JP6944748B2 - C4ジカルボン酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生物学的なC4ジカルボン酸製造に関する。
C4ジカルボン酸は、酸味料や抗菌剤、pH調整剤として食品工業において様々な用途に利用されるほか、合成樹脂や生分解性ポリマーの原料としても用いられるなど、工業的な価値が高い物質である。C4ジカルボン酸は、工業的には石化原料由来の化学合成、又は微生物発酵のいずれかにより製造される。従前は、より低コストなため化学合成法が主流であったが、近年、原料の高騰や、環境負荷などの観点から、循環再生資源を原料とする微生物発酵による製造方法が注目されている。
C4ジカルボン酸の一つであるフマル酸は、リゾプス属菌(Rhizopus)等の発酵菌を用いて製造できることが知られている。リゾプス属菌は、グルコースを炭素源としてフマル酸を生産し、菌体外に排出する。これまでに、リゾプス属菌のフマル酸高生産化のための手法に関しては、培養法の改良や変異育種による高生産性菌株の作製等が知られている。しかしながら、リゾプス属菌の遺伝学的背景は未だ充分に研究されていないことから、遺伝子組換えによるリゾプス属菌のフマル酸高生産化技術の開発は容易ではなく、報告も少ない。わずかに、サッカロマイセス・セレビシエ由来のピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子をリゾプス・デレマーに導入すること(特許文献1)、及び大腸菌由来のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子をリゾプス・オリゼに導入すること(非特許文献1)によるフマル酸生産性向上が報告されている。
(特許文献1)中国特許出願公開第103013843号明細書
(非特許文献1)Metabolic Engineering,2012,14:512−520
本発明は、配列番号2で示されるアミノ酸配列又は当該配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。
また本発明は、上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
また本発明は、上記ポリヌクレオチドを含有するベクター又はDNA断片を提供する。
また本発明は、上記ポリヌクレオチド又はベクター又はDNA断片を含む形質転換細胞を提供する。
さらに本発明は、上記形質転換細胞を培養することを含む、C4ジカルボン酸の製造方法を提供する。
さらに本発明は、上記ポリヌクレオチド又はベクターを宿主細胞に導入することを含む、形質転換細胞の製造方法を提供する。
さらに本発明は、上記ポリヌクレオチド又は上記ベクター又はDNA断片を宿主細胞に導入するか、又は上記ポリヌクレオチドの発現を強化することを含む、宿主細胞におけるC4ジカルボン酸生産能の向上方法を提供する。
発明の詳細な説明
本発明は、宿主細胞に対するC4ジカルボン酸生産能向上効果のあるポリペプチド、該ポリペプチドをコードする遺伝子、該遺伝子を含有する形質転換細胞、及び該形質転換細胞を用いたC4ジカルボン酸の製造方法に関する。
本発明者は、鋭意検討した結果、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの発現を増強させた細胞が、そのC4ジカルボン酸生産能を向上させることを見出した。
本発明のポリペプチドは、細胞のC4ジカルボン酸生産能向上機能を有する。本発明のポリペプチドの発現が強化された細胞(例えば、該ポリペプチドをコードする遺伝子を導入した細胞)は、より速くC4ジカルボン酸を生産することができる。したがって、本発明のポリペプチド及びその発現を強化した細胞は、C4ジカルボン酸の生物学的生産のために有用である。本発明の上記及び他の特徴及び利点は、以下の本明細書の記載からより明らかになるであろう。
(1.定義)
本明細書において、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列の同一性は、Lipman−Pearson法(Science,1985,227:1435−1441)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGENETYCS Ver.12のホモロジー解析プログラムのアミノ酸配列×アミノ酸配列マキシマムマッチング又はヌクレオチド配列×ヌクレオチド配列マキシマムマッチングを用いて、Matchesを−1、Mismatchesを1、Gapsを1、*N+2として解析を行うことにより算出される。
本明細書において、アミノ酸又はヌクレオチド配列の同一性とは、2つのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列を一致度が最大となるように整列(アラインメント)したときに、両方の配列において同一のアミノ酸又はヌクレオチドが存在する位置の数の全長アミノ酸数又はヌクレオチド数に対する割合(%)をいう。当該同一性は、類似アミノ酸又はヌクレオチドのグループも含めて類似とみなして類似性と同一性の両者を含めて算出する相同性とは区別される。
本明細書において、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列に関する「少なくとも90%の同一性」とは、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらにより好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の同一性をいう。
本明細書において、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列上の「相当する領域」は、目的配列と参照配列(例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列)とを、最大の相同性を与えるように整列(アラインメント)させることにより決定することができる。アミノ酸配列またはヌクレオチド配列のアラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、上述のLipman−Pearson法等に基づいて手作業で行うこともできるが、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D.et al,1994,Nucleic Acids Res.22:4673−4680)をデフォルト設定で用いることにより行うことができる。Clustal Wは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI[www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ[www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome−j.html])のウェブサイト上で利用することができる。上述のアラインメントにより参照配列の任意の領域に対応してアラインされた目的配列の領域は、当該任意の領域に「相当する領域」とみなされる。
本明細書における「1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列」とは、1個以上10個以下、好ましくは1個以上8個以下、より好ましくは1個以上5個以下、さらに好ましくは1個以上3個以下のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列をいう。また本明細書における「1又は複数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列」とは、1個以上30個以下、好ましくは1個以上24個以下、より好ましくは1個以上15個以下、さらにより好ましくは1個以上9個以下のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列をいう。本明細書において、アミノ酸又はヌクレオチドの「付加」には、配列の一末端及び両末端へのアミノ酸又はヌクレオチドの付加が含まれる。
本明細書において、遺伝子に関する「上流」及び「下流」とは、該遺伝子の転写方向の上流及び下流をいう。例えば、「プロモーターの下流に配置された遺伝子」とは、DNAセンス鎖においてプロモーターの3’側に遺伝子が存在することを意味し、遺伝子の上流とは、DNAセンス鎖における該遺伝子の5’側の領域を意味する。
本明細書において、制御領域と遺伝子との「作動可能な連結」とは、遺伝子と制御領域とが、該遺伝子が該制御領域の制御の下で発現し得るように連結されていることをいう。遺伝子と制御領域との「作動可能な連結」の手順は当業者に周知である。
