JP6941831B2 - ベーマイト複合体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光特性を有するベーマイト複合体及びその製造方法に関し、詳細には、ベーマイトの層間にモノエタノールアミンから誘導される有機化合物がインターカレートし、可視領域で蛍光特性を有するベーマイト複合体及びその製造方法に関する。
ベーマイトの層間に有機化合物がインターカレートするベーマイト複合体は、ベーマイトの特性の他、ベーマイトとは異なる特性を有し、新規かつ優位な用途を期待できることがある。従来、このようなベーマイト複合体についての開示がある。すなわち、特許文献1には、有機化合物がインターカレートした平板状ベーマイト及びb軸方向の層間が剥離した平板状ベーマイトの製造方法の開示がある。非特許文献1には、種々の有機化合物と水酸化アルミニウム(ギブサイト)のソルボサーマル反応により、有機化合物がインターカレートしたベーマイトの生成とその反応機構についての開示がある。非特許文献2には、種々の化合物と水酸化アルミニウム(ギブサイト)のソルボサーマル反応により、有機化合物がインターカレートしたベーマイトの生成とその反応機構についての開示があり、その中に未反応の出発原料を含むモノエタノールアミンをインターカレートしたベーマイトの開示がある。非特許文献3には、金属アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、水酸化アルミニウム(ギブサイト)とアルコール、グリコール、アミン化合物のソルボサーマル反応により、有機化合物がインターカレートしたベーマイトの生成とその構造、反応機構についての開示があり、その中にモノエタノールアミンとアルミニウムイソプロポキシドから均一な溶液が得られることが開示されている。非特許文献4には、ナノベルト状のベーマイトの蛍光特性が議論され、230nmの励起波長で298nmの蛍光波長が得られることが開示されている。
特許第4423352号公報
日本化学会誌,1991,(10),p1339~p1345 Clays and Clay Materials,1991, (39), p151~157 Chemistry of Material,2000,(12),p55~61 Journal of Crystal Growth,2005,(285)、p555~560
しかし、上記の先行技術文献には、ベーマイトの層間にモノエタノールアミンから誘導される有機化合物がインターカレートしたベーマイト複合体についての開示がない。また、上記の先行技術文献には、ベーマイトが紫外領域の励起波長で紫外領域において蛍光を発することについての開示はあるが、紫外領域の励起波長で可視領域の紫〜青で蛍光を発する蛍光特性についての開示はない。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、ベーマイトの層間にモノエタノールアミンから誘導される有機化合物がインターカレートし、ベーマイトとは異なる蛍光特性を有する新規なベーマイト複合体及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために本発明者等は検討を重ねて本発明に想到した。
すなわち、本発明は、ベーマイトの層間にモノエタノールアミンから誘導されるカルバメート化されたモノエタノールアミン及び/又はプロトン化されたモノエタノールアミンがインターカレートし、可視領域での蛍光特性を有するベーマイト複合体に関する
本発明は、上記に記載のベーマイト複合体の製造方法であって、ソルボサーマル反応を用いて水酸化アルミニウムゲルと反応溶媒のモノエタノールアミンとからなる懸濁液を100℃〜200℃の温度範囲で加熱するベーマイト複合体の製造方法に関する
本発明のベーマイト複合体は、可視領域での蛍光特性を有するので、塗料の希土類フリーの蛍光材料の他様々な用途に有用である。ベーマイト複合体のコロイド溶液は、紙、繊維、鉄鋼、鋳造、耐火物、触媒バインダー、インクジェットプリンター用紙、有機-無機コンポジット材料、ハードコート剤等への使用が期待される。
本発明のベーマイト複合体の製造方法は、従来のベーマイトに有機化合物をインターカレートさせる方法に比べて低い温度で製造できるので、経済性があり、また、効率的な製造を行える。
