JP6937071B2 - 燃料電池外部拘束材及びそれを用いた燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池外部拘束材及びそれを用いた燃料電池の製造方法に関する。
車両等に搭載されている燃料電池スタックは、複数の単セルを積層させた積層体を備えるものである。この燃料電池スタックに、車両の衝突等により大きな衝撃が加わると、単セルの積層位置が大きくずれて給気システムが破損し、水素ガス等が漏れ、燃料電池セルの発電機能が停止する場合があった。
このような衝撃による単セルの積層位置のずれを防止するために、特開2017−50211号公報(特許文献1)には、燃料電池スタックとスタックケースとの間に配設された衝撃緩和用の介在層として、単セルの積層方向に沿って燃料電池スタックを見たスタック外形の第1の角部と前記スタック外形において前記第1の角部と対角の関係にある第2の角部とについてのみ、前記第1の角部を形成する第1のスタック側面と第2のスタック側面に、前記第1の角部を挟んで配設されて前記積層方向に延在し前記燃料電池スタックを外部から拘束するシャフト状の第1の介在層と第2の介在層と、前記第2の角部を形成する第3のスタック側面と第4のスタック側面に、前記第2の角部を挟んで配設されて前記積層方向に延在し前記燃料電池スタックを外部から拘束するシャフト状の第3の介在層と第4の介在層とを備え、前記スタック外形において前記第1の角部と隣り合う角部を形成する前記第1のスタック側面の前記隣り合う角部の側には、前記積層方向における前記燃料電池スタックの少なくとも中央領域において前記積層方向に延在し前記燃料電池スタックを外部から拘束するシャフト状の第5の介在層を有する燃料電池が提案されている。また、特開2017−110138号公報(特許文献2)には、燃料電池スタックとスタックケースとの間に配置する部材として、シリコーンゴム組成物の硬化物からなる外部拘束材が提案されている。
特開2017−50211号公報 特開2017−110138号公報
しかしながら、従来の燃料電池において燃料電池スタックを介在層や外部拘束材を用いてスタックケース内に拘束する場合、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する際の作業性の観点から、燃料電池スタックと介在層や外部拘束材との間、或いは、介在層や外部拘束材とスタックケースとの間に、ある程度の隙間を設ける必要があるため、開口部の大きい蓋付のスタックケースを使用する必要があった。また、従来の一般的なゴム材(弾性体)を介在層や外部拘束材として用いた場合、ゴム材を圧縮して隙間を設けても、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する間に、ゴム材が元のサイズ(特に、厚さ)に戻って隙間がなくなるため、ゴム材から単セルに応力がかかって単セルが曲がり、燃料電池セルの発電機能が停止する場合があった。さらに、従来の一般的な緩衝材(粘性体)を介在層や外部拘束材として用いた場合には、緩衝材を圧縮して設けた隙間は燃料電池スタックをスタックケースに挿入する間も保持されているが、緩衝材は元のサイズ(特に、厚さ)に戻りにくいため、燃料電池スタックをスタックケースに収容した後に、燃料電池スタック又はスタックケースと緩衝材との間に隙間が十分に埋まらず、単セルの積層位置のずれを十分に防止することはできなかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する際の作業性に優れ、単セルの積層位置のずれが十分に防止された燃料電池を製造する方法、及びそれに用いる燃料電池外部拘束材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδが特定の範囲にあるシリコーンゴム組成物の硬化物からなるシリコーンゴム部材を、このシリコーンゴム部材の表面に対する粘着力が特定の範囲にあるフィルム状又はシート状部材で挟持した燃料電池外部拘束材を圧縮した場合に、印加した圧力を開放した後しばらくの間(例えば、10分間)は圧縮状態が保持され、長時間経過した後(例えば、24時間後)には元のサイズ(特に、厚さ)に戻ることを見出し、さらに、燃料電池を製造する際に、圧縮された前記燃料電池外部拘束材を燃料電池スタックの周囲又はスタックケースの内壁に配置して燃料電池スタックをスタックケースに挿入することによって、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する間(例えば、10分間)は、図1(a)又は図2(a)に示すように、燃料電池外部拘束材1の圧縮状態が保持されるため、燃料電池外部拘束材1と燃料電池スタック2又はスタックケース3との間に十分な隙間が形成され、容易に燃料電池スタック2をスタックケース3に挿入することができ、また、燃料電池スタック2をスタックケース3に収容した後(例えば、24時間後)は、図1(b)又は図2(b)に示すように、燃料電池外部拘束材1が元のサイズ(特に、厚さ)に戻るため、燃料電池外部拘束材1と燃料電池スタック2又はスタックケース3との間の隙間が十分に埋められ、単セル2aの積層位置のずれを十分に防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の燃料電池外部拘束材は、動的粘弾性測定により求められる、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率が2.1〜24MPaであり、損失正接tanδが0.16〜0.43であるシリコーンゴム組成物の硬化物からなるシリコーンゴム部材と、フィルム状又はシート状部材と、を備えており、
2枚重ねの前記フィルム状又はシート状部材を2個の前記シリコーンゴム部材で挟持(前記フィルム状又はシート状部材と前記シリコーンゴム部材の接触部分の大きさ:20mm×20mm)した部材をさらに2枚の前記フィルム状又はシート状部材で挟持(前記シリコーンゴム部材と前記フィルム状又はシート状部材の接触部分の大きさ:20mm×20mm)した測定用試験片を作製し、前記試験片作製完了から1分間経過した時点で、引張試験機を用いて前記試験片を30mm/分の速さで伸長させ、5mm伸長した時点の荷重をロードセルを用いて測定することによって、前記シリコーンゴム部材と前記フィルム状又はシート状部材との界面にかかる応力として求められる、前記シリコーンゴム部材の表面に対する前記フィルム状又はシート状部材の粘着力が10kPa〜1MPaであり
前記シリコーンゴム部材が2枚の前記フィルム状又はシート状部材に挟持されていることを特徴とするものである。
本発明の燃料電池外部拘束材においては、複数個の前記シリコーンゴム部材が前記フィルム状又はシート状部材の表面において互いに離間した状態で配置されていることが好ましい。
また、本発明の第一の燃料電池の製造方法は、複数の単セルが積層された燃料電池スタックの周囲に前記本発明の燃料電池外部拘束材を圧縮した状態で貼付した後、前記燃料電池スタックをスタックケースに挿入することを特徴とする。
さらに、本発明の第二の燃料電池の製造方法は、スタックケースの内壁に前記本発明の燃料電池外部拘束材を圧縮した状態で貼付した後、複数の単セルが積層された燃料電池スタックを挿入することを特徴とする。
なお、本発明の燃料電池外部拘束材が、印加した圧力を開放した後しばらくの間(例えば、10分間)は圧縮状態が保持され(圧縮状態継続性に優れ)、長時間経過した後(例えば、24時間後)には元のサイズ(特に、厚さ)に戻る(回復性に優れる)理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。本発明の燃料電池外部拘束材は、図3(a)に示すように、シリコーンゴム組成物の硬化物からなるシリコーンゴム部材1aがフィルム状又はシート状部材1bで挟持されたものである。このような燃料電池外部拘束材1に、フィルム状又はシート状部材1bの表面から圧力を印加して圧縮すると、図3(b)に示すように、シリコーンゴム部材1aが圧縮により変形した状態でフィルム状又はシート状部材1bと粘着する。その後、印加した圧力を開放すると、貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδが特定の範囲にあるシリコーンゴム部材1aには、図3(c)に示すように、元のサイズ(特に、厚さ)に戻ろうとする復元力が発生する。しかしながら、シリコーンゴム部材1aとフィルム状又はシート状部材1bとの界面には、せん断方向の粘着力が発生しているため、この粘着力が復元に対する抵抗力となる。その結果、シリコーンゴム部材1aの復元が更に遅延し、印加した圧力を開放した後しばらくの間、圧縮状態が保持され、その後、長時間経過することにより、シリコーンゴム部材1aは元のサイズ(特に、厚さ)に回復すると推察される。