本明細書において、細胞の機能や性状、形質に対して使用する用語「本来」とは、当該機能や性状、形質が当該細胞の野生型に存在していることを表すために使用される。対照的に、用語「外来」とは、当該細胞に元から存在するのではなく、外部から導入された機能や性状、形質を表すために使用される。例えば、「外来」遺伝子又はポリヌクレオチドとは、細胞に外部から導入された遺伝子又はポリヌクレオチドである。外来遺伝子又はポリヌクレオチドは、それが導入された細胞と同種の生物由来であっても、異種の生物由来(すなわち異種遺伝子又はポリヌクレオチド)であってもよい。
本明細書において、細胞の「C4ジカルボン酸生産能」は、該細胞の培養培地におけるC4ジカルボン酸の生産速度として表され、より詳細には、該細胞の培養開始後一定時間経過時までに該細胞により生産されたC4ジカルボン酸の培地体積あたりの質量を培養時間で割った値(g/L/h)で表される。細胞のC4ジカルボン酸の生産量は、該細胞の培養物から細胞を除いた培養上清中のC4ジカルボン酸の量として算出することができる。培養上清中のC4ジカルボン酸の量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により測定することができる。より具体的な測定手順は、後述の参考例1に例示する。
本明細書において、形質転換細胞における「C4ジカルボン酸生産能の向上」とは、該形質転換細胞のC4ジカルボン酸生産能が、宿主細胞又はコントロール細胞と比較して向上したことをいう。形質転換細胞におけるC4ジカルボン酸生産能の向上率は、以下の式で計算される。
向上率(%)
=(形質転換細胞のC4ジカルボン酸生産能/宿主細胞又はコントロール細胞のC4ジカルボン酸生産能)×100−100
ここで、形質転換細胞とは、本発明のポリペプチドの発現が強化された細胞、例えば、宿主細胞に対して本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが発現可能なように導入された細胞、又は当該ポリヌクレオチドの発現が強化(すなわち転写量が向上)された細胞を意味する。ここで、宿主細胞とは、上記形質転換細胞の宿主細胞(親細胞)をいう。またコントロール細胞とは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含まないベクターを導入した細胞をいう。コントロール細胞は、当該ポリヌクレオチドを含むベクターを導入した形質転換細胞の比較として用いる。好ましくは、当該C4ジカルボン酸生産能の向上率は、該形質転換細胞によるC4ジカルボン酸の生産速度が最大となる時点における、各細胞のC4ジカルボン酸生産能に基づいて計算される。したがって、本明細書において、「C4ジカルボン酸生産能がX%以上向上した形質転換細胞」とは、上記式で計算されるC4ジカルボン酸生産能の向上率がX%以上である形質転換細胞をいい、また細胞における「C4ジカルボン酸生産能のX%以上の向上」とは、上記式で計算される該細胞のC4ジカルボン酸生産能の向上率がX%以上であることを意味する。
本発明により製造されるC4ジカルボン酸の例としては、フマル酸、リンゴ酸、及びコハク酸が挙げられ、好ましくはフマル酸及びリンゴ酸、より好ましくはフマル酸である。
本明細書において、「カーボニックアンヒドラーゼ」とは、水溶液中において二酸化炭素分子(CO)と水分子(HO)から炭酸イオン(HCO )を生成する反応とその逆反応のいずれかまたは両方を促進する触媒活性を有する酵素(EC4.2.1.1)を意味する。また「カーボニックアンヒドラーゼ活性」とは、カーボニックアンヒドラーゼが示す触媒活性をいい、たとえば公知の方法(C.S. Gai et al., AMB Express 2014,4,2−13.)などにより決定することができる。
(2.細胞のC4ジカルボン酸生産能の向上)
(2.1.新規ポリペプチド)
一実施形態において、本発明は、配列番号2で示されるアミノ酸配列又は当該配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。
ポリペプチドデータベース(例えばncbiのNon−Redundant protein sequences(nr))による検索の結果、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと最も同一性の高い公知のタンパク質として、Lichtheimia ramosa株由来の機能未知タンパク質(accession number:LRAMOSA05249)が見出され、その配列同一性は62.77%であった。また、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、配列番号23に示されるアミノ酸配列からなるRhizopus delemar RA 99−880株由来の機能未知タンパク質(accession number:RO3G_10751)の152位から375位に相当する領域を有する。すなわち配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、配列番号23に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドのN末端側のアミノ酸(2位から151位のアミノ酸配列)が削除されたものである。当該ポリペプチドは、該機能未知タンパク質との配列同一性は60.00%であり、該機能未知タンパク質とは異なるものであることが分かった。以上のことから、当該ポリペプチドは、これまで知られていない新規ポリペプチドであると判断され、また後記実施例に示すように、カーボニックアンヒドラーゼ活性を有することが確認された。さらに後記実施例に示すように、配列番号23に示されるアミノ酸配列からなる機能未知タンパク質の発現を強化した株においてはフマル酸生産能の向上が観察されず、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの発現を強化した株においてのみフマル酸生産能の向上が観察された。
したがって、好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列又は当該配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなる、カーボニックアンヒドラーゼ活性を有するポリペプチドである。
配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列の例としては、配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列が挙げられる。
アミノ酸配列に対してアミノ酸の欠失、置換、付加、又は挿入等の変異を導入する方法としては、例えば、該アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対してヌクレオチドの欠失、置換、付加、又は挿入等の変異を導入する方法が挙げられる。ヌクレオチド配列への変異導入の手法としては、例えば、エチルメタンスルホネート、N−メチル−N−ニトロソグアニジン、亜硝酸等の化学的変異原又は紫外線、X線、ガンマ線、イオンビーム等の物理的変異原による突然変異誘発、部位特異的変異導入法、Dieffenbachら(Cold Spring Harbar Laboratory Press,New York,581−621,1995)に記載の方法、などが挙げられる。部位特異的変異導入の手法としては、Splicing overlap extension(SOE)PCR(Horton et al.,Gene 77,61−68,1989)を利用した方法、ODA法(Hashimoto−Gotoh et al.,Gene,152,271−276,1995)、Kunkel法(Kunkel,T.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1985,82,488)等が挙げられる。あるいは、Site−Directed Mutagenesis System Mutan−SuperExpress Kmキット(タカラバイオ社)、TransformerTM Site−Directed Mutagenesisキット(Clonetech社)、KOD−Plus−Mutagenesis Kit(東洋紡社)等の市販の部位特異的変異導入用キットを利用することもできる。
(2.2.遺伝子、ベクター及び形質転換細胞)
