JP6933526B2 - 油脂組成物 - Google Patents

油脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6933526B2
JP6933526B2 JP2017148304A JP2017148304A JP6933526B2 JP 6933526 B2 JP6933526 B2 JP 6933526B2 JP 2017148304 A JP2017148304 A JP 2017148304A JP 2017148304 A JP2017148304 A JP 2017148304A JP 6933526 B2 JP6933526 B2 JP 6933526B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
oils
fats
fatty acids
fat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017148304A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019024419A (ja
Inventor
和也 東方
和也 東方
里佳 本間
里佳 本間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2017148304A priority Critical patent/JP6933526B2/ja
Publication of JP2019024419A publication Critical patent/JP2019024419A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6933526B2 publication Critical patent/JP6933526B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)

Description

本発明は、油脂組成物に関する。
オリーブ果実を圧搾して得られる未精製のオリーブ油は、オリーブ果実のフルーティな香りや青々しい香り、適度な苦味が好まれ、近年需要が増加している。また、オリーブ油の健康効果もその需要増加の一因となっている。オリーブ油の特徴的成分はオレイン酸であり、オリーブ油を構成する脂肪酸の約7、8割をオレイン酸が占める。オレイン酸は悪玉コレステロール(LDL)を上昇させない等の生理作用をもつことが報告されている。
一方で、オレイン酸のLDLに対する作用等はω3系不飽和脂肪酸に代表される多価不飽和脂肪酸に比べると弱いとの報告がある(非特許文献1)。オレイン酸はヒトの体内で合成されるのに対して、多価不飽和脂肪酸は体内で合成されないため、食事によって摂取しなければならない必須脂肪酸でもある。また、オレイン酸等の長鎖脂肪酸よりも炭素数6〜12の中鎖脂肪酸、特に8〜10の中鎖脂肪酸は体脂肪への蓄積性が少ないといった利点があることも知られている(非特許文献2)。
Ronald,P.M.et al.,J.Lipid.Res.26:194−202,1985 Hiroaki,T.et al.,J.Nutr.131(11)2853−2859,2001
オリーブ油の独特な香りや味を有し、構成脂肪酸としてω3系不飽和脂肪酸や中鎖脂肪酸を多く含む油脂は、より高い機能性を備えた食用油脂として有用と考えられる。
しかしながら、オリーブ油の独特な香りや味は熱、精製によって失われるため、オリーブ油の化学的加工によって機能を付与することは出来ない。他方、本発明者が検討したところ、オリーブ油に生理作用を期待できる濃度でω3系不飽和脂肪酸や中鎖脂肪酸等を含有させようとしても、その香りや味を保持することは極めて難しいことが明らかになった。
そこで、本発明は、高い機能性を備え、オリーブ油の代替として使用可能な油脂組成物を提供することに関する。尚、これまでにオリーブ油の独特な香りや味を有するオリーブ油代替油脂を得ようとする試みは知られていない。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意研究を行ったところ、ω3系不飽和脂肪酸や中鎖脂肪酸を構成脂肪酸として含む所定の油脂に特定量のオリーブオイル香料を含有させれば、オリーブ油のフルーティな香りと適度な苦みが感じられ、オリーブ油よりも高い機能性を備えながらもオリーブ油様の風味を有する油脂組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)(a1)、(a2)又は(a3)のいずれかの油脂、
(a1)構成脂肪酸の45質量%以上がα−リノレン酸である油脂
(a2)構成脂肪酸の90質量%以上が中鎖脂肪酸である油脂
(a3)構成脂肪酸の25質量%以上がドコサヘキサエン酸であり、かつ7質量%以上がエイコサペンタエン酸である油脂
(B)オリーブオイル香料 0.1〜1質量%
を含有する油脂組成物を提供するものである。
本発明によれば、オリーブ油のフルーティな香りと適度な苦みを有し、オリーブ油より高い機能性を備えた油脂組成物が提供される。
本発明で用いられる(A)油脂は、(a1)構成脂肪酸の45質量%以上がα−リノレン酸である油脂、(a2)構成脂肪酸の90質量%以上が中鎖脂肪酸である油脂、又は(a3)構成脂肪酸の25質量%以上がドコサヘキサエン酸であり、かつ7質量%以上がエイコサペンタエン酸である油脂のいずれかである。α−リノレン酸(C18:3、ALA)、中鎖脂肪酸、ドコサヘキサエン酸(C22:6、DHA)、エイコサペンタエン酸(C20:5、EPA)のいずれも様々な生理機能が期待される。
本発明において、油脂組成物中の(A)油脂の含有量は、使用性の点から、好ましくは90質量%(以下、単に「%」とする)以上、より好ましくは95%以上であり、また、好ましくは99.9%以下である。ここで、(A)油脂の含有量の計算には、後述する香料は含めない。
