本発明の吸収体は、尿等の体液を吸収するために用いられるものであり、尿パッド(失禁パッドを含む)、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に設けられるものである。吸収体は吸収性物品が受けた尿等の体液を吸収し固定し、例えば、吸収性物品のトップシートとバックシートの間に設けられる。以下、本発明の吸収体について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明は図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1および図2には、本発明の吸収体の一例を示した。図1は、吸収体を非肌面側から見た平面図を表し、図2は、図1に示した吸収体のA−A断面図(幅方向断面図)の一例を表す。なお図面では、矢印xが幅方向、矢印yが長手方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。厚み方向zにおいて、z1は肌面側を表し、z2は非肌面側を表す。
吸収体において、長手方向yは、吸収体を備えた吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xは、吸収体と同一面上にあり、長手方向yと直交する方向を意味する。吸収体は、厚み方向zに対して、肌面側と非肌面側を有する。肌面側とは、吸収性物品を着用した際の着用者側を意味し、吸収体を基準にとるとトップシート側に相当する。非肌面側とは、吸収性物品を着用した際の着用者とは反対側、すなわち外側を意味し、吸収体を基準にとるとバックシート側に相当する。
吸収体1は、吸収性コア2と、吸収性コア2の肌面側と非肌面側を覆う被覆シート4とを有する。被覆シート4は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等から構成され、吸収性コア2を所定形状に維持するために設けられる。被覆シート4は、吸収性コア2を非肌面側から肌面側にかけて覆うように設けられる。詳細には、被覆シート4は、吸収性コア2の非肌面側で吸収性コア2の幅方向xの全体に延在するとともに、吸収性コア2の幅方向xの両側縁に沿って吸収性コア2の肌面側に折り返され、被覆シート4の幅方向xの両端部が吸収性コア2の肌面側に位置するように設けられている。吸収性コア2は、肌面側と非肌面側の全体が被覆シート4によって覆われていることが好ましいが、吸収性コア2の側面の一部は被覆シート4によって覆われていなくてもよい。なお、被覆シート4のうち、吸収性コア2の肌面側にある部分を上側部5と称し、吸収性コア2の非肌面側にある部分を下側部6と称する。
被覆シート4は、好ましくは紙シートから構成される。紙シートとしては、植物繊維を相互に絡ませてシート状に形成したものであれば特に限定なく用いることができ、特にティッシュが好ましく用いられる。紙シートは、例えば湿式抄紙法により製造することができる。被覆シート4の厚みは、例えば、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましく、また5μm以上が好ましく、10μm以下がより好ましく、20μm以上がさらに好ましい。被覆シートの厚みは、JIS P 8118(2014)に従って測定する。
吸収性コア2は、尿等の体液を吸収できる吸収性材料を含有するものであれば特に限定されないが、親水性繊維の集合体から形成されていることが好ましい。親水性繊維としては、パルプ繊維等の天然繊維;レーヨン繊維等の再生繊維;アセテート繊維等の半合成繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等の合成繊維であって、界面活性剤等により親水化処理がされた繊維等を用いることができる。吸収性コア2は、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等を含むものであってもよい。
吸収性コア2は、尿等の吸収速度を高め、保形性を高める点から、少なくとも親水性繊維を含有することが好ましく、パルプ繊維を含有することがより好ましい。また、吸収容量を高める点から、吸収性コア2は、親水性繊維と吸水性樹脂を含有することが好ましい。この場合、吸収性コア2としては、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
吸収性コア2の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コア2の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。吸収性コア2は複数の層が積層して形成されてもよい。図面では、吸収性コア2は砂時計形に形成されている。
吸収性コア2の厚みは、例えば、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、また12mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、8mm以下がさらに好ましい。なお、ここで説明した吸収性コアの厚みとは、吸収性コアの最も厚い部分の厚みを意味する。吸収性コアの厚みはシックネスゲージにより測定することができ、例えば株式会社テクロック製のシックネスゲージSM−130を用いて測定することができる。例えば、吸収性コアをアンビルと測定子の間に挟んで厚みを測定し、その際、シックネスゲージSM−130では、終圧が2.2N以下となるように厚みを測定する。アンビルと測定子は、測定対象との接触面が直径10mmの円形であり、接触面が平らなものを用いる。
