JP6934149B2 - 多孔質体およびその製造方法並びに電極 - Google Patents

多孔質体およびその製造方法並びに電極 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質体およびその製造方法並びに電極に関し、例えばグラフェン層を有する多孔質体およびその製造方法並びに電極に関する。
グラフェンは層状物質であり、2次元物質で導電性を有する材料である。これらの材料は、蓄電装置などの分野への適用が検討されている。特許文献1には、グラフェン層を有する3次元構造を有する多孔質体において、細孔(Pore)の平均サイズを2μm以下かつ最小サイズを60nm以上とすることが記載されている。
国際公開第2016/002277号
特許文献1では、多孔質体の電気的特性および/または触媒特性を向上できる。しかしながら、例えば電極等に用いる触媒の観点から、特許文献1の特性では十分でない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、電気的特性および/または触媒特性の良好な多孔質体および電極を提供することを目的とする。
本発明は、平均サイズが10nm以上かつ100nm以下であり、かつ最小サイズが60nm未満である細孔と、前記細孔を覆い、窒素と、燐および硫黄の少なくとも一方と、を含むグラフェン層と、を具備し、前記グラフェン層をラマン分光法で測定したときのDバンドおよびGバンドのピークの信号強度をそれぞれIDおよびIGとしたとき、ID/IGは0.3以上であり、前記グラフェン層内のピリジニックNの濃度は0.4原子%以上であり、かつ、前記グラフェン層のC−S−C結合している硫黄の濃度は1原子%以上と、前記グラフェン層内のP−C 結合している燐の濃度は0.4原子%以上と、のうち少なくとも一方を満たすことを特徴とする多孔質体である。
上記構成において、前記平均サイズは60nm未満である構成とすることができる。
上記構成において、前記グラフェン層をラマン分光法で測定したときの2Dバンドのピークの信号強度をI2Dしたとき、I2D/IGは0.6以上である構成とすることができる。
上記構成において、前記細孔内は空洞である構成とすることができる。
上記構成において金属からなる多孔質金属具備し、前記グラフェン層は、前記多孔質金属の表面を覆う構成とすることができる
本発明は、上記多孔質体を含むことを特徴とする電極である。
本発明は、金属酸化物からなるナノ粒子を還元ガスを含む雰囲気中において熱処理することにより平均サイズが10nm以上かつ100nm以下であり、かつ最小サイズが60nm未満である金属からなるリガメントを有する多孔質金属を形成する工程と、前記多孔質金属の表面に、窒素と、燐および硫黄の少なくとも一方と、を含むグラフェン層を形成する工程と、を含み、前記グラフェン層をラマン分光法で測定したときのDバンドおよびGバンドのピークの信号強度をそれぞれIDおよびIGとしたとき、ID/IGは0.3以上であり、前記グラフェン層内のピリジニックNの濃度は0.4原子%以上であり、かつ、前記グラフェン層内のC−S−C結合している硫黄の濃度は1原子%以上と、前記グラフェン層内のP−C 結合している燐の濃度は0.4原子%以上と、のうち少なくとも一方を満たすことを特徴とする多孔質体の製造方法である
本発明によれば、電気的特性および/または触媒特性の良好な多孔質体および電極を提供することができる。
図1(a)から図1(d)は、実施形態1に係る多孔質体の製造方法を示す断面図である。 図2(a)は、実施形態2に係る蓄電装置を示す断面図、図2(b)は、実施形態3に係る気化装置の断面図である。 図3は、実施例1に係る各サンプルのSEM画像である。 図4(a)は、実施例1に係る各サンプルをBJH法を用いて測定した直径に対するdVp/dlog(dp)を示す図、図4(b)は、NSP750における細孔の直径分布を示す図である。 図5は、実施例1における各サンプルのラマンシフトと信号強度を示す図である。 図6は、実施例1における各サンプルのラマン分光法の測定結果を示す図である。 図7(a)は、NSP750におけるグラフェン層の明視野STEM画像、図7(b)は回折パターン、図7(c)は図7(a)の拡大画像、図7(d)は図7(c)の拡大画像、図7(e)は各元素のEELS画像である。 図8(a)から図8(c)は、NSP750における結合エネルギーに対する信号強度を示す図である。 図9は、実施例1における各サンプルのXPS分析結果を示す図である。 図10は、実施例1における各サンプルの電圧に対する電流を示す図である。 図11は、実施例1における各サンプルの電流に対する過電圧を示す図である。 図12は、実施例1における各サンプルのインピーダンス特性を示す図である。 図13(a)は、NSP750のサイクル安定性を示す図、図13(b)は、耐久性を示す図である。 図14(a)から図14(c)は、1000サイクル後のNSP750における結合エネルギーに対する信号強度を示す図である。 図15は、G750における平均細孔サイズに対するID/IGを示す図である。 図16は、サンプルAおよびBの電圧に対する電流を示す図である。 図17は、サンプルAおよびBのXPS分析結果を示す図である。 図18は、各サンプルの結合エネルギーに対する信号強度を示す図である。 図19は、反応座標に対するギブス自由エネルギーを示す図である。 図20(a)から図20(d)は、シミュレーションに用いたSP−G、NS−G、NP−GおよびNSP−Gの構造を示す図である。 図21は、NSP750およびサンプルCの電圧に対する電流を示す図である。 図22(a)は、サンプルDの電圧に対する電流を示す図,図22(b)は、サンプルDからFの電圧に対する電流を示す図である。 図23(a)は、実施例2における電気二重層キャパスタの充放電特性を示す図、図23(b)は時間に対する電流密度を示す図である。 図24は、実施例3におけるN750を用いた純水と海水からの水の蒸発量を測定した結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(実施形態1)
