JP6922488B2 - 粘着剤および粘着シート - Google Patents

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本発明は、粘着剤に関する。
従来から各種部材の表面保護シートとして、基材上に粘着層が形成された粘着シートが広く用いられている。粘着シートの粘着層形成に使用する粘着剤は、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系と各種存在するところ、ウレタン粘着剤は、例えば、被着体に対して良好な濡れ性を有しつつ、良好な再剥離性を有している。そのため、ウレタン粘着剤を使用した粘着シートは、例えばタッチパネル等の生産ラインでITO(インジウム酸化錫)膜やガラス等の表面保護用途に広く使用されている。
液晶ディスプレイ(LCD)および有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OLED)等のフラットパネルディスプレイ、並びに、かかるフラットパネルディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたタッチパネルディスプレイは、テレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、および携帯情報端末等の電子機器に広く使用されている。表面保護シートはこれらの表面保護に使用されている。また、表面保護シートは、車載用としてカーナビゲーションシステム(以下、カーナビという)等の車内表示装置の保護用としても使用されている。
ウレタン粘着剤として、特許文献1には、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート架橋剤、ならびにエポキシ基を有するエステル化合物、アジピン酸ジイソノニル及びアジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)からなる群より選ばれる1種以上のエステルを含む粘着剤が開示されている。
また、特許文献2には、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート架橋剤、カルボン酸エステルを含む粘着剤が開示されている。
国際公開2015/098270号 特開2015−151429号公報
しかし、特許文献1および2の粘着剤に使用されているエステル化合物は、2つのエステル結合間の分子鎖が直鎖であるため、極性が近い直鎖同士の親和性により互いに集まりやすく、粘着層中でエステル化合物が大きなクラスターを形成し易い。そのため、例えば、表面保護シートを車載用に使用すると冬季や寒冷地では、エステル化合物のクラスターの肥大化によるブリードの発生に起因して、表面保護シートを剥離後に、被着体表面がエステル化合物で汚染される問題、表面保護シートを通じてディスプレイを見ると前記クラスターにより、ヘイズないしシミのような外観不良が生じる問題といった低温適性が劣る問題があった。
本発明は、被着体への汚染を抑制し、低温適性が良好な粘着シートを形成できる粘着剤、および粘着シートの提供を目的とする。
本発明の粘着剤は、ポリウレタン樹脂(A)、イソシアネート硬化剤(B)、およびポリオール(c1)と一塩基酸との反応物であるエステル(C)を含み、
前記エステル(C)は、2以上のエステル結合、および前記エステル結合同士をつなぐ連結基を有し、前記連結基は分岐構造を有することを特徴とする。
上記本発明によれば、被着体への汚染を抑制し、低温適性が良好な粘着シートを形成できる粘着剤、および粘着シートを提供できる。
まず、本明細書で用語を定義する。本明細書で連結基は、エステル結合同士をつなぐ分子鎖である。本明細書でシート、フィルム、テープは同義語である。本明細書で被着体は、粘着シートを貼り合わせる相手方である。
本明細書において、特に明記しない限り、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算値であり、「実施例」で記載した方法で測定できる。
本発明の粘着剤は、ポリウレタン樹脂(A)、イソシアネート硬化剤(B)、およびポリオール(c1)と一塩基酸との反応物であるエステル(C)を含み、
前記エステル(C)は、2以上のエステル結合、および前記エステル結合同士をつなぐ連結基を有し、前記連結基は分岐構造を有することを特徴とする。
本発明の粘着剤は、塗工により粘着層を形成し、基材、および粘着層を備えた粘着シートとして使用することが好ましい。
本発明の粘着シートは、テープ、ラベル、シール、および両面テープ等の形態で、使用することができる。本発明の粘着シートは、表面保護シート、化粧用シート、および滑り止めシート等として好適に使用できる。
本発明の粘着シートは、被着体の表面を保護する用途に使用することが好ましい。
前記被着体として、液晶ディスプレイ(LCD)および有機エレクトロルミネセンスディスプレイ(OLED)等のフラットパネルディスプレイ、並びに、かかるフラットパネルディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたタッチパネルディスプレイは、テレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、および携帯情報端末等の電子機器が好ましい。また前記被着体に限らず、建築物の窓、車両、船舶、航空機の窓等のあらゆる素材の表面保護用途に使用できる。
これらの被着体の中でも本発明の粘着シートは、フラットパネルディスプレイおよびタッチパネルディスプレイ(これらを総称して単に「ディスプレイ」ともいう)、並びに、これらの製造工程で製造または使用される基板(ガラス基板、およびガラス基板上にITO(インジウム酸化錫)膜が形成されたITO/ガラス基板等)および光学部材等の表面保護シートとしての使用が好ましい。
本発明の粘着剤を使用した粘着シートは、前記エステル(C)は、2以上のエステル結合、および前記エステル結合同士をつなぐ連結基を有し、前記連結基は分岐構造を有するエステル(C)を含む。エステル(C)は、エステル結合間に分岐構造を有しているため、分岐構造を有しないエステルと比較して、分岐構造の立体障害によりエステル(C)の分子同士が親和し難く、一定の距離を取りやすい。そのためエステル(C)が形成するクラスターは小さく、かつゆるい集合体(密度が低い)を形成していると発明者は推測している。これにより、粘着シートを低温環境で使用すると、分岐構造を有しないエステルは、クラスターが肥大してポリウレタン樹脂と不相溶になり易く、汚染や外観不良が生じ易い。しかしエステル(C)を使用すると、クラスターは汚染や外観不良が生じる水準にまで肥大し難い。これにより本発明の粘着剤を使用すると良好な低温適性が得られる。
「粘着剤」
(ポリウレタン樹脂(A))
ポリウレタン樹脂(A)は、1種以上のポリオール(x)と1種以上のポリイソシアネート(y)との反応物であり水酸基を有する。ポリウレタン樹脂(A)は、1種以上用いることができる。共重合反応は必要に応じて、触媒存在下で行うことができる。共重合反応には必要に応じて、溶媒を用いることができる。
<ポリオール(x)>
ポリオール(x)は、少なくとも、1種以上の3官能以上のポリオール(x2)を含む。好ましくは、ポリオール(x)は、1種以上の2官能ポリオール(x1)と1種以上の3官能以上のポリオール(x2)とを含む。
ポリオール(x)の種類は特に制限されず、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびひまし油系ポリオール等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびこれらの組合せが好ましい。
ポリエステルポリオールは、1種以上のポリオール成分と1種以上の酸成分とのエステル化反応によって得られる化合物(エステル化物)が挙げられる。