本発明によれば、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する際の作業性に優れ、単セルの積層位置のずれが十分に防止された燃料電池を製造する方法を提供することが可能となる。
本発明の燃料電池の製造方法の好適な一実施態様を示す模式断面図であり、(a)は燃料電池スタックをスタックケースに挿入する間の状態を示し、(b)は、燃料電池スタックがスタックケースに収容された後(例えば、24時間後)の状態を示す。 本発明の燃料電池の製造方法の他の好適な一実施態様を示す模式断面図であり、(a)は燃料電池スタックをスタックケースに挿入する間の状態を示し、(b)は、燃料電池スタックがスタックケースに収容された状態を示す。 本発明の燃料電池外部拘束材の好適な一実施態様を示す模式断面図であり、(a)は、圧縮前の状態を示し、(b)は、圧縮された状態を示し、(c)は、圧力開放後の状態を示す。 実施例及び比較例で使用した粘着性測定用試験片を示す模式断面図(サイズを表す数値の単位:mm)である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
〔燃料電池外部拘束材〕
先ず、本発明の燃料電池外部拘束材について説明する。本発明の燃料電池外部拘束材は、動的粘弾性測定により求められる、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率が2.1〜24MPaであり、tanδが0.16〜0.43であるシリコーンゴム組成物の硬化物からなるシリコーンゴム部材と、前記シリコーンゴム部材の表面に対する粘着力が10kPa〜1MPaであるフィルム状又はシート状部材と、備えるものであり、前記シリコーンゴム部材は2枚の前記フィルム状又はシート状部材に挟持されている。
(シリコーンゴム組成物)
本発明に用いられるシリコーンゴム組成物としては、その硬化物について、動的粘弾性測定により求められる、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率E’が2.1〜24MPaの範囲内にあり、損失正接tanδが0.16〜0.43の範囲内にあるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリシロキサンと粒子とを含有する公知のシリコーンゴム組成物が挙げられる。このようなシリコーンゴム組成物の硬化物は、印加した圧力が開放されてもサイズ(特に、厚さ)が直ぐには復元せず、遅れて復元する粘弾性応答(遅延弾性)を発現する。
一方、前記貯蔵弾性率E’が前記下限未満になると、シリコーンゴム組成物の硬化物は、元のサイズ(特に、厚さ)に戻る復元力が弱いため、印加した圧力を開放した後、長時間経過した場合でもサイズ(特に、厚さ)が十分に復元しない(回復性が低下する)。他方、前記貯蔵弾性率E’が前記上限を超えると、シリコーンゴム組成物の硬化物は、元のサイズ(特に、厚さ)に戻る復元力が強いため、印加した圧力が開放されると直ぐにサイズ(特に、厚さ)が復元する(圧縮状態継続性が低下する)。このような貯蔵弾性率E’としては、回復性が更に向上するという観点から、3MPa以上が好ましく、4MPa以上がより好ましく、また、圧縮状態継続性が更に向上するという観点から、20MPa以下が好ましく、15MPa以下がより好ましい。
また、前記損失正接tanδが前記下限未満になると、シリコーンゴム組成物の硬化物は、弾性の寄与が高くなる(弾性体に近いものとなる)ため、圧縮状態継続性が低下する。他方、損失正接tanδが前記上限を超えると、シリコーンゴム組成物の硬化物は、粘性の寄与が高くなる(粘性体に近いものとなる)ため、回復性が低下する。このような損失正接tanδとしては、圧縮状態継続性が更に向上するという観点から、0.20以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、また、回復性が更に向上するという観点から、0.42以下が好ましく、0.41以下がより好ましい。
このような遅延弾性を発現するシリコーンゴム組成物としては、例えば、オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び充填材を含有するシリコーンゴム組成物が挙げられ、中でも、
(A)25℃における粘度が1.0〜100Pa・sであり、ケイ素原子と結合するアルケニル基を1分子中に少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン、
(B)下記式(1):
Figure 0006937071
〔前記式中、Rはそれぞれ独立に、非置換又は置換の、炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表し、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、又はアシル基を表し、nは2〜100の整数であり、aは1〜3の整数である。〕
で表されるオルガノポリシロキサン、
(C)下記式(2):
Figure 0006937071
〔前記式中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表し、p及びqは、10≦p+q≦100、かつ、0.01≦p/(p+q)≦0.5を満たす正の整数である。〕
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)下記式(3):
Figure 0006937071
〔前記式中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表し、mは5〜1000の整数である。〕
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(E)充填材、
(F)触媒、
(G)反応制御剤、
を含有するものが好ましい。
(A)成分:
前記(A)成分は、ケイ素原子と結合するアルケニル基を1分子中に少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンである。このようなオルガノポリシロキサンの構造としては特に制限はなく、直鎖状であっても分岐状であってもよい。また、ケイ素原子と結合するアルケニル基は、前記オルガノポリシロキサン1分子中に少なくとも1個存在していれば、前記オルガノポリシロキサンの分子鎖の末端及び途中のいずれか一方又は両方に存在していてもよいが、柔軟性の観点から、両末端のみに存在していることが好ましい。このようなケイ素原子と結合するアルケニル基としては、炭素数が2〜10のアルケニル基が好ましく、炭素数が2〜8のアルケニル基がより好ましい。具体的には、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基等が挙げられる。これらのアルケニル基は、前記オルガノポリシロキサン1分子中に1種含まれていても、2種以上含まれていてもよい。また、このようなアルケニル基の中でも、合成のしやすさ及びコストの観点から、ビニル基が好ましい。
また、前記オルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素原子と結合するアルケニル基以外の他の有機基としては、非置換又は置換の、炭素数1〜20(より好ましくは、炭素数1〜10)の1価の炭化水素基が好ましい。ここで、「置換の1価の炭化水素基」とは、非置換の1価の炭化水素基の一部又は全部の水素原子が他の原子又は置換基で置換された基を意味する。このような非置換又は置換の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ドデシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基、これら非置換の1価の炭化水素基の一部又は全部の水素原子が塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子で置換された基(例えば、フロロメチル基、ブロモメチル基、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基)等が挙げられる。これらの他の有機基は、前記オルガノポリシロキサン1分子中に1種が単独で含まれていても、2種以上が含まれていてもよいが、合成のしやすさ及びコストの観点から、全ての他の有機基のうちの90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