(a1)の油脂は、構成脂肪酸の45%以上がα−リノレン酸である油脂であるが、生理効果の点から、(a1)油脂を構成する脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量は、好ましくは50%以上、より好ましくは52%以上、更に好ましくは53%以上であり、また、酸化安定性の点から、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下である。なお、本明細書における脂肪酸量は遊離脂肪酸換算量である。
本発明において、(a1)油脂を構成するα−リノレン酸以外の構成脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。
油脂の風味・工業的生産性の点からは、(a1)油脂を構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは60%以上、100%以下、更に好ましくは70%以上、96%以下、更に好ましくは80%以上、92%以下である。不飽和脂肪酸の炭素数は、生理効果の点から、好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である。
(a1)油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸(C18:2)の含有量は、工業的生産性の点から、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。
また、(a1)油脂を構成する脂肪酸中のオレイン酸(C18:1)の含有量は、工業的生産性の点から、好ましくは10%以上であり、また、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。
(a1)油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の合計含有量は、外観、生理効果、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下であり、また、0.5%以上であるのが好ましい。
飽和脂肪酸の炭素数は、好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である。
(a1)油脂は、食用油脂として使用できるものであれば植物性油脂、動物性油脂のいずれでもよいが、構成脂肪酸としてα−リノレン酸を豊富に含む油脂が好ましい。このような油脂としては、シソ油、アマニ油、エゴマ油、チアシード油、サチャインチ油等の植物性油脂が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲において、構成脂肪酸としてα−リノレン酸を豊富に含む油脂と、これ以外の油脂、例えば、大豆油、菜種油、サフラワー油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、米油、ゴマ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油、クルミ油、キウイ種子油、サルビア種子油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、ボラージ油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、やし油、パーム核油、カカオ脂、サル脂、シア脂、藻油等の植物性油脂;魚油、アザラシ油、ラード、牛脂、バター脂等の動物性油脂;あるいはそれらのエステル交換油、水素添加油、分別油等の油脂類から選ばれる1種又は2種を混合して用いてもよい。
なかでも、オリーブ油のフルーティな香りと適度な苦みを有する油脂組成物にできる点から、好ましくはシソ油、アマニ油及びエゴマ油から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはアマニ油である。
(a2)の油脂は、構成脂肪酸の90%以上が中鎖脂肪酸である油脂であるが、生理効果の点から、(a2)油脂を構成する脂肪酸中の中鎖脂肪酸の含有量は、好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは99%以上である。
本明細書において中鎖脂肪酸は、分子に含まれる炭素数が6〜12の脂肪酸である。例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等が挙げられる。生理効果の点から、好ましくは炭素数8〜10の脂肪酸である。
本発明において、(a2)油脂を構成する中鎖脂肪酸以外の構成脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。
油脂の風味・工業的生産性の点からは、油脂を構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは5%以下である。不飽和脂肪酸の炭素数は、生理効果の点から、好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である。
また、(a2)油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の合計含有量は、外観、生理効果、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上である。