実施例1及び比較例1のXRDパターンである。 実施例1のIRスペクトルである。 実施例1の13C-NMRスペクトルである。 実施例1のTG-DTAである。 実施例1の蛍光スペクトルである。 実施例1のTEM像である。 実施例1の水酸化アルミニウムゲルのXRDパターンである。 実施例2〜実施例8のXRDパターンである。 実施例2〜実施例4のIRスペクトルである。 実施例2〜実施例8のDTAである。 実施例1〜実施例8のベーマイト複合体を模式的に示す図である。 比較例2〜比較例8のXRDパターンである。 比較例1〜比較例5のIRスペクトルである。 比較例1〜比較例8のDTAである。
本発明のベーマイト複合体は、アルミニウム源を反応溶媒の存在下、ソルボサーマル反応により得ることができる。
アルミニウム源は、水酸化アルミニウムゲルが好適である。水酸化アルミニウムゲルは、種々の方法により製造することができる。例えば、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等の水溶液に二酸化炭素を吹き込んで中和して析出させる方法や前記水溶液を酸で中和して析出させる方法がある。水酸化アルミニウムや酸化アルミニウムを水酸化ナトリウム等のアルカリ塩で溶解した塩基性の水溶液に二酸化炭素を吹き込んで中和して析出させる方法や前記水溶液を酸で中和して析出させる方法がある。また、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩からなる酸性の水溶液を水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア等の塩基性の水溶液で中和する方法がある。その他、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法等により得ることができる。好ましくはアルミン酸ナトリウムの水溶液に二酸化炭素を吹き込んで中和して析出させる方法である。結晶性の水酸化アルミニウム(ギブサイト)、擬ベーマイト、アルミニウムアルコキシドのアルミニウム源を出発原料にソルボサーマル反応させた場合、モノエタノールアミンから誘導される有機化合物がインターカレートしたベーマイト複合体を得ることができない。
ソルボサーマル反応に用いる反応溶媒は、直鎖で炭素数が2個のモノエタノールアミン(2−アミノエタノール)が好適である。炭素数が3個を超えるアミノアルコール、例えばアミノプロパノールや2価アルコール、例えばエチレングリコールはいずれもベーマイトの層間にモノエタノールアミンから誘導される有機化合物がインターカレートしない。
ソルボサーマル反応の反応温度は、100℃〜200℃が好ましい。反応温度が100℃より低いとモノエタノールアミンから誘導される有機化合物がベーマイトにインターカレートしない。反応温度が200℃より高いとエネルギーの無駄になる。ソルボサーマル反応の反応時間は、100℃〜120℃未満の場合、10時間〜60時間が好ましい。120℃〜200℃未満の場合、6時間〜60時間が好ましい。200℃の場合、2時間〜10時間が好ましい。反応時間が下限より短いとベーマイトの層間にモノエタノールアミンから誘導される有機化合物がインターカレートしない。また、上限より長いとエネルギーの無駄になる。
モノエタノールアミンから誘導される有機化合物は、カルバメート化されたモノエタノールアミン、プロトン化されたモノエタノールアミンが挙げられる。カルバメート化されたモノエタノールアミンは、アミノ基の窒素原子に水素原子が脱離したカルボキシル基が結合した化合物である。また、プロトン化されたモノエタノールアミンは、アミノ基の窒素原子にプロトンが結合した化合物である。その他のモノエタノールアミンから誘導される有機化合物は、ギ酸、アンモニア、ホルムアルデヒド、ホルムアミド、酢酸、ビニルアルコール、アセトアルデヒド、グリシン、2−オキサゾリジノン等が挙げられる。これらの化合物が単独でインターカレートすることも、あるいは2以上がインターカレートすることもある。
本発明のベーマイト複合体の製造方法によれば、ソルボサーマル反応で蛍光特性を有するベーマイト複合体からなるコロイド溶液が生成する。得られたコロイド溶液は、水を加えることにより凝集体を形成する。この凝集体を遠心分離、ろ過分離し、さらに水、アルコール等で洗浄し、乾燥することにより蛍光特性を有する粉状のベーマイト複合体を得ることができる。
次いで、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔水酸化アルミニウムグルの合成〕
