以下、本発明に含まれる打込機のいくつかの実施形態のうち、代表的な実施形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1に示す打込機10は、ハウジング11を有する。ハウジング11は、シリンダケース12、ハンドル13及びヘッドカバー14を有する。シリンダケース12は筒形状であり、ハンドル13は、シリンダケース12から軸線C1方向に突出している。ヘッドカバー14は、シリンダケース12の開口部を塞ぐように、シリンダケース12に取り付けられている。射出部15がシリンダケース12に固定されている。射出部15は、シリンダケース12において、ヘッドカバー14が取り付けられた箇所の反対に取り付けられている。
蓄圧室17は、図1及び図2Aのように、ハンドル13内からシリンダケース12内に亘って設けられている。プラグ18はハンドル13に取り付けられており、エアホースをプラグ18に着脱できる。エアホースは空気圧縮機に接続され、圧縮空気がエアホースを介して蓄圧室17に供給される。プラグ18は、ハンドル13のうち、軸線C1方向でシリンダケース12から最も離れた箇所に取り付けられている。ハウジング11にトリガ19が設けられており、トリガ19は支持軸20を中心として回動可能である。トリガ19は、ルプリング197の力で、図2Aにおいて反時計回りに付勢されている。
トリガバルブ21がハンドル13に設けられている。トリガバルブ21は、図2Bのように、プランジャ22、弾性部材23、筒部材180,181,184を有する。筒部材180,184はハンドル13に対して移動しないように設けられている。弾性部材23はプランジャ22を付勢する。ハンドル13は、蓄圧室17に接続された通路182を有する。筒部材184とハンドル13との間に排気通路183が形成されている。排気通路183は、外部D1につながっている。筒部材184は通路185,194を有する。通路185は、通路195を介してメインバルブ室32につながっている。筒部材180と筒部材181との間に空気室186が形成されている。
筒部材180に通路187が設けられている。通路182は通路187につながっている。通路187は、筒部材180の軸孔188を介して空気室186につながる。プランジャ22は、筒部材181内、軸孔188及び外部D1に亘って配置されている。プランジャ22は、軸線A9方向に移動可能である。プランジャ22は、弾性部材23の力でトリガ19に近づく向きに付勢されている。
筒部材180において、軸孔188の内周面とプランジャ22の外周面との間にシール部材189,190が取り付けられている。シール部材190は、軸孔188と外部D1とを遮断する。シール部材189は、通路187と空気室186とを接続または遮断する。筒部材181は筒部材184内に配置されている。筒部材181の外周面にシール部材191,192,193が取り付けられている。通路194は通路182につながっている。シール部材191は、通路194と空気室186とを遮断する。筒部材181は軸線A9方向に移動可能である。プランジャ22の外周面にシール部材196が取り付けられている。シール部材196は筒部材181の内周面に接触して、空気室186と排気通路183とを遮断する。シール部材196は筒部材181の内周面から離れると、空気室186と排気通路183とを接続する。
プッシュレバ24が射出部15に取り付けられている。プッシュレバ24は、射出部15に対して移動可能である。トリガバルブ21は、プッシュレバ24の作動及びトリガ19の動作により作動する。
シリンダケース12内及びヘッドカバー14内に亘ってシリンダ25が設けられている。シリンダ25は、シリンダケース12に対して軸線A1方向に移動可能であり、フランジ26がシリンダ25の外周面に設けられている。シール部材27がフランジ26の外周に取り付けられている。バルブシート28は、シリンダ25の軸線A1方向の端部に取り付けられている。
筒形状のメインバルブ30がヘッドカバー14内に設けられている。メインバルブ30は、メインバルブ30は、ヘッドカバー14内で軸線A1方向に移動可能である。弾性部材31がヘッドカバー14内に設けられ、弾性部材31は金属製の圧縮バネである。弾性部材31は、メインバルブ30を軸線A1方向に付勢し、メインバルブ30は弾性部材31の力でバルブシート28に押し付けられる。
ヘッドカバー14とメインバルブ30との間にメインバルブ室32が形成されている。メインバルブ室32は、図2Bに示す通路195につながっている。トリガバルブ21が作動すると、メインバルブ室32は、第1状態と第2状態とに切り替えられる。第1状態は、メインバルブ室32が蓄圧室17から遮断され、かつ、ハウジング11の外部D1に接続される状態である。第2状態は、メインバルブ室32が蓄圧室17に接続され、かつ、外部D1から遮断される状態である。
ストッパ33がヘッドカバー14内に設けられ、ストッパ33は環状のバルブシート34を有する。ポート34Aが、メインバルブ30とバルブシート34とにより形成される。メインバルブ30が移動するとポート34Aを開閉する。ヘッドカバー14内に排気室39が形成されている。排気室39は外部D1につながっている。ポート34Aが開くと、シリンダ上室38は、排気室39を介して外部D1につながる。ポート34Aが閉じると、シリンダ上室38と排気室39とが遮断される。
さらに、排気室39と蓄圧室17とは、ヘッドカバー14の一部であるセパレータ29によって仕切られている。セパレータ29は筒形状である。蓄圧室17に供給される圧縮空気は、排気室39に直接供給されることはない。
ピストン35は、シリンダ25内で軸線A1方向に移動可能に設けられている。ピストン35及びドライバブレード36が一体化された打撃部70を構成する。打撃部70は、シリンダ25内で軸線A1方向に移動可能である。シール部材37はピストン35の外周に取り付けられている。シリンダケース12は、シリンダ25を介して打撃部70を作動可能に支持する。軸線C1は軸線A1に対して交差する。図1に示す打込機10例は、軸線A1と軸線C1とが90度で交差する例である。ヘッドカバー14は、シリンダケース12の軸線A1方向における端部に取り付けられている。
シリンダ上室38は、ストッパ33とピストン35との間であり、かつ、メインバルブ30の内側に設けられている。メインバルブ30とバルブシート28とにより、通路30Aが形成される。通路30Aは、蓄圧室17とシリンダ上室38とをつなぐ通路である。シール部材37はシリンダ25の内周面に接触して、シリンダ上室38を気密にシールする。
ダンパ40はシリンダ25内から射出部15内に亘って配置されている。ダンパ40は合成ゴム製であり、ダンパ40は軸孔41を有する。ドライバブレード36は軸孔41内で軸線A1方向に移動可能である。シリンダ下室42は、シリンダ25内でピストン35とダンパ40との間に形成されている。シリンダ25であって、フランジ26とダンパ40との間に、通気口43が設けられている。通気口43はシリンダ25を径方向に貫通している。シリンダケース12内であって、フランジ26と射出部15との間に、戻し空気室44が設けられている。通気口43はシリンダ下室42と戻し空気室44とをつなぐ。
