スクアリリウム化合物には、可視光領域の広い範囲で高い光線透過率を示しつつ、赤色〜近赤外領域に吸収ピークを有するものが知られている。そのためスクアリリウム化合物は、このような光吸収特性を利用して、近赤外線カットフィルター、近赤外線吸収フィルム、セキュリティインク等の様々な用途への適用が検討されている。本発明のスクアリリウム化合物はこのような用途への適用に当たり、より選択的に赤色〜近赤外領域の光線をカット(吸収)することを可能とするものであり、具体的には、赤色〜近赤外領域にシャープな吸収ピークを示すとともに、それより可視光領域側(短波長側)で高い光線透過率を示すことを可能とするものである。
本発明のスクアリリウム化合物は、構造的な側面から見たときに、下記式(1)で表されるものが好適に示される。下記式(1)中、R1とR4は互いに連結しており、R2、R3、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素原子、有機基または極性官能基を表し、環Aおよび環Bはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい6員以上の非芳香族炭化水素環または置換基を有していてもよい6員以上の非芳香族複素環を表す。
上記式(1)で表されるスクアリリウム化合物は、吸収スペクトルを測定したときに、最大吸収ピークの短波長側の傾斜部の傾きが急峻なものとなり、透過波長域と吸収波長域との境目をシャープに形成することができる。そのため、最大吸収ピークに対応した波長域の光線を選択的にカットすることが可能となる。また、最大吸収ピークよりも短波長側では、高い光線透過率を示すものとなる。
スクアリリウム化合物には、共鳴関係にある化合物が存在している場合がある。式(1)のスクアリリウム化合物と共鳴関係にある化合物としては、例えば、下記式(1a),(1b)で表される化合物が挙げられる。本発明のスクアリリウム化合物はこれら全ての共鳴関係にある化合物を含むものとし、具体的には、式(1)のスクアリリウム化合物には、下記式(1a),(1b)で表されるような共鳴関係にある化合物が含まれる。
式(1)において、スクアリリウム骨格の一方側と他方側に結合した基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。すなわち、R1、R2、R3および環AはそれぞれR4、R5、R6および環Bと同一または異なっていてもよい。スクアリリウム骨格の一方側と他方側に結合した基が同一の場合は、スクアリリウム化合物の熱や光に対する耐久性の向上が期待できる。スクアリリウム骨格の一方側と他方側に結合した基が互いに異なる場合は、スクアリリウム化合物の分子どうしの会合や凝集が抑制され、溶剤や樹脂に対する溶解性の向上が期待できる。
式(1)のR2、R3、R5およびR6の有機基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールオキシカルボニル基、アリールスルホニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロアリール基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、カルボキシ基(カルボン酸基)、シアノ基等が挙げられる。式(1)のR2、R3、R5およびR6の極性官能基としては、ハロゲノ基、水酸基、ニトロ基、スルホ基(スルホン酸基)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等の脂環式アルキル基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、具体的には、直鎖状または分岐状のアルキル基であれば炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜5であり、脂環式のアルキル基であれば炭素数4〜10が好ましく、5〜8がより好ましい。前記アルキル基は置換基を有していてもよく、アルキル基が有する置換基としては、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基等が挙げられる。ハロゲノ基を有するアルキル基としては、モノハロゲノアルキル基、ジハロゲノアルキル基、トリハロメチル単位を有するアルキル基、パーハロゲノアルキル基等が挙げられる。ハロゲノ基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、イコシルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基の炭素数は、1〜20が好ましく、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜5である。前記アルコキシ基中のアルキル基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。
前記アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基、トリデシルチオ基、テトラデシルチオ基、ペンタデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、ヘプタデシルチオ基、オクタデシルチオ基、ノナデシルチオ基、イコシルチオ基等が挙げられる。アルキルチオ基の炭素数は、1〜20が好ましく、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜5である。前記アルキルチオ基中のアルキル基は、直鎖状であってもよいし分岐状であってもよい。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基等の無置換アルコキシカルボニル基の他、トリフルオロメチルオキシカルボニル基等の置換アルコキシカルボニル基が挙げられる。ここで置換基としては、ハロゲノ基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、より好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは2〜5である。前記アルコキシカルボニル基中のアルキル基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。
前記アルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基等の置換または無置換のアルキルスルホニル基が挙げられる。アルキルスルホニル基の炭素数は、1〜20が好ましく、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜5である。前記アルキルスルホニル基中のアルキル基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。
前記アルキルスルフィニル基としては、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、トリフルオロメチルスルフィニル基等の置換または無置換のアルキルスルフィニル基が挙げられる。アルキルスルフィニル基の炭素数は、1〜20が好ましく、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜5である。前記アルキルスルフィニル基中のアルキル基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、インデニル基、アズレニル基、フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、ペンタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜25が好ましく、より好ましくは6〜15である。前記アリール基は置換基を有していてもよく、アリール基が有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヘテロアリール基、ハロゲノ基、ハロゲノアルキル基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、チオシアネート基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基等が挙げられる。前記アリール基は、ヘテロアリール基と縮環していてもよい。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基等が挙げられる。前記アラルキル基は置換基を有していてもよく、アラルキル基が有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノ基、ハロゲノアルキル基、シアノ基、ニトロ基、チオシアネート基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜25が好ましく、より好ましくは7〜15である。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、ビフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、ピレニルオキシ基、インデニルオキシ基、アズレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、ターフェニルオキシ基、クオーターフェニルオキシ基、ペンタレニルオキシ基、ヘプタレニルオキシ基、ビフェニレニルオキシ基、インダセニルオキシ基、アセナフチレニルオキシ基、フェナレニルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基の炭素数は、6〜25が好ましく、より好ましくは6〜15である。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、ビフェニルチオ基、ナフチルチオ基、アントリルチオ基、フェナントリルチオ基、ピレニルチオ基、インデニルチオ基、アズレニルチオ基、フルオレニルチオ基、ターフェニルチオ基、クオーターフェニルチオ基、ペンタレニルチオ基、ヘプタレニルチオ基、ビフェニレニルチオ基、インダセニルチオ基、アセナフチレニルチオ基、フェナレニルチオ基等が挙げられる。アリールチオ基の炭素数は、6〜25が好ましく、より好ましくは6〜15である。
