添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について以下に説明する。様々な実施形態を通じて同様の要素には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、各実施形態は適宜変更、組み合わせが可能である。以下の説明する実施形態は、デジタルX線撮像装置などの放射線撮像装置及び放射線撮像システムに関する。放射線撮像システムは、とりわけ、動画像を生成する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の一部の実施形態の放射線撮像装置100(図3)における1つの画素Pの概略回路を説明する等価回路図である。画素Pは、変換部CPと増幅部APとリセット部RPと保持部SH1〜SH3と出力部OP1〜OP3とを含む。以下の例では、これらの構成のそれぞれが回路で構成される。例えば、変換部CPは変換回路によって構成される。
変換部CPは、フォトダイオードPDと、トランジスタM1と、フローティングディフュージョン容量Cfd(以下、FD容量Cfd)と、感度切り替え用の付加容量Cfd’とを有する。フォトダイオードPDは光電変換素子の一例であり、波長変換体であるシンチレータに入射した放射線に応じて生じた光を電荷に変換する。すなわち、放射線を光に変換する波長変換体と、光を電荷に変換する光電変換素子とによって、放射線を電荷に変換する変換素子が構成される。これに代えて、変換素子として、放射線を直接電荷に変換する素子が用いられてもよい。放射線に応じた量の電荷がフォトダイオードPDで発生し、発生した電荷量に応じたFD容量Cfdの電圧が増幅部APに出力される。また、感度切り替え用の容量Cfd’は、放射線に対する画素Pの感度を切り替えるために用いられ、トランジスタM1(スイッチ素子)を介してフォトダイオードPDに接続されている。WIDE信号が活性化されることによってトランジスタM1が導通状態になり、FD容量Cfdと容量Cfd’との合成容量の電圧が増幅部APに出力される。すなわち、トランジスタM1の導通状態を制御することにより、高感度の変換部CPで変換された電荷に応じた電圧である高感度信号と、低感度の変換部CPで変換された電荷に応じた電圧である低感度信号と、の何れかが出力される。
増幅部APは、制御トランジスタM3と増幅トランジスタM4とクランプ容量Cclと制御トランジスタM6と増幅トランジスタM7と各定電流源とを有する。制御トランジスタM3と増幅トランジスタM4と定電流源(例えばカレントミラー構成のトランジスタ)とは電流経路を形成するように直列に接続されている。制御トランジスタM3のゲートに入力されるイネーブル信号ENが活性化されることによって、変換部CPからの電圧を受ける増幅トランジスタM4が動作状態となる。このようにしてソースフォロワ回路が形成され、変換部CPからの電圧を増幅した電圧が増幅トランジスタM4から出力される。増幅トランジスタM4から出力された電圧は、クランプ容量Cclを介して増幅トランジスタM7に入力される。制御トランジスタM6と増幅トランジスタM7と定電流源とは電流経路を形成するように直列に接続されている。制御トランジスタM6のゲートに入力されるイネーブル信号ENが活性化されることによって、増幅トランジスタM4からの電圧を受ける増幅トランジスタM7が動作状態となる。このようにしてソースフォロワ回路が形成され、増幅トランジスタM4からの電圧を増幅した電圧が増幅トランジスタM7から出力される。クランプ容量Cclは増幅トランジスタM4と増幅トランジスタM7との間に直列に配置されている。クランプ容量Cclによるクランプ動作については、後に説明するリセット部RPと併せて説明する。
リセット部RPは、リセットトランジスタM2とリセットトランジスタM5とを含む。リセットトランジスタM2は、リセット信号PRESが活性化されるとフォトダイオードPDに所定の電位を供給し、それによってフォトダイオードPDの電荷をリセット(初期化)し、増幅部APに出力される電圧をリセットする。リセットトランジスタM5は、クランプ容量Cclと増幅トランジスタM7との間の接続ノードに所定の電位を供給することにより、増幅トランジスタM7から出力される電圧をリセットする。リセットトランジスタM2によるリセット時の変換部CPからの電圧に応じた電圧がクランプ容量Cclの入力端子n1に入力される。また、クランプ信号PCLが活性化されることによりリセットトランジスタM5が導通状態になり、所定の電位であるクランプ電圧VCLがクランプ容量Cclの出力端子n2に入力される。このようにして、クランプ容量Cclの両端子間で生じた電位差をノイズ成分としてクランプし、その後のフォトダイオードPDでの電荷の発生および蓄積に伴い変化した電圧を信号成分として出力する。これがクランプ容量Cclを用いたクランプ動作であり、クランプ動作により変換部CPで生じるkTCノイズや増幅トランジスタM4のオフセット等のノイズ成分が抑制される。
変換部CPと増幅部APとによって、放射線を電荷に変換し、変換部CPに蓄積された電荷に基づく信号を生成する信号生成部が構成される。蓄積された電荷に応じた信号を蓄積信号と呼ぶ。変換部CPに蓄積された電荷は、放射線に応じて発生した電荷と、放射線によらずに発生した電荷(いわゆる暗電荷)とを含む。蓄積信号は、上述の高感度信号又は低感度信号に基づく。この信号生成部をリセット部RPが電荷蓄積前の状態にリセットすることによって信号生成部が生成する信号をリセット信号と呼ぶ。信号生成部のリセットは、上述のように、光電変換素子PDの電位とクランプ容量Cclの出力端子n2の電位とをリセットすることによって行われる。蓄積信号とリセット信号とを総称して画素信号と呼ぶ。変換部CPに電荷が蓄積された後に信号生成部が出力する画素信号が蓄積信号であり、信号生成部がリセット状態である場合に出力する画素信号がリセット信号である。
保持部SH1は、増幅部APから出力された画素信号を保持可能な部分であり、転送トランジスタM8と保持容量CS1とを含むサンプルホールド回路である。具体的には、サンプルホールド制御信号TS1を用いて転送トランジスタM8の状態(導通状態または非導通状態)を切り替えることにより、画素信号を容量CS1に転送して保持するサンプリングを行う。出力部OP1は、信号増幅トランジスタM10と出力スイッチSW9とを含む。信号増幅トランジスタM10は、保持容量CS1に保持された画素信号を増幅して出力するためのトランジスタであり、出力スイッチSW9は信号増幅トランジスタM10によって出力された画素信号を転送するスイッチである。具体的には、出力スイッチSW9に入力される垂直走査信号VSRによって出力スイッチSW9が導通状態となることにより、列信号線406で接続される後段の定電流源CCSpと信号増幅トランジスタM10とでソースフォロワ回路が形成される。これにより、出力部OP1によって、保持部SH1に保持された画素信号が増幅されて画素Pから出力される。以下では、画素Pから出力された増幅後の画素信号を画素信号S1と呼ぶ。また、画素信号が蓄積信号である場合は蓄積信号S1、リセット信号である場合はリセット信号S1と呼ぶ。
保持部SH2は、増幅部APから出力された画素信号を保持可能な部分であり、転送トランジスタM11と保持容量CS2とを含むサンプルホールド回路である。具体的には、サンプルホールド制御信号TS2を用いて転送トランジスタM11の状態(導通状態または非導通状態)を切り替えることにより、画素信号を容量CS2に転送して保持するサンプリングを行う。出力部OP2は、信号増幅トランジスタM13と出力スイッチSW12とを含む。信号増幅トランジスタM13は、保持容量CS2に保持された画素信号を増幅して出力するためのトランジスタであり、出力スイッチSW12は信号増幅トランジスタM13によって出力された画素信号を転送するスイッチである。具体的には、出力スイッチSW12に入力される垂直走査信号VSRによって出力スイッチSW12が導通状態となることにより、列信号線407で接続される後段の定電流源CCSpと信号増幅トランジスタM13とでソースフォロワ回路が形成される。これにより、出力部OP2によって、保持部SH2に保持された画素信号が増幅されて画素Pから出力される。以下では、画素Pから出力された増幅後の画素信号を画素信号S2と呼ぶ。また、画素信号が蓄積信号である場合は蓄積信号S2、リセット信号である場合はリセット信号S2と呼ぶ。
保持部SH3は、増幅部APから出力された画素信号を保持可能な部分であり、転送トランジスタM14と保持容量CS3とを含むサンプルホールド回路である。具体的には、サンプルホールド制御信号TS3を用いて転送トランジスタM14の状態(導通状態または非導通状態)を切り替えることにより、画素信号を容量CS3に転送して保持するサンプリングを行う。出力部OP3は、信号増幅トランジスタM16と出力スイッチSW15とを含む。信号増幅トランジスタM16は、保持容量CS3に保持された画素信号を増幅して出力するためのトランジスタであり、出力スイッチSW15は信号増幅トランジスタM16によって出力された画素信号を転送するスイッチである。具体的には、出力スイッチSW15に入力される垂直走査信号VSRによって出力スイッチSW15が導通状態となることにより、列信号線408で接続される後段の定電流源CCSpと信号増幅トランジスタM16とでソースフォロワ回路が形成される。これにより、出力部OP3によって、保持部SH3に保持された画素信号が増幅されて画素Pから出力される。以下では、画素Pから出力された増幅後の画素信号を画素信号S3と呼ぶ。また、画素信号が蓄積信号である場合は蓄積信号S3、リセット信号である場合はリセット信号S3と呼ぶ。
容量CS1、容量CS2および容量CS3のサンプルホールド後は、転送トランジスタM8、転送トランジスタM11および転送トランジスタM14がオフとなり、これによって容量CS1、容量CS2および容量CS3が前段の増幅部APから切り離される。このため、保持された画素信号(蓄積信号又はリセット信号)は、再度サンプルホールドされるまで非破壊で読み出すことが可能である。
次に図2(A)及び図2(B)を用いて、本実施形態の放射線撮像装置100の画素アレイ120及び読出し回路20を説明する。図1の画素Pが二次元アレイ状に複数配列されて画素アレイ120が構成される。そして、画素アレイ120からの信号は読出し回路20によって読み出される。まず、図2(A)を用いて本実施形態の放射線撮像装置100の画素アレイ120を説明する。図2(A)は、本実施形態の放射線撮像装置100の画素アレイ120の概略構成を説明するための等価回路図である。