吸収性コア2には、幅方向xの中央部に、長手方向yに延びる開口3が形成されている。具体的には、開口3は、吸収性コア2の幅方向xの中心線を含み、当該中心線に沿って長手方向yに延びるように形成されている。なお、開口3は、吸収性コア2を厚み方向zに貫通して設けられる。また、長手方向yに延びる開口とは、幅方向xよりも長手方向yに長い形状を有する開口を意味する。このように吸収性コア2に形成された開口3は、尿等の体液の長手方向yへの拡散路として機能するため、尿等の体液が吸収性コア2に速やかに吸収されやすくなるとともに、吸収性コア2が広範囲にわたって尿等の体液の吸収に寄与しやすくなる。
吸収性コア2には、開口3が1つのみ設けられてもよく、2つ以上設けられてもよいが、好ましくは、開口3は吸収性コア2に1つのみ設けられる。すなわち、吸収性コア2には開口3が1つのみ設けられ、当該開口3は、幅方向xの中央部に長手方向yに延びるように設けられることが好ましい。
開口3は、幅方向xの長さが、吸収性コア2の最も幅狭な部分の幅方向xの長さの5%以上となることが好ましく、8%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましく、また30%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。なお、吸収性コア2の最も幅狭な部分とは、吸収性コア2の長手方向yの両端部を除いて最も幅狭となる部分を意味し、例えば、吸収性コア2を長手方向yに5等分したときに、長手方向yの一方側の1/5と他方側の1/5の部分を除いて、幅方向xに最も狭く形成された部分を意味する。開口3の幅はまた、5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、35mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましい。
開口3は、長手方向yの長さが、吸収性コア2の長手方向yの長さの40%以上となることが好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、また90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下がさらに好ましい。なお、開口3は、吸収性コア2の外縁に接しないように設けられることが好ましい。
吸収性コア2が砂時計形に形成される場合は、開口3は、少なくとも砂時計形状のくびれ部に設けられることが好ましい。すなわち、吸収性コア2は長手方向yに一方端部と他方端部とこれらの間の中間部を有し、吸収性コア2の一方端部と他方端部が中間部よりも幅広に形成され、開口3が少なくとも中間部に設けられることが好ましい。開口3は、さらに一方端部および/または他方端部に延在していてもよい。
図2に示すように、吸収体1は、被覆シート4の下側部6の肌面側に、吸収性コア2の開口3と重なる部分に吸水性樹脂8が配されている。このように吸収性コア2の開口3と重なる部分に吸水性樹脂8を配置することで、吸収体1は、吸収性コア2の開口3においても体液の吸収性を有するものとなる。そのため、吸収体全体の吸収容量を高めることができる。
吸収性コア2の開口3において、吸水性樹脂8は、接着剤によって被覆シート4に固定されていることが好ましい。この際、吸水性樹脂8は、接着剤によって吸水や膨潤が阻害されないことが好ましく、このような観点から、被覆シート4には接着剤層が網状に形成され、網状に形成された接着剤層に吸水性樹脂8が固定されていることが好ましい。網状の接着剤層は、カーテンスプレー法、スパイラルコーティング法、オメガコーティング法等により接着剤を塗布することにより形成することができる。接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。
吸収性コア2の開口3に吸水性樹脂8を配する場合、吸水性樹脂は比較的硬い粒子であることから、このような吸収体1を備えた吸収性物品を着用すると、吸収性コア2の開口3に配された吸水性樹脂8がトップシートを介して着用者の肌に強く当たるおそれがある。このように吸水性樹脂がトップシートを介して着用者の肌に強く当たると、着用者が当該吸水性樹脂に対してざらつき感を覚えやすくなり、吸収性物品の着用感が低下しやすくなる。
そこで吸収体1では、吸収性コア2の開口3と重なる部分で被覆シート4の上側部5を複数層に形成している。具体的には、被覆シート4の上側部5は、幅方向xの一方側から幅方向xの中央部に延在する第1上側部5Aと、幅方向xの他方側から幅方向xの中央部に延在する第2上側部5Bとを有し、吸収性コア2の開口3と重なる部分で第1上側部5Aと第2上側部5Bとが重なって形成されている。なお、被覆シート4は吸収性コア2を非肌面側から包むように吸収性コア2の非肌面側と肌面側を覆っており、第1上側部5Aは、被覆シート4の下側部6と吸収性コア2の幅方向xの一方側で接続し、吸収性コア2の幅方向xの一方側から少なくとも幅方向xの中央部(すなわち開口3と重なる部分)まで延在しており、第2上側部5Bは、被覆シート4の下側部6と吸収性コア2の幅方向xの他方側で接続し、吸収性コア2の幅方向xの他方側から少なくとも幅方向xの中央部まで延在している。このように被覆シート4を形成することによって、吸収性コア2の開口3と重なる部分で被覆シート4がクッションの役割を果たし、吸収性コア2の開口3に配された吸水性樹脂8が着用者の肌に強く当たりにくくなる。そのため、吸収性コア2の開口3に吸水性樹脂8を配置した場合でも、吸収体1を備えた吸収性物品の着用感の低下を抑えることができる。