前記(A)成分において、前記オルガノポリシロキサンの25℃における粘度は1.0〜100Pa・sである。前記オルガノポリシロキサンの粘度が、前記下限未満になると、シリコーンゴム組成物の硬化物のダイラタント特性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、シリコーンゴム組成物の流動性が低下する傾向にある。このようなオルガノポリシロキサンの粘度としては、シリコーンゴム組成物の硬化物のダイラタント特性が更に向上するという観点から、2.0Pa・s以上が好ましく、また、シリコーンゴム組成物の流動性が更に向上するという観点から、10Pa・s以下が好ましい。なお、前記オルガノポリシロキサンの粘度は、回転粘度計により25℃で測定した値である。
前記(A)成分としては、ケイ素原子と結合するアルケニル基を所定量有し、25℃における粘度が前記範囲内にあるオルガノポリシロキサンであれば特に制限はなく、公知のオルガノポリシロキサンを用いることができるが、中でも、両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖されたオルガノポリシロキサンが好ましく、両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサンが特に好ましい。また、前記(A)成分として、ケイ素原子と結合するアルケニル基を所定量有し、25℃における粘度が前記範囲内にあるオルガノポリシロキサンを1種単独で用いてもよいが、ケイ素原子と結合するアルケニル基を所定量有し、異なる粘度を有する2種以上のオルガノポリシロキサンを、25℃における粘度が前記範囲内となるように混合して使用してもよい。
(B)成分:
前記(B)成分は、下記式(1):
Figure 0006937071
で表されるオルガノポリシロキサンであり、シリコーンゴム組成物の粘度を下げ、流動性を付与する機能を有するものである。前記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記式(1)中のRはそれぞれ独立に、非置換又は置換の、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3)の1価の炭化水素基を表す。ここで、「置換の1価の炭化水素基」とは、非置換の1価の炭化水素基の一部又は全部の水素原子が他の原子又は置換基で置換された基を意味する。このような非置換又は置換の1価の炭化水素基としては、例えば、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基等が挙げられる。
直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられ、分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基等が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(ノナフルオロブチル)エチル、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基等が挙げられ、シアノアルキル基としては、例えば、シアノエチル基等が挙げられる。これらの非置換又は置換の1価の炭化水素基の中でも、直鎖状アルキル基、アルケニル基、アリール基が好ましく、メチル基、ビニル基、フェニル基がより好ましい。
また、前記式(1)中のRはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、又はアシル基を表す。これらの基の炭素数としては特に制限はないが、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい。アルキル基としては、例えば、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状のアルキル基が挙げられ、直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられ、分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、メトキシプロピル基等が挙げられ、アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられ、アシル基としては、例えば、アセチル基、オクタノイル基等が挙げられる。これらの基の中でも、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
さらに、前記式(1)中のnは2〜100の整数であり、5〜80の整数であることが好ましい。また、前記式(1)中のaは1〜3の整数であり、3が好ましい。
前記(B)成分において、前記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの25℃における粘度としては特に制限はないが、0.005〜10Pa・sが好ましく、0.005〜1Pa・sがより好ましい。前記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの粘度が、前記下限未満になると、シリコーンゴム組成物からオイルブリードが発生しやすくなり、接着力が経時的に低下する場合があり、他方、前記上限を超えると、シリコーンゴム組成物の粘度が高くなり、流動性が低下する傾向にある。なお、前記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの粘度は、回転粘度計により25℃で測定した値である。
前記式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの好適な具体例としては、下記式(1−1)〜(1−4):
Figure 0006937071
Figure 0006937071
Figure 0006937071
Figure 0006937071
で表されるオルガノポリシロキサンが挙げられるが、これらの限定されるものではない。
前記(B)成分の配合量としては、前記(A)成分100質量部に対して1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。前記(B)成分の配合量が前記下限未満になると、シリコーンゴム組成物の粘度が高くなり、流動性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、シリコーンゴム組成物が硬化しにくくなる傾向にある。
(C)成分:
前記(C)成分は、下記式(2):
Figure 0006937071
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、液状のシリコーンゴム組成物を硬化させる機能を有するものである。前記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記式(2)中のRはそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す。このようなアルキル基の構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基n−ヘキシル基が挙げられる。これらのアルキル基は、前記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン1分子中に1種が単独で含まれていても、2種以上が含まれていてもよいが、合成のしやすさ及びコストの観点から、全てのRのうちの90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
また、前記式(2)中のp及びqは正の整数であり、10≦p+q≦100を満たす。p+qが前記下限未満になると、前記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが揮発成分となりやすいため、燃料電池において接点不良等を引き起こす場合があり、他方、前記上限を超えると、前記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が高くなり、取扱いにくくなる傾向にある。このようなp+qとしては、前記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが揮発しにくくなるという観点から、20以上が好ましく、また、前記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が低下するという観点から、60以下が好ましい。