1Lガラスビーカーに500mLの蒸留水と40gのアルミン酸ナトリウム(関東化学社製)を加え、プロペラ式の撹拌機を使用して液色が透明になるまでよく撹拌した。調製したアルミン酸ナトリウム水溶液の出発温度を5℃〜10℃に設定した。このアルミン酸ナトリウム水溶液を撹拌しながら、二酸化炭素ガスをlL/minで吹き込んだ。アルミン酸ナトリウム水溶液のpHが8.0以下となった時を反応の終点とし、直ちに二酸化炭素ガスの吹き込みを停止した。反応後に得られた白色の懸濁液をブフナーロートでろ過し、ろ液の電気伝導度が20 mS/m以下となるまで蒸留水で通水洗浄し、さらに工業用アルコール(米山化学社製)を使用して通媒した。得られたろ過物をバットに移し、40℃に設定した定温乾燥機に一晩静置して乾燥した。図7に水酸化アルミニウムゲルのXRDパターンを示す。
〔実施例1〕
(1)以下の各実施例及び各比較例において、他のアルミニウム源について特段の記載がない限り、アルミニウム源は水酸化アルミニウムゲルを用いる。
(2)上記で得られた水酸化アルミニウムゲル1.0gと反応溶媒のモノエタノールアミン(2-アミノエタノール(関東化学社製))20gをポリテトラフルオロエチレン製のサンプル容器内に懸濁させた。
(3)このサンプル容器をステンレス製の耐圧容器に格納し密栓した。
(4)調製した懸濁液は、マグネチックスターラーを使用して撹拌しながら120℃で6時間加熱して反応させた。
(5)反応後、耐圧容器を水に浸して急冷させ、コロイド溶液を得た。
(6)このコロイド溶液のゲルの全量をビーカーに移し、20gの蒸留水を加えて一晩撹拌することで、凝集体を形成させた。
(7)この凝集体を固液分離し、蒸留水及び工業用アルコール(米山化学社製)を用いて洗浄した。
(8)得られた固形分は、定温乾燥機を用いて40℃で一晩乾燥させた。
(9)乾燥後の試料を乳鉢で粉砕し、粉状の生成物を得た。得られた生成物について、X線回析パターン(XRDパターン)、赤外線吸収スペクトル、13C-NMRスペクトル、TG-DTA、蛍光スペクトル及び比表面積の測定を行った。
図1に実施例1のXRDパターンを示す。実施例1は、有機化合物をインターカレートしたベーマイト複合体の構造であることが確認できた。また、XRDパターンから算出された生成物の基底間隔は1.2nmで、結晶子径は4nmであった。
図2に実施例1のIRスペクトルを示す。1563cm-1、1500cm-1、1322cm-1の吸収帯にカルバメート化されたモノエタノールアミンに由来する吸収帯が、2605cm-1、2486cm-1、1027cm-1にプロトン化されたモノエタノールアミンに由来する吸収帯が確認できた。 770cm-1、615cm-1、490cm-1の吸収帯はベーマイトの構造に由来する。
図3に実施例1の13C-NMRスペクトルを示す。43.3ppm、60.3ppmにカルバメート化されたモノエタノールアミンとプロトン化されたモノエタノールアミンのシグナルが重なって検出された。また、165.0ppmにカルバメート化されたモノエタノールアミンのCOO-に由来するシグナルが検出された。
図4に実施例1のTG-DTAを示す。示差熱において、238℃、305℃の二箇所に発熱のピークが検出された。カルバメート化されたモノエタノールアミンとプロトン化されたモノエタノールアミンに由来するものである。
図5に実施例1の蛍光スペクトルを示す。360nmの励起光によって、420nmを中心に蛍光バンドが確認できた。
図6に実施例1のTEM像を示す。シート状の粒子が凝集している様子が確認できた。
矢印で示した丸で囲った部分がひとつの粒子と考えられる。
実施例1の生成物の比表面積は197m2/gであった。また、実施例1のコロイド溶液はレーザーの光路がみられ、チンダル現象が確認できた。
以上の結果から、実施例1で得られた生成物は、ベーマイトの層間にモノエタノールアミンから誘導される有機化合物のカルバメート化されたモノエタノールアミン及びプロトン化されたモノエタノールアミンがインターカレートしたベーマイト複合体と同定された。また、実施例1の生成物の基底間隔、結晶子径及び比表面積のデータからベーマイト複合体はナノサイズであった。
〔実施例2〕
実施例1の(4)の反応温度を150℃とした以外は、実施例1と同様に行った。実施例1と同様に(5)でコロイド溶液を得た。また、(9)で実施例1と同様に粉状の生成物を得た。以下の実施例3〜実施例8においても同様で、(5)でコロイド溶液を得、(9)で粉状の生成物を得た。
〔実施例3〕
実施例1の(4)の反応温度を200℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
〔実施例4〕
実施例1の(4)の反応時間を13時間とした以外は、実施例1と同様に行った。
〔実施例5〕
実施例1の(4)の反応時間を60時間とした以外は、実施例1と同様に行った。
〔実施例6〕
実施例1の(4)の反応温度を100℃とし、反応時間を60時間とした以外は、実施例1と同様に行った。
〔実施例7〕