原料のポリオール成分は、例えば、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,8−デカンジオール、オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびヘキサントリオール等が挙げられる。
原料の酸成分は、例えば、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、ダイマー酸、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェエルジカルボン酸、およびこれらの酸無水物等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、公知のものを用いることができ、1分子中に2つ以上の活性水素を有する活性水素含有化合物を開始剤として用い、1種以上のオキシラン化合物を付加重合させて得られる化合物(付加重合物)が挙げられる。
開始剤は、水酸基含有化合物およびアミン等が挙げられる。具体的には、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、N−アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、およびキシリレンジアミン等の2官能開始剤;グリセリン、トリメチロールプロパン、およびトリエタノールアミン等の3官能開始剤;ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、および芳香族ジアミン等の4官能開始剤;ジエチレントリアミン等の5官能開始剤等が挙げられる。
オキシラン化合物は、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、およびブチレンオキシド(BO)等のアルキレンオキシド(AO);テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、活性水素含有化合物のアルキレンオキシド付加物(ポリオキシアルキレンポリオールとも言う)が好ましい。中でも、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、およびポリテトラメチレングリコール等の2官能ポリエーテルポリオール;グリセリンのアルキレンオキシド付加物等の3官能ポリエーテルポリオール等が好ましい。
ポリオール(x)の数平均分子量(Mn)は特に制限されず、好ましくは200〜10,000である。Mnが200以上であることで、ポリウレタン樹脂(A)のゲル化が効果的に抑制される。Mnが10,000以下であることで、ポリウレタン樹脂(A)の凝集力が好適となる。
ポリオール(x)としてポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールから選択して用いる場合、好ましい数平均分子量(Mn)は以下の通りである。
ポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)は、好ましくは500〜5,000、より好ましくは600〜4,000、特に好ましくは800〜3,000である。Mnが500以上であることで、ポリウレタン樹脂(A)のゲル化が効果的に抑制される。Mnが5,000以下であることで、ポリウレタン樹脂(A)の凝集力がより向上する。
ポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mn)は、好ましくは500〜5,000、より好ましくは600〜4,000、特に好ましくは800〜3,000である。Mnが500以上であることで、ポリウレタン樹脂(A)のゲル化が効果的に抑制される。Mnが5,000以下であることで、ポリウレタン樹脂(A)の凝集力がより向上する。
ポリオール(x)は、1種以上の3官能以上のポリオール(x2)を用いることが好ましい。
好ましくは、1種以上の2官能ポリオール(x1)と1種以上の3官能以上のポリオール(x2)とを併用する。一般的に、2官能ポリオール(x1)は2次元架橋性を有し、粘着層に適度な柔軟性が得られ、3官能以上のポリオール(x2)は3次元架橋性を有し、粘着層に適度な硬さが得られる。これらを併用することで、好適な凝集力と粘着力を有する粘着層が得られる。
2官能ポリオール(x1)は、2官能ポリエーテルポリオールおよび2官能ポリエステルポリオールおよび2官能ポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれた1種以上のポリオールが好ましい。
3官能以上のポリエーテルポリオールは、グリセリンに1つ以上のプロピレンオキシド(PO)を付加重合させて得られるグリセリンPO付加物(「グリセリンポリプロピレングリコール」ともいう。)、またはグリセリンに1つ以上のプロピレンオキシド(PO)と1つ以上のエチレンオキシド(EO)とをこの順で付加重合させて得られるグリセリンPO・EO付加物(「グリセリンポリプロピレングリコール末端エチレングリコール変性」ともいう。)等が挙げられる。
本発明において、2官能ポリオール(x1)と3官能以上のポリオール(x2)の比率は特に限定されず、任意の比率を取ることができる。
<ポリイソシアネート(y)>
ポリイソシアネート化合物(y)は公知のものを使用でき、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートは、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、および4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、および1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートは、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、および1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
その他、ポリイソシアネートは、イソシアネートプレポリマーを用いてもよい。イソシアネートプレポリマーとは、ジイソシアネートを原料とし、単量体の含有量が1%以下となるようにプレポリマー化したものである。イソシアネートプレポリマーは、アダクト体、ビュウレット体、およびイソシアヌレート体が挙げられる。
アダクト体とは、ジイソシアネートとトリメチロールプロパン(CH3−CH2−C(CH2−OH) 3)との付加体である。ビュウレット体は、ジイソシアネートと、水または3級アルコールとの反応物である。イソシアヌレート体は、ジイソシアネートの3量体(この3量体はイソシアヌレート環を含む。)である。
ポリイソシアネート(y)は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、および、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)等が好ましい。
ウレタンプレポリマー(A)の重合において、ポリオール(x)とポリイソシアネート(y)との配合比率は好ましくは、水酸基のモル数がイソシアネート基のモル数を超えるように設定する。ポリオール(x)中の水酸基のモル数とポリイソシアネート(y)中のイソシアネート基のモル数との比(NCO/OH比)は好ましくは0.30〜0.95、より好ましくは0.5〜0.90である。水酸基とイソシアネート基とを適切な比率で反応させると凝集力および粘着力を高度に両立できる。
本発明において、ポリイソシアネート(y)は1種以上の2官能イソシアネート化合物(y1)を含む。