図1(a)から図1(d)は、実施形態1に係る多孔質体の製造方法を示す断面図である。図1(a)に示すように、金属酸化物からなるナノ粒子16を銅シート18等のシート上に配置する。ナノ粒子16のサイズは例えば0.1nmから100nmであり、好ましくは1nmから20nmである。金属酸化物の金属としては、例えばニッケル(Ni)、コバルト(Co)または鉄(Fe)等の遷移金属または卑金属である。金属酸化物の金属は、常磁性体でもよいし強磁性体でもよいし、反強磁性体でもよい。
図1(b)に示すように、ナノ粒子16を熱処理する。熱処理温度はナノ粒子が溶融しない程度の温度であり、例えば200℃から700℃である。熱処理時間は、例えば1分から数時間である。熱処理雰囲気は、例えば不活性ガスと還元性ガスの混合ガス雰囲気である。不活性化ガスは、例えば窒素(Nガス)または貴ガス(すなわちヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス、クリプトン(Kr)ガス、またはキセノン(Xe)ガス)である。還元性ガスは、例えば水素(H)ガスである。これにより、ナノ粒子16が互いに結合し、かつナノ粒子16の結晶が粗大化し多孔質金属10が形成される。例えば、ナノ粒子16の酸素が還元しかつ結合することにより、金属からなるリガメント14が形成される。リガメント14以外の箇所が細孔12となる。リガメント14と細孔12とから多孔質金属10が形成される、多孔質金属10のリガメント14および細孔12のサイズは、図1(a)のナノ粒子16のサイズの5倍から10倍程度となる。
図1(c)に示すように、多孔質金属10の表面にグラフェン層24を形成する。グラフェン層24は例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い形成する。グラフェン層24を形成する前または形成するときに、多孔質金属10を熱処理する。熱処理温度は、例えば500℃から1000℃であり、熱処理時間は、例えば1分から数時間である。熱処理により、多孔質金属10のリガメント14が集積し、細孔12およびリガメント14のサイズが大きくなる。細孔12およびリガメント14のサイズは、例えば1nm以上かつ100nm以下である。このように、ナノ粒子16を熱処理することにより、リガメント14および細孔12のサイズが大きくなり、かつ細孔12およびリガメント14の曲率半径の分布が小さくなる。
図1(d)に示すように、実施形態1の一例においては、多孔質金属10をエッチング等により除去する。これにより、細孔22と細孔22を覆うグラフェン層24とを有する多孔質体20となる。細孔22のサイズは、図1(c)の細孔12およびリガメント14とほぼ同じとなる。なお、リガメント14のサイズは、例えばリガメント14を円柱近似した場合の直径に相当する。細孔22のサイズは例えば1nmから100nm程度であり、曲率半径はサイズの約1/2となる。
グラフェン層24は、グラフェン様のシートである。グラフェンは、六員環の炭素原子が規則的に配列されている。これにより、グラフェン層24は例えばディラックコーン型の電子状態密度を有し、2次元的に優れた電気伝導性を有する。グラフェン層24は、電気伝導度または電子移動度が高ければよく、ディラックコーン型の電子状態密度を有していなくてもよい。
多孔質体20の触媒としての機能を高めるためには、細孔22の平均サイズを小さくすることが有効である。細孔22の平均サイズが小さくなると、グラフェン層24の表面積が大きくなる。よって、触媒としての機能が向上する。さらに、触媒としての機能を高めるためには細孔22の最小サイズを小さくすることが重要である。細孔22の最小サイズはグラフェン層24の最小曲率に対応する。グラフェン層24が触媒として機能するためには、グラフェン層24に欠陥(例えば五員環または七員環)が導入されることが好ましい。欠陥の多い箇所には、窒素(N)、燐(P)または硫黄(S)等の原子が導入し易くなる。これにより、さらに触媒特性が向上する。グラフェン層24に欠陥を導入するためには、グラフェン層24の曲率半径が小さいことが好ましい。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、細孔22の平均サイズを100nm以下かつ細孔22の最小サイズを60nm未満とすることは難しい。