(a2)油脂は、炭素数6〜12の直鎖飽和脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応、又は炭素数6〜12の直鎖飽和脂肪酸と動植物由来食用油脂とのエステル交換により得られる中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる食用油脂、或いは当該中鎖脂肪酸トリグリセリドと動植物由来食用油脂との混合により得られる食用油脂、当該中鎖脂肪酸トリグリセリドと動植物由来食用油脂とのエステル交換により得られる食用油脂等が挙げられるが、これらに限定するものではない。動植物由来食用油脂としては、前述の植物性油脂、動物性油脂が挙げられる。なかでも、生理効果、加工特性、入手のし易さの点、オリーブ油のフルーティな香りと適度な苦みを有する油脂組成物にできる点から、ヤシ油分解脂肪酸等の炭素数が8〜10の飽和脂肪酸から構成されるトリグリセリドからなる食用油脂が好ましい。
(a3)の油脂は、構成脂肪酸の25%以上がドコサヘキサエン酸であり、かつ7%以上がエイコサペンタエン酸である油脂である。(a3)油脂を構成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の含有量は、生理効果の点から、好ましくは27%以上、より好ましくは29%以上であり、また、酸化安定性の点から、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下である。
(a3)油脂を構成する脂肪酸中のエイコサペンタエン酸の含有量は、生理効果の点から、好ましくは7.5%以上、より好ましくは8%以上であり、また、酸化安定性の点から、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下である。
本発明において、(a3)油脂を構成するドコサヘキサエン酸とエイコサペンタエン酸以外の構成脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。
油脂の風味・工業的生産性の点からは、(a3)油脂を構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは50%以上、100%以下、更に好ましくは55%以上、95%以下、更に好ましくは60%以上、90%以下である。不飽和脂肪酸の炭素数は、生理効果の点から、好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である。
(a3)油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸の含有量は、工業的生産性の点から、好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上であり、また、好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
また、(a3)油脂を構成する脂肪酸中のオレイン酸の含有量は、工業的生産性の点から、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上であり、また、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
また、(a3)油脂を構成する脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量は、工業的生産性の点から、好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上であり、また、好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
(a3)油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の合計含有量は、外観、生理効果、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下であり、また、0.5%以上であるのが好ましい。
飽和脂肪酸の炭素数は、好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である。
(a3)油脂は、食用油脂として使用できるものであれば植物性油脂、動物性油脂のいずれでもよいが、構成脂肪酸としてドコサヘキサエン酸とエイコサペンタエン酸を豊富に含む油脂が好ましい。このような油脂としては、魚油、藻油等の微生物油、アザラシ油等の動物油が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。魚油とは、水産動物油脂であり、例えば、イワシ、ニシン、サンマ、サバ、カツオ、マグロ、クジラ、イカ、たら肝臓等の原料から採取することができる。また、藻油は、緑藻綱、珪藻綱等に属する藻類から採取することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、構成脂肪酸としてドコサヘキサエン酸とエイコサペンタエン酸を豊富に含む油脂と、これ以外の油脂、例えば、大豆油、菜種油、サフラワー油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、米油、ゴマ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油、シソ油、アマニ油、エゴマ油、チアシード油、サチャインチ油、クルミ油、キウイ種子油、サルビア種子油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、ボラージ油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、やし油、パーム核油、カカオ脂、サル脂、シア脂等の植物性油脂;ラード、牛脂、バター脂等の動物性油脂;あるいはそれらのエステル交換油、水素添加油、分別油等の油脂類から選ばれる1種又は2種を混合して用いてもよい。
なかでも、オリーブ油のフルーティな香りと適度な苦みを有する油脂組成物にできる点から、好ましくは魚油である。