さらに、前記式(2)中のp及びqは、0.01≦p/(p+q)≦0.5を満たす。p/(p+q)が前記下限未満になると、架橋によるシリコーンゴム組成物の網状化が進行しにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、硬化初期に未反応のSi−H基が残存しやすく、残存したSi−H基と水分との架橋反応が過剰に進行し、シリコーンゴム組成物の硬化物の柔軟性が低下する傾向にある。p/(p+q)としては、架橋反応が適度に進行し、柔軟性に優れたシリコーンゴム組成物の硬化物が得られるという観点から、0.05≦p/(p+q)≦0.4を満たすことが好ましい。
前記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの好適な具体例としては、下記式(2−1)〜(2−2):
Figure 0006937071
Figure 0006937071
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられるが、これらの限定されるものではない。
(D)成分:
前記(D)成分は、下記式(3):
Figure 0006937071
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、シリコーンゴム組成物の硬化物の硬度を低下させてダイラタント特性を発現・向上させる機能を有するものである。前記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記式(3)中のRはそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す。このようなアルキル基の構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基n−ヘキシル基が挙げられる。これらのアルキル基は、前記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン1分子中に1種が単独で含まれていても、2種以上が含まれていてもよいが、合成のしやすさ及びコストの観点から、全てのRのうちの90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
また、前記式(3)中のmは5〜1000の整数である。mが前記下限未満になると、前記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが揮発成分となりやすいため、燃料電池において接点不良等を引き起こす場合があり、他方、前記上限を超えると、前記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が高くなり、取扱いにくくなる傾向にある。このようなmとしては、前記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが揮発しにくくなるという観点から、10以上が好ましく、また、前記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が低下するという観点から、100以下が好ましい。
前記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの好適な具体例としては、下記式(3−1)〜(3−2):
Figure 0006937071
Figure 0006937071
表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられるが、これらの限定されるものではない。
前記(C)成分及び前記(D)成分の配合量は、前記(A)成分中及び前記(B)成分中のアルケニル基の合計個数に対する前記(C)成分中及び前記(D)成分中のSi−H基の合計個数の比([(C)成分中及び(D)成分中のSi−H基の合計個数]/[(A)成分中及び(B)成分中のアルケニル基の合計個数])が0.6〜1.5を満たす量であることが好ましく、0.7〜1.4を満たす量であることがより好ましい。前記アルケニル基の合計個数に対する前記Si−H基の合計個数の比が前記下限未満になると、シリコーンゴム組成物の硬化物において十分な網目構造が形成されないため、硬度が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、硬度が高くなりすぎる傾向にある。
また、前記(C)成分及び前記(D)成分の配合量は、前記(C)成分中のSi−H基の個数に対する前記(D)成分中のSi−H基の個数の比([(D)成分中のSi−H基の個数]/[(C)成分中のSi−H基の個数])が1〜10を満たす量であることが好ましく、2〜9を満たす量であることがより好ましい。前記Si−H基の個数の比が前記下限未満になると、シリコーンゴム組成物の硬化物のダイラタント特性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、シリコーンゴム組成物の硬化物の硬度が不足する傾向にある。
(E)成分:
前記(E)成分は、充填材であり、シリコーンゴム組成物の硬化物にダイラタント特性を付与する機能を有する粉末(粒子)である。このような充填材としては特に制限はなく、アルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末、ニッケル粉末、金粉末、アルミナ粉末、酸化亜鉛粉末、酸化マグネシウム粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化ケイ素粉末、ダイヤモンド粉末、カーボン粉末、インジウム粉末、ガリウム粉末等の従来公知の金属粉末や金属化合物粉末を用いることができる。このような充填剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、このような充填材の形状としては特に制限はないが、球状が好ましい。
前記充填材の平均粒径としては0.1〜20μmが好ましく、0.5〜15μmがより好ましい。充填材の平均粒径が前記下限未満になると、粒子同士が凝集しやすく、シリコーンゴム組成物の流動性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、シリコーンゴム組成物の硬化物のダイラタント特性が低下する傾向にある。なお、充填材の平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における体積平均値D50(すなわち、累積体積が50%になるときの粒子径又はメジアン径)として測定した値である。
前記(E)成分の配合量としては、前記(A)成分100質量部に対して200〜1000質量部が好ましく、300〜800質量部がより好ましい。前記(E)成分の配合量が前記下限未満になると、シリコーンゴム組成物の硬化物に所望のダイラタント特性を付与することができない場合があり、他方、前記上限を超えると、シリコーンゴム組成物が液状にならず、流動性が低下する傾向にある。
(F)成分:
前記(F)成分は、触媒であり、前記(A)成分等のアルケニル基と前記(C)成分及び前記(D)成分のSi−H基との間の付加反応を促進させるものである。このような触媒としては白金族金属触媒が挙げられる。
前記白金族金属触媒としては、前記付加反応を促進させるものであれば特に制限はなく、公知の白金族金属触媒を用いることができる。具体的には、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;HPtCl・nHO、HPtCl・nHO、NaHPtCl・nHO、KHPtCl・nHO、NaPtCl・nHO、KPtCl・nHO、PtCl・nHO、PtCl、NaHPtCl・nHO(ただし、化学式中のnは0〜6の整数であり、0又は6であることが好ましい。)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸;塩化白金酸とオレフィンとの錯体;白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させた触媒;ロジウム−オレフィン錯体;ウィルキンソン触媒〔クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム〕;塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとの錯体等が挙げられる。これらの白金族金属触媒は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらの白金族金属触媒の中でも、白金、白金化合物が好ましい。