実施形態1によれば、図1(b)のように、金属酸化物からなるナノ粒子16を熱処理することにより平均サイズが100nm以下のリガメント14を有する多孔質金属10を形成する。図1(c)に示すように、多孔質金属10の表面にグラフェン層24を形成する。このような工程により、細孔22の平均サイズを100nm以下としかつ最小サイズを60nm未満とすることができる。細孔22の平均サイズは、80nm以下がより好ましく、60nm未満がさらに好ましい。細孔22の平均サイズは、1nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。細孔22の最小サイズは、50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましい。細孔22のサイズは、例えばSEM(Scanning Electron Microscope)またはTEM(Transmission Electron Microscope)等の画像から測定することができる。また、細孔22のサイズは、BJH(Barrett-Joyner-Hallender)法を用い測定することができる。
図1(d)のように、多孔質体20の細孔22内は空洞でもよい。これにより、多孔質体20の質量を小さくすることができる。また、多孔質体20の表面積が増えることで、細孔22内に反応場を増すことができる。
図1(c)のように、多孔質体20の細孔22内に多孔質金属10のリガメント14が位置し、グラフェン層24は、リガメント14の表面を覆っていてもよい。これにより、グラフェン層24に加え、多孔質金属10が電気伝導に寄与するため、多孔質体20の抵抗をより低くできる。また、多孔質金属10により、グラフェン層24の強度を補強することができる。
グラフェン層24は、例えば窒素、ホウ素(B)、燐、硫黄、ニッケル、コバルトおよび鉄の少なくとも1つを含んでいてもよい。触媒として機能する元素は、グラフェン層24の炭素と結合していてもよい。例えば窒素、ホウ素、燐および硫黄はグラフェン層24内の炭素と結合していることが好ましい。また、触媒として機能する元素は、グラフェン層24に担持されていてもよい。例えば、ニッケル、コバルトおよび鉄はグラフェン層24に担持されていることが好ましい。これにより、触媒特性を向上させることができる。また、グラフェン層24の一部を酸化させ、酸素の一部を還元することにより、触媒特性をより向上させることができる。
また、グラフェン層24は、ピリジック窒素と、炭素と結合したリンおよび硫黄の少なくとも一方と、を含むことが好ましい。これにより、金属元素を用いることなく、白金(Pt)に近い触媒特性を得ることができる。
金属酸化物からなるナノ粒子16から多孔質金属10を形成することで製造方法を簡略化し、低コスト化することができる。例えば、特許文献1のようにNiMn合金を脱合金化して多孔質ニッケルを形成する場合に比べ、酸化ニッケルからなるナノ粒子を用い多孔質ニッケルを形成することで、多孔質ニッケルの製造コストを約1/10から1/20とすることができる。また、金属酸化物は、例えば工業廃液から製造することができる。例えば塩化鉄等の廃液から鉄酸化物ナノ粒子を製造することができる。これにより、製造コストの削減および廃液の再利用が可能となる。
(実施形態2)
図2(a)は、実施形態2に係る蓄電装置を示す断面図である。図2(a)に示すように、蓄電装置40は、正極42、負極46および電解質44を備えている。蓄電装置40は、例えば、リチウム空気電池、二次電池、または電気二重層キャパシタである。正極42および負極46の少なくも一方の電極に実施形態1の多孔質体20を用いることができる。多孔質体20は、例えば導電性材料に保持されていてもよいし、多孔質体20を単独で用いてもよい。実施形態1の多孔質体20を電極の触媒として用いることにより、蓄電装置の性能を向上できる。このように多孔質体20を電極材料に用いてもよい。また、多孔質体20を蓄電装置以外の電極(例えば水素発生用または酸素発生用の電極)に用いることもできる。
(実施形態3)
図2(b)は、実施形態3に係る気化装置の断面図である。図2(b)に示すように、気化装置95は容器97および多孔質グラフェン98を有する。容器97内には水および海水等の液体96が溜められている。液体96に多孔質グラフェン98が浮いている。多孔質グラフェン98に光99が照射される。多孔質グラフェン98は、光の吸収率が高いため光99を吸収し発熱する。多孔質グラフェン98は、熱伝導率が小さく多孔質内に液体96を閉じ込めているため、熱が液体96に逃げず、高温を保つ。多孔質グラフェン98は細孔を有するため、親水性が高ければ毛管現象により細孔内に液体96が供給される。多孔質グラフェン98は高温のため、液体96が蒸発する。このようにして、効率的に液体96を蒸発させることができる。多孔質グラフェン98として実施形態1の多孔質体20を用いることができる。
実施形態2および3においては、蓄電装置40および気化装置95を例に説明したが、多孔質体20を他の装置に用いることもできる。
以下のように実施例1に係る多孔質体を作製した。図1(a)において、半径が約3nmから4nm(サイズが6nmから8nm)のニッケル酸化物(NiO)からなるナノ粒子16を準備する。ナノ粒子16は超臨界水熱合成法により作成する。ナノ粒子16を分散したエタノール溶液を銅シート18に塗布する。40℃において乾燥させる。
図1(b)において、CVD装置内において、外径が26mm、内径が22mmおよび長さが250mmのクォーツ管と、外径が30mm、内径が27mmおよび長さが1000mmのクォーツ管と、の2重のクォーツ管内に銅シート18を配置する。アルゴン(Ar)ガスが67%および水素(H)ガスが33%の雰囲気において、400℃30分加熱する。これにより、ニッケル酸化物が還元され、ニッケルからなる多孔質金属10が形成される。多孔質金属10のリガメントの半径は15nmから40nm(サイズは30nmから80nm)である。
