JP6944244B2 - 含フッ素重合性化合物、含フッ素重合体、および表面処理剤 - Google Patents

含フッ素重合性化合物、含フッ素重合体、および表面処理剤 Download PDF

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Description

本発明は、含フッ素重合性化合物、含フッ素重合体、および表面処理剤に関する。
物品の油汚れを防止する方法として、物品表面を、撥油性を有する表面被覆材で被覆する方法が知られている。撥油性を有する表面被覆材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素を含む炭化水素の重合体であるフッ素樹脂が広く用いられている。しかしながら、フッ素樹脂は撥水性が高いため、物品表面に付着した油汚れを水洗浄により洗い流すことが困難であるという課題があった。このため、油汚れを防止するための撥油性と、付着した油汚れを水洗浄するための親水性とを有する表面被覆材が望まれている。
特許文献1には、親水性、撥油性および滑水性を有する樹脂組成物として、炭素数1から18のペルフルオロアルキル(メタ)アクリル酸エステルと親水基含有モノマーを構成成分に含む共重合体を樹脂に配合した樹脂組成物が開示されている。
特開2008−297482号公報
前記特許文献1に開示されている共重合体は、親水基含有モノマーを構成成分として含むので親水性は向上するが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂と比較すると、撥油性が低くなり易い傾向があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、優れた親水性と撥油性を有する新規な材料および表面処理剤を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、一分子中に、エチレン性不飽和結合を含む重合性基、ペルフルオロアルキル基、及びカチオン性基とアニオン性基とが結合したベタイン型の官能基を有する含フッ素重合性化合物、そしてこの含フッ素重合性化合物から誘導された構成単位を有する含フッ素重合体は、優れた親水性と撥油性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
[1]下記の一般式(1)で表されることを特徴とする含フッ素重合性化合物。
Figure 0006944244
上記の一般式(1)中、Rは、水素原子または炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、Rfは、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基を表し、Xは、酸素原子を1つ以上有する2価の連結基を表し、Lは、炭素数1〜10の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、置換基を有していてもよいイミノ基もしくはこれらの組合せからなる2価の連結基を表し、Mは、窒素原子を1つ以上有するカチオン性基を表し、Qはアニオン性基を表す。
[2]前記Xが、下記の一般式(2)で表される連結基であることを特徴とする前項1に記載の含フッ素重合性化合物。
Figure 0006944244
上記の一般式(2)中、*は、前記一般式(1)のC=OのCと結合する結合手を表し、*は、前記一般式(1)のCHのCと結合する結合手を表し、mは、0〜4の整数を表し、nは、0または1の整数を表す。
[3]前記Mが、下記の一般式(3)、(4)、(5)及び(6)のいずれか1つで表されるカチオン性基であることを特徴とする前項1に記載の含フッ素重合性化合物。
Figure 0006944244
上記の一般式(3)、(4)、(5)及び(6)中、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、*は、前記一般式(1)のCH のCと結合する結合手を表し、*は、前記一般式(1)のQと結合する結合手を表す。
[4]前記Qが、下記の一般式(7)で表されるアニオン性基であることを特徴とする前項1に記載の含フッ素重合性化合物。
Figure 0006944244
上記の一般式(7)中、Yは、炭素数1〜10の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、Zは、−CO 、−SO 、又は−PO −Rであって、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、*は、前記一般式(1)のMと結合する結合手を表す。
]前項1乃至4のいずれかの1項に記載の含フッ素重合性化合物から誘導された第1構成単位と、さらに、前記第1構成単位以外の構成単位を有し、前記第1構成単位以外の構成単位が、エチレン性不飽和結合を含む重合性基と、アニオン型の親水性基、カチオン型の親水性基、両性型の親水性基および非イオン型の親水性基のいずれかの親水性基とを有する重合性化合物から誘導された構成単位である2元系共重合体であって、水との接触角が40度以下であり、ヘキサデカンとの接触角が30度以上であることを特徴とする含フッ素重合体。
]前項5に記載の含フッ素重合体と、液体媒体とを含むことを特徴とする表面処理剤。
本発明によれば、優れた親水性と撥油性を有する新規な材料および表面処理剤を提供することが可能となる。
以下、本発明を適用した一実施形態である含フッ素重合性化合物、含フッ素重合体および表面処理剤を詳細に説明する。
<含フッ素重合性化合物>
本実施形態の含フッ素重合性化合物は、下記の一般式(1)で表される。
Figure 0006944244
上記の一般式(1)で示される本実施形態の含フッ素重合性化合物は、HC=C(−R)−C(=O)−で表されるエチレン性不飽和結合を含む重合性基を有する。