ポリイソシアネート(y)は、2官能イソシアネート化合物(y1)のみを用いることが好ましい。ポリイソシアネート(y)は、ポリイソシアネート(y)は必要に応じて、1種以上の3官能以上のイソシアネート化合物を含むことができる。
ポリウレタン樹脂の原料ポリオールとして架橋性の高い3官能以上のポリオールのみと3官能以上のポリイソシアネートのみとを用いる場合、ポリウレタン樹脂の分子構造が剛直となり、粘着層の凝集力が好適な範囲より高くなる恐れがある。
ポリウレタン樹脂の原料ポリオールとして3官能以上のポリオールを用いる本発明の粘着剤では、ポリイソシアネート(y)として2官能イソシアネート化合物(y1)を含む1種以上のポリイソシアネート、好ましくは2官能イソシアネート化合物(y1)のみを用いることで、過度な架橋を抑えて、好適な凝集力と粘着力を有する粘着層が得ることが可能となる。
<触媒>
触媒は、3級アミン系化合物および有機金属系化合物等が挙げられる。
3級アミン系化合物は、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、および1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
有機金属系化合物は、錫系化合物および非錫系化合物等が挙げられる。
錫系化合物は、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、ジオクチル錫ジラウレート、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、および2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物は、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、およびブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系;オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、およびナフテン酸鉛等の鉛系;2−エチルヘキサン酸鉄および鉄アセチルアセトネート等の鉄系;安息香酸コバルトおよび2−エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系;ナフテン酸亜鉛および2−エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系;ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系が挙げられる。
触媒は、1種以上用いることができる。必要に応じて併用する複数種のポリオール(x)のそれぞれの反応性が異なる場合、これら反応性の相違により、単一触媒の系ではゲル化または反応溶液の白濁が生じやすくなる恐れがある。この場合、2種類の触媒を用いることにより、反応(例えば反応速度等)を制御しやすく、上記問題を解決することができる。2種類の触媒の組合せ特に制限されず、3級アミン/有機金属系、錫系/非錫系、および錫系/錫系等が挙げられる。好ましくは錫系/錫系、より好ましくはジブチル錫ジラウレートと2−エチルヘキサン酸錫である。
2−エチルヘキサン酸錫とジブチル錫ジラウレートとの質量比(2−エチルヘキサン酸錫/ジブチル錫ジラウレート)は特に制限されず、好ましくは0超1未満、より好ましくは0.2〜0.6である。当該質量比が1未満であれば、触媒活性のバランスが良く、反応溶液のゲル化および白濁を効果的に抑制し、重合安定性がより向上する。
1種以上の触媒の使用量は特に制限されず、ポリオール(x)とポリイソシアネート(y)との合計量に対して、好ましくは0.01〜1質量%である。
<溶剤>
ポリウレタン樹脂(A)の合成には必要に応じて、溶剤を使用できる。溶剤は、例えばメチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、およびアセトン等が挙げられる。ポリウレタン樹脂(A)の溶解性および溶剤の沸点等の点から、酢酸エチルおよびトルエン等が特に好ましい。
<重合方法>
ポリウレタン樹脂(A)の重合方法は特に制限されず、塊状重合法および溶液重合法等の公知重合方法を適用することができる。
重合手順は特に制限されず、
手順1)ポリオール(x)、ポリイソシアネート(y)、必要に応じて触媒、および必要に応じて溶剤を一括してフラスコに仕込む手順;
手順2)ポリオール(x)、必要に応じて触媒、および必要に応じて溶剤をフラスコに仕込み、これにポリイソシアネート(y)を滴下添加する手順が挙げられる。
反応を制御しやすいことから、手順2)が好ましい。
触媒を使用する場合の反応温度は、好ましくは100℃未満、より好ましくは80〜90℃である。反応温度が100℃未満であれば、反応速度および架橋構造等の制御がしやすく、所望の分子量を有するポリウレタン樹脂(A)を生成しやすい。
触媒を使用しない場合、反応温度は好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上であり、反応時間は好ましくは3時間以上である。
ポリウレタン樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1万〜50万、より好ましくは2万〜40万、特に好ましくは3万〜35万である。ポリウレタン樹脂(A)のMwが適切な範囲にあることで良好な塗工性が得られやすい。
(イソシアネート硬化剤(B))
イソシアネート硬化剤(B)は、ポリウレタン樹脂(A)の原料であるポリイソシアネート(y)で例示した化合物(具体的には、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、および、これらのトリメチロールプロパンアダクト体/ビュウレット体/3量体)を使用できる。
ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対するイソシアネート硬化剤(B)の量は、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは1〜20質量部、特に好ましくは2〜15質量部である。多官能イソシアネート(B)の量は、1質量部以上であれば粘着層の凝集力が良好となり、50質量部以下であれば粘着層の粘着力が良好となる。
<エステル(C)>
エステル(C)は、2以上のエステル結合、および前記エステル結合同士をつなぐ連結基を有し、前記連結基は分岐構造を有する化合物であり、ポリオール(c1)と一塩基酸との反応物である。このエステル(C)を含む粘着剤は、再剥離性および濡れ性の向上に加え、低温適性が向上する効果が得られる。この効果の理由として発明者は、エステル(C)は、分岐構造を有さないエステルと比較して、分岐構造の立体障害によりエステル(C)同士の形成するクラスターの密度が低い、またはクラスターの大きさが小さいため、低温環境でクラスターが増大し難く、粘着層中で適度な相溶性を保持できるため、粘着層からエステル(C)がブリードし難いためと推測している。
エステル(C)の分子量(式量)は、低温環境がより向上する面から1000以下が好ましく、850以下がより好ましく、700以下がさらに好ましく、600以下が特に好ましい。分子量(式量)の下限は、分岐構造および平均2以上のエステル結合を有する化合部であれば良く限定されない。下限を強いて挙げれば300以上が好ましく、350以上がより好ましい。なお、本明細書で分子量(式量)は、エステル(C)の分子構造が化学式で特定できる場合は式量を使用する。また、エステル(C)が単一構造ではなく、分子量分布を持つときは、数平均分子量を使用する。
エステル(C)の有するエステル結合数は、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましい。
