JP6926079B2 - 注射器 - Google Patents

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Description

本発明は、注射目的物質を対象物の注射対象領域に注射する注射器に関する。
注射針の有無にかかわらず、注射器では、注射液に対して加圧を行うことで、注射液の射出が実現されるが、例えば、注射針を介することなく注射を行う無針注射器では、その加圧源として火薬が使用される場合がある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に示される無針注射器では、***と火工装薬が備えられ、撃鉄が***を刺し、***が発火することで、その熱エネルギーが火工装薬に伝えられる。そして、そこで火工装薬が燃焼し注射液への加圧が行われることになる。このような火工装薬としては、ニトロセルロースをベースにした単一の火薬が使用される。
また、特許文献2には、火薬の燃焼エネルギーを利用する点火器が開示されている。当該技術では、点火器の外殻を形成するカップの周壁部分が蛇腹状に形成され、点火器内の火薬が燃焼する前においては、その蛇腹状部分は、カップの軸方向に収縮された状態となっている。そして、点火薬が燃焼すると、点火器内の圧力の上昇に伴って蛇腹部分が延伸され、以てカップの先端部分の位置がカップ軸方向に推進される。このようなカップ先端部分の推進作用を、アクチュエータの出力部として利用する形態も、特許文献2には開示されている。
特表2004−532049号公報 米国特許第7063019号明細書
火薬の燃焼エネルギーを加圧のための動力源として使用する場合、その燃焼により生成される燃焼ガスや燃焼残渣等の燃焼生成物の影響を考慮する必要がある。例えば、注射器において注射液の加圧源として火薬を使用する場合、燃焼生成物が加圧対象である注射液等の注射目的物質に混入することは衛生上、好ましくない。
一方で、従来技術のような点火器では、火薬の燃焼により生じた燃焼生成物をカップ内に封入しながら、カップ先端部分の推進作用を利用して注射液の加圧を行うことが可能である。しかし、点火薬の燃焼に起因する内部空間の圧力に応じて点火器のカップに設けられた蛇腹部分が延伸していくことになると、蛇腹部分の延伸により点火器の内部空間の容積が増加していくことになるため、火薬の燃焼速度に影響が及ぼされ、火薬の燃焼速度が緩慢となってしまう虞がある。したがって、従来技術の点火器を注射器の加圧源として採用したとしても、点火器の内部空間の圧力上昇も緩慢となりその出力が低下するため、注射液の加圧を想定通りに行い得ない虞がある。
そこで、本発明は、上記した問題に鑑み、火薬燃焼により注射液等の注射目的物質を射出する注射器において、火薬燃焼により生成される燃焼生成物の注射目的物質への作用を抑制するとともに、注射目的物質の加圧を好適に行うことを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、点火装置内の火薬は、圧力上昇により破壊される隔壁部材で形成される第1空間内に収容され、一方で、点火装置を収容するケースは、その内部の第2空間の圧力上昇によっても破壊されず、火薬の燃焼生成物は、その第2空間内に封入され続ける構成を採用した。その上で、ケースに延伸部が設けられることで、第2空間内の圧力上昇によりケースの一部を推進させ、アクチュエータの出力部として機能させる構成を採用した。
具体的には、本発明は、注射目的物質を注射対象領域に注射する注射器であって、軸方向に形成された貫通孔を有する注射器本体と、前記貫通孔内を摺動可能に配置されたピストン部と、前記注射器本体の先端側に配置されるシリンジ部であって、前記注射目的物質を収容可能な収容室と、前記ピストン部の摺動に伴い該収容室内の該注射目的物質を加圧するプランジャと、該プランジャにより加圧された該収容室内の該注射目的物質が流れる流路を含み、該流路の先端に形成された射出口から該注射目的物質を射出するノズル部と、を有するシリンジ部と、火薬が収容される第1空間を形成し、且つ該火薬を燃焼させると該第1空間の圧力が上昇することにより破壊されるように所定の剛性材料で形成された隔壁部材を有する点火装置と、基部が前記点火装置側で固定され且つ前記点火装置を覆って前記注射器本体内の空間に配置されるケースであって、該ケースと該点火装置の前記隔壁部材との間に第2空間を画定するとともに、該点火装置での前記火薬の燃焼により生成される燃焼生成物を該第2空間内に封入するケースと、を備える。そして、前記ケースは、前記点火装置での火薬燃焼により前記第2空間内の圧力が上昇することで、前記ケースの一部が、前記ピストンの端部であって前記プランジャに対向する端部とは反対側の所定端部に近接するように、該近接方向に延伸する延伸部と、前記ケースの一部に設けられ、前記延伸部の延伸により前記ピストンの前記所定端部を押圧する押圧部と、を有する。
本発明に係る注射器では、点火装置での火薬燃焼で生じたエネルギーがピストン部に伝って、該ピストン部が貫通孔内を摺動することになる。そして、ピストン部の摺動によりシリンジ部の収容室に収容されている注射目的物質に対してプランジャを介して圧力が加えられることで、該注射目的物質が射出口より注射器外部へ射出される。なお、火薬の燃焼によるエネルギーのピストン部への伝達については、後述の通り、ケースを介して行われ、換言すれば、ケースがこれらの燃焼エネルギーを駆動源とするアクチュエータとして作動することで、ピストン部の摺動が実現されることになる。