被覆シート4の第1上側部5Aと第2上側部5Bが重なった部分では、第1上側部5Aと第2上側部5Bのどちらが上側(肌面側)に位置していてもよい。図1および図2に示した吸収体1では、第1上側部5Aが第2上側部5Bよりも上側に位置している。第1上側部5Aと第2上側部5Bは、それぞれ単独で吸収性コア2の肌面側を完全に覆わないことが好ましく、第1上側部5Aと第2上側部5Bはそれぞれ、例えば吸収性コア2の肌面側の面積(開口3を含む面積)の70%以下を覆うように設けられることが好ましく、65%以下がより好ましい。
第1上側部5Aと第2上側部5Bは、吸収性コア2の開口3と重なる部分で互いに非接着となっていることが好ましい。吸収性コア2の開口3と重なる部分で第1上側部5Aと第2上側部5Bを互いに非接着とすることで、吸収性コア2の開口3と重なる部分において被覆シート4によるクッション性を高めることができる。
第1上側部5Aと第2上側部5Bは、少なくとも一方が、吸収性コア2の開口3と重なる部分で下側部6に接着されていることが好ましい。吸収性コア2の開口3と重なる部分で被覆シート4の上側部5と下側部6とが互いに接着していれば、被覆シート4が安定して吸収性コア2を包むことができる。この際、上側部5は吸水性樹脂8を介して下側部6と接着していてもよい。なお図面では、吸収体1の構成の理解を容易にするために、開口3において、上側部5と下側部6との間を離して示している。
第1上側部5Aと第2上側部5Bはともに、吸収性コア2の開口3と重なる部分で下側部6に接着されていることが好ましい。この場合、第1上側部5Aと第2上側部5Bのうち下側(非肌面側)に位置する方は、開口3を完全には覆わないこととなる。図2においては、下側に位置する第2上側部5Bが開口3を完全には覆わないことにより、開口3において第2上側部5Bが下側部6と接着されるとともに、第2上側部5Bと開口3とが重ならない部分で第1上側部5Aが下側部6と接着されることとなる。このように第1上側部5Aと第2上側部5Bが下側部6に接着されていれば、第1上側部5Aと第2上側部5Bが安定して吸収性コア2の開口3に存在しやすくなる。また、被覆シート4によって吸収性コア2が安定して覆われて、吸収体1の保形性を高めることができる。
吸収体1は、吸収性コア2の開口3と重なる部分に、第1上側部5Aおよび/または第2上側部5Bが肌面側または非肌面側に折り返された折り返し部が設けられていてもよい。図3には吸収体の幅方向断面図の変形例を示しているが、図3では、第2上側部5Bが幅方向xに対して肌面側に折り返されて折り返し部7が形成されており、折り返し部7が吸収性コア2の開口3と重なる位置にある。このように折り返し部7を設けることにより、吸収性コア2の開口3において、被覆シート4の上側部5の層数(第1上側部5Aと第2上側部5Bを合わせた層数)が3層以上に形成され、被覆シート4の下側部6の肌面側に配された吸水性樹脂8の存在を着用者がより感じにくくなる。なお図面には示していないが、折り返し部7は第1上側部5Aに形成されてもよく、第1上側部5Aおよび/または第2上側部5Bが非肌面側に折り返されて形成されてもよい。被覆シート4によるクッション性を高める観点からは、第1上側部5Aおよび/または第2上側部5Bが肌面側に折り返されて折り返し部7が形成されることが好ましい。
第1上側部5Aの折り返し部7は第1上側部5Aと非接着となっていることが好ましい。同様に、第2上側部5Bの折り返し部7は第2上側部5Bと非接着となっていることが好ましい。このように折り返し部7を形成する折り目を挟んだ一方側と他方側が互いに非接着となっていることにより、折り返し部7によるクッション性を高めることができる。
第1上側部5Aおよび/または第2上側部5Bの折り返し部7は、吸収性コア2の開口3の幅方向xの両側縁よりも幅方向xの内方のみに設けられることが好ましい。すなわち、第1上側部5Aおよび/または第2上側部5Bが幅方向xに折り返されて形成される折り返し部7は、幅方向xに対して、開口3と重なる部分のみに設けられることが好ましい。このように折り返し部7が形成されることにより、折り返し部7が開口3に収まって、折り返し部7が嵩高く形成されていても、折り返し部7によって着用者が違和感を覚えにくくなる。
折り返し部7は、第1上側部5Aと第2上側部5Bのうち、下側(非肌面側)に重ねられる方に形成されることが好ましい。すなわち、図3に示すように、吸収性コア2の開口3と重なる部分で第1上側部5Aが第2上側部5Bの肌面側に重なって形成され、第2上側部5Bが肌面側または非肌面側に折り返されて、折り返し部7が形成されていることが好ましい。このように折り返し部7が形成されていれば、吸収性コア2の開口3で被覆シート4によりクッション性が付与されるようにしつつ、吸収体1の肌面側をすっきりと形成することができる。なお、この場合、第1上側部5Aには折り返し部7が形成されないことが好ましい。