図1(c)のように、CVD装置内において、水素ガスの流量を100sccmおよびアルゴンガス流量を200sccmとして、750℃2分の熱処理を行なう。その後、水素ガスの流量を100sccmおよびアルゴンガス流量を200sccmとして、さらに原料ガスの混合雰囲気において、750℃1分間熱処理する。原料ガスとしてベンゼン(benzene)を用いるとき、ベース圧力に対してガス圧を0.1mbar上昇する分だけ導入する。原料ガスとしてピリジン(pyridine)を用いるとき、ベース圧力に対してガス圧を0.2mbar上昇する分だけ導入する。原料ガスとしてチオフィン(thiophene)を用いるとき、ベース圧力に対してガス圧を0.5mbar上昇する分だけ導入する。原料ガスとしてトリフェニルホスフィン(triphenylphosphine)を用いるとき、外部加熱装置でトリフェニルホスフィンを90℃に加熱する。これにより、多孔質金属10の表面にグラフェン層24が形成される。
図1(d)のように、グラフェン層24が形成された多孔質金属10を1.0Mの塩酸水溶液に1晩浸漬する。その後、50℃の2.0Mの塩酸水溶液にニッケルが溶解するまで浸漬する。これにより、多孔質金属10が除去され、細孔22とグラフェン層24とを有する多孔質体20が形成される。
表1は、作製した各サンプルのドープ元素と原料ガスを示す表である。
Figure 0006934149
表1に示すように、グラフェン層24の窒素(N)、硫黄(S)および燐(P)をドープするときの原料ガスとしてそれぞれピリジン、チオフェンおよびトリフェニルホスフィンを用いた。ベンゼン、ピリジンおよびチオフィンは、それぞれ純度99.8%、99.8%、99%であり無水(anhydrous)である。トリフェニルホスフィンは純度99%である。
作製したサンプルをSEM法を用い観察した。図3は、実施例1に係る各サンプルのSEM画像である。SEM観察にはJSM−6700(JEOL:日本電子製)を用いた。図3に示すように、細孔のサイズが100nm以下のグラフェン層24からなる多孔質体が形成されている。
次に作製したサンプルの細孔サイズをBJH法を用い測定した。図4(a)は、実施例1に係る各サンプルをBJH法を用いて測定した直径に対するdVp/dlog(dp)(微分細孔径)を示す図である。図4(a)に示すように、直径が10nm以下では、各サンプルのdVp/dlog(dp)はほぼ0である。この直径の細孔22はほとんど存在していない。直径が大きくなるとdVp/dlog(dp)が一定の値から立ち上がり始める。この立ち上がり始める直径が細孔22の最小サイズにほぼ対応する。さらに直径が大きくなるとdVp/dlog(dp)はさらに大きくなる。dVp/dlog(dp)がピークとなる。ピークとなる直径はほぼ細孔22の平均サイズに対応する。さらに直径が大きくなるとdVp/dlog(dp)は小さくなる。各サンプルの表面積をBET(Brunauer-Emmett-Teller)法を用い測定した。表面積および細孔サイズの測定にはBELSORP−miniII(BEL. JAPAN INC.製)を用いた。
表2は、BET法およびBJH法を用いて測定した各サンプルの表面積および細孔の平均サイズを示す表である。
Figure 0006934149
表2のように、各サンプルとも単位質量当たりの表面積は400m/g以上であり、S750以外は500m/g以上であり、S750およびNP750以外は600m/g以上である。各サンプルとも細孔22の平均サイズは120nm以下であり、NS750以外は100nm以下である。細孔22の最小サイズは、G750で約10nmであり、NSP750では約50nmである。他のサンプルは10nmから50nmの間である。
図4(b)は、NSP750における細孔の直径分布を示す図である。縦軸は細孔容積に相当し頻度に関連する。図4(b)に示すように、約50nmの直径を有する細孔が最も多い。直径が10nm以下の細孔はほとんどないことがわかる。
次に、グラフェン層24内の欠陥をラマン分光法を用い測定した。測定には、InVia RM 1000(Renishaw製)を用いた。各スペクトルの累積時間は400秒である。図5は、実施例1における各サンプルのラマンシフトと信号強度を示す図である。ラマン分光は、波長が514.5nmおよびパワーが2.0mWのレーザ光を各サンプルに照射して測定した。図5において、約1360cm−1のピークがDバンドのピークである。約1585cm−1のピークがGバンドのピークである。約1620cm−1のピークがD´バンドのピークである。約2700cm−1のピークが2Dバンドのピークである。
図6は、実施例1における各サンプルのラマン分光法の測定結果を示す図である。各サンプルにおいて、Dバンド、Gバンド、D´バンドおよび2Dバンドの上段は各信号のピークのラマンシフト量を示し、下段は各信号の線幅を示す。ID/IGはDバンドのピークの信号強度をGバンドのピークの信号強度で規格化した値である。I2D/IGは2Dバンドのピークの信号強度をGバンドのピークの信号強度で規格化した値である。ID/IGが大きいとグラフェン層24内の欠陥が多いことを示している。I2D/IGが大きいと、グラフェン層24が質の高いグラフェンであることを示している。I2D/IGが3以上ではグラフェン層24はほぼモノレイヤとなっていることを示す。図6のように、各サンプルともID/IGが0.3以上であり、グラフェン層24に欠陥が多く導入されている。特にG750以外ではID/IGはほぼ1となっている。各サンプルともI2D/IGは3以上とはなっていないものの、1程度であり、2層から5層からなるグラフェンに近い構造となっている。