また、注射目的物質は、注射対象領域の内部で効能が期待される成分を含むものであり、射出エネルギーによる射出が可能であれば、注射目的物質の注射器内の収容状態や、液体やゲル状等の流体、粉体、粒状の固体等の注射目的物質の具体的な物理的形態は問われない。そして、注射目的物質には、対象物である生体の注射対象領域に送り込むべき成分が含まれ、該成分は注射目的物質の内部に溶解した状態で存在してもよく、又は該成分が溶解せずに単に混合された状態であってもよい。一例を挙げれば、送りこむべき成分として、抗体増強のためのワクチン、美容のためのタンパク質、毛髪再生用の培養細胞等があり、これらが射出可能となるように、液体、ゲル状等の流体に含まれることで注射目的物質が形成される。また注射器も、針を介して注射目的物質を注射対象領域に供給するタイプであってもよいし、針を介さずに供給するタイプであってもよい。なお、本発明の注射器では、火薬の具体的な成分については、特定の成分に限定されるものではない。
このような点火装置において火薬が燃焼すると、その燃焼生成物が隔壁部材によって形成された第1空間に拡散し、第1空間内の圧力が上昇する。ここで、隔壁部材は、第1空間の圧力が上昇すると破壊されるように所定の剛性材料で形成されており、そのため破壊されるまでの間は第1空間は実質的には変形しない。そのため、火薬が燃焼を開始してから第1空間内の圧力は速やかに上昇することが可能となる。なお、所定の剛性材料としては、好適には樹脂材料が採用できる。そして、第1空間内の圧力により隔壁部材が破壊されると、第2空間に火薬の燃焼生成物が拡散することになる。ここで、上記の通り、隔壁部材により第1空間内の圧力が速やかに上昇するため、火薬の燃焼は、途中で緩慢になることなく速やかに進行する。このことは、注射目的物質への加圧タイミングの好適な調整に資するものである。
ここで、第2空間を形成するケースは、点火装置の隔壁部材とは異なり、第2空間の圧力が上昇しても破壊することはなく、火薬の燃焼生成物は、第2空間内に封入される。また、第2空間の圧力が上昇すると、ケースが有する延伸部が延伸し、ケースの一部がピストン部の所定端部に近接し、当該ケースの一部に設けられた押圧部により当該所定端部が押圧されることになる。このようなケースの変形により、火薬の燃焼によるエネルギーが、ピストン部へ伝達されることになる。すなわち、ケースが延伸部及び押圧部を有することで、火薬の燃焼によるエネルギーを駆動源としてアクチュエータとして作動することになる。
以上より、本発明の注射器によれば、隔壁部材で形成される第1空間内で火薬が燃焼されることで、第1空間の圧力を速やかに上昇させることが容易となる。また、火薬の燃焼により延伸部が延伸し押圧部によるピストン部の押圧が行われることで注射目的物質への好適な加圧が実現される。また、この加圧過程において、火薬の燃焼生成物は、第2空間内に封入された状態が維持される。そのため、燃焼残渣等の影響、特に注射目的物質への燃焼残渣等の接触を回避することが可能となる。また、第2空間内への封入が維持されることで、火薬の燃焼により生じる騒音(燃焼騒音)が空間外部に漏れにくくなり、以て、ユーザの注射器使用の利便性が高まる。
ここで上記の注射器において、前記第2空間内に、燃焼によって所定ガスを生成するガス発生剤が収容され、前記延伸部は、前記点火装置での火薬燃焼及び前記ガス発生剤の燃焼により前記第2空間内の圧力が上昇することで、前記ケースの一部が前記近接方向に延伸するように構成されてもよい。このような構成では、火薬の燃焼により第1空間内の圧力により隔壁部材が破壊されると、第2空間に収容されているガス発生剤が火薬の燃焼生成物に晒され、受熱することで、その燃焼が開始されることになる。ここで、隔壁部材により第1空間内の圧力が速やかに上昇するため、ガス発生剤の燃焼開始も速やかに行われ、換言すれば、火薬を介したガス発生剤の燃焼タイミングを所望のタイミングに調整しやすくなる。このことは、注射目的物質への加圧タイミングの好適な調整に資するものである。
そして、ガス発生剤が燃焼開始すると、生成された所定ガスは第2空間に拡散し、第2空間内の圧力が上昇することで、延伸部が延伸し押圧部により所定端部が押圧され、以て、火薬及びガス発生剤の燃焼によるエネルギーが、ピストン部へ伝達されることになる。このような構成でも、火薬の燃焼生成物とガス発生剤による所定ガスは、第2空間内に封入される。したがって、注射目的物質への燃焼残渣等の接触を回避でき、また、火薬及びガス発生剤の燃焼により生じる騒音(燃焼騒音)を抑制できる。なお、本発明の注射器では、ガス発生剤の具体的な成分については、特定の成分に限定されるものではない。
ここで、上記の注射器において、前記延伸部は、前記注射器本体の軸方向に延在する内壁面に対向する前記ケースの側壁部において、前記点火装置での火薬燃焼前の状態において蛇腹状に折り畳まれて形成され、且つ、該点火装置での火薬燃焼により該軸方向に延伸するように構成されてもよい。このように延伸部が蛇腹状に形成されることで、第2空間の圧力上昇により折り畳まれた蛇腹部分が展開されて、ケースの一部に設けられた押圧部をピストン部の所定端面に向けて近接、推進させることが可能となる。