画素アレイ120は、複数の画素Pと、各画素Pを駆動するための垂直走査回路403と、各画素Pから信号読出を行うための水平走査回路404と、を備える。垂直走査回路403および水平走査回路404は、例えばシフトレジスタで構成されており、制御部109(図3)からの制御信号に基づいて動作する。垂直走査回路403は、制御線405を介して各画素Pに垂直走査信号VSRを供給し、当該垂直走査信号VSRに基づいて各画素Pを行単位で駆動する。すなわち、垂直走査回路403は行選択部として機能し、信号読出を行うべき画素Pを行単位で選択する。また、水平走査回路404は列選択部として機能し、水平走査信号HSRに基づいて各画素Pを列単位で選択して、各画素Pからの信号を順に出力させる(水平転送)。ここで、行選択部(垂直走査回路403)の動作周波数は、列選択部(水平走査回路404)の動作周波数に比べて低く、即ち、行選択部(垂直走査回路403)は列選択部(水平走査回路404)に比べて動作が遅い。
また、画素アレイ120は、各画素Pの容量CS1に保持された画素信号を読み出すための端子Es1と、容量CS2に保持された画素信号を読み出すための端子Es2と、容量CS3に保持された画素信号を読み出すための端子Es3と、を有する。また、画素アレイ120はセレクト端子Ecsをさらに有し、端子Ecsが受ける信号が活性化されることによって、当該画素アレイ120の各画素Pの画素信号が、端子Es1、Es2及びEs3を介して読み出される。具体的には、前述の各画素Pの画素信号S1、画素信号S2及び画素信号S3が、各端子に対応する列信号線406〜408に供給される。
制御トランジスタSWchと増幅トランジスタAvと定電流源CCSvとは電流経路を形成するように直列に接続されている。増幅トランジスタAvの出力は、水平走査回路404からの水平走査信号HSRに応答して導通状態になる転送トランジスタSWahを介して、アナログ信号線409〜411に接続されている。制御トランジスタSWchのゲートに入力される水平走査信号HSRが活性化されることによって、列信号線406〜408からの電圧をそれぞれに受ける増幅トランジスタAvが動作状態になる。このようにしてソースフォロワ回路が形成され、列信号線406〜408からの電圧を増幅した電圧が、水平走査信号HSRに応答して導通状態になる転送トランジスタSWahを介してアナログ信号線409〜411に出力される。
増幅トランジスタAoutと定電流源CCSoutとは電流経路を形成するように直列に接続され、動作状態のソースフォロワ回路が形成されている。これによりアナログ信号線409〜411からの電圧を増幅した電圧が、端子Ecsが受ける信号に応答して導通状態になる転送トランジスタSWcsを介して、端子Es1、Es2及びEs3から出力される。
また、画素アレイ120は、垂直走査回路403および水平走査回路404を制御するための各制御信号を受ける端子HST、CLKH、VSTおよびCLKVをさらに有する。端子HSTは、水平走査回路404に入力されるスタートパルスを受ける。端子CLKHは、水平走査回路404に入力されるクロック信号を受ける。端子VSTは、垂直走査回路403に入力されるスタートパルスを受ける。端子CLKVは、垂直走査回路403に入力されるクロック信号を受ける。これらの各制御信号は、後述する制御部109から入力される。水平走査回路404は入力されたスタートパルスとクロック信号とに基づいて水平走査信号HSRを生成して出力し、垂直走査回路403は入力されたスタートパルスとクロック信号とに基づいて垂直走査信号VSRを生成して出力する。これにより、画素信号S1、画素信号S2及び画素信号S3が、各画素からX‐Yアドレス方式で順次に読み出される。すなわち、画素アレイ120では、各画素Pは行単位で制御され、各保持部に保持された信号が列単位で出力される(水平転送される)ことによって、信号が読み出される。
次に、図2(B)を用いて本実施形態の放射線撮像装置の読出し回路20を説明する。図2(B)は、本実施形態の放射線撮像装置の読出し回路20の概略構成を説明するための等価回路図である。読出し回路20は、例えば差動増幅器等を含む信号増幅部107とAD変換を行うAD変換部108とを有する。
端子Es3からの画素信号S3は信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に入力される。また、端子Es1からの画素信号S1は、制御端子に入力される制御信号TRO1に応答して導通状態になるスイッチM51を介して、信号増幅部107の反転入力端子AMP−に入力される。また、端子Es2からの画素信号S2は、制御端子に入力される制御信号TRO2に応答して導通状態になるスイッチM52を介して、反転入力端子AMP−に入力される。スイッチM51及びM52は、端子Es1及び端子Es2の一方の信号が反転入力端子AMP−に入力されるように制御される。スイッチM51及びM52並びに信号増幅部107は、信号ADCLKの周期に追従可能な応答特性を有するように設計される。
信号増幅部107では、端子Es1からの信号と端子Es3からの信号との差分、又は端子Es2からの信号と端子Es3からの信号との差分が増幅される。この差分はAD変換部108で、端子ADCLKを介して入力されるクロック信号に基づいてデジタルデータにAD変換される。このような構成により、画素アレイ120の画像データ(デジタルデータ)が得られ、端子ADOUTを介して後述する制御部109に出力される。
以上のような画素アレイ120及び読出し回路20を用いて、本実施形態の放射線撮像装置100及び放射線撮像システムSYSが構成される。次に、図3を用いて本実施形態の放射線撮像装置100及び放射線撮像システムSYSを説明する。図3は、本実施形態の放射線撮像装置100及び放射線撮像システムSYSの概略構成を説明するための模式図である。
放射線撮像システムSYSは、放射線撮像装置100と、放射線を発生する放射線発生装置104と、照射制御部103と、画像処理およびシステム制御を行う信号処理部101と、ディスプレイ等を含む表示部102と、を備える。放射線撮影を行う際には、信号処理部101によって放射線撮像装置100と照射制御部103とが同期制御される。被検者を通過した放射線(X線、α線、β線、γ線等)に基づいて放射線撮像装置100が信号を生成し、この信号に対して信号処理部101等において所定の処理が為された後、当該放射線に基づく画像データが生成される。当該画像データは表示部102に放射線画像として表示される。放射線撮像装置100は、撮像領域10を有する撮像パネル105と、撮像領域10から信号を読み出す読出し回路20と、各ユニットを制御する制御部109とを備える。
撮像パネル105は、複数の画素アレイ120が板状の基台の上にタイリング(2次元配列)されて構成され、このような構成により大型の撮像パネル105が形成される。各画素アレイ120には複数の画素Pが配列されており、撮像領域10は、複数の画素アレイ120によって行および複数の列を形成するように配列された複数の画素Pを含む。また、ここでは、複数の画素アレイ120が7列×2行を形成するようにタイリングされた構成が例示されているが、この構成に限られるものではない。
制御部109は、例えば信号処理部101との間で、制御コマンドの通信を行い、同期信号の通信を行い、信号処理部101への画像データの出力を行う。また、制御部109は、撮像領域10又は各ユニットを制御し、例えば、各画素アレイ120の基準電圧の設定、各画素の駆動制御や動作モード制御を行う。また、制御部109は、読出し回路20のAD変換部108によりAD変換された各画素アレイ120の画像データ(デジタルデータ)を用いて1つのフレーム画像データに合成し、信号処理部101に出力する。制御部109は、CPU等のプロセッサと、RAMやROMなどのメモリとで構成されてもよい。制御部109のプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって、後述する放射線撮像装置100の動作が実行されてもよい。これに代えて、制御部109は、ASIC(特定用途向け集積回路)等の専用回路で構成されてもよい。信号処理部101も同様に、CPU等のプロセッサと、RAMやROMなどのメモリとで構成されたコンピュータであってもよいし、ASIC等の専用回路で構成されてもよい。信号処理部101は後述するように画像を生成するので、画像生成装置と呼ぶこともできる。信号処理部101には、信号処理部101の処理で用いられるデータを記憶可能な記憶部115が接続されている。記憶部115は、例えば磁気ディスクや半導体ドライブなどで構成されてもよい。
制御部109と信号処理部101との間では、各種インターフェースを介して、制御コマンド又は制御信号および画像データの授受が行われる。信号処理部101は、制御用インターフェース110を介して、動作モードや各種パラメータなどの設定情報又は撮影情報を制御部109に出力する。また、制御部109は、制御用インターフェース110を介して、放射線撮像装置100の動作状態などの装置情報を信号処理部101に出力する。また、制御部109は、画像データインターフェース111を介して、放射線撮像装置100で得られた画像データを信号処理部101に出力する。また、制御部109は、READY信号112を用いて、放射線撮像装置100が撮影可能な状態になったことを信号処理部101に通知する。また、信号処理部101は、同期信号113を用いて、制御部109からのREADY信号112に応答して制御部109に、放射線の照射開始のタイミングを通知する。また、また、照射許可信号114は撮像パネル105が蓄積中であることを信号処理部101に通知する信号である。信号処理部101は、照射許可信号114がイネーブル状態の間に、照射制御部103に制御信号を出力して放射線照射を開始させる。
図4及び図5は放射線撮像装置100の駆動方法の一例を示すタイムチャートである。この方法は、制御部109が放射線撮像装置100の各コンポーネントの動作を制御することによって実行される。放射線撮像装置100は、図4の駆動方法により複数のリセット画像を生成し、図5の駆動方法により複数のフレーム画像で構成される動画撮影を行う。リセット画像とは各画素から読み出されたリセット信号に基づいて生成される画像のことである。
図4及び図5において、「SYNC」〜「WIDE」は、各信号のレベルを示す。「CS1」、「CS2」及び「CS3」は、容量素子CS1、CS2及びCS3に保持されている信号を示す。「Es1」、「Es2」及び「Es3」は画素アレイ120の各保持部から読出し回路20へ信号を読み出す期間を示す。制御部109は、「Es1」〜「Es3」がハイレベルの間に信号の読出し動作を実行する。「AMP−」は信号増幅部107の反転入力端子AMP−に信号が入力される期間を示す。「AMP+」は信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に信号が入力される期間を示す。期間Rは信号増幅部107の出力端子から信号が出力される期間を示す。「AMP−」及び「AMP+」はいずれもハイレベルで信号の入力期間を示す。