前記(F)成分の配合量としては、触媒としての有効量、すなわち、前記(A)成分等と前記(C)成分及び前記(D)成分との反応を促進できる量であれば特に制限はなく、所望の硬化速度に応じて適宜設定することができる。例えば、前記(A)成分100質量部に対して、前記(F)成分の配合量としては、白金族金属原子換算で1×10−5〜7×10−1質量部が好ましく、1×10−4〜6×10−1質量部がより好ましい。前記(F)成分の配合量が前記下限未満になると、前記反応を十分に促進できない場合がある。また、前記上限を超える量の触媒を配合しても、硬化速度の向上が期待できない場合がある。
(G)成分:
前記(G)成分は、反応制御剤であり、室温での硬化反応の進行を抑制し、シリコーンゴム組成物のシェルライフ、ポットライフを延長させる機能を有する。このような反応制御剤としては前記(F)成分の触媒活性を抑制できるものであれば特に制限はなく、公知の反応制御剤を用いることができる。具体的には、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3−ブチン−1−オール等の水酸基を有するアセチレン化合物、各種窒素化合物、有機リン化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が挙げられる。これらの反応制御剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらの反応制御剤の中でも、金属への腐食性がないという観点から、水酸基を有するアセチレン化合物が好ましい。このような反応制御剤はそのまま添加してもよいが、シリコーンゴム組成物中での分散性を向上させるために、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール等の有機溶剤で希釈してポリシロキサンに添加することが好ましい。
前記(G)成分の配合量としては、前記(A)成分100質量部に対して0.01〜1.0質量部が好ましく、0.05〜0.9質量部がより好ましい。前記(G)成分の配合量が前記下限未満になると、シリコーンゴム組成物のシェルライフ、ポットライフを十分に延長させることができない場合があり、他方、前記上限を超えると、シリコーンゴム組成物が硬化しにくくなる傾向にある。
その他の成分:
前記(A)〜(G)成分を含有するシリコーンゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において公知の添加剤を更に添加してもよい。このような添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、炭酸カルシウム等の補強性又は非補強性の充填材、チキソトロピー向上剤としてのポリオール、顔料、染料等の着色剤が挙げられる。
(シリコーンゴム部材)
本発明に用いられるシリコーンゴム部材は、前記シリコーンゴム組成物の硬化物からなるものである。本発明に燃料電池外部拘束材において、前記シリコーンゴム部材は2枚のフィルム状又はシート状部材に挟持されている。前記シリコーンゴム部材のフィルム状又はシート状部材との接触面の形状としては特に制限はなく、例えば、正方形、長方形、真円形、楕円形等のいずれの形状であってもよい。
前記シリコーンゴム部材のフィルム状又はシート状部材との接触面の縦の長さ(楕円形の場合は長軸長さ)と横の長さ(楕円形の場合は短軸長さ)の比(縦横比)としては1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜2が特に好ましい。前記接触面の縦横比が前記上限を超えると、フィルム状又はシート状部材との接触面において粘着力が均一に作用しないため、圧縮状態継続性が低下する傾向にある。
また、圧縮前の前記シリコーンゴム部材のフィルム状又はシート状部材との接触面の面積としては、64〜10000mmが好ましく、81〜8100mmがより好ましく、100〜6400mmが特に好ましい。圧縮前の前記接触面の面積が前記下限未満になると、フィルム状又はシート状部材との接触面において十分な粘着力が得られないため、前記シリコーンゴム部材は、印加した圧力が開放されると直ぐにサイズ(特に、厚さ)が復元する(圧縮状態継続性が低下する)傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フィルム状又はシート状部材との接触面における粘着力が強すぎるため、前記シリコーンゴム部材は、印加した圧力を開放した後、長時間経過した場合でもサイズ(特に、厚さ)が十分に復元しない(回復性が低下する)傾向にある。
さらに、前記シリコーンゴム部材の厚さとしては、1mm〜10cmが好ましく、2mm〜5cmがより好ましく、3mm〜1cmが特に好ましい。シリコーンゴム部材の厚さが前記下限未満になると、衝撃による単セルの積層位置のずれを十分に防止することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フィルム状又はシート状部材との接触面において粘着力が均一に作用しないため、前記シリコーンゴム部材は、印加した圧力が開放されると直ぐにサイズ(特に、厚さ)が復元する(圧縮状態継続性が低下する)傾向にある。
このようなシリコーンゴム部材は、例えば、前記シリコーンゴム組成物の硬化物(例えば、シリコーンゴムシート)を所定の大きさ、形状に裁断することによって作製することができる。
(フィルム状又はシート状部材)
本発明に用いられるフィルム状又はシート状部材は、前記シリコーンゴム部材の表面に対する粘着力が10kPa〜1MPaの範囲内にあるものである。前記シリコーンゴム部材の表面に対するフィルム状又はシート状部材の粘着力が前記範囲内のフィルム状又はシート状部材で前記シリコーンゴム部材を挟持することによって、前記シリコーンゴム部材の圧縮状態からの回復が更に遅れるため、圧縮状態継続性が向上する。前記フィルム状又はシート状部材の粘着力が前記下限未満になると、前記シリコーンゴム部材との接触面において十分な粘着力が得られないため、前記シリコーンゴム部材は、印加した圧力が開放されると直ぐにサイズ(特に、厚さ)が復元する(圧縮状態継続性が低下する)。他方、前記フィルム状又はシート状部材の粘着力が前記上限を超えると、前記シリコーンゴム部材との接触面における粘着力が強すぎるため、前記シリコーンゴム部材は、印加した圧力を開放した後、長時間経過した場合でもサイズ(特に、厚さ)が十分に復元しない(回復性が低下する)。このようなシリコーンゴム部材の表面に対するフィルム状又はシート状部材の粘着力としては、圧縮状態継続性が更に向上するという観点から、15kPa〜500kPaが好ましく、20kPa〜200kPaがより好ましい。
前記フィルム状又はシート状部材の材質としては、前記シリコーンゴム部材の表面に対する粘着力が前記範囲内となるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリアミド、アクリル樹脂等が挙げられる。
前記フィルム状又はシート状部材の厚さとしては、0.05〜5mmが好ましく、0.1〜4mmがより好ましく、0.1〜3mmが特に好ましい。フィルム状又はシート状部材の厚さが前記下限未満になると、圧縮によりフィルム状又はシート状部材が変形するため、前記シリコーンゴム部材の圧縮状態を維持できない場合があり、他方、前記上限を超えると、単セルとフィルム状又はシート状部材とが接触したときに、応力がかかって単セルを曲げてしまう場合がある。
また、前記フィルム状又はシート状部材の大きさとしては、圧縮した場合に前記シリコーンゴム部材がはみ出さない大きさであれば特に制限はないが、例えば、圧縮前の前記シリコーンゴム部材の前記フィルム状又はシート状部材との接触面の面積の2〜30倍が好ましく、3〜20倍がより好ましく、4〜10倍が特に好ましい。前記フィルム状又はシート状部材の大きさが前記上限を超えると、前記フィルム状又はシート状部材に対する前記シリコーンゴム部材の面積比率が小さくなるため、単セルの積層位置のずれを十分に防止できない場合がある。
(燃料電池外部拘束材)
