JP6946692B2 - X線発生装置 - Google Patents

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Description

本開示は、X線を発生させるX線発生装置に関する。
従来、基板に成長させたカーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)にレーザーを照射して、X線を発生させる技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
CNTを構成する炭素原子にレーザーを照射することで発生するX線の波長は、2.28nm以上4.36nm以下であり、水の窓領域(Water window)と呼ばれている。水の窓領域のX線(「軟X線」ともいう)は、水を透過するものの、タンパク質等を透過しない。このため、軟X線を照射する軟X線顕微鏡は、水を含んだ状態で生体を観測できる。
特許第4005551号公報
上記特許文献1に記載された技術のように、繊維状のカーボンや繊維状の金属を成長させた基板にレーザーを照射してX線を発生させる技術では、レーザーのエネルギー密度が相対的に低い場合であっても、レーザーを照射すると繊維状のカーボンや金属が基板から剥離してしまう。このため、X線の強度(発生量)を高めることができないという問題がある。
本開示は、X線の強度を高めることが可能なX線発生装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係るX線発生装置は、1または複数のカーボンナノウォールを含んで構成されるナノ構造層を有する基材と、前記ナノ構造層に、パルス幅が10−12秒未満のレーザーを照射して、前記ナノ構造層をアブレートさせるレーザー照射部と、を備え、前記カーボンナノウォールには、金属がドープされている。
また、前記レーザー照射部は、前記ナノ構造層におけるグラファイト層が設けられる側と逆側からレーザーを照射してもよい。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る他のX線発生装置は、1または複数のカーボンナノウォール形状の金属の構造体を含んで構成されるナノ構造層を有する基材と、前記ナノ構造層に、パルス幅が10−12秒未満のレーザーを照射して、前記ナノ構造層をアブレートさせるレーザー照射部と、を備える。
また、前記基材は、樹脂およびガラスのいずれか一方または両方に埋め込まれた前記ナノ構造層を有してもよい。
また、前記レーザー照射部によるレーザーの照射領域と、前記基材とを相対的に移動させる移動部を備えてもよい。
X線の強度を高めることが可能となる。
X線発生装置を説明する図である。 基材を説明する図である。 ナノ構造層を説明する図である。 第1変形例の基材を説明する図である。 第2変形例の基材を説明する図である。 基材を製造する成膜装置を説明する図である。 第3変形例の基材を説明する図である。 第4変形例の基材を説明する図である。 図9(a)は、レーザーを照射する前のカーボンナノチューブをSEMで観察した結果を示す画像である。図9(b)は、レーザーを照射した後のカーボンナノチューブをSEMで観察した結果を示す第1の画像である。 図10(a)は、レーザーを照射する前の基材をSEMで観察した結果を示す画像である。図10(b)は、レーザーを照射した後の基材をSEMで観察した結果を示す第1の画像である。図10(c)は、レーザーを照射した後の基材をSEMで観察した結果を示す第2の画像である。 図11(a)は、レーザーを照射する前の基材のラマンスペクトルを示す図である。図11(b)は、レーザーを照射した後の基材のラマンスペクトルを示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
(X線発生装置100)
図1は、X線発生装置100を説明する図である。図1に示すように、X線発生装置100は、基材110と、レーザー照射部120、移動部130とを含んで構成される。なお、図1中、レーザーおよびX線を実線の矢印で示す。
図2は、基材110を説明する図である。なお、本実施形態の図2では、垂直に交わるX軸、Y軸、Z軸を図示の通り定義している。図2に示すように、基材110は、基板Sと、ナノ構造層150とを含んで構成される。ナノ構造層150は、グラファイト層152と、1または複数のカーボンナノウォール154を含んで構成される。ナノ構造層150は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置やスパッタリング装置によって基板S上に成膜される。
図3は、ナノ構造層150を説明する図である。なお、本実施形態の図3(b)、図3(d)では、垂直に交わるX軸、Y軸、Z軸を図示の通り定義している。カーボンナノウォール154は、図3(a)に示すようなグラフェンシート(図3(a)中、炭素原子(C)を白丸で示す)が、図3(b)に示すように、基板Sの表面上から立設したもの(垂直状に成長したもの)である。カーボンナノウォール154が基板S上に形成される際には、図3(c)、図3(d)に示すように、まず、基板Sの表面に、グラファイト層152(またはアモルファスカーボン層)が形成される。グラファイト層152は、基板Sの表面の面内方向に沿って、基板Sの表面に形成される。例えば、グラファイト層152は、基板Sの表面の面内方向に平行に、基板Sの表面に形成される。
