JP6922327B2 - 黒鉛及びその製造方法、並びに混合物 - Google Patents

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本発明は、黒鉛及びその製造方法、並びに該黒鉛を製造する際に用いられる混合物に関する。
黒鉛製品は低熱膨張高熱伝導熱膨張が小さく、また、熱伝導性が高いことによる優れた耐熱性、良好な電気伝導性、軽量で高強度などの優れた特性から冶金、電気、機械、化学、原子力などの幅広い分野で利用される。このような幅広い用途に合わせて黒鉛製品の物性を作り分ける必要があり、具体的には複数の炭素材をブレンドすることや原料オイルの重質化による改質処理などが広く行われてきた。
その際に重要視される物性として、成形体硬度、熱膨張率、電気伝導性、熱拡散率、ヤング率などがあるが、我々の検討から、これらの物性値は基本的には黒鉛の密度、細孔構造、結晶構造、異方性、配向性などが互いに影響しあうため、切り分けることが難しく、一物性の改善が他物性の低下に繋がる、所謂、トレードオフになることを見出した。
熱膨張を低減することができる有孔率を向上した例として、文献1にコールタールピッチの熱処理物に添加剤として硫黄、ニッケル、硫化銅、塩化アルミニウムを加えて成形し焼成を行った検討がある。この論文において各添加剤を加えることで焼成後の有効率が数%増加することを見出しているが、一方でショア硬度は5から10程度低下する結果が報告されている。細孔を導入することは熱膨張を緩和する上で有効な手段であるが、既存の手法では硬度物性をも低減されてしまうことが報告されている(例えば、非特許文献1)。
大谷杉郎、大谷朝男、中川勇、堀越孝夫、工業化学、72、323−327(1969)
主要物性である成形体硬度と熱膨張率は、成形体及び炭素質の空孔に強く影響を受けることが知られている。硬度を高める上で空孔率を低減することが重要だとされているが、炭素質中の空孔は熱膨張を抑制する空間として働くために、これらの物性はトレードオフの関係となっている。上記非特許文献1においても成形体硬度と低熱膨張率の両立はなされてはいない。本発明の課題は、十分な硬度を維持しつつ、熱膨張が抑制された黒鉛を提供することにある。また、本発明の課題は、この黒鉛の製造方法及びこの黒鉛を得るために調整される混合物を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の細孔分布を有する黒鉛により上記課題を解決し得ることを見出した。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]水銀圧入法により測定した細孔分布のピークトップが0.01〜10μm、細孔分布が0.005〜20μmであり、かつ窒素ガス吸着量測定の相対圧に対するプロットでP/Pが0.3〜0.7となる範囲でガス脱離曲線とガス吸着曲線にヒステリシスを生
じる黒鉛。
[2]インクボトル型の細孔を有する、[1]に記載の黒鉛。
[3]キノリン不溶分が70〜99重量%である生コークスとマンガン及びマンガン化合物のうちの少なくとも一方とを含む混合物。
[4]前記生コークスと前記マンガン及びマンガン化合物との合計量に対し、マンガン及びマンガン化合物の少なくとも一方を0.01〜30重量%含む、請求項3に記載の混合物。
[5]キノリン不溶分が70〜99重量%である生コークスとマンガン及びマンガン化合物の少なくとも一方とを混合し、600〜1700℃でのか焼、2000〜3500℃での黒鉛化を経る黒鉛の製造方法。
[6]前記混合の後、か焼する前に加圧成型を行う、請求項5に記載の黒鉛の製造方法。
本発明によれば、成形体硬度と低熱膨張率のいずれにも優れた黒鉛及びその製造方法、並びに該黒鉛を得るための混合物が提供される。
図−1は実施例1と比較例1〜3の物性を比較したグラフである。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本発明において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔黒鉛〕
本発明の黒鉛は、水銀圧入法により測定した細孔分布のピークトップが0.01〜10μm、細孔分布が0.005〜20μmであり、かつ窒素ガス吸着量測定の相対圧に対するプロットでP/Pが0.3〜0.7となる範囲でガス脱離曲線とガス吸着曲線にヒステリシスを生じるものである。前述の通り、成形体の硬度と低熱膨張率は通常、両立することが困難であったが、本発明の黒鉛は、これらの物性がいずれも優れるという効果を奏する。
[細孔の構造]