上記の一般式(1)において、Rは、水素原子または炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。Rは、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
上記の一般式(1)において、Rfは、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基を表す。
上記の一般式(1)において、Xは、酸素原子を1つ以上有する2価の連結基である。2価の連結基は、炭素数1〜10の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、カルボニル基、置換基を有していてもよいイミノ基、もしくはこれらの組合せ、またはこれらと酸素原子との組合せを有していてもよい。2価の炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。また、2価の炭化水素基は鎖状炭化水素基であってもよいし、環状炭化水素基であってもよい。2価の炭化水素基の例としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基およびこれらの組合せを挙げることができる。炭化水素基およびイミノ基が有してもよい置換基としては、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基を挙げることができる。アルキル基およびアルコキシ基は炭素数が1〜4の範囲にあることが好ましい。
上記の一般式(1)のXの例としては、酸素原子単独(エーテル結合:−O−)、アルキレン基と酸素原子の組合せ、酸素原子とカルボニル基の組合せ(エステル結合:−O−C(=O)−)、カルボニル基とイミノ基の組合せ(アミド結合:−C(=O)−NH−)、カルボニル基とイミノ基と酸素原子の組合せ(ウレタン結合:−C(=O)−NH−O−)を挙げることができる。また、これらの組合せのうちの2種以上を、さらに組合せてもよい。
上記の一般式(1)のXは、下記の一般式(2)で表される2価の連結基であることが好ましい。
Figure 0006944244
上記の一般式(2)において、*は、前記一般式(1)のC=OのCと結合する結合手を表し、*は、前記一般式(1)のCHのCと結合する結合手を表す。
mは、0〜4の整数を表し、nは、0または1の整数を表す。
上記の一般式(1)において、Lは、炭素数1〜10の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、置換基を有していてもよいイミノ基もしくはこれらの組合せからなる2価の有機基を表す。炭化水素基、炭化水素基およびイミノ基が有してもよい置換基の例は、前述のXの場合と同じである。Lは、炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキレン基、または炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキレン基と酸素原子との組み合わせであることが好ましい。炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキレン基と酸素原子との組み合わせは、−アルキレン基−酸素原子−アルキレン基−の組合せであることが特に好ましい。
上記の一般式(1)において、Mは、窒素原子を1つ以上有するカチオン性基を表す。Qはアニオン性基を表す。Mで表されるカチオン性基とQで表されるアニオン性基とが結合して、ベタイン型の官能基が形成されている。
上記の一般式(1)のMで表されるカチオン性基は、水に溶解させたときにカチオンとなる基を意味する。カチオン性基の窒素原子がカチオンを形成している。Mは、下記の一般式(3)、(4)、(5)及び(6)のいずれか1つで表されるカチオン性基であることが好ましい。
Figure 0006944244
上記の一般式(3)、(4)、(5)及び(6)において、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。Rは、メチル基であることが好ましい。
は、前記一般式(1)のCHのCと結合する結合手を表し、*は、前記一般式(1)のQと結合する結合手を表す。
上記の一般式(1)のQで表されるアニオン性基は、水に溶解させたときにアニオンとなる基を意味する。アニオン性基は、−CO 、−SO 、又は−PO −R(Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す)を含むことが好ましい。Qは、下記の一般式(7)で表されるアニオン性基であることが好ましい。
Figure 0006944244
上記の一般式(7)において、Yは、炭素数1〜10の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。
上記の一般式(7)において、Zは、−CO−、−SO 、又は−PO −Rであって、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。
は、前記一般式(1)のMと結合する結合手を表す。
本実施形態の含フッ素重合性化合物の具体例としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006944244
Figure 0006944244
Figure 0006944244
Figure 0006944244
Figure 0006944244
Figure 0006944244
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Figure 0006944244
Figure 0006944244