次に、NSP750サンプルをTEM法を用い観察した。TEM装置はJEM−2100F(JEOL:日本電子製)を用いた。図7(a)は、NSP750におけるグラフェン層24の明視野S(Scanning)TEM画像、図7(b)は回折パターン、図7(c)は図7(a)の拡大画像、図7(d)は図7(c)の拡大画像、図7(e)は各元素のEELS(Electron Energy-Loss Spectroscopy)画像である。
図7(a)に示すように、100nm以下のサイズの細孔が観察される。図7(b)に示すように、回折パターンに6回対称のスポット群がいくつか観察できる。すなわち、1つの面方向に対する6回対称のスポットが複数観察できる。これは、グラフェン層24が3次元的に異なる方向を向いて形成されていることを示している。図7(c)に示すように、湾曲したグラフェン層24が観察できる。図7(d)に示すように、グラフェン層24内に白楕円で示すように隣接した2つの欠陥が観察できる。図7(e)において、左端の画像は全ての元素の画像を重ねた画像である。C、N、S、PおよびOはそれぞれ、炭素、窒素、硫黄、燐および酸素の画像である。酸素はほとんど検出されない。炭素、窒素、硫黄および燐はグラフェン層24内にほぼ均一に導入されていることがわかる。
次に、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)法を用い各元素の結合状態を評価した。XPS装置はAXIS ultra DLD(島津製作所製)を用いた。X線源にはAlのKα線を用いた。図8(a)から図8(c)は、NSP750における結合エネルギーに対する信号強度を示す図である。図8(a)から図8(c)は、それぞれ窒素、硫黄および燐の結合を示している。ドットは測定点、細実線以外の曲線は細実線から各ピークを分離した曲線である。細実線は各ピークを分離した曲線を足し合わせたものである。分離した曲線が元素の結合状態に対応する。太一点鎖線はバックグランドを示している。図8(a)に示すように、Oxidized N(酸化型N)、Pyridinic N(ピリジニックN)およびGraphitic N(グラフィティックN)の結合のピークが観察できる。酸化型NはN=O結合した窒素、ピリジニックNはC−N=C結合した窒素、グラフィティックNはNC結合した窒素である。各窒素の濃度はほぼ同程度である。グラフェン層24全体内の窒素の濃度は1.9原子%である。
図8(b)に示すように、C−S−C、C=S、C−SOおよびC−SO結合した硫黄のピークが観察される。特に、C−S−CおよびC=S結合した硫黄の濃度が高い。グラフェン層24全体内の硫黄の濃度は3.5原子%である。図8(c)に示すように、P−C、P−O結合およびOxidized P(酸化したP)の燐のピークが観察される。特にP−CおよびP−O結合した燐が多い。グラフェン層24全体内の燐の濃度は0.86原子%である。
NSP750サンプル以外のサンプルについてもXPS分析を行なった。図9は、実施例1における各サンプルのXPS分析結果を示す図である。数字は各サンプルにおける各結合の元素の原子%を示している。窒素が導入されたN750、NS750、NP750およびNSP750では、酸化型N、ピリジニックNおよびグラフィティックNの結合が同程度含まれている。硫黄が導入されたS750、NS750、SP750およびNSP750では、硫黄のC−S−CおよびC=S結合が多く含まれている。燐が導入されたP750、NP750、SP750およびNSP750では、燐のP−CおよびP−O結合が多く含まれている。図7(e)のようにグラフェン層24に一様に分布した各元素は、図9のように炭素等と結合していると考えられる。各サンプルとも多孔質金属10のニッケルの濃度は測定限界である0.5原子%以下である。
次に実施例1の各サンプルの水素発生反応(HER:Hydrogen evolution reaction)の触媒特性をサイクリックボルタンメトリー法を用い調べた。測定に用いた電気化学ワークステーションは、VSP−300(Biologic製)を用いた。多孔質体20を作用極、グラフェン板を対極、銀(Ag)/塩化銀(AgCl)を参照極とした。参照極に対する電圧は、可逆水素電極(RHE:Reversible Hydrogen Electrode)に換算した。溶液は、0.5M 硫酸水溶液(HSO)溶液である。直径が5mmのRDE(Rotating Disk Electrode)の回転数を1600rpmとし、Arガスをバブリングした。