水銀圧入法により測定した細孔分布のピークトップが0.01〜10μm、0.05mL/g以上の対数微分細孔容積を有する細孔分布が0.005〜20μmである。この細孔分布のピークトップは、0.01μm以上であり、一方、10μm以下であることにより黒鉛中の広範囲に空孔が分布することで硬度を高めることとなり、この観点から、細孔分布のピークトップは好ましくは8μm以下である。また、0.05mL/g以上の対数微分細孔容積を有する細孔分布は、0.005μm以上であり、また、20μm以下であることにより強度低下の原因となる粗大な細孔が減少することとなり、この観点から、細孔分布は好ましくは15μm以下である。
本発明の黒鉛は上記の細孔分布を満たし、更に、窒素ガス吸着量測定において相対圧に対してガスの吸着量及び脱離量をプロットした際に相対圧P/Pが0.3〜0.7となる範囲でガス脱離曲線とガス吸着曲線に差が生じ、2曲線にヒステリシスが確認される。この現象が見られる場合、本発明の黒鉛において、細孔の構造が単純な球状や円柱状ではなく、インクボトル型と呼ばれる細孔構造を有することを示しており、吸着ガスが流入す
る入り口がその先の細孔より狭まった構造をとる場合に確認される。上記の相対圧P/Pが上記範囲であると、本発明における特定の細孔構造を有することを示すものであり、特に、この値は好ましくは0.4〜0.6である。
〔混合物〕
本発明の混合物はキノリン不溶分が70〜99重量%である生コークスとマンガン及びマンガン化合物の少なくとも一方とを含むものである。この混合物は前述した本発明の黒鉛を得るために有用である。
[生コークス]
本発明において、「生コークス」とは、キノリン不溶分が0〜30重量%、トルエン不溶キノリン可溶分を0〜20重量%である重質油を300〜500℃で熱処理することで得られる炭素前駆体を意味する。生コークスとしては、例えば、石炭由来の石炭生コークス、石油由来の石油生コークス等が挙げられる。
本発明の混合物において、生コークスはキノリン不溶分が70〜99重量%であるものを用いる。キノリン不溶分が、70重量%未満であると、本発明における成形体焼成時に膨張による低密度化や融解が生じるために、良好な黒鉛が得られない。また、99重量%超過であると自己融着性がなく低密度化や割れ、硬度低下が確認される。これらの観点から、このキノリン含有量は、好ましくは85重量%以上であり、一方、好ましくは98重量%以下である。生コークスにおけるキノリン不溶分含有量は、生コークス粉末を粉砕後、溶剤キノリンと共に混合し、不溶分重量を測定するJIS K 2425の方法により測定することができる。
[マンガン及びマンガン化合物]
本発明の混合物にはマンガン及びマンガン化合物のうちの少なくとも一方が用いられるが、マンガン化合物の種類は特に制限されない。マンガン化合物としては、例えば、酸化マンガン、硫化マンガン、炭化マンガン、硝酸マンガン、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、酸化マンガン、炭化マンガン等である。以上に挙げたマンガン化合物は、1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[混合物の調整方法]
本発明の混合物は、前記生コークスと前記マンガン及びマンガン化合物との合計量に対し、マンガン化合物及びマンガン化合物の少なくとも一方の含有量が、0.01重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、一方、30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。本発明の混合物におけるマンガン化合物の含有量が上記下限値以上であると熱膨張が明確に低減されるために好ましく、一方、上記上限値以下であると成形体の自己結着性を保持する観点で好ましい。なお、混合した前記マンガン及びマンガン化合物は加熱処理後に酸処理などにより使用用途に合わせ調整してもよい。
本発明の混合物において、生コークスは次のような大きさに調整した上で用いることが高密度で高硬度の黒鉛が得られる観点で好ましい。即ち、生コークスの大きさは、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下である。下限値は特に制限されないが、通常、0.1μm以上である。
また、本発明の混合物において、マンガン及びマンガン化合物は次のような大きさに調整した上で用いることが骨格となる炭素との反応を促進する観点で好ましい。即ち、マンガン及びマンガン化合物の大きさは、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下である。下限値は特に制限されないが、通常、0.1μm以上である。