別の一実施形態において、本発明は、上記本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチドとしては、配列番号1で示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、配列番号1で示されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。好ましい実施形態において、上記本発明のポリヌクレオチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は当該配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなる、カーボニックアンヒドラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする。
配列番号1で示されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列の例としては、配列番号1で示されるヌクレオチド配列に対して1又は複数個のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列が挙げられる。ヌクレオチド配列にヌクレオチドの欠失、置換、付加、又は挿入等の変異を導入する方法は、上述したとおりである。本発明のポリヌクレオチドは、1本鎖若しくは2本鎖の形態であり得、又はDNAであってもRNAであってもよい。該DNAは、cDNA、化学合成DNA等の人工DNAであり得る。
上記本発明のポリヌクレオチドは、ベクターに組み込まれていてもよい。好ましくは、本発明のポリヌクレオチドを含有するベクターは、発現ベクターである。また好ましくは、該ベクターは、本発明のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入することができ、かつ宿主細胞内で該ポリヌクレオチドを発現することができる発現ベクターである。好ましくは、該ベクターは、本発明のポリヌクレオチド、及びこれと作動可能に連結された制御領域を含む。該ベクターは、プラスミド等の染色体外で自立増殖及び複製可能なベクターであってもよく、又は染色体内に組み込まれるベクターであってもよい。
具体的なベクターの例としては、例えば、pBluescript II SK(−)(Stratagene)、pUC18/19、pUC118/119等のpUC系ベクター(タカラバイオ)、pET系ベクター(タカラバイオ)、pGEX系ベクター(GEヘルスケア)、pCold系ベクター(タカラバイオ)、pHY300PLK(タカラバイオ)、pUB110(Mckenzie,T.et al.,1986,Plasmid 15(2):93−103)、pBR322(タカラバイオ)、pRS403(Stratagene)、pMW218/219(ニッポンジーン)、pRI909/910等のpRI系ベクター(タカラバイオ)、pBI系ベクター(クロンテック)、IN3系ベクター(インプランタイノベーションズ)、pPTR1/2(タカラバイオ)、pDJB2(D.J.Ballance et al.,Gene,36,321−331,1985)、pAB4−1(van Hartingsveldt W et al.,Mol Gen Genet,206,71−75,1987)、pLeu4(M.I.G.Roncero et al.,Gene,84,335−343,1989)、pPyr225(C.D.Skory et al.,Mol Genet Genomics,268,397−406,2002)、pFG1(Gruber,F.et al.,Curr Genet,18,447−451,1990)等が挙げられる。
あるいは、上記本発明のポリヌクレオチドを含むDNA断片を構築してもよい。該DNA断片としては、例えば、PCR増幅DNA断片及び制限酵素切断DNA断片が挙げられる。好ましくは、該DNA断片は、本発明のポリヌクレオチド、及びこれと作動可能に連結された制御領域を含む発現カセットであり得る。
上記ベクター又はDNA断片に含まれる制御領域は、該ベクター又はDNA断片が導入された宿主細胞内で本発明のポリヌクレオチドを発現させるための配列であり、例えばプロモーターやターミネーター等の発現調節領域、複製開始点などが挙げられる。該制御領域の種類は、ベクター又はDNA断片を導入する宿主細胞の種類に応じて適宜選択することができる。必要に応じて、該ベクター又はDNA断片はさらに、抗生物質耐性遺伝子、アミノ酸合成関連遺伝子等の選択マーカーを有していてもよい。
本発明の形質転換細胞としては、宿主細胞に対して本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが発現可能なように導入された細胞、又は当該ポリヌクレオチドの発現が強化された細胞が包含されるが、外来のポリヌクレオチドを含むものが好ましい。
当該ポリヌクレオチドを発現可能なように導入する、又は当該ポリヌクレオチドの発現を強化する手段としては、例えば、制御領域、好ましくは強制御領域(野生型に比較し発現を強化できる制御領域)と作動可能に連結された本発明のポリヌクレオチドを含有するベクター又はDNA断片を宿主細胞に導入すること、或いは宿主細胞のゲノム上で、強制御領域と本発明のポリヌクレオチドとを作動可能に連結して配置すること(例えば、親細胞のゲノム上の本発明のポリヌクレオチドの制御領域配列を強制御領域に置換すること)、などが挙げられる。
本発明の形質転換細胞としては、その宿主細胞(親細胞)と比較して、細胞内カーボニックアンヒドラーゼ活性が1.1倍以上、さらには2倍以上、さらには5倍以上、さらには10倍以上、さらには15倍以上、さらには20倍以上向上しているものが好ましい。宿主細胞が本発明のポリペプチドをコードする遺伝子を保有せず本発明のポリペプチドを発現しない場合、本発明の形質転換細胞は、該遺伝子の転写が認められるよう形質が変化した細胞を含む。
上記形質転換細胞の宿主細胞としては、微生物細胞、植物細胞、及び動物細胞のいずれを用いてもよい。C4ジカルボン酸の製造効率の観点からは、宿主細胞は微生物細胞であることが好ましい。該微生物は、原核生物及び真核生物のいずれかであってもよい。このうち、C4ジカルボン酸生産性の観点からは、該微生物は、好ましくは糸状菌又は酵母であり、より好ましくは糸状菌である。該糸状菌としては、細区分真菌類(Eumycota)及び卵菌(Oomycota)に属する全ての糸状形の菌が包含される(Hawksworthなど.,In,Ainsworth and Bisby’s Dictionary of The Fungi,8th edition,1995,CAB International,bUniversity,Press,Cambridge,UKにより定義されるように)。糸状菌は、一般的に、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン及び他の複合多糖類から構成される菌糸体壁により特徴づけられる。栄養成長は、菌糸拡張によってであり、そして炭素代謝は絶対好気性である。
本発明の形質転換細胞の宿主細胞として使用される糸状菌の好ましい例としては、Acremonium属、Aspergillus属、Aureobasidium属、Bjerkandera属、Ceriporiopsis属、Chrysosporium属、Coprinus属、Coriolus属、Cryptococcus属、Filibasidium属、Fusarium属、Humicola属、Magnaporthe属、Mucor属、Myceliophthora属、Neocallimastix属、Neurospora属、Paecilomyces属、Parasitella属、Penicillium属、Phanerochaete属、Phlebia属、Piromyces属、Pleurotus属、Rhizopus属、Schizophyllum属、Talaromyces属、Thermoascus属、Thielavia属、Tolypocladium属、Trametes属、及びTrichoderma属の糸状菌が挙げられる。このうち、C4ジカルボン酸の生産性の観点からは、Rhizopus delemar、Rhizopus arrhizus、Rhizopus chinensis、Rhizopus nigricans、Rhizopus tonkinensis、Rhizopus tritici、Rhizopus oryzae等のRhizopus属菌が好ましく、Rhizopus delemar及びRhizopus oryzaeがより好ましく、Rhizopus delemarがさらに好ましい。
上記宿主細胞へのベクター又はDNA断片の導入には、一般的な形質転換法、例えばエレクトロポレーション法、トランスフォーメーション法、トランスフェクション法、接合法、プロトプラスト法、パーティクル・ガン法、アグロバクテリウム法等を用いることができる。
