JP6919141B2 - 視覚ダイナミックレンジ計測装置及び方法 - Google Patents
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Description
眩しさを評価するシステムとして、特開2016−140612号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。このシステムでは、暗室内の被験者が、照明器具等の評価対象光源の眩しさの程度を主観的に評価して、評価結果入力部に対し、複数の眩しさの程度のうちから何れか1つの眩しさの程度を選択して入力する。評価対象光源の照明条件は複数存在して順次切り替えられ、その切り替えの間において、前の照明条件に応じた所定のリセット時間が、評価対象光源を消灯した状態で確保される。
又、車両のドライバーに対し、外部から入射する光に係る適切な遮光を、遮光状態と非遮光状態とで切替可能な遮光手段によって行う遮光装置として、特開2013−250651号公報(下記特許文献2)に記載のものが知られている。この装置では、ドライバーの顔に近赤外光が当てられて顔画像が撮像され、その顔画像から瞳孔径が計測されることで外部から入射する光への反応が把握され、計測された瞳孔径の大きさに基づいて、遮光手段において遮光状態と非遮光状態とに切り替えられる1周期当たりの遮光期間と非遮光期間との割合が、ドライバーが眩しさを感じない所定の割合に変更される。
特許文献2の装置では、瞳孔径の計測により外部から入射する光への反応が把握されるところ、近赤外光照射手段や撮像手段、顔画像解析手段が一揃い必要であり、やはり比較的に大掛かりでコストがかかる。又、瞳孔径は、ドライバー毎の個人差があるうえ、ドライバーの心理状態にも左右されることから、瞳孔径の計測による光への反応の把握は、比較的に不正確になる場合が存在し得るし、異なるドライバー間で光の反応状態の度合の異同を比較し難いものとなっている。
そこで、本発明の主な目的は、羞明等の評価につながる視覚ダイナミックレンジの計測を容易に行える装置、ないしは簡単に実行可能である視覚ダイナミックレンジの計測方法を提供することにある。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記最明部は、白色であり、前記最暗部は、黒色であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記最明部は、所定色の光の加法混色による白色を呈していることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記表示手段は、前記グラデーション視標の背景部分の明度を変更して表示可能であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記制御手段は、前記被験者による入力の応答時間を計測することを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記入力手段は、前記最明部想定境界の入力及び前記最暗部想定境界の入力のうちの少なくとも一方を、複数回受け付け、前記制御手段は、複数の前記最明部想定境界の位置及び複数の前記最暗部想定境界の位置のうちの少なくとも一方の平均値を算出することを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、視覚ダイナミックレンジ計測方法であって、最明部から最暗部にかけて、前記最暗部からの道程に対して比例的である状態で段階的に明度が変化する視標であるグラデーション視標を表示するグラデーション視標表示ステップと、前記グラデーション視標のうち、被験者において前記最明部と同じ見え方であると想定される部分とそうでない部分の境界である最明部想定境界の入力、及び前記被験者において前記最暗部と同じ見え方であると想定される部分とそうでない部分の境界である最暗部想定境界の入力、のうちの少なくとも一方を受け付ける入力受付ステップと、前記最明部想定境界の位置、及び前記最暗部想定境界の位置のうちの少なくとも一方に基づいて、視覚ダイナミックレンジ計測値、あるいはこれに関連する値である視覚ダイナミックレンジ関連値を算出する視覚ダイナミックレンジ算出ステップと、周囲の照度を測定し、前記照度の関数である所定の補正式に基づいて、前記視覚ダイナミックレンジ計測値あるいは前記視覚ダイナミックレンジ関連値を補正する視覚ダイナミックレンジ補正ステップと、補正された前記視覚ダイナミックレンジ計測値あるいは前記視覚ダイナミックレンジ関連値が、所定の範囲内に入っているか否かを判断する判断ステップと、を有することを特徴とするものである。
図1に示されるように、本発明の視覚ダイナミックレンジ計測装置(計測装置)1は、表示手段2と、入力手段4と、照度センサ8と、カウンタ10と、記憶手段11と、これらを制御する制御手段12と、を備えている。