前記アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基等の置換または無置換のフェニルオキシカルボニル基;1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基等の置換または無置換のナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。アリールオキシカルボニル基の炭素数は、7〜25が好ましく、より好ましくは7〜15である。
前記アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、2−フルオロフェニルスルホニル基、3−メチルフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、3−フルオロフェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等の置換または無置換のフェニルスルホニル基;1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基等の置換または無置換のナフチルスルホニル基等が挙げられる。アリールスルホニル基の炭素数は、6〜25が好ましく、より好ましくは6〜15である。
前記アリールスルフィニル基としては、例えば、フェニルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メトキシフェニルスルフィニル基、2−ブトキシフェニルスルフィニル基、2−フルオロフェニルスルフィニル基、3−メチルフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−メチルフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等の置換または無置換のフェニルスルフィニル基;1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基等の置換または無置換のナフチルスルフィニル基等が挙げられる。アリールスルフィニル基の炭素数は、6〜25が好ましく、より好ましくは6〜15である。
前記ヘテロアリール基としては、例えば、チエニル基、チオピラニル基、イソチオクロメニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラリジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フラニル基、ピラニル基等が挙げられる。ヘテロアリール基の炭素数は、2〜20が好ましく、より好ましくは3〜15である。ヘテロアリール基は置換基を有していてもよく、ヘテロアリール基が有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲノ基、ハロゲノアルキル基、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、チオシアネート基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基等が挙げられる。前記ヘテロアリール基は、アリール基と縮環していてもよい。
前記アミノ基としては、式:−NRa1Ra2で表され、Ra1およびRa2がそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基であるもの等が挙げられる。アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基としては上記に例示した置換基が具体的に挙げられ、アルケニル基とアルキニル基としては、上記に例示したアルキル基の炭素−炭素単結合の一部が二重結合または三重結合に置き換わった置換基が挙げられ、これらの置換基は水素原子の一部がハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、Ra1とRa2は互いに連結して環形成していてもよい。
前記アミド基としては、式:−NHCORa3で表され、Ra3がアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基であるもの等が挙げられる。アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基としては上記に例示した置換基が具体的に挙げられ、水素原子の一部がハロゲン原子によって置換されていてもよい。
前記スルホンアミド基としては、式:−NHSO2Ra4で表され、Ra4がアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基であるもの等が挙げられる。アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基としては上記に例示した置換基が具体的に挙げられ、水素原子の一部がハロゲン原子によって置換されていてもよい。
前記ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられる。
式(1)のスクアリリウム化合物は、R1とR4が互いに連結して、スクアリリウム骨格とその両側に結合したベンゼン環を含む環構造を形成している。このような環構造を形成することにより、スクアリリウム化合物の耐久性が高まる。R1とR4が互いに連結することにより形成される基としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−O−、−CO−、−S−、―SO2−、−NH−、およびこれらの基を組み合わせた連結基等が挙げられる。アルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルキレン基の炭素数は6以上が好ましく、7以上がより好ましく、また16以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。アリーレン基とヘテロアリーレン基の環員数は、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、また10以下が好ましく、8以下がより好ましい。アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基は、水素原子の一部が、例えばアルキル基(アルキレン基の場合を除く)、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲノ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、チオシアネート基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基等によって置換されていてもよく、これらの置換基の詳細は上記の説明が参照される。
式(1)において、R1は下記式(2)で表される基であることが好ましく、R4は下記式(3)で表される基であることが好ましい。
−NH−R7 (2)
−NH−R8 (3)
上記式(2)および式(3)において、式(2)のR7と式(3)のR8は互いに連結している。この場合、式(1)のベンゼン環のR1とR4の位置にアミノ基(−NH−を含む基)が結合することとなり、これによりアミノ基の水素がスクアリリウム骨格の酸素原子と水素結合を形成するため、スクアリリウム化合物が安定的に平面構造をとりやすくなる。
R7とR8が互いに連結することにより形成される連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−O−、−CO−、−S−、―SO2−、−NH−、およびこれらの基を組み合わせた連結基等が挙げられる。R7とR8が互いに連結したスクアリリウム化合物の詳細は、下記に説明する。
式(1)のR2、R3、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基または水酸基であることが好ましく、これらの基の詳細は上記の説明が参照される。このようなスクアリリウム化合物は製造が比較的容易であり、置換基R2、R3、R5およびR6を適宜選択することで、最大吸収波長を所望の波長域に制御したり、溶媒への溶解性を高めることができる。中でも、スクアリリウム化合物の安定性や製造容易性の点から、R2、R3、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基であることが好ましい。この場合のアルキル基は、直鎖状または分岐状であることが好ましく、またその炭素数は1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。