また、上述までの注射器において、前記ケースの一部は、該ケースの先端側の端面であって、前記ケースの先端側端面の面積は、前記ピストン部の前記所定端部の端面面積よりも大きく形成されてもよい。このような構成により、延伸部が延伸したときに、ケースの端面上に設けられた押圧部が、より確実にピストン部の所定端部に接触し、火薬等の燃焼エネルギーをピストン部に伝達することが可能となる。
なお、上述までのように、延伸部の延伸により押圧部がピストン部の所定端部を押圧する構成においては、火薬やガス発生剤の燃焼によって、押圧部が設けられているケースの一部には、比較的大きな圧力が掛かることになる。そこで、その圧力が掛かる部位の強度を高めるように、前記ケースの一部における厚さを、該一部以外の部分における該ケースの厚さよりも厚く形成してもよい。また、当該部位の補強の別法として、前記ケースの一部において、該ケースの内部又は外部に所定の厚さを有する補強板を設けてもよい。なお、補強板の所定の厚さは、ケースの一部に掛かる圧力を考慮し、押圧部による押圧が行われる際にケースが破壊されないようにするために十分な厚さとされる。
ここで、上述までの注射器において、前記点火装置での火薬燃焼前の状態において、前記押圧部は、前記ピストン部の所定端部に接触した状態となるように、前記ケースは前記注射器本体内に配置されてもよい。このような配置により、第2空間の圧力が上昇し始めると、その圧力を速やかにピストン部に伝達することが可能となる。
また、上述までの注射器は、前記点火装置での火薬燃焼により前記延伸部が最大限に延伸した状態において、前記ケースの一部と、前記注射器本体の内部空間を形成する内壁面であって、前記貫通孔の端部の近傍であり且つ該ケースの一部に対向する所定の内壁面との間に、所定の空隙が存在するように構成されてもよい。このような構成により、延伸部が最大限延伸したときに、ケースの一部が所定の内壁面に接触した状態となることを回避することができる。このことは、その最大延伸時に、ケースの一部に対して所定の内壁面から比較的大きな衝撃が掛かることを回避することができ、第2空間による燃焼生成物等の封入状態の維持に資するものである。また、別法として、上述までの注射器において、前記注射器本体の内部空間を形成する内壁面であって、前記貫通孔の端面の近傍であり且つ前記ケースの一部に対向する所定の内壁面上に緩衝部材が設けられてもよく、この場合、前記点火装置での火薬燃焼により前記延伸部が延伸すると、前記緩衝部材に接触し、該延伸部の延伸が止められることになる。このように緩衝部材を介して、ケースの一部が所定の内壁面に対して接触することで、その接触の際の衝撃を軽減することが可能となる。
本発明によれば、火薬燃焼により注射液等の注射目的物質を射出する注射器において、火薬燃焼により生成される燃焼生成物の注射目的物質への作用を抑制するとともに、注射目的物質の加圧を好適に行うことが可能となる。
本発明の実施例1に係る注射器の概略構成を示す図である。 図1に示す注射器に装着されるイニシエータ(点火装置)の概略構成を示す図である。 図1に示す注射器において、イニシエータでの火薬燃焼前の状態と燃焼後の状態(射出完了状態)を比較して示す図である。 図1に示す注射器の変形例の概略構成を示す図である。 本発明の実施例2に係る注射器において、イニシエータでの火薬燃焼前の状態と燃焼後の状態(射出完了状態)を比較して示す図である。 本発明の実施例3に係る注射器の一部を概略的に示す図である。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る注射器として、針のない無針注射器1(以下、単に「注射器1」という)を例に挙げて説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
図1(a)は注射器1の断面図であり、図1(b)は注射器1を、注射液を射出するノズル部9側から見た図である。なお、本願の以降の記載においては、注射器1によって対象物の注射対象領域に注射される注射目的物質を「注射液」と総称する。しかし、これには注射される物質の内容や形態を限定する意図は無い。注射目的物質では、注射対象領域の一例である皮膚構造体に届けるべき成分が溶解していても溶解していなくてもよく、また注射目的物質も、加圧することでノズル部9から皮膚構造体に対して射出され得るものであれば、その具体的な形態は不問であり、液体、ゲル状、粉末状等様々な形態が採用できる。
ここで、注射器1は、注射器本体2を有しており、注射器本体2の先端側にシリンジ部5が配置されている。また、注射器本体2の他方の端部には後述する点火装置であるイニシエータ20が配置されている。イニシエータ20の例について図2に基づいて説明する。なお、図2の上段(a)は、火薬燃焼が行われる前のイニシエータ20の状態(以下、「点火前状態」という)を表し、下段(b)は、火薬燃焼が終了したイニシエータ20の状態を表している。