目的のベクター又はDNA断片が導入された形質転換細胞は、選択マーカーを利用して選択することができる。例えば、選択マーカーが抗生物質耐性遺伝子である場合、該抗生物質添加培地で細胞を培養することで、目的のベクター又はDNA断片が導入された形質転換細胞を選択することができる。また例えば、選択マーカーがアミノ酸合成関連遺伝子である場合、該アミノ酸要求性の宿主細胞に遺伝子導入した後、該アミノ酸要求性の有無を指標に、目的のベクター又はDNA断片が導入された形質転換細胞を選択することができる。あるいは、PCR等によって形質転換細胞のDNA配列を調べることで目的のベクター又はDNA断片の導入を確認することもできる。
また、強制御領域としては、例えば、rRNAオペロンの制御領域、リボソームタンパク質をコードする遺伝子(rplS遺伝子等)の制御領域、adh1プロモーター(特願2015−155759)、ldhAプロモーター(米国特許第6268189号)、pgk1プロモーター(国際公開第2001/73083号)、pgk2プロモーター(国際公開第2001/72967号)、pdcAプロモーター及びamyAプロモーター(Archives of Microbiology,2006,186:41−50)、tef及び18SrRNAプロモーター(米国特許出願公開第2010/112651号)などが例示されるが、これらに特に限定されない。
親細胞のゲノム上に存在する本発明のポリヌクレオチドの制御領域を強制御領域に置換する方法としては、強制御領域と選択マーカーのポリヌクレオチド配列を含むDNA断片を宿主細胞に導入し、相同組換え又は非相同組換え等により形質転換された細胞を選択する方法などがあげられる。
(2.3.C4ジカルボン酸生産能の向上)
上記本発明の形質転換細胞は、本発明のポリペプチドの発現量が向上しており、細胞内のカーボニックアンヒドラーゼ活性が強化されている。これにより、該形質転換細胞は、C4ジカルボン酸生産能が向上している。例えばポリヌクレオチドを含むベクター又はDNA断片を含有する形質転換細胞は、その宿主細胞(親細胞)と比較して、C4ジカルボン酸生産能が好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上向上している。
(3.C4ジカルボン酸の製造)
本発明の形質転換細胞は、C4ジカルボン酸生産能が向上している。したがって、本発明はまた、上記本発明の形質転換細胞を培養することを含むC4ジカルボン酸の製造方法を提供する。該本発明の製造方法により製造されるC4ジカルボン酸としては、フマル酸、リンゴ酸、及びコハク酸が挙げられ、好ましくはフマル酸及びリンゴ酸、より好ましくはフマル酸である。
本発明の製造方法における形質転換細胞の培養は、該形質転換細胞を含む微生物、植物体、動物体、又はそれらの細胞若しくは組織を培養することを包含する。該形質転換細胞を培養するための培地及び培養条件は、該形質転換細胞の宿主の種類に応じて適宜選択することができる。一般的には、該形質転換細胞の宿主に対して通常用いられる培地及び培養条件を採用することができる。
例えば、形質転換細胞が糸状菌の場合、培養温度は、例えば10℃〜50℃、好ましくは25℃〜45℃であればよく、また培養期間は、目的のC4ジカルボン酸が充分に産生される期間であれば特に限定されないが、例えば1〜240時間、好ましくは12〜120時間、好ましくは24〜72時間であり得る。攪拌又は通気下で培養することが好ましい。
糸状菌培養のための培地としては、通常用いられるものを使用すればよい。好ましくは、該培地は液体培地であり、また合成培地、天然培地、及び合成培地に天然成分を添加した半合成培地のいずれであってもよい。市販のPDB培地(ポテトデキストロース培地;ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー製等)、PDA培地(ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー製等)、LB培地(Luria−Bertani培地;日本製薬社製(商標名「ダイゴ」)等)、NB培地(Nutrient Broth;ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー製等)、SB培地(Sabouraud培地;OXOID社製等)、SD培地(Synthetic Dropout Broth;例えばClontech)なども使用可能である。当該培地には、炭素源、窒素源、無機塩等が含まれるのが一般的であるが、各成分組成は適宜選択可能である。
以下に、糸状菌培養のための好ましい培地組成について詳述する。以下に記載する培地中の各成分の濃度は、初発(培地調製時又は培養開始時)の濃度を表す。
上記培地中の炭素源の例としては、グルコース、マルトース、でんぷん加水分解物、フルクトース、キシロース、スクロース等が挙げられ、このうち、グルコース及びフルクトースが好ましい。これらの糖類は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。該培地中の炭素源の濃度は、好ましくは1%(w/v)以上、より好ましくは5%(w/v)以上であって、かつ好ましくは40%(w/v)以下、より好ましくは30%(w/v)以下である。あるいは、上記培地中の炭素源の濃度は、好ましくは1〜40%(w/v)、より好ましくは5〜30%(w/v)である。
上記培地中の窒素源の例としては、硫酸アンモニウム、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム等の含窒素化合物が挙げられる。該培地中の窒素源の濃度は、好ましくは0.001〜0.5%(w/v)、より好ましくは0.001〜0.2%(w/v)である。
上記培地には、硫酸塩、マグネシウム塩、亜鉛塩などを含有することができる。硫酸塩の例としては、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等が挙げられる。マグネシウム塩の例としては、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。亜鉛塩の例としては、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛等が挙げられる。該培地中の硫酸塩の濃度は、好ましくは0.01〜0.5%(w/v)、より好ましくは0.02〜0.2%(w/v)である。該培地中のマグネシウム塩の濃度は、好ましくは0.001〜0.5%(w/v)、より好ましくは0.01〜0.1%(w/v)である。該培地中の亜鉛塩の濃度は、好ましくは0.001〜0.05%(w/v)、より好ましくは0.005〜0.05%(w/v)である。
上記培地のpH(25℃)は、好ましくは3〜7、より好ましくは3.5〜6である。培地のpHは、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、アンモニア等の塩基、又は硫酸、塩酸等の酸を用いて調整することができる。
上記培地の好ましい例としては、7.5〜30%炭素源、0.001〜0.2%硫酸アンモニウム、0.01〜0.6%リン酸2水素カリウム、0.01〜0.1%硫酸マグネシウム・7水和物、0.005〜0.05%硫酸亜鉛・7水和物、及び3.75〜20%炭酸カルシウム(いずれも濃度は%(w/v))を含有する液体培地が挙げられる。
糸状菌を宿主とした形質転換体を用いてより効率的にC4ジカルボン酸を生産するには、以下に示すような工程で生産を行ってもよい。すなわち、形質転換細胞の胞子懸濁液を調製し(工程A)、それを培養液で培養して胞子を発芽させ菌糸体を調製し(工程B1)、好適にはさらに当該菌糸体を増殖させ(工程B2)、次いで調製した菌糸体を培養してC4ジカルボン酸を生産させること(工程C)により、効率よくC4ジカルボン酸を製造することができる。ただし、本発明における形質転換細胞の培養工程は、以下の工程に限定されない。
<工程A:胞子懸濁液の調製>
形質転換した糸状菌の胞子を、例えば、無機寒天培地(組成例:2%グルコース、0.1%硫酸アンモニウム、0.06%リン酸2水素カリウム、0.025%硫酸マグネシウム・7水和物、0.009%硫酸亜鉛・7水和物、1.5%寒天、いずれも濃度は%(w/v))、PDA培地、等の培地に接種し、10〜40℃、好ましくは27〜30℃にて、7〜10日間静置培養を行なうことにより胞子を形成させ、次いで生理食塩水などに懸濁することで、胞子懸濁液を調製することができる。胞子懸濁液には菌糸体が含まれていても、含まれていなくてもよい。
<工程B1:菌糸体の調製>