そして、カーボンナノウォール154は、グラファイト層152を介して、基板Sの表面に対して垂直方向(図3(b)、図3(d)中、Z軸方向)に延在(延伸)するように複数形成される。ここで、カーボンナノウォール154における基板Sと平行な方向(図3(b)中、X軸方向)の厚みは、1nm以上100nm以下である。また、隣り合うカーボンナノウォール154間の図3(b)中、X軸方向の距離は、1nm以上10μm以下である。
図1に戻って説明すると、レーザー照射部120は、ナノ構造層150に、パルス幅が10−12秒未満のレーザー(パルスレーザー)を照射する。レーザー照射部120は、例えば、パルス幅がフェムト秒(10−15秒)のレーザーや、パルス幅がアト秒(10−18秒)のレーザーを照射する。
レーザー照射部120が照射するレーザーのエネルギー密度は、ナノ構造層150をアブレートさせるエネルギー密度である。エネルギー密度は、炭素原子の電子のエネルギー準位を、基底状態に戻ったときにX線(特性X線)を放出する程度まで上昇させるエネルギー密度である。エネルギー密度は、ナノ構造層150の厚みに基づいて決定される。エネルギー密度は、例えば、1×1014W/cm以上である。なお、レーザー照射部120が照射するレーザーの波長に限定はない。レーザー照射部120が照射するレーザーの波長は、例えば、301nm以上である。
レーザー照射部120が、ナノ構造層150をアブレートさせる程度のレーザーを照射することにより、カーボンナノウォール154を構成する炭素原子からX線を放出させることができる。炭素原子から放出される特性X線は、2.28nm以上4.36nm以下の波長の軟X線である。したがって、レーザー照射部120がナノ構造層150にレーザーを照射することにより、水を含んだ状態で、生体や、軽元素(C、N、O)等で構成された測定対象物を観測することができる。
また、カーボンナノウォール154は、カーボンナノチューブ(CNT)と比較して、基板Sとの接触面積が極めて大きい。このため、レーザー照射部120がレーザーを照射しても、カーボンナノウォール154(ナノ構造層150)が基板Sから剥離することがない。したがって、エネルギー密度が相対的に高いレーザーを照射することができる。これにより、CNTにレーザーを照射する場合と比較して、X線の強度を高める(X線の発生量を増加させる)ことが可能となる。
なお、レーザー照射部120によってレーザーを照射する際の基材110の雰囲気圧力は、大気圧以上であり所定の上限圧力未満である。上限圧力は、カーボンナノウォール154がダイヤモンドに転移する圧力である。基材110の雰囲気圧力が高いほど、放出するX線の強度を高めることができる。
移動部130は、レーザー照射部120によるレーザーの照射領域と、基材110とを相対的に移動させる。これにより、1の基材110に対して、照射領域を異にして、複数回レーザーを照射することができる。したがって、1の基材110で複数回X線を発生させることが可能となる。
(第1変形例:基材210)
図4は、第1変形例の基材210を説明する図である。図4(a)は、基材210の斜視図である。図4(b)は、図4(a)のXZ断面図である。なお、第1変形例の図4(a)、図4(b)では、垂直に交わるX軸、Y軸、Z軸を図示の通り定義している。また、図4(b)中、レーザーおよびX線を白抜き矢印で示す。
図4(b)に示すように、第1変形例の基材210は、ナノ構造層150と、囲繞部260とを含んで構成される。なお、上記基材110と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
囲繞部260は、グラファイト層152およびカーボンナノウォール154を囲繞する。つまり、ナノ構造層150は、囲繞部260に埋め込まれている。囲繞部260は、レーザーに対する透過性および耐熱性を有する材料で構成される。囲繞部260は、例えば、樹脂およびガラスのいずれか一方または両方である。樹脂は、例えば、ポリイミドやポリメタクリル酸メチル(PMMA)、エポキシ樹脂である。
基材210の具体的な製造方法については、特開2015−118348号公報に記載された技術を利用できるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
上記したように、ナノ構造層150は、囲繞部260に囲繞されている。つまり、ナノ構造層150(カーボンナノウォール154)の周囲は高密度である。このため、炭素原子から放出されるX線の強度を高めることが可能となる。
また、囲繞部260を備えることにより、ナノ構造層150から基板Sを取り外すことができる。このため、基材210は、基板SによってX線が吸収されてしまう事態を回避することが可能となる。