被覆シート4は吸収性コア2と接着剤で接着されていることが好ましい。具体的には、被覆シート4は、吸収性コア2を構成する親水性繊維の集合体と接着剤で接着されていることが好ましい。これにより、被覆シート4が吸収性コア2と強固に接合され、被覆シート4と吸収性コア2との一体性が高まる。この場合もまた、上記に説明したような網状の接着剤層により、被覆シート4と吸収性コア2とが接着されていることが好ましい。接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。
吸収性コア2の開口3に配される吸水性樹脂8は、被覆シート4や吸収性物品のトップシートを介して着用者がざらつきを感じにくいものが好ましい。このような点から、被覆シート4の下側部6の肌面側に配される吸水性樹脂8は安息角が45°以下であることが好ましい。これにより、吸収性コア2の開口3において、吸水性樹脂8が配された部分での平滑性が高まり、着用者が吸水性樹脂によるざらつき感を感じにくくなる。吸水性樹脂の安息角は、より好ましくは35°以下であり、さらに好ましくは30°以下である。吸水性樹脂の安息角は、JIS R 9301−2−2(1999)に準じて、吸水前の吸水性樹脂に対して、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件下で、24時間以上保存した後に測定することにより求める。
被覆シート4の下側部6の肌面側において、吸収性コア2の開口3と重なる部分に配される吸水性樹脂8の量は、例えば、5g/m2以上が好ましく、15g/m2以上がより好ましく、30g/m2以上がさらに好ましく、また300g/m2以下が好ましく、200g/m2以下がより好ましく、150g/m2以下がさらに好ましい。このような量で吸水性樹脂8を吸収性コア2の開口3に配することで、吸収性コア2の開口3において尿等の体液の吸収性を向上させることができるとともに、吸収性コア2の開口3における尿等の体液の拡散性も確保しやすくなる。
被覆シート4の下側部6の肌面側には、吸収性コア2の開口3と重ならない部分にも吸水性樹脂が配されていてもよい。例えば、吸収性コア2の繊維集合体と被覆シート4の下側部6の間にも吸水性樹脂が配されていてもよい。これにより、吸収体1の吸収容量をさらに高めることができる。
次に本発明の吸収性物品について説明する。本発明の吸収性物品は、本発明の吸収体が設けられている点に特徴を有し、本発明の吸収体がトップシートとバックシートの間に配されている。吸収性物品の態様としては、尿パッド(失禁パッドを含む)、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等が示される。本発明の吸収性物品は、上記に説明した吸収体が設けられることにより、尿等の体液の吸収性に優れるとともに、着用感も良好なものとなる。
吸収性物品の形状は特に限定されない。吸収性物品が例えば、尿パッド、生理用ナプキンである場合、吸収性物品の形状としては、長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が示される。
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、左右両側に止着部材が備えられ、当該止着部材により着用時にパンツ型に形成するテープタイプの使い捨ておむつであってもよく、ウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。パンツタイプの使い捨ておむつは、本発明の吸収体がトップシートとバックシートの間に配された吸収性本体が、パンツ形状に形成された外装部材の肌面側に取り付けられたものであってもよい。
トップシートは、吸収体の肌面側に設けられ、液透過性である。トップシートは、吸収性物品の着用の際、着用者の肌に面するように設けられる。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルムを用いてもよい。
バックシートは、吸収体の非肌面側に設けられ、液不透過性である。バックシートは、吸収性物品の着用の際、着用者とは反対側、すなわち外側に面するように設けられる。バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
トップシートやバックシートが不織布から構成される場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
吸収性物品には、吸収体とバックシートとの間に、吸収性コアの開口と重なって保護シートが設けられてもよい。保護シートとしては、トップシートやバックシートに使用可能なシート材料を用いることができ、不織布、織布、編布等から構成されることが好ましい。このように保護シートを設けることにより、吸収性物品をバックシート側から触れた際に、吸収性コアの開口に配された吸水性樹脂のざらつき感を感じにくくなる。また、バックシートがプラスチックフィルムから構成される場合など、被覆シートの下側部に配された吸収性樹脂によってバックシートが損傷することが起こりにくくなる。