エステル(C)の有する分岐構造は、例えば、2つのエステル結合をつなぐ連結基が分岐構造を有することを意味し、1または2以上の分岐を有することができる。また連結基の分岐鎖は、例えば、2−エチルヘキサン酸トリグリセライドのようにエステル結合を有しても良い。
ポリオール(c1)は、分岐構造および水酸基を2以上有することが好ましい。ポリオール(c1)の水酸基数は、エステル結合を2以上形成できれば良いため限定されないところ、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。
ポリオール(c1)は、例えば、分岐構造を有する脂肪族ポリオール、分岐構造を有する芳香族ポリオールが挙げられる。これらの中でも分岐構造を有する脂肪族ポリオールが好ましい。
分岐構造を有する脂肪族ポリオールは、分岐構造を有するアルキレンポリオールが好ましい。
アルキレンポリオールは、2官能ポリオール、3官能以上のポリオールのポリオールが挙げられる。なお、本明細書で2官能ポリオールとは、水酸基を2つ有するポリオールを意味する。
分岐構造を有するアルキレンポリオールの2官能ポリオールは、例えば、1,2−プロピレングリコール、エチレン−プロピレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,8−デカンジオールが挙げられる。
分岐構造を有するアルキレンポリオールの3官能以上のポリオールは、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
分岐構造を有する芳香族ポリオールは、2官能ポリオール、3官能ポリオール以上のポ リオールが挙げられる。
分岐構造を有する芳香族ポリオールの2官能ポリオールは、例えばビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールC等のビスフェノール化合物が挙げられる。
分岐構造を有する芳香族ポリオールの3官能以上のポリオールは、例えば、ロイカウリン等のトリスフェノール化合物が挙げられる。
一塩基酸は、カルボキシル基を1つ有する化合物であり、脂肪酸が好ましい。脂肪酸の炭素数は、4〜24が好ましく、4〜18がより好ましく、6〜18がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。炭素数が4以上になると濡れ性がより向上し、炭素数が24以下になると低温適性がより向上する。
脂肪酸は、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプロン酸エチル、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸等が挙げられる。
エステル(C)は、単独または2種類以上を使用できる。
エステル(C)の市販品としては、例えば、東邦化学工業社製は、ハイソルブMMPOM(プロピレングリコールジメチルエーテル)、ハイソルブMDPOM(プロピレングリコールジメチルエーテル)、ハイソルブMTPOM(トリプロピレングリコールジメチルエーテル)等;日清オイリオ社製は、サラコスPR−85(ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール)、サラコスPR−17(ジイソステアリン酸プロパンジオール)、エステモールN−01(ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール)、T.I.O (トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル)、O.D.O(トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル)、サラコス6318V(トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン)、サラコス5408(テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル)、サラコス5418V(テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル)等;理研ビタミン社製は、アフターM−1(中鎖脂肪酸トリグリセリドC8/C10=60/40)、アフターM−2(中鎖脂肪酸トリグリセリドC8=100)、アフターM−4(中鎖脂肪酸トリグリセリドC8/C10=85/15)、リケマールO−71−D(ジグリセリンオレート);花王社製は、エキセパールBP−DL(ポリオキシエチレンビスフェノールAラウリン酸エステル)、エキセパールPE−TP(ペンタエリスリトールテトラパルミテート)等が挙げられる。
また、エステル(C)は、連結基に水酸基を有さないことが好ましい。エステル(C)が水酸基を有する場合、ポリウレタン樹脂(A)とイソシアネート硬化剤(B)との架橋反応性が低下し、再剥離性が低下する恐れがあるためである。
エステル(C)は、ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜80質量部を配合することが好ましく、2〜70質量部がより好ましく、5〜60質量部がさらに好ましく、10〜55質量部が特に好ましく、15〜50質量部が最も好ましい。エステル(C)を適量使用すると再剥離性および濡れ性の向上に加え、低温適性がより向上する。
(溶剤)
本発明の粘着剤は、必要に応じて、溶剤を含むことができる。溶剤は公知の化合物を使用できる。溶剤は、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、およびアセトン等が挙げられる。これらの中でもポリウレタン樹脂(A)の溶解性および溶剤の沸点等の観点から、酢酸エチルおよびトルエン等が好ましい。
(変質防止剤(D))
本発明の粘着剤は、必要に応じて、1種以上の変質防止剤(D)を含むことができる。これにより、粘着層の長期使用による各種特性の低下を抑制することができる。変質防止剤(D)は、例えば、耐加水分解剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および光安定剤等が挙げられる。
<耐加水分解剤>
高温高湿環境下等において粘着層に加水分解反応が生じてカルボキシ基が生成した場合、このカルボキシ基を封鎖するために、耐加水分解剤を用いることができる。
耐加水分解剤、カルボジイミド系、イソシアネート系、オキサゾリン系、およびエポキシ系等が挙げられる。これらの中でも、加水分解抑制効果の観点から、カルボジイミド系が好ましい。
カルボジイミド系加水分解抑制剤は、1分子中に1つ以上のカルボジイミド基を有する化合物である。
モノカルボジイミド化合物は、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、およびナフチルカルボジイミド等が挙げられる。
ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させて生成することができる。ジイソシアネートは、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、およびテトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。カルボジイミド化触媒は、例えば1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、およびこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等が挙げられる。
イソシアネート系加水分解抑制剤は、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1, 4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