図4は画素Pの変換部CP及び増幅部APのリセットを行った後に、リセット信号を連続して複数回読み出す駆動方法の一例を示すタイムチャートである。図4の駆動方法において、付加容量Cfd’を付加しない感度の撮影モードが設定された場合について説明する。
図4の駆動が行われる前に、撮影モードが設定される。具体的には、画素Pの感度が、感度切り替え用の付加容量Cfd’を付加しないFD容量Cfdのみの高感度であるので、制御部109は、制御信号WIDEを非活性化する。制御部109は、SYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、リセット画像を生成するための駆動を開始する。SYNC信号は外部同期信号と内部同期信号とのどちらでも構わないが、本実施形態では外部同期信号とする。
リセット駆動及びサンプルホールド駆動(以下、RSD駆動と呼ぶ)について説明する。RSD駆動とは、変換部CP及び増幅部APのリセットと、リセット信号のサンプルホールドとを行う駆動のことである。制御部109は、以下に説明する駆動RSDを撮像パネル105に含まれるすべての画素Pに対して一括して行う。すなわち、制御部109は、複数の画素のそれぞれが同じタイミングでリセット信号を生成するように各画素Pを制御する。
制御部109は、SYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、リセット画像を生成するための駆動を開始する。制御部109は、イネーブル信号ENを活性化する。これによって、制御トランジスタM3及び制御トランジスタM6が導通状態になる。制御トランジスタM3が導通状態になると、変換部CPからの電圧を受ける増幅トランジスタM4が動作状態となり、変換部CPからの電圧を増幅した電圧が増幅トランジスタM4から出力される。また、制御トランジスタM6が導通状態になると、増幅トランジスタM4からの電圧を受ける増幅トランジスタM7が動作状態となり、増幅トランジスタM4からの電圧を増幅した電圧が増幅トランジスタM7から出力される。
また、制御部109は、リセット信号PRESを活性化する。これによって、フォトダイオードPDに所定の電位であるリセット電圧VRESが供給され、フォトダイオードPDの電荷がリセットされる。その結果、増幅部APに出力される電圧がリセットされ、リセットトランジスタM2によるリセット時の変換部CPからの電圧に応じた電圧がクランプ容量Cclの入力端子n1に入力される。制御部109は、次にクランプ信号PCLを活性化する。これによって、クランプ容量Cclと増幅トランジスタM7との間の接続ノードに所定の電圧VCLが供給される。その結果、増幅トランジスタM7から出力される電圧がリセットされ、所定の電位であるクランプ電圧VCLがクランプ容量Cclの出力端子n2に入力される。
制御部109は、次にクランプ信号PCLを非活性化するまでの間に制御信号TS1〜TS3を一時的に活性化する。これによって、転送トランジスタM8、M11、M14が一時的に非導通状態から導通状態に切り替わり、リセット信号S1〜S3が保持容量CS1〜CS3に転送され保持される(すなわち、リセット信号のサンプリングが行われる)。
制御部109は、制御信号TS1〜TS3を一時的に活性化している間にリセット信号PRESを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM2が非導通状態になる。制御部109は、制御信号TS1〜TS3を非活性化後にクランプ信号PCLを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM5が非導通状態になる。制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化にした後、制御トランジスタM3と制御トランジスタM6のゲートに入力されるイネーブル信号ENを非活性化する。これで、駆動RSDを終了する。
図4の参照を続けて、駆動RSDの後にリセット信号S1及びリセット信号S3を読み出す動作について説明する。本実施形態で、読出し回路20は、リセット信号S1〜S3の保持開始から所定時間を経過後にリセット信号S1及びリセット信号S3の読出しを開始する。駆動RSD終了時点で、保持容量CS1〜CS3にリセット信号S1〜S3が保持されている。そこで、制御部109は、駆動RSD終了から所定時間が経過後に、これらの保持容量に保持されたリセット信号S1及びリセット信号S3の読出しを開始する。具体的には、制御部109は、セレクト端子Ecs及び制御信号TRO1を活性化するとともに、制御信号TRO2を不活性化する。続いて、制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって、画素アレイ120に含まれる複数の画素Pのうち最初に読み出す画素を選択する。これによって、選択された画素Pの保持部TS1に保持されたリセット信号S1が信号増幅部107の反転入力端子AMP−に入力され、選択された画素Pの保持部TS3に保持されたリセット信号S3が信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に入力される。このように、読出し回路20は、リセット信号S1及びリセット信号S3を同じタイミングで読み出す。
前述の駆動RSDで、同電位のリセット信号が保持容量CS1及び保持容量CS3に保持されている。制御部109は、保持されたリセット信号S1及びリセット信号S3を、画素アレイ120内部の2系統の画素信号の信号経路(差動信号経路)を通じて読み出し、信号増幅部107に出力する。画素アレイ120からの出力を受けた信号増幅部107は、リセット信号S1及びリセット信号S3の差分をとって得られる信号を出力する。リセット信号S1は保持部SH1から第1信号経路を通じて読み出され、リセット信号S3は保持部SH3から第1信号経路とは異なる第2信号経路を通じて読出し回路20に読み出される。蓄積信号S1及びリセット信号S1は、各画素Pから同一の第1信号経路を通じて読出し回路20に読み出される。
信号増幅部107の出力信号は、差動入力により2系統の信号経路の共通のオフセットが補正された画素信号に相当するが、2系統の信号経路に含まれる異なるノイズの差分は残る。この出力信号は、AD変換部108によってデジタルデータに変換され、制御部109に供給される。制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって選択画素を順次切り替え、期間Rで画像を生成するための画素データを取得し、リセット信号で構成されるリセット画像を生成する。制御部109は、期間Rの読出しを複数回行うことにより複数のリセット画像を取得する。
図5は蓄積期間を最大にする駆動方法の一例を示すタイムチャートである。図5の駆動方法において、フレーム画像レート一定であり、付加容量Cfd’を付加しない感度の撮影モードが設定された場合について説明する。
フレーム期間F1〜F5は、撮影開始後の1番目〜5番目のフレーム期間を示す。フレーム期間とは、複数のフレーム画像を生成するために反復される期間のことである。蓄積期間Tは、フレーム期間F1〜F5に対応する蓄積期間を示す。蓄積期間Tとは、電荷が光電変換素子PDに蓄積される期間のことである。この電荷は、放射線によって発生する電荷と、それ以外の暗電荷とを含む。蓄積期間Tの間、制御部109は放射線の照射が可能であることを照射許可信号114により信号処理部101へ通知する。
撮影前に撮影モードが設定される。具体的に、画素Pの感度が、感度切り替え用の付加容量Cfd’を付加しないFD容量Cfdのみの高感度であるので、図4のタイムチャートと同様に制御部109により、制御信号WIDEが非活性化されている。
制御部109は、同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F1でフレーム画像を生成するための駆動を開始する。SYNC信号におけるパルスの立ち上がりによって1つのフレーム期間F1が始まり、次の立ち上がりによってこのフレーム期間F1が終わり、次のフレーム期間F2が始まる。
フレーム期間F1における駆動SRSDについて説明する。駆動に関して図4と重複する説明は省略する。制御部109は、以下に説明する駆動SRSDを撮像パネル105に含まれるすべての画素Pに対して一括して行う。駆動SRSDは、フレーム期間F1〜F5に実行されるサンプルホールド駆動及びリセット駆動を示す。サンプルホールド駆動とは、画素信号を保持部に保持するためのサンプルホールドを行う駆動のことである。リセット駆動とは、変換部CP及び増幅部APのリセットを行う駆動のことである。
制御部109は、SYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F1でフレーム画像を生成するための駆動を開始する。まず、制御部109は、イネーブル信号ENを活性化する。これによって、変換部CPからの電圧を増幅した電圧が増幅トランジスタM4から出力される。また、増幅トランジスタM4からの電圧を増幅した電圧が増幅トランジスタM7から出力される。次に、制御部109は、制御信号TS1を一時的に活性化する。これによって、蓄積信号S1が保持容量CS1に転送され保持されるが、撮影の最初の駆動SRSDで、この蓄積信号S1は不要な信号である。
次に、制御部109は、リセット信号PRESを活性化する。これによって、フォトダイオードPDに所定の電位であるリセット電圧VRESが供給され、フォトダイオードPDの電荷がリセットされる。その結果、リセット時の変換部CPからの電圧がクランプ容量Cclの入力端子n1に入力される。制御部109は、次にクランプ信号PCLを活性化する。これによって、所定の電位であるクランプ電圧VCLがクランプ容量Cclの出力端子n2に入力される。
次に、制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化するまでの間に制御信号TS2及びTS3を一時的に活性化する。これによって、リセット信号S2及びS3が保持容量CS2及びCS3に転送され保持される(すなわち、リセット信号のサンプリングが行われる)。