工程Aで得られた胞子懸濁液を、培養液に接種して培養し、胞子を発芽させて菌糸体を得る。培養液に接種する糸状菌の胞子数は、1×102〜1×108個−胞子/mL−培養液、好ましくは1×102〜5×104個−胞子/mL−培養液、より好ましくは5×102〜1×104個−胞子/mL−培養液、さらに好ましくは1×103〜1×104個−胞子/mL−培養液である。培養液には、市販の培地、例えば、PDB培地、LB培地、NB培地、SB培地、SD培地等が利用できる。該培養液には、発芽率と菌体生育の観点から、炭素源としてグルコース、キシロースなどの単糖、シュークロース、ラクトース、マルトースなどのオリゴ糖、又はデンプン等の多糖;グリセリン、クエン酸などの生体成分;窒素源として硫酸アンモニウム、尿素、アミノ酸等;その他無機物としてナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、リン酸等の各種塩類、を適宜添加することができる。単糖、オリゴ糖、多糖及びグリセリンの好ましい濃度は0.1〜30%(w/v)、クエン酸の好ましい濃度は0.01〜10%(w/v)、硫酸アンモニウム、尿素及びアミノ酸の好ましい濃度は0.01〜1%(w/v)、無機物の好ましい濃度は0.0001〜0.5%(w/v)である。上記培養液に胞子懸濁液を接種し、好ましくは80〜250rpm、より好ましくは100〜170rpmで攪拌しながら、25〜42.5℃の培養温度制御下で、好ましくは24〜120時間、より好ましくは48〜72時間培養する。培養に供する培養液の量は、培養容器にあわせて適宜調整すればよいが、例えば、200mL容バッフル付フラスコの場合は50〜100mL程度、500mL容バッフル付フラスコの場合は100〜300mL程度であればよい。この培養により、接種した胞子は発芽し、菌糸体へと成長する。
<工程B2:菌糸体の増殖>
C4ジカルボン酸生産能向上の観点から、工程B1で得られた菌糸体をさらに培養して増殖させる工程(工程B2)を行うことが好ましい。工程B2で使用する増殖用の培養液は特に限定されないが、通常使用されるグルコースを含む無機培養液であればよく、例えば、7.5〜30%グルコース、0.05〜2%硫酸アンモニウム、0.03〜0.6%リン酸2水素カリウム、0.01〜0.1%硫酸マグネシウム・7水和物、0.005〜0.05%硫酸亜鉛・7水和物、及び3.75〜20%炭酸カルシウム(いずれも濃度は%(w/v))を含有する培養液等が挙げられる。当該培養液の量は、培養容器にあわせて適宜調整すればよいが、例えば、500mL容三角フラスコの場合は50〜300mL、好ましくは100〜200mLであればよい。この培養液に、工程B1で培養した菌体を、湿重量として1〜6g−菌体/100mL−培養液、好ましくは3〜4g−菌体/100mL−培養液となるよう接種し、100〜300rpm、好ましくは170〜230rpmで攪拌しながら、25〜42.5℃の培養温度制御下で、12〜120時間、好ましくは24〜72時間培養する。
<工程C:C4ジカルボン酸生産>
上記の手順(工程B1又はB2)で得られた糸状菌の菌糸体を培養して、当該菌にC4ジカルボン酸を生産させる。該培養の条件は、上述した通常の糸状菌の培養条件に従えばよい。培地の量は、200mL容三角フラスコの場合は20〜80mL程度、500mL容三角フラスコの場合は50〜200mL程度、30Lジャーファーメンターの場合は10L〜15L程度とすることができるが、培養容器にあわせて適宜調整すればよい。培地に対する工程B1又はB2で得られた菌体の接種量は、好ましくは湿重量として5g〜90g−菌体/100mL−培地、より好ましくは5g〜50g−菌体/100mL−培地であり得る。好適には、培養は、100〜300rpm、好ましくは150〜230rpmで攪拌しながら、25〜45℃の温度下で、2時間〜240時間、好ましくは12時間〜120時間行われる。ジャーファーメンターを用いる場合は、通気は好ましくは0.05〜2vvm、より好ましくは0.1〜1.5vvmにて行う。
以上の手順で本発明の形質転換細胞を培養し、C4ジカルボン酸を生産させる。培養後、培養物からC4ジカルボン酸を回収する。必要に応じて、回収したC4ジカルボン酸をさらに精製してもよい。培養物からC4ジカルボン酸を回収又は精製する方法は、特に限定されず、公知の回収又は精製方法に従って行えばよい。例えば、傾斜法、ろ過、遠心分離などにより培養物から細胞等を除去し、残った培養物を、必要に応じて濃縮した後、晶析法、イオン交換法、溶剤抽出法等の方法、又はこれらの組み合わせにかけることで、該培養物中のC4ジカルボン酸を回収又は精製することができる。
培養物から分離された本発明の形質転換細胞は、C4ジカルボン酸生産に再利用することができる。例えば、培養物から分離した本発明の形質転換細胞に、上述した培地を新たに加え、再び上記条件で培養してC4ジカルボン酸を生産させ、次いで生産されたC4ジカルボン酸を培地から回収することができる。さらにこの過程を繰り返すことができる。本発明の製造方法において、形質転換細胞の培養及びC4ジカルボン酸の回収は、回分式、半回分式及び連続式のいずれの方法で行ってもよい。
(4.例示的実施形態)
本発明の例示的実施形態として、以下の物質、製造方法、用途、あるいは方法をさらに本明細書に開示する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
〔1〕配列番号2で示されるアミノ酸配列又は当該配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド。
〔2〕好ましくは、上記配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列が、
配列番号2で示されるアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらにより好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列であるか;又は
配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して1個以上10個以下、好ましくは1個以上8個以下、より好ましくは1個以上5個以下、さらに好ましくは1個以上3個以下のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列である、〔1〕記載のポリペプチド。
〔3〕好ましくは、カーボニックアンヒドラーゼ活性を有する、〔1〕又は〔2〕記載のポリペプチド。
〔4〕好ましくは、細胞のC4ジカルボン酸生産能向上機能を有する、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のポリペプチド。
〔5〕細胞のC4ジカルボン酸生産能を、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上向上させる、〔4〕記載のポリペプチド。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
〔7〕好ましくは、配列番号1で示されるヌクレオチド配列又は当該配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列からなる、〔6〕記載のポリヌクレオチド。
〔8〕好ましくは、上記配列番号1で示されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列が、配列番号1で示されるヌクレオチド配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらにより好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の同一性を有するヌクレオチド配列であるか;又は
配列番号1で示されるヌクレオチド配列に対して1個以上30個以下、好ましくは1個以上24個以下、より好ましくは1個以上15個以下、さらに好ましくは1個以上9個以下のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列である、〔7〕記載のポリヌクレオチド。
〔9〕好ましくはcDNA又は化学合成DNAである、〔6〕〜〔8〕のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
〔10〕〔6〕〜〔9〕のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを含有するベクター又はDNA断片。
〔11〕好ましくは、上記ポリヌクレオチドと作動可能に連結された制御領域をさらに含有する、〔10〕記載のベクター又はDNA断片。
〔12〕外来の〔6〕〜〔9〕のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを含む、形質転換細胞。
〔13〕好ましくは、〔6〕〜〔9〕のいずれか1項記載のポリヌクレオチド、〔10〕記載のベクター又はDNA断片を含む形質転換細胞。
