JP6943409B1 - 電炉ダストの処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストかつ簡易な方法により電炉ダストから亜鉛を効率的に回収することができる電炉ダストの処理方法を提供することを目的とする。【解決手段】電炉ダストに粉末状の塩化アンモニウムを混合して略350〜550℃の温度帯で加熱すると、難溶解性のジンクフェライトを含む電炉ダストから易溶解性の反応生成物が生成される。反応生成物をさらに加熱すると主に塩化鉄が揮発した揮発物と、主に酸化鉄や塩化亜鉛からなる溶融物に分離できる。溶融物をさらに水溶液で浸出すると、溶融物に含まれる亜鉛の全量が溶解した浸出液が得られる。係る浸出液を電解法や溶媒抽出法等により処理することで、電炉ダストに含まれる亜鉛成分の大半を効率的に回収することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、電炉ダストの処理方法に関する。詳しくは、低コストかつ簡易な方法により電炉ダストから亜鉛を効率的に回収することができる電炉ダストの処理方法に係るものである。
日本における粗鋼生産量の約3割は、電炉を用いた鉄スクラップの再溶解・精錬によるものであり、鉄スクラップ中に存在する亜鉛メッキ鋼板表面の亜鉛は、溶解中に揮発、再酸化され、酸化亜鉛を含む電炉ダストとして回収されている。日本全体の電炉ダストの発生量は、年間約40万トン以上にも達していると推定され、今後とも増加の傾向にあり、電炉ダストの処理費用は製鉄所の収益の圧迫要因となっている。
鉄スクラップの多くは、廃家電や廃自動車である。廃家電や廃自動車の塗装下地には、亜鉛メッキが施されており、また鉄スクラップの中には、塗料、プラスチック、及び油分等が含まれている。そのため、電炉ダストには、鉛等の重金属、さらには塩化物やダイオキシン類等の有害な有機物も多く含まれている。一方で、電炉ダストには、約20〜30%の鉄と亜鉛とが含まれており、資源として非常に有用なものである。そして、亜鉛形態としてはジンクフェライト(ZnFe)、酸化亜鉛(ZnO)などからなり、いかに効率よく酸化亜鉛と酸化鉄とを分離して、希少資源である亜鉛を回収できるかが重要となる。
従来より、電炉ダストから亜鉛を回収する中間処理方法としては、乾式法と湿式法が提案されている。乾式法で最も用いられているのがウェルツ法であり、ロータリーキルンとよばれる窯を用いて電炉ダストにコークス等の還元剤を添加し、電炉ダストを1100〜1200℃程度の高温下で還元して亜鉛を金属蒸気として除去、回収する方法である。この方法は、高温還元装置等の大がかりな設備を要し、また高温で加熱・還元するため、処理工程で消費するエネルギーも大きいという問題がある。
湿式法は酸、アルカリ、塩化アンモニウム等の水溶液によって電炉ダストから亜鉛を浸出して回収する方法が一般的に採用されている(特許文献1)。しかしながら、前記した通り、電炉ダスト中の亜鉛の多くは酸化亜鉛と酸化鉄との化合物であるジンクフェライトとなっている。ジンクフェライトは難溶解性の化合物であるため、何れの水溶液を用いてもほとんど浸出しない。そのため、湿式法においては亜鉛の回収率が60%程度に留まり、乾式法に比べて亜鉛の回収率が悪い。
特開平2−250928号公報
このように、電炉ダストの処理方法として、一般的に広く普及している乾式法は処理コストが大きいという問題がある一方で、湿式法は亜鉛の回収率に限界があるため普及する機運にはない。そのため、発生した電炉ダストの全量処理は難しく、一定量が化学処理を施した上で埋立処分等されているのが実情である。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、低コストかつ簡易な方法により電炉ダストから亜鉛を効率的に回収することができる電炉ダストの処理方法に係るものである。