オキサゾリン系加水分解抑制剤は、例えば、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4 −メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’ −エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、および2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。
エポキシ系加水分解剤は、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、およびポリアルキレングリコール等の脂肪族ジオールのジグリシジルエーテル;ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、およびトリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル;テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、およびセバシン酸等の脂肪族または芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル;レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、および1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノールのジグリシジルエーテルまたはポリグリシジルエーテル;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、およびN,N,N',N'−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタン等のアミンのN−グリシジル誘導体;アミノフェールのトリグリシジル誘導体;トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、およびトリグリシジルイソシアヌレート;オルソクレゾール型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等が挙げられる。
耐加水分解剤の添加量は特に制限されず、ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜4.5質量部、特に好ましくは0.5〜3質量部である。
<酸化防止剤>
酸化防止剤は、ラジカル補足剤および過酸化物分解剤等が挙げられる。ラジカル補足剤は、フェノール系化合物およびアミン系化合物等が挙げられる。過酸化物分解剤は、硫黄系化合物およびリン系化合物等が挙げられる。
フェノール系化合物は、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリン−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−,C7−C9側鎖アルキルエステル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)トリオン、およびトコフェノール等が挙げられる。
リン系化合物は、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、および2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
酸化防止剤を用いることで、ポリウレタン樹脂(A)の熱劣化を防ぎ、粘着層からのエステル(C)のブリードアウトをより効果的に抑制することができる。
酸化防止剤の添加量は特に制限されず、ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部、特に好ましくは0.2〜2質量部である。
酸化防止剤は、安定性と酸化防止効果の観点から、ラジカル補足剤であるフェノール系化合物を1種以上用いることが好ましく、ラジカル補足剤である1種以上フェノール系化合物と過酸化物分解剤である1種以上リン系化合物とを併用することがより好ましい。また、酸化防止剤として、ラジカル補足剤であるフェノール系化合物と過酸化物分解剤であるリン系化合物とを併用し、これら酸化防止剤と前述の耐加水分解剤とを併用することが特に好ましい。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、およびトリアジン系化合物等が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は特に制限されず、ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.1〜2.5質量部、特に好ましくは0.2〜2質量部である。
<光安定剤>
光安定剤は、ヒンダードアミン系化合物およびヒンダードピペリジン系化合物等が挙げられる。光安定剤の添加量は特に制限されず、ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.1〜1.5質量部、特に好ましくは0.2〜1質量部である。
(帯電防止剤(E))
本発明の粘着剤は必要に応じて、1種以上の帯電防止剤(E)を含むことができる。
帯電防止剤は、無機塩、多価アルコール化合物、イオン性液体、および界面活性剤等が挙げられ、中でもイオン性液体が好ましい。なお、「イオン性液体」は常温溶融塩ともいい、25℃で流動性がある塩である。
無機塩は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、過塩素酸リチウム、塩化アンモニウム、塩素酸カリウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびチオシアン酸ナトリウム等が挙げられる。
多価アルコール化合物は、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等が挙げられる。
イミダゾリウムイオンを含むイオン液体は、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、および1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等が挙げられる。
ピリジニウムイオンを含むイオン液体は、例えば、1−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−オクチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、1−オクチル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−オクチル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチルピリジニウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、および1−メチルピリジニウムビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等が挙げられる。
アンモニウムイオンを含むイオン液体は、例えば、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびトリ−n−ブチルメチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド等が挙げられる。
その他、ピロリジニウム塩、ホスホニウム塩、およびスルホニウム塩等の市販のイオン液体を適宜使用できる。
界面活性剤は、低分子界面活性剤と高分子界面活性剤とに分類される。いずれのタイプにおいても、非イオン性、アニオン性、カチオン性、および両性のタイプがある。