制御部109は、制御信号TS2及びTS3を一時的に活性化している間にリセット信号PRESを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM2が非導通状態になる。制御部109は、制御信号TS2及びTS3を非活性化後にクランプ信号PCLを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM5が非導通状態になり、入力端子n1と出力端子n2との間で生じた電位差がクランプ容量Cclの両端子に保たれ、電荷が光電変換素子PDに蓄積される蓄積期間Tが始まる。制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化にした後、イネーブル信号ENを非活性化する。これで、フレーム期間F1における駆動SRSDを終了する。期間F1では有効な蓄積信号が保持容量CS1に保持されていないため画素信号の読み出しは行わない。
制御部109は、SYNC信号におけるパルスの次の立ち上がりを検出すると、フレーム期間F2でフレーム画像を生成するための駆動を開始する。フレーム期間F2においてもフレーム期間F1と同様に駆動SRSDが行われる。
まず、制御部109は、イネーブル信号ENを活性化し、次に制御信号TS1を一時的に活性化する。これによって、転送トランジスタM8が非導通状態から導通状態に切り替わり、フレーム期間F1内で開始される期間Tで蓄積された蓄積信号S1が、保持容量CS1に転送され保持される(すなわち、蓄積信号のサンプリングが行われる)。
次に、制御部109は、期間F1と同様に順次リセット信号PRES、クランプ信号PCLを活性化する。次に、制御部109は、TS2及びTS3を一時的に活性化し、リセット信号S2及びS3を保持容量CS2及びCS3に保持する。次に、制御部109は、順次リセット信号PRES、クランプ信号PCLを非活性化する。クランプ信号PCLの非活性化によりフレーム期間F2の蓄積期間Tが始まる。その後、制御部109は、イネーブル信号ENを非活性化し、フレーム期間F2における駆動SRSDを終了する。
図5の参照を続けて、フレーム期間F2の期間Tcにおいて蓄積信号S1及びリセット信号S3を読み出す動作について説明する。本実施形態で、読出し回路20は、蓄積信号S1の保持開始から所定時間を経過後に蓄積信号S1及びリセット信号S3の読出しを開始する。フレーム期間F2の駆動SRSD終了時点で、保持容量CS1にフレーム期間F1の蓄積信号S1が保持され、保持容量CS2〜CS3に所定の電位であるクランプ電圧VCLによるリセット信号S2〜S3が保持されている。そこで、制御部109は、駆動SRSD終了から所定時間が経過後に、これらの保持容量に保持された蓄積信号S1及びリセット信号S3の読出しを開始する。具体的に、制御部109は、セレクト端子Ecs及び制御信号TRO1を活性化するとともに、制御信号TRO2を不活性化する。続いて、制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって、画素アレイ120に含まれる複数の画素Pのうちの1つを選択する。これによって、選択された画素Pに保持された蓄積信号S1が信号増幅部107の反転入力端子AMP−に入力され、選択された画素Pに保持されたリセット信号S3が信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に入力される。このように、読出し回路20は、蓄積信号S1及びリセット信号S3を同じタイミングで読み出す。
制御部109は、保持された蓄積信号S1及びリセット信号S3を、画素アレイ120内部の2系統の画素信号の信号経路(差動信号経路)を経て読み出し、信号増幅部107に出力する。画素アレイ120からの出力を受けた信号増幅部107は、蓄積信号S1及びリセット信号S3の差分をとって得られる信号を出力する。信号増幅部107出力信号は、差動入力により2系統の信号経路のオフセットが補正された画素信号に相当するが、2系統の信号経路に含まれるノイズの差分は残る。蓄積信号S1は保持部SH1から第1信号経路を通じて読み出され、リセット信号S3は保持部SH3から第2信号経路を通じて読み出される。
この出力信号は、AD変換部108によってデジタルデータに変換され、制御部109に供給される。制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって選択画素を順次切り替え、期間Rで画像を生成するためのデジタルデータを取得し、フレーム期間F1に対応する画像を生成する。このように、各画素から読み出された蓄積信号に基づいて生成された画像を蓄積画像と呼ぶ。後述するように、図5の処理は、放射線撮像装置100に放射線が照射されていない状態と、放射線撮像装置100に放射線が照射されている状態と、のそれぞれで行われる。放射線撮像装置100に放射線が照射されていない状態で生成された蓄積画像を暗画像と呼ぶ。放射線撮像装置100に放射線が照射されている状態で生成された蓄積画像を放射線画像と呼ぶ。
続いて、フレーム期間F3以降のフレーム期間においても同様の駆動SRSDが行われる。駆動SRSDにより1つ前のフレーム期間の蓄積信号S1が保持容量CS1に、リセット信号S2及びS3が保持容量CS2及びCS3にそれぞれ転送され保持される。駆動SRSDが終了すると、制御部109は、選択画素を順次切り替え、期間Rで蓄積画像を生成するためのデジタルデータを取得し、1つ前のフレーム期間に対応する蓄積画像を生成する。上述の各フレーム期間において、保持部SH1にリセット信号S1は保持されない。
画素アレイ120内部の画素信号の信号経路には、信号線の他に増幅トランジスタ、定電流源及びスイッチなどの半導体素子が含まれ、個々の半導体素子起因により異なる1/fノイズが発生する。この1/fノイズは周波数が下がるほど大きい。読出し回路20を構成する信号増幅部107及びAD変換部108の半導体も1/fノイズ成分を含む。すなわち、生成される信号には、画素アレイ120内部の信号経路のノイズに、読出し回路20のノイズ成分が重畳されている。
上述の例で、読出し信号が差動で伝送される方法が行われる。差動の各伝送経路の半導体素子には固有のオフセット、1/fノイズが存在する。差動信号間の差は生成される画像に重畳され、固有のアーチファクト、ランダムノイズ、縦線ノイズ、ブロック状アーチファクトとして画像に現れる。固有のオフセットに関しては、撮影前にあらかじめ取得した暗画像を、放射線画像から減算することによりアーチファクトを抑制することが可能である。
時間変動する半導体素子の1/fノイズを良好に補正するために、暗画像は撮影開始の直前に生成することが考えられる。しかし、撮影モードが数種類に限定されていたとしても蓄積を含む暗画像の生成には時間を要し、特に撮影の直前に生成する場合は撮影開始にタイムラグが発生する。
また、低周波ノイズが画像に及ぼす影響は、半導体素子が使用される回路の場所で異なる。例えば、画素アレイ120の画素回路Pの保持容量の増幅トランジスタM10、M13及びM16の低周波ノイズはランダムノイズとして画像に影響する。画素アレイ120の列信号線406〜408の画素信号の増幅に用いられる定電流源CCSp、増幅トランジスタAv及び定電流源CCSvの低周波ノイズは縦線ノイズとして画像に影響する。アナログ信号線409〜411の画素信号の増幅に用いられる増幅トランジスタAout及び定電流源CCSout、信号増幅部107及びAD変換部108の低周波ノイズは、画素アレイ全領域にノイズが重畳され、ブロック状アーチファクトとして画像に影響する。特に、大面積フラットパネルセンサを使用した3D撮影において、縦線ノイズ、ブロック状アーチファクトは3Dの再構成画像にリングアーチファクトを発生させ、ランダムノイズ以上に画像に影響を及ぼすことが知られている。
本実施形態では、撮影開始指示を受ける前に補正用画像を生成し、補正用画像と、放射線撮影直前に生成したリセット画像と、放射線画像と、を用いてフレーム画像を生成する。これによって、撮影開始時のタイムラグを抑制しつつ、1/fノイズに起因して発生する縦線ノイズ、ブロック状アーチファクトを補正可能である。
図6は、信号処理部101がリセット画像及び暗画像に基づいて補正用画像を生成する処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、放射線撮像システムSYSがユーザから撮影開始指示を受ける前に行われる。この処理では、各画素から読み出されたリセット信号S1及び蓄積信号S1に基づいて補正用画像が生成される。
S101の起動処理において、信号処理部101は、放射線撮像装置100の制御部109に制御用インターフェース110を通して制御コマンドを発行し、放射線撮像装置100を撮像可能状態に遷移させる。S102で、信号処理部101は、制御用インターフェース110を通して放射線撮像装置100が撮影可能状態に遷移したかどうかを判定し、遷移していない場合(S102で「NO」)に、放射線撮像装置100が撮影可能状態になるのを待つ。
放射線撮像装置100が撮影可能状態になったら(S102で「YES」)、S103において、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、撮影モードを設定する。撮影モードの設定は、感度設定、フレーム画像レートの設定、蓄積時間設定、画素加算設定などである。
S104で、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、リセット画像生成シーケンスで放射線撮像装置100が駆動されるよう設定する。リセット画像生成シーケンス設定では、1回の同期信号SYNCで複数のリセット画像を生成するため、信号処理部101は、生成すべきリセット画像の枚数Nも同時に設定する。リセット画像生成シーケンスが設定されると、制御部109は、図4に示した駆動方法で放射線撮像装置を制御する準備が整う。すなわち、制御部109は、同期信号SYNCを受けると、撮像パネル105の駆動を行い、リセット信号を撮像パネル105から読出し、既定のN枚のリセット画像を順次信号処理部101に転送する準備が整う。
S105で、信号処理部101は、内部のカウンタを0にリセットする。このカウンタはリセット画像の取得枚数をカウントするカウンタである。S106で、信号処理部101は、同期信号113を通じて同期信号SYNCを制御部109に出力する。ここで、同期信号SYNCを受信した制御部109は、図4に示した駆動を開始する。制御部109は駆動RSDが完了すると、信号処理部へのリセット画像の転送を開始する。
S107からS109は、信号処理部101が既定枚数Nのリセット画像を順次受信する処理を示す。S107で、信号処理部101は、リセット画像を1枚受信し、受信したリセット画像を記憶部115に記憶する。S108で、信号処理部101は、カウンタのインクリメントを行う。S109で、信号処理部101は、S104のリセット画像生成シーケンス設定で設定した既定の枚数Nだけリセット画像を取得できたかを判定する。既定枚数Nを取得したならば(S109で「YES」)、信号処理部101は、S110の処理を実施する。既定枚数Nが取得できていない場合に(S109で「NO」)、信号処理部101は、S107の処理に戻り次のリセット画像を受信する。S110で、信号処理部101は、受信した既定枚数Nのリセット画像を平均した平均リセット画像を生成し、記憶部115に記憶する。ここまでの処理は、最初の放射線照射前に行われる。