逆止弁45がシリンダ25に設けられている。逆止弁45は合成ゴム製のリングである。逆止弁45は、シリンダ下室42の空気圧で弾性変形して通気口43を開く。逆止弁45は、シリンダ25の外周面に密着して通気口43を閉じる。シリンダ25であって、通気口43と射出部15との間に通気口46が設けられている。通気口46はシリンダ25を径方向に貫通し、かつ、シリンダ下室42と戻し空気室44とを、常時接続する。
射出部15は、軸孔47及び射出路48を有する。軸孔47は軸線A1と同心状に配置され、ドライバブレード36は、軸孔47及び射出路48で軸線A1方向に移動可能である。
マガジン16は、止具としての釘52を複数収容する。複数の釘52同士は、1列に並べられ、かつ、接続要素を用いて互いに接続されている。マガジン16は供給機構51を有し、供給機構51はマガジン16内の釘52を、1本ずつ射出路48に供給する。
次に、打込機10の使用例を説明する。圧縮空気は蓄圧室17に供給され、蓄圧室17の空気圧は大気圧よりも高い。トリガ19に操作力が加えられておらず、かつ、プッシュレバ24が被打込材W1から離れていると、シリンダ上室38は排気室39を介してハウジング11の外に接続される。
また、トリガ19に操作力が加えられていないと、トリガ19は初期位置で停止している。トリガ19に接続されたプランジャ22は下死点で停止している。プランジャ22が下死点で停止していると、シール部材189は、通路187と空気室186とを接続している。このため、通路182は、通路187及び軸孔188を介して空気室186につながっている。さらに、シール部材196は、空気室186と排気通路183とを遮断している。また、通路182は通路194に常時つながっている。筒部材181は、空気室186の空気圧、通路194の空気圧により、軸線A9方向で互いに逆向きの力を受ける。このため、筒部材181は、弾性部材23の力で軸線A9方向に付勢され、筒部材181は、排気通路183に最も近づいた上死点で停止している。
筒部材181が上死点で停止していると、シール部材192が筒部材184から離れ、通路195と通路185とがつながっている。また、シール部材193が筒部材184に押し付けられ、通路185と排気通路183とが遮断されている。すると、蓄圧室17の圧縮空気は、通路182、通路195を介してメインバルブ室32に供給される。メインバルブ30は、軸線A1方向でヘッドカバー14から離れる向きの第1の力を受ける。また、蓄圧室17の空気圧はメインバルブ30に加わり、メインバルブ30は、ヘッドカバー14に近づく向きの第2の力を受ける。
メインバルブ30は、第1の力と第2の力との差により、バルブシート28に押し付けられる。つまり、メインバルブ30は通路30Aを閉じており、蓄圧室17の空気圧はシリンダ上室38に伝達されない。さらに、メインバルブ30はバルブシート34から離れ、ポート34Aを開いている。このため、シリンダ上室38の空気圧は大気圧である。ピストン35はシリンダ下室42の空気圧で軸線A1方向に付勢され、ピストン35は、ストッパ33に接触して上死点で停止している。
そして、ユーザは、片手でハンドル13を握り、ハンドル13を握った手の指でトリガ19に操作力を加え、かつ、プッシュレバ24が被打込材W1に押し付ける。トリガ19に操作力が加えられて、図2Aで反時計回りにトリガ19が作動すると、プランジャ22は弾性部材23の力に抗して軸線A9方向に作動し、プランジャ22は上死点で停止する。プランジャ22が上死点で停止すると、シール部材189が通路187と空気室186とを遮断する。また、シール部材196は空気室186と排気通路183とを接続し、空気室186の空気は排気通路183から外部D1に排出される。
すると、筒部材181は通路194の空気圧で弾性部材23の力に抗して作動し、シール部材192が通路182と通路185とを遮断し、かつ、シール部材193が通路185と排気通路183とを接続する。このため、メインバルブ室32の圧縮空気は、通路195,185及び排気通路183を経由して外部D1に排出され、メインバルブ室32は大気圧になる。
すると、メインバルブ30は、弾性部材31の力と、蓄圧室17の空気圧に応じた力との差により、ヘッドカバー14に向けて作動する。このため、メインバルブ30がバルブシート28から離れて通路30Aが開き、かつ、バルブシート34がメインバルブ30の内周面に押し付けられ、ポート34Aが閉じる。
メインバルブ30とバルブシート28とが離れて通路30Aが開き、かつ、ポート34Aが閉じると、蓄圧室17の空気圧でシリンダ上室38の空気圧が上昇し、ピストン35及びドライバブレード36が下降する。ドライバブレード36が射出路48に進入すると、ドライバブレード36は釘52を打撃し、釘52は被打込材W1に打ち込まれる。
ピストン35が上死点から下死点に向けて作動中、シリンダ下室42の空気は、通気口46を通り、戻し空気室44に進入する。ピストン35の移動中、シール部材37が、軸線A1方向でストッパ33と通気口43との間に位置していると、逆止弁45は通気口43を閉じている。ピストン35の移動中、シール部材37が、通気口43とダンパ40との間に移動すると、逆止弁45は通気口43を開き、シリンダ上室38の空気の一部は通気口43を通り、戻し空気室44に進入する。このようにして、戻し空気室44及びシリンダ下室42の空気圧が上昇する。
そして、ドライバブレード36が釘52を打ち込んだ後、ユーザはトリガ19に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバ24の端部63を被打込材W1から離す。すると、プッシュレバ24は初期位置に戻り停止する。さらに、プランジャ22は、弾性部材23の力で軸線A9方向に作動し、プランジャ22は下死点で停止する。プランジャ22が下死点で停止すると、シール部材189は空気室186と通路187とを接続する。また、シール部材196は、空気室186と排気通路183とを遮断する。このため、空気室186の空気圧が上昇する。筒部材181は、弾性部材23の力で排気通路183に向けて作動して停止する。すると、シール部材192は通路194と通路185とを接続し、かつ、シール部材193は、通路185と排気通路183とを遮断する。
このため、蓄圧室17の圧縮空気がメインバルブ室32に送られ、メインバルブ室32の空気圧が上昇する。メインバルブ30がヘッドカバー14から離れる向きで作動してポート34Aが開くとともに、通路30Aを遮断する。また、シリンダ上室38は排気室39を介してハウジング11の外部につながり、シリンダ上室38は大気圧となる。
さらに、ドライバブレード36が釘52を打ち込んだ後に下死点に到達したピストン35は、シリンダ下室42の空気圧で上死点に向けて移動し、かつ、ドライバブレード36はピストン35と共に上昇する。ピストン35はストッパ33に接触し、ピストン35は上死点で停止する。
打込機10は、圧力調整機構を有する。圧力調整機構は、圧力調整バルブ71及びエアダスタ72を有する。圧力調整バルブ71は、蓄圧室17に圧縮空気が供給されている状態で、蓄圧室17の圧力を調整可能な機構である。エアダスタ72は、圧力調整バルブ71の状態を切り替える第2操作機構としての機能と、圧縮空気を蓄圧室17から外部D1に排出する第3操作機構としての機能と、を兼ねる。