式(1)の環Aと環Bは、6員以上の非芳香族炭化水素環または6員以上の非芳香族複素環であり、これらの炭化水素環または複素環は置換基を有していてもよい。本発明のスクアリリウム化合物は、環Aと環Bが6員以上の非芳香族炭化水素環または非芳香族複素環から構成されるため、それより環員数の少ない炭化水素環や複素環と比べて、吸収スペクトルの最大吸収ピークの短波長側の傾斜部の傾きが急峻なものとなる。
式(1)の環Aと環Bの非芳香族炭化水素環は、環員数が6以上で芳香族性を有しない炭化水素環であれば特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン等のシクロアルカン;シクロヘキセン、シクロヘキサジエン(例えば、1,3−シクロヘキサジエン)、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン等のシクロアルケン等が挙げられる。非芳香族炭化水素環の環員数は6〜12が好ましく、6〜10がより好ましく、6〜8がさらに好ましい。
式(1)の環Aと環Bの非芳香族複素環は、環員数が6以上で芳香族性を有しない複素環であれば特に限定されず、上記に説明したような炭化水素環の環を構成する炭素原子の1個以上が、N(窒素原子)、S(硫黄原子)およびO(酸素原子)から選ばれる少なくとも1種以上の原子に置き換わった環が挙げられる。非芳香族複素環としては、例えば、イミダゾリン環、ピペリジン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロチオピラン環、モルホリン環、ヘキサメチレンイミン環、ヘキサメチレンオキシド環、ヘキサメチレンスルフィド環、ヘプタメチレンイミン環等が挙げられる。非芳香族複素環の環員数は6〜12が好ましく、6〜10がより好ましく、6〜8がさらに好ましい。
環Aと環Bは置換基を有していてもよく、そのような置換基として、上記に説明した有機基や極性官能基が挙げられる。環Aまたは環Bには、2種以上の置換基が結合していてもよい。中でも、環Aと環Bが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲノ基、ハロゲノアルキル基、水酸基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基がより好ましい。この場合のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲノアルキル基の炭素数は1〜8が好ましく、より好ましくは1〜5であり、さらに好ましくは1〜3であり、アリール基の炭素数は6〜12が好ましく、6〜10がより好ましい。なお、環Aと環Bは置換基を有さなくてもよい。
環Aおよび環Bは複素環であることが好ましく、環Aまたは環Bが結合(縮環)するベンゼン環のスクアリリウム骨格の結合位置のパラ位の炭素原子に窒素原子が結合した複素環であることがより好ましい。環Aおよび環Bがこのような複素環から形成されていれば、スクアリリウム化合物の最大吸収ピークが長波長側(例えば690nm前後やそれ以上)にシフトして、赤色領域の光線の透過率を高めて、透過光の色味を実際のものに近付けることができる。また、スクアリリウム化合物の製造が容易になるという効果も得られる。このような環Aと環Bを有するスクアリリウム化合物として、例えば下記式(4)で表される化合物が示される。
式(4)において、R1〜R6は上記に説明した通りである。R10は、環Aを構成する炭素原子に結合する水素原子または置換基を表し、R12は、環Bを構成する炭素原子に結合する水素原子または置換基を表し、maおよびmbは1以上の整数を表す。複数のR10は互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のR12は互いに同一であっても異なっていてもよい。
R9およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、またはハロゲノアルキル基であることであることが好ましく、水素原子またはアルキル基であることがより好ましい。この場合のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。
R10およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲノ基、ハロゲノアルキル基、および水酸基よりなる群から選ばれる基または原子であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、およびアリール基よりなる群から選ばれる基または原子であることがより好ましく、水素原子、アルキル基、およびアルコキシ基よりなる群から選ばれる基または原子であることがさらに好ましい。この場合のアルキル基、アルコキシ基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。
maおよびmbは1〜7の整数であることが好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1〜3の整数がさらに好ましい。
本発明のスクアリリウム化合物は、上記式(1)においてR1とR4が互いに連結した構造を有しており、中でも、下記式(5)で表される化合物が好適に示される。このようなスクアリリウム化合物は、製造が容易になるとともに、安定性に優れるものとなる。
上記式(5)において、R2、R3、R5、R6、環Aおよび環Bは、上記に説明した通りである。X1およびX2はそれぞれ独立して、カルボニル基またはスルホニル基を表す。Yは有機連結基を表し、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基、またはこれらの基が単結合、−O−、−CO−、−S−または−NH−で結合した連結基を表す。アルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルキレン基の炭素数は6以上が好ましく、7以上がより好ましく、また16以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下がさらに好ましい。アリーレン基とヘテロアリーレン基の環員数は、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、また10以下が好ましく、8以下がより好ましい。このようにスクアリリウム骨格の両側のベンゼン環が連結基を介して繋がることで、スクアリリウム化合物の耐久性が格段に向上する。
連結基Yの有していてもよい置換基としては、アルキル基(アルキレン基の場合を除く)、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲノ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、チオシアネート基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、アリール基、ハロゲノ基、および水酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
スクアリリウム化合物の製造容易性の点からは、連結基Yとしては、置換基を有していてもよいアルキレン基が好ましい。また、連結基Yが、置換基を有していてもよい複数のアリーレン基が単結合、−O−、−CO−、−S−または−NH−で結合したものも好ましい。このような連結基Yであれば、例えば後述する式(7−3)で表されるジ(スルホン)アミド化合物をスクアリン酸と反応させる際に、スクアリン酸がジ(スルホン)アミド化合物の両端のベンゼン環と結合して環構造を形成して、式(5)で表されるスクアリリウム化合物を容易に製造することができる。
式(5)のX1およびX2としては、スクアリリウム化合物の製造容易性の点から、カルボニル基であることが好ましい。
式(5)で表されるスクアリリウム化合物はまた、環Aと環Bが含窒素複素環であることが好ましく、下記式(6)で表される化合物が好適に示される。下記式(6)において、R2、R3、R5、R6、R9〜R12、X1、X2、Y、maおよびmbは、上記の説明が参照される。
式(6)で表されるスクアリリウム化合物の好ましい例として、下記式(6−1)および式(6−2)で表される化合物が具体的に挙げられる。下記式(6−1)および式(6−2)において、R2、R3、R5、R6、R9〜R12、maおよびmbは上記の説明が参照され、nは6〜16の整数を表す。
本発明のスクアリリウム化合物は、吸収スペクトルの側面から見て、次の特性を有することが好ましい。すなわち、本発明のスクアリリウム化合物は、クロロホルム中で測定される波長450nm〜1100nmの範囲における吸収スペクトルが、最大吸収ピークの極大波長λmaxにおける吸光度を1としたときに、極大波長λmaxよりも短波長側の吸光度0.5における傾きが0.325×10-2nm-1以上となるものであることが好ましい。このようなスクアリリウム化合物は、吸収スペクトルを測定したときに、最大吸収ピークの短波長側の傾斜部の傾きが急峻なものとなるため、透過波長域と吸収波長域との境目をシャープに形成することができる。そのため、最大吸収ピークに対応した波長域の光線を選択的にカットすることが可能となり、例えば、近赤外領域の光線を選択的にカットしつつ、それより短波長側の可視光領域の光線を赤色光も含めて高い透過率で透過させることが可能となり、透過光の色味を実際のものに近付けることができる。