〔14〕〔6〕〜〔9〕のいずれか1項記載のポリヌクレオチドの発現が強化された形質転換細胞。
〔15〕好ましくは上記細胞が微生物細胞である、〔12〕、〔13〕又は〔14〕記載の形質転換細胞。
〔16〕好ましくは上記微生物が糸状菌である、〔15〕記載の形質転換細胞。
〔17〕好ましくは上記糸状菌がリゾプス属(Rhizopus)である、〔16〕記載の形質転換細胞。
〔18〕上記リゾプス属が、
好ましくはリゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)又はリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)であり、
より好ましくはリゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)である、〔17〕記載の形質転換細胞。
〔19〕好ましくはC4ジカルボン酸生産能が向上している、〔12〕〜〔18〕のいずれか1項記載の形質転換細胞。
〔20〕上記C4ジカルボン酸生産能が、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上向上している、〔19〕記載の形質転換細胞。
〔21〕好ましくは上記C4ジカルボン酸がフマル酸、リンゴ酸又はコハク酸、より好ましくはフマル酸又はリンゴ酸、さらに好ましくはフマル酸である、〔19〕又は〔20〕記載の形質転換細胞。
〔22〕〔12〕〜〔21〕のいずれか1項記載の形質転換細胞を培養することを含む、C4ジカルボン酸の製造方法。
〔23〕上記培養物からC4ジカルボン酸を回収することをさらに含む、〔22〕記載の製造方法。
〔24〕上記C4ジカルボン酸がフマル酸、リンゴ酸又はコハク酸、より好ましくはフマル酸又はリンゴ酸、さらに好ましくはフマル酸である、〔22〕又は〔23〕記載の製造方法。
〔25〕〔6〕〜〔9〕のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するか、又は〔6〕〜〔9〕のいずれか1項記載のポリヌクレオチドの発現を強化することを含む、形質転換細胞の製造方法。
〔26〕〔6〕〜〔9〕のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するか、又は〔6〕〜〔9〕のいずれか1項記載のポリヌクレオチドの発現を強化することを含む、宿主細胞におけるC4ジカルボン酸生産能の向上方法。
〔27〕上記宿主細胞におけるC4ジカルボン酸生産能が、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上向上する、〔26〕記載の方法。
〔28〕好ましくは上記C4ジカルボン酸がフマル酸、リンゴ酸又はコハク酸、より好ましくはフマル酸又はリンゴ酸、さらに好ましくはフマル酸である、〔26〕又は〔27〕記載の方法。
〔29〕好ましくは、〔10〕記載のベクター又はDNA断片を宿主細胞に導入することを含む、〔25〕〜〔28〕のいずれか1項記載の方法。
〔30〕好ましくは上記宿主細胞が微生物細胞である〔25〕〜〔29〕のいずれか1項記載の方法。
〔31〕好ましくは上記微生物が糸状菌である、〔30〕記載の方法。
〔32〕好ましくは上記糸状菌がリゾプス属(Rhizopus)である、〔31〕記載の方法。
〔33〕上記リゾプス属が、
好ましくはリゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)又はリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)であり、
より好ましくはリゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)である、〔32〕記載の方法。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 形質転換細胞の作製
(1)ゲノム抽出
PDA培地にRhizopus delemar JCM(Japan Collection of Microorganisms/理研)5557株(以降、5557株と表記)の胞子を植菌後、30℃で5日間培養を行った。培養後、菌体を3mL用メタルコーン(安井器械)とともに3mL破砕チューブに入れ、直ちに液体窒素中で10分間以上凍結させた。その後、マルチビーズショッカー(安井器械)を用いて1700rpmで10秒間菌体の破砕を行った。破砕後の容器にTE Buffer(pH8.0)(ニッポンジーン)を400μL加え転倒混和し、250μLを1.5mLチューブに移した。該菌体溶液から、“Genとるくん(酵母用)”(タカラバイオ)を用いて、プロトコールに従いゲノム抽出を行った。得られたゲノム溶液50μLに対し、RNaseA(ロシュ)を1μL添加し、37℃で1時間反応させた。反応後、等量のフェノールクロロホルムを加え、タッピングにより混和した後、4℃、14500rpmで5分間遠心し、上清を新しい1.5mLチューブに移した。再度フェノールクロロホルム処理を繰り返し、次いでエタノール沈殿を行い、5557株の精製ゲノム溶液を得た。
(2)cDNAの作製
(i)total RNA抽出
5557株の菌体6g−湿重量を、液体培地40mL(0.1g/L(NHSO、0.6g/L KHPO、0.25g/L MgSO・7HO、0.09g/L ZnSO・7HO、50g/L 炭酸カルシウム、100g/Lグルコース)に植菌し、35℃、170rpmで8時間培養した。培養液中から菌体をろ過、回収し、0.85%生理食塩水100mLで2回洗浄を行った。洗浄後、吸引濾過により余分な水分を取り除いた後、0.3gを量りとり3mL用メタルコーン(安井器械)とともに3mL破砕チューブに入れ、直ちに液体窒素に投入し、凍結させた。得られた凍結菌体を、マルチビーズショッカー(安井器械)を用いて1700rpmで10秒間破砕した。破砕後の菌体にRLT bufferを500μL添加し、転倒混和後、450μLをRNeasy Plant Mini Kit(Qiagen)に供し、total RNA抽出を行った。得られたRNA溶液40μLに1μLのDNaseI(TaKaRa)及び5μLの10×DNaseI buffer(USB Corporation)を添加し、RNase free waterで50μLにフィルアップした後、37℃で30分以上反応させて溶液中の残存DNAを除去した。DNaseIをさらに1μL追加し、37℃で30分間反応させた後にフェノール/クロロホルム抽出を行い、次いでエタノール沈殿を行った。沈殿を50μLの滅菌水に溶解し、Qubit(Life Technologies)を用いてRNA溶液の濃度及び純度を測定した。また、該RNA溶液を適宜希釈し、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent)及びRNA6000 Pico Kit(Agilent)を用いて抽出したRNAの検定を行った。RNAの分解度指標である「RNA Integrity Number(RIN値)」が6.0以上であることを確認し、得られたRNA溶液をtotal RNAとして取得した。
(ii)cDNA合成
cDNA合成は、SuperScriptIII First−Strand Synthesis SuperMix for qRT−PCR(Invitrogen)を用いて行った。すなわち、(i)で得られたRNA溶液1μgをDEPC水で8μLにフィルアップした後、10μLの2×RT Reaxtion Mixと、2μLのRT Enzyme Mixを添加し、穏やかに混ぜ、25℃で10分間、50℃で30分間、85℃で5分間反応させた。反応後の溶液に1μLのRNaseHを加え37℃で20分間反応させ、これをcDNA溶液とした。
(3)プラスミドベクターの作製
(i)pUC18へのtrpC遺伝子領域の導入
上記(1)で得られた5557株のゲノムDNAを鋳型に、trpC遺伝子(配列番号3)を含むDNA断片を、プライマーoJK162(配列番号4)及びoJK163(配列番号5)を用いたPCRにて合成した。次に、プラスミドpUC18を鋳型に、プライマーoJK164(配列番号6)及びoJK165(配列番号7)を用いたPCRにてDNA断片を増幅した。以上の2断片をIn−Fusion HD Cloning Kit(Clontech)を用いて連結しプラスミドpUC18−trpCを構築した。
(ii)ADH1プロモーター、ターミネーターのクローニング