Figure 0006944244
Figure 0006944244
次に、本実施形態の含フッ素重合性化合物の合成方法について説明する。
本実施形態の含フッ素重合性化合物は、例えば、下記の方法により合成することができる。
下記の一般式(22)で表されるペルフルオロアルキル基含有エポキシ化合物を用意する。
Figure 0006944244
上記の一般式(22)において、RfおよびLは、前記の一般式(1)と同じである。
上記のペルフルオロアルキル基含有エポキシ化合物と、少なくとも1個の第2級アミノ基を有するアミン化合物とを反応させて、下記の一般式で表されるペルフルオロアルキル基と第3級アミノ基を含む基とを有するアルコール化合物(A)を得る。アミン化合物の例としては、1−メチルピペラジン、3−(ジメチルアミノ)ピロリジン、ジメチルアミン、1−メチル−4−[1−(4−ピペリジル)−4−ピペリジル]ピペラジンを挙げることができる。
Figure 0006944244
上記アルコール化合物(A)の一般式において、RfおよびLは、前記の一般式(1)と同じであり、Mは、第3級アミノ基を含む基を表す。
次いで、上記のアルコール化合物(A)と四級塩化剤とを反応させて、アルコール化合物(A)の第3級アミノ基を四級塩化させることによって、下記の一般式で表されるペルフルオロアルキル基(Rf)と、カチオン性基(M)およびアニオン性基(Q)が結合したベタイン型の官能基とを有するアルコール化合物(B)を得る。四級塩化剤の例としては、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、クロロ酢酸ナトリムを挙げることができる。
Figure 0006944244
上記アルコール化合物(B)の一般式において、Rf、L、MおよびQは、前記の一般式(1)と同じである。
そして、最後に、上記のアルコール化合物(B)と、エチレン性不飽和結合を含む重合性基を有し、アルコール化合物(B)のヒドロキシ基と反応する重合性化合物とを反応させることによって、目的とする前記一般式(1)で表される含フッ素重合性化合物を得ることができる。重合性化合物の重合性基の例としては、アクリロイル基を挙げることができる。アクリロイル基は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。重合性化合物の例としては、イソシアネート、カルボン酸およびカルボン酸ハロゲン化物を挙げることができる。
本実施形態の含フッ素重合性化合物は、以上のとおり、一分子中に、エチレン性不飽和結合を含む重合性基と、ペルフルオロアルキル基と、カチオン性基とアニオン性基とが結合したベタイン型の官能基とを有する。本実施形態の含フッ素重合性化合物は、ペルフルオロアルキル基が撥油性基として作用し、ベタイン型の官能基が親水性基として作用することによって、優れた親水性と撥油性を発揮するので、親水撥油剤として利用することができる。また、本実施形態の含フッ素重合性化合物は、後述の含フッ素重合体の材料として用いることができる。
<含フッ素重合体>
本実施形態の含フッ素重合体は、前述の含フッ素重合性化合物から誘導された第1構成単位を有する。すなわち、前述の一般式(1)で表される含フッ素重合性化合物のエチレン性不飽和結合が開裂した構造単位を有する。
本実施形態の含フッ素重合体は、上記第1構成単位以外の構成単位を有していてもよい。すなわち、含フッ素重合体は、前述の一般式(1)で表される含フッ素重合性化合物と共重合可能な重合性化合物から誘導された構成単位(第2構成単位)を有する共重合体であってもよい。共重合体は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体あるいは交互共重合であってもよい。
第2構成単位は、前述の一般式(1)で表される含フッ素重合性化合物以外の含フッ素重合性化合物から誘導された構成単位であってもよいし、フッ素原子を含まない非含フッ素重合性化合物から誘導された構成単位であってもよい。
前述の一般式(1)で表される含フッ素重合性化合物以外の含フッ素重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を含む重合性基とペルフルオロアルキル基とを有する重合性化合物を挙げることができる。エチレン性不飽和結合を含む重合性基の例としては、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基を挙げることができる。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。ペルフルオロアルキル基は、炭素数は1〜6の範囲にあることが好ましい。エチレン性不飽和結合を含む重合性基とペルフルオロアルキル基は、直結していてもよいし、連結基を介して結合していてもよい。連結基の例としては、炭素数1〜10のアルキレン基、酸素原子、カルボニル基、置換基を有していてもよいイミノ基、及びこれらの組合せを挙げることができる。
フッ素原子を含まない非含フッ素重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を含む重合性基と親水性基とを有する重合性化合物を挙げることができる。エチレン性不飽和結合を含む重合性基の例としては、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基を挙げることができる。親水性基としては、アニオン型の親水性基、カチオン型の親水性、両性型の親水性基、非イオン型の親水基を用いることができる。
アニオン型の親水性基の例としては、「−CO」又は「−SO」で表される基(但し、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Al、R:R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基である)を挙げることができる。