吸収スペクトルは、波長450nm〜1100nmの範囲で測定ピッチ1nmごとに吸光度を測定することにより求める。測定ピッチ(1nm)未満における波長の吸光度の値は、1nmピッチの吸光度の測定値から線形補間することにより算出する。クロロホルム中のスクアリリウム化合物の濃度は、波長450nm〜1100nmの範囲で吸光度の最大値(最大吸収ピークにおける吸光度の最大値)が1±0.003となるように調整する。本発明では、このような条件で吸収スペクトルを測定したときに、最大吸収ピークの吸収波長λmaxにおける吸光度が1になるものと見なす。以下の様々な吸収スペクトル特性も、これと同条件で測定した吸収スペクトルに基づき規定される。
極大波長λmaxよりも短波長側の吸光度0.5における傾きS0.5は、λmaxよりも短波長側で吸光度が0.55となる波長をλ0.55、吸光度が0.45となる波長をλ0.45としたときに、式:S0.5=(0.55−0.45)/(λ0.55−λ0.45)により求める。吸光度が0.55となる波長λ0.55、吸光度が0.45となる波長λ0.45は、1nmピッチの吸光度の測定値から線形補間することにより求める。なお、λ0.55は、λmaxよりも短波長側で吸光度が0.55となるλmaxに最も近い波長を意味し、λ0.45は、λmaxよりも短波長側で吸光度が0.45となるλmaxに最も近い波長を意味する。
吸光度0.5における傾きS0.5は、3.25×10-2nm-1以上であり、好ましくは3.30×10-2nm-1以上、より好ましくは3.35×10-2nm-1以上である。傾きS0.5の上限は特に限定されないが、例えば5.00×10-2nm-1以下であってもよく、4.00×10-2nm-1以下であってもよく、3.75×10-2nm-1以下であってもよい。
最大吸収ピークは、吸収極大λmaxよりも短波長側でショルダーピークができるだけ観測されないことが好ましい。具体的には、吸収スペクトルは、最大吸収ピークの極大波長λmaxから短波長側100nmの範囲において、吸光度が0.05以上増加する吸収極大が存在しないことが好ましい。すなわち、1nmピッチで測定した吸収スペクトルにおいて、λmax−100(nm)からλmax(nm)の波長範囲で吸収極大が存在しないか、吸収極大が存在する場合でも、それより長波長側および短波長側と比べて吸光度の増加が0.05未満に収まることが好ましい。これにより、透過波長域と吸収波長域との境目をシャープに形成することができる。ショルダーピークにおける吸光度の増加は0.03未満であることがより好ましく、0.01未満がより好ましく、ショルダーピークの吸収極大が存在しないことが特に好ましい。
同様の観点から、最大吸収ピークは、極大波長λmaxよりも短波長側の吸光度0.2における傾きS0.2が1.00×10-2nm-1以上であり、かつ吸光度0.2〜0.5の間で傾きが単調減少することが好ましい。傾きS0.2は、より好ましくは1.10×10-2nm-1以上であり、さらに好ましくは1.15×10-2nm-1以上である。傾きS0.2は、λmaxよりも短波長側で吸光度が0.22となる波長をλ0.22、吸光度が0.18となる波長をλ0.18としたときに、式:S0.2=(0.22−0.18)/(λ0.22−λ0.18)により求める。吸光度が0.22となる波長λ0.22、吸光度が0.18となる波長λ0.18は、1nmピッチの吸光度の測定値から線形補間することにより求める。なお、λ0.22は、λmaxよりも短波長側で吸光度が0.22となるλmaxに最も近い波長を意味し、λ0.18は、λmaxよりも短波長側で吸光度が0.18となるλmaxに最も近い波長を意味する。
最大吸収ピークの極大波長λmaxは、650nm以上であることが好ましく、660nm以上がより好ましく、670nm以上がさらに好ましく、また950nm以下が好ましく、900nm以下がより好ましく、850nm以下がさらに好ましく、800nm以下がさらにより好ましい。
本発明のスクアリリウム化合物は、波長450nm〜600nmの範囲の平均吸光度が0.03以下であることが好ましく、0.02以下がより好ましく、0.01以下がさらに好ましく、これにより可視光領域における光線透過率を高めることができる。波長450nm〜600nmの範囲の平均吸光度は、波長450nm〜600nmの範囲で1nmピッチで測定した151点の吸光度の値を平均することにより求める。
本発明のスクアリリウム化合物は、下記式(7−1)の化合物のR1と下記式(7−2)の化合物のR4とが連結した化合物をスクアリン酸と反応させることにより製造することができる。下記式(7−1)および式(7−2)中、R1〜R6、環Aおよび環Bは、上記の式(1)における意味と同じであり、その好適態様も上記に説明した通りである。式(7−1)の化合物と式(7−2)の化合物は同一であってもよい。
スクアリン酸との反応性を高める観点からは、式(7−1)の化合物のR1と式(7−2)の化合物のR4とが連結した化合物は、下記式(7−3)で表されるジ(スルホン)アミド化合物であることが好ましい。下記式(7−3)中、R2、R3、R5、R6、X1、X2、Y、環Aおよび環Bは、上記の式(5)における意味と同じであり、その好適態様も上記に説明した通りである。
スクアリン酸と上記化合物との反応は、溶媒存在下で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロトルエン、ジクロロベンゼン等の塩素系芳香族類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;等が挙げられる。これらの溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スクアリン酸との反応において、反応温度は適宜設定すればよく、例えば30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましく、また170℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。当該反応は還流下で行うことが好ましい。反応時間は特に限定されず、反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、また48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましい。反応時の雰囲気は、不活性ガス(窒素、アルゴン等)雰囲気とすることが好ましい。
スクアリリウム化合物の製造は、次の論文を参照することもできる:Serguei Miltsov et al.,“New Cyanine Dyes:Norindosquarocyanines”, Tetrahedron Letters, Vol.40, Issue 21, p.4067-4068 (1999)。
得られたスクアリリウム化合物は、必要に応じて、ろ過、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィー、昇華、再結晶、晶析など公知の精製手段によって適宜精製することができる。スクアリリウム化合物の化学構造は、質量分析法、単結晶X線構造解析法、フーリエ変換赤外分光法、核磁気共鳴分光法などの公知の分析方法により解析することができる。
本発明のスクアリリウム化合物は、樹脂成分と混合して、樹脂組成物とすることができる。本発明の樹脂組成物は、例えばフィルム等の樹脂成形体とすることで、光学フィルターに好適に適用することができる。樹脂成形体はまた、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、可視光および近赤外光を利用した太陽電池用材料、プラズマディスプレイパネル(PDP)やCCD用の特定波長吸収フィルター等への適用も可能である。
樹脂組成物は、本発明のスクアリリウム化合物と樹脂成分を少なくとも含むものである。樹脂組成物に含まれるスクアリリウム化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明のスクアリリウム化合物は一種の色素と見なすことができるが、本発明の樹脂組成物は、用途に応じた所望の性能が確保される限り、本発明のスクアリリウム化合物とともに他の色素を含有していてもよい。樹脂組成物に含まれていてもよい色素としては、例えば、本発明のスクアリリウム化合物以外のスクアリリウム系色素、クロコニウム系色素、中心金属イオンとして銅(例えば、Cu(II))や亜鉛(例えば、Zn(II))等を有していてもよい環状テトラピロール系色素(ポルフィリン類、クロリン類、フタロシアニン類、コリン類等)、シアニン系色素、クアテリレン系色素、ナフタロシアニン系色素、ニッケル錯体系色素、銅イオン系色素、ジインモニウム系色素、サブフタロシアニン系色素、キサンテン系色素、アゾ系色素、ジピロメテン系色素等が挙げられる。これら他の色素は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。中でも、本発明のスクアリリウム化合物と特開2016−74649号公報に開示されるスクアリリウム化合物(下記式(8)で表されるスクアリリウム化合物)とを組み合わせて用いることが好ましく、これにより近赤外領域に広い吸収波長域を有し、かつこれより短波長側では可視光領域の広い範囲で高い透過率を示す樹脂組成物を形成することが容易になる。