また、レーザー照射部120は、図4(b)に示すように、ナノ構造層150におけるグラファイト層152が設けられる側と逆側からレーザーを照射するとよい。これにより、基材210を挟んでレーザー照射部120の逆側に測定対象物を配置することができる。したがって、X線を反射させる機構を省略することができ、X線発生装置100を小型化することが可能となる。
さらに、囲繞部260を、可撓性を有する材料で構成すれば、基材210を測定対象物の形状に合わせて変形させることが可能となる。これにより、測定対象物のイメージングを容易に行うことができる。
(第2変形例:基材310)
図5は、第2変形例の基材310を説明する図である。なお、第2変形例の図5では、垂直に交わるX軸、Y軸、Z軸を図示の通り定義している。
図5に示すように、第2変形例の基材310は、ナノ構造層350と、基板Sとを含んで構成される。
ナノ構造層350は、下地層352と、1または複数のナノ構造体354とを含んで構成される。下地層352は、金属がドープされたグラファイトで構成される。ナノ構造体354は、金属がドープされたカーボンナノウォールである。
図6は、基材310を製造する成膜装置410を説明する図である。図6に示すように、成膜装置410は、所謂プラズマCVD装置であり、チャンバ420と、基板ホルダ430と、ターゲット保持部440と、プラズマ銃450とを含んで構成される。
チャンバ420には、ガス供給口422が形成されている。ガス供給口422を介して、チャンバ420の内部に反応ガスが供給される。反応ガスは、メタン(CH)等のカーボンナノウォールを形成することができるガスである。また、チャンバ420には、不図示の真空ポンプが接続されており、真空ポンプによって内部が所定の圧力に維持される。
基板ホルダ430は、チャンバ420内に配され、基板Sを保持する。基板Sは、例えばシリコン(Si)等の炭化物を形成しやすい元素を含んで構成される。
ターゲット保持部440は、チャンバ420内に配され、スパッタリングターゲットTを保持する。スパッタリングターゲットTは、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、および、ビスマス(Bi)の群から選択される1の金属、または、複数の合金で構成される。また、ターゲット保持部440は、スパッタリングターゲットTに所定の周波数でパルス電流(DC)を流す。
プラズマ銃450は、チャンバ420内にプラズマ流PFを放出する。プラズマ銃450は、特開2008−056546号公報に記載された技術を利用できるので、ここでは、詳細な説明は省略する。プラズマ銃450がプラズマ流PFを放出することにより、プラズマ流PFを構成するプラズマが、反応ガスを分解するとともに、スパッタリングターゲットTに衝突する。そうすると、基板S上にグラファイト層が成膜され、グラファイト層上に複数のカーボンナノウォールが形成される。また、スパッタリングターゲットTを構成する原子が、スパッタリングターゲットTから放出され(スパッタ)、グラファイト層および複数のカーボンナノウォールのいずれか一方または両方にドープされる。
そして、成膜装置410を用いて基材310を製造する際には、まず、基板Sを基板ホルダ430に保持させる。ガス供給口422を通じて反応ガスをチャンバ420内に供給する。そして、ターゲット保持部440による、スパッタリングターゲットTへのパルス電流の供給と同時に、プラズマ銃450を駆動する。つまり、基板Sへのカーボンナノウォールの形成の開始と同時に、カーボンナノウォールへの金属のドープを行う。これにより、基材310が製造される。
このようにして製造された基材310にレーザー照射部120がレーザーを照射することにより、炭素原子に加えて、ドープした金属原子からX線を放出させることができる。金属原子から放出される特性X線は、金属原子によって異なるものの、軟X線より波長が短い。金属原子から放出されるX線を硬X線と呼ぶ。例えば、金属原子が、銅である場合、特性X線CuKα1は1.540オングストローム(8.047keV)であり、特性X線CuKα2は1.544オングストローム(8.027keV)である。また、金属原子が、鉄である場合、特性X線FeKα1は1.9369オングストロームであり、特性X線FeKα2は1.9399オングストロームである。また、金属原子が、ニッケルである場合、特性X線NiKαは7.471keVであり、特性X線NiKβは8.263keVである。金属原子が、アルミニウムである場合、特性X線AlKαは1.486keVである。
したがって、基材310にレーザーを照射することにより、軟X線および硬X線を同時に発生させることができる。このため、軽元素と、重元素(金属)とを両方備えた測定対象物を1回のX線照射で観測することが可能となる。
(第3変形例:基材510)
図7は、第3変形例の基材510を説明する図である。なお、第3変形例の図7では、垂直に交わるX軸、Y軸、Z軸を図示の通り定義している。
図7に示すように、第3変形例の基材510は、ナノ構造層550と、基板Sとを含んで構成される。
ナノ構造層550は、グラファイト層152と、1または複数のナノ構造体554とを含んで構成される。ナノ構造体554は、一部分が金属で構成され、その他の部分が、金属がドープされたカーボンナノウォールで構成される。