非イオン性の低分子界面活性剤は、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル、および脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
アニオン性の低分子界面活性剤は、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、およびアルキルホスフェート等が挙げられる。
カチオン性の低分子界面活性剤は、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
両性の低分子界面活性剤は、アルキルベタインおよびアルキルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。
非イオン性の高分子界面活性剤は、ポリエーテルエステルアミド型、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン型、およびポリエーテルエステル型等が挙げられる。
アニオン性の高分子界面活性剤は、ポリスチレンスルホン酸型等が挙げられる。
カチオン性の高分子界面活性剤は、第4級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体型等が挙げられる。
両性の高分子界面活性剤は、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、および高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
帯電防止剤(E)の添加量は、ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.03〜5質量部である。
(レベリング剤)
本発明の粘着剤は必要に応じて、レベリング剤を含むことができる。レベリング剤を添加することで、粘着剤を塗工する際、塗膜の表面張力が下がり、表面が平滑な粘着層が得易くなる。レベリング剤は、アクリル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、およびシリコーン系レベリング剤等が挙げられる、粘着シート再剥離後の被着体汚染抑制の観点から、アクリル系レベリング剤等が好ましい。
レベリング剤の重量平均分子量(Mw)は特に制限されず、好ましくは500〜20,000、より好ましくは1,000〜15,000、特に好ましくは2,000〜10,000である。Mwが500以上であれば、塗工層の加熱乾燥時において塗工層からの気化量が充分に少なく周囲の汚染が抑制される。Mwが20,000以下であれば、粘着層のレベリング性の向上効果が効果的に発現する。
レベリング剤の添加量は特に制限されず、粘着シート再剥離後の被着体汚染抑制と粘着層のレベリング性向上の観点から、ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.001〜2質量部、より好ましくは0.01〜1.5質量部、特に好ましくは0.1〜1質量部である。
(他の任意成分)
本発明の粘着剤は、本発明の課題を解決できる範囲であれば、他の任意成分を含むことができる。他の任意成分は、触媒、ウレタン系樹脂以外の他の樹脂、充填剤(タルク、炭酸カルシウム、および酸化チタン等)、金属粉、着色剤(顔料等)、箔状物、軟化剤、導電剤、シランカップリング剤、潤滑剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、重合禁止剤、および消泡剤等が挙げられる。
「粘着シート」
本発明の粘着シートは、基材と、上記の本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含む。粘着層は、基材の片面または両面に形成することができる。必要に応じて、粘着層の露出面は、剥離シートで被覆することができる。なお、剥離シートは、粘着シートを被着体に貼着する際に剥離される。なお、基材はシート状が好ましい。
図1に、本発明に係る第1実施形態の粘着シートの模式断面図を示す。図1中、符号10は粘着シート、符号11は基材、符号12は粘着層、符号13は剥離シートである。粘着シート10は、基材の片面に粘着層が形成された片面粘着シートである。
図2に、本発明に係る第2実施形態の粘着シートの模式断面図を示す。図2中、符号20は粘着シート、符号21は基材、符号22A、22Bは粘着層、符号23A、23Bは剥離シートである。粘着シート20は、基材の両面に粘着層が形成された両面粘着シートである。
基材は特に制限されず、樹脂シート、紙、および金属箔等が挙げられる。基材は、これら基材の少なくとも一方の面に任意の1つ以上の層が積層された積層シートであってもよい。基材の粘着層を形成する側の面には、必要に応じて、コロナ放電処理およびアンカーコート剤塗布等の易接着処理が施されていてもよい。
樹脂シートの構成樹脂は特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等エステル系樹脂;ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ナイロン66等のアミド系樹脂;ウレタン系樹脂(発泡体を含む);これらの組合せ等が挙げられる。
ポリウレタンシートを除く樹脂シートの厚みは特に制限されず、好ましくは15〜300μmである。ポリウレタンシート(発泡体を含む)の厚みは特に制限されず、好ましくは20〜50,000μmである。
紙は特に制限されず、普通紙、コート紙、およびアート紙等が挙げられる。
金属箔の構成金属は特に制限されず、例えば、アルミニウム、銅、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
上記したように、本発明の粘着剤は優れた基材密着性を有するため、本発明の粘着シートでは、用いる基材の選択自由度が高く、好ましい。
剥離シートは特に制限されず、樹脂シートまたは紙等の表面に剥離剤塗布等の公知の剥離処理が施された公知の剥離シートを用いることができる。
粘着シートは、公知方法にて製造することができる。
はじめに、基材の表面に本発明の粘着剤を塗工して、本発明の粘着剤からなる塗工層を形成する。塗布方法は公知方法を適用でき、ロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、およびグラビアコーター法等が挙げられる。
次に、塗工層を乾燥および硬化して、本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層を形成する。加熱乾燥温度は特に制限されず、60〜150℃程度が好ましい。
粘着層の厚みは粘着シートの用途によって適宜設計でき、例えば5〜300μm程度である。なお、本明細書において、「粘着層の厚み」は特に明記しない限り、乾燥後の厚みである。
次に必要に応じて、公知方法により粘着層の露出面に剥離シートを貼着する。
以上のようにして、片面粘着シートを製造することができる。
上記操作を両面に行うことで、両面粘着シートを製造することができる。
上記方法とは逆に、剥離シートの表面に本発明の粘着剤を塗工して本発明の粘着剤からなる塗工層を形成し、次いで塗工層を乾燥および硬化して本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層を形成し、最後に粘着層の露出面に基材を積層してもよい。
本発明の粘着シートは、表示装置の表面に貼付して使用することが好ましい。