上記式(8)中、R21およびR22はそれぞれ独立して、下記式(9)で表される基を表し、下記式(9)中、環Pは、4〜9員の不飽和炭化水素環を表し、環Qは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族複素環、またはこれらの環構造を含む縮合環を表し、R23は、水素原子、有機基または極性官能基を表し、R24は、有機基または極性官能基を表し、*は式(8)中の4員環(スクアリリウム骨格)との結合部位を表し、kは0〜6の整数であり、かつh以下(ただし、hは環Pの構成員数から3を引いた値である)であり、kが2以上である場合、複数のR24は同一であっても異なっていてもよい。
R23とR24の有機基と極性官能基の詳細は、R2、R3、R5およびR6の有機基と極性官能基の説明が参照される。R23としては、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アリール基が好ましく、アルキル基またはアリール基がより好ましい。この場合、アルキル基の炭素数は、直鎖状または分岐状のアルキル基であれば1〜6が好ましく、より好ましくは1〜4であり、脂環式のアルキル基であれば4〜7が好ましく、より好ましくは5〜6である。アリール基の炭素数は6〜10が好ましく、より好ましくは6〜8である。R23がアルキル基またはアリール基である場合、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が好ましく挙げられる。R24としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲノ基、アリール基、アルコキシカルボニル基(エステル基)、アミド基、スルホンアミド基、水酸基が好ましく、アルキル基または水酸基がより好ましく、当該アルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましく挙げられる。なお、環Pは置換基R24を有しないことも好ましく、すなわちkが0であることも好ましい。
環Pの構造としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロヘプタトリエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロノネン、シクロノナジエン、シクロノナトリエン、シクロノナテトラエン等のシクロアルケン構造が挙げられる。中でも、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のシクロアルカンモノエンが好ましく、シクロヘキセン、シクロヘプテン、またはシクロオクテンがより好ましい。
環Qの芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、フルオランテン環、シクロテトラデカヘプタエン環等が挙げられる。芳香族炭化水素環は、環構造を1個のみ有するものであってもよく、2個以上の環構造が縮合したものであってもよい。環Qの芳香族複素環は、N(窒素原子)、O(酸素原子)およびS(硫黄原子)から選ばれる1種以上の原子を環構造に含み、芳香族性を有するものであり、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、プリン環、プテリジン環等が挙げられる。芳香族複素環は、環構造を1個のみ有するものであってもよく、2個以上の環構造が縮合したものであってもよい。環Qのこれらの環構造を含む縮合環は、芳香族炭化水素環と芳香族複素環とが縮環した構造を有するものであり、例えば、インドール環、イソインドール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、ベンゾピラン環、アクリジン環、キサンテン環、カルバゾール環等が挙げられる。
環Qは置換基を有していてもよく、当該置換基としては上記に説明した有機基や極性官能基が挙げられる。中でも、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルキル基)、アリール基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜2のアルキルチオ基)、ヘテロアリール基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、水酸基、チオール基、ベンゾチアゾール基、インドリニル基等の電子供与性基;ハロゲノ基(好ましくは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基)、ハロゲノアルキル基(好ましくは炭素数1〜3のパーハロゲノアルキル基)、シアノ基、アルコキシカルボニル基(エステル基)、カルボキシ基(カルボン酸基)、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、スルホ基(スルホン酸基)、ニトロ基等の電子吸引性基が好ましく挙げられる。これらの中でも、電子吸引性基がより好ましく、ハロゲノ基が特に好ましい。なお、環Qは置換基を有さなくてもよい。環Qが置換基を有する場合、その数は1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、さらに好ましくは1である。
式(8)で表されるスクアリリウム化合物の具体例としては、特開2016−74649号公報の実施例に記載のスクアリリウム化合物01〜スクアリリウム化合物30が挙げられ、これらの中でも、スクアリリウム化合物01、07〜11、13、15、17〜22、28、29が好ましく、スクアリリウム化合物17〜21がより好ましく、スクアリリウム化合物17、18が特に好ましい。すなわち、環Pは、シクロヘキセン環またはシクロオクテン環であることが好ましく、シクロオクテン環がより好ましく、環Qは、置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよいナフタレン環であることが好ましい。式(8)で表されるスクアリリウム化合物の詳細は、特開2016−74649号公報の記載が参照される。
本発明のスクアリリウム化合物と上記式(8)のスクアリリウム化合物とを組み合わせて用いる場合、本発明のスクアリリウム化合物の含有量は、本発明のスクアリリウム化合物と上記式(8)のスクアリリウム化合物との合計100質量%に対し、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、また80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。
樹脂組成物が、本発明のスクアリリウム化合物と上記式(8)のスクアリリウム化合物以外の他の色素をも含有する場合、他の色素の含有量は、本発明のスクアリリウム化合物100質量部に対し、100質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、他の色素を実質的に含まないことが特に好ましい。
樹脂組成物中の本発明のスクアリリウム化合物の含有量は、所望の性能を発現させる点から、樹脂組成物の固形分100質量%中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。また、樹脂組成物の成形性や成膜性等を高める点から、樹脂組成物中の本発明のスクアリリウム化合物の含有量は、樹脂組成物の固形分100質量%中、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。樹脂組成物が本発明のスクアリリウム化合物以外の色素も含有する場合は、これらの合計含有量が上記範囲にあることが好ましい。
樹脂組成物に含まれる樹脂成分は、公知の樹脂を用いることができる。樹脂成分としては、透明性が高く、本発明のスクアリリウム化合物を溶解または分散できるものが好ましい。他の色素を併用する場合は、樹脂成分は、他の色素も溶解または分散できるものが好ましい。このような樹脂成分を選択することにより、透過させたい波長域における高透過率と、遮断したい波長域における高吸収性を両立させることができる。
樹脂成分としては、重合が完結した樹脂のみならず、樹脂原料(樹脂の前駆体、当該前駆体の原料、樹脂を構成する単量体等を含む)であって、樹脂組成物を成形する際に重合反応または架橋反応して樹脂に組み込まれるものも用いることができる。本発明においては、いずれの樹脂も樹脂成分に含まれる。なお後者の場合は、重合反応で得られた反応液中に存在する、未反応物、反応性末端官能基、イオン性基、触媒、酸・塩基性基等により、スクアリリウム化合物の構造の一部または全部が分解してしまうこともあり得る。従って、そのような懸念がある場合には、重合が完結した樹脂にスクアリリウム化合物を配合して、樹脂組成物を形成することが望ましい。