実施例1の(4)の反応温度を200℃とし、反応時間を2時間とした以外は、実施例1と同様に行った。
〔実施例8〕
実施例1の(4)の反応温度を200℃とし、反応時間を4時間とした以外は、実施例1と同様に行った。
図8に実施例1と同様に測定した実施例2〜実施例8のXRDパターンを示す。XRDパターンから算出された生成物の基底間隔は、実施例2〜実施例5、実施例7〜実施例8が1.2nmで、実施例6が1.1nmであった。また、結晶子径は、実施例2〜実施例6が5nmで、実施例7と実施例8が6nmであった。実施例2〜実施例8は、実施例1と同様のモノエタノールアミンから誘導される有機化合物をインターカレートしたベーマイト複合体に特有のXRDパターンを示している。図9に実施例1と同様に測定した実施例2〜実施例4のIRスペクトルを示す。実施例2〜実施例4のIRスペクトルは、実施例1と同様にカルバメート化されたモノエタノールアミンとプロトン化されたモノエタノールアミンの吸収帯が検出された。図10に実施例1と同様に測定した実施例2〜実施例8のDTAを示す。示差熱において、カルバメート化されたモノエタノールアミンとプロトン化されたモノエタノールアミンに由来する発熱のピークが検出された。また、比表面積は、実施例2が261m2/g、実施例3が476m2/g、実施例4が203m2/g、実施例5が206m2/g、実施例7が260m2/g、実施例8が309m2/gであった。実施例2〜実施例8の生成物の蛍光スペクトルは、360nmの励起光による420nmを中心とする蛍光バンドが確認できた。
以上の結果から、実施例2〜実施例8で得られた生成物は、ベーマイトの層間にモノエタノールアミンから誘導される有機化合物のカルバメート化されたモノエタノールアミン及びプロトン化されたモノエタノールアミンがインターカレートしたベーマイト複合体と同定された。また、実施例2〜実施例8の生成物の基底間隔、結晶子径及び比表面積からベーマイト複合体はナノサイズであった。本発明のベーマイト複合体は、カルバメート化されたモノエタノールアミンのOHとベーマイトのOHが脱水して結合し、またプロトン化されたモノエタノールアミンのOHとベーマイトのOHが脱水して結合することにより、ベーマイトの層間にインターカレートする。図11にベーマイト複合体の模式的な図を示す。
〔比較例1〕
実施例1の(4)の反応温度を100℃とした以外は、実施例1と同様に行った。(5)で懸濁液を得、(9)で粉状の生成物を得た。
〔比較例2〕
実施例1の(4)の反応温度を120℃として、反応時間を2時間とした以外は、実施例1と同様に行った。(5)で懸濁液を得、(9)で粉状の生成物を得た。
〔比較例3〕
アルミニウム源を実施例1の(2)の水酸化アルミニウムゲルに代えて水酸化アルミニウム粒子(BF013、日本軽金属社製)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。(5)で懸濁液を得、(9)で粉状の生成物を得た。
〔比較例4〕
アルミニウム源を実施例1の(2)の水酸化アルミニウムゲルに代えて擬ベーマイト粒子(AD-220T、富田製薬社製)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。(5)で懸濁液を得、(9)で粉状の生成物を得た。
〔比較例5〕
アルミニウム源を実施例1の(2)の水酸化アルミニウムゲルに代えてアルミニウムイソプロポキシド(関東化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様に行つた。(5)で溶液を得、(9)で粉状の生成物を得た。
〔比較例6〕
アルミニウム源を実施例1の(2)の水酸化アルミニウムゲルに代えてアルミニウムイソプロポキシド(関東化学社製)を用い、実施例1の(4)の反応温度を200℃とした以外は、実施例1と同様に行つた。(5)でゲル状物を得、(9)で粉状の生成物を得た。
〔比較例7〕
実施例1の(2)の反応溶媒をモノエタノールアミンに代えてエチレングリコール(関東化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様に行つた。(5)で懸濁液を得、(9)で粉状の生成物を得た。
〔比較例8〕
実施例1の(2)の反応溶媒をモノエタノールアミンに代えて3-アミノプロパノール(関東化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様に行つた。(5)で懸濁液を得、(9)で粉状の生成物を得た。
