図8(b)に示すように、貫通孔23にシール部材24を挿入するとともに、シール部材24の下端部を貫通孔23に設けられている座面23cに設置する。また、シール部材24は、そのシール面24c,24cが未溶融部Sの開口部S1(図2(a)参照)を塞ぐようにして当該開口部S1の周囲に密接するようにして配置する。
次に、貫通孔23にテーパ押拡ボルト26を挿入するとともに、その本体部26aをシール部材24の内側に挿通する。これによって、本体部26aの外周面がシール部材24のシール部24b,24bの内周面に密接する。
次に、テーパ押拡ボルト26の雄ねじ部26bにバネ座金28を外挿したうえで、ナット27を螺合する。次に、テーパ押拡ボルト26の係合部26cに工具(図示略)を係合してナット27を締め付け方向に回すと、このナット27がバネ座金28を撓ませながら、テーパ押拡ボルト26が下方にねじ込まれていく。
これに伴って本体部26aが軸回りに回転しながら下降していき、本体部26aの外周面(テーパ面)がシール部材24のシール部24b,24bの内周面を押し拡げることで、シール部24b,24bを外側に押し拡げる。シール部24b,24bが外側に押し拡げられることによって、そのシール面24c,24cが未溶融部Sの開口部S1を塞ぐようにして当該開口部S1の周囲に密着して、当該開口部がシールされる。また、バネ座金28を撓ませることにより、バネ効果によるテーパ押拡ボルト26の応力緩和による緩みを防止する。
次に、図8(c)に示すように、貫通孔23のチタン材12側の開口部および当該開口部から突出しているテーパ押拡ボルト26の上端部を、第1キャップ31によって覆うとともに、この第1キャップ31の下端開口部をチタン材12の上面に溶接(チタン溶接)によって接合する。
また、貫通孔23の鋼材11側の開口部および当該開口部から突出している雄ねじ部26bの下端部、ナット27およびバネ座金28を、第2キャップ32によって覆うとともに、この第2キャップ32の上端開口部を鋼材11の下面に溶接によって接合する。
このように、貫通孔23の上端開口部と下端開口部を第1キャップ31と第2キャップ32とによって覆うことによって、貫通孔23に開口部から内容液が侵入するのを防止する。
一方、仕切リング片10の他端部(内周部)において、未溶融部Sをシールする場合、つまり第2シール手段22によってシールする場合、まず図8(a)に示すように、仕切リング片10の他端部(内周部)に、断面円形状の挿入孔35を鋼材11とチタン材12との境界面および未溶融部Sの他端部(一部)を含んで形成する。
次に、図8(b)に示すように、挿入孔35にシール材37を挿入するとともに、挿入孔35の底面に密接させ、その後、挿入孔35に挿入部材36を打ち込むことによって挿入して、シール材37を挿入孔35の底面に押し付ける。これによって、シール材37が挿入孔35の底面に密着するので、当該シール材37によって未溶融部Sの他端部の開口がシールされる。
また、挿入部材36を挿入孔35に挿入することによって、当該挿入部材36の基端部の外周面を挿入孔35の開口縁部に密着させる。これによって、挿入孔35の開口部35dが挿入部材36によってシールされる。
次に、図8(c)に示すように、挿入孔35から突出している挿入部材36の基端部略上半分をチタン材12の一端部(内周部)とチタン溶接する。これによって、塔槽類の運転中における挿入部材36の抜け落ちを防止する。
このような第2シール手段22による未溶融部Sのシール作業は、第1シール手段21によるシール作業(第1キャップ31および第2キャップ32に取り付け作業を含む。)と同時に行ってもよいし、第1シール手段22によるシール作業の前または後に行ってもよい。さらに、第1シール手段21によるシール作業と第2シール手段22によるシール作業とは、いずれか一方を行ってもよいし、双方を行ってもよい。
また、第2シール手段22によるシール作業は、図5〜図7にそれぞれ示す第1変形例〜第3変形例のいずれかで行ってもよい。
なお、本実施の形態では、図2(a)に示すように、仕切リング片10と胴板3とを接合する場合に、仕切リング片10の鋼材(母材)11の一端部を鋼板3aの板面に溶接によって接合し、仕切リング片10のチタン材(クラッド金属材)12の一端部をチタン製のライニングプレート2にチタン溶接によって接合したが、これに代えて図2(b)に示すように、チタン製のライニングプレート2と、仕切リング片10の上側のチタン材12とを、チタン材で形成されたL形のチタンアングル8によって接合してもよい。