樹脂成分としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリルウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂)、シクロオレフィン系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリアリレート樹脂等)、ポリスルホン樹脂、ブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂(例えば、(メタ)アクリルシリコーン系樹脂、アルキルポリシロキサン系樹脂、シリコーンウレタン樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンアクリル樹脂等)、フッ素系樹脂(例えば、フッ素化芳香族ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、フッ素化ポリアリールエーテルケトン(FPEK)、フッ素化ポリイミド(FPI)、フッ素化ポリアミド酸(FPAA)、フッ素化ポリエーテルニトリル(FPEN)等)等が挙げられる。これらの中でも、透明性や耐熱性に優れる観点から、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フッ素化芳香族ポリマーが好ましい。
ポリイミド樹脂は、主鎖の繰り返し単位にイミド結合を含む重合体であり、例えば、テトラカルボン酸2無水物とジアミンとを縮重合させてポリアミド酸を得て、これを脱水・環化(イミド化)させることにより製造することができる。ポリイミド樹脂としては、芳香族環がイミド結合で連結された芳香族ポリイミドを用いることが好ましい。ポリイミド樹脂は、例えば、デュポン社製のカプトン(登録商標)、三井化学社製のオーラム(登録商標)、サンゴバン社製のメルディン(登録商標)、東レプラスチック精工社製のTPS(登録商標)TI3000シリーズ等を用いることができる。
ポリアミドイミド樹脂は、主鎖の繰り返し単位にアミド結合とイミド結合を含む重合体である。ポリアミドイミド樹脂は、例えば、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のトーロン(登録商標)、東洋紡社製のバイロマックス(登録商標)、東レプラスチック精工社製のTPS(登録商標)TI5000シリーズ等を用いることができる。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸またはその誘導体由来の繰り返し単位を有する重合体であり、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂等の(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位を有する樹脂が好ましく用いられる。(メタ)アクリル系樹脂は主鎖に環構造を有するものも好ましく、例えば、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、無水マレイン酸構造、マレイミド環構造等のカルボニル基含有環構造;オキセタン環構造、アゼチジン環構造、テトラヒドロフラン環構造、ピロリジン環構造、テトラヒドロピラン環構造、ピペリジン環構造等のカルボニル基非含有環構造が挙げられる。なお、カルボニル基含有環構造には、イミド基などのカルボニル基誘導体基を含有する構造も含む。カルボニル基含有環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、特開2004−168882号公報、特開2008−179677号公報、国際公開第2005/54311号、特開2007−31537号公報等に記載されたものを用いることができる。
シクロオレフィン系樹脂は、モノマー成分の少なくとも一部としてシクロオレフィンを用い、これを重合して得られる重合体であり、主鎖の一部に脂環構造を有するものであれば特に限定されない。シクロオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプラスチック社製のトパス(登録商標)、三井化学社製のアペル(登録商標)、日本ゼオン社製のゼオネックス(登録商標)およびゼオノア(登録商標)、JSR社製のアートン(登録商標)等を用いることができる。
エポキシ樹脂は、エポキシ化合物(プレポリマー)を硬化剤や硬化触媒の存在下で架橋化することで硬化させることができる樹脂である。エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、水添エポキシ化合物等が挙げられ、例えば、大阪ガスケミカル社製のフルオレンエポキシ(オグソール(登録商標)PG−100)、三菱化学社製のビスフェノールA型エポキシ化合物(JER(登録商標)828EL)や水添ビスフェノールA型エポキシ化合物(JER(登録商標)YX8000)、ダイセル社製の脂環式液状エポキシ化合物(セロキサイド(登録商標)2021P)等を用いることができる。
ポリエステル樹脂は、主鎖の繰り返し単位にエステル結合を含む重合体であり、例えば、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)とを縮重合させることにより得ることができる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、例えば、帝人社製のTRNシリーズ、テオネックス(登録商標)、デュポン社製のライナイト(登録商標)、三菱化学社製のノバペックス(登録商標)、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のノバデュラン(登録商標)、東レ社製のルミラー(登録商標)、トレコン(登録商標)等を用いることができる。
ポリアリレート樹脂は、2価フェノール化合物と2塩基酸(例えば、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸)とを重縮合して得られる重合体であり、主鎖の繰り返し単位に芳香族環とエステル結合とを含む繰り返し単位を有する。ポリアリレート樹脂は、例えば、クラレ社製のベクトラン(登録商標)、ユニチカ社製のUポリマー(登録商標)やユニファイナー(登録商標)等を用いることができる。
ポリアミド樹脂は、主鎖の繰り返し単位にアミド結合を含む重合体であり、例えば、ジアミンとジカルボン酸とを縮重合させることにより得ることができる。ポリアミド樹脂は主鎖に脂肪族骨格を有するものであってもよく、このようなアミド樹脂として、例えばナイロンを用いることができる。ポリアミド樹脂は芳香族骨格を有するものであってもよく、このようなポリアミド樹脂としてアラミド樹脂が知られている。アラミド樹脂は、耐熱性に優れ、強い機械強度を有する点から好ましく用いられ、例えば、帝人社製のトワロン(登録商標)、コーネックス(登録商標)、デュポン社製のケブラー(登録商標)、ノーメックス(登録商標)等を用いることができる。
ポリカーボネート樹脂は、主鎖の繰り返し単位にカーボネート基(−O−(C=O)−O−)を含む重合体である。ポリカーボネート樹脂としては、帝人社製のパンライト(登録商標)、三菱エンジニアリングプラスチック社製のユーピロン(登録商標)、ノバレックス(登録商標)、ザンター(登録商標)、住化スタイロンポリカーボネート社製のSDポリカ(登録商標)等を用いることができる。
ポリスルホン樹脂は、芳香族環とスルホニル基(−SO2−)と酸素原子とを含む繰り返し単位を有する重合体である。ポリスルホン樹脂は、例えば、住友化学社製のスミカエクセル(登録商標)PES3600PやPES4100P、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製のUDEL(登録商標)P−1700等を用いることができる。
フッ素化芳香族ポリマーは、1以上のフッ素原子を有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合よりなる群から選ばれる少なくとも1つの結合とを含む繰り返し単位を有する重合体であり、これらの中でも、1以上のフッ素原子を有する芳香族環とエーテル結合とを含む繰り返し単位を必須的に含む重合体であることが好ましい。フッ素化芳香族ポリマーは、例えば、特開2008−181121号公報に記載されたものを用いることができる。
樹脂成分は透明性が高いことが好ましく、これにより樹脂組成物を光学用途に好適に適用しやすくなる。樹脂成分は、例えば、厚さ0.1mmでの全光線透過率が75%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましい。樹脂成分の前記全光線透過率の上限は特に限定されず、全光線透過率は100%以下であればよいが、例えば95%以下であってもよい。全光線透過率は、JIS K 7105に基づき測定する。
樹脂成分はガラス転移温度(Tg)が高いことが好ましく、これにより、樹脂組成物やこれから得られる各種成形体の耐熱性を高めることができる。樹脂成分のガラス転移温度は、例えば、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。樹脂成分のガラス転移温度の上限は特に限定されないが、樹脂組成物の成形加工性を確保する点から、例えば380℃以下が好ましい。
樹脂組成物は、射出成形や押出成形等の成形に用いることのできる熱可塑性樹脂組成物であってもよく、スピンコート法、溶媒キャスト法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等により塗工できるよう塗料化された樹脂組成物であってもよい。