カチオン型の親水性の例としては、「−N・Cl」、「−N・Br」、「−N・I」、「−N・CHSO 」、「−N・NO 」、「(−NCO 2−」又は「(−NSO 2−」で表される基(但し、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基である)を挙げることができる。
両性型の親水基の例としては、カルボキシベタイン型の「−N1011(CHCO 」、スルホベタイン型の「−N1011(CHSO 」又はアミンオキシド型の「−N1011」で表される基(但し、aは1〜5の整数であり、R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である)を挙げることができる。
非イオン型の親水基の例としては、「−(CH−CH−O)−R12」で表されるポリオキシエチレン基、「−(CH−CH((CH)−O)−R12」で表されるポリオキシプロピレン基(但し、R12水素原子または炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基であり、bは2〜20の整数であり、cは2〜20の整数である)を挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を含む重合性基と親水性基は、直結していてもよいし、連結基を介して結合していてもよい。連結基の例としては、炭素数1〜10のアルキレン基、酸素原子、カルボニル基、置換基を有していてもよいイミノ基、及びこれらの組合せを挙げることができる。エチレン性不飽和結合を含む重合性基と親水性基とを有する重合性化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸3−スルホプロピルカリウム、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのメチルクロライド四級アンモニウム塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのメチルアイオダイド四級アンモニウム塩、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル−(3−スルホブチル)アンモニウムヒドロキシド、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−カルボキシベタイン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、非含フッ素重合性化合物として、含フッ素共重合体を適用する物品に対する密着性を向上させる基を有する重合性化合物、有機溶媒に対する溶解性を向上させる基を有する重合性化合物を用いることができる。物品に対する密着性や溶媒に対する溶解性を向上させる基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、グリシジル基、シリル基およびイソシアナート基を挙げることができる。重合性化合物の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(トリエトキシシリル)プロピル、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本実施形態の含フッ素重合体は、多官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能ウレタン(メタ)アクリレートから誘導された構成単位を有していてもよい。多官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能ウレタン(メタ)アクリレートから誘導された構成単位は、他の構成単位を2次元的にまたは3次元的に架橋させる作用を有する。このため、多官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能ウレタン(メタ)アクリレートから誘導された構成単位を有する親水撥油性共重合体は、基材への密着性、溶剤への耐溶出性、親水撥油性や防汚性の持続性も硬さ、感触などの種々の性質を必要に応じて改善することができる。
多官能(メタ)アクリレートは、一分子中に、2個以上、好ましくは2〜4個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機化合物である。多官能(メタ)アクリレートの例としては、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートが挙げられる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、一分子中に、2個以上、好ましくは2〜4個の(メタ)アクリロイルオキシ基と1個以上のウレタン結合(−O−CO−NH−)とを有する有機化合物である。多官能ウレタン(メタ)アクリレートの例としては、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートおよび多官能ウレタン(メタ)アクリレートは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。これらの多官能(メタ)アクリレートおよび多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、市販品として新中村化学工業(株)や共栄社化学(株)等から入手可能である。