S111で、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、放射線撮影成シーケンスで放射線撮像装置100が駆動されるよう設定する。放射線撮影シーケンスが設定されると、制御部109は、図5に示した駆動方法で放射線撮像装置を制御する準備が整う。すなわち、制御部109は、同期信号SYNCを受けると、撮像パネル105の駆動を行い、蓄積信号を撮像パネル105から読出し、蓄積画像として信号処理部101に転送するシーケンスの準備が整う。
S112で、信号処理部101は、内部のカウンタを0にリセットする。S113で、信号処理部101は、同期信号SYNCを制御部109に出力する。ここで、同期信号SYNCを受信した制御部109は、図5に示す同期信号SYNCに同期した駆動を開始する。制御部109は、S111の設定から最初の同期信号SYNCでは駆動SRSDのみを行い、蓄積信号の読出しを行わず、2回目以降の同期信号SYNCから駆動SRSDに合わせて蓄積信号の読出しを行い、信号処理部101に蓄積画像を転送する。この処理の間に放射線撮像装置100へ放射線が照射されないので、転送される蓄積画像は暗画像である。
S114で、信号処理部101は、カウンタの値を判定する。最初の同期信号では暗画像は転送されてこないので(S114で「YES」)、信号処理部101は、暗画像の取得処理を行わず、ステップS116に移行する。2回目以降の同期信号で(S114で「NO」)、信号処理部101は、暗画像の取得を行う。
S115で、信号処理部101は、暗画像を1枚受信し、受信した暗画像を記憶部115に記憶する。S116で、信号処理部101は、既定の枚数Nの暗画像が取得できたかを判定し、既定枚数Nを取得したならば(S116で「YES」)、S119の処理を実施する。既定枚数Nが取得できていない場合に(S116で「NO」)、信号処理部101は、S117で同期信号SYNC出力からの時間の経過を待つ(S117で「NO」)。フレーム期間が経過したら(S117で「YES」)、信号処理部101は、S118の処理を実施する。S118で、信号処理部101は、カウンタのインクリメントを行いS113からの処理を繰り返す。
S119では、信号処理部101は、受信した既定枚数Nの暗画像を平均した平均暗画像データを生成し、記憶部115に記憶する。S120で、信号処理部101は、記憶部115から平均暗画像データ及び平均リセット画像を読出し、平均暗画像から平均リセット画像を減算することによって、S103で設定した撮影モードに対応する補正用画像を生成する。信号処理部101は、補正用画像を記憶部115に記憶する。
S121では、信号処理部101は、放射線撮像システムSYSが撮影に使用する撮影モードの数だけ補正用画像の取得が完了したか判定する。完了していない場合に(S121で「NO」)、信号処理部101は、S101からの処理を繰り返して、必要な撮影モードの数だけ補正用画像を生成する。
既定のモード数の補正用画像を取得できたら(S121で「YES」)、S122で、信号処理部101は、放射線撮像装置100の制御部109に制御用インターフェース110を通して制御コマンドを発行する。これにより、放射線撮像装置100は撮像終了状態に遷移する。
S123で、信号処理部101は、制御用インターフェース110を通して放射線撮像装置100が撮影終了状態に遷移したかどうかを判定し、放射線撮像装置100が撮影終了状態になるのを待つ(S123で「NO」)。放射線撮像装置100が撮影可能状態になったら(S123で「YES」)、信号処理部101は、補正用画像の生成処理を完了する。
以上、S111からS119の処理により生成した平均暗画像には、変換部CP及び増幅部APのオフセットに加え、読出し系のオフセットが重畳されている。一方でS103からS110の処理により生成した平均リセット画像は読出し系のオフセットのみが含まれる。S120で平均暗画像から平均リセット画像を減算することにより、互いの画像に含まれる読出し系のオフセット成分が相殺され、読出し系のオフセットを含まず、ランダムノイズの少ない変換部CP及び増幅部APの補正用画像が得られる。
図6のフローチャートの例では、S107からS110で平均リセット画像の生成を信号処理部101内で行っている。これにかえて、平均リセット画像の生成を制御部109で行ってもよい。この場合は、制御部109にリセット画像を一時記憶する記憶部を構成し、生成されるリセット画像を順次記憶し、既定の枚数Nの生成が完了したら、記憶部に記憶されたリセット画像の平均処理を行い、生成された平均リセット画像を信号処理部101に転送する。
図7は、撮影開始指示を受けた後にリセット画像を取得し、撮影中に取得した放射線画像をこのリセット画像及び補正用画像を用いて補正することによってフレーム画像を生成する処理の一例を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、放射線撮像装置100が撮影可能な状態から制御を開始する例である。図6のフローチャートと重複する部分は説明を簡略する。
S151において、信号処理部101は、感度設定、フレーム画像レートの設定、蓄積時間設定、画素加算設定など、撮影モードを設定する。S152で、信号処理部101は、リセット画像生成シーケンスで放射線撮像装置100が駆動されるよう設定する。S153で、信号処理部101は、内部のカウンタを0にリセットする。S154で、信号処理部101は、同期信号SYNCを制御部109に出力する。同期信号SYNCを受信した制御部109は、図4に示した駆動を開始し、駆動RSDが完了すると、既定枚数Nのリセット画像を信号処理部へ転送開始する。
S155からS157は、信号処理部101が既定枚数Nのリセット画像を順次受信する処理を示す。S155からS157は、図4に示したS107からS109と同等の処理である。S158で、信号処理部101は、受信した既定枚数Nのリセット画像を平均した平均リセット画像データを生成し、記憶部115に記憶する。
S159で、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、放射線撮影シーケンスで放射線撮像装置100が駆動されるよう設定する。S160で、信号処理部101は、内部のフラグfを0にリセットする。このフラグfは、図5のフレーム期間F1では放射線画像の取得を行わないようにするための制御に使用するフラグである。
S161で、信号処理部101は、同期信号SYNCを制御部109に出力する。制御部109は、同期信号SYNCを受けると図5のタイムチャートに従って撮像パネル105の駆動を開始し、蓄積期間Tの間、照射許可信号114を信号処理部101に出力する。S162で、信号処理部101は、照射許可信号114を待機する(S162で「NO」)。信号処理部101は、照射許可信号114が活性化し照射可能状態になったことを検出すると(S162で「YES」)、S163で、蓄積期間Tに合わせて放射線の照射が行われるように照射制御部103に制御信号を出力する。
S164で、信号処理部101は、同期信号SYNC出力後に放射線画像を取得するか否かを判定する。フラグfが0であれば(S164で「YES」)、最初の同期信号SYNC出力後であるので、信号処理部101は、S165及びS166の処理を行わず、放射線画像を取得しない。フラグfが1であれば(S164で「NO」)、2回目以降の同期信号SYNC出力であるので、信号処理部101は、放射線画像の取得処理を開始する。
S165で、制御部109は、各画素に保持された蓄積信号をフレーム期間内にAD変換し放射線画像として信号処理部101に転送する。信号処理部101は順次転送されてくる放射線画素から、S158で記憶部115に記憶した平均リセット画像と、S120で記憶した同一撮影モードの補正用画像と、を減算することによって、フレーム画像を生成する。ここで使用する補正用画像は、撮影モードに合わせてあらかじめ記憶部115に記憶していた補正用画像である。解像度や蓄積時間など放射線撮影と同じ撮影モードの補正用画像が選択される。
S166で、信号処理部101は、撮影モードに合わせてフレーム画像を後工程に転送する。後工程で、信号処理部101は、転送されてきたフレーム画像に対し、放射線撮影と並行してパイプライン方式でゲイン補正処理、尖鋭化処理などの画像処理を行う。放射線透視撮影などリアルタイムに画像を観察する撮影であれば処理後の画像を表示部102に転送し表示する。信号処理部101は、3D撮影など複数枚の画像を元に処理を行うための撮影であれば、画像処理後のフレーム画像を記憶部115に記憶する。
S167で、信号処理部101は、フラグfに1をセットする。フラグfに1がセットされると同期信号SYNC出力ごとに画像取得処理が行われるようになる。S168で、信号処理部101は、撮影を終了するかどうかを、不図示の放射線透視スイッチあるいはプログラムされた枚数などをもとに判定する。撮影を継続する場合に(S168で「NO」)、信号処理部101は、S169でフレーム期間の時間経過を判定する。撮影が終了したと判定した場合に(S168で「YES」)、S170で、信号処理部101は、現在の撮影モードでの画像生成の終了を伝える制御コマンドを、制御用インターフェース110を通じて制御部109に伝え、撮影の終了処理を行う。
S169でフレーム期間が経過していないと判定した場合は(S169で「NO」)、信号処理部101は、再度S168の判定処理を行う。フレーム期間を経過したと判定した場合は(S169で「YES」)、信号処理部101は、S161から次のフレーム画像の撮影を行う。信号処理部101は、撮影終了まで取得した画像の処理を継続する。
図7のフローチャートの例では、S165の処理で放射線画像から平均リセット画像の減算処理を信号処理部101内で行っているが、当該減算処理を制御部109で行ってもよい。この場合は、制御部109にリセット画像を一時記憶する記憶部を構成し、S155からS158の処理を制御部109で行う。すなわち、制御部109は、生成されるリセット画像を順次記憶し、既定の枚数Nの生成が完了したら、記憶部に記憶されたリセット画像の平均処理を行い、記憶部に平均リセット画像を記憶する。S165の処理において、制御部109は、撮像パネル105から読み出される放射線画像から、記憶部に記憶された平均リセット画像を減算処理し、減算処理後の画素を信号処理部101に転送する。すなわち、制御部109は放射線画像をそのまま転送するのではなく、放射線画像から平均リセット画像を減算した画像を信号処理部101に転送する。S165での信号処理部101の処理は、転送されてくる画像から補正用画像を減算することによってフレーム画像を生成する。