すなわち、胴板3の内周面側を構成するライニングプレート2の下端部が切除されることで、鋼板3aの内周面が露出されており、この露出した鋼板3aの板面に、仕切リング片10の下面側を構成する鋼材11の一端部(外周部)が溶接によって接合されている。
また、胴板3の内周面側のライニングプレート2と、仕切リング片10の上面側を構成するチタン材12とが、チタン材で形成されたL形のチタンアングル8によって接合されている。
このように、チタンアングル8を使用することによって、チタン製のライニングプレート2とチタン材12とを確実に接合できる。
以上のように、本実施の形態によれば、鋼材(母材)11とチタン材(クラッド金属材)12とが爆発圧着法により接合されているので、従来のロール成形によるクラッド接合に比して接着強度(接合強度)が大きくなる。このため、鋼材(母材)11とチタン材(クラッド金属材)12との境界面からの内容液の侵入を抑制できる。したがって、塔槽類内の内容液が鋼材11とチタン材12との境界面に直接接していても、境界面での剥離の発生を防止できる。
また、仕切リング片10を構成する鋼材(母材)11の一端部が鋼板3aの板面に溶接によって接合されているので、この接合による接合部からの内容液の侵入を防止できるとともに、仕切リング片10を構成するチタン材(クラッド金属材)12の一端部がライニングプレート2にチタン溶接によって接合されているので、この接合による接合部からの内容液の侵入を防止できる。したがって、鋼板3aの板面に仕切リング片10の一端部を接合してなる接合部からの内容液の侵入を防止できる。
さらに、溶接接合部に生じた未溶融部Sの一部を含んで、溶接接合部の溶接線Lに交差する方向に貫通して設けられた貫通孔23に、シール部材24が設けられ、このシール部材24を押圧手段25によって未溶融部Sの開口部S1に押圧して密着させるので、仕切リング片10,10どうしの溶接接合部に生じた未溶融部Sの開口部S1を確実にシールできる。したがって、未溶融部Sによる空洞Sから内容液が浸入して鋼板3aに達することがないので、これに起因する腐食(鋼板3aとライニングプレート2の接合下端部の腐食)を防止できる。
また、貫通孔23のチタン材12側の上端開口部は、チタン材12に溶接された第1キャップ31によって覆われており、貫通孔23の鋼材11側の下端開口部は、鋼材11に溶接された第2キャップ32によって覆われているので、上端開口部および下端開口部から内容液が侵入してシール部材24および押圧手段25に達することがない。したがって、シール部材24および押圧手段25の腐食を防止できる。
さらに、第1キャップ31はチタン材12に溶接され、第2キャップ32は鋼材11に溶接されているので、溶接熱が直接シール部材24および押圧手段25に伝わることがない。このため、シール部材24の溶接による熱影響が殆ど無く、シール部材24および押圧手段25のシール性の信頼性が高まる。
加えて、第1キャップ31および第2キャップ32によって貫通孔23の上下の開口部が覆われているので、シール部材24および押圧手段25に内容液が直接接しない。このため、押圧手段25を構成する部品(テーパ押拡ボルト26、ナット27、バネ座金28)をチタンではなく、炭素鋼で形成できるので、チタンで形成する場合に比してコストを削減できる。
また、テーパ押拡ボルト26を高強度のボルト用合金鋼で形成することによって、テーパ押拡ボルト26の締付けトルクを大きくすることができるので、シール部材24の面圧を上げてシール性能の向上を図ることができる。
また、貫通孔23を上側の大径の孔23aと下側の小径の孔23bとによって構成したので、孔23aと孔23bとの境界部にある座面23cにシール部材24を設置できる。このためシール部材24の位置決め(上下方向の位置決め)が容易となるとともに、シールに要する部品点数を削減できる。
また、仕切リング片10の他端部(内周部)に、未溶融部Sの一部を含んで設けられた挿入孔35に挿入部材36が挿入され、この挿入部材36によって挿入孔35の開口部がシールされるので、挿入孔35からの内溶液の侵入を防止できる。したがって、未溶融部Sによる空洞Sを通って内容液が鋼板3aに達することがないので、これに起因する腐食(鋼板3aとライニングプレート2の接合下端部の腐食)を防止できる。
また、未溶融部Sに仕切リング片10の端部(内周部)からの内溶液の侵入を防止できるので、挿入部材36の挿入孔35への打ち込み(挿入)によって、鋼材11とチタン材12との境界面を引き離す方向に力が作用しても、未溶融部Sへの内容液の侵入を防止できる。