前記の目的を達成するために、本発明の電炉ダストの処理方法は、亜鉛、及び鉄を含む電炉ダストに反応剤である粉末状の塩化アンモニウムを混合して混合物を生成する工程と、前記混合物を所定の加熱条件で反応させ、易溶解性の反応生成物を生成する工程と、を備える。
ここで、亜鉛、及び鉄を含む電炉ダストに反応剤を混合した混合物を所定の加熱条件で反応させ、易溶解性の反応生成物を生成する工程を備えることにより、電炉ダストに含まれる亜鉛の一形態であって、特に難溶解性の化合物であるジンクフェライトをはじめとして、各成分を塩化アンモニウムとの反応により易溶解性の化合物とすることができる。
反応剤である粉末状の塩化アンモニウムは、加熱すると熱分解してアンモニウムガスと塩化水素ガスが生成される(NH4Cl→HCl+NH3)。塩化水素ガスの沸点は−85℃と極めて低温であり室温ではガスとして存在する。そして、水溶液は沸点までしか温度が上がらないため塩酸水溶液の温度は100℃程度が限界となる。これに対して、熱分解(NH4Cl→HCl+NH3)で発生する塩化水素ガスの温度は350℃以上となるため高い反応活性がある。従って、沸点の低い塩酸水溶液を反応剤とする従来の浸出処理に比べ、電炉ダストに含まれる様々な金属成分は塩化アンモニウムと迅速に反応し、難溶解性のジンクフェライトについても易溶解性の塩に変換することができる。
反応により得られた反応生成物については、電解法や溶媒抽出法等を用いて処理することで、反応生成物から亜鉛成分を回収することが見込まれる。
また、反応生成物をさらに加熱して揮発物と溶融物に分離する工程を有する場合には、反応生成物に含まれる金属をはじめとする各種成分を、揮発物と溶融物にそれぞれ分離することができる。このうち揮発物については塩化鉄の一部が揮発したものであり、溶融物については塩化亜鉛や酸化鉄から構成される。
さらに溶融物を水溶液で浸出することにより、亜鉛成分は水溶液中に溶解するため、亜鉛成分が溶解された浸出液と、鉄成分からなる固体残渣にそれぞれ固液分離することができる。浸出液をさらに電解法や溶媒抽出法等を用いて処理することで、多くの亜鉛成分を回収することが可能となる。
一方、塩化物は一般に酸化物よりも低温で揮発するため、例えば塩化アンモニウムと反応した塩化鉄が揮発物として発生する。係る揮発物を水溶液で浸出することで、塩化鉄を含有する浸出液を得ることができる。但し、揮発物には塩化アンモニウムと反応した塩化亜鉛も少なからず含有されている。そのため、揮発物を水溶液で浸出した浸出液中には鉄成分に加えて亜鉛成分も含有されており、係る浸出液から鉄成分と亜鉛成分をそれぞれ回収するには、処理コストが大きくなる可能性を考慮する必要がある。
また、反応生成物を生成する工程は、混合物の温度が略350〜550℃となる加熱条件で加熱する場合には、反応生成物中の塩化鉄の揮発を促進して、反応生成物について塩化鉄を含有する揮発物と、塩化亜鉛や酸化鉄を含有する溶融物に分離することができる。
このとき、加熱条件が350℃未満の温度領域である場合には、反応剤である塩化アンモニウムによる反応が促進されず、反応生成物が揮発物と溶融物に分離することができないため、その後の工程における亜鉛の回収率が悪化する虞がある。
また、加熱条件として550℃よりも高い温度領域である場合には、溶融物の成分のうち塩化亜鉛の蒸気圧が高まることにより、亜鉛成分の多くが揮発する。このとき、反応生成物から分離した揮発物が、塩化鉄に加えて塩化亜鉛も所定量含有することになる。一般的に塩化鉄と塩化亜鉛の混合物質から亜鉛成分と鉄成分をそれぞれ分離するには多大な処理コストを要するため現実的でないことから、電炉ダストからの亜鉛成分の回収率が悪化する。
また、塩化アンモニウムは、電炉ダストに対する重量比で略1倍以上を混合する場合には、電炉ダストに含まれる成分の塩化アンモニウムによる反応を促進し亜鉛成分を効率的に回収することができる。ここで、混合する塩化アンモニウム量の上限値は特に限定されるものではなく、電炉ダストに対する重量比で略1倍以上の範囲で適宜調整することができる。