多官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能ウレタン(メタ)アクリレートから誘導された構成単位の含有量は、0.1モル%以上10モル%以下の範囲にあることが好ましく、0.1モル%以上5モル%以下の範囲にあることがより好ましい。この構成単位の含有量が少なくなりすぎると上記の作用効果を得ることができないおそれがある。一方、この構成単位の含有量が多くなりすぎると、他の構成単位の含有量が相対的に少なくなり、親水性および撥油性などの特性が低下するおそれがある。
次に、本実施形態の含フッ素重合体の合成方法について説明する。
本実施形態の含フッ素重合体は、例えば、重合開始剤(触媒)の存在下、前述の一般式(1)で表される含フッ素重合性化合物と、必要に応じてその他の重合性化合物とを重合させることによって合成することができる。重合方法としては、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などの任意の方法を用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)・二塩酸、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムを挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。
重合に際して有機溶媒を用いる場合、有機溶媒としては、重合性化合物に対して不活性でこれらを溶解するものであれば、特に限定されるものではない。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トリフルオロエタノール等のアルコール類、アセトン、クロロホルム、HCHC−225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。有機溶剤は、単量体の合計100質量部に対して、50〜2000質量部の範囲で用いることが好ましく、50〜1000質量部の範囲で用いることがより好ましい。
有機溶媒に、任意成分として連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤の例としては、メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、ステアリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のチオール系、亜リン酸、次亜リン酸およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)等のリン系、イソプロピルアルコール等の2級アルコール等が挙げられる。
本実施形態の含フッ素重合体は、前述の一般式(1)で表される含フッ素重合性化合物から誘導された第1構成単位、すなわち、側鎖にペルフルオロアルキル基である撥油性基であると、ベタイン構造の親水性基とを有する。このため、本実施形態の含フッ素重合体は、優れた撥油性と親水性とを有する。
<表面処理剤>
本実施形態の表面処理剤は、上述の含フッ素重合体と、液体媒体とを含む。液体媒体としては、有機溶媒、水、およびこれらの混合物を挙げることができる。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トリフルオロエタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、α,α,α−トリフルオロトルエン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン、1,4−ビストリフルオロメチルベンゼン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロヘキサンなどのフッ素系溶媒を挙げることができる。表面処理剤は、溶液、エマルション、またはエアゾールの形態であることが好ましい。表面処理剤の含窒素共重合体の濃度は、一般に、0.01〜50重量%の範囲である。
次に、本実施形態の表面処理剤の使用方法、すなわち、被処理物(基材)への表面処理方法について説明する。
(被処理物)
本実施形態の表面処理剤で処理される被処理物としては、繊維又は繊維製品、石材、フィルター(例えば、静電フィルター)、防塵マスク、燃料電池の部品(例えば、ガス拡散電極およびガス拡散支持体)、木、皮革、毛皮、石綿、金属および酸化物、窯業製品(例えば、ガラス、レンガ、セメント)、プラスチック、塗料またはプラスターが塗布された塗面などを挙げることができる。
繊維としては、種々の例を挙げることができる。具体的には、例えば、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維および炭素繊維などの無機繊維、あるいはこれらの混合繊維が挙げられる。繊維製品は、織物、編物および不織布のいずれの形態であってもよく、具体的な製品としては、紙、カーペット、ろ布、衣類などが挙げられる。
(表面処理方法)
本実施形態の表面処理剤を、被処理物に塗布して塗布膜を形成し、次いで塗布膜を乾燥することによって、含フッ素重合体を含む被膜を形成することができる。表面処理剤の塗布方法としては、特に制限はなく、浸漬塗布、スプレー塗布、泡塗布などの既知の方法を用いることができる。により、被処理物の表面に付着させ、乾燥する方法が採られる。また、必要ならば、適当な架橋剤と共に適用し、キュアリングを行ってもよい。
本実施形態の表面処理剤は、上述のとおり、本実施形態の含フッ素重合体を含むので、本実施形態の表面処理剤によれば、被処理物の表面に高い親水性と撥油性とを有する被膜を形成することが可能である。被膜は、水の接触角が40度以下であり、ヘキサデカンの接触角が30度以上であることが好ましい。
なお、含フッ素重合体を含む被膜は、含フッ素重合性化合物と液体媒体とを含む塗布液を用いて製造することができる。具体的には、この塗布液を被処理物に塗布して塗布膜を形成し、次いで、塗布膜中の含フッ素重合性化合物を重合させて被膜を形成することによって、含フッ素重合体を含む被膜を製造してもよい。含フッ素重合性化合物を重合させる方法としては、加熱や紫外線照射などの方法を用いることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