圧力調整バルブ71は、軸線C1方向で、トリガバルブ21が配置されている箇所と、ハンドル13のうち、シリンダケース12から最も離れた端部と、の間に配置されている。圧力調整バルブ71は、圧力調整バルブ71は、図3に示すように、ケーシング73、作動部材74、バルブシート75、エンドカバー76及び弁体77を有する。エンドカバー76は、ねじ部材311によりハンドル13に固定されている。ケーシング73は、筒部78及びフランジ部79を有し、フランジ部79は、ハンドル13とエンドカバー76との間に挟まれている。エンドカバー76とバルブシート75との間に空気室82が形成されている。エンドカバー76は取り付け孔80を有し、プラグ18は取り付け孔80に取り付けられている。プラグ18の通路83は空気室82につながっている。
図3において、バルブシート75は、ケーシング73内で動かないように固定されている。バルブシート75は通路81を有し、通路81は空気室82につながっている。作動部材74は、円筒形状であり、作動部材74は軸線A4方向に移動可能である。作動部材74は通路93を有し、通路93は通路81と蓄圧室17とをつないでいる。エアホースがプラグ18に接続されると、エアホース内の圧縮空気は、通路83、空気室82、通路81及び通路93を経由して蓄圧室17に供給される。
筒部78の内面と作動部材74の外面との間に空気室87が設けられている。付勢部材84が空気室87に設けられている。空気室87は、シール部材88,89によってシールされている。付勢部材84は、作動部材74をバルブシート75に近づける向きで、軸線A4方向に付勢する。付勢部材84は、一例として金属製の圧縮スプリングである。
図3のように、作動部材74にシャフト85が設けられ、シャフト85は通路81及び空気室82に亘って配置されている。シャフト85のうち空気室82に位置する箇所に、弁体77が取り付けられている。弁体77は一例として合成ゴム製である。空気室82に付勢部材86が設けられている。付勢部材86は、弁体77をバルブシート75に近づける向きで付勢する。弁体77とバルブシート75との間にポート121が形成される。付勢部材86は、一例として金属製の圧縮スプリングである。ハンドル13内にパイプ90が設けられ、パイプ90は通路91を有する。ハンドル13に通路92が形成され、通路91は、通路92と空気室87とをつないでいる。
エアダスタ72はヘッドカバー14に設けられている。エアダスタ72はバルブであり、エアダスタ72は、図4に示すように、第1可動要素94、第2可動要素95、軸部材96、受け部材97及び収容室98を有する。収容室98は、ヘッドカバー14に設けた孔である。第1可動要素94、第2可動要素95、軸部材96及び受け部材97は、収容室98内に配置されている。第1可動要素94は、ヘッドカバー14に対して軸線A4を中心として回転可能である。第1可動要素94の外周面に、環状の抜け止め176が取り付けられている。抜け止め176は収容室98の内面に押し付けられている。このため、第1可動要素94は、ヘッドカバー14に対して軸線A4方向には移動しない。また、第1可動要素94は、軸孔100を有する筒形状であり、第1可動要素94を径方向に貫通する通路101が設けられている。通路101は、軸孔100につながっている。軸孔100を取り囲む内面に、環状の傾斜面122が形成されている。傾斜面122は軸線A4に対して傾斜している。
図4のように、ヘッドカバー14に排気口102が設けられ、排気口102はハウジング11の外部D1につながっている。通路101は、排気口102につながっている。第1可動要素94は、軸線A4方向の端部に傾斜面99を有する。収容室98の内面と第1可動要素94の外周面との間にシール部材103,104が設けられている。シール部材103,104は、通路101と排気口102との接続箇所をシールする。
第2可動要素95は、収容室98内で軸線A4方向に移動可能であり、かつ、回転しないように設けられている。第2可動要素95は筒形状であり、第2可動要素95は軸孔105を有する。第2可動要素95の外周面にシール部材106が取り付けられている。第2可動要素95における第1可動要素94側の端部に、傾斜面119が設けられている。傾斜面119は、軸線A4に対して傾斜している。
図4に示す受け部材97は、筒形状であり、受け部材97は排気口107を有する。排気口107は軸孔105と、ハウジング11の外部とをつなぐ。受け部材97は外向きフランジ108を有する。収容室98内で外向きフランジ108と第2可動要素95との間に、空間113が形成されている。付勢部材109が空間113に配置されている。外向きフランジ108はヘッドカバー14に押し付けられており、付勢部材109は、第2可動要素95を軸線A4方向で第1可動要素94に近づける向きで付勢し、第2可動要素95と第1可動要素94とが、常時、接触している。付勢部材109は一例として金属製の圧縮スプリングである。
受け部材97にシール部材110,111が取り付けられている。シール部材110は、第2可動要素95の軸線A4方向における位置に応じて、第2可動要素95の内面に接触または離反する。シール部材111は、ヘッドカバー14に常時接触し、かつ、収容室98と外部D1とを遮断する。ヘッドカバー14に通路112が設けられている。通路112は空間113につながっている。
軸部材96は、軸孔100,105に亘って配置されている。軸部材96は、第1可動要素94及び第2可動要素95に対して軸線A4方向に移動可能である。ノブ114が軸部材96の端部に取り付けられている。ノブ114は、外部D1に配置されており、ノブ114は軸部材96と共に一体回転可能である。ノブ114にはマーク114Aが設けられており、ユーザは、マーク114Aを目視してノブ114の回転方向における操作位置を認識可能である。ノブ114と第1可動要素94との間に、弾性部材120が設けられている。弾性部材120は、一例として金属製の圧縮スプリングである。ノブ114は弾性部材120の力で第1可動要素94から離れる向きに付勢されている。
軸部材96の外周面にシール部材115,116,117が取り付けられている。シール部材115は軸孔100をシールする。弾性部材120の力でノブ114と共に軸部材96が付勢され、シール部材116が第1可動要素94の傾斜面122に押し付けられることで、ノブ114及び軸部材96は第1可動要素94に対して、軸線A4方向の所定位置で停止する。シール部材117は第2可動要素95の内面に接触してシール面を形成する。
ヘッドカバー14に通路118が設けられている。通路118は、蓄圧室17に常時つながっている。通路112は通路92に常時つながっている。
打込機10において、打撃部70が釘52に加える打撃力は、シリンダ上室38に供給される圧縮空気の圧力、つまり、蓄圧室17の圧力に応じて定まる。
釘52を被打込材W1に打ち込む作業を行うと、蓄圧室17の圧縮空気の一部は、メインバルブ室32に供給され、かつ、排気通路183から外部D1に排出される。蓄圧室17の圧縮空気の一部は、シリンダ上室38に供給され、かつ、排気室39から外部D1に排出される。また、蓄圧室17の圧縮空気の一部は、空気室186に供給され、かつ、排気通路183から外部D1に排出される。蓄圧室17の空気圧は、釘52を被打込材W1に打ち込む作業を行うと低下する。