本発明の混合物には、前述の生コークスとマンガン及びマンガン化合物以外の成分として、バインダーピッチやホウ素系化合物、マンガン以外の金属粉及び金属化合物粉等が含まれていてもよい。
本発明の混合物の調整方法は特に制限されないが、手動混合、ボールミルなどによる機械混合、生コークス粉末をマンガン化合物分散溶液に含浸した後、溶剤を飛ばすなどの湿式混合等の方法の他、原料油にマンガン及びマンガン化合物の少なくとも一方を混ぜ込み、マンガンを含有する生コークスを作製する方法を用いることができる。
〔黒鉛の製造方法〕
本発明の黒鉛の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称することがある。)は、キノリン不溶分が70〜99重量%である生コークスとマンガン及びマンガン化合物の少なくとも一方とを混合し、600〜1700℃でのか焼、2000〜3500℃での黒鉛化を経るものである。即ち、本発明の製造方法は、前述の本発明の混合物を用い、これを特定の温度範囲でのか焼及び黒鉛化を経るものである。
[か焼]
本発明の製造方法において、か焼は600〜1700℃で行われる。か焼の温度範囲が、600℃未満であると成形体の収縮や揮発分散逸が不十分となり、一方、1700℃超過であると、黒鉛化前にピッチ含浸などの高密度化処理を行う際にピッチの浸透が困難となる。これらの観点から、か焼の温度範囲は、好ましくは800℃以上、より好ましくは900℃以上であり、一方、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1400℃以下である。
[黒鉛化]
本発明の製造方法において、黒鉛化は2000〜3500℃で行われる。黒鉛化の温度範囲が、2000℃未満であると本発明における添加物や原料由来の不純物が残存し黒鉛純度が低下し、一方、3500℃超過であると、黒鉛化の進行は停止しているものの余剰なエネルギーを費やすこととなる。これらの観点から、黒鉛化の温度範囲は、好ましくは2200℃以上、より好ましくは2500℃以上であり、一方、好ましくは3300℃以下、より好ましくは3000℃以下である。
[加圧成型]
本発明の製造方法は、特に、前記混合の後、か焼する前に加圧成型を行うことが好ましい。加圧成型を行うことにより黒鉛を高密度化しかつ添加剤の効果を高めることができるために好ましい。加圧成型の方法としては金型成型、押出成型、冷間静水等方圧加圧成型等が挙げられる。
加圧成型の条件として、温度は通常、80〜200℃、好ましくは100〜170℃である。また、圧力は通常、1〜100MPa、好ましくは10〜50MPaである。
[コークス粉の乾燥]
成形体作製に用いるコークス及び生コークスは80〜300℃程度で乾燥を行うことで、水分量、揮発分量などを任意に調整することが出来る。この工程はコークス及び生コークスの粉砕前及び粉砕後、ブレンド後、バインダーピッチ添加及び混練後のいずれにおいても可能であるが、より厳密な物性調整とバインダー親和性の観点からコークス及び生コークス粉砕前及び粉砕後に行うことが望ましい。
[混合]
成形体を作製する上で主要材料であるか焼コークスは、性状の異なる2種類以上のか焼コークスを混合することで物性を微調整可能である。本発明における成形体の主材料である生コークスについても同様で、性状の異なる2種類以上の生コークスをブレンドして使用することで物性を微調整することができる。なお、上記の物性微調整はあくまで前述のとおり、物性トレードオフの関係にある点を注意する必要がある。
[結着成分の添加・混練]
通常の黒鉛材料製造では、主要材料であるか焼コークス自身は融着性を有しないため、バインダーピッチなどの結着成分を添加して成形を行う。この際、か焼コークスと結着成分を十分に馴染ませる目的で、通常、結着成分の軟化点以上で加温をしつつか焼コークスと結着成分を混合する。この工程は混練と呼ばれ、黒鉛成形体の密度、硬度、電気抵抗などの諸物性に大きく影響する。本発明における生コークスは基本的に自身が融着性を有するため、結着成分の添加は不要であるが、か焼コークス同様に結着成分を加え、混練操作を行った上で成形体とすることも可能である。以上の結着成分の添加及び混練の工程はか焼コークス及び生コークスの粉砕前、粉砕後のどちらでも行うことが出来るが、結着成分との十分な馴染みを達成する上で、粉砕後に行うことが望ましい。また、混練後に得られる混合物は再粉砕し、粒度を調節することもできる。