[実施例1]
(1)含フッ素重合性化合物の合成
300mLフラスコに、1−メチルピペラジン35.8gを投入し、80℃に加熱した後、3−(2−ペルフルオロヘキシルエトキシ)−1,2−エポキシプロパン(三菱マテリアル電子化成社製、製品名:MF−120)100.0gを3回に分けて投入した。MF120の投入後、100℃に加熱して1.5時間攪拌した後、室温まで放冷した。放冷後、反応液にクロロホルムと水を投入し、反応液をクロロホルムに抽出した後、クロロホルム層を分液した。分液したクロロホルム層を食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、得られた溶液を濃縮することで下記の式(A−1)で表されるアルコール化合物(A−1)を得た(111.5g、収率90%)。得られたアルコール化合物(A−1)の純度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、96.7%であった。
Figure 0006944244
H NMR(CDCl):δ 2.29(s、CH、3H)2.35−2.50(m、9H)、2.53−2.73(m、2H)、3.38−3.48(m、2H)、3.50−3.55(m、1H)、3.75−3.82(m、2H)、3.83−3.91(m、1H)
19F NMR(CDCl):δ −80.9(CF、3F)、−113.4(CF、2F)、−121.9(CF、2F)、−122.9(CF、2F)、−123.7(CF、2F)、−126.1(CF、2F)
次に、200mLフラスコに、上記アルコール化合物(A−1)29.3g、1,3−プロパンスルトン6.5g、アセトニトリル100mLを投入し、80℃に加熱して4時間攪拌した。その後、室温まで放冷して、結晶を析出させた。次いで、ジイソプロピルエーテル100mLを投入し、室温で15分攪拌した後、結晶を濾過して回収した。回収した結晶を減圧乾燥させることで、下記の式(B−1)で表されるアルコール化合物(B−1)の結晶(31.6g、収率88%)を得た。
Figure 0006944244
H NMR(CDOD):δ 2.17−2.26(m、2H)2.40−2.65(m、4H)、2.80−3.01(m、6H)、3.12(s、CH、3H)、3.42−3.58(m、6H)、3.58−3.66(m、2H)、3.75−3.83(m、2H)、3.86−3.93(m、1H)
19F NMR(CDOD):δ −82.4(CF、3F)、−114.4(CF、2F)、−122.9(CF、2F)、−123.9(CF、2F)、−124.7(CF、2F)、−127.3(CF、2F)
次に、200mLフラスコにて、上記アルコール化合物(B−1)30.0g、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工株式会社製、カレンズMOI)10.9g、ジメチルホルムアミド75mL、触媒としてジブチル錫ジラウレート(和光純薬株式会社製)2滴、重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.3gを投入し、90℃に加熱して1時間攪拌した後、室温まで放冷した。放冷後、反応液をトルエン300mLに投入して、結晶を再沈殿させた。沈殿した結晶を濾過、減圧乾燥させることにより、下記の式(M−1)で表される含フッ素重合性化合物(M−1)を得た(34.7g、収率93%)。
Figure 0006944244
H NMR(CDOD):δ 1.94(s、CH、3H)、2.16−2.28(m、2H)、2.65−2.72(m、2H)、2.73−3.05(m、6H)、3.12(s、CH、3H)、3.32−3.52(m、6H)、3.52−3.69(m、4H)、3.70−3.86(m、2H)、4.12−4.32(m、2H)、4.95−5.10(m、1H)、5.61−5.66(m、1H)、6.10−6.15(m、1H)、7.12−7.20(m、1H)
19F NMR(CDOD):δ −82.4(CF、3F)、−114.3(CF、2F)、−122.9(CF、2F)、−123.9(CF、2F)、−124.6(CF、2F)、−127.3(CF、2F)
(2)含フッ素重合体の合成
200mlフラスコに、上記(1)で得られた含フッ素重合性化合物(M−1)を0.5g、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド(アルドリッチ社製)2.5g、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬株式会社製)0.03g及びトリフルオロエタノール(TCI株式会社製)16.7gを投入し、80℃に加熱して20時間反応させた後、室温まで放冷した。放冷後、得られた反応液をメタノールに投入して、固体を析出させた。析出した固体を濾過、減圧乾燥させることにより、含フッ素重合体を得た。
(3)表面処理剤の製造
上記(2)含フッ素重合体の合成で得られた含フッ素重合体とトリフルオロエタノールとを、質量比で1:99の割合で混合して、濃度1質量%の含フッ素重合体溶液を調製し、これを表面処理剤とした。
[実施例2]
(1)含フッ素重合性化合物の合成
1−メチルピペラジンの代わりに3−(ジメチルアミノ)ピロリジンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、下記の式(M−2)で表される含フッ素重合性化合物を得た。
Figure 0006944244