樹脂組成物が熱可塑性樹脂組成物である場合は、当該樹脂組成物を、射出成形、押出成形、真空成形、圧縮成形、ブロー成形等をすることにより成形品を得ることができる。この方法では、樹脂成分として熱可塑性樹脂を用い、当該熱可塑性樹脂にスクアリリウム化合物を配合し、加熱成形することにより成形品が得られる。例えば、ベース樹脂の粉体またはペレットにスクアリリウム化合物を添加し、150℃〜350℃程度に加熱し、溶解させた後、成形するとよい。成形品の形状は特に限定されるものではないが、板状、シート状、粒状、粉状、塊状、粒子凝集体状、球状、楕円球状、立方体状、柱状、棒状、錐形状、筒状、針状、繊維状、中空糸状、多孔質状等が挙げられる。また樹脂を混練する際に、紫外線吸収剤、可塑剤等、通常の樹脂成形に用いる添加剤を加えてもよい。
樹脂組成物が塗料化された樹脂組成物である場合は、スクアリリウム化合物を含む液状またはペースト状の樹脂組成物を、基板(例えば、樹脂板、フィルム、ガラス板等)上に塗工することで、厚さ200μm以下のフィルムや、厚さ200μm超の板状物等の面状成形体を形成することができる。
樹脂組成物は、溶媒を含有するものであってもよく、例えば、樹脂組成物が塗料化された樹脂組成物である場合は、溶媒を含むことにより樹脂組成物の塗工が容易になる。塗料化された樹脂組成物は、例えば、スクアリリウム化合物を樹脂成分を含む溶媒に溶解させたり、スクアリリウム化合物を樹脂成分を含む溶媒(分散媒)に分散させることにより得ることができる。溶媒は、スクアリリウム化合物の溶媒(溶剤)として機能するものであっても、分散媒として機能するものであってもよい。溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;PGMEA(2−アセトキシ−1−メトキシプロパン)、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体類(エーテル化合物、エステル化合物、エーテルエステル化合物等);N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;N−メチル−ピロリドン(具体的には、1−メチル−2−ピロリドン等)等のピロリドン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;等が挙げられる。これらの溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒の含有量としては、樹脂組成物100質量%中、例えば50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、また100質量%未満が好ましく、95質量%以下がより好ましい。溶媒の含有量をこのような範囲内に調整することにより、スクアリリウム化合物濃度の高い樹脂組成物を得ることが容易になる。
なお、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等は、スクアリリウム化合物を分解するおそれがあるため、使用量は少ない方が好ましい。そのためアミド類の含有量は、樹脂組成物100質量%中、60質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がさらにより好ましく、0質量%が特に好ましい(すなわち、アミド類を含まない)。
樹脂組成物は、例えば、350nm〜400nmの波長域に吸収能を有する化合物(紫外線吸収剤)を含んでいてもよい。これらの化合物の存在により、350nm〜400nm波長域の光に起因する樹脂組成物の劣化を抑制することができる。350nm〜400nmの波長域に吸収能を有する化合物を併用する場合、350nm〜400nmの波長域に吸収能を有する化合物としては、例えば、BASF社製のTINUVIN(登録商標)シリーズ、三共化成社製のジスライザー(登録商標)シリーズ、アデカ社製のアデカスタブ(登録商標)シリーズ、住友化学社製のスミソーブ(登録商標)シリーズ、共同薬品社製のバイオソーブ(登録商標)シリーズ、シプロ化成社製のシーソーブ(登録商標)シリーズ等を用いることができる。
樹脂組成物は表面調整剤を含んでいてもよく、これにより、樹脂組成物を硬化して樹脂層を形成した際に、樹脂層にストライエーションや凹み等の外観上の欠陥を生じることを抑制することができる。表面調整剤の種類は特に限定されず、シロキサン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アクリル系レベリング剤などを用いることができる。表面調整剤としては、例えば、ビックケミー社製のBYK(登録商標)シリーズや信越化学工業社製のKFシリーズ等を用いることができる。
樹脂組成物は分散剤を含んでいてもよく、これにより、樹脂組成物中でのオキソカーボン系化合物の分散性を安定化し、再凝集を抑制することができる。分散剤の種類は特に限定されず、エフカアディティブズ社製のEFKAシリーズ、ビックケミー社製のBYK(登録商標)シリーズ、日本ルーブリゾール社製のソルスパース(登録商標)シリーズ、楠本化成社製のディスパロン(登録商標)シリーズ、味の素ファインテクノ社製のアジスパー(登録商標)シリーズ、信越化学工業社製のKPシリーズ、共栄社化学社製のポリフローシリーズ、ディーアイシー社製のメガファック(登録商標)シリーズ、サンノプコ社製のディスパーエイドシリーズ等を用いることができる。
樹脂組成物には、必要に応じて、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、比抵抗調整剤、密着性向上剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
本発明の樹脂組成物は、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品、電気・電子部品等の様々な用途で用いられるフィルター形成用の樹脂組成物として好ましく使用できる。本発明の樹脂組成物は、例えば、近赤外線カットフィルター等の光学フィルターに好適に適用することができる。このようなフィルターは、単一または複数の樹脂層から形成されてもよく、支持体と一体化されて形成されてもよい。
支持体と一体化されたフィルターは、例えば、樹脂組成物を、支持体表面(または、支持体と樹脂層との間にバインダー層等の他の層を有する場合は、当該他の層の表面)にスピンコート法や溶媒キャスト法により塗布し、乾燥または硬化することにより形成することができる。また、支持体に対して、樹脂組成物から形成された面状成形体を熱圧着することによりフィルターを形成してもよい。
樹脂組成物から形成された樹脂層は、支持体の一方面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。樹脂層の厚さは特に限定されないが、所望の近赤外線カット性能を確保する点から、例えば0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましく、また1mm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましい。支持体上に塗料化された樹脂組成物を塗工するなどして樹脂層を形成する場合は、支持体によってフィルターの強度を確保することができるため、樹脂層の厚さをさらに薄くすることができる。支持体上に樹脂層を形成する場合の樹脂層の厚さは、例えば、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。
支持体としては、樹脂板、樹脂フィルム、ガラス板等の透明基板を用いることが好ましい。支持体に用いられる樹脂板または樹脂フィルムは、例えば、上記に説明した樹脂成分から形成されたものが好ましく用いられる。光学フィルターの耐熱性を高める観点からは、支持体としてガラス基板を用いることが好ましく、このように形成された光学フィルターは、例えば、半田リフローにより電子部品に実装することが可能となる。またガラス基板は、高温にさらされても割れや反りが起こりにくいため、樹脂層との密着性を確保しやすくなる。支持体としてガラス基板を用いる場合は、支持体と樹脂層の間に、例えばシランカップリング剤から形成されたバインダー層を設けてもよく、これにより樹脂層とガラス基板との密着性を高めることができる。なお、樹脂層を形成する樹脂組成物に、密着性向上剤としてシランカップリング剤を含めるようにしても、樹脂層とガラス基板との密着性を高めることができる。
支持体(基板)の厚みは、例えば、強度を確保する点から、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、また薄型化の点から、0.4mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましい。
樹脂組成物から形成された樹脂層には、第2の樹脂層として、当該樹脂層と同一または異なる樹脂から構成された保護層を積層させてもよい。保護層を設けることにより、樹脂層に含まれるスクアリリウム化合物の耐久性(耐分解性)を高めることができる。保護層は、樹脂層の一方面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。樹脂層が支持体上に設けられる場合は、保護層は、樹脂層の支持体とは反対側の面に設けられることが好ましい。
本発明の樹脂組成物から光学フィルターを形成する場合、光学フィルターは、蛍光灯等の映り込みを低減する反射防止性や防眩性を有する層(反射防止膜)、傷付き防止性能を有する層、その他の機能を有する透明基材等を有していてもよい。