圧力調整バルブ71が蓄圧室17の圧力を調整する機能を説明する。エアホース内の圧縮空気は、通路83、空気室82、ポート121、通路81及び通路93を経由して蓄圧室17に流入する。作動部材74は、バルブシート75に近づく向きの付勢力F1と、バルブシート75から離れる向きの付勢力F2とを受ける。付勢力F1は、空気室87の圧力、作動部材74の受圧面積、及び付勢部材84の付勢力に応じて定まる。付勢力F2は、作動部材74とバルブシート75との隙間に進入する圧縮空気の圧力、及び作動部材74の受圧面積に応じて定まる。
付勢力F2が付勢力F1よりも大きい場合は、作動部材74はバルブシート75から離れ、かつ、ポート121は閉じている。付勢力F2が付勢力F1よりも小さい場合は、作動部材74はバルブシート75に接触して停止し、ポート121は開いている。付勢力F1と付勢力F2とが同じである場合は、作動部材74は作動しない。
蓄圧室17の圧力が所定圧力を超えていると、作動部材74が受ける付勢力F2は付勢力F1よりも大きく、ポート121は閉じている。蓄圧室17の圧力が所定圧力以下になり、作動部材74が受ける付勢力F2が付勢力F1よりも小さくなると、作動部材74がバルブシート75に近づく向きで作動し、ポート121が開く。ポート121が開くと、空気室82内の圧縮空気は、ポート121、通路81及び通路93を経由して蓄圧室に供給され、蓄圧室17の圧力が上昇する。
そして、蓄圧室17の圧力が所定圧力を超えて、作動部材74が受ける付勢力F2が付勢力F1よりも大きくなると、作動部材74がバルブシート75から離れ、ポート121が閉じる。圧力調整バルブ71は、蓄圧室17の圧力に応じて作動部材74が作動する。圧力調整バルブ71は、蓄圧室17の実際の圧力を、所定の圧力範囲内に保持するように調整する。
本開示の打込機10は、ユーザがエアダスタ72を操作することにより、所定の圧力範囲を複数段階に切り替え可能である。複数段階は、一例として、低圧モード及び高圧モードの2段階である。
まず、ユーザが低圧モードを選択する例を説明する。ユーザは、ノブ114の回転方向における位置を、図6で上段に示す第1操作位置で停止させる。ユーザがノブ114を第1操作位置で停止させると、第1可動要素94は、軸線A1を中心とする回転方向で図4に示す第1回転位置で停止する。第1可動要素94が第2可動要素95に対して第1回転位置で停止すると、傾斜面99と傾斜面119とが交差した状態である。また、第2可動要素95は、付勢部材109の付勢力に抗してフランジ108に向けて押され、かつ、第2可動要素95は、軸線A4方向でフランジ108に最も近づいた位置、つまり、第1位置で停止する。
第1可動要素94が、図4に示す第1位置で停止すると、シール部材106が収容室98の内面に押し付けられ、シール部材106は通路118と通路112とを遮断する。このため、蓄圧室17の圧縮空気は空気室87に供給されず、空気室87の圧力は第1調圧力である。
次に、ユーザが高圧モードを選択する例を説明する。ユーザは、ノブ114の回転方向における位置を、図6で下段に示す第2操作位置として停止させる。ノブ114が第2操作位置で停止すると、第1可動要素94は、軸線A1を中心とする回転方向で、第2可動要素95に対して図5に示す第2回転位置で停止する。第1可動要素94が第2回転位置で停止すると、傾斜面99と傾斜面119とが平行である。また、第2可動要素95は、付勢部材109の付勢力で、フランジ108から最も離れた位置、つまり、第2位置で停止する。
第2可動要素95が第2位置で停止すると、シール部材106が収容室98の内面から離れ、シール部材106は通路118と通路112とを接続する。このため、蓄圧室17の圧縮空気は空気室87に供給され、空気室87の圧力は第2調圧力である。第2調圧力は、第1調圧力よりも高圧である。
また、第2可動要素95が第2位置で停止すると、シール部材110が第2可動要素95の内周面に接触し、シール部材110は、軸孔105と空間113とを遮断する。このため、空間113を通る圧縮空気が、排気口107から外部D1に排出されることを防止できる。
このように、ユーザがエアダスタ72を操作して、空気室87の圧力を、第1調圧力と第2調圧力とで切り替えることにより、圧力調整バルブ71が調整する蓄圧室17の圧力範囲を、2段階に切り替えることができる。高圧モードに対応する蓄圧室17の圧力範囲は、低圧モードに対応する蓄圧室17の圧力範囲よりも高い。
次に、ユーザがエアダスタ72を操作して、蓄圧室17の圧縮空気を外部D1に排出する例を説明する。ユーザは、ハンドル13を握っている手の指で、エアダスタ72のノブ114に軸線A4方向の操作力を加える。
図4及び図5に示すノブ114は、ユーザがノブ114に軸線A4方向の操作力を加えていない状態である。ノブ114は弾性部材120の力で押され、シール部材116が傾斜面122に押し付けられることにより、軸部材96及びノブ114は、第1可動要素94に対して軸線A4方向で初期位置に停止している。軸部材96が初期位置で停止していると、シール部材116が、通路118と通路101とを遮断している。このため、蓄圧室17の圧縮空気が、排気口102から外部D1に排出されることは無い。
図7に示すノブ114は、ユーザがノブ114に軸線A4方向の操作力を加えた状態、つまり、ノブ114を押した状態である。ノブ114は弾性部材120の力に抗して作動し、ノブ114がヘッドカバー14に接触することにより、ノブ114及び軸部材96は、第1可動要素94に対して軸線A4方向の作動位置に停止している。軸部材96が作動位置で停止していると、シール部材116が傾斜面122から離れ、通路118と通路101とが接続されている。このため、蓄圧室17の圧縮空気は、排気口102から外部D1に排出される。
なお、図7のように第2可動要素95がフランジ108に最も近づいて停止していると、シール部材106が収容室98の内面から離れ、通路112と軸孔100とが接続される。このため、空気室87の圧縮空気は、通路112、排気口102を経由して外部D1に排出される。さらに、ユーザがノブ114に加えた軸線A4方向の操作力を解除すると、ノブ114及び軸部材96は、弾性部材120の力で軸線A4方向に移動し、シール部材116が傾斜面122に接触すると、ノブ114及び軸部材96は、初期位置で停止する。
さらに、シール部材117は、第1可動要素94と第2可動要素95との軸線A4方向の位置に関わりなく、第2可動要素95の内面に接触してシール面を形成する。さらに、軸孔105は排気口107を介して常に外部につながっている。このため、第2可動要素95が第1可動要素94に対して軸線A4方向に移動する際に、第2可動要素95の移動抵抗が増加することを抑制できる。
このように、エアダスタ72は、第1機能及び第2機能を備えている。第1機能は、蓄圧室17の圧縮空気を外部D1に排出させる機能である。第2機能は、蓄圧室17に圧縮空気が供給されている状態で、蓄圧室17の圧力を調整する圧力調整バルブ71の状態を切り替える機能である。このため、圧力調整バルブ71の状態を切り替える操作部材を専用で設けずに済む。したがって、打込機10は、第1効果、第2効果及び第3効果のうち、少なくとも1つの効果を得ることができる。