H NMR(CDOD):δ 1.93(s、CH、3H)、2.14−2.96(m、13H)、3.04(s、CH、3H)、3.04−3.30(m、4H)、3.32−3.89(m、9H)、4.10−4.26(m、3H)、4.92−5.05(m、1H)、5.60−5.65(m、1H)、6.10−6.15(m、1H)、7.14−7.22(m、1H)
19F NMR(CDOD):δ −82.4(CF、3F)、−114.3(CF、2F)、−122.9(CF、2F)、−123.9(CF、2F)、−124.6(CF、2F)、−127.3(CF、2F)
(2)含フッ素重合体の合成と表面処理剤の製造
上記(1)で得られた含フッ素重合性化合物(M−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして含フッ素重合体を合成した。そして、この含フッ素重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして表面処理剤を製造した。
[実施例3]
(1)含フッ素重合性化合物の合成
1−メチルピペラジンの代わりにジメチルアミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、下記の式(M−3)で表される含フッ素重合性化合物(M−3)を得た。
Figure 0006944244
H NMR(CDOD):δ 1.93(s、CH、3H)、2.16−2.34(m、2H)、2.42−2.58(m、2H)、2.78−2.91(m、2H)、3.16(s、CH、6H)、3.36−3.49(m、2H)、3.50−3.72(m、5H)、3.72−3.87(m、3H)、4.19−4.31(m、2H)、5.32−5.39(m、1H)、5.60−5.65(m、1H))、5.32−5.39(m、1H)、6.10−6.13(m、1H)
19F NMR(CDOD):δ −82.4(CF、3F)、−114.3(CF、2F)、−122.9(CF、2F)、−123.9(CF、2F)、−124.6(CF、2F)、−127.3(CF、2F)
(2)含フッ素重合体の合成と表面処理剤の製造
上記(1)で得られた含フッ素重合性化合物(M−3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして含フッ素重合体を合成した。そして、この含フッ素重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして表面処理剤を製造した。
[実施例4]
(1)含フッ素重合性化合物の合成
1−メチルピペラジンの代わりに1−メチル−4−[1−(4−ピペリジル)−4−ピペリジル]ピペラジンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、下記の式(M−4)で表される含フッ素重合性化合物を得た。
Figure 0006944244
H NMR(CDOD):δ 1.47−1.60(m、4H)、1.80−1.97(m、4H)、1.93(s、CH、3H)、2.00−2.58(m、12H)、2.82−3.08(m、10H)、3.10(s、CH、3H)、3.35−3.85(m、12H)、4.15−4.22(m、2H)、4.95−5.03(m、1H)、5.60−5.65(m、1H)、6.10−6.14(m、1H)
19F NMR(CDOD):δ −82.4(CF、3F)、−114.3(CF、2F)、−122.9(CF、2F)、−123.9(CF、2F)、−124.6(CF、2F)、−127.3(CF、2F)
(2)含フッ素重合体の合成と表面処理剤の製造
上記(1)で得られた含フッ素重合性化合物(M−4)を用いたこと以外は実施例1と同様にして含フッ素重合体を合成した。そして、この含フッ素重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして表面処理剤を製造した。
[実施例5]
(1)含フッ素重合性化合物の合成
2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工株式会社製、カレンズMOI)の代わりにメタクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製、カレンズMOI−EG)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、下記の式(M−5)で表される含フッ素重合性化合物を得た。
Figure 0006944244
H NMR(CDOD):δ 1.93(s、CH、3H)、2.16−2.26(m、2H)、2.38−2.53(m、2H)、2.67−2.76(m、2H)、2.78−3.05(m、6H)、3.12(s、CH、3H)、3.28−3.32(m、2H)、3.40−3.69(m、10H)、3.70−3.86(m、4H)、4.27−4.30(m、2H)、4.92−5.08(m、1H)、5.60−5.65(m、1H)、6.10−6.15(m、1H)、6.89−6.95(m、1H)
19F NMR(CDOD):δ −82.4(CF、3F)、−114.3(CF、2F)、−122.9(CF、2F)、−123.9(CF、2F)、−124.7(CF、2F)、−127.3(CF、2F)
(2)含フッ素重合体の合成と表面処理剤の製造
上記(1)で得られた含フッ素重合性化合物(M−5)を用いたこと以外は実施例1と同様にして含フッ素重合体を合成した。そして、この含フッ素重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして表面処理剤を製造した。
[比較例1]
実施例1(2)の含フッ素重合体の合成において、含フッ素重合性化合物を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして非含フッ素重合体、即ち[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシドの単独重合体を合成した。そして、この非含フッ素重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして表面処理剤を製造した。