本発明の燃料電池外部拘束材は、前記シリコーンゴム部材と2枚の前記フィルム状又はシート状部材とを備えるものであり、2枚の前記フィルム状又はシート状部材で、1個の前記シリコーンゴム部材を挟持してもよいが、複数個の前記シリコーンゴム部材を挟持することが好ましい。複数個の前記シリコーンゴム部材を挟持する場合、各シリコーンゴム部材は、圧縮により隣接するシリコーンゴム部材同士が干渉しないように、前記フィルム状又はシート状部材の表面において互いに離間して配置されていることが好ましい。隣接するシリコーンゴム部材同士の間隔としては、燃料電池スタックの単セルの積層方向の間隔がシリコーンゴム部材の縦方向(楕円形の場合は長軸方向)の長さの0.1〜20倍であることが好ましく、0.2〜10倍であることがより好ましい。また、燃料電池スタックの単セルの積層方向に垂直な方向の間隔については特に制限はなく、任意の間隔で前記シリコーンゴム部材を配置することができる。複数個の前記シリコーンゴム部材を離間して(好ましくは前記間隔で離間して)配置することによって、圧縮により前記シリコーンゴム部材が十分に拡大し、前記シリコーンゴム部材と前記フィルム状又はシート状部材との接触面が大きくなるため、粘着力が強くなり、圧縮状態継続性が向上する。一方、複数個の前記シリコーンゴム部材を離間せずに配置すると、圧縮した場合に前記シリコーンゴム部材が十分に拡大せず、前記シリコーンゴム部材と前記フィルム状又はシート状部材との接触面が大きくならないため、十分な粘着力が得られず、圧縮状態継続性が低下する傾向にある。
また、本発明の燃料電池外部拘束材は、燃料電池を製造する際に、燃料電池スタックやスタックケースから独立した部材として、燃料電池スタックの周囲やスタックケースの内壁に貼付して使用することができるが、燃料電池外部拘束材を構成する2枚の前記フィルム状又はシート状部材の一方がスタックケースの内壁を構成し、本発明の燃料電池外部拘束材がスタックケースの内壁に固定された状態で使用することもできる。
このような本発明の燃料電池外部拘束材は、圧縮状態継続性に優れている。具体的には、圧縮前の本発明の燃料電池外部拘束材におけるシリコーンゴム部材の厚さをtとし、この燃料電池外部拘束材をシリコーンゴム部材の厚さが圧縮前の30%の厚さ(0.30×t)になるまで圧縮し、印加した圧力を開放すると、圧力開放後10分間経過した時点でのシリコーンゴム部材の厚さが圧縮前の70%の厚さ(0.70×t)未満(好ましくは、60%の厚さ(0.60×t)未満)、すなわち、シリコーンゴム部材の厚さが圧縮前の70%の厚さ(0.70×t)(好ましくは、60%の厚さ(0.60×t))に戻るまでの時間が10分間以上となる。このような圧縮状態継続性に優れた燃料電池外部拘束材を用いることによって、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する際の作業性が向上する。
また、本発明の燃料電池外部拘束材は、回復性にも優れている。具体的には、上記と同様に、本発明の燃料電池外部拘束材をシリコーンゴム部材の厚さが圧縮前の30%の厚さ(0.30×t)になるまで圧縮し、印加した圧力を開放すると、圧力開放後24時間経過した時点でのシリコーンゴム部材の厚さが圧縮前の94%の厚さ(0.94×t)以上(好ましくは、98%の厚さ(0.98×t)以上)、すなわち、シリコーンゴム部材の厚さが圧縮前の94%の厚さ(0.94×t)(好ましくは、98%の厚さ(0.98×t))に戻るまでの時間が24時間以下となる。このような回復性に優れた燃料電池外部拘束材を用いることによって、単セルの積層位置のずれを十分に防止することができる。
〔燃料電池の製造方法〕
次に、本発明の燃料電池の製造方法について説明する。本発明の第一の燃料電池の製造方法は、複数の単セルが積層された燃料電池スタックの周囲に前記本発明の燃料電池外部拘束材を圧縮した状態で貼付した後、前記燃料電池スタックをスタックケースに挿入する方法である。また、本発明の第二の燃料電池の製造方法は、スタックケースの内壁に前記本発明の燃料電池外部拘束材を圧縮した状態で貼付した後、複数の単セルが積層された燃料電池スタックを挿入する方法である。
これらの方法において、燃料電池スタックの周囲又はスタックケースの内壁に貼付する際の燃料電池外部拘束材は、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する際に十分な隙間が形成されるように圧縮されていれば、その圧縮倍率は特に制限はないが、例えば、シリコーン部材の厚さが圧縮前のシリコーン部材の厚さの30%以下(より好ましくは、20%以下)となるように前記燃料電池外部拘束材を圧縮することが好ましい。これにより、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する際の作業性が向上する。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、使用した各成分、シリコーンシートの調製方法を以下に示す。
(A成分)
両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における粘度が5.0Pa・sのジメチルポリシロキサン
(B成分)
下記式(1−3)で表されるオルガノポリシロキサン
Figure 0006937071
(C成分)
下記式(2−2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 0006937071
(D成分)
下記式(3−1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 0006937071
(E成分)
平均粒径4.0μm、比表面積0.50m/gの球状アルミナ粉末
(F成分)
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン(前記A成分)溶液(白金原子として1質量%含有)
(G成分)
1−エチニル−1−シクロヘキサノール
(調製例1〜4)
容量5Lのプラネタリーミキサー(株式会社井上製作所製)に、表1に示す量の前記A成分、前記B成分及び前記E成分を入れた後、減圧下、25℃で2時間攪拌した。その後に、表1に示す量の前記F成分を加えて25℃で30分間攪拌し、さらに、表1に示す量の前記G成分を加えて、25℃で30分間攪拌した。最後に、表1に示す量の前記C成分及び前記D成分を加えて、25℃で30分間撹拌して均一に混合し、シリコーンゴム組成物1〜4を得た。得られるシリコーンゴムシートの厚さtが3.0〜10mmの範囲内となるように、前記シリコーンゴム組成物1〜4をそれぞれ120℃で10分間プレス硬化させ、さらに、120℃のオーブン中で50分間加熱して、シリコーンゴムシート1〜4を作製した。
<動的粘弾性測定>
調製例1〜4で得られた各シリコーンゴムシートから10mm×10mmの大きさの試験片(厚さ:t)を切出し、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製「DVA−220」)を用いて、圧縮モード、ひずみ振幅0.1%、室温の条件で、周波数0.1〜50Hzの範囲について貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E”を測定し、損失正接tanδ(=E”/E’)を求めた。表1には、測定周波数1Hzにおける貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδを示す。また、表1には、下記の市販のシリコーンゴムシートについて測定した、測定周波数1Hzにおける貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδも示した。
αゲル:放熱αゲルシート(株式会社タイカ製「λGEL COH−1019LVC−T2.0」、硬度(針入度(1/10mm)):90、厚さt:5.0mm)
A90:シリコーンゴムシート(共和工業株式会社製「A90」、厚さt:5.0mm)
A10:超低硬度シリコーンゴムシート(共和工業株式会社製「A10」、厚さt:5.0mm)
Figure 0006937071
(実施例1)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)から20mm×20mmの大きさのシリコーンゴム部材(厚さ:t)を切出し、このシリコーンゴム状部材を2枚のPETフィルム(株式会社東レ製「ルミラーT」、50mm×50mm、厚さ:0.3mm)で挟持して、PETフィルム/シリコーンゴム状部材/PETフィルムからなる積層構造の外部拘束材を作製した。
<圧縮状態継続性及び回復性の測定>