(a1)、(a2)、(a3)の油脂は、精製工程を経た精製油脂であるのが好ましい。
本発明において、(A)油脂は、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びトリアシルグリセロールのいずれか1種以上を含むものである。
本発明において、油脂中のトリアシルグリセロールの含有量は、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは88%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であり、また、好ましくは99.8%以下、より好ましくは99.5%以下、更に好ましくは99%以下である。
油脂中のジアシルグリセロールの含有量は、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上であり、また、好ましくは9%以下、より好ましくは7%以下、更に好ましくは5%以下である。
油脂中のモノアシルグリセロールの含有量は、風味を良好とする点から、好ましくは3%以下、より好ましくは0〜2%である。
また、油脂に含まれる遊離脂肪酸(塩)量は、風味、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは5%以下であり、より好ましくは0〜2%、更に好ましくは0〜1%である。
トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びモノアシルグリセロールの脂肪酸組成は同じであることが油脂の工業的生産性の点から好ましい。
本発明の油脂組成物は、(B)オリーブオイル香料を含有する。
後述の実施例に示すように、(a1)、(a2)又は(a3)の油脂に特定量のオリーブオイル香料を含有させれば、オリーブ油のフルーティな香りと適度な苦みが感じられる。
オリーブオイル香料は、オリーブ(Olea europaea L.)の果実から採油されるオリーブ油の香気成分を含み、オリーブ油を想起させる香料である。オリーブ油の香気成分としては、テルペン系炭化水素、アルコール類等が知られている。他方、オリーブ油にはオリーブ果実に由来するポリフェノールが含まれることが知られているが、オリーブオイル香料は通常これを実質含まない。
オリーブの品種には、マンザニロ、セビラノ、ミッション、ネバジロ・ブランコ、アスコラノ等があるが、本発明においてはいずれの品種も用いることができる。
オリーブオイル香料は、天然に由来するもの、合成されたもの、又はそれらの混合物のいずれも用いることができる。オリーブオイル香料の製造法としては、圧搾法によるコールドプレス法、水蒸気蒸留法、抽出法等が挙げられる。オリーブオイル香料の形態としては、例えば、油溶性、エマルジョン、粉末が挙げられる。
オリーブオイル香料は、市販品、好ましくは飲食品用の市販品を使用することができる。
本発明において、油脂組成物中の(B)オリーブオイル香料の含有量は0.1〜1%である。オリーブオイル香料の含有量は、よりオリーブ油に近い香りや味を有する点から、好ましくは0.2%以上であり、より好ましくは0.25%以上であり、更に好ましくは0.4%以上である。他方、オリーブオイル香料の量が増えると、油脂組成物のオリーブ様の風味が失われていく傾向があることから、好ましくは0.8%以下であり、より好ましくは0.6%以下であり、更に好ましくは0.5%以下である。
尚、香料の定量には、ガスクロマトグラフィーを用いることができる。例えば、ヘッドスペースガスクロマトグラフィにより分析することができる。
本発明の油脂組成物は、油っぽさを低減する点から、更に柑橘系香料を含有することが好ましい。
柑橘系香料は、柑橘類を想起させる香料であり、主にテルペン系炭化水素を含む。柑橘類としては、例えば、レモン、柚子、みかん、オレンジ、ライム、グレープフルーツが挙げられる。
柑橘系香料は、天然に由来するもの、合成されたもの、又はそれらの混合物のいずれも用いることができる。好ましくは天然香料である。柑橘系香料の製造法としては、例えば、圧搾法によるコールドプレス法、水蒸気蒸留法、抽出法等が挙げられる。柑橘系香料の形態としては、特に制限はなく、例えば、水溶性、油溶性、エマルジョン、粉末が挙げられる。柑橘系香料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
柑橘系香料は、市販品、好ましくは飲食品用の市販品を使用することができる。
油脂組成物中の柑橘系香料の含有量は、油っぽさを低減する点から、好ましくは0.05%以上、0.3%以下、より好ましくは0.1%以上、0.25%以下、更に好ましくは0.1%以上、0.2%以下である。
また、油脂組成物中の(B)オリーブオイル香料に対する柑橘系香料の含有質量比[柑橘系香料/オリーブオイル香料]は、オリーブ油のフルーティな香りと適度な苦みが感じられる点から、好ましくは0.2以上、3以下、より好ましくは2以下である。
本発明の油脂組成物は、酸化安定性の点から、更に抗酸化剤を含有することが好ましい。
油脂組成物中の抗酸化剤の含有量は、風味、酸化安定性、着色抑制等の点から、好ましくは0.005%以上、0.5%以下、より好ましくは0.04%以上、0.25%以下、更に好ましくは0.08%以上、0.2%以下である。
抗酸化剤としては、食品に使用するものであれば特に制限はないが、天然抗酸化剤、レシチン、トコフェロール、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)等から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明の油脂組成物は、例えば、(A)(a1)構成脂肪酸の45%以上がα−リノレン酸である油脂、(a2)構成脂肪酸の90%以上が中鎖脂肪酸である油脂、又は(a3)構成脂肪酸の25%以上がドコサヘキサエン酸であり、かつ7%以上がエイコサペンタエン酸である油脂のいずれか、成分(B)オリーブオイル香料、更に必要に応じてその他の成分を配合し、適宜加熱、撹拌等することにより得ることができる。全配合原料の合計に対する、各成分の配合量は前述した含有量と同一である。