計測装置1は、これらの手段を備えたタブレット型デバイス(タブレット,スマートフォンを含む)において、制御手段12が、記憶手段11に記憶された視覚ダイナミックレンジ計測プログラム(プログラム)14を実行することにより形成される。
尚、計測装置1は、デスクトップコンピュータやノート型コンピュータ、パッケージ型集積回路等、タブレット型デバイス以外のデバイス(コンピュータ)により形成されても良い。
グラデーション視標20において、縦の各線分が同一の明度となっており、左辺(左端部)が明度の最も高い白色であって(最明部)、右辺(右端部)が明度の最も低い黒色である(最暗部)。グラデーション視標20における各線分の明度は、最明部と最暗部の間で、左辺からの距離(道程)に比例して低下するように変化する(グラデーションの直線的変化)。例えば、表示手段2における画素の明度が0以上65535以下の数値によって数値が小さいほど明度が低い画素明度指定値として段階的に指定され、グラデーション視標20の左辺に係る画素列が画素明度指定値65535とされ、グラデーション視標20の右辺に係る画素列が画素明度指定値0とされ、これらの間の画素列の画素明度指定値が、左辺からの距離に比例して減少するようにされる。グラデーション視標20において、隣接する線分に係る明度の変化は僅かであり、明度が位置に応じて連続的に変化するとみることもでき、白黒のグラデーションが現出したものとなっている。
概ね、グラデーション視標20の左部(横方向全体の1/3の長さ)が白色を基調とした明部となり、右部(横方向全体の1/3の長さ)が黒色を基調とした暗部となり、それらの間が灰色を基調とした中間部となる。尚、左半部が明部であり、右半部が暗部であるとして、中間部は観念されなくても良いし、他の要領で明部や暗部、中間部が把握されても良い。
グラデーション視標20の明部(最明部を含む)における白色は、所定の色光の加法混色により構成される。より具体的には、各画素が赤緑青の3色についてそれぞれ強弱を指定された状態で発光可能な赤発光部,緑発光部,青発光部を有しており、赤発光部と緑発光部の加法混色により発生する波長560nm付近を強度分布のピークとする黄色と、青発光部により発生する波長440nm付近を強度分布のピークとする青色が加法混色されることで、グラデーション視標20の明部における白色が発光される。又、明部や中間部、暗部の灰色も、同様に加法混色により構成される。
尚、グラデーション視標20は、縦長に表示されても良いし、正方形状であっても良いし、リングあるいは多角形に沿った帯状であっても良い。又、グラデーション視標20におけるグラデーションは、曲線的に変化するものであっても良く、例えば最明部からの道程の二乗に比例して線分の明度が低下するものであっても良いし、最明部からの道程の1/2乗に比例して線分の明度が低下するものであっても良いし、最明部からの道程の対数に比例して線分の明度が低下するものであっても良い。
タイトル22は、「ダイナミックレンジテスト」というものである。
操作案内メッセージ24は、最明部と同じ見え方であると想定される部分(最明部想定部)とそうでない部分の境界(最明部想定境界)を入力するように促す「真っ白に見えるギリギリのところをタップしてください。」というものか、あるいは最暗部と同じ見え方であると想定される部分(最暗部想定部)とそうでない部分の境界(最暗部想定境界)を入力するように促す「真っ黒に見えるギリギリのところをタップしてください。」であり、状況に応じて選択的に表示され、あるいは非表示となる。尚、操作案内メッセージ24として、他の内容のものが表示されても良い。
入力段階案内メッセージ26は、グラデーション視標20に対する所定上限までの複数回の入力(最明部想定境界の入力と最暗部想定境界の入力の組)のうち、現在どの段階となっているかを数字で示すものであって、現在の段階数と、上限の数(ここでは10であるが1を含む他の数でも良い)が含まれる。
戻るボタン28は、「1つ戻る」との記載が矩形で囲まれたものである。
尚、タイトル22や操作案内メッセージ24、入力段階案内メッセージ26、戻るボタン28等の表示のうちの少なくとも何れかは、省略されても良い。又、他の情報等が表示されても良い。
背景部分30は、輝度を指定して白色、灰色、あるいは黒色に変更可能であり、任意の明度に変化可能である。
尚、上記の表示要素は、背景部分30の輝度変更(変色)に対応するため、白色(あるいはグラデーション視標20の内容)に黒色の縁取りが施されたものとされても良い。又、上記の表示要素(グラデーション視標20を除く)は、背景部分30の輝度変更(変色)に応じ、その色と異なる色に変色されても良い。
入力手段4は、表示されたグラデーション視標20のうちの、何れかの線分に対する入力を検知して、その線分(の位置)に対応する情報(線分対応情報40)を制御手段12に伝える。線分に対する入力は、表示された線分への接触により行われる。線分対応情報40としては、グラデーション視標20の右辺から線分までの距離(画素数)や、所定の原点からみた線分の座標値、線分の明度、あるいはこれらの組合せが例示される。