図10は、実施例1における各サンプルの電圧に対する電流を示す図である。図11は、実施例1における各サンプルの電流に対する過電圧を示すTafelスロープの図である。図10および図11の電流は単位面積あたりの電流を示し、図11では電流を対数表している。図10および図11において、比較のためPtの測定結果を示している。電圧を−0.8Vから0Vまで10mV/秒のレートで走査した。図11において、傾きが小さいと急激に水素が生じることを示している。図10および図11に示すように、G750に対し、N750、S750およびP750はHERの触媒特性がPtに近づく。さらに、SP750、NS750、NP750およびNSP750の触媒特性がPtに近づく。特に、窒素と、硫黄および/または燐と、をドープしたサンプルは触媒特性が良好である。
図12は、実施例1における各サンプルのインピーダンス特性を示す図である。電圧は−0.2Vである。図12に示すように、SP750に比べNS750およびNP750は反応抵抗が低い。NSP750は最も反応抵抗が低い。反応抵抗が低い場合、エネルギー損失なくすばやく水素を発生させられる。
NSP750についてサイクル安定性と耐久性を評価した。図13(a)は、NSP750のサイクル安定性を示す図、図13(b)は、耐久性を示す図である。図13(a)は、最初のサイクルと1000サイクル後の電圧に対する電流を示す図ある。図13(a)に示すように、1000サイクル後は触媒特性が若干劣化しているものの比較的安定している。
図13(b)は、−0.2Vの電圧を連続通電したときの電流を示す図である。電流は時間が0のときで規格化し%表示している。図13(b)に示すように、40時間後においても電流は80%程度である。このように、NSP750はサイクル特性および耐久性ともに良好である。
図14(a)から図14(c)は、1000サイクル後のNSP750における結合エネルギーに対する信号強度を示す図である。図14(a)から図14(c)は、それぞれ窒素、硫黄および燐の結合を示している。図8(a)から図8(c)と比較すると、窒素ではピリジニックNのピークが減少し、酸化型Nのピークが増加している。硫黄では、C-S-CおよびC=S結合のピークが減少し、C−SOおよびC−SOのピークが増加している。燐では、P−C結合が減少し、P−O結合が増加している。以上の結果より、ピリジニックN、C-S-CおよびC=S結合、P−C結合等が主に触媒サイトとして機能し、触媒反応中に酸化すると触媒サイトとして不活性になっているものと考えられる。
次に細孔サイズの異なるサンプルを作製した。作製は、図1(a)から図1(d)の方法でナノ粒子16のサイズを大きくした。または、特許文献1の方法を用いた。図15は、G750における平均細孔サイズに対するID/IGを示す図である。平均細孔サイズはBJH法を用い測定し、ID/IGはラマン分光法を用い測定した。図15に示すように、平均細孔サイズが小さくなるとID/IGが大きくなる。特に、平均細孔サイズが100nm以下となるとID/IGは急激に大きくなる。これは、平均細孔サイズが100nm以下となるとグラフェン層24の曲率が小さくなり欠陥が多く導入されるためと考えられる。
次に、NSP750において、細孔サイズの異なるサンプルを作製した。サンプルAは、細孔22のサイズが50nmから100nmのサンプルであり、前述のサンプルである。サンプルBは細孔22サイズが500nmから1000nmであり、特許文献1の方法で作製した。サンプルAおよびBのHERの触媒特性を測定した。図16は、サンプルAおよびBの電圧に対する電流を示す図である。図16に示すように、サンプルBはサンプルAに比べ触媒特性が低下している。
次に、XPS法を用いサンプルBにおける各元素の結合状態を評価した。サンプルBの、XPS法を用い各元素の結合状態を評価した。図17は、サンプルAおよびBのXPS分析結果を示す図である。図17において、サンプルAの結果は図9のNSP750と同じである。サンプルAをサンプルBと比べると、ピリジニックN、C-S-CおよびC=S結合、P−C結合は、他の結合に比べ増加している。このように、細孔サイズを小さくすると、主に触媒サイトとして機能するピリジニックN、C-S-CおよびC=S結合、P−C結合が増加する。
サンプルAとBとを比較すると、グラフェン層24内のピリジニックNの濃度は、0.4原子%以上が好ましく、0.5原子%以上がより好ましく、0.7原子%以上がさらに好ましい。グラフェン層24内のC−S−C結合している硫黄の濃度は、1原子%以上が好ましく、1.5原子%以上がより好ましく、2.0原子%以上がさらに好ましい。グラフェン層24内のC=S結合している硫黄の濃度は、0.5原子%以上が好ましく、0.7原子%以上がより好ましく、1.0原子%以上がさらに好ましい。グラフェン層24内のP−C結合している燐の濃度は、0.4原子%以上が好ましく、0.5原子%以上がより好ましく、0.6原子%以上がさらに好ましい。
PES(Photo Emission Spectroscopy)法を用いて、細孔のサイズが50nmから100nmのサンプル、100nmから300nmのサンプル、および約1μmのサンプルを用い電子状態密度を測定した。測定は、HeIIα線(40.814eV)を用い、室温で行なった。図18は、各サンプルの結合エネルギーに対する信号強度を示す図である。図18において、結合エネルギーはフェルミレベルEからのエネルギーを示し、信号強度は電子状態密度に対応する。図18に示すように、細孔のサイズが100nmより大きいサンプルでは、強度が直線的に変化する。これは、グラフェン特有のディラックコーン型の電子状態密度を有することを示している。一方、細孔のサイズが100nm以下のサンプルでは、強度が直線状となっていない。このように、細孔のサイズが100nm以下のサンプルでは、完全なディラックコーン型の電子状態密度を有していない場合もあるが、完全なディラックコーン型の電子状態密度を有していてもよい。