第1効果は、ハウジング11に設ける部品点数の増加を抑制することである。第2効果は、ハウジング11の大型化を抑制することである。具体的に説明すると、ノブ114、第1可動要素94、軸部材96は、蓄圧室17の圧縮空気の圧力を調整する要素の一部であり、かつ、蓄圧室17の圧縮空気を外部D1に排出する要素の一部である。つまり、エアダスタ72は、異なる機能を達成するために部品の一部が共通化されている。したがって、ハウジング11の大型化を抑制可能である。また、ハンドル13の径方向、例えば、軸線C1に対して交差する方向に突出する操作部材の数が抑制され、ハウジング11がハンドル13の径方向に大型化することを抑制できる。第3効果は、ユーザの操作性を向上することである。具体的に説明すると、ユーザは、ハンドル13を握っている手の指で、トリガ19、エアダスタ72をそれぞれ操作可能である。
打込機の比較例1を、図1に二点鎖線で示す。打込機の比較例1は、ハンドル400、圧力調整機構401、圧力調整機構401の状態を切り替える第2操作機構402、プラグ403を有する。プラグ403は、ハンドル400の軸線C1方向の端部に設けられている。また、圧力調整機構401及び圧力調整機構401は、軸線C1に対して交差する方向に並べて配置されている。
打込機10の実施形態1は、圧力調整バルブ71がハンドル13に設けられ、エアダスタ72がヘッドカバー14に設けられている。このため、打込機10の実施形態1のハンドル13は、打込機の比較例1のハンドル400に対して、軸線C1に対して交差する方向で小型である。
(実施の形態2)
打込機の実施の形態2は、図8に示されている。図8に示す打込機10は、エアダスタ72が、ハンドル13とシリンダケース12との接続箇所に配置されている。より具体的には、ハンドル13の軸線C1方向で、トリガバルブ21とシリンダ25との間に、エアダスタ72が配置されている。軸線A1方向でハンドル13の配置領域内に、エアダスタ72が配置されている。軸線C1に対して垂直な平面において、図9のように、エアダスタ72を断面視すると、軸線A4はハンドル13の幅方向に沿って配置されている。収容室98はハンドル13に設けられ、排気口102はハンドル13に設けられている。エアダスタ72の他の構成は、図4に示すエアダスタ72の構成と同じである。図8に示す打込機10の他の構成は、図1に示す打込機10の構成と同じである。
図9、図10及び図11に示すエアダスタ72は、図4、図5及び図7に示すエアダスタ72と同様に操作可能である。つまり、ユーザがハンドル13を握った手の指で、エアダスタ72及びトリガ19をそれぞれ操作可能である。また、図9、図10及び図11に示すエアダスタ72は、図4、図5及び図7に示すエアダスタ72と同様の機能を有する。図9に示すエアダスタ72は、図4に示すエアダスタ72と同様に、図3の圧力調整バルブ71の空気室87の圧力を、第1圧力にすることができる。図10に示すエアダスタ72は、図5に示すエアダスタ72と同様に、図3の圧力調整バルブ71の空気室87の圧力を、第2圧力にすることができる。
図11に示すエアダスタ72は、蓄圧室17の圧縮空気を外部D1に排出することができる。なお、図9、図10及び図11に示すノブ114の回転方向における操作位置は、図6に示すノブ114の操作位置と同様である。
このように、実施の形態2の打込機10は、実施の形態1の打込機10と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2の打込機10は、エアダスタ72をハンドル13に設けている。このため、エアダスタ72の配置に必要なスペースが、ハンドル13の径方向に突出することを抑制できる。ハンドル13の径方向は、軸線C1に対して交差する方向である。
打込機の比較例2を、図8に二点鎖線で示す。打込機の比較例2は、ハンドル400、圧力調整機構401、圧力調整機構401の状態を切り替える第2操作機構402、プラグ403を有する。プラグ403は、ハンドル400の軸線C1方向の端部に設けられている。また、圧力調整機構401及び圧力調整機構401は、軸線C1に対して交差する方向に並べて配置されている。さらに、第3操作機構としてのエアダスタ404がヘッドカバー405に設けられている。つまり、第2操作機構402とエアダスタ404とが、別々に設けられ、かつ、別々の位置に配置されている。
打込機10の実施形態2は、第2操作機構及び第3操作機構を兼ねるエアダスタ72がハンドル13に設けられている。このため、打込機10の実施形態2は、打込機の比較例2に比べて部品点数を抑制でき、大型化を抑制できる。具体的には、打込機10の実施形態2は、打込機の比較例2に対して、ハンドル13が軸線C1に対して交差する方向に小型化する。
また、打込機10の実施形態2は、エアダスタ72が軸線C1方向でハンドル13の配置領域内に配置されている。このため、打込機10の実施形態2は、打込機の比較例2に対して、ヘッドカバー14が軸線C1方向に小型化する。
(実施の形態3)
打込機の実施の形態3は、図12に示されている。図12に示す打込機10は、圧力調整バルブ71及びエアダスタ72が、ハンドル13においてシリンダケース12とは反対側の端部に設けられている。つまり、軸線C1方向において、圧力調整バルブ71の配置範囲と、エアダスタ72の配置範囲とが、少なくとも一部で重なっている。また、軸線A1方向でハンドル13の配置領域内に、圧力調整バルブ71及びエアダスタ72が配置されている。トリガ19及びトリガバルブ21は、軸線C1方向でシリンダ25と圧力調整バルブ71との間に配置されている。
圧力調整バルブ71は、図13に示すように、ケーシング130、作動部材131、バルブシート132、エンドカバー133及び弁体134を有する。ケーシング130はハンドル13に固定されている。ケーシング130は、収容室135及び支持孔136を有する。作動部材131、バルブシート132及びエンドカバー133は、収容室135に配置されている。収容室135の軸線A5方向において、バルブシート132は、作動部材131とエンドカバー133との間に配置されている。軸線A5は、軸線C1と平行である。エンドカバー133とバルブシート132との間に空気室151が形成されている。エンドカバー133は取り付け孔137を有し、プラグ18は取り付け孔137に取り付けられている。プラグ18の通路83は空気室151につながっている。
バルブシート132は、収容室135内で動かないように固定されている。バルブシート132は通路138を有し、通路138は空気室151につながっている。作動部材131は、ケーシング130に対して軸線A5方向に移動可能である。収容室135内に付勢部材139が設けられている。付勢部材139は、作動部材131を軸線A5方向でバルブシート132に近づけるように付勢する。付勢部材139は、一例として金属製の圧縮スプリングである。ケーシング130は空間164及び通路165を有する。付勢部材139は空間164に配置されている。通路165は、空間164と支持孔136とをつなぐ。
作動部材131にシャフト140が設けられ、シャフト140は通路138及び空気室151に亘って配置されている。シャフト140のうち空気室151に位置する箇所に、弁体134が取り付けられている。弁体134は一例として合成ゴム製である。空気室151に付勢部材141が設けられている。付勢部材141は、弁体134をバルブシート132に近づける向きで付勢する。付勢部材141は、一例として金属製の圧縮スプリングである。