ここで、イニシエータ20は電気式の点火装置であり、表面が樹脂製の絶縁カバーで覆われたカップ21(本発明に係る隔壁部材に相当)によって、火薬22を配置するための空間29(本発明に係る第1空間に相当する)が該カップ21内に画定される。そして、その空間に金属ヘッダ24が配置され、その上面に筒状のチャージホルダ23が設けられている。該チャージホルダ23によって火薬22が保持される。この火薬22の底部には、片方の導電ピン28と金属ヘッダ24を電気的に接続したブリッジワイヤ26が配線されている。なお、二本の導電ピン28は非電圧印加時には互いが絶縁状態となるように、絶縁体25を介して金属ヘッダ24に固定される。さらに、絶縁体25で支持された二本の導電ピン28が延出するカップ21の開放口は、樹脂カラー27によって導電ピン28間の絶縁性を良好に維持した状態で保護されている。
このように構成されるイニシエータ20においては、外部電源によって二本の導電ピン28間に電圧印加されるとブリッジワイヤ26に電流が流れ、それにより火薬22が燃焼する。ここで、カップ21と樹脂カラー27とにより形成された密閉空間である空間29に密封されている火薬22は、その燃焼の初期段階においては、空間29の密閉状態が維持されたまま燃焼される。ここで、カップ21は、樹脂材料で形成されており一定の剛性強度を有している。そのため、そして、空間29の圧力が所定の圧力に達するまではその形状は概ね維持されるが、当該圧力が所定の圧力を超えると、図2(b)に示すようにカップ21の底面部(チャージホルダ23の開口部に対向する部位)が破壊される。すなわち、カップ21の底面部が、空間29と後述の燃焼室34とを連通するように開口する。このとき、火薬22の燃焼による燃焼生成物は、上述した破壊により生じたカップ21の開口部から燃焼室34に噴出されることになる。
なお、注射器1において用いられる火薬22として、好ましくは、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(ZPP)、水素化チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(THPP)、チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(TiPP)、アルミニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(APP)、アルミニウムと酸化ビスマスを含む火薬(ABO)、アルミニウムと酸化モリブデンを含む火薬(AMO)、アルミニウムと酸化銅を含む火薬(ACO)、アルミニウムと酸化鉄を含む火薬(AFO)、もしくはこれらの火薬のうちの複数の組合せからなる火薬が挙げられる。これらの火薬は、点火直後の燃焼時には高温高圧のプラズマを発生させるが、常温となり燃焼性生物が凝縮すると気体成分を含まないために発生圧力が急激に低下する特性を示す。なお、これら以外の火薬を点火薬として用いても構わない。
また、図1に戻ると、注射器1においてイニシエータ用キャップ14は、イニシエータ20の外表面に引っ掛かるように断面が鍔状に形成され、且つ注射器本体2に対してネジ固定される。これにより、イニシエータ20は、イニシエータ用キャップ14によって注射器本体2に対して固定され、以てイニシエータ20での点火時に生じる圧力で、イニシエータ20自体が注射器本体2から脱落することを防止できる。
また、注射器本体2の内部のイニシエータ20側には、その軸方向に延在する内部空間である空間31が形成されており、また、注射器本体2の内部のシリンジ部5側には、同じようにその軸方向に延在する内部空間である貫通孔32が形成されている。空間31と貫通孔32は、注射器本体2の内部において連続して配置される内部空間でもある。
また、注射器本体2の先端側に設けられたシリンジ部5は、注射液MLを収容する収容室33を内部に有するシリンジ部本体11と、注射液が流れる流路が形成されたノズル部9と、ノズル部9が設けられたノズルホルダー10を有している。ノズルホルダー10は、ガスケット13を挟んでホルダー用キャップ12によってシリンジ部本体11に取り付けられている。また、シリンジ部本体11は、注射器本体2の端部に対して螺合されて取り付けられており、その取付状態において注射器本体2内の貫通孔32と、シリンジ部本体11内の収容室33とは連続した空間となる。なお、その取付状態では、注射液MLは、プランジャ7によって収容室33内に液密に収容されており、このプランジャ7が貫通孔32側に露出した状態となっている。ここで、プランジャ7は、収容室33内を摺動可能に配置され、さらに、摺動することにより注射液MLを加圧し、ノズル部9からの注射液の射出が行われることになる。また、プランジャ7は、円滑に収容室33内を摺動できるように、表面にシリコンオイルを薄く塗布したゴム部材により形成される。
なお、ノズル部9は、ノズルホルダー10に一つ形成されてもよく(図1(b)参照)、または、複数形成されてもよい(図1(c)参照)。複数のノズル部が形成される場合には、各ノズルに対して解放された注射液MLが可及的に均等に送り込まれるように、各ノズル部に対応する流路が形成される。さらに、複数のノズル部9が形成される場合には、図1(c)に示すように、注射器1の中心軸の周囲に等間隔で各ノズル部が配置されるのが好ましい。また、ノズル部9の流路径は、貫通孔32の内径よりも細くなるように構成されている。これにより、射出時の注射液の射出圧力を好適に上昇させることができる。