S165の処理により撮像パネル105から読み出される放射線画像には、変換部CPと増幅部APのオフセットに加え、読出し系のオフセットが重畳されている。一方でS155からS158の処理により生成した平均リセット画像には読出し系のオフセットのみが含まれる。S165で放射線画像から平均リセット画像を減算することにより、互いの画像に含まれる読出し系のオフセット成分が相殺される。また、図6で生成される補正用画像も読出し系のオフセット成分が相殺されている。このため読出し系のオフセットの変動要因となる1/fノイズの影響を受けにくいフレーム画像が生成される。特に、撮影直前のリセット画像の取得は蓄積期間が不要であるため、短時間で処理が完了する。例えば、画素アレイは横128画素×縦960画素の画素アレイを25MHzのピクセルクロックで並列に読み出す場合、画素信号の読み出しは10msec以下で完了する。従って、例えば10枚のリセット画像の取得と平均処理を行う場合でも0.2秒以下で完了し、放射線撮影が開始できる。本実施形態では、読出し回路20が差動で信号読み出す方法を示したが、シングルエンドで読み出してもよい。
<第2実施形態>
図8を参照して、第2実施形態に係る放射線撮像装置100の駆動方法について説明する。放射線撮像装置100のハードウェア構成は第1実施形態と同じであってもよいので重複する説明を省略する。以下では、第1実施形態と第2実施形態との相違点を中心に説明する。図8は、蓄積信号の読出し期間中に変換部CP及び増幅部APをリセットする駆動方法の一例を示すタイムチャートである。駆動に関しても第1実施形態と重複する説明は省略する。図8の駆動方法においては、フレーム画像レートが一定であり、付加容量Cfd’を付加しない感度の撮影モードが設定された場合について説明する。
制御部109は、同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F1でフレーム画像を生成するための駆動を開始する。フレーム期間F1における駆動RDについて説明する。駆動RDは、フレーム期間F1〜F4に実行される変換部CP及び増幅部APのリセット駆動を示す。
まず、制御部109は、イネーブル信号ENを活性化する。次に、制御部109は、リセット信号PRESを活性化する。これによって、フォトダイオードPDの電荷がリセットされる。その結果、リセット時の変換部CPからの電圧がクランプ容量Cclの入力端子n1に入力される。制御部109は、次にクランプ信号PCLを活性化する。これによって、クランプ電圧VCLがクランプ容量Cclの出力端子n2に入力される。
制御部109は、リセット信号PRESを非活性化し、続けてクランプ信号PCLを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM5が非導通状態になり、入力端子n1と出力端子n2との間で生じた電位差がクランプ容量Cclの両端子に保たれ、電荷が光電変換素子PDに蓄積される蓄積期間Tが始まる。制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化にした後、イネーブル信号ENを非活性化する。これで、フレーム期間F1における駆動RDを終了する。
撮影モードの設定で設定された蓄積期間から計算された期間Tcが経過すると、制御部109はSCSD駆動を開始し、蓄積信号のサンプルホールドとリセット信号のサンプルホールドを行う。駆動SCSDについて説明する。まず、制御部109は、イネーブル信号ENを活性化する。次に、制御部109は、制御信号TS1を一時的に活性化する。これによって、蓄積信号S1が保持容量CS1に転送され保持される。
次に、制御部109は、クランプ信号PCLを活性化する。これによって、所定の電位であるクランプ電圧VCLがクランプ容量Cclの出力端子n2に入力される。次に、制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化するまでの間に制御信号TS2及びTS3を一時的に活性化する。これによって、リセット信号S2及びS3が保持容量CS2及びCS3に転送され保持される(すなわち、リセット信号のサンプリングが行われる)。
制御部109は、制御信号TS2及びTS3を非活性化後にクランプ信号PCLを非活性化する。制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化にした後、イネーブル信号ENを非活性化する。これで、フレーム期間F1における駆動SCSDを終了する。
フレーム期間F1の期間Tsにおいて蓄積信号S1及びリセット信号S3を読み出す動作について説明する。第2実施形態においても第1実施形態と同様に、読出し回路20は、蓄積信号S1の保持開始から所定時間を経過後に蓄積信号S1及びリセット信号S3の読出しを開始する。フレーム期間F1の駆動SCSD終了時点で、保持容量CS1にフレーム期間F1の蓄積信号S1が保持され、保持容量CS2〜CS3に所定の電位であるクランプ電圧VCLによるリセット信号S2〜S3が保持されている。そこで、制御部109は、駆動SCSD終了から所定時間が経過後に、これらの保持容量に保持された蓄積信号S1及びリセット信号S3の読出しを開始する。
フレーム期間F1が経過すると、同期信号SYNCが信号処理部101から制御部109に送信される。図6では、保持された信号の読出しの期間Rに、制御部109が同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F2の駆動RDを開始する例を示している。駆動RDは、変換部CP及び増幅部APのリセットを行う駆動であるため、保持容量に保持された信号が変化しない。そのため、このリセットと保持信号の読み出しとが並行して行われる。駆動RDで制御部109がクランプ信号PCLを非活性化すると蓄積期間Tが開始される。制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって選択画素を順次切り替え、期間Rでフレーム期間F1に対応する蓄積画像を生成する。フレーム期間F2以降においても同様の駆動と読出しが行われ、制御部109は、各フレーム期間に対応する蓄積画像を生成する。
図9は、変換部CP及び増幅部APをリセットしてリセット信号を読み出し、その後再度リセットを行い、蓄積期間Tに蓄積した蓄積信号をサンプリングして蓄積信号を読み出す駆動方法の一例を示すタイムチャートである。図9の駆動は、補正用画像生成時に使用される。図9の駆動に関しても第1実施形態と重複する説明は省略する。図9の駆動方法においては、図8の駆動と同様にフレーム画像レートが一定であり、付加容量Cfd’を付加しない感度の撮影モードが設定された場合について説明する。
図9のフレーム期間F1において、制御部109は、同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出すると、リセット画像を生成するための駆動RSDを行う。制御部109は、駆動RSD終了から所定時間が経過後に、リセット信号S1及びリセット信号S3の読出しを開始する。制御部109は、期間Rでリセット信号を読み出し、リセット画像を生成する。
次に、制御部109は、リセット駆動RDを行い、変換部CP及び増幅部APをリセットし、蓄積を開始する。リセット駆動RD完了から期間Tcが経過すると、制御部109はSCSD駆動を開始し、蓄積信号のサンプルホールドとリセット信号のサンプルホールドを行う。
フレーム期間F1の期間Tsにおいて、制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって選択画素を順次切り替え、期間Rでフレーム期間F1の蓄積信号を取得し、蓄積画像を生成する。
信号処理部101は、蓄積画像の生成の完了後に同期信号SYNCを制御部109に送信する。制御部109は、同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出すと次のフレーム期間2の駆動を開始する。フレーム期間F2以降においてもフレーム期間F1と同様の駆動と読出しが行われ、制御部109は、各フレーム期間に対応するリセット画像及び蓄積画像を生成する。
図10は、システム制御を行う信号処理部101が複数の暗画像に基づいて補正用画像を生成する処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、放射線撮像システムSYSがユーザから撮影開始指示を受ける前に行われる。以下では、第1実施形態と第2実施形態との相違点を中心に説明する。
S201の起動処理において、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、放射線撮像装置100を撮像可能状態に遷移させる。S202で、信号処理部101は、放射線撮像装置100が撮影可能状態に遷移するのを待つ(S202で「NO」)。撮影可能状態に遷移すると(S202で「YES」)、S203で、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、補正用画像生成シーケンスで放射線撮像装置100が駆動されるよう設定する。補正用画像生成シーケンスが設定されると制御部109は、図9に示した駆動方法で放射線撮像装置を制御する準備が整う。すなわち、制御部109は、同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出すると、リセット画像、蓄積画像を順次信号処理部101に転送する準備が整う。
S204において、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、撮影モードを設定する。S205で、信号処理部101は、画像取得枚数をカウントする内部のカウンタを0にリセットする。S206で、信号処理部101は、カウンタのインクリメントを行う。S207で、信号処理部101は、同期信号SYNCパルスを制御部109に出力する。ここで、同期信号SYNCパルスを受信した制御部109は、図9に示した駆動を開始する。すなわち、制御部109は駆動RSD、リセット画像転送、駆動RD、蓄積、駆動SCSD、蓄積画像転送を開始する。S208で信号処理部101は、リセット画像を受信し、受信したリセット画像を記憶部115に記憶する。
次にS209で、信号処理部101は、制御部109から転送されてくる暗画像から、記憶部115に記憶されているリセット画像を減算することによって、第n画像(nは自然数)を生成する。信号処理部101は、第n画像を記憶部115に記憶する。