収容室135内において、作動部材131とバルブシート132との間に空気室142が形成されている。空気室142は通路138を介して空気室151につながっている。ケーシング130に通路143が設けられており、通路143は空気室142と蓄圧室17とをつないでいる。収容室135内にシール部材144,145が設けられており、シール部材144,145は空気室142をシールする。
収容室135内で作動部材131の外面とケーシング130との間に空気室146が形成されている。収容室135にシール部材147が設けられており、シール部材144,147は空気室146をシールする。ケーシング130は、空気室146と支持孔136とをつなぐ通路166を有する。さらに、ケーシング130は、空気室142と支持孔136とをつなぐ通路172を有する。
エアダスタ72は、図13に示すように、第1可動要素148、第2可動要素149、軸部材150及び支持孔136を有する。第1可動要素148、第2可動要素149及び軸部材150は、支持孔136に配置されている。第1可動要素148は支持孔136内で回転可能であり、軸線A6方向には移動しない。軸線A6は、支持孔136の中心であり、軸線A6と軸線A5とが平行である。また、第1可動要素148は、軸孔152を有する筒形状である。
第1可動要素148の外周面にシール部材153が取り付けられている。ケーシング130に溝174が設けられており、シール部材153の一部は溝174に配置されている。シール部材153とケーシング130との係合力で、第1可動要素148がケーシング130に対して軸線A6方向で位置決めされている。シール部材153は、支持孔136をシールする。第1可動要素148において支持孔136に配置されている部位に、環状の傾斜面175が形成されている。傾斜面175は軸線A6に対して傾斜している。
軸部材150のうち、軸線A6方向の一部が軸孔152に配置されている。ノブ154が軸部材150に取り付けられている。ノブ154はピン155を介して軸部材150に取り付けられている。第1可動要素148は支持孔156を有し、ピン155は支持孔156に配置されている。ノブ154は、ピン155を介して第1可動要素148と共に軸線A6を中心として作動可能である。ピン155は支持孔156内で軸線A6方向に移動可能である。つまり、軸部材150は、第1可動要素148に対して軸線A6方向に所定量移動可能である。
軸孔152に付勢部材157が設けられている。付勢部材157はノブ154を軸線A6方向でケーシング130から離れる向きで付勢する。付勢部材157は一例として金属製の圧縮スプリングである。軸孔152にシール部材158が設けられている。シール部材158は軸部材150の外周面と、軸孔152の内面との間をシールする。
ケーシング130に排気口159が設けられ、排気口159はケーシング130の外部につながっている。排気口159は支持孔136につながっている。
第2可動要素149は、支持孔136内で軸線A6方向に移動可能であり、かつ、回転しないように設けられている。第2可動要素149は筒形状であり、第2可動要素149は軸孔160を有する。軸部材150の一部は軸孔160内に配置されている。軸部材150は、第2可動要素149に対して軸線A6を中心として回転可能である。第2可動要素149の外周面にシール部材161,162,163が取り付けられている。第2可動要素149のうち、第1可動要素148に近い方の端部に傾斜面173が形成されている。傾斜面173は軸線A6に対して傾斜している。
ケーシング130は壁167を有し、支持孔136における壁167と第2可動要素149との間に空間168が形成されている。壁167は軸孔169を有し、軸部材150の一部は軸孔169に配置されている。軸孔169は、蓄圧室17と空間168とをつなぐ。軸部材150の外周面にシール部材170が取り付けられている。軸部材150が軸線A6方向に移動すると、シール部材170は軸孔169内で壁167に接触するか、または壁167から離れる。
空間168に付勢部材171が設けられている。付勢部材171は、第2可動要素149を軸線A6方向で第1可動要素148に近づけるように付勢する。第2可動要素149は、第1可動要素148に常時、接触している。付勢部材171は、一例として金属製の圧縮スプリングである。
エアホースからプラグ18の通路83に送られる圧縮空気は、空気室151、通路138、空気室142及び通路143を経由して蓄圧室17に流入する。図13に示す作動部材131は、軸線A5方向で互いに逆向きの付勢力F1,F2を受ける。付勢力F1は、空気室146の圧力及び作動部材131の受圧面積、空間164の圧力及び作動部材131の受圧面積、付勢部材139の付勢力に応じて定まる。付勢力F2は、蓄圧室17につながる空気室142の圧力及び作動部材131の受圧面積に応じて定まる。
付勢力F2が付勢力F1よりも大きい場合は、作動部材131はバルブシート132から離れて停止し、ポート199は閉じている。付勢力F2が付勢力F1よりも小さい場合は、作動部材131はバルブシート132に接触して停止し、ポート199は開いている。付勢力F1と付勢力F2とが同じである場合は、作動部材131は作動しない。
蓄圧室17の圧力が所定圧力を超えていると、作動部材131が受ける付勢力F2は付勢力F1よりも大きく、ポート199は閉じている。打込機10の使用により蓄圧室17の圧力が所定圧力以下になり、作動部材131が受ける付勢力F2が付勢力F1よりも小さくなると、作動部材131がバルブシート132に近づく向きで作動し、ポート199が開く。ポート199が開くと、空気室151内の圧縮空気は、ポート199、通路138、空気室142及び通路143を経由して蓄圧室17に供給され、蓄圧室17の圧力が上昇する。
そして、蓄圧室17につながる空気室142の圧力が所定圧力を超えて、作動部材131が受ける付勢力F2が付勢力F1よりも大きくなると、作動部材131がバルブシート132から離れ、ポート199が閉じる。圧力調整バルブ71は、蓄圧室17の圧力に応じて作動部材131が作動する。圧力調整バルブ71は、蓄圧室17の実際の圧力を、所定の圧力範囲内に保持するように調整する。
本開示の打込機10は、ユーザが図13及び図14に示すエアダスタ72を操作することにより、所定の圧力範囲を複数段階、一例として、高圧モード、中圧モード及び低圧モードの3段階に切り替え可能である。
まず、ユーザが、高圧モードを選択する際は、ノブ154及び第1可動要素148を回転させ、図13のように、傾斜面173と傾斜面175とが交差する状態で、第1可動要素148を停止させる。すると、第2可動要素149は、第1可動要素148に押されて、付勢部材171の付勢力に抗して壁167に最も近い位置で停止する。すると、空気室142は、通路172、支持孔136、及び通路166を介して空気室146につながる。また、空気室142は、通路172、支持孔136、及び通路165を介して空間164につながる。作動部材131が受ける付勢力F2は最大である。