次に、注射器本体2内の貫通孔32には、金属製のピストン6が配置され、該ピストン6は、貫通孔32内を摺動可能に保持されている。ピストン6は、貫通孔32の軸方向に沿って延在する概ね軸状に形成され、空間31側の端部(以下、「第1端部」という)6aと、シリンジ部5側の端部、すなわちシリンジ部5に配置されるプランジャ7に接触する端部(以下、「第2端部」という)6bとを有し、また、ピストン6が貫通孔32内を円滑に摺動できるようにピストン6の周囲にOリング6cが配置されている。
ここで、ピストン6の第1端部6aに向かって延伸される延伸ケース8が、その鍔部8aで注射器本体2のイニシエータ20側の端部2aの端面に固定され、該延伸ケース8はイニシエータ20のカップ21を覆って注射器本体2内の空間31に配置されている。そして、延伸ケース8とイニシエータ20のカップ21の外表面とによって密閉空間である燃焼室34(本発明に係る第2空間に相当する)が形成される。更に、燃焼室34内には、燃焼により所定ガスを生成するガス発生剤40が配置されている。ガス発生剤40の一例としては、ニトロセルロース98質量%、ジフェニルアミン0.8質量%、硫酸カリウム1.2質量%からなるシングルベース無煙火薬が挙げられる。また、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。
ガス発生剤40は、イニシエータ20での火薬22の燃焼により、カップ21の開口部から燃焼室34内に流れ込んできたその燃焼生成物に晒されることで燃焼され、以て所定ガスが生成される。なお、延伸ケース8は、ガス発生剤40による燃焼室34内の圧力によっても破壊されない程度に十分な強度を有している。そのため、火薬22による燃焼生成物、及びガス発生剤40による所定ガスは、延伸ケース8内に封入された状態が維持される。このようなガス発生剤40は、燃焼時に発生した所定ガスは常温においても気体成分を含むため、発生圧力の低下率は小さい。さらに、ガス発生剤40の燃焼時の燃焼完了時間は、上記火薬22と比べて極めて長いが、燃焼室34内に配置されるときのガス発生剤40の寸法や大きさ、形状、特に表面形状を調整することで、ガス発生剤40の燃焼完了時間を変化させることが可能である。このようにガス発生剤40の量や形状、配置を調整することで、燃焼室34内での発生圧力を適宜調整できる。
また、延伸ケース8は概ね中空柱状の形状を有しており、延伸ケース8のピストン6側の底部(本発明に係る押圧部に相当し、以下、「押圧底部」という)8bは、イニシエータ20の点火前状態において、ピストン6の第1端部6aに接触した状態で、注射器本体2の内部に配置されている。更に、注射器本体2の内壁面、すなわち空間31の内壁面に対向する延伸ケース8の側壁部には、火薬22の燃焼時にカップ21の開口部から噴出される燃焼生成物、及びに当該燃焼物により燃焼されるガス発生剤40から発生する所定ガスに起因する、燃焼室34における圧力上昇により、ピストン6の第1端部6aに向かって延伸される、蛇腹部8c(本発明に係る延伸部に相当する)が設けられている。そして、点火前状態においては、蛇腹部8cはピストン6の第1端部6aに向かって延伸可能に折りたたまれた状態で配置されている。なお、イニシエータ20での火薬燃焼による延伸ケース8の動作については後述する。また、延伸ケース8の側壁部であって蛇腹部8cが設けられていない部分、すなわち延伸しない部分については、非延伸部8dと称する。
このように構成される注射器1では、イニシエータ20において火薬22が燃焼されると燃焼生成物が生成されるとともにイニシエータ20内の圧力が上昇する。そして、当該圧力が上記の所定の圧力に到達すると、カップ21の底面部が破壊されて、燃焼生成物が延伸ケース8とカップ21との間に形成された燃焼室34内に放出されるとともに、その燃焼生成物に晒されたガス発生剤40が燃焼され、所定ガスが発生することになる。なお、燃焼生成物と所定ガスは燃焼室34内に封入されるため、所定ガスの発生に伴い、燃焼室34内の圧力が上昇することになる。これにより蛇腹部8cが延伸することで、押圧底部8bがピストン6の第1端部6aを押圧することになる。この結果、燃焼室34の圧力エネルギーがピストン6へと伝達され、以て収容室33内の注射液が加圧されることになる。ここで、イニシエータ20においては、カップ21が破壊されるまでは、従来技術のように火薬燃焼が行われる空間の容積が拡大することによって空間29内の圧力上昇が阻害されることがないため、カップ21の大きな変形はなく燃焼性生成物は空間29内に留まり、以てイニシエータ20内の圧力が速やかに所定の圧力まで上昇する。このことは、燃焼生成物を燃焼の起点とするガス発生剤40において、その燃焼タイミングを適切に調整可能であることを意味する。すなわち、イニシエータ20内の圧力を速やかに上昇させることで、カップ21の底面部の破壊を介してガス発生剤40に燃焼生成物を供給するタイミングを、注射対象領域への注射液の射出に適した所望のタイミングに調整できることを意味する。
ここで、イニシエータ20の火薬22の燃焼を起点として注射液の射出が行われる状態、すなわち、延伸ケース8の延伸動作により実行される、注射器1における注射液の射出状態について図3に基づいて説明する。図3は、上段に点火前状態の注射器1の構成を示し、下段には火薬22の燃焼により注射液の射出が完了した状態(以下、「射出完了状態」という)の注射器1の構成を示している。図3における点火前状態及び射出完了状態の比較においては、延伸ケース8の鍔部8aでの注射器本体2に固定される面に位置を揃えて、注射器1の軸方向に両状態を並べて表示している。