[含浸・再か焼]
か焼によって生成した空隙にさらに含浸ピッチを浸漬する工程をピッチ含浸という。その後、再度か焼により結着成分を焼結するが、この含浸・再か焼を繰り返すことでより高密度化された黒鉛を得ることができる。この工程は成形体か焼後及び黒鉛化後に行うことができるが、含浸ピッチの浸透し易さから成形体か焼後に行うことが望ましい。
[その他の処理]
一部の高純度が求められる用途では、ハロゲンガスなどと反応させることで黒鉛中に含まれる不純物元素が除去することができる。また、薬品耐性や表面硬さが求められる用途には表面にガラス状炭素などによるコーティング処理を行ってもよい。
以下、実施例により本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
(成形体の作製)
以下の実施例及び比較例において、金型成型により加圧成型を行った。生コークス粉単味又は生コークス粉と各添加剤(二酸化マンガン、鉄化合物又は硫黄)との混合粉1.3gをφ20mmのコイン状の金型に封入し、120℃まで加温したのち30MPaまで加圧し、10分間維持した後、取出しを行うことでφ20mm×厚み2〜3mmのコイン型成形体を得た。また、以下の物性測定に用いるためにコイン型成形体から2mm×2mm×14mmの直方体サンプル3本を切り出し、以降の物性測定に使用した。
(熱膨張率の測定)
熱膨張率測定にはRigaku社製の熱機械分析装置(Thermo plus EVO2 / TMA)を利用し、SiO標準を使用した200℃〜1000℃における示唆膨張方式により測定を行った。本測定において180℃〜201℃及び980℃〜1001℃の範囲では1℃/分の速度で昇温を行い、上記以外の範囲では100℃/分で昇温を行った。
(成形体ショア硬度の測定)
ショア硬度測定には今井精機社製のカタサ試験機(ショア式D型)を用いて、直方体サンプルの2面(成形時圧力をかけた面と断面)を3カ所ずつ測定し、計6カ所の平均値をサンプルのショア硬度として採用した。
(電気抵抗率の測定)
電気抵抗率測定は四探針法により行いJIS K 7194に準ずる測定を計5回実施し、平均値をサンプルの電気抵抗率として採用した。
(黒鉛の細孔分析)
細孔測定には上記の物性測定に用いた直方体サンプルを粉砕せず、そのまま使用した。0.01〜50μmの範囲における細孔測定には、Micromeritics社製のAutoPore IV 9520を利用し、50μmHgまで室温で10分間減圧した上で水銀圧入法による細孔容積測定を実施した。0.001〜0.1μmの範囲における細孔測定には、Quantachrome社製のAutosorb−iQ3を利用し、減圧下、250℃で5時間保持した後、窒素吸着法による細孔容積測定を行った。
(実施例1)
キノリン不溶分が96重量%である生コークス(以下、「炭素材A」と称することがある。)を粉砕し53〜100μmとした生コークス粉を使用し、この生コークス粉に対して添加剤として53〜100μmに粉砕した二酸化マンガン粉末を、添加量が10重量%となるよう混合した。この混合粉を金型成型して炭素成形体を1300℃まで昇温し2時間熱処理したのち常温まで冷却し、黒鉛化炉にて2800℃まで昇温し30分間熱処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
(実施例2)
実施例1において生コークスをキノリン不溶分が93重量%である生コークス(「炭素材B」と称することがある。)を粉砕し53〜100μmとした生コークス粉とした以外、実施例1と同様の処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
(実施例3)
実施例1において二酸化マンガン粉末の添加量が5重量%となるようにした以外、実施例1と同様の処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
(比較例1)
炭素材Aを粉砕し53〜100μmとした生コークス粉を使用した。この生コークス粉を金型成型して得られた炭素成形体を1300℃まで昇温し2時間熱処理したのち常温まで冷却し、黒鉛化炉にて2800℃まで昇温し30分間熱処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
(比較例2)
実施例1において生コークス粉に対する添加剤を二酸化マンガンの代わりに53〜100μに粉砕した酸化鉄(Fe)粉末を用いた以外、実施例1と同様の処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