ユーザが、ノブ154の操作位置を中圧モードに設定した場合を説明する。空気室142は、通路172、支持孔136、及び通路166を介して空気室146につながる。また、シール部材162は、通路172と通路165とを遮断する。中圧モードが設定された場合に、作動部材131が受ける付勢力F2は、高圧モードが設定された場合に作動部材131が受ける付勢力F2よりも小さい。
ユーザが、ノブ154の操作位置を低圧モードに設定する場合を説明する。ユーザはノブ154及び第1可動要素148を回転させ、図14のように、傾斜面173と傾斜面175とが平行になる状態で、第1可動要素148を停止させる。すると、第2可動要素149は、付勢部材171の付勢力により、壁167から最も離れた位置、つまり、第2位置で停止する。シール部材163は空気室142と通路172とを遮断し、かつ、空間164と通路172とを遮断する。低圧モードが設定された場合に、作動部材131が受ける付勢力F2は、中圧モードが設定された場合に作動部材131が受ける付勢力F2よりも小さい。
このように、ユーザがノブ154の回転方向の位置を調整することにより、高圧モード、中圧モード及び低圧モードを任意に切り替えることができる。つまり、作動部材131が受ける付勢力F2を3段階に切り替えることができ、蓄圧室17の圧力の設定範囲を、3段階に設定可能である。中圧モードに対応する圧力の設定範囲は、高圧モードに対応する圧力の設定範囲よりも低い。低圧モードに対応する圧力の設定範囲は、中圧モードに対応する圧力の設定範囲よりも低い。
次に、ユーザが図13及び図14に示すエアダスタ72を操作して、圧縮空気を蓄圧室17から外部D1に排出する例を説明する。図13及び図14に示すノブ154は、ユーザがノブ154を軸線A6方向でケーシング130に近づける向きの操作力を加えていない状態である。付勢部材157の付勢力は、ピン155を介して軸部材150に伝達されている。ピン155が支持孔156の内面に押し付けられて、軸部材150はケーシング130に対して軸線A6方向の初期位置で停止している。
軸部材150が、図13及び図14に示す初期位置で停止していると、シール部材170が、壁167の軸孔169に押し付けられてシール面を形成する。つまり、シール部材170は蓄圧室17と空間168とを遮断している。このため、蓄圧室17の圧縮空気は、軸孔169から排出されない。
これに対して、ユーザがノブ154及び軸部材150に操作力を加えて、ノブ154をを軸線A6方向でケーシング130に近付けると、軸部材150は図15に示す作動位置で停止する。すると、シール部材170が、壁167の軸孔169の内面から離れる。このため、蓄圧室17と空間168とが接続され、蓄圧室17の圧縮空気は、空間168、軸孔160、支持孔136内における第1可動要素148と第2可動要素149との間、及び排気口159を経由して、外部D1に排出される。なお、ユーザがノブ154及び軸部材150に対する操作力を解除すると、軸部材150は付勢部材171の力で作動し、初期位置で停止する。
このように、図13、図14及び図15に示すエアダスタ72は、前述した第1機能及び第2機能を備えている。したがって、打込機10は、前述した第1効果、第2効果及び第3効果のうち、少なくとも1つの効果を得ることができる。
打込機の比較例3を、図8に二点鎖線で示す。打込機の比較例3は、さらに、エアダスタ404がヘッドカバー405に設けられている。エアダスタ404は、圧力調整機構の状態を切り替える機能は備えていない。このため、第2操作機構を、例えば、打込機10の実施形態2におけるエアダスタ72の配置位置に配置する。
打込機10の実施形態2は、第2操作機構及び第3操作機構を兼ねるエアダスタ72がハンドル13に設けられている。このため、打込機10の実施形態3は、打込機の比較例2に比べて部品点数を抑制でき、ハウジング11の大型化を抑制できる。具体的には、打込機10の実施形態3は、打込機の比較例3に対して、ヘッドカバー14が小型化する。
(実施の形態4)
打込機の実施の形態4は、図16に示されている。
エアダスタ312がヘッドカバー14に設けられ、第2操作機構313が、ハンドル13に設けられている。第2操作機構313は、軸線C1方向で、トリガバルブ21とシリンダ25との間に配置されている。第2操作機構313は、軸線A1方向でハンドル13の配置領域内に配置されている。第2操作機構313は、図17に示すように、第1可動要素294、第2可動要素295、受け部材297及び収容室298を有する。収容室298は、ハンドル13に設けた孔である。第1可動要素294、第2可動要素295及び受け部材297は、収容室298内に配置されている。
第1可動要素294は、ハンドル13に対して軸線A7を中心として回転可能である。第1可動要素294の外周面に、環状の抜け止め276が取り付けられている。抜け止め276は収容室298の内面に押し付けられている。このため、第1可動要素294は、ハンドル13に対して軸線A7方向には移動しない。また、第1可動要素294において、外部D1に位置する箇所にノブ114が設けられている。ノブ114は第1可動要素294と共に軸線A7を中心と回転可能である。
図17のように、第1可動要素294は、環状の傾斜面299を有する。傾斜面299は軸線A7に対して傾斜している。収容室298の内面と第1可動要素294の外周面との間にシール部材204が設けられている。シール部材204は、収容室298と外部D1とをシールする。第1可動要素294は、軸部292を有する。軸部292は軸線A7を中心として設けられている。シール部材217が軸部292の外周面に取り付けられている。
第2可動要素295は、収容室298内で軸線A7方向に移動可能であり、かつ、回転しないように設けられている。第2可動要素295は筒形状であり、第2可動要素295は軸孔205を有する。第2可動要素295の外周面にシール部材206が取り付けられている。第2可動要素295における第1可動要素294に近い端部に、傾斜面219が設けられている。傾斜面219は、軸線A7に対して傾斜している。軸部292の一部は、第2可動要素295内に配置され、シール部材217は第2可動要素295の内周面に接触している。
図17のように、受け部材297は、筒形状であり、受け部材297は排気口207を有する。排気口207は軸孔205と、外部D1とをつなぐ。受け部材297は外向きフランジ208を有する。収容室298内で外向きフランジ208と第2可動要素295との間に、空間213が形成されている。付勢部材209が空間213に配置されている。外向きフランジ208はハンドル13に押し付けられており、付勢部材209は、第2可動要素295を軸線A7方向で第1可動要素294に近づけるように付勢する。付勢部材209は一例として金属製の圧縮スプリングである。
受け部材297にシール部材210,211が取り付けられている。シール部材210は、第2可動要素295の内面に接触可能である。シール部材211は、ハンドル13に接触して収容室298をシールする。
図17のように、ハンドル13に通路112が設けられている。通路112は通路92につながっている。ハンドル13に通路118が設けられている。通路118は、蓄圧室17に常時つながっている。