上記(1)で得られた5557株のゲノムDNAを鋳型に、ADH1のプロモーター配列(配列番号8)を含むDNA断片とターミネーター配列(配列番号9)を含むDNA断片とを、それぞれプライマーoJK202(配列番号10)及びoJK204(配列番号11)、ならびにoJK205(配列番号12)及びoJK216(配列番号13)を用いたPCRにて増幅した。次に、(i)で得られたプラスミドpUC18−trpCを鋳型に、プライマーoJK210(配列番号14)及びoJK211(配列番号15)を用いたPCRにてDNA断片を増幅した。以上の3断片を(i)と同様の手順で連結してプラスミドpUC18−trpC−Padh−Tadhを構築した。得られたプラスミドには、trpC遺伝子領域の下流にADH1プロモーター及びターミネーターが順に配置されている。さらにADH1ターミネーターの下流にはNot I制限酵素認識配列が配置されている。
(iii)プラスミドベクター作製
配列番号1で示される遺伝子(以下、RdCA1Sと称する)を含むプラスミドを人工遺伝子合成により合成し、プライマーNK−035(配列番号16)及びNK−036(配列番号17)を用いたPCRにて増幅した。次に、(ii)で得られたプラスミドpUC18−trpC−Padh−Tadhを鋳型に、プライマーNK−011(配列番号18)及びNK−012(配列番号19)を用いたPCRにてDNA断片を増幅した。上記2断片を(i)と同様の手順で連結してプラスミドpUC18−trpC−Padh−RdCA1S−Tadhを構築した。得られたプラスミドには、ADHプロモーターとターミネーターの間に配列番号1で示されるRdCA1S遺伝子が挿入されている。また、配列番号22で示される遺伝子(以下、RdCA1Lと称する)を含むプラスミドを人工遺伝子合成により合成し、プライマーPadh−RdCAfull F(配列番号24)及びRdCA−Tadh R2(配列番号25)を用いたPCRにて増幅した。次に、(ii)で得られたプラスミドpUC18−trpC−Padh−Tadhを鋳型に、プライマーRdPADH R(配列番号26)及びRdTADH F(配列番号27)を用いたPCRにてDNA断片を増幅した。上記2断片を(i)と同様の手順で連結してプラスミドpUC18−trpC−Padh−RdCA1L−Tadhを構築した。
プラスミドベクターpUC18−trpC−Padh−RdCA1S−TadhおよびpUC18−trpC−Padh−RdCA1L−Tadhの作製に用いたPCRプライマーを表1に示す。
Figure 0006944748
(4)宿主細胞への遺伝子導入
(i)トリプトファン栄養要求性株の作製
遺伝子導入の宿主細胞として用いたトリプトファン栄養要求性株は、5557株へのイオンビーム照射による変異導入株の中から選抜し取得した。イオンビーム照射は、独立行政法人日本原子力研究開発機構・高崎量子応用研究所のイオン照射施設(TIARA)において行った。照射は、AVFサイクロトロンを用いて125+を加速し、220MeVのエネルギーで100〜1250Gray照射した。照射した菌体より胞子を回収し、その中から、トリプトファン栄養要求性を示すRhizopus delemar 02T6株(以降、02T6株と表記)を取得した。02T6株は、trpC遺伝子コーディング領域(配列番号3)全長2298bp中の2093番目が一塩基欠損している。
(ii)プラスミドベクターの増幅
上記(3)で作製したプラスミドベクターpUC18−trpC−Padh−Tadh、pUC18−trpC−Padh−RdCA1S−Tadh及びpUC18−trpC−Padh−RdCA1L−Tadhを用いて、大腸菌DH5α株(ニッポンジーン)をコンピテントセル形質転換法により形質転換した。得られた形質転換細胞を37℃で一晩静置し、得られたコロニーをLBamp液体培地(Bacto Trypton 1%、Yeast Extract 0.5%、NaCl 1%,アンピシリンナトリウム50μg/mL)2mLに接種し、37℃で一晩培養した。この培養液よりハイピュアプラスミドアイソレーションキット(ロシュライフサイエンス)を用いて各プラスミドベクターの精製を行った。
(iii)プラスミドベクターの宿主細胞への導入
(ii)で得られたプラスミドベクターpUC18−trpC−Padh−Tadh、pUC18−trpC−Padh−RdCA1S−Tadh及びpUC18−trpC−Padh−RdCA1L−Tadhの各DNA溶液(1μg/μL)10μLを金粒子溶液(60mg/mL)100μLに加え混合した後、0.1Mスペルミジンを40μL加え、ボルテックスでよく攪拌した。さらに2.5M CaClを100μL加え、ボルテックスで1分間攪拌し、次いで6000rpmで30秒間遠心し、上清を除いた。得られた沈殿に70%EtOHを200μL加え、30秒間ボルテックスで攪拌した後、6000rpmで30秒間遠心し、上清を除いた。得られた沈殿を100μLの100%EtOHで再懸濁した。
次に、(i)で作製した02T6株の胞子に対し、上記のDNA−金粒子溶液を用い、GDS−80(ネッパジーン)にて遺伝子導入を行った。遺伝子導入後の胞子は、無機寒天培地(20g/L グルコース、1g/L 硫酸アンモニウム、0.6g/L リン酸2水素カリウム、0.25g/L 硫酸マグネシウム・7水和物、0.09g/L 硫酸亜鉛・7水和物、15g/L 寒天)上で、30℃の条件で1週間程静置培養した。生育した菌体の一部を植菌耳で掻き取り、TE(pH8.0)(日本ジーン)に懸濁した。懸濁溶液を95℃で15分間処理し、形質転換株より核酸を抽出した。この核酸を鋳型に、プライマーoJK438(配列番号20)及びoJK439(配列番号21)を用いたPCR反応を行い、目的DNA断片の導入が確認された菌株を形質転換株として選抜した。PCRプライマーを表2に示す。ADH1プロモーター下流にRdCA1S遺伝子が連結したDNAを含むpUC18−trpC−Padh−RdCA1S−Tadhが導入された株をCA1S株、及びRdCA1L遺伝子が連結したDNAを含むpUC18−trpC−Padh−RdCA1L−Tadhが導入された株をCA1L株とし、一方、RdCA1遺伝子の挿入されていないDNAを含むプラスミドベクターpUC18−trpC−Padh−Tadhが導入された株をネガティブコントロール株(以下、NC株)として取得した。残りの菌体を植菌耳で掻き取り、胞子回収溶液(8.5g/L 塩化ナトリウム、0.5g/L ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)中で激しく混和した。混和後の胞子懸濁液を3GP100円筒ロート型ガラスろ過器(柴田化学)にてろ過し、これを胞子液とした。胞子液中の胞子数は、TC20 Automated Cell Counter(バイオラッド)を用いて測定した。
Figure 0006944748
実施例2 CA1S株の細胞内カーボニックアンヒドラーゼ活性測定
(1)菌株の培養
(i)菌糸体の調製
500mL用バッフル付三角フラスコ(旭硝子)に、ソルビタンモノラウレート(レオドールSP−L10(花王))を最終濃度で0.5%(v/v)添加した200mLのSD/−Trp培地(Clontech)およびPDB培地(ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー)を供し、実施例1で調製したCA1株S及び5557株の胞子液を1×103個−胞子/mL−培地となるようにそれぞれ接種後、27℃にて3日間、170rpmで攪拌培養した。得られた培養物を予め滅菌処理したメッシュ網目250μmのステンレスふるい(アズワン)を用いてろ過し、菌体をフィルター上に回収した。
(ii)菌糸体の増殖
500mL容三角フラスコに供した無機培養液100mL(0.1g/L(NHSO、0.6g/L KHPO、0.25g/L MgSO・7HO、0.09g/L ZnSO・7HO、50g/L炭酸カルシウム、100g/Lグルコース)に、(i)で回収した湿菌体5.0〜8.0gを接種し、27℃で約40時間、220rpmにて攪拌培養した。得られた培養物を、予め滅菌処理したステンレススクリーンフィルターホルダー(MILLIPORE)を用いてろ過し、フィルター上に菌体を回収した。さらにこのフィルターホルダー上で、200mLの生理食塩水で菌体を洗浄した。洗浄に用いた生理食塩水は吸引ろ過して除去した。
(2)菌体破砕液の調製
上記(1)で得られたCA1S株及び5557株の湿菌体6.0gを、200mL容三角フラスコに供した無機培養液40mL(0.0175g/L(NHSO、0.06g/L KHPO、0.375g/L MgSO・7HO、0.135g/L ZnSO・7HO、50g/L炭酸カルシウム、100g/Lグルコース)に植菌し、35℃、170rpmで24時間攪拌培養した。得られた培養物を、予め滅菌処理したステンレススクリーンフィルターホルダー(MILLIPORE)を用いてろ過し、フィルター上に菌体を回収した。さらにこのフィルターホルダー上で、200mLの生理食塩水で菌体を洗浄し、生理食塩水を吸引ろ過して除去し、菌体を0.3gずつ−80℃にて凍結した。凍結菌体をマルチビーズショッカーおよびメタルコーン(安井器械)を用いて破砕した。ここに50mM Tris−HClバッファー(pH8.0)1mLを加えて再度破砕し、15000rpm・4℃にて5分間遠心分離した後、上清をAmiconUltra−0.5(3kDa、ミリポア)を用いて濃縮・洗浄し菌体破砕液とした。