図1に比較例1のXRDパターンを示す。比較例1は、ベーマイト複合体の構造が確認できず、アルミニウム化合物が確認できた。ここで、アルミニウム化合物とは、アルミニウムを含む化合物であるが、具体的に同定できない化合物をいう。図12に比較例2〜比較例8のXRDパターンを示す。いずれも実施例1とは異なるXRDパターンを示している。比較例2、比較例5及び比較例6は、比較例1と同様のアルミニウム化合物の構造が確認できた。比較例3は、水酸化アルミニウムの構造を確認できた。比較例4と比較例8は、擬ベーマイトの構造を確認できた。比較例7は出発物質の水酸化アルミニウムゲルと同一のパターンを示すので、水酸化アルミニウムゲルの構造と確認できた。図13に比較例1〜比較例5のIRスペクトルを示す。比較例1、比較例2及び比較例5は、共通の吸収帯を有し、アルミニウム化合物が確認できた。比較例3は、水酸化アルミニウムの吸収帯を有し、水酸化アルミニウムが確認できた。比較例4は、擬ベーマイトの吸収帯を有し、擬ベーマイトが確認できた。図14に比較例1〜比較例8のDTAを示す。いずれの比較例においても、カルバメート化されたモノエタノールアミンとプロトン化されたモノエタノールアミンに由来する示差熱の発熱のピークが検出されなかった。以上から、比較例1〜比較例8の生成物は、いずれもベーマイトの層間にモノエタノールアミンから誘導される有機化合物のカルバメート化されたモノエタノールアミン及びプロトン化されたモノエタノールアミンがインターカレートしたベーマイト複合体ではなかった。
〔測定方法〕
以下に上記の実施例及び比較例における生成物の各種の測定方法について記載する。
(1)X線回析パターンの測定と結晶子径の算出
BRUKER AXS社製のX線回折測定装置D2 Phaser用い、測定条件を管電圧30kV、管電流10mAに設定し、X線回析パターンの測定を行った。得られた回折パターンより、測定物の結晶相を同定した。結晶子径の算出には、シェラーの式(D=K/(β cosθ))を用い、020面の回折パターンの半値幅を適用した。ここで、Dは結晶子径、βはX線回折ピークの半値幅、θはX線回折ピークの角度、Kは形状因子を意味する。形状因子Kにおいて、ベーマイトの結晶は斜方晶系で三次元格子からなるが、ベーマイト複合体は厚みが非常に薄いため、ここでは二次元格子と仮定した。その仮定の下、二次元格子の形状因子の値として知られているK=1.84を適用した。
(2)IRスペクトルの測定
IRスペクトルの測定は、日本分光社製のフーリエ変換型赤外分光計FT/IR4600を使用し、KBr錠剤法により測定した。
(3)13C-NMRスペクトルの測定
VARIAN UNITY社製のINOVA400plusを使用し、CP/MAS法によって測定した。サンプルプローブの回転速度は、5kHz、TMS(テトラメチルシラン)を標準サンプルとして使用した。
(4)TG-DTAの測定
BRUKER AXS社製の熱重量-示差熱分析装置TG-DTA 2000SAを用い、60mL/分で空気を導入しながら、室温から1000℃まで10℃/分の速度で昇温した。標準試料には、α-アルミナを適用した。
(5)蛍光スペクトルの測定
日立ハイテクサイエンス社製の分光蛍光光度計 F-7000の用い、キセノンフラッシュランプを光源とし、固体試料ホールダを使用して室温にて蛍光スペクトル370〜650nm(励起光360nm)を測定した。
(6)TEM像の観察
粒子形態は、日本電子社製の透過型電子顕微鏡JEM-2100を用いて観察した。
(7)比表面積の測定
マイクロトラック・ベル社製の脱ガス装置BELPREP-IIを用い、測定試料を40℃で16時間真空引きすることにより試料の前処理を行った。次いで、前処理をした試料を、マイクロトラック・ベル社製のBELSORP-mini IIを用い、定容法にて液体窒素温度下、窒素ガス吸着測定を行った。比表面積は、窒素ガス吸着測定で得られた窒素ガスの吸着等温線よりBET法にて求めた。BET法は装置に搭載された解析プログラムを用いた。
以下の表に実施例1〜実施例8及び比較例1〜比較例8の内容を纏めた。
Figure 0006941831

Claims (2)

  1. ベーマイトの層間にモノエタノールアミンから誘導されるカルバメート化されたモノエタノールアミン及び/又はプロトン化されたモノエタノールアミンがインターカレートし、可視領域での蛍光特性を有するベーマイト複合体。
  2. 請求項1に記載のベーマイト複合体の製造方法であって、ソルボサーマル反応を用いて水酸化アルミニウムゲルと反応溶媒のモノエタノールアミンとからなる懸濁液を100℃〜200℃の温度範囲で加熱するベーマイト複合体の製造方法。
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