光学フィルターは、樹脂層上に近赤外線反射膜(例えば、700nm〜800nmの波長域の反射膜)を有していてもよい。近赤外線反射膜は、樹脂層よりも入光側に設けられていることが好ましい。光学フィルターに近赤外線反射膜が設けられていれば、光学フィルターの透過光から近赤外線をよりカットすることができる。なお、近赤外線反射膜は、紫外線反射機能を兼ね備えるものであってもよい。
近赤外線反射膜や反射防止膜(可視光反射防止膜)は、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜から構成することができる。従って、このような機能を光学フィルターに付与する場合は、光学フィルターは誘電体多層膜を有することが好ましい。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.7〜2.5の材料が選択される。高屈折率材料層を構成する材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化錫、酸化ビスマス等の酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;前記酸化物や前記窒化物の混合物やそれらにアルミニウムや銅等の金属や炭素をドープしたもの(例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO))等が挙げられる。低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常1.2〜1.6の材料が選択される。低屈折率材料層を構成する材料としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等が挙げられる。
光学フィルターはまた、アルミ蒸着膜、貴金属薄膜、酸化インジウムを主成分とし酸化スズを少量含有させた金属酸化物微粒子を分散させた樹脂膜等を有していてもよい。
光学フィルターの厚みは、例えば、1mm以下であることが好ましい。これにより、例えば、撮像素子の小型化への要請に十分に応えることができる。光学フィルターの厚みは、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは300μm以下、さらにより好ましくは150μm以下であり、また30μm以上が好ましく、50μm以上がさらに好ましい。
光学フィルターは、イメージセンサー(撮像素子)、照度センサー、近接センサー等のセンサーの構成部材の一つとして用いることができる。例えばイメージセンサーは、被写体の光を電気信号等に変換して出力する電子部品として用いられ、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等が挙げられる。イメージセンサーは、携帯電話用カメラ、デジタルカメラ、車載用カメラ、監視カメラ、表示素子(LED等)等に用いることができる。センサーは、上記の光学フィルターを1または2以上含み、必要に応じて、さらに他のフィルター(例えば、可視光線カットフィルター、赤外線カットフィルター、紫外線カットフィルター等)やレンズを有していてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(1)化合物の合成
(1−1)スクアリリウム化合物Aの合成
300mLの4口フラスコに、ジメチルホルムアミド46g、炭酸カリウム13g、7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン3.92g(0.022mol)、ヨードメタン10gを仕込み、窒素流通下(10mL/min)、撹拌羽を用いて撹拌しながら40℃で4時間反応させた。反応終了後、水酸化カリウム水溶液300mLと酢酸エチル300mLの入ったビーカーに、得られた反応液を撹拌させながら加えた。水溶液はアルカリ性を示していた。しばらく撹拌した後、分液ロートにて有機相を抽出し、抽出した有機相に硫酸マグネシウム(無水)を加えて脱水した。この有機相から固形物(無機分)をろ別した後、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。その後、適宜シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用い、また濃縮および真空乾燥を行うことにより中間体A1を3.02g得た。原料の7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンに対する収率は71.4mol%であった。
次いで、30mLの2口フラスコに、上記で得られた中間体A1を1.40g(0.0073mol)、濃塩酸(塩酸濃度36重量%)を6.0g入れ、窒素流通下(5mL/min)、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、塩化スズ・2水和物5.5gを濃塩酸(塩酸濃度36重量%)5.5gに溶かした溶液を、反応熱に注意しながら少しずつ添加した。添加後、3時間ほど室温にて撹拌した。その後、純水100gと酢酸エチル100gの入ったビーカーに、得られた反応液を撹拌させながら加えた。そこに水酸化カリウム溶液を少しずつ添加し、水溶液のpHが10付近になったところでしばらく撹拌した後、分液ロートにて有機相を抽出し、抽出した有機相に硫酸マグネシウム(無水)を加えて脱水した。この有機相から固形物(無機分)をろ別した後、エバポレーターを用いて溶媒を濃縮後、適宜シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)を用い、また濃縮および真空乾燥を行うことにより、中間体A2を0.8g得た。中間体A1に対する収率は67.7mol%であった。
次いで、100mLの3口フラスコに、中間体A2を0.84g(0.0052mol)、超脱水クロロホルムを80g入れ、窒素流通下(5mL/min)、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、トリエチルアミン1.58g(0.0156mol)とドデカンジオイルジクロリド0.69g(0.0026mol)を加え、室温にて12時間反応させた。反応終了後、得られた反応液をイオン交換水に加えて酢酸エチルで抽出を行った。得られた有機相をエバポレーターで濃縮し、濃縮液をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)によって精製を行い、中間体A3を0.40g得た。中間体A2に対する収率は47.4%であった。
次いで、30mLの2口フラスコに、中間体A3を0.26g(0.0005mol)、スクアリン酸0.057g(0.0005mmol)、1−ブタノール5g、トルエン5gを入れ、窒素流通下(5mL/min)、マグネチックスターラーを用いて撹拌し、かつディーンスターク装置を用いて溶出してくる水を取り除きながら、還流条件にて3時間反応させた。反応終了後室温まで冷却し、析出物をろ別した。ろ別した析出物をメタノールで洗浄し、再び析出物のみをろ過して、得られたケーキ(固形物)をアルミナによるカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)によって精製を行った。得られた精製物を真空乾燥機を用いて60℃で12時間乾燥し、目的物であるスクアリリウム化合物Aを0.01g得た。スクアリン酸に対する収率は3.34mol%であった。
(1−2)スクアリリウム化合物B,Cの合成
上記のスクアリリウム化合物Aの合成例に準じて、表1に示すスクアリリウム化合物Bを合成し、特開平1−228960号公報に記載の方法に準じて、表1に示すスクアリリウム化合物Cを合成した。
(2)評価
分光光度計(島津製作所社製「UV−1800」)を用いて、スクアリリウム化合物A〜Cのそれぞれの吸光度スペクトルを測定ピッチ1nmで測定し、波長300nm〜1100nmの範囲における吸光度を求めた。吸光度測定はスクアリリウム化合物をクロロホルムに溶解した状態で行い、ベースラインとしてクロロホルム溶液を使用した。また最大吸収波長における吸光度が1±0.003になるように、クロロホルム溶液中のスクアリリウム化合物の濃度を調整した。このように測定した各スクアリリウム化合物の吸収スペクトルについて、最大吸収ピークの極大波長λmax、極大波長λmaxよりも短波長側の吸光度0.5における傾きS0.5、波長450nm〜600nmの範囲の平均吸光度をそれぞれ求めた。なお、傾きS0.5は、λmaxよりも短波長側で吸光度が0.55となる波長をλ0.55、吸光度が0.45となる波長をλ0.45としたときに、式:S0.5=(0.55−0.45)/(λ0.55−λ0.45)により求めた。また、波長450nm〜600nmの範囲の平均吸光度は、波長450nm〜600nmの範囲で1nmピッチで測定した151点の吸光度の値を平均することにより求めた。結果を表2に示すとともに、スクアリリウム化合物Aとスクアリリウム化合物Cの各吸収スペクトルを図1に示す。
スクアリリウム化合物Aは、最大吸収ピークの短波長側の吸光度0.5における傾きS0.5の値が大きく、スクアリリウム化合物B,Cよりも急峻な吸収ピークを示した。また、波長450nm〜600nmの範囲における平均吸光度は0.01未満と、高い可視光透過率を示した。スクアリリウム化合物Aは、赤色〜近赤外領域における吸収ピークの波形をシャープなものにすることができ、より選択的な光の吸収を実現できる。