S210で、信号処理部101は、所定の枚数Nの画像が取得できたかを判定し、所定の枚数を取得したならば(S210で「YES」)、S212の処理を実施する。所定の枚数Nが取得できていない場合は(S210で「NO」)、信号処理部101は、S211で同期信号SYNC出力からの時間の経過を待つ(S211で「NO」)。信号処理部101は、フレーム期間が経過したら(S211で「YES」)、S206から画像生成の処理を繰り返す。
S212で、信号処理部101は、所定の枚数Nのフレーム画像の取得が完了したので、現在の撮影モードでの画像生成の終了を伝える制御コマンドを、制御部109に伝える。S213で、信号処理部101は、S204からのフローチャートに従って取得した第1画像から第N画像の平均処理を行い、補正用画像として記憶部115に記憶する。
S214で、信号処理部101は、放射線撮像システムSYSが撮影に使用する撮影モードの数だけ補正用画像の取得が完了したか判定する。完了していない場合に(S214で「NO」)、信号処理部101は、S204からの処理を繰り返して、必要な数だけ補正用画像を生成する。
既定のモード数の補正用画像が取得できたら(S214で「YES」)、S215の終了処理において、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、放射線撮像装置100を撮像終了状態に遷移させる。S216で信号処理部101は放射線撮像装置100が撮影終了状態に遷移したかどうかを判定し、放射線撮像装置100が撮影終了状態になるのを待つ(S216で「NO」)。放射線撮像装置100が撮影可能状態になったら(S216で「YES」)、信号処理部101は、補正用画像の生成処理を完了する。
図11は、第2実施形態の放射線撮影制御を説明するフローである。図11は、放射線撮影開始直前にリセット画像を取得し、放射線撮影において取得した放射線画像をこのリセット画像と補正用画像を用いて補正を行う処理の一例を示すフローチャートである。図11のフローチャートは、放射線撮像装置100が撮影可能な状態から制御を開始する例である。第1実施形態及び図10の説明と重複する部分は説明を簡略する。
図11(A)のS251からS258の処理は、第1実施形態の図7に示したS151からS158の処理と同一の処理である。信号処理部101はS251で撮影モードを設定し、同期信号SYNCを出力しながら所定の枚数Nのリセット画像を取得後、リセット画像の平均処理を行うことによって平均リセット画像データを生成し、記憶部115に記憶する。ここまでの処理は最初の放射線照射前に行われる。
S259で、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、放射線撮影シーケンスで放射線撮像装置100が駆動されるよう設定する。S260で、信号処理部101は、同期信号SYNCを制御部109に出力する。制御部109は、同期信号SYNCを受けると図8のタイムチャートに従って撮像パネル105の駆動を開始し、蓄積期間Tの間、照射許可信号114を信号処理部101に出力する。S261で、信号処理部101は、照射許可信号114を待機する(S261で「NO」)。信号処理部101は、照射許可信号114が活性化し照射可能状態になったことを検出すると(S261で「YES」)、S262で蓄積期間Tに合わせて放射線の照射が行われるように照射制御部103に制御信号を出力する。
S263で、信号処理部101は、撮影を終了するかどうかを、不図示の放射線透視スイッチあるいはプログラムされた枚数などをもとに判定する。撮影を継続する場合に(S263で「NO」)、信号処理部101は、S264でフレーム期間の時間経過を判定する。撮影が終了したと判定した場合に(S263で「YES」)、S265で、信号処理部101は、現在の撮影の終了を伝える制御コマンドを制御部109に伝え、撮影の終了処理を行う。S264ではフレーム期間が経過していないと判定した場合に(S264で「NO」)、信号処理部101は、再度S263の判定処理を行う。フレーム期間を経過したと判定した場合に(S264で「YES」)、信号処理部101は、S260から次のフレーム画像の撮影を行う。
信号処理部101は、図11(A)の放射線照射制御処理と並行して、制御部109の蓄積期間の終了と共に、図11(B)の放射線画像の取得処理を開始する。S266で、蓄積を完了した制御部109は駆動SCSDを行い、各画素に保持された蓄積信号を放射線画像として信号処理部101に転送する。信号処理部101は順次転送されてくる放射線画素から、S258で記憶された平均リセット画像と、S213で記憶された同一撮影モードの補正用画像と、を減算することによってフレーム画像を生成する。
S267で、信号処理部101は、撮影モードに合わせてフレーム画像を後工程に転送する。後工程に転送されフレーム画像は各種補正処理が行われ、表示部での表示や、記憶部への記憶が行われる。
<第3実施形態>
図12を参照して、第3実施形態に係る放射線撮像装置100の駆動方法について説明する。放射線撮像装置100のハードウェア構成は第1実施形態、第2実施形態と同じであってもよいので重複する説明を省略する。以下では、第1実施形態と第3実施形態との相違点を中心に説明する。図12の駆動方法において、2種類の感度を読み出す撮影モードが設定された場合について説明する。読み出された2種類の感度の画像は、ダイナミックレンジを拡張するための合成用の画像として使用されてもよい。第3実施形態では合成に関する説明を省略する。
図12は画素Pの変換部CP及び増幅部APのリセットを行った後に、リセット信号を連続して読み出す駆動方法の一例を示すタイムチャートである。リセット駆動及びサンプルホールド駆動RSDについて説明する。制御部109は、SYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、リセット画像を生成するための駆動を開始する。まず、制御部109は、イネーブル信号ENを活性化する。また、制御部109は、リセット信号PRES、感度切り替え用制御信号WIDEを活性化する。これによって、トランジスタM1が導通状態になり、変換部CPのフォトダイオードPD、フローティングディフュージョン容量Cfd、感度切り替え用付加容量Cfd’の電荷がリセットされる。
次に、制御部109は、制御信号WIDEを非活性化する。これによって、リセット時の電圧が付加容量Cfd’に保持される。次に、制御部109は、クランプ信号PCLを活性化する。これによって、クランプ電圧VCLがクランプ容量Cclの出力端子n2に入力される。制御部109は、リセット信号PRESを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM2が非導通状態になる。
次に、制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化するまでの間に制御信号TS1〜TS3を一時的に活性化する。これによって、リセット信号S1〜S3が保持容量CS1〜CS3に転送され保持される(すなわち、リセット信号のサンプリングが行われる)。
図12の参照を続けて、読出し期間Rにおいてリセット信号S1〜S3を読み出す動作について説明する。第3実施形態で、読出し回路20は、リセット信号S1〜S3の保持開始から所定時間を経過後にリセット信号S1〜S3の読出しを開始する。具体的には、まず制御部109は、セレクト端子Ecsを活性化する。次に制御信号TRO1を活性化して制御信号TRO2を不活性化する。これによりリセット信号S1が選択される。続いて、制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって、画素アレイ120に含まれる複数の画素Pのうちの最初に読み出す画素を選択する。これによって、最初の画素のリセット信号S1が信号増幅部107の反転入力端子AMP−に入力され、リセット信号S3が信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に入力される。このように、読出し回路20は、リセット信号S1とリセット信号S3の差分を同じタイミングで読み出す。
制御部109は、水平走査回路404を制御することによって選択画素を順次切り替え、1行分の画素データをリセット信号S1とリセット信号S3の差分として読み出す。次に制御信号TRO1を非活性化して制御信号TRO2を活性化する。これによりリセット信号S2が選択される。制御部109は、水平走査回路404を制御することによって選択画素を順次切り替え、1行分の画素データをリセット信号S2とリセット信号S3の差分として読み出す。すなわち、1行を2回走査し、最初の走査でリセット信号S1とリセット信号S3との差分を読み出し、2回目の走査でリセット信号S2とリセット信号S3との差分を読み出す。
制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御しながら、制御信号TRO1と制御信号TRO2とを1走査ごとに切り替えることによって、読出し期間Rで2種類の画像を生成するための画素データを生成する。制御部109は、保持容量CS1に保持されたリセット信号S1に基づく高感度リセット画像と、保持容量CS2に保持されたリセット信号S2に基づく低感度リセット画像とを生成する。制御部109は、期間Rの読出しを複数回行うことにより複数のリセット画像を生成する。
図13は蓄積期間を最大にする駆動方法の一例を示すタイムチャートである。図13の駆動方法において、フレーム画像レートが一定であり、付加容量Cfd’が付加されない高感度と、付加容量Cfd’が付加される低感度との撮影モードが設定された場合について説明する。読み出された2種類の感度の画像は、例えばダイナミックレンジを拡張するための合成用の画像として使用される。
フレーム期間F1〜F5は、撮影開始後の1番目〜5番目のフレーム期間を示す。撮影前に撮影モードが設定される。制御部109は、SYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F1でフレーム画像を生成するための駆動を開始する。
フレーム期間F1における駆動SRSDについて説明する。撮影開始前に撮影モードが設定され、制御部109は、SYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F1でフレーム画像を生成するための駆動を開始する。まず、制御部109は、イネーブル信号ENを活性化する。次に、制御部109は、感度切り替え用制御信号WIDEを非活性化のまま、制御信号TS1を一時的に活性化する。これによって、FD容量Cfdの高感度電圧が蓄積信号S1として保持容量CS1に転送され保持される。次に、制御部109は、感度切り替え用制御信号WIDEと制御信号TS2を活性化する。WIDE信号が活性化されることによってトランジスタM1が導通状態になり、変換部CPの容量はFD容量Cfdと容量Cfd’との合成容量となる。変換部CPの出力は、フォトダイオードPDで発生した電荷に応じたFD容量Cfdと容量Cfd’との合成容量の低感度電圧となる。