得られた外部拘束材を2枚の圧縮板で挟み、手動油圧プレスを用いて圧力1MPaでシリコーンゴム部材の厚さが圧縮前の30%の厚さ(0.30×t)になるまで圧縮した。この圧縮状態を常温(20〜24℃)で10分間保持した後、圧力を開放した。その後、この外部拘束材を常温(20〜24℃)で保持し、圧力開放から10分間経過後及び24時間経過後の外部拘束材の厚さをシックネスゲージ(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定し、2枚のPETフィルムの厚さ(0.3mm)を考慮して、シリコーンゴム部材の厚さを算出した。表2には、シリコーンゴム部材の圧縮前の厚さtに対する圧力開放から10分間経過後及び24時間経過後の厚さの割合[%]を示す。
また、10分間経過後の外部拘束材の厚さの割合が小さいほど、圧縮状態継続性が高いことを意味しており、24時間経過後の外部拘束材の厚さの割合が大きいほど、回復性が高いことを意味していることから、得られた外部拘束材を、圧縮状態継続性(シリコーンゴム部材の圧縮前の厚さtに対する圧力開放から10分間経過後の厚さの割合)及び回復性(シリコーンゴム部材の圧縮前の厚さtに対する圧力開放から24時間経過後の厚さの割合)に基づいて下記基準で評価した。その結果を表2に示す。
(総合評価)
A:圧縮状態継続性が60%未満かつ回復性が98%以上。
B:圧縮状態継続性が70%未満かつ回復性が94%以上(ただし、圧縮状態継続性が60%未満かつ回復性が98%以上の場合を除く)。
C:圧縮状態継続性が70%以上又は回復性が94%未満。
<粘着性測定>
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2から20mm×20mmの大きさのシリコーンゴム部材(厚さ:t)を2個切出し、この2個のシリコーンゴム部材と長さ80mmのPETフィルム(株式会社東レ製「ルミラーT」、幅:42mm、厚さ:0.3mm)2枚と長さ60mmのPETフィルム(株式会社東レ製「ルミラーT」、幅:42mm、厚さ:0.3mm)2枚とスペーサーブロック(株式会社ミスミ製、材質:ステンレス、20mm×30mm、厚さ:2×(t+0.3)mm)とを用いて図4に示す粘着性測定用試験片を作製した。
試験片作製完了から1分間経過した時点で、前記試験片の両端を引張試験機(インストロン社製万能試験機)のチャックに取付け、前記試験片を30mm/分の速さで伸長させ、5mm伸長した時点の荷重を定格容量100Nのロードセルを用いて測定し、前記シリコーンゴム部材と前記PETフィルムとの界面にかかる応力を求め、これを前記シリコーンゴム部材の表面に対する前記PETフィルムの粘着力とした。その結果を表2に示す。
(実施例2)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)の代わりに調製例3で得られたシリコーンゴムシート3(貯蔵弾性率E’:10.2MPa、tanδ:0.34)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。また、調製例2で得られたシリコーンゴムシート2の代わりに調製例3で得られたシリコーンゴムシート3を用いた以外は実施例1と同様にして粘着性測定用試験片を作製し、シリコーンゴム部材の表面に対する前記PETフィルムの粘着力を求めた。これらの結果を表2に示す。
(実施例3)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)の代わりに調製例4で得られたシリコーンゴムシート4(貯蔵弾性率E’:12.5MPa、tanδ:0.37)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。また、調製例2で得られたシリコーンゴムシート2の代わりに調製例4で得られたシリコーンゴムシート4を用いた以外は実施例1と同様にして粘着性測定用試験片を作製し、シリコーンゴム部材の表面に対する前記PETフィルムの粘着力を求めた。これらの結果を表2に示す。
(実施例4)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)の代わりに調製例1で得られたシリコーンゴムシート1(貯蔵弾性率E’:7.1MPa、tanδ:0.39)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。また、調製例2で得られたシリコーンゴムシート2の代わりに調製例1で得られたシリコーンゴムシート1を用いた以外は実施例1と同様にして粘着性測定用試験片を作製し、シリコーンゴム部材の表面に対する前記PETフィルムの粘着力を求めた。これらの結果を表2に示す。
(実施例5)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)から10mm×10mmの大きさに切出したシリコーンゴム部材(厚さ:t)を用い、30mm×30mmの大きさのPETフィルム(株式会社東レ製「ルミラーT」、厚さ:0.3mm)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。なお、前記シリコーンゴム部材の表面に対する前記PETフィルムの粘着力は前記シリコーンゴム部材の大きさに依存しない(以下同様)。
(実施例6)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)から14mm×20mmの大きさに切出したシリコーンゴム部材(厚さ:t)を用い、36mm×41mmの大きさのPETフィルム(株式会社東レ製「ルミラーT」、厚さ:0.3mm)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
(実施例7)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)から10mm×20mmの大きさに切出したシリコーンゴム部材(厚さ:t)を用い、30mm×41mmの大きさのPETフィルム(株式会社東レ製「ルミラーT」、厚さ:0.3mm)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
(実施例8)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)から10mm×40mmの大きさに切出したシリコーンゴム部材(厚さ:t)を用い、30mm×61mmの大きさのPETフィルム(株式会社東レ製「ルミラーT」、厚さ:0.3mm)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
(実施例9)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)から半径11.3mmの円盤状に切出したシリコーンゴム部材(厚さ:t)を用い、50mm×50mmの大きさのPETフィルム(株式会社東レ製「ルミラーT」、厚さ:0.3mm)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
(実施例10)
前記PETフィルムの代わりに30mm×30mmの大きさのアクリル板(株式会社ミスミ製、厚さ:3mm)を用いた以外は実施例5と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。また、前記PETフィルムの代わりに長さ80mmのアクリル板(株式会社ミスミ製、幅:42mm厚さ:3mm)2枚及び長さ60mmのアクリル板(株式会社ミスミ製、幅:42mm厚さ:3mm)2枚を用い、スペーサーブロックの厚さを2×(t+3)mmに変更した以外は実施例1と同様にして図4に示す粘着性測定用試験片を作製し、シリコーンゴム部材の表面に対する前記アクリル板の粘着力を求めた。これらの結果を表2に示す。
(比較例1)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)の代わりに前記放熱αゲルシート(貯蔵弾性率E’:2.0MPa、tanδ:0.44)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。また、調製例2で得られたシリコーンゴムシート2の代わりに前記放熱αゲルシートを用いた以外は実施例1と同様にして粘着性測定用試験片を作製し、シリコーンゴム部材の表面に対する前記PETフィルムの粘着力を求めた。これらの結果を表2に示す。