DFT(Density Functional Theory)法を用いた第1原理計算により、ギブス自由エネルギーを算出した。図19は、反応座標に対するギブス自由エネルギーを示す図である。左からH+e-状態、H状態および1/2H状態を示す。ΔGH*は、H状態および1/2H状態を0としたときのH状態のギブス自由エネルギーである。Gはグラフェン、pN−Gはグラフェン中のピリジニックN、gN−Gは、グラフェン中のグラフィティックNのギブス自由エネルギーを示す。S−GおよびP−Gはグラフェン中の硫黄および燐のギブス自由エネルギーを示す。S−GはC−S−C結合、P−GはP−C結合として計算した。
図20(a)から図20(d)は、シミュレーションに用いたSP−G、NS−G、NP−GおよびNSP−Gの構造を示す図である。図20(a)から図20(d)において、グラフェン内の炭素Cに硫黄S、燐Pおよび窒素Nが置換している。炭素CのボンドのうちC、S、PまたはNと結合していないボンドは水素Hと結合している。SP−G、NS−G、NP−GおよびNSP−Gは、それぞれグラフェン中で硫黄と燐が隣接するとき、窒素と硫黄が隣接するとき、窒素と燐が隣接するとき、および窒素、硫黄および燐が隣接するときのギブス自由エネルギーをシミュレーションした。各図の下に算出されたギブス自由エネルギーを示す。NSP−Gが最も0に近い。
図19に示すように、NS−G、NP−GおよびNSP−Gのギブス自由エネルギーは、Ptのギブス自由エネルギーに近くほぼ0eVである。これにより、水素発生および水素還元のいずれにおいて良好な触媒となる。pN−G、gN−G、S−GおよびP−Gのように、グラフェン中に窒素、硫黄および燐が単独で存在してもギブス自由エネルギーの絶対値が小さくならない。また、SP−Gのギブス自由エネルギーは、NS−G、NP−GおよびNSP−Gほど小さくはない。グラフェン中において窒素と硫黄、および/または窒素と燐が近くに存在することにより、ギブス自由エネルギーが0に近くなる。これは、ピリジニックNは電子アクセプタとして機能するのに対し、硫黄および燐は電子ドナーとして機能するため、窒素と硫黄または燐とが隣接するとギブス自由エネルギーが0に近くなるものと考えられる。
実施例1のように、細孔の平均サイズを100nm以下かつ最小サイズを60nm未満とすると、図15のように、グラフェン層24内に七員環または五員環に起因した欠陥が導入されやすくなる。グラフェン層24内の欠陥に窒素、硫黄および燐等が結合すると触媒サイトとなる。欠陥密度が大きくなると、図7(d)のように欠陥が隣接する確率が高くなる、このようなグラフェン層24に窒素と硫黄および/または燐とをドープする。これにより、窒素と硫黄および/または燐とが隣接する確率が高くなり、図19のようにギブス自由エネルギーがPtに近いグラフェン層24を得ることができる。
ギブス自由エネルギーの計算結果、および図17の結果から、例えば、グラフェン層24内のピリジニックNの濃度は0.4原子%以上であり、かつ、グラフェン層24内のC−S−C結合している硫黄の濃度は1原子%以上と、グラフェン層24内のP−C結合している燐の濃度は、0.4原子%以上と、のうち少なくとも1つを満たすことが好ましい。
NSP750の多孔質金属10を除去する前(図1(c)の状態)のサンプルをサンプルCとして、サンプルCで水素発生反応の触媒特性を測定した。図21は、NSP750およびサンプルCの電圧に対する電流を示す図である。サンプルCでは、NSP750に比べHERにおける触媒特性がよい。このように、多孔質金属10であるニッケルを残存させることにより、HERの触媒特性を向上できる。
サンプルDでは、G750における多孔質金属10の除去時間を短くし、グラフェン層24にニッケルを担持させた。EDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscope)の測定結果では、サンプルDにおけるニッケルの残存量は5原子%である。さらに、FeNOまたはCoNO溶液でG750の多孔質金属10をエッチングすることにより、ニッケルに加え、コバルトおよび鉄を担持させた。サンプルEでは、グラフェン層24にニッケルと鉄が担持されている。サンプルEにおける鉄の濃度は1原子%である。サンプルFでは、グラフェン層24にニッケルとコバルトが担持されている。サンプルFにおけるコバルトの濃度は1.7原子%である。SEMおよびEDSの測定結果では、ニッケル、鉄およびコバルトは、グラフェン層24にナノ粒子として担持されていることがわかった。
図22(a)は、サンプルDの電圧に対する電流を示す図,図22(b)は、サンプルDからFの電圧に対する電流を示す図である。図22(a)はHERの触媒特性を示し、図22(b)は酸素発生反応(OER: Oxygen evolution reaction)の触媒特性を示す。図22(a)では電解質として0.5M硫酸水溶液を用い、図22(b)では1M水酸化カリウム溶液を用いている。図22(a)に示すように、−20mA/cm−2に−0.25Vで到達しておりHERの高い触媒特性を示している。図21(b)に示すように、ニッケルに加え鉄またはコバルトをグラフェン層24に担持させることにより、OERの良好な触媒特性を示している。