更に、燃焼前状態においては、延伸ケース8の押圧底部8bの位置はX1で表示される。また、このときのプランジャ7の位置はP1で表示されている。ここで、火薬22が燃焼し上述したようにカップ21が破壊されると、燃焼室34内に燃焼生成物が拡散しガス発生剤40が燃焼されることで、燃焼室34内の圧力が上昇する。上述したように延伸ケース8の蛇腹部8cはピストン6の第1端部6aに向かって延伸可能に折りたたまれた状態で配置されている。そこで、燃焼室34内の圧力上昇によって該蛇腹部8cがピストン6の第1端部6aに向かって延伸される。このとき、押圧底部8bが、ピストン6の第1端部6aを押圧する。したがって、押圧底部8bが接触するピストン6の第1端部6aの端面は、火薬22及びガス発生剤40の燃焼エネルギーを受ける端面となる。なお、押圧底部8bの面積は、第1端部6aの面積より大きくなるように設計されている。このため、蛇腹部8cが延伸したときに、押圧底部8bが、より確実にピストン6の第1端部6aに接触し、上記燃焼エネルギーをピストン6に伝達することが可能となる。
押圧底部8bの押圧により、ピストン6が貫通孔32内を摺動していくことになる。そして、ピストン6が摺動していくと、プランジャ7が注射液MLを押圧し、その結果、注射液MLはノズル部9より注射対象領域に対して射出されることになる。ここで、注射液MLの射出が完了した射出完了状態では、図3の下段に示すように押圧底部8bがピストン6の第1端部6aの端面と接触しているが、プランジャ7がノズル部9が形成されているノズルホルダー10の内壁面に当接しているため、ピストン6の摺動は制限されている。この状態における押圧底部8bの位置は射出位置とされX2で表示されており、プランジャ7の位置がP2で表示されている。
このように注射器1では、火薬22の燃焼の過程において、延伸ケース8の押圧底部8bは、燃焼前状態の始動位置X1から射出完了状態の射出位置X2へと移動することになる。この押圧底部8bの移動による移動距離(X2−X1)は、注射液MLの射出のためのプランジャ7の移動距離(P2−P1)に相当する。そして、この移動の過程において、延伸ケース8は火薬22の燃焼により生成された燃焼生成物及びガス発生剤40の燃焼により生成された所定ガスを燃焼室34に封入したまま、蛇腹部8cが延伸されて押圧底部8bが移動し、射出完了状態においても該燃焼生成物は燃焼室34に封入されている。このように延伸ケース8が燃焼生成物を封入し続けることによって、燃焼生成物等の注射液MLへの作用を抑制することができる。さらに、注射器1では、火薬22の燃焼、及びガス発生剤40の燃焼により発生する燃焼圧力は主に延伸ケース8を加振することになるので、注射器本体2が加振され難くなり、注射器本体2からの振動や騒音が低減される。
また、延伸ケース8は、射出完了状態、すなわち、延伸ケース8が最大限延伸した状態においても、注射器本体2内の空間31を画定し貫通孔32の端部の近傍にある内壁面31aに対して所定の隙間ΔDを有するように構成される。なお、図3において、内壁面31aの位置はX3で表され、所定の隙間ΔDは、射出完了状態での押圧底部8bの位置X2と内壁面31aの位置X3との間に存在する。すなわち、貫通孔32の軸方向における、燃焼前状態の押圧底部8bと前記内壁面における該押圧底部8bと対向する面である面31aとの距離が、押圧底部8bの移動による移動距離(X2−X1)より大きくなるように設定される。その結果、延伸ケース8は内壁面31aに対して衝突することがなくなるので、該延伸ケース8が破損し難くなり、燃焼生成物等の好適な封入が図られる。また、延伸ケース8が内壁面31aに対して衝突することによる注射器本体2の加振が抑制されるので、注射器本体2からの振動や騒音が低減される。
このように、本実施例に係る注射器1は、燃焼生成物及び所定ガスの注射液MLへの作用を抑制するとともに、注射液MLの加圧を好適に行うことを可能とする。
<変形例>
上記実施例では、燃焼前状態において、押圧底部8bがピストン6の第1端部6aに接触した状態で、延伸ケース8が注射器本体2内に配置されているが、その態様に代えて、図4に示すように、燃焼前状態において、押圧底部8bがピストン6の第1端部6aからに離間した状態で、延伸ケース8が注射器本体2内に配置されてもよい。図4に示す構成では、燃焼前状態における押圧底部8bと第1端部6aとの離間距離はΔLで表されている。このように離間距離ΔLが確保されている形態であっても、燃焼室34内の圧力上昇に伴う蛇腹部8cの延伸により、押圧底部8bは第1端部6aに接触しそれ以降はピストン6を押圧することになる。このような場合でも、延伸ケース8が最大限延伸したときに、押圧底部8bは内壁面31aに接触しない状態であることが好ましい。