具体的に説明すると、図7に示すように、ナノ構造体554は、第1層554aと、第2層554bとで構成される。第1層554aは、グラファイト層152上に形成される。第1層554aは、金属がドープされたカーボンナノウォールで構成される。第2層554bは、第1層554a上に形成される。第2層554bは、金属で構成される。
基材510は、上記第2変形例で説明した基材310から製造することができる。具体的に説明すると、基材310を所定のプラズマ雰囲気中に曝すプラズマ処理を行う。所定のプラズマ雰囲気は、例えば、水素(H)プラズマ、窒素(N)プラズマ、酸素(O)プラズマである。なお、プラズマ処理は、基板Sの反対側、すなわち、ナノ構造体354の先端部側から為される。これにより、ナノ構造体354の先端部側から、炭素に対して酸化処理が行われる。そうすると、ナノ構造体354の先端部から炭素が除去され、金属のみが残留することになる。このようにして、基材510を製造することができる。
このようにして製造された基材510にレーザー照射部120がレーザーを照射することにより、硬X線のみと、軟X線および硬X線とを発生させることができる。具体的に説明すると、レーザー照射部120が、ナノ構造体554の厚み、および、ナノ構造体554の密度に基づいて、エネルギー密度とパルス幅とを調整することにより、ナノ構造体554をアブレートさせる深さを異ならせる。例えば、レーザー照射部120が第2層554bをアブレートさせ、第1層554aをアブレートさせないようにレーザーを照射する。これにより、硬X線のみを発生させることができる。また、例えば、レーザー照射部120が第1層554aおよび第2層554bをアブレートさせるようにレーザーを照射する。これにより、硬X線および軟X線を同時に発生させることが可能となる。
(第4変形例:基材610)
図8は、第4変形例の基材610を説明する図である。なお、第4変形例の図8では、垂直に交わるX軸、Y軸、Z軸を図示の通り定義している。
図8に示すように、第4変形例の基材610は、ナノ構造層650と、基板Sとを含んで構成される。
ナノ構造層650は、第1構造体652と、1または複数の第2構造体654とで構成される。基材610は、上記第2変形例で説明した基材310から製造することができる。具体的に説明すると、基材310を所定の雰囲気中で加熱する加熱処理を行う。所定の雰囲気は、少なくとも酸素を含んだ雰囲気であり、例えば、大気(空気)である。加熱処理を施すことにより、下地層352およびナノ構造体354から炭素が除去され、金属のみが残留することになる。
したがって、第1構造体652は、上記下地層352から炭素が除去された層(薄膜)であると言える。つまり、第1構造体652は、金属(または金属酸化物)で構成され、基板Sの表面の面内方向に沿って形成された層である。
また、第2構造体654は、上記ナノ構造体354から炭素が除去された層である。つまり、第2構造体654は、金属(または金属酸化物)がカーボンナノウォール形状に構成された構造体(カーボンナノウォールをテンプレートとしてなる金属の構造体)である。
このようにして製造された基材610にレーザー照射部120がレーザーを照射することにより、硬X線を発生させることができる。
また、上記したように、ナノ構造層650は、カーボンナノウォールをテンプレートとしてなる金属の構造体で構成される。つまり、ナノ構造層650は、繊維状の金属と比較して、基板Sとの接触面積が極めて大きい。このため、レーザー照射部120がレーザーを照射しても、ナノ構造層650が基板Sから剥離することがない。したがって、エネルギー密度が相対的に高いレーザーを照射することができる。これにより、繊維状の金属にレーザーを照射する場合と比較して、X線の強度を高める(X線の発生量を増加させる)ことが可能となる。
(第1の実施例)
レーザー照射部120を用いて、カーボンナノチューブにレーザーを照射した。レーザーの波長は、800nmとした。レーザーのパルス幅は、40フェムト秒とした。レーザーのエネルギー密度は、5.4×1013W/cmとした。レーザーの照射雰囲気は大気とし、照射雰囲気の圧力は大気圧とした。
図9は、第1の実施例の結果を説明する図である。図9(a)は、レーザーを照射する前のカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す画像である。図9(b)は、レーザーを照射した後のカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す第1の画像である。
図9(a)、図9(b)に示すように、5.4×1013W/cmといった相対的に低いエネルギー密度のレーザーを照射した場合であっても、カーボンナノチューブが基板から剥離することが確認された。
(第2の実施例)
レーザー照射部120を用いて、基材110(カーボンナノウォール)にレーザーを照射した。レーザーの波長は、800nmとした。レーザーのパルス幅は、40フェムト秒とした。レーザーのエネルギー密度は、1.3×1014W/cm、および、1.7×1014W/cmとした。レーザーの照射雰囲気は大気とし、照射雰囲気の圧力は大気圧とした。