(比較例3)
実施例1において生コークス粉に対する添加剤を二酸化マンガンの代わりに53μm以
下に粉砕した硫黄粉末とした以外、実施例1と同様の処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
(比較例4)
比較例1において生コークスをキノリン不溶分が93重量%である生コークス(炭素材B)を粉砕して53〜100μmの生コークス粉とした以外、比較例1と同様の処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
表−1に実施例1〜4及び比較例1〜4の熱膨張率、ショア硬度、電気抵抗及びサンプルの詳細をまとめて示した。
Figure 0006922327
図−1に実施例1及び比較例1〜4の熱膨張率、ショア硬度をそれぞれ比較した。比較
例1、4は原料の生コークスのみを変更したもので、前述のように熱膨張が大きいものではショア硬度が高く、逆に熱膨張が小さいものではショア硬度が低いことが確認された。更に酸化鉄Feを10重量%添加した比較例2及び前記非特許文献1においても用いられている硫黄を10重量%添加した比較例3でも、比較例1と比較すると熱膨張率が低減されているものの、ショア硬度も同様に低下していることが確認された。この様に炭素質の変更や先行技術では熱膨張を抑制するためにはショア硬度が低くなり、これらはトレードオフの関係にあることがわかる。
一方、図−1において、実施例1では比較例1に対して熱膨張率の低減とショア硬度の向上が両立していることが確認できる。この傾向は表−1に示す実施例2及び実施例3と比較例4の比較においても確認され、使用する生コークスが炭素質Aから炭素質Bに変更され、単味としての物性が大きく変わっても(比較例1と比較例4の差異に相当する。)、熱膨張率の低減とショア硬度向上に効果があることがわかる。
実施例1〜3及び比較例1、4を水銀圧入法により細孔測定した結果、ピークトップ径が実施例1、2、3ではそれぞれ0.14μm、0.27μm及び1.12μmとなり、同じ生コークスから得られる黒鉛と比較してMn酸化物を添加しない比較例1、4での0.37μm及び1.45μmに対し、ピークトップ径が小さくなることが確認された。更に0.05ml/g以上の対数微分細孔容積を有する細孔径の分布が実施例1、2、3ではそれぞれ0.005〜0.9μm、0.08〜1μm及び0.1〜2μmとなり、Mn酸化物を添加しない比較例1、4の0.13〜0.66μm及び0.9〜3μmに対し、細孔径分布が小細孔径側にシフトする傾向が確認された。一方で比較例2、3の試料では上記の様な特異的な細孔は確認されず、ピークトップ径も1μm以上と比較的大きな細孔が得られている。この微小サイズの細孔が熱膨張を抑制しつつも硬度を維持した構造の要因であると推定される。
また、窒素吸着法による細孔解析結果から、実施例1〜3では特異的なガス脱吸着挙動を示しており、窒素ガス吸着量測定の相対圧に対するプロットで相対圧P/Pが0.3以上0.7以下となる範囲でガス脱吸着ヒステリシスを生じている。脱吸着ヒステリシスは細孔構造に依存しており、今回の挙動は一般的にはインクボトル型細孔と呼ばれる細孔構造で観察され、細孔内部で一部の孔が狭まった構造をとることがわかる。
本発明の黒鉛は、熱膨張率が低く、かつ成形体硬度が高いことから、特に、冶金、電気、機械、化学、原子力用途等に利用される人造黒鉛として有用である。より具体的には、本発明の黒鉛は、発熱材・坩堝・断熱材、集電体、減摩材、熱交材、原子炉の減速材・遮蔽物等として好ましく用いることができる。

Claims (3)

  1. キノリン不溶分が70〜99重量%である生コークスとマンガン及びマンガン化合物の
    うちの少なくとも一方とを含み、
    前記生コークスと前記マンガン及びマンガン化合物との合計量に対し、マンガン及びマン
    ガン化合物の少なくとも一方を0.01〜30重量%含む混合物。
  2. キノリン不溶分が70〜99重量%である生コークスとマンガン及びマンガン化合物の
    少なくとも一方とを混合し、
    前記生コークスと前記マンガン及びマンガン化合物との合計量に対し、マンガン及びマン
    ガン化合物の少なくとも一方を0.01〜30重量%とし、
    600〜1700℃でのか焼、2000〜3500℃での黒鉛化を経る黒鉛の製造方法。
  3. 前記混合の後、か焼する前に加圧成型を行う、請求項に記載の黒鉛の製造方法。
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