本発明の油脂組成物は、一般の食用油脂と同様に使用でき、油脂を用いた各種飲食品に応用することができる。とりわけ、オリーブ油のフルーティな香りと適度な苦みを有することから、オリーブ油の代替油脂として利用することができる。飲食品としては、通常の飲食品の他、例えば、α−リノレン酸、中鎖脂肪酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸の生理作用を標榜した特定保健用食品、機能性表示食品等が挙げられる。
〔分析方法〕
(i)油脂のグリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
<GLC分析条件>
(条件)
装置:アジレント6890シリーズ(アジレントテクノジー社製)
インテグレーター:ケミステーションB 02.01 SR2(アジレントテクノジー社製)
カラム:DB−1ht(Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=340℃
ディテクター:FID、T=350℃
オーブン温度:80℃から10℃/分で340℃まで昇温、15分間保持
(ii)油脂の構成脂肪酸組成
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られた油脂サンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)に準拠して測定した。
<GLC分析条件>
カラム:CP−SIL88 50m×0.25mm×0.2μm (VARIAN)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=300℃
ディテクター:FID、T=300℃
オーブン温度:150℃5min保持→1℃/min昇温→160℃5min保持→2℃/min昇温→200℃10min保持→10℃/min昇温→220℃5min保持
〔原料〕
成分(A)油脂として、表1の組成を持つ(a1)アマニ油(日清アマニ油、日清オイリオグループ株式会社製)、(a2)中鎖脂肪酸油(日清中鎖脂肪酸100%オイル、日清オイリオグループ株式会社製)、(a3)魚油(DHA−27、日本水産株式会社製)を用いた。また、オリーブ油(味の素オリーブオイル、株式会社J-オイルミルズ製)を用いた。
(B)オリーブオイル香料として、オリーブオイルフレーバー(小川香料株式会社製)を用いた。
レモン香料として、レモンオイル(小川香料株式会社製)、ユズ香料として、ユズフレーバー(高砂香料工業株式会社製)を用いた。
Figure 0006933526
実施例1〜6及び比較例1〜7
〔油脂組成物の調製〕
表2に示した割合で(a1)アマニ油、オリーブオイル香料、レモン香料、ユズ香料、オリーブ油を混合し、油脂組成物をそれぞれ調製した。
〔評価試験〕
上記で得た試験品について官能評価を行なった。具体的には、試験品1gを口に含み、吐出した。オリーブ油の適度な苦み「苦み感」とオリーブ油のフルーティな香り「フルーティ感」について比較例1(オリーブ油100%)の評点を「5」とし、下記評価基準により他の試験品について6段階で相対評価を行った。
「油っぽさ」は全ての試験品について下記の評価基準により評価した。
専門パネル3名の協議により評点を決定した。結果を表2に示す。
(苦み感)
5:比較例1と同等の苦みを感じる
4:比較例1より弱いが、強い苦みを感じる
3:苦みを感じる
2:苦みを少し感じる
1:苦みをわずかに感じる
0:苦みを感じない
(フルーティ感)
5:比較例1と同等のフルーティな香りを感じる
4:比較例1より弱いが、強いフルーティーな香りを感じる
3:フルーティーな香りを感じる
2:フルーティーな香りを少し感じる
1:フルーティーな香りをわずかに感じる
0:フルーティな香りを感じない
(油っぽさ)
5:油っぽさがとても強い
4:油っぽさが強い
3:油っぽい
2:少し油っぽい
1:僅かに油っぽい
0:油っぽくない
Figure 0006933526
実施例7〜12及び比較例8〜13
〔油脂組成物の調製〕
表3に示した割合で(a2)中鎖脂肪酸油、オリーブオイル香料、レモン香料、ユズ香料、オリーブ油を混合し、油脂組成物をそれぞれ調製した。
〔評価試験〕
表3に示した試験品の「苦み感」と「フルーティ感」について、上記と同様に比較例1の評点を「5」として官能評価を行なった。「油っぽさ」は、上記と同様に評価した。
結果を表3に示す。
Figure 0006933526
実施例13〜18及び比較例14〜19
〔油脂組成物の調製〕
表4に示した割合で(a3)魚油、オリーブオイル香料、レモン香料、ユズ香料、オリーブ油を混合し、油脂組成物をそれぞれ調製した。
〔評価試験〕
表4に示した試験品の「苦み感」と「フルーティ感」について、上記と同様に比較例1の評点を「5」として官能評価を行なった。
「油っぽさ」は、全ての試験品について上記と同様に評価し、「魚臭さ」は、全ての試験品について下記の評価基準により評価した。
結果を表4に示す。
(魚臭さ)
5:魚臭さをとても強く感じる
4:魚臭さを強く感じる
3:魚臭さを感じる
2:魚臭さを少し感じる
1:魚臭さを僅かに感じる
0:魚臭さを感じない
Figure 0006933526
表2〜表4から明らかなように、実施例1〜18の油脂組成物では、オリーブ油のフルーティな香りと適度な苦みが感じられた。更にレモン香料又はユズ香料を配合した油脂組成物では、オリーブ油よりも油っぽさが低減された。
また、(a3)魚油に特定量のオリーブオイル香料を含有させれば、(a3)魚油に由来する魚臭さが低減されることが確認された。