図10は、第2の実施例の結果を説明する第1の図である。図10(a)は、レーザーを照射する前の基材110を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す画像である。図10(b)は、エネルギー密度を1.3×1014W/cmとしてレーザーを照射した後の基材110を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す第1の画像である。図10(c)は、エネルギー密度を1.7×1014W/cmとしてレーザーを照射した後の基材110を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す第2の画像である。
図10に示すように、1.3×1014W/cm、1.7×1014W/cmといった相対的に高いエネルギー密度のレーザーを照射した場合であっても、カーボンナノウォールが基板Sから剥離していないことが確認された。
図11は、第2の実施例の結果を説明する第2の図である。図11(a)は、レーザーを照射する前の基材110のラマンスペクトルを示す図である。図11(b)は、エネルギー密度を1.3×1014W/cmとしてレーザーを照射した後の基材110のラマンスペクトルを示す図である。図11に示すように、レーザーを照射した後であっても、レーザーを照射する前と同様に、GバンドおよびDバンドが検出された。したがって、1.3×1014W/cmといった相対的に高いエネルギー密度のレーザーを照射した場合であっても、カーボンナノウォールが基板Sから剥離していないことが確認された。
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態では、カーボンナノウォール154が基板Sの表面から垂直方向に立設する構成を例に挙げて説明した。しかし、カーボンナノウォール154は、基板Sから立設していればよく、角度に限定はない。
また、上記実施形態において、レーザー照射部120が基材110にワンショットでレーザーを照射する構成を例に挙げて説明した。しかし、レーザー照射部120は、基材110に対し、同一の領域にダブルパルスでレーザーを照射してもよい。
また、上記第1変形例において、ナノ構造層150が囲繞部260に囲繞された基材210を例に挙げて説明した。しかし、ナノ構造層350、550、650が囲繞部260に囲繞されてもよい。
また。上記第2変形例において、成膜装置410がプラズマCVD装置である場合を例に挙げて説明した。しかし、成膜装置410は、基板S上に下地層352、および、ナノ構造体354を成膜できればよい。例えば、成膜装置410は、CVD装置で構成されてもよい。
また、上記第2変形例において、基板Sが炭化物を形成しやすい元素を含む構成を例に挙げて説明した。しかし、基板Sの材質に限定はない。
また、上記第2変形例では、スパッタによって金属をグラファイト層やカーボンナノウォールにドープする構成を例に挙げて説明した。しかし、金属のドープは、スパッタに限らず、有機金属を利用した蒸着処理や、金属を加熱して蒸着させる処理、CVD処理、有機金属系ガス(トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム等)や塩化金属ガス(塩化ガリウムガス等)と反応させる処理、インターカレーション処理(グラファイト層を、金属を含む溶液中に浸漬する処理)を用いて遂行してもよい。
本開示は、X線を発生させるX線発生装置に利用することができる。
100 X線発生装置
110 基材
120 レーザー照射部
130 移動部
150 ナノ構造層
154 カーボンナノウォール
210 基材
310 基材
350 ナノ構造層
510 基材
550 ナノ構造層
610 基材
650 ナノ構造層

Claims (5)

  1. 1または複数のカーボンナノウォールを含んで構成されるナノ構造層を有する基材と、
    前記ナノ構造層に、パルス幅が10−12秒未満のレーザーを照射して、前記ナノ構造層をアブレートさせるレーザー照射部と、
    を備え
    前記カーボンナノウォールには、金属がドープされているX線発生装置。
  2. 前記レーザー照射部は、前記ナノ構造層におけるグラファイト層が設けられる側と逆側からレーザーを照射する請求項1に記載のX線発生装置。
  3. 1または複数のカーボンナノウォール形状の金属の構造体を含んで構成されるナノ構造層を有する基材と、
    前記ナノ構造層に、パルス幅が10−12秒未満のレーザーを照射して、前記ナノ構造層をアブレートさせるレーザー照射部と、
    を備えるX線発生装置。
  4. 前記基材は、樹脂およびガラスのいずれか一方または両方に埋め込まれた前記ナノ構造層を有する請求項1からのいずれか1項に記載のX線発生装置。
  5. 前記レーザー照射部によるレーザーの照射領域と、前記基材とを相対的に移動させる移動部を備える請求項1からのいずれか1項に記載のX線発生装置。
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