(比較例2)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)の代わりに前記シリコーンゴムシート「A90」(貯蔵弾性率E’:24.5MPa、tanδ:0.15)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。また、調製例2で得られたシリコーンゴムシート2の代わりに前記シリコーンゴムシート「A90」を用いた以外は実施例1と同様にして粘着性測定用試験片を作製し、シリコーンゴム部材の表面に対する前記PETフィルムの粘着力を求めた。これらの結果を表2に示す。
(比較例3)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)の代わりに前記超低硬度シリコーンゴムシート「A10」(貯蔵弾性率E’:0.81MPa、tanδ:0.15)を用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。また、調製例2で得られたシリコーンゴムシート2の代わりに前記超低硬度シリコーンゴムシート「A10」を用いた以外は実施例1と同様にして粘着性測定用試験片を作製し、シリコーンゴム部材の表面に対する前記PETフィルムの粘着力を求めた。これらの結果を表2に示す。
(比較例4)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)の表面を耐水研磨紙(株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブ製「C947H #1000」)を用いて30往復擦った後、洗剤で洗浄した。この表面研磨後のシリコーンゴムシート(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)を調製例2で得られたシリコーンゴムシート2の代わりに用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。また、調製例2で得られたシリコーンゴムシート2の代わりに前記表面研磨後のシリコーンゴムシートを用いた以外は実施例1と同様にして粘着性測定用試験片を作製し、シリコーンゴム部材の表面に対する前記PETフィルムの粘着力を求めた。これらの結果を表2に示す。
(比較例5)
調製例2で得られたシリコーンゴムシート2(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)の表面に潤滑剤(信越シリコーン製「KE−1051J(A)」)を薄く塗布した。この潤滑コーティング後のシリコーンゴムシート(貯蔵弾性率E’:9.3MPa、tanδ:0.35)を調製例2で得られたシリコーンゴムシート2の代わりに用いた以外は実施例1と同様にして外部拘束材を作製した。この外部拘束材の圧縮状態継続性及び回復性を実施例1と同様にして測定した。また、調製例2で得られたシリコーンゴムシート2の代わりに前記潤滑コーティング後のシリコーンゴムシートを用いた以外は実施例1と同様にして粘着性測定用試験片を作製し、シリコーンゴム部材の表面に対する前記PETフィルムの粘着力を求めた。これらの結果を表2に示す。
Figure 0006937071
表2に示した結果から明らかなように、貯蔵弾性率及びtanδが所定の範囲内にあるシリコーンゴム部材と、このシリコーンゴム部材の表面に対する粘着力が所定の範囲内にあるフィルム状又はシート状部材とを備えており、前記シリコーンゴム部材が2枚の前記フィルム状又はシート状部材に挟持されている、本発明の燃料電池外部拘束材(実施例1〜10)は、圧縮状態継続性及び回復性に優れたものであることが確認された。これは、本発明の燃料電池外部拘束材において、遅延弾性(印加した圧力が開放されてもサイズ(特に、厚さ)が直ぐには復元せず、遅れて復元する粘弾性応答)が発現すること、並びに、前記シリコーンゴム部材と前記フィルム状又はシート状部材との粘着性により圧縮状態からの回復が更に遅れることによるものと考えられる。
一方、シリコーンゴム部材の貯蔵弾性率が2.0MPa以下かつtanδが0.44以上になると、シリコーンゴムの復元力が弱く、また、シリコーンゴムが粘性体となるため、外部拘束材の回復性が極めて低くなることがわかった(比較例1)。また、シリコーンゴム部材の貯蔵弾性率が24.5MPa以上かつtanδが0.15以下になると、シリコーンゴムの復元力が強く、また、シリコーンゴムが弾性体となるため、外部拘束材の圧縮状態継続性が極めて低くなることがわかった(比較例2)。さらに、シリコーンゴム部材の貯蔵弾性率が2.0MPa以下であってもtanδが0.15以下になると、シリコーンゴムにおける弾性の寄与が粘性の寄与に比べて高くなるため、外部拘束材の圧縮状態継続性が低くなることがわかった(比較例3)。
また、シリコーンゴム部材の貯蔵弾性率及びtanδが所定の範囲内にある場合であっても、前記シリコーンゴム部材の表面に対するフィルム状又はシート状部材の粘着力が10kPa未満になると、前記シリコーンゴム部材が前記フィルム状又はシート状部材に拘束されないため、外部拘束材の圧縮状態継続性が低くなることがわかった(比較例4〜5)。
以上の結果から、本発明の燃料電池外部拘束材は、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する間(例えば、10分間)は圧縮状態が保持され、燃料電池スタックがスタックケースに収容された後(例えば、24時間後)には元のサイズ(特に、厚さ)に回復することが確認された。
以上説明したように、本発明の燃料電池外部拘束材は、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する間(例えば、10分間)は圧縮状態が保持され、燃料電池スタックがスタックケースに収容された後(例えば、24時間後)には元のサイズ(特に、厚さ)に回復させることが可能となる。
したがって、本発明の燃料電池の製造方法は、このような本発明の燃料電池外部拘束材を用いているため、燃料電池スタックをスタックケースに挿入する際の作業性に優れており、得られる燃料電池も単セルの積層位置のずれが十分に防止されたものとなる。
1:燃料電池外部拘束材
1a:シリコーンゴム部材
1b:フィルム状又はシート状部材
2:燃料電池スタック
2a:単セル
3:スタックケース
A:シリコーンゴム部材
B:フィルム状又はシート状部材(長さ:60mm)
C:フィルム状又はシート状部材(長さ:80mm)
D:スペーサーブロック
E:上チャックつかみ部分
F:下チャックつかみ部分

Claims (4)

  1. 動的粘弾性測定により求められる、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率が2.1〜24MPaであり、損失正接tanδが0.16〜0.43であるシリコーンゴム組成物の硬化物からなるシリコーンゴム部材と、フィルム状又はシート状部材と、を備えており、
    2枚重ねの前記フィルム状又はシート状部材を2個の前記シリコーンゴム部材で挟持(前記フィルム状又はシート状部材と前記シリコーンゴム部材の接触部分の大きさ:20mm×20mm)した部材をさらに2枚の前記フィルム状又はシート状部材で挟持(前記シリコーンゴム部材と前記フィルム状又はシート状部材の接触部分の大きさ:20mm×20mm)した測定用試験片を作製し、前記試験片作製完了から1分間経過した時点で、引張試験機を用いて前記試験片を30mm/分の速さで伸長させ、5mm伸長した時点の荷重をロードセルを用いて測定することによって、前記シリコーンゴム部材と前記フィルム状又はシート状部材との界面にかかる応力として求められる、前記シリコーンゴム部材の表面に対する前記フィルム状又はシート状部材の粘着力が10kPa〜1MPaであり
    前記シリコーンゴム部材が2枚の前記フィルム状又はシート状部材に挟持されていることを特徴とする燃料電池外部拘束材。
  2. 複数個の前記シリコーンゴム部材が前記フィルム状又はシート状部材の表面において互いに離間した状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池外部拘束材。
  3. 複数の単セルが積層された燃料電池スタックの周囲に請求項1又は2に記載の燃料電池外部拘束材を圧縮した状態で貼付した後、前記燃料電池スタックをスタックケースに挿入することを特徴とする燃料電池の製造方法。
  4. スタックケースの内壁に請求項1又は2に記載の燃料電池外部拘束材を圧縮した状態で貼付した後、複数の単セルが積層された燃料電池スタックを挿入することを特徴とする燃料電池の製造方法。
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