Claims (2)

  1. 次の成分(A)及び(B):
    (A)(a1)、(a2)又は(a3)のいずれかの油脂 90〜99.9質量%
    (a1)構成脂肪酸の45質量%以上がα−リノレン酸である油脂
    (a2)構成脂肪酸の90質量%以上が中鎖脂肪酸である油脂
    (a3)構成脂肪酸の25質量%以上がドコサヘキサエン酸であり、かつ7質量%以上がエイコサペンタエン酸である油脂
    (B)オリーブオイル香料 0.1〜1質量%
    を含有し、成分(A)油脂の92〜99.8質量%がトリアシルグリセロールである油脂組成物。
  2. 更に、柑橘系香料を含有する請求項記載の油脂組成物。
JP2017148304A 2017-07-31 2017-07-31 油脂組成物 Active JP6933526B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017148304A JP6933526B2 (ja) 2017-07-31 2017-07-31 油脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017148304A JP6933526B2 (ja) 2017-07-31 2017-07-31 油脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019024419A JP2019024419A (ja) 2019-02-21
JP6933526B2 true JP6933526B2 (ja) 2021-09-08

Family

ID=65476499

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017148304A Active JP6933526B2 (ja) 2017-07-31 2017-07-31 油脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6933526B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019024419A (ja) 2019-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5875356B2 (ja) 油脂組成物
JP6058434B2 (ja) 油脂組成物
JP2017195880A (ja) 分離型液体調味料
Mota et al. Natural crystallisation of tucuma (Astrocaryum vulgare Mart.) pulp olein
JP6774703B2 (ja) 油脂組成物
JP6017998B2 (ja) 油脂組成物
JP5925638B2 (ja) 油脂組成物
JP6933526B2 (ja) 油脂組成物
JP6325890B2 (ja) 油脂組成物
EP3030086B1 (en) Fat or oil composition
EP3000867B1 (en) Fat composition
JP6777527B2 (ja) 油脂組成物
JP6325866B2 (ja) 油脂組成物
JP6777528B2 (ja) 油脂組成物
WO2014189011A1 (ja) 油脂組成物
JP6504814B2 (ja) 油脂組成物
JP7127991B2 (ja) 食用油
JP6166983B2 (ja) 精製油脂の製造方法
WO2022118886A1 (ja) 油脂組成物
JP6325889B2 (ja) 油脂組成物
JP2020080859A (ja) 油脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200612

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20210323

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210324

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210817

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210819

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6933526

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250