入力手段4は、グラデーション視標20における最明部想定境界に対応する最明部想定境界線分対応情報40aを受付可能である。又、入力手段4は、グラデーション視標20における最暗部想定境界に対応する最暗部想定境界線分対応情報40bを受付可能である。尚、最明部想定境界線分対応情報40a,最暗部想定境界線分対応情報40bのうちの何れか一方が省略されても良い。
入力手段4は、グラデーション視標20に対する所定上限までの複数回の入力毎に、最明部想定境界線分対応情報40a,最暗部想定境界線分対応情報40bの組に関する入力を受け付ける。尚、グラデーション視標20に対する複数回の入力の一部において表示される、グラデーション視標20の形状や、グラデーションの変化の態様が、他の回とは異なるようにされても良い。この場合、他の回と異なる表示を行う回の順番は、予め決定されていても良いし、ランダムに決定されても良い。グラデーション視標20の形状やグラデーションの変化の態様は、3種類以上存在しても良い。又、被験者の惰性による回答を判別して信頼度を向上する等の目的で、グラデーション視標20の形状やグラデーションの変化の態様の種類毎に結果をまとめ、それらの結果が互いに一定程度以上かけはなれたものである場合に、所定の形状や変化の態様の回答が排除されても良いし、入力がやり直されても良い。
尚、入力手段4における入力は、被験者の指による接触に基づくものであっても良いし、被験者が握ったデジタイザーペンによるものであっても良いし、指やデジタイザーペンの近接に基づくものであっても良い。又、入力手段4は、マウスやスティック等のポインティングデバイスであっても良い。
測定された照度に対応する情報である照度情報42は、制御手段12に送信される。
照度情報42は、初回における最明部想定境界線分対応情報40aの入力受付時に取得される。
尚、照度情報42は、各回毎や、最明部想定境界の入力若しくは最暗部想定境界の入力毎といった、複数の入力毎に、複数取得されても良い。
カウンタ10は、制御手段12と一体であっても良い。
カウンタ10は、グラデーション視標20に対する入力受け付けの開始時点から、その回の入力完了までの時間である応答時間を計測可能である。
計測された応答時間に対応する応答時間情報44は、制御手段12に送信される。
線分対応情報40は、入力の状況(何回目であるか,又最明部境界線分対応情報40aであるか若しくは最暗部境界線分対応情報40bであるか)に関連付けて、それぞれ記憶される。
又、応答時間情報44も、同様に入力の状況に関連付けて、それぞれ記憶される。
更に、線分対応情報40に応じて計測された視覚ダイナミックレンジ計測値に対応する視覚ダイナミックレンジ計測値情報50が記憶される。視覚ダイナミックレンジ計測値情報50は、複数回取得された最明部想定境界線分対応情報40aが示す最明部想定部の大きさの平均値を演算して得られる最明部想定部平均情報50aと、複数回取得された最暗部想定境界線分対応情報40bが示す最暗部想定部の大きさの平均値を演算して得られる最暗部想定部平均情報50bと、に基づいて計測される。
y=ax+b ・・(1)
y:最明部想定部又は最暗部想定部の全体に対する割合の換算後の値
a:補正係数(yが最明部想定部の場合は負数,最暗部想定部の場合は正数)
x:最明部想定部又は最暗部想定部の全体に対する割合の換算前の値
b:補正定数
加えて、記憶手段11には、最明部想定境界線分対応情報40aが示す最明部想定部の大きさ(最明部想定境界線分の位置)に係る所定の範囲である最明部想定部範囲に対応する最明部想定部範囲情報54aと、最暗部想定境界線分対応情報40bが示す最暗部想定部の大きさ(最暗部想定境界線分の位置)に係る所定の範囲である最暗部想定部範囲に対応する最暗部想定部範囲情報54bと、が記憶されている。最明部想定部範囲情報54aは、予め計測された健常者における最明部想定部の大きさ(最明部想定教会の位置)の範囲に関する情報であり、最暗部想定部範囲情報54bは、予め計測された健常者における最暗部想定部の大きさの範囲に関する情報である。
尚、メモリは、フラッシュメモリ(ソリッドステートドライブを含む)、ハードディスクドライブ、あるいはこれらの組合せ等であっても良い。又、照度情報42は、何回目の入力に対応したものであるかや、明部想定境界線分対応情報40a若しくは暗部想定境界線分対応情報40bのうちの何れの入力時のものかといった事項と対応付けて記憶されても良い。更に、最明部想定部範囲情報54aは、健常者における最明部想定部の大きさから解析により定められたものであっても良く、最暗部想定部範囲情報54bについても同様である。
制御手段12は、受信した各種の情報について、演算したり、記憶手段11に記憶したりする。制御手段12は、記憶手段11に記憶した情報を指定して読み出し(受信)することも可能である。
尚、制御手段12は、マイクロプロセッサ(MPU)や、マイクロコンピュータ(マイコン)等であっても良い。又、制御手段12は、CPUに代えて、あるいはCPUと共に、表示手段2や入力手段4といった各種の手段の少なくとも何れかに、協