また、上記実施例では、燃焼室34内にガス発生剤40が収容されているが、その態様に代えて燃焼室34内にガス発生剤40が収容されていない場合であっても、イニシエータ20においては、カップ21が破壊されるまでは、火薬燃焼が行われる空間の容積が拡大することによって空間29内の圧力上昇が阻害されることがないため、イニシエータ20内の圧力が速やかに所定の圧力まで上昇する。この結果、火薬22の燃焼エネルギーを効果的に発生させ、それを速やかにピストン6に伝達でき、注射液MLの加圧を好適に行うことが可能となる。また、同時に、延伸ケース8により燃焼生成物は封入され続けるため、燃焼生成物の注射液MLへの作用や燃焼騒音を抑制できる。
本発明の注射器1の第2の実施例について、図5に基づいて説明する。なお、図5は、図3と同様に、上段に点火前状態の注射器1の構成を示し、下段には射出完了状態の注射器1の構成を示している。なお、両状態の比較表示については、図3と同様である。本実施例の注射器1では、空間31の内壁面31a上に、弾性材料で形成された緩衝部材41が設置されている。
イニシエータ20での火薬22の燃焼、ガス発生剤40の燃焼が発生すると、蛇腹部8cが延伸する。これにより押圧底部8bが第1端部6aを介してピストン6を押圧していく。ここで、蛇腹部8cが完全に延伸したときに、又は、完全に延伸する前に、押圧底部8bが緩衝部材41を介して内壁面31aに接触することで蛇腹部8cの延伸が阻害されることになる。これにより、延伸ケース8を介したピストン6に対する押圧作用が停止されることになる。このような構成でも、上記の第1実施例と同様に、燃焼生成物及び所定ガスの注射液MLへの作用を抑制するとともに、注射液MLの加圧を好適に行うことが可能となる。更に、押圧底部8bは、緩衝部材41に接触することにより、その接触時に内壁面31a側から受ける衝撃を軽減できるため、延伸ケース8が破損し難くなり、燃焼生成物等の好適な封入が図られるとともに、衝突することによる注射器本体2の加振が抑制されるので、注射器本体2からの振動や騒音が低減される。
本発明の注射器1の第3の実施例について説明する。上記の通り、本発明の注射器1では、延伸ケース8が延伸することでピストン6が押圧される。そのため、燃焼室34内における火薬22の燃焼生成物及びガス発生剤40の所定ガスの封入状態を好適に維持するために、延伸ケース8の押圧底部8bにはピストンへの伝達エネルギーが作用することを考慮し、押圧底部8bの強度を高めることが好ましい。そこで、押圧底部8bのケース厚さを、延伸ケース8の側壁部のうち非延伸部8dのケース厚さより厚く形成してもよい。
また、別法として、図6に示すように、押圧底部8bの強度向上のために、押圧底部8bの外表面上に、また、内表面上に所定の厚さを有する補強板42を設けてもよい。補強板42は、延伸ケース8と同じ材料で形成されてもよく、補強に好適な別材料であってもよい。また、補強板42の所定の厚さは、延伸ケース8の破壊が抑制できる程度に補強板42に強度を付与する厚さとされる。
<その他の実施例>
本発明に係る注射器1によれば、上述した注射液を皮膚構造体に注射する場合以外にも、例えば、ヒトに対する再生医療の分野において、注射対象となる細胞や足場組織・スキャフォールドに培養細胞、幹細胞等を播種することが可能となる。例えば、特開2008−206477号公報に示すように、移植される部位及び再細胞化の目的に応じて当業者が適宜決定し得る細胞、例えば、内皮細胞、内皮前駆細胞、骨髄細胞、前骨芽細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞、皮膚細胞、筋肉細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、腸管細胞、幹細胞、その他再生医療の分野で考慮されるあらゆる細胞を、注射器1により注射することが可能である。より具体的には、上記播種すべき細胞を含む液(細胞懸濁液)を、収容室33に収容し、それに対して加圧することで、移植される部位に所定の細胞を注射、移植する。
さらには、特表2007−525192号公報に記載されているような、細胞や足場組織・スキャフォールド等へのDNA等の送達にも、本発明に係る注射器1を使用することができる。この場合、針を用いて送達する場合と比較して、本発明に係る注射器1を使用した方が、細胞や足場組織・スキャフォールド等自体への影響を抑制できるためより好ましいと言える。
さらには、各種遺伝子、癌抑制細胞、脂質エンベロープ等を直接目的とする組織に送達させたり、病原体に対する免疫を高めるために抗原遺伝子を投与したりする場合にも、本発明に係る注射器1は好適に使用される。その他、各種疾病治療の分野(特表2008−508881号公報、特表2010−503616号公報等に記載の分野)、免疫医療分野(特表2005−523679号公報等に記載の分野)等にも、当該注射器1は使用することができ、その使用可能な分野は意図的には限定されない。
1・・・・注射器
2・・・・注射器本体
5・・・・シリンジ部
6・・・・ピストン
6a・・・・第1端部
7・・・・プランジャ
8・・・・延伸ケース
8b・・・・押圧底部
8c・・・・蛇腹部
9・・・・ノズル部
10・・・・ノズルホルダー
11・・・・シリンジ部本体
20・・・・イニシエータ
21・・・・カップ
22・・・・火薬
31・・・・空間
31a・・・・内壁面
32・・・・貫通孔
33・・・・収容室
34・・・・燃焼室
40・・・・ガス発生剤
41・・・・緩衝部材
42・・・・補強板

Claims (8)

  1. 注射目的物質を注射対象領域に注射する注射器であって、