次に、制御部109は、感度切り替え用制御信号WIDEを非活性化する。トランジスタM1が非導通状態になり、変換部CPの容量はFD容量Cfdとなるが変換部CPの出力は維持される。次に、制御部109は、制御信号TS2を非活性化する。低感度電圧が蓄積信号S2として保持容量CS2に転送され保持される。ここで、撮影の最初の駆動SRSDでは、蓄積信号S1、蓄積信号S2は不要な信号である。
次に、制御部109は、リセット信号PRESを活性化し、制御信号WIDEを活性化する。これによって、フォトダイオードPDに所定の電位であるリセット電圧VRESが供給され、フォトダイオードPDの電荷、FD容量Cfd、付加容量Cfd’がリセットされる。その結果、リセット時の変換部CPからの電圧がクランプ容量Cclの入力端子n1に入力される。次に、制御部109は、感度切り替え用制御信号WIDEを非活性化する。トランジスタM1が非導通状態になり、変換部CPの容量はFD容量Cfdとなる。
次に制御部109は、クランプ信号PCLを活性化する。これによって、所定の電位であるクランプ電圧VCLがクランプ容量Cclの出力端子n2に入力される。次に制御部109は、リセット信号PRESを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM2が非導通状態になる。次に、制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化するまでの間に制御信号TS3を一時的に活性化する。これによって、リセット信号S3が保持容量CS3に転送され保持される。
制御部109は、制御信号TS3を非活性化後にクランプ信号PCLを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM5が非導通状態になり、入力端子n1と出力端子n2との間で生じた電位差がクランプ容量Cclの両端子に保たれ、放射線に応じて変換された電荷が光電変換素子PDに蓄積される蓄積期間Tが始まる。制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化にした後、イネーブル信号ENを非活性化する。これで、フレーム期間F1における駆動SRSDを終了する。期間F1では有効な蓄積信号が保持容量CS1及び保持容量CS2に保持されていないため画素信号の読み出しは行わない。
制御部109は、SYNC信号における次のパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F2でフレーム画像を生成するための駆動を開始する。フレーム期間F2においてもフレーム期間F1と同様に駆動SRSDが行われる。
フレーム期間F2の駆動SRSDにより、フレーム期間F1の蓄積期間TでフォトダイオードPDに発生した電荷に応じたFD容量Cfdの高感度電圧が蓄積信号S1として保持容量CS1に転送され保持される。また、WIDE信号が活性化されることによってトランジスタM1が導通状態になり、フォトダイオードPDに発生した電荷に応じたFD容量Cfdと容量Cfd’との合成容量の低感度電圧が蓄積信号S2として保持容量CS2に転送され保持される。最後に、リセット信号S3がリセット信号S3として保持容量CS3に転送され保持され、フレーム期間F2における蓄積が開始される。
図13の参照を続けて、フレーム期間F2の期間Tcにおいて蓄積信号S1、蓄積信号S2及びリセット信号S3を読み出す動作について説明する。読出し回路20は、信号の保持完了から所定時間を経過後に蓄積信号S1、蓄積信号S2及びリセット信号S3の読出しを開始する。具体的には、まず制御部109は、セレクト端子Ecsを活性化する。次に、制御部109は、制御信号TRO1を活性化して制御信号TRO2を不活性化する。これにより蓄積信号S1が選択される。続いて、制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって、画素アレイ120に含まれる複数の画素Pのうちの最初に読み出す画素を選択する。これによって、最初の画素の蓄積信号S1が信号増幅部107の反転入力端子AMP−に入力され、リセット信号S3が信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に入力される。このように、読出し回路20は、蓄積信号S1とリセット信号S3の差分を同じタイミングで読み出す。
制御部109は、水平走査回路404を制御することによって選択画素を順次切り替え、1行分の画素データを蓄積信号S1とリセット信号S3との差分として読み出す。次に制御信号TRO1を非活性化して制御信号TRO2を活性化する。これにより蓄積信号S2が選択される。制御部109は、水平走査回路404を制御することによって選択画素を順次切り替え、1行分の画素データを蓄積信号S2とリセット信号S3との差分として読み出す。すなわち、1行を2回走査し、最初の走査で蓄積信号S1とリセット信号S3との差分を読み出し、2回目の走査で蓄積信号S2とリセット信号S3との差分を読み出す。
制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御しながら、制御信号TRO1と制御信号TRO2とを1走査ごとに切り替えることにより、読出し期間Rで2種類の画像を生成するための画素データを生成する。制御部109は、保持容量CS1に保持された蓄積信号S1に基づく高感度蓄積画像と、保持容量CS2に保持された蓄積信号S2に基づく低感度蓄積画像とを生成する。
続いて、フレーム期間F3以降のフレーム期間においても同様の駆動SRSDが行われる。駆動SRSDにより1つ前のフレーム期間の蓄積信号が保持される。駆動SRSDが終了すると、制御部109は、選択画素を順次切り替え、1つ前のフレーム期間に対応する蓄積画像を生成する。
第3実施形態での補正方法は、第1実施形態と同様に撮影開始指示を受ける前にあらかじめ補正用画像を生成し、補正用画像と、放射線撮影直前に生成したリセット画像とを用いて、放射線撮影時の放射線画像の補正を行うものである。
システム制御を行う信号処理部101がリセット画像及び暗画像に基づいて補正用画像を生成するまでの処理、放射線撮影におけるフレーム画像の生成処理は、第1実施形態の図6、図7のフローと同様である。第3実施形態では、感度の異なる2種類の画素信号を扱うための処理が異なる。すなわち、図6における撮影モード設定処理、画像の取得処理、平均処理、補正画像生成処理、図7における撮影モード設定処理、画像の取得処理、平均処理、フレーム画像生成処理が異なる。これらの相違について以下に図14、図15を用いて説明する。
図14は、2種類の感度の撮影モードにおいて、補正用画像を生成する処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、放射線撮像システムSYSがユーザから撮影開始指示を受ける前に行われる。以下では、第1実施形態と第2実施形態との相違点を中心に説明する。S103’において、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、撮影モードを設定する。撮影モードの設定は、2種類の感度の信号読出し、フレーム画像レートの設定、蓄積時間設定、画素加算設定などである。
S107’で、制御部109は、撮像パネル105及び読出し回路20を図12のパターンで駆動する。制御部109は、高感度リセット画像及び低感度リセット画像を生成し、信号処理部101に転送する。信号処理部101は転送されてくる画素を記憶部115に記憶する。
S110’で、信号処理部101は、受信した既定枚数Nの高感度リセット画像及び低感度リセット画像をそれぞれ平均することによって、平均高感度リセット画像及び平均低感度リセット画像を生成し、記憶部115に記憶する。
S115’で、制御部109は、撮像パネル105及び読出し回路20を図13のパターンで駆動する。信号処理部101は、高感度暗画像及び低感度暗画像を1枚ずつ受信し、受信した画像を記憶部115に記憶する。
S119’で、信号処理部101は、受信した既定枚数Nの高感度暗画像及び低感度暗画像をそれぞれ平均することによって、平均高感度暗画像及び平均低感度暗画像を生成し記憶部115に記憶する。S120’で、信号処理部101は、記憶部115に記憶されている平均高感度暗画像及び平均低感度暗画像、平均高感度リセット画像及び平均低感度リセット画像を用いて、高感度補正用画像及び低感度補正用画像を生成する。
図15は、2種類の感度の撮影モードにおいて、放射線画像を補正する処理の一例を示すフローチャートである。以下では、第1実施形態と第2実施形態との相違点を中心に説明する。S151’において、信号処理部101は、制御部109に制御コマンドを発行し、撮影モードを設定する。撮影モードの設定は、2種類の感度の信号読出し、フレーム画像レートの設定、蓄積時間設定、画素加算設定などである。
S155’で、制御部109は、撮像パネル105及び読出し回路20を図12のパターンで駆動する。制御部109は、各画素に保持されたリセット信号をフレーム期間内にAD変換し、高感度リセット画像及び低感度リセット画像を生成し、信号処理部101に転送する。信号処理部101は転送されてくる画像を記憶部115に記憶する。
S158’は、信号処理部101は、受信した既定枚数Nの高感度リセット画像データ及び低感度リセット画像データをそれぞれ平均することによって、平均高感度リセット画像データ及び平均低感度リセット画像データを生成し、記憶部115に記憶する。
S165’で、制御部109は、各画素に保持された蓄積信号をフレーム期間内にAD変換し、高感度放射線画像及び低感度放射線画像を生成し、信号処理部101に転送する。信号処理部101は、平均リセット画像及び補正用画像を記憶部115から読出す。信号処理部101は順次転送されてくる放射線画像から、対応する感度のリセット画像及び補正用画像を減算することによって、フレーム画像を生成する。
S166’で撮影モードに合わせて複数の感度のフレーム画像を後工程に転送する。後工程では、転送されてきたフレーム画像に対し、放射線撮影と並行してパイプライン方式でゲイン補正処理、ダイナミックレンジ拡張処理、尖鋭化処理などの画像処理を行う。放射線透視撮影などリアルタイムに画像を観察する撮影であれば処理後の画像を表示部102に転送し表示する。3D撮影など複数枚の画像を元に処理を行うための撮影であれば、画像処理後のフレーム画像は記憶部115に記憶する。信号処理部101は、撮影終了まで取得した画像の処理を継続する。