保護シートは、吸収性コアの開口を完全に覆うように設けられることが好ましい。吸収体の被覆シートの下側部において、吸収性コアの開口と重ならない部分にも吸水性樹脂が配されている場合は、当該吸水性樹脂が配された領域と重なるように保護シートが設けられることが好ましい。従って、保護シートは、被覆シートの吸水性樹脂が配された領域よりも幅方向に広く形成されていることが好ましい。
保護シートは、吸収体よりも幅方向に狭く形成されていることが好ましい。これにより、保護シートとバックシートによって吸収性物品の非肌面側の全体が厚く形成されることなく、吸収性物品の非肌面側の柔軟性の低下が抑えられる。より好ましくは、保護シートは、吸収性コアよりも幅方向に狭く形成される。
吸収性物品は、肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられることが好ましい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の体液の横漏れが防止される。立ち上がりフラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側に、長手方向に延在するサイドシートを接合し、サイドシートの幅方向内方(立ち上がりフラップが立ち上がったときの上端近傍)に弾性部材を設けることにより形成される。このようにサイドシートと弾性部材とを設けることにより、弾性部材の収縮力によりサイドシートの幅方向内方が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップが形成される。立ち上がりフラップまたはサイドシートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
本発明の吸収性物品について、テープタイプの使い捨ておむつを例に挙げ、図4および図5を参照して説明する。なお、本発明の吸収性物品は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図4および図5には、図1および図2に示した吸収体を備えた吸収性物品を示した。図4は、吸収性物品としてテープタイプの使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図5は、図4に示した吸収性物品のB−B断面図を表す。
吸収性物品11は、トップシート12とバックシート13とこれらの間に設けられた吸収体1とを有する。トップシート12は、着用者の肌に面するように配され、尿等の体液を透過する。トップシート12を透過した体液は、吸収体1に収容される。バックシート13は液不透過性であり、体液が外部へ漏れるのを防ぐ。
吸収体1とバックシート13の間には、吸収性コア2の開口3と重なって保護シート14が設けられている。保護シート14を設けることにより、吸収性物品11をバックシート13側から触れた際に、吸収性コア2の開口3に配された吸水性樹脂8のざらつき感を低減することができる。また、吸収性樹脂8によって吸収体1の非肌面側に微小な凹凸が形成される場合など、保護シート14によってバックシート13が損傷することを防ぐことができる。保護シート14は、被覆シート4に吸水性樹脂8が配された領域よりも幅方向xに広く形成され、かつ吸収体1よりも幅方向xに狭く形成されることが好ましい。
吸収性物品11には、トップシート12の幅方向xの両側に、長手方向yに延在する液不透過性のサイドシート15が設けられることが好ましい。サイドシート15は、トップシート12と接合部18で接合され、接合部18よりも幅方向xの内方部分がトップシート12から起立可能に形成され、接合部18よりも幅方向xの外方部分がバックシート13に重なって設けられている。サイドシート15の幅方向xの内方部分が起立することにより立ち上がりフラップ16が形成され、これにより尿等の横漏れを防止することができる。なお、サイドシート15の幅方向xの内方部分がトップシート12から起立可能に形成されるために、サイドシート15には、接合部18よりも幅方向xの内方部分に長手方向yに延びる起立用弾性部材17が設けられることが好ましい。
吸収性物品11には、後側部(長手方向yの一方部)の左右側端部にファスニングテープ21が取り付けられている。ファスニングテープ21は基材シート22に留め具23が設けられて構成されている。吸収性物品11は、着用者の股間に当てて、ファスニングテープ21の留め具23を吸収性物品11の前側部(長手方向yの他方部)の外側面(図4ではターゲットテープ24)に接合することで、装着することができる。留め具23としては、フック・ループ・ファスナーのフック部材や粘着剤を採用することができる。
吸収性物品11の幅方向xの両側には、長手方向yに延びる脚用弾性部材19が設けらることが好ましい。脚用弾性部材19により、着用者の脚周りにギャザーを形成して脚周りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。
吸収性物品11の長手方向yの端部には、幅方向xに延びるウェスト弾性部材20が設けられることが好ましい。ウェスト弾性部材20により着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、腹部や背部からの尿等の漏れが防止される。