    軸方向に形成された貫通孔を有する注射器本体と、
    前記貫通孔内を摺動可能に配置されたピストン部と、
    前記注射器本体の先端側に配置されるシリンジ部であって、前記注射目的物質を収容可能な収容室と、前記ピストン部の摺動に伴い該収容室内の該注射目的物質を加圧するプランジャと、該プランジャにより加圧された該収容室内の該注射目的物質が流れる流路を含み、該流路の先端に形成された射出口から該注射目的物質を射出するノズル部と、を有するシリンジ部と、
    火薬が収容される第1空間を形成し、且つ該火薬を燃焼させると該第1空間の圧力が上昇することにより破壊されるように所定の剛性材料で形成された隔壁部材を有する点火装置と、
    基部が前記点火装置側で固定され且つ前記点火装置を覆って前記注射器本体内の空間に配置されるケースであって、該ケースと該点火装置の前記隔壁部材との間に第2空間を画定するとともに、該点火装置での前記火薬の燃焼により生成される燃焼生成物を該第2空間内に封入するケースと、
    を備え、
    前記ケースは、
    前記点火装置での火薬燃焼により前記第2空間内の圧力が上昇することで、前記ケースの一部が、前記ピストンの端部であって前記プランジャに対向する端部とは反対側の所定端部に近接するように、該近接方向に延伸する延伸部と、
    前記ケースの一部に設けられ、前記延伸部の延伸により前記ピストンの前記所定端部を押圧する押圧部と、
    を有し、
    前記ケースの一部は、該ケースの先端側の端面であって、
    前記ケースの先端側端面の面積は、前記ピストン部の前記所定端部の端面面積よりも大きく形成される、
    注射器。
  2. 前記第2空間内に、燃焼によって所定ガスを生成するガス発生剤が収容され、
    前記延伸部は、前記点火装置での火薬燃焼及び前記ガス発生剤の燃焼により前記第2空
    間内の圧力が上昇することで、前記ケースの一部が前記近接方向に延伸する、
    請求項1に記載の注射器。
  3. 前記延伸部は、前記注射器本体の軸方向に延在する内壁面に対向する前記ケースの側壁部において、前記点火装置での火薬燃焼前の状態において蛇腹状に折り畳まれて形成され、且つ、該点火装置での火薬燃焼により該軸方向に延伸する、
    請求項1又は請求項2に記載の注射器。
  4. 前記ケースの一部における厚さは、該一部以外の部分における該ケースの厚さよりも厚く形成される、
    請求項1から請求項の何れか1項に記載の注射器。
  5. 前記ケースの一部において、該ケースの内部又は外部に所定の厚さを有する補強板が設けられる、
    請求項1から請求項の何れか1項に記載の注射器。
  6. 前記点火装置での火薬燃焼前の状態において、前記押圧部は、前記ピストン部の所定端部に接触した状態となるように、前記ケースは前記注射器本体内に配置される、
    請求項1から請求項の何れか1項に記載の注射器。
  7. 前記点火装置での火薬燃焼により前記延伸部が最大限に延伸した状態において、前記ケースの一部と、前記注射器本体の内部空間を形成する内壁面であって、前記貫通孔の端部の近傍であり且つ該ケースの一部に対向する所定の内壁面との間に、所定の空隙が存在するように構成される、
    請求項1から請求項の何れか1項に記載の注射器。
  8. 注射目的物質を注射対象領域に注射する注射器であって、
    軸方向に形成された貫通孔を有する注射器本体と、
    前記貫通孔内を摺動可能に配置されたピストン部と、
    前記注射器本体の先端側に配置されるシリンジ部であって、前記注射目的物質を収容可能な収容室と、前記ピストン部の摺動に伴い該収容室内の該注射目的物質を加圧するプランジャと、該プランジャにより加圧された該収容室内の該注射目的物質が流れる流路を含み、該流路の先端に形成された射出口から該注射目的物質を射出するノズル部と、を有するシリンジ部と、
    火薬が収容される第1空間を形成し、且つ該火薬を燃焼させると該第1空間の圧力が上昇することにより破壊されるように所定の剛性材料で形成された隔壁部材を有する点火装置と、
    基部が前記点火装置側で固定され且つ前記点火装置を覆って前記注射器本体内の空間に配置されるケースであって、該ケースと該点火装置の前記隔壁部材との間に第2空間を画定するとともに、該点火装置での前記火薬の燃焼により生成される燃焼生成物を該第2空間内に封入するケースと、
    を備え、
    前記ケースは、
    前記点火装置での火薬燃焼により前記第2空間内の圧力が上昇することで、前記ケースの一部が、前記ピストンの端部であって前記プランジャに対向する端部とは反対側の所定端部に近接するように、該近接方向に延伸する延伸部と、
    前記ケースの一部に設けられ、前記延伸部の延伸により前記ピストンの前記所定端部を押圧する押圧部と、
    を有し、
    前記注射器本体の内部空間を形成する内壁面であって、前記貫通孔の端面の近傍であり
    且つ前記ケースの一部に対向する所定の内壁面上に緩衝部材が設けられ、
    前記点火装置での火薬燃焼により前記延伸部が延伸すると、前記緩衝部材に接触し、該延伸部の延伸が止められる、
    射器。
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