なお、本実施の形態では、本発明をチタンクラッド材からなる仕切リング片10,10を溶接して接合する場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限ることなく、仕切リング片10,10以外のチタンクラッド板材片どうしを溶接によって接合する場合や、チタンクラッド板材片以外の溶接が困難なクラッド板材片どうしを溶接によって接合する場合でも適用できる。
S 未溶融部
S1 開口部
L 溶接線
2 ライニングプレート
3a 鋼板
5 仕切リング(クラッド板材)
10 仕切リング片(クラッド板材片)
11 鋼材
12 チタン材
20 シール手段
21 第1シール手段
22 第2シール手段
23 貫通孔
24 シール部材
25 押圧手段
31 第1キャップ
32 第2キャップ
35,41 挿入孔
36,38,40 挿入部材

Claims (4)

  1. 鋼材または耐食性を有する非鉄金属材からなる母材とクラッド金属材とを接合してなるクラッド板材の一端部が鋼板の板面に接合されるクラッド板材の接合構造であって
    前記母材と前記クラッド金属材とが爆発圧着法により接合されており、
    前記クラッド板材が、複数のクラッド板材片を接合することによって構成され、
    隣り合う前記クラッド板材片どうしが溶接によって接合され、前記クラッド板材片どうしの溶接接合部に生じた未溶融部のシール構造部において、
    前記未溶融部は、前記クラッド板材片の他端部から当該クラッド板材片の一端部に向けて延びるようにして前記溶接接合部に設けられ、
    前記未溶融部の少なくとも一部をシールするシール手段が、
    前記クラッド板材片どうしの接合部に、前記未溶融部の一部を含んで前記溶接接合部の溶接線に交差する方向に貫通して設けられた貫通孔と、
    前記貫通孔に設けられて、前記未溶融部の開口部に密着可能なシール部材と、
    前記シール部材を押圧することによって、当該シール部材を前記未溶融部の前記開口部に密着させる押圧手段と、を備え、
    前記貫通孔の前記クラッド金属材側の開口部は、前記クラッド金属材に溶接された第1キャップによって覆われ、
    前記貫通孔の前記鋼材側の開口部は、前記鋼材に溶接された第2キャップによって覆われている、
    ことを特徴とするクラッド板材の接合構造。
  2. 前記鋼板の板面の一部に当該鋼板と異なる金属でかつ前記クラッド金属材と同じ金属製のライニングプレートがクラッド接合され、
    前記クラッド板材の前記母材の一端部が前記鋼板の板面に溶接によって接合され、
    前記クラッド板材の前記クラッド金属材の一端部が前記ライニングプレートに溶接によって接合されていることを特徴とする請求項1に記載のクラッド板材の接合構造。
  3. 鋼材または耐食性を有する非鉄金属材からなる母材とクラッド金属材とを接合してなるクラッド板材の一端部が鋼板の板面に接合されるクラッド板材の接合構造であって、
    前記母材と前記クラッド金属材とが爆発圧着法により接合されており、
    前記クラッド板材が、複数のクラッド板材片を接合することによって構成され、
    隣り合う前記クラッド板材片どうしが溶接によって接合され、前記クラッド板材片どうしの溶接接合部に生じた未溶融部のシール構造部において、
    前記未溶融部の少なくとも一部をシールするシール手段が、
    前記クラッド板材片どうしの接合部に、前記未溶融部の一部を含んで前記溶接接合部の溶接線に交差する方向に貫通して設けられた貫通孔と、
    前記貫通孔に設けられて、前記未溶融部の開口部に密着可能なシール部材と、
    前記シール部材を押圧することによって、当該シール部材を前記未溶融部の前記開口部に密着させる押圧手段と、
    前記クラッド板材片の他端部に、前記未溶融部の一部を含んで設けられた挿入孔と、
    この挿入孔に挿入されて当該挿入孔の開口部をシールする挿入部材と、を備え、
    前記貫通孔の前記クラッド金属側の開口部は、前記クラッド金属に溶接された第1キャップによって覆われ、
    前記貫通孔の前記鋼材側の開口部は、前記鋼材に溶接された第2キャップによって覆われていることを特徴とするクラッド板材の接合構造。
  4. 前記鋼板は、塔槽類の胴部および/または頂部を構成する鋼板であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のクラッド板材の接合構造。
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