前記表示装置は、例えばテレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、および携帯情報端末、車両に搭載されるディスプレイ、つまりはCID (Center Information Display)、カーナビが挙げられる。なお、CIDは、自動車の運転席前面に配置される情報ディスプレイのことをいう。従来はカーナビの地図表示を主な用途として搭載されてきたが、近年では車載カメラの搭載によるパーキングアシスト機能や空調操作・燃費情報を表示するマルチファンクションディスプレイとして高機能化しつつあるため、あらゆる環境への適性が求められる。
表示装置の粘着シートが貼付される面(被着体)の素材は、例えば、ガラス、アクリル板、ポリカーボネート、ポリオレフィンが挙げられる。
被着体の厚みは、10μm〜5mm程度である。
以下、本発明の実施態様を説明するが、本発明は下記実施態様に限定されない。なお、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。表中の配合量は質量部である。
[分子量の測定]
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りである。なお、MwおよびMnはいずれも、ポリスチレン換算値である。
装置:SHIMADZU Prominence(株式会社島津製作所製)、
カラム:SHODEX LF−804(昭和電工株式会社製)を3本直列に接続、
検出器:示差屈折率検出器、
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:0.5mL/分、
溶媒温度:40℃、
試料濃度:0.02%、
試料注入量:200μL。
[材料]
使用した材料は、以下の通りである。
<2官能ポリオール(x1)>
(x1−1):クラレポリオール P−1010(ポリエステルポリオール、数平均分子量Mn1000、水酸基数2、クラレ社製)、
(x1−2): クラレポリオール C−1090(ポリカーボネートポリオール、数平均分子量Mn1000、水酸基数2、クラレ社製)、
(x1−3): PEG−1000(ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn1000、水酸基数2、東邦化学工業社製)、
<3官能以上のポリオール(x2)>
(x2−1):サンニックス GP−3000(ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn3000、水酸基数3、三洋化成工業社製)、
(x2−2):サンニックス GL−3000(ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn3000、水酸基数3、三洋化成工業社製)、
<ポリイソシアネート(y)>
(y−1):デスモジュールH(ヘキサメチレンジイソシアネート、住化コベストロウレタン社製)、
(y−2):デスモジュールI(イソホロンジイソシアネート、住化コベストロウレタン社製)、
(y−3):コロネート T−65(トリレンジイソシアネート、東ソー社製)、
<多官能イソシアネート化合物(B)>
(B−1):スミジュール HT(ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、不揮発分75%、住化コベストロウレタン社製)、
(B−2):デスモジュール N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、不揮発分100%、住化コベストロウレタン社製)、
(B−3):デスモジュール L75(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、不揮発分75%、住化コベストロウレタン社製)。
<エステル(C)>
(C−1):エステモールN−01(ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール)、分子量356、一塩基酸の炭素数8、エステル結合数2、連結基は分岐構造・脂肪族、日清オイリオ社製)、
(C−2):T.I.O (トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、分子量470、一塩基酸の炭素数8、エステル結合数3、連結基に分岐構造・脂肪族、日清オイリオ社製)、
(C−3):アクターM−1(中鎖脂肪酸トリグリセリドC8/C10=60/40、数平均分子量504、一塩基酸の平均炭素数8.8、エステル結合数3、連結基は分岐構造・脂肪族、理研ビタミン社製)、
(C−4):リケマールO−71−D(ジグリセリンオレート、分子量620、脂肪酸の炭素数18、エステル結合数2、連結基は分岐構造・脂肪族、日清オイリオ社製)、
(C−5):エキセパールBP−DL(ポリオキシエチレンビスフェノールAラウリン酸エステル、分子量678、一塩基酸の炭素数12、エステル結合数2、連結基は分岐構造・芳香族、花王社製)、
(C’−1):サンソサイザーDINA(アジピン酸ジイソノニル、ニ塩基酸とモノアルコールのエステル分子量398、エステル結合数2、連結基は直鎖構造・脂肪族、新日本理化社製)
(C’−2):TOTM(トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、三塩基酸とモノアルコールのエステル、分子量547、エステル結合数3、連結基は分岐構造・芳香族、三菱ケミカル社製)、
(C’−3):サンソサイザーE−6000(エポキシ化脂肪酸2−エチルヘキシル、分子量約400、エステル結合数1、連結基は直鎖構造・脂肪族、新日本理化社製)。
<変質防止剤(D)>
(D−1):IRGANOX 1010(BASF社製)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤。
<帯電防止剤(E)>
(E−1):イオン性液体、トリ−n−ブチルメチルアンモニウム・ビストリフルオロメタンスルホンイミド。
(合成例1)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、および滴下漏斗を備えた4口フラスコに、2官能ポリオール(x1−1)25部、3官能ポリオール(x2−1)75部、および2官能ポリイソシアネート(y−1)7.4部(NCO/OHが0.7となる量)を仕込んだ。これに、トルエン72部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.03部および2−エチルヘキサン酸錫0.01部を加えて、90℃まで徐々に昇温し、90℃で2時間反応を行った。随時サンプリングを行い、赤外吸収(IR)スペクトルで残存イソシアネート基の消滅を確認した上で、反応溶液を冷却し反応を終了した。以上のようにして、ポリウレタン樹脂(A−1)の溶液(不揮発分:60%)を得た。得られたポリウレタン樹脂(A−1)のMwは、226,000であった。配合組成と得られたポリウレタン樹脂(A−1)のMwを表1−1に示す。
なお、2官能ポリイソシアネート(y−1)の部量の算出方法は、下記の通りである。
((y−1)の部量)[部]=
(NCO/OH比)×((y−1)の分子量)/((y−1)のNCO基数)×
[((x1−1)の部量)/((x1−1)の分子量)×((x1−1)の水酸基数)
+((x2−1)の部量)/((x2−1)の分子量)×((x2−1)の水酸基数)]]
=0.7×168/2×(2/1000×2+98/10000×3)
≒7.4部
(合成例2〜8)
合成例2〜8は、表1−1に示す配合組成に変更した以外は合成例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(A−2)〜(A−8)の溶液を得た。各合成例において、得られたポリウレタン樹脂のMwを表1に示す。
(実施例1)
合成例1で得られたポリウレタン樹脂(A−1)溶液中のポリウレタン樹脂(A−1)100部に対して、それぞれ不揮発分比でイソシアネート化合物(B−1)を10部、酸化防止剤(D−1)を1.0部配合し、さらに溶剤として酢酸エチルを100部配合し、ディスパーで攪拌することで、ウレタン系粘着剤を得た。