なお、混合する塩化アンモニウムとして、電炉ダストに対する重量比で1倍未満である場合には、電炉ダストに含まれる成分の塩化アンモニウムによる反応が十分に進まない可能性がある。
また、混合物を生成する工程は、反応生成物を生成する工程において再析出した塩化アンモニウムを回収し、回収した塩化アンモニウムを反応剤として再利用する工程を含む場合には、混合物を加熱した際に、反応剤である塩化アンモニウムの一部が揮発して析出する析出物を回収することで、該析出物を混合物の反応に再利用することができるため、反応剤の使用量を低減することができる。
また、電炉ダストに含まれる鉄のうち、揮発物に分配される鉄成分の割合が略15〜25%、溶融物に分配される鉄成分の割合が略75〜85%の範囲となるように塩化アンモニウムによる反応を行うことで、電炉ダストに含まれる鉄成分の多くは、溶融物を水溶液で浸出させた後の固体残渣に含まれるため、固体残渣から多くの鉄成分を回収することができる。
また、電炉ダストに含まれる亜鉛のうち、揮発物に分配される亜鉛成分の割合が略5〜15%、溶融物に分配される亜鉛成分の割合が略85〜95%の範囲となるように塩化アンモニウムによる反応を行うことで、電炉ダストに含まれる亜鉛成分の多くは、溶融物を水溶液で浸出させた後の浸出液に含まれるため、浸出液を電解法や溶媒抽出法等を用いて処理することで、多くの亜鉛成分を回収することができる。
また、溶融物に分配される鉄成分のうち、固液分離後の固体残渣に分配される鉄成分の割合が略85〜99%以上、浸出液に分配される鉄成分の割合が略1〜15%未満の範囲である場合には、水溶液による浸出で得られた固体残渣を回収することで、溶融物に分配される鉄成分の大部分を回収することができる。
また、溶融物に分配される亜鉛成分のうち、固液分離後の固体残渣に分配される亜鉛成分の割合が略1〜5%未満、浸出液に分配される亜鉛成分の割合が略95〜99%以上の範囲である場合には、例えば浸出液を電解法や溶媒抽出法等を用いて処理することで、溶融物に分配される亜鉛成分の大部分を回収することができる。
本発明に係る電炉ダストの処理方法は、低コストかつ簡易な方法により電炉ダストから亜鉛を効率的に回収することができるものとなっている。
本発明の実施形態に係る電炉ダストの処理方法の工程図である。 実施例で採用した試験装置の概略図である。 混合物の反応前の状態を示すサンプル1の外観写真である。 液体状の反応生成物の状態を示すサンプル1の外観写真である。 反応生成物の一部が揮発し、揮発物と溶融物に分離した状態を示すサンプル1の外観写真である。 サンプル2の温度に対する揮発物中の亜鉛成分と鉄成分の回収率の関係を示すグラフである。 サンプル2の温度に対する溶融物中の亜鉛成分と鉄成分の回収率の関係を示すグラフである。 サンプル2の温度に対する混合物の反応時間の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る電炉ダストの処理方法について図面等を用いて詳細に説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明の実施形態に係る電炉ダストの処理方法の工程図を示す。電炉ダストの処理方法は、ジンクフェライト(ZnFe)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe、或いは酸化状態よってはFeOやFe)を主成分とする電炉ダストに反応剤としての粉末状の塩化アンモニウムを混合して混合物を生成し(工程1)、混合物を所定の加熱条件で反応させて易溶解性の反応生成物を生成し(工程2)、反応生成物をさらに加熱して揮発物と溶融物に分離し(工程3)、工程3で生成した溶融物を水溶液で浸出して固体残渣と浸出液に固液分離する工程(工程4)から主に構成される。