図21のサンプルCのように、多孔質金属10を残存させることにより、HERの高い触媒特性を得ることができる。図22(a)のように、グラフェン層24にニッケルを担持させることにより、高い触媒特性を得ることができる。図22(b)に示すように、グラフェン層24は、ニッケルと、鉄またはコバルトと、を担持することにより、良好なHER触媒特性を得ることができる。図22(b)のように、ニッケルを一部残存させることにより、良好なOERの触媒特性を得ることができる。
実施例2は、電気二重層キャパシタの例である。G750およびNP750を用い電気二重層キャパシタを作製した。
以下に作製した電気二重層キャパシタの各材料を示す。
負極: 白金
参照極:Ag/AgCl
正極: G750またはNP750
電解質:1M KOH溶液
図23(a)は、実施例2における電気二重層キャパスタの充放電特性を示す図、図23(b)は時間に対する電流密度を示す図である。図23(a)および図23(b)における電流密度は単位質量当たりの電流である。走査レートは100mV/秒である。図23(a)に示すように良好な充放電特性を示している。NP750はG750に比べ充放電特性が良好である。図23(b)に示すように、NP750のエネルギー密度はG750より良好である。G750およびNP750のエネルギー密度は、それぞれ2.08Wh/kgおよび3.54Wh/kgである。
実施例2のように、実施例1の多孔質体を蓄電装置の電極に用いることにより、蓄電特性を向上できる。また、実施例1の多孔質体は、水素発生反応の触媒特性が良好であり、水素発生用の電極に用いることができる。
図2(b)において、液体96として純水または海水、光99として強度が1kW/mのソーラシュミレータ(太陽光に近い光)を用い水の蒸発速度を測定した。図24は、実施例3におけるN750を用いた純水と海水の水からの蒸発量を測定した結果を示す図である。質量変化は、水の蒸発による水の質量の変化を示す。「N750」と示した曲線は、図2(b)の多孔質グラフェン98としてN750を用いた場合の水(純水)および海水の蒸発速度を示している。「なし」と示した曲線は、多孔質グラフェン98を水および海水上に浮かべない場合の水および海水の蒸発速度を示している。図24に示すように、水および海水の蒸発速度はN750を用いることにより速くなる。以上のように、気化装置に、実施例1の多孔質体を用いることにより、気化速度を向上できる。
以上、発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 多孔質金属
12 細孔
14 リガメント
20 多孔質体
22 細孔
24 グラフェン層
40 蓄電装置
42 正極
44 電解質
46 負極

Claims (7)

  1. 平均サイズが10nm以上かつ100nm以下であり、かつ最小サイズが60nm未満である細孔と、
    前記細孔を覆い、窒素と、燐および硫黄の少なくとも一方と、を含むグラフェン層と、
    を具備し、
    前記グラフェン層をラマン分光法で測定したときのDバンドおよびGバンドのピークの信号強度をそれぞれIDおよびIGとしたとき、ID/IGは0.3以上であり、
    前記グラフェン層内のピリジニックNの濃度は0.4原子%以上であり、
    かつ、
    前記グラフェン層のC−S−C結合している硫黄の濃度は1原子%以上と、前記グラフェン層内のP−C結合している燐の濃度は0.4原子%以上と、のうち少なくとも一方を満たすことを特徴とする多孔質体。
  2. 前記細孔内は空洞であることを特徴とする請求項1記載の多孔質体。
  3. 金属からなる多孔質金属具備し、
    前記グラフェン層は、前記多孔質金属の表面を覆うことを特徴とする請求項1記載の多孔質体。
  4. 前記平均サイズは60nm未満であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の多孔質体。
  5. 前記グラフェン層をラマン分光法で測定したときの2Dバンドのピークの信号強度をI2Dしたとき、I2D/IGは0.6以上であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の多孔質体。
  6. 請求項1からのいずれか一項記載の多孔質体を含むことを特徴とする電極。
  7. 金属酸化物からなるナノ粒子を還元ガスを含む雰囲気中において熱処理することにより平均サイズが10nm以上かつ100nm以下であり、かつ最小サイズが60nm未満である金属からなるリガメントを有する多孔質金属を形成する工程と、
    前記多孔質金属の表面に、窒素と、燐および硫黄の少なくとも一方と、を含むグラフェン層を形成する工程と、
    を含み、
    前記グラフェン層をラマン分光法で測定したときのDバンドおよびGバンドのピークの信号強度をそれぞれIDおよびIGとしたとき、ID/IGは0.3以上であり、
    前記グラフェン層内のピリジニックNの濃度は0.4原子%以上であり、
    かつ、
    前記グラフェン層内のC−S−C結合している硫黄の濃度は1原子%以上と、前記グラフェン層内のP−C 結合している燐の濃度は0.4原子%以上と、のうち少なくとも一方を満たすことを特徴とする多孔質体の製造方法。
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