JP6941459B2 - グラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
一般的なウェブのシワ抑制の方法として、エキスパンダーロールを設置してシワを除去する方法(特許文献2)や、クロスガイダを用いてシワを除去する方法(特許文献3)が知られている。
該拡幅装置は、
該黒鉛化フィルムにおける膜厚方向の一方の表面に接触し、かつ、
該一方の表面に係る該膜厚方向のもう一方の表面が、前記圧延ロールに接触する
ように、尚且つ、
前記圧延ロールの直前に
配置されていることを特徴とする。
また、拡幅装置はゴムロールを有し、ゴムロールの表面には溝が形成されていてもよい。
また、ゴムロールの溝は螺旋形状の溝であってもよい。
また、拡幅装置が黒鉛化フィルムを圧延ロールに押し付ける機構を備えていてもよい。
また、拡幅装置の押し付け線圧は2N/cm以上10N/cm以下であってもよい。
本発明におけるウェブとは、膜状の基材を長尺帯状に形成したものである。すなわち、ウェブ状のポリイミドフィルムとは、ポリイミドが長尺帯状となったものを指している。
また、本発明におけるポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸も含むものとする。ポリアミック酸は、芳香族ジアミン(以下、ジアミンともいう)と芳香族酸二無水物(以下、酸二無水物ともいう)とを反応させて得られる。より具体的には、通常、芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物とを、実質的に等モル量となるように有機溶媒中に溶解させて、得られた溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンとの重合が完了するまで撹拌することによって製造される。このようにして得られたポリアミック酸を含む溶液は、通常5重量%〜35重量%、より好ましくは10重量%〜30重量%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度となり、フィルム等へ成形することが容易なポリマーを得ることが可能となる。
なお、上記芳香族ジアミンと上記芳香族酸二無水物とは、実質的に等モル量となるように反応させればよく、添加の順序、モノマーの組み合わせおよび組成は特に限定されるものではない。
ポリイミドフィルムの物理的性能として、厚みが均一であることが好ましく、可撓性を有していることが好ましい。
ポリイミドフィルムからグラファイトフィルムを得る製造方法の一例として、炭化工程、黒鉛化工程、圧延工程を実施する方法があげられる。炭化工程では、出発物質であるポリイミドフィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で加熱処理して炭化する。この炭化工程は、通常500℃以上1100℃以下の温度にて加熱処理を行う。
本発明における拡幅装置は、ウェブ状の黒鉛化フィルムを拡幅できるものであればよく、一対のロールをグラファイトフィルムに挟み込んで押し付ける方式に限定されるものではなく、エキスパンダーロールのようなロール単体で拡幅する形式でも良い。すなわち、拡幅装置は黒鉛化フィルムにおける膜厚方向の一方の表面に配置され、もう一方の表面は前記圧延ロールに接触していればよい。
<グラファイトフィルムの外観評価>
圧延後のグラファイトフィルムの外観品質評価として、存在するシワの数を評価した。グラファイトフィルムの全長にわたり、長さ50mm以上のシワの数を数え、単位長さ(1m)あたりのシワの個数として換算した。また、キズの評価は○が良好、△が不良、×が極めて不良とした。総合の外観評価として、○が良好、△が不良、×が極めて不良とした。
厚さ62μm、幅230mm、長さ350mの株式会社カネカ製ポリイミドフィルム:アピカルNPI(登録商標)の巻き物を巻き替え装置にセットし、加熱空間が7つに分割された加熱炉に連続的に供給しながら炭化を実施した。各加熱空間のMD方向の長さは50cm、TD方向の長さは300mmとし、加熱空間の温度が均一となるように、それぞれ500℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、850℃に調整した。ポリイミドフィルムに対して引張り強さ30kgf/cm2で張力を加えながら、50cm/minのライン速度でポリイミドフィルムを搬送し、炭化処理を行い、炭化フィルムを得た。