(3)カーボニックアンヒドラーゼ活性測定
上記(2)で得られたCA1S株及び5557株の菌体破砕液を10μL添加した96穴アッセイプレート(イワキ)に、120μLの反応液(終濃度50mM Tris−HCl pH8.0、50mMNaSO、0.004%フェノールレッド)を加え、ドライアイスを30分間浸漬させたCO飽和水を70μL添加することで反応を開始した。30℃における557nmの吸光度が0.35を下回るまでの時間を基準とし、文献(C.S. Gai et al., AMB Express 2014, 4, 2−13.)に従って活性値(U/菌体湿重量g)を算出した。解析結果を表3に示す。野生株である5557株のカーボニックアンヒドラーゼ活性と比較して、CA1S株ではカーボニックアンヒドラーゼ活性が22倍に向上した。
Figure 0006944748
実施例3 CA1S株およびCA1L株のC4ジカルボン酸生産能
(1)菌株の培養
(i)菌糸体の調製
500mL用バッフル付三角フラスコ(旭硝子)に、ソルビタンモノラウレート(レオドールSP−L10(花王))を最終濃度で0.5%(v/v)添加した200mLのSD/−Trp培地(Clontech)を供し、実施例1で調製したCA1S株、CA1L株及びNC株の胞子液を1×103個−胞子/mL−培地となるように接種後、27℃にて3日間、170rpmで攪拌培養した。得られた培養物を予め滅菌処理したメッシュ網目250μmのステンレスふるい(アズワン)を用いてろ過し、菌体をフィルター上に回収した。
500mL用バッフル付三角フラスコ(旭硝子)に、ソルビタンモノラウレート(レオドールSP−L10(花王))を最終濃度で0.5%(v/v)添加した200mLのSD/−Trp培地(Clontech)を供し、実施例1で調製したCA1株及びNC株の胞子液を1×103個−胞子/mL−培地となるように接種後、27℃にて3日間、170rpmで攪拌培養した。得られた培養物を予め滅菌処理したメッシュ網目250μmのステンレスふるい(アズワン)を用いてろ過し、菌体をフィルター上に回収した。
(ii)菌糸体の増殖
実施例2(1)(ii)と同様の条件で菌糸体を増殖させた。
(2)形質転換株のC4ジカルボン酸生産性評価
上記(1)で得られたCA1S株、CA1L株及びNC株の湿菌体6.0gを、200mL容三角フラスコに供した無機培養液40mL(0.0175g/L(NHSO、0.06g/L KHPO、0.375g/L MgSO・7HO、0.135g/L ZnSO・7HO、50g/L炭酸カルシウム、100g/Lグルコース)に植菌し、35℃、170rpmで攪拌培養した。培養8時間後に、菌体を含まない培養上清を回収し、後述する参考例1に記載の手順にてC4ジカルボン酸(フマル酸、リンゴ酸)の定量を行った。求めた各C4ジカルボン酸の量に基づいて、下記式に従いCA1S株およびCA1L株における各C4ジカルボン酸の生産能向上率を算出した。
向上率(%)
=(CA1S株およびCA1L株における生産速度/
NC株および5557株における生産速度)×100−100
結果を表5に示す。RdCA1遺伝子を導入されていないNC株と比較して、CA1S株では、リンゴ酸が18%およびフマル酸が28%の生産能の向上が観察された。一方、CA1L株では5557株と比較してフマル酸生産能の向上は観察されなかった。
Figure 0006944748
Figure 0006944748
参考例1 C4ジカルボン酸の定量
培養上清中のC4ジカルボン酸(フマル酸、リンゴ酸及びコハク酸)の定量は、HPLCにより行った。
HPLC分析に供する培養上清は、予め37mM硫酸にて適宜希釈した後、DISMIC−13cp(0.20μmセルロースアセテート膜、ADVANTEC)又はアクロプレップ96フィルタープレート(0.2μmGHP膜、日本ポール)を用いて不溶物の除去を行なった。
HPLCの装置は、LaChrom Elite(日立ハイテクノロジーズ)を用いた。分析カラムには、ICSep ICE−ION−300 Guard Column Cartride(4.0mmI.D.×2.0cm、TRANSGENOMIC)を接続した有機酸分析用ポリマーカラムICSep ICE−ION−300(7.8mm I.D.×30cm、TRANSGENOMC)を用い、溶離液は10mM硫酸、流速0.5mL/分、カラム温度50℃の条件にて溶出を行なった。各C4ジカルボン酸の検出には、UV検出器(検出波長210nm)を用いた。濃度検量線は、標準試料〔フマル酸(販売元コード063−00655、和光純薬工業)、リンゴ酸(販売元コード135−00562、和光純薬工業)、コハク酸(販売元コード194−04335、和光純薬工業)〕を用いて作成した。それぞれの濃度検量線に基づいて、各成分の定量を行なった。
定量した培地中のC4ジカルボン酸量から、該培地の初発C4ジカルボン酸量を引いた値を、C4ジカルボン酸生産量とした。培養開始後8時間時点での培地あたりの各C4ジカルボン酸量を培養時間で割った値を、該細胞の各C4ジカルボン酸の生産速度として算出した。

Claims (19)

  1. 配列番号2で示されるアミノ酸配列又は当該配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、カーボニックアンヒドラーゼ活性を有するポリペプチド。
  2. 前記配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列が、配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して1個以上10個以下のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列である、請求項1記載のポリペプチド。
  3. 細胞のC4ジカルボン酸生産能向上機能を有する、請求項1又は2記載のポリペプチド。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  5. 配列番号1で示されるヌクレオチド配列又は当該配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列からなる、請求項記載のポリヌクレオチド。
  6. 配列番号1で示されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列が、配列番号1で示されるヌクレオチド配列に対して1個以上30個以下のヌクレオチドが欠失、置換、付加、又は挿入されたヌクレオチド配列である、請求項記載のポリヌクレオチド。
  7. cDNA又は化学合成DNAである、請求項4〜6のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
  8. 外来の請求項4〜7のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを含む、形質転換細胞。
  9. 請求項4〜7のいずれか1項記載のポリヌクレオチドの発現が強化された形質転換細胞。
  10. 前記細胞が微生物細胞である、請求項8又は9記載の形質転換細胞。
  11. 前記微生物が糸状菌である、請求項10記載の形質転換細胞。
  12. 糸状菌がリゾプス属菌である、請求項11記載の形質転換細胞。
  13. C4ジカルボン酸生産能が向上している、請求項8〜12のいずれか1項記載の形質転換細胞。
  14. C4ジカルボン酸がフマル酸、リンゴ酸又はコハク酸、である、請求項13記載の形質転換細胞。
  15. 請求項8〜14のいずれか1項記載の形質転換細胞を培養することを含む、C4ジカルボン酸の製造方法。
  16. 前記培養物からC4ジカルボン酸を回収することをさらに含む、請求項15記載の製造方法。
  17. 前記C4ジカルボン酸がフマル酸、リンゴ酸又はコハク酸である、請求項15又は16記載の製造方法。
  18. 請求項4〜7のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するか、又は請求項4〜7のいずれか1項記載のポリヌクレオチドの発現を強化することを含む、宿主細胞におけるC4ジカルボン酸生産能の向上方法。
  19. C4ジカルボン酸がフマル酸、リンゴ酸又はコハク酸である、請求項18記載の方法。
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