[比較例2]
実施例1(2)の含フッ素重合体の合成において、含フッ素重合性化合物として、下記一般式(M−6)で表される化合物(東京化成工業株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、含フッ素重合体を合成した。そして、この含フッ素合成体を用いたこと以外は実施例1と同様にして表面処理剤を製造した。
Figure 0006944244
[評価]
上記実施例1〜5及び比較例1〜2にて製造した表面処理剤を用いて作製した被膜について、水とヘキサデカンの接触角、及びヘキサデカンの転落角を測定した。その結果を表1に示す。
被膜は、スライドガラスの表面に表面処理剤をスピンコートによって塗布した後、スライドガラスを80℃の温度で15分加熱することにより作製した。
水とヘキサデカンの接触角、及びヘキサデカンの転落角は、協和界面科学社製、CA−A型接触角計を用いて測定した。
接触角は、被膜の表面に水及びヘキサデカンをそれぞれ2μL滴下して、滴下1秒後に測定した。接触角の測定は、被膜の表面の任意の5点で行った。表1には、測定した接触角の平均を記載した。
ヘキサデカンの転落角は、被膜の表面にヘキサデカンを5μL滴下した後、スライドガラスを傾斜させ、ヘキサデカンの液滴が転落し始めた時のスライドガラス板の角度を測定し、その角度を傾斜角度とした。
Figure 0006944244
実施例1〜5で得られた表面処理剤を用いて作製した被膜は、水の接触角が40度以下であって親水性に優れ、ヘキサデカンとの接触角が30度以上であって撥油性に優れる。これに対して、比較例1で得られた表面処理剤を用いて作製した被膜は、ヘキサデカンとの接触角が10度以下であって撥油性に劣る。また、比較例2で得られた表面処理剤を用いて作製した被膜は、水との接触角が60度以上であって親水性に劣る。
以上の結果から、本実施例によれば、優れた親水性と撥油性を有する新規な含フッ素重合性化合物、含フッ素重合体および表面処理剤を提供することが可能となることが確認された。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(1)で表されることを特徴とする含フッ素重合性化合物:
    Figure 0006944244
    上記の一般式(1)中、Rは、水素原子または炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、Rfは、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基を表し、Xは、酸素原子を1つ以上有する2価の連結基を表し、Lは、炭素数1〜10の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、置換基を有していてもよいイミノ基もしくはこれらの組合せからなる2価の連結基を表し、Mは、窒素原子を1つ以上有するカチオン性基を表し、Qはアニオン性基を表す。
  2. 前記Xが、下記の一般式(2)で表される連結基であることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素重合性化合物:
    Figure 0006944244
    上記の一般式(2)中、*は、前記一般式(1)のC=OのCと結合する結合手を表し、*は、前記一般式(1)のCHのCと結合する結合手を表し、mは、0〜4の整数を表し、nは、0または1の整数を表す。
  3. 前記Mが、下記の一般式(3)、(4)、(5)及び(6)のいずれか1つで表されるカチオン性基であることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素重合性化合物:
    Figure 0006944244
    上記の一般式(3)、(4)、(5)及び(6)中、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、*は、前記一般式(1)のCH のCと結合する結合手を表し、*は、前記一般式(1)のQと結合する結合手を表す。
  4. 前記Qが、下記の一般式(7)で表されるアニオン性基であることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素重合性化合物:
    Figure 0006944244
    上記の一般式(7)中、Yは、炭素数1〜10の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、Zは、−CO 、−SO 、又は−PO −Rであって、Rは、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、*は、前記一般式(1)のMと結合する結合手を表す。
  5. 請求項1乃至4のいずれかの1項に記載の含フッ素重合性化合物から誘導された第1構成単位と、さらに、前記第1構成単位以外の構成単位を有し、前記第1構成単位以外の構成単位が、エチレン性不飽和結合を含む重合性基と、アニオン型の親水性基、カチオン型の親水性基、両性型の親水性基および非イオン型の親水性基のいずれかの親水性基とを有する重合性化合物から誘導された構成単位である2元系共重合体であって、水との接触角が40度以下であり、ヘキサデカンとの接触角が30度以上であることを特徴とする含フッ素重合体。
  6. 請求項5に記載の含フッ素重合体と、液体媒体とを含むことを特徴とする表面処理剤。
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