フィルムの巻出および巻取機構を備えたクリアランス式の2ton精密ロール圧延機(株式会社サンクメタル製)にらせん溝(溝はロールの幅方向中央から両端のそれぞれに向かって相反する方向で溝幅3mm、溝深さ7mm、ピッチ10mm、溝形成角度30度、溝傾斜角度45度で形成されている)を形成したニトリルゴム製のゴムロール(径65mm、幅250mm、ゴム硬度40)とそれをエアシリンダーにより押し付ける機構を具備する拡幅装置を拡幅部と圧延装置の圧延部の距離が200mmとなるように設置した。圧延機を用いて、幅200mm、長さ310mの黒鉛化フィルムを拡幅ロールの線圧が10N/cm、処理速度が10m/minの条件で圧延した。得られたグラファイトフィルムのシワの数を測定した。
拡幅ロールの押し付け圧力が線圧で2N/cmであること以外は、実施例1と同様にして圧延を実施した。得られたグラファイトフィルムのシワの数を測定した。
拡幅装置を用いないこと以外は、実施例1と同様にして圧延を実施した。得られたグラファイトフィルムのシワの数を測定した。
拡幅装置を拡幅部と圧延装置の圧延部の距離が250mmとなるように設置した以外は、実施例1と同様にして圧延を実施した。得られたグラファイトフィルムのシワの数を測定した。
拡幅ロールの押し付け圧力が線圧で1N/cmであること以外は、実施例1と同様にして圧延を実施した。得られたグラファイトフィルムのシワの数を測定した。
拡幅ロールの押し付け圧力が線圧で11N/cmであること以外は、実施例1と同様にして圧延を実施した。得られたグラファイトフィルムのシワの数を測定した。
圧延直前に拡幅ロールを具備した拡幅装置を設置して、2N/cm、10N/cmの線圧で押し付けて圧延することでシワが少なく、キズもないグラファイトフィルムを得ることができた。また、1N/cmで押し付けると十分な拡幅効果が得られず、11N/cmで押し付けるとロールの溝形状が転写され、シワの数は少ないもののキズが発生した。拡幅装置を圧延部より遠ざけると拡幅されたシワが圧延前に復元し、圧延後のグラファイトフィルムにシワが入った。
1a 圧延ロール
1b 繰出機
1c 巻取機
1d 拡幅装置
1e 黒鉛化フィルム
1f グラファイトフィルム
2a 拡幅部
2b 圧延部
2c 拡幅装置の拡幅部と圧延装置の圧延部の距離
3 拡幅ロール
3a 溝
3b 溝幅
3c ゴム幅
3d 溝形成角度
3e ピッチ
4a 溝深さ
4b 溝傾斜角度
Claims (6)
- ウェブ状のポリイミドフィルムを焼成してウェブ状のグラファイトフィルムを得るグラファイトフィルムの製造方法であって、
ポリイミドフィルムを500℃以上に加熱することで炭化して、炭化フィルムを得る炭化工程と、
該炭化フィルムを2400℃以上に加熱することで黒鉛化して、黒鉛化フィルムを得る黒鉛化工程と、
一対の圧延ロールで該黒鉛化フィルムを膜厚方向に圧延してグラファイトフィルムを得る圧延工程と、を備え、
前記圧延工程は、前記黒鉛化フィルムを幅方向に拡幅した後に、前記圧延する工程であり、更に
該拡幅は、
拡幅装置を、該黒鉛化フィルムにおける膜厚方向の一方の表面に接触させて、かつ、
該一方の表面に係る該膜厚方向のもう一方の表面を、前記一対の圧延ロールの一方に接触させて前記黒鉛化フィルムを拡幅するものであり、
前記拡幅装置は、前記一対の圧延ロールの直前に配置されている、グラファイトフィルムの製造方法。 - 前記拡幅装置と前記黒鉛化フィルムとが接触する点と前記圧延ロールで圧延する点の距離が200mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記拡幅装置はゴムロールを有し、該ゴムロールの表面には溝が形成されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記溝が螺旋形状の溝であることを特徴とする請求項3に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記拡幅装置が前記黒鉛化フィルムを前記圧延ロールに押し付ける機構を備えている請求項1〜4に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記拡幅装置の前記押し付けに係る押し付け線圧が2N/cm以上10N/cm以下である請求項5に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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