基材して、50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、ルミラーT−60:東レ社製)を用意した。この基材の片面に、得られた粘着剤を乾燥後の粘着剤層の厚みが12μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥して、粘着層を形成した。この粘着層上に、厚さ38μmの剥離シート(スーパーステックSP−PET38:リンテック社製)を貼着して、粘着シートを得た。23℃−50%RHで1週間養生した後、各種評価に供した。
(実施例2〜22、比較例1〜3)
実施例2〜22、比較例1〜3の各例においては、配合組成を表2〜表5に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法にて、粘着剤および粘着シートを得た。
[評価項目および評価方法]
評価項目および評価方法は、以下の通りである。
(再剥離性)
得られた粘着シートを幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し、測定試料とした。次いで、23℃−50%RHの雰囲気下で、測定試料から剥離シートを剥離し、露出した粘着層を苛性ソーダガラス板に貼着し、2kgロールを用いて圧着した。その後、60℃−90%RH条件下で72時間放置した。23℃−50%RHの雰囲気にて30分空冷した後、JISZ0237に準拠し、引張試験機(テンシロン:オリエンテック社製)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で粘着力を測定した。なお、粘着力が低い方が再剥離しやすい。評価基準は以下の通りである。
○:50mN/25mm未満、良好。
△:50mN/25mm以上200mN/25mm、実用可。
×:200mN/25mm超、実用不可。
(濡れ性)
得られた粘着テープを幅50mm・長さ100mmの大きさに準備し、測定試料とした。次いで、23℃−50%RH雰囲気下で30分間放置した後、測定試料から剥離シートを剥離した。粘着テープの両端を両手で持ちながら露出した粘着剤層の中心部をガラス板に接触させた後、両手を離した。測定試料の自重で粘着層全体がガラス板に密着するまでの時間を測定することで、粘着剤の濡れ性を評価した。ガラス板と密着するまでの時間が短いほどガラスに対する濡れ性(親和性)が良好であるため、ガラスを使用した製造工程でガラスを良好に保護することができる。評価基準は以下の通りである。
○:密着まで3秒未満、良好。
△:密着まで3秒以上5秒未満、実用可。
×:密着まで5秒以上、実用不可。
(抵抗値安定性)
得られた粘着シートを幅40mm・幅100mmの大きさに準備した。次いで23℃−50%RH雰囲気で剥離性フィルムを剥離して、厚さ5μmのITO透明導電膜が形成された幅40mm・縦160mmのPETフィルム貼り合わせて固定し、50℃雰囲気下で0.5MPaの圧力をかけて20分間保持して、PETフィルム/粘着剤層/ITOフィルムの積層構成の試験片を得た。前記試験片の両端に電極をつなぎ、初期の電気抵抗値を測定[三菱化学(株)製、Laresta−GP MCP−T600]した。更に試験片を60℃−90%RH条件下で72時間放置した後、前記同様に経時後の電気抵抗値を測定し抵抗値安定性を電気抵抗変化率(経時後の電気抵抗値/初期の電気抵抗値)で評価した。評価基準は以下のとおりである。◎:電気抵抗変化率が、1.2未満、優良。
○:電気抵抗変化率が、1.2以上1.5未満、良好。
△:電気抵抗変化率が、1.5以上2未満、実用可。
×:電気抵抗変化率が、2以上、実用不可。
(低温安定性)
得られた粘着シートを幅70mm・長さ100mmの大きさに準備し、測定試料とした。次いで、23℃−50%RHの雰囲気下で、この測定試料から剥離シートを剥離し、露出した粘着層を苛性ソーダガラス板に貼着した。その後、−15℃条件下で2週間放置した。23℃−50%RHの雰囲気下で3時間空冷した後、測定試料をガラス板から剥離し、ガラス面に測定試料が貼着されていた箇所に対して、蛍光灯下もしくは暗室内でLEDランプ光を照射して、濡れ剤のブリード状況を目視評価した。評価基準は以下の通りである。
○:ガラス表面に何の変化も認められない、良好。
△:ガラス表面に暗室で微かに油染みのような変化が認められる、実用可。
×:ガラス表面に蛍光灯下で目視で虹色模様が認められる、実用不可。
[評価結果]
評価結果を表2〜表5に示す。
Figure 0006922488
Figure 0006922488
Figure 0006922488
Figure 0006922488

Figure 0006922488
表2〜表5の結果から実施例1〜22では、ポリウレタン樹脂(A)、イソシアネート硬化剤(B)、およびポリオール(c1)と一塩基酸との反応物であるエステル(C)を含み、前記エステル(C)は、2以上のエステル結合および分岐構造の連結基を有する化合物である粘着剤を製造した。
実施例1〜22で得られた粘着シートはいずれも、60℃−90%RH条件下で保存した後の再剥離性、ガラスに対する濡れ性、透明導電膜に使用する場合の60℃−90%RH条件下で保存した後の抵抗値安定性、および−15℃条件下で保存した後の低温安定性の評価結果が良好であった。
粘着シートを例えば透明導電膜の表面保護用途で使用する場合、粘着層が酸成分を含むと、抵抗値が劣化する場合がある。そこで連結基にポリオールを出発物とするエステル(C)を使用することで、不純物である未反応の酸成分の含有を抑制し、透明導電膜の抵抗値を保持することができた。
比較例1では、連結基が中心構造のエステル(C’)を用いて粘着剤を製造した。比較例1で得られた粘着シートは、60℃−90%RH条件下で保存した後の抵抗値安定性、および−15℃条件下で保存した後の低温安定性の評価結果が不良であった。
比較例2では、芳香族のエステル(C’)を用いて粘着剤を製造した。比較例2で得られた粘着シートは、60℃−90%RH条件下で保存した後の抵抗値安定性、および−15℃条件下で保存した後の低温安定性の評価結果が不良であった。
比較例3では、エステル結合数が1のエステル(C’)を用いて粘着剤を製造した。比較例3で得られた粘着シートは、60℃−90%RH条件下で保存した後の再剥離性、および−15℃条件下で保存した後の低温安定性の評価結果が不良であった。

Claims (6)

  1. ポリウレタン樹脂(A)、イソシアネート硬化剤(B)、およびポリオール(c1)と一塩基酸との反応物であるエステル(C)を含み、前記エステル(C)の分子量が300〜600であり、前記エステル(C)は2以上のエステル結合、および前記エステル結合同士をつなぐ連結基を有し、前記連結基は分岐構造を有し、前記一塩基酸は、脂肪酸であることを特徴とする、粘着剤。
  2. 前記ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、前記エステル(C)を0.5〜8 0質量部含む、請求項1記載の粘着剤。
  3. 前記ポリオール(c1)は、分岐構造を有する脂肪族ポリオールである、請求項1または2に記載の粘着剤。
  4. 前記ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、前記イソシアネート硬化剤(B) を1〜30質量部含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の粘着剤。
  5. さらに帯電防止剤(E)を含む、請求項1〜いずれか1項に記載の粘着剤。
  6. 基材、および請求項1〜いずれか1項に記載の粘着剤の硬化物である粘着層を備えた、粘着シート。
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