エアダスタ312は、図19に示すように、支持孔300、ホルダ301及び軸部材302を有する。支持孔300は、ヘッドカバー14に設けられた凹部である。ホルダ301は筒形状であり、ホルダ301は支持孔300に配置され、かつ、ヘッドカバー14に固定されている。ホルダ301は軸孔303を有し、軸部材302は、軸孔303に配置されている。
軸部材302は、軸線A8方向に作動可能である。軸部材302の外周面に、シール部材304,305,306が取り付けられている。ホルダ301に通路307が設けられ、通路307は排気口102につながっている。軸孔303を形成する内面の一部に、傾斜面308が設けられている。傾斜面308は、軸線A8を中心として環状に形成されている。傾斜面308は軸線A8に対して傾斜している。軸孔303内に付勢部材309が設けられている。付勢部材309は、軸部材302を、軸線A8方向で外部D1に向けて付勢する。付勢部材309は、一例として金属製の圧縮スプリングである。軸部材302のうち、外部D1に配置された箇所にボタン310が取り付けられている。
ユーザが、ハンドル13を握った手の指でエアダスタ312を操作する例を説明する。ユーザがボタン310に軸線A8方向の操作力を加えていなければ、軸部材302は、図19のように、シール部材305が傾斜面308に押し付けられた位置、つまり、初期位置で停止している。軸部材302が初期位置で停止していると、シール部材305が通路118と通路307とを遮断する。したがって、蓄圧室17の圧縮空気が、排気口102から外部D1に排出されることは無い。
ユーザがボタン310に軸線A8方向の操作力を加えると、図20のように、軸部材302を付勢部材309の付勢力に抗して軸線A8方向に作動させた作動位置で停止する。軸部材302が作動位置で停止すると、シール部材305が傾斜面308から離れている。つまり、通路118と通路307とが接続され、蓄圧室17の圧縮空気が、排気口102から外部D1に排出される。
軸部材302が、図19のように初期位置で停止している際に、ユーザがハンドル13を握っている手の指で第2操作機構313を操作し、蓄圧室17の圧力を調整する例を説明する。ユーザは、ノブ114を軸線A1を中心として回転及び停止させることにより、蓄圧室17の圧力の設定範囲を低圧モードと高圧モードとに切り替えることが可能である。
まず、ユーザが低圧モードを選択する場合、図17のように、傾斜面299と傾斜面219とが交差するように、ノブ114の回転方向の位置を設定する。ノブ114の回転方向の位置は、図6の上段に示す第1操作位置である。すると、第2可動要素295は、付勢部材209の付勢力に抗してフランジ208に向けて押され、かつ、第2可動要素295は軸線A4方向でフランジ208に最も近づいた位置、つまり、第1位置で停止する。
第2可動要素95が、図17に示す第1位置で停止すると、シール部材206が収容室298の内面に押し付けられ、シール部材206は通路118と通路112とを遮断する。このため、蓄圧室17の圧縮空気は空気室87に供給されず、空気室87の圧力は第1調圧力である。
ユーザが、ノブ114の回転方向における位置を、図6の下段に示す第2操作位置で停止させる。すると、図18のように、傾斜面299と傾斜面219とが平行になり、傾斜面299と傾斜面219とが接触する。すると、第2可動要素295は、付勢部材209の付勢力で、フランジ208から最も離れた位置、つまり、第2位置で停止する。
第2可動要素295が、第2位置で停止すると、シール部材206が収容室298の内面から離れ、通路118と通路112とがつながる。このため、蓄圧室17の圧縮空気は、空間213、通路112及び通路92を経由してして空気室87に供給される。空気室87の圧力は第2調圧力である。第2調圧力は、第1調圧力よりも高圧である。
なお、第2可動要素295が、図18に示す第2位置で停止すると、シール部材210が第2可動要素295の内周面に接触してシール面を形成する。シール部材210は、軸孔205と排気口207とを遮断する。このため、空間213を通る圧縮空気が、排気口207から外部D1に排出されることを防止できる。
実施の形態4の打込機10によれば、ユーザがハンドル13を握った手の指でボタン310及びノブ114を操作可能である。したがって、操作性が向上する。また、軸線A1方向におけるハンドル13の配置領域内に、第2操作機構313が配置されている。したがって、ハンドル13の一部が径方向、つまり、軸線A1方向に突出すること、または大型化することを抑制できる。
打込機の比較例4を、図16に二点鎖線で示す。打込機の比較例4は、ハンドル400、圧力調整機構401、圧力調整機構401の状態を切り替える第2操作機構402、プラグ403を有する。プラグ403は、ハンドル400の軸線C1方向の端部に設けられている。また、圧力調整機構401及び圧力調整機構401は、軸線C1に対して交差する方向に並べて配置されている。
打込機10の実施形態1は、圧力調整バルブ71がハンドル13に設けられ、エアダスタ72がヘッドカバー14に設けられている。このため、打込機10の実施形態4のハンドル13は、打込機の比較例4のハンドル400に対して、軸線C1に対して交差する方向で小型できる。
実施の形態で説明した事項と、請求項に記載された事項との対応関係を一例を説明する。蓄圧室17は蓄圧室の一例であり、空気は圧縮気体の一例である。打撃部70は打撃部の一例である。シリンダ上室38が圧力室の一例であり、トリガ19及びトリガバルブ21は、第1操作機構の一例である。圧力調整バルブ71は、圧力調整機構の一例である。エアダスタ72は第2操作機構の一例、及び第3操作機構の一例である。第2操作機構313は第2操作機構の一例であり、エアダスタ312は第3操作機構の一例である。打込機10は打込機の一例である。ハウジング11はハウジングの一例であり、シリンダケース12は本体の一例である。ハンドル13はハンドルの一例である。ハンドル13とシリンダケース12との接続部位は、ハンドル13でもよいし、シリンダケース12でもよいし、ハンドル13及びシリンダケース12の両方でもよい。通路30Aは、圧縮気体を圧力室に供給する経路の一例である。軸線A1は第1軸線の一例であり、軸線C1は第2軸線の一例である。ヘッドカバー14はカバーの一例である。
打込機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、圧縮気体は、空気に代えて、不活性ガス、希ガスを用いることも可能である。第1操作機構は、ユーザが操作する第1操作部材、および第1操作部材の操作により作動するバルブを含む。第1操作部材は、レバー、アーム、ボタンの何れでもよい。第2操作機構は、ユーザが操作する第2操作部材、及び第2操作部材の操作により作動するバルブを含む。第2操作部材は、ノブ、レバー、ボタンアームの何れでもよい。第3操作機構は、ユーザが操作する第3操作部材、及び第3操作部材の操作により作動するバルブを含む。第3操作部材は、ノブ、レバー、ボタンアームの何れでもよい。圧縮気体を圧力室に供給する経路は、ポート、通路、開口部、空間の何れでもよい。
また、打撃部とハンドルとの配置位置は、第1軸線と第2軸線とが90度で交差する構成、第1軸線と第2軸線とが90度とは異なる角度で交差する構成の何れでもよい。マガジンは、複数の釘を直線状に配置して収容するもの、複数の釘を渦巻き状に配置して収容するもの、の何れでもよい。