工程2において混合物を加熱する温度条件としては、混合物の温度が略350℃〜550℃の範囲となるように加熱する。混合物中の塩化アンモニウム(NH4Cl)は加熱により略338℃以上の温度になると、(式1)の熱分解によってアンモニウムガス(NH)と塩化水素ガス(HCl)が生成される。
NHCl→NH↑+HCl↑ (式1)
ここで、従来技術のように塩酸水溶液(HCl)浸出の場合は、沸点の制約により120℃程度までしか昇温することはできないが、この反応によって生成するHClガスは338℃以上であるため、塩酸水溶液による反応に比べると反応性が非常に高くなる。
また、工程2の反応により生成される反応生成物は、様々な金属酸化物と迅速に反応し、例えば塩化マグネシウムアンモニウム(NHMgCl)や塩化鉄アンモニウム(NHFeCl)などの易溶解性の塩を生成する。難溶解性のジンクフェライトも例外ではなく、亜鉛と鉄の易溶解性の塩に変換することが可能である。
さらに、塩は一般に酸化物より低温で揮発するため、反応生成物を更に加熱することによって、工程3に示すように、反応生成物から塩化鉄を含む揮発物と、塩化亜鉛や酸化鉄からなる溶融物とに分離することができる。なお、従来技術における塩化揮発では、約900℃以上の加熱が必要であるが、本発明の反応剤にはアンモニウム(NH)が含まれているため、さらに揮発温度の低い塩や、還元力によって価数の異なる金属の塩を生成することも可能となる。
混合物の加熱条件としては、前記の通り混合物が略350℃〜550℃の温度領域となる範囲が適切となるが、混合物の温度が略350℃未満の温領領域となる場合には、(式1)の熱分解が生じないため、塩化アンモニウムによる反応が促進されない。そのため工程3において反応生成物を揮発物と溶融物に分離することができないため、反応生成物からの亜鉛成分の回収率が悪化する。
また、加熱条件として混合物が550℃よりも高い温度領域である場合には、溶融物の成分のうち塩化亜鉛の蒸気圧が高まることにより、その大半が揮発物となる。このとき、反応生成物から分離した揮発物が、塩化鉄に加えて塩化亜鉛も所定量含有することになる。一般的に塩化鉄と塩化亜鉛の混合物質から亜鉛成分を抽出するには、不純物である鉄成分を除去する必要があるため処理コストが増大することが懸念される。
反応に使用する塩化アンモニウムの量は、電炉ダストに対する重量比で略1倍以上を目安として使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。但し、塩化アンモニウムの量が電炉ダストの重量比で略1倍未満となる場合には塩化アンモニウムとの反応が十分に進まず、反応生成物からの亜鉛成分の回収率が悪化する。
なお、発明者らが検討した結果では、反応に使用する塩化アンモニウムの量として電炉ダストに対する重量比で3倍以上である場合には、最終的に回収される亜鉛成分の回収率に大きな差はみられなかった。従って、使用する塩化アンモニウムとしては、電炉ダストの重量比で1倍以上であり、より好ましくは3倍以上を使用するとよい。
溶融物については所定量の水溶液で浸出することで、水溶液中に亜鉛成分が溶解した浸出液と鉄成分からなる固体残渣に固液分離される。固体残渣は製鉄原料として利用することができ、浸出液については電解法や溶媒抽出法等により処理することで、浸出液中の亜鉛成分を回収することができる。
なお、揮発物についても同様に所定量の水溶液で浸出することで、水溶液中に鉄成分が溶解した浸出液を得ることができる。但し、揮発物には反応生成物から揮発した亜鉛成分が少なからず含有されているため、浸出液には鉄成分に加えて亜鉛成分も含有された状態となる。亜鉛成分と鉄成分が混在した浸出液から、亜鉛成分と鉄成分をそれぞれ分離抽出するには多くの処理コストを伴うため、その後のリサイクルコストを考慮すると、必ずしも揮発物については水溶液により浸出処理する必要はない。
次に、本発明の実施例について説明する。実施例において、実験に供したサンプルとして、電炉ダストの成分中、特に水溶液に対して難溶解性を示すジンクフェライト(重量比:Fe 46.3%、Zn27.1%)と粉末状の塩化アンモニウムを混合した混合物(サンプル1)、電炉ダストと粉末状の塩化アンモニウムを混合した混合物(サンプル2)をそれぞれ準備した。
<混合物の生成>
サンプル1についてはジンクフェライト0.02gに対して粉末状の塩化アンモニウム3.00gを試験管に入れて混合物とした。また、サンプル2については電炉ダスト0.10gに対して粉末状の塩化アンモニウム1.00gを試験管に入れて混合物とした。なお、図3はサンプル1の混合物を試験管に入れた状態を示す外観写真である。
<反応生成物の生成>
図2に示すように、試験管をセラミクス電気管状炉に略4〜5°程度傾斜させた状態で装着し、試験管内に空気を送りこみながら混合物が堆積された試験管の底部を略400℃の温度で加熱した。図4はサンプル1の加熱開始から約20分経過後の様子を示す外観写真である。加熱によりジンクフェライトは塩化アンモニウムと反応を開始し、易溶解性の赤褐色の液状からなる反応生成物が生成された。
液状の反応生成物中の亜鉛成分は水溶液に対して高い溶解性を示すため、この時点での反応生成物を水溶液により浸出することで浸出液から亜鉛成分を回収することも可能である。但し、この場合、反応生成物中の鉄成分についても塩と結びつくことで水溶液に対して易溶解性となっている。従って、液状の反応生成物から亜鉛成分を回収する場合には、浸出液から不純物としての鉄成分を除去する必要があることを考慮する必要がある。
<揮発物と溶融物の分離>
図5は、サンプル1について図4の状態からさらに加熱を継続した状態を示す外観写真である。液状の反応生成物の加熱を継続すると、黄色の気体が発生し試験管の壁面に付着物が生じた。これは反応生成物中の物質のうち、沸点が低い塩化鉄が揮発して壁面に付着したものと考えられる。
一方、同じく図5に示す通り、試験管の底部に残る反応生成物は液状の塩化亜鉛や酸化鉄が混在した溶融物となった。溶融物は、塩化鉄が揮発し始める時点では赤褐色から徐々に色が薄くなり、加熱終了時点においては懸濁物がわずかに含まれる透明色となった。
<揮発物と溶融物の浸出>
揮発物と溶融物のそれぞれについて水溶液で浸出し、揮発物からは浸出液を、溶融物からは浸出液と固体残渣をそれぞれ得た。
<浸出液と固体残渣の成分分析>
サンプル1について、揮発物を浸出して得た浸出液、及び溶融物を浸出して得た浸出液と固体残渣のそれぞれについて亜鉛成分、及び鉄成分の濃度をICP発光分光装置で測定した結果を表1に示す。
<表1>
Figure 0006943409
表1に示す通り、揮発物と溶融物を合わせると、亜鉛成分のほぼ全量が易溶解性の化合物に変化したことがわかる。また、鉄の大部分は塩化鉄として揮発するか、或いは酸化鉄として溶融物中に固体残渣となって沈殿していることがわかる。
従って、揮発物と溶融物の両方を一括して水溶液で浸出することで、亜鉛成分の回収率はほぼ100%となるが、この場合、揮発物に含まれる鉄成分が不純物として浸出液に残存する。一方で、溶融物のみを水溶液で浸出すれば亜鉛成分の回収率は93.4%となるものの、不純物としての鉄成分(0.3%)を殆ど残存しないため、その後の亜鉛回収のためのリサイクル処理が容易になると考えられる。
次に、揮発物、及び溶融物からの鉄成分と亜鉛成分の回収率の温度依存について検討した結果を図6乃至図8に示す。なお、図6乃至図8はサンプル2の結果を示す。まず、塩化鉄は沸点が略350℃と低いため、反応生成物の温度が高くなるほど塩化鉄が揮発し易くなる。そのため、揮発物については、400℃を超えた時点から鉄成分の回収率が徐々に上昇し、500℃を超えると鉄成分の回収率が大幅に上昇することが確認できる。
一方、亜鉛成分については、塩化亜鉛の融点が略270℃と低いものの、沸点が略760℃と高いため、反応生成物の温度領域として略500℃未満の場合には、揮発物から回収される亜鉛成分は微量となる。
但し、反応生成物の温度が500℃を超えると、亜鉛成分の一部である塩化亜鉛の揮発がはじまり、揮発物に含まれる亜鉛成分の濃度が高まる。なお、揮発物については、水溶液浸出により全量が浸出液として回収されるため、係る浸出液から亜鉛成分を回収するためには不純物である鉄成分を取り除く必要があり、処理コストが増大する虞がある。
図7に示す通り、溶融物については、反応生成物の温度が略400℃〜500℃の範囲であれば塩化亜鉛の揮発が抑制され、平均すると80%程度の亜鉛成分の回収が可能となる。なお、溶融物に含まれる鉄成分の大部分は酸化鉄として存在するが、その多くは水溶液による浸出で固体残渣として回収される。
また、図8は反応生成物の温度に対する反応時間の関係を示すグラフである。図8によれば、反応生成物の温度として500℃の場合には、400℃のときに比べると、その反応時間は略4分の1程度となる。従って、反応生成物の温度が略500℃となるように温度調整することにより、短時間での反応により亜鉛成分の大部分を回収することが可能となる。
なお、以上の説明では、工程1〜工程4を備える電炉ダストの処理方法について主に説明したが、必ずしも工程1から工程4の全てを備える必要はない。例えば、工程2までの処理により、反応生成物の揮発前の状態であって、ジンクフェライトをはじめとする難溶解性物質を易溶解性物質に変換した反応生成物を水溶液で溶解し、溶解中の亜鉛成分と鉄成分を所定の回収方法で回収することも可能である。
以上、本発明に係る電炉ダストの処理方法は、低コストかつ簡易な方法により電炉ダストから亜鉛を効率的に回収することができるものとなっている。

Claims (7)

  1. 亜鉛、及び鉄を含む電炉ダストに反応剤である粉末状の塩化アンモニウムを混合して混合物を生成する工程と、
    前記混合物を所定の加熱条件で反応させ、易溶解性の反応生成物を生成する工程と、を備える
    電炉ダストの処理方法。
  2. 前記反応生成物をさらに加熱して揮発物と溶融物に分離する工程と、
    前記溶融物を水溶液で浸出し、浸出液と固体残渣に固液分離する工程と、を備える
    請求項1に記載の電炉ダストの処理方法。
  3. 前記反応生成物を生成する工程は、前記混合物の温度が略350〜550℃となる加熱条件で加熱する
    請求項1または請求項2に記載の電炉ダストの処理方法。
  4. 前記塩化アンモニウムは、前記電炉ダストに対する重量比で略1倍以上を混合する
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電炉ダストの処理方法。
  5. 前記混合物を生成する工程は、
    前記反応生成物を生成する工程において再析出した塩化アンモニウムを回収し、回収した該塩化アンモニウムを前記反応剤として再利用する工程を含む
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載の電炉ダストの処理方法。
  6. 前記電炉ダストに含まれる鉄のうち、前記揮発物に分配される鉄成分の割合が略15〜25%、前記溶融物に分配される鉄成分の割合が略75〜85%の範囲であり、
    前記電炉ダストに含まれる亜鉛のうち、前記揮発物に分配される亜鉛成分の割合が略5〜15%、前記溶融物に分配される亜鉛成分の割合が略85〜95%の範囲である
    請求項2または請求項2を引用する請求項3から請求項5の何れか一項に記載の電炉ダストの処理方法。
  7. 前記溶融物に分配される鉄成分のうち、固液分離後の前記固体残渣に分配される鉄成分の割合が略85〜99%以上、前記浸出液に分配される鉄成分の割合が略1〜15%未満の範囲であり、
    前記溶融物に分配される亜鉛成分のうち、固液分離後の前記固体残渣に分配される亜鉛成分の割合が略1〜5%未満、前記浸出液に分配される亜鉛成分の割合が略95〜99%以上の範囲である
    請求項2を引用する請求項6に記載の電炉ダストの処理方法。
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