JP6943990B2 - 表面保護フィルム - Google Patents
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Description
また、偏光板、位相差板などの光学部材は、表面保護フィルムを貼り合わされた状態で、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う製品検査を行うため、表面保護フィルムに対する要求性能としては、粘着剤層に気泡や異物が付着していないことが求められている。
また、偏光板、位相差板などの光学部材に表面保護フィルムを貼り合わせるときに、各種の理由により、一旦、表面保護フィルムを剥がして、再度、表面保護フィルムを貼り直すことがあり、そのときに被着体の光学部材から剥がし易いこと(リワーク性)が求められている。
また、最終的に偏光板、位相差板などの光学部材から表面保護フィルムを剥がすときには、速やかに剥離できることが求められている。いわゆる、高速剥離によっても、速やかに剥離できるように、粘着力が剥離速度によっても変化が少ないことが求められている。
しかし、表面保護フィルムを構成する粘着剤層に対する要求性能である、これら(1)〜(3)のそれぞれ、個々の要求性能を満たすことは出来ても、表面保護フィルムの粘着剤層に求められる(1)〜(3)の全ての要求性能を、同時に満たすことは非常に困難な課題であった。
また、上記と同様の共重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有共重合性化合物との共重合体を少量配合し、これを架橋剤で架橋処理した粘着剤層を設けたものなどが提案されている。しかし、これらは、表面張力が低くて表面が平滑なプラスチック板などの表面保護に使用すると、加工時や保存時の加熱により浮きなどの剥離現象を生じる問題や、手作業領域である高速での剥離時の再剥離性に劣るという問題もあった。
特許文献2に記載の粘着剤組成物では、加工時や保存時において、浮きなどの剥離現象を生じることがなく、その上、接着力の経時上昇性が小さくて再剥離性に優れており、長期保存、特に高温雰囲気下で長期保存しても小さな力で再剥離でき、その際被着体上に糊残りを生じず、また高速剥離を行ったときでも小さな力で再剥離できるとしている。
特許文献3では、アルキル基の炭素数が2〜12程度のアクリル酸アルキルエステルやアルキル基の炭素数が4〜12程度のメタクリル酸アルキルエステル等を主モノマー成分とし、例えば、カルボキシル基含有モノマーなどの他の官能基含有モノマー成分を含むことができるとしている。一般的には上記主モノマーを50重量%以上含有させることが好ましい、又、官能基含有モノマー成分の含有量は0.001〜50重量%、好ましくは0.001〜25重量%、更に好ましくは0.01〜25重量%であることが望まれる、としている。このような特許文献3に記載の粘着剤組成物は、高温下又は高温高湿下でも凝集力及び接着力の経時変化が小さく、かつ、曲面に対する接着力にも優れた効果を示すことから、リワーク性を有するとしている。
一般に、粘着剤層を柔らかい性状のものにすると、糊残りが発生し易くなり、リワーク性が低下しやすい。すなわち、誤って貼合したときに剥離が難く、貼り直しが困難となり易い。このことから、カルボキシル基などの官能基を有するモノマーを主剤に架橋させて、粘着剤層を一定の硬さにすることが、リワーク性を持たせるためには必要と考えられる。
本発明の粘着剤組成物は、その主剤が、(A)アルキル基の炭素数がC4〜C10の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーと、(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーとを含む共重合体のアクリル系ポリマーからなり、さらに、(D)3官能以上のイソシアネート化合物を含有し、前記共重合体の酸価が0.01〜9.0であることを特徴とする。
8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。
(A)アルキル基の炭素数がC4〜C10の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの100重量部に対して、前記(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーが0.1〜8.0重量部含まれることが好ましい。
なおかつ、(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーのうち、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの合計量は、1重量部未満(含有しない場合も許容される)が好ましく、0〜0.9重量部であることが好ましい。
(A)アルキル基の炭素数がC4〜C10の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの100重量部に対して、(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーが0.35〜1.0重量部、より好ましくは0.35〜0.6重量部、含まれることが好ましい。
ポリアルキレングリコールの有するアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の2種以上のポリアルキレングリコールの共重合体であってもよい。ポリアルキレングリコールの共重合体としては、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール等が挙げられ、該共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体であってもよい。
より具体的には、ポリエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート;エトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール−(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(A)アルキル基の炭素数がC4〜C10の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの100重量部に対して、前記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーが1〜20重量部含まれることが好ましい。
これらのアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の原子がアルコキシ基で置換された構造を有する。
3官能以上のイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート類(1分子中に2個のNCO基を有する化合物)のビュレット変性体やイソシアヌレート変性体、トリメチロールプロパン(TMP)やグリセリン等の3価以上のポリオール(1分子中に少なくとも3個以上のOH基を有する化合物)とのアダクト体(ポリオール変性体)などが挙げられる。
また、(D)3官能以上のイソシアネート化合物は、前記(D−1)第1の脂肪族系のイソシアネート化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上と、前記(D−2)第2の芳香族系のイソシアネート化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上とを含み、前記共重合体の100重量部に対して、合計して0.5〜5.0重量部含まれることが好ましい。また、(D−1)第1の脂肪族系のイソシアネート化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上と、(D−2)第2の芳香族系のイソシアネート化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上との混合比率は、(D−1):(D−2)が重量比で10%:90%〜90%:10%の範囲内であることが好ましい。
前記架橋遅延剤は、ケトエノール互変異性化合物であるのが好ましく、特にアセチルアセトン、アセト酢酸エチルからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。
前記架橋遅延剤は、共重合体の100重量部に対して、1.0〜5.0重量部含まれることが好ましい。
第三級アミンとしては、トリアルキルアミン、N,N,N’,N’−テトラアルキルジアミン、N,N−ジアルキルアミノアルコール、トリエチレンジアミン、モルホリン誘導体、ピペラジン誘導体等が挙げられる。
有機錫化合物としては、ジアルキル錫オキシドや、ジアルキル錫の脂肪酸塩、第1錫の脂肪酸塩等が挙げられる。
前記架橋触媒は、有機錫化合物であるのが好ましく、特にジオクチル錫オキシド、ジオクチル錫ジラウレートからなる化合物群の中から選択された、少なくとも一種以上であることが好ましい。
前記架橋触媒は、共重合体の100重量部に対して、0.01〜0.5重量部含まれることが好ましい。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物は、HLB値が7〜12であるポリエーテル変性シロキサン化合物であることが好ましい。また、共重合体の100重量部に対して、前記ポリエーテル変性シロキサン化合物が0.01〜0.5重量部含まれることが好ましい。より好ましくは、0.1〜0.5重量部である。
HLBとは、例えばJIS K3211(界面活性剤用語)等に規定する親水親油バランス(親水性親油性比)である。
ポリエーテル変性シロキサン化合物は、例えば、水素化ケイ素基を有するポリオルガノシロキサン主鎖に対し、不飽和結合及びポリオキシアルキレン基を有する有機化合物をヒドロシリル化反応によりグラフトさせることによって得ることができる。具体的には、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン重合体等が挙げられる。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物を粘着剤組成物に配合することにより、粘着剤の粘着力及びリワーク性能を改善することができる。
ポリアルキレングリコールの誘導体としては、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルやポリオキシアルキレンジアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルやポリオキシアルキレンジアルケニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアリールエーテルやポリオキシアルキレンジアリールエーテル等のポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールモノ脂肪酸エステルやポリオキシアルキレングリコールジ脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンジアミンなどが挙げられる。
ここで、ポリアルキレングリコール誘導体におけるアルキルエーテルとしては、メチルエーテルやエチルエーテル等の低級アルキルエーテル、ラウリルエーテルやステアリルエーテル等の高級アルキルエーテルが挙げられる。ポリアルキレングリコール誘導体におけるアルケニルエーテルとしては、ビニルエーテル、アリルエーテル、オレイルエーテル等が挙げられる。また、ポリアルキレングリコール誘導体における脂肪酸エステルとしては、酢酸エステルやステアリン酸エステル等の飽和脂肪酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルやオレイン酸エステル等の不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。
ポリエーテル化合物が、エチレンオキシド基を含有する化合物であることが好ましく、ポリエチレンオキシド基を含有する化合物であることが好ましい。
帯電防止剤としては、イオン性化合物が挙げられる。また、イオン性のアクリル系モノマーを主剤の共重合体に共重合させることで帯電防止性能を付与することもできる。
本発明の粘着剤組成物は、上記の共重合体に、(D)3官能以上のイソシアネート化合物、さらに適宜任意の添加剤を配合することで調製することができる。
また、前記共重合体の酸価(アクリル系ポリマーの酸価)は、0.01〜9.0であることが好ましい。これにより、汚染性を改善し、糊残りの発生防止性能を向上することができる。
ここで、「酸価」とは、酸の含有量を表す指標の一つであり、カルボキシル基を含有するポリマー1gを中和するのに要する、水酸化カリウムのmg数で表される。
基材フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による防汚処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
剥離フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に2−エチルヘキシルアクリレート100重量部、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート0.9重量部、アクリル酸0.4重量部とともに溶剤(酢酸エチル)を60重量部加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で6時間反応させ、重量平均分子量50万の、実施例1に用いるアクリル共重合体溶液1を得た。アクリル共重合体の一部を採取し、後述する酸価の測定試料として用いた。
[実施例2〜9及び比較例1〜4]
単量体の組成を各々、表1の(A)〜(C)の記載のようにする以外は、上記の実施例1に用いるアクリル共重合体溶液1と同様にして、実施例2〜9及び比較例1〜4に用いるアクリル共重合体溶液を得た。
[実施例1]
上記のとおり製造した実施例1のアクリル共重合体溶液1に対して、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体)0.5重量部、コロネートL(トリレンジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパンとのアダクト体)0.5重量部を加えて撹拌混合して実施例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をシリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚さが25μmである粘着シートを得た。
その後、一方の面に帯電防止及び防汚処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの帯電防止及び防汚処理された面とは反対の面に粘着シートを転写させ、「帯電防止及び防汚処理されたPETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する実施例1の表面保護フィルムを得た。
[実施例2〜9及び比較例1〜4]
添加剤の組成を各々、表1の(D)の記載のようにする以外は、上記の実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例2〜9及び比較例1〜4の表面保護フィルムを得た。
実施例1〜9及び比較例1〜4における表面保護フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させた。
さらに、この粘着剤層を表出させた表面保護フィルムを、粘着剤層を介して液晶セルに貼られた偏光板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧、20分間オートクレーブ処理し、室温でさらに12時間放置したものを、粘着力、リワーク性、及び耐久性の測定試料とした。
アクリル系ポリマーの酸価は、試料を溶剤(ジエチルエーテルとエタノールを体積比2:1で混合したもの)に溶かし、電位差自動滴定装置(京都電子工業製、AT−610)を用いて、0.1上記電位差滴定装置を用い、濃度が約0.1mol/lの水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行い、試料を中和するために必要な水酸化カリウムエタノール溶液の量を測定した。そして、下記式より、酸価を求めた。
酸価=(B×f×5.611)/S
B=滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
f=0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S=試料の固形分の質量(g)
上記で得られた測定試料(25mm幅の表面保護フィルムを偏光板の表面に貼り合わせたもの)を180°方向に引張試験機を用いて低速の剥離速度(0.3m/min)及び高速の剥離速度(30m/min)において剥がして測定した剥離強度を粘着力とした。
上記で得られた測定試料の表面保護フィルムの上をボールペンで(荷重500g、3往復)なぞった後、偏光板から表面保護フィルムを剥離して偏光板の表面を観察し、偏光板に汚染移行の無いことを確認した。評価目標基準は、偏光板に汚染移行の無い場合を「○」、ボールペンでなぞった軌跡に沿って少なくとも一部に汚染移行が確認された場合を「△」、ボールペンでなぞった軌跡に沿って汚染移行が確認され、粘着剤表面からも粘着剤の離脱が確認された場合を「×」と評価した。
上記で得られた測定試料を60℃、90%RHの雰囲気下に250時間放置後、室温に取り出し、さらに12時間放置した後、粘着力を測定して初期の粘着力と比較して明らかな増加が無いことを確認した。評価目標基準は、試験後の粘着力が初期粘着力の1.5倍以下である場合を「○」、1.5倍を超えた場合を「×」と評価した。
すなわち、(1)低速の剥離速度、及び高速の剥離速度において、粘着力のバランスを取ること、(2)糊残りの発生を防止すること、及び(3)リワーク性能の全ての要求性能を、同時に満たしている。
また、(D−1)第1の脂肪族系のイソシアネート化合物群から選択した1種以上と、(D−2)第2の芳香族系のイソシアネート化合物群から選択した1種以上とを併用することにより、低速剥離領域および高速剥離領域の粘着力のバランスを改善できた。
比較例2の表面保護フィルムでは、(B)水酸基含有モノマーが過少で、(D)イソシアネート化合物が(D−1)と(D−2)第2の芳香族系のイソシアネート化合物とを併用していないためか、低速の剥離速度0.3m/minでの粘着力と高速の剥離速度30m/minでの粘着力が大きすぎ、リワーク性と耐久性が劣っていた。
比較例3の表面保護フィルムは、(D)イソシアネート化合物が過多であるためか、ポットライフが短くなりすぎ、塗布前に架橋が進行したため、塗工をすることができなかった。
比較例4の表面保護フィルムは、(D)イソシアネート化合物が過多であるためか、ポットライフが短くなりすぎ、塗布前に架橋が進行したため、塗工をすることができなかった。
このように、比較例1〜4の表面保護フィルムでは、(1)低速の剥離速度、及び高速の剥離速度において、粘着力のバランスを取ること、(2)糊残りの発生を防止すること、及び(3)リワーク性能の全ての要求性能を、同時に満たすことができなかった。
Claims (2)
- アクリル系ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物を架橋させた粘着剤層を、樹脂フィルムの片面に形成してなる表面保護フィルムであって、
前記アクリル系ポリマーが、(A)アルキル基の炭素数がC4〜C10の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種の合計100重量部に対して、(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種の合計を0.1〜8.0重量部と、(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種の合計を0.35〜1.0重量部と、を共重合させた共重合体のアクリル系ポリマーからなり、
前記アクリル系ポリマーの酸価が、0.01〜9.0であり、
前記(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーとして、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる化合物群の中から選択された少なくとも1種以上を含有してなり、前記(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーのうち、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの合計量が、0重量部超過0.9重量部以下であり、
前記架橋剤が、(D)3官能以上のイソシアネート化合物であり、前記(D)3官能以上のイソシアネート化合物が、(D−1)第1の脂肪族系のイソシアネート化合物群の中から選択された、少なくとも1種以上と、(D−2)第2の芳香族系のイソシアネート化合物群の中から選択された、少なくとも1種以上とを含んでなり、
前記粘着剤組成物が、さらに、架橋遅延剤と、架橋触媒とを含有してなり、
前記架橋遅延剤として、ケトエノール互変異性化合物が、前記共重合体の100重量部に対して、1.0〜5.0重量部の割合で含有してなり、
前記粘着剤組成物を架橋させた前記粘着剤層の、ゲル分率が95〜100%であることを特徴とする表面保護フィルム。 - 前記(D−1)第1の脂肪族系のイソシアネート化合物群が、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のアダクト体、イソホロンジイソシアネート化合物のアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のビュレット体、イソホロンジイソシアネート化合物のビュレット体からなる群であり、
前記(D−2)第2の芳香族系のイソシアネート化合物群が、トリレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、キシリレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、水添キシリレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネート化合物のアダクト体、キシリレンジイソシアネート化合物のアダクト体、水添キシリレンジイソシアネート化合物のアダクト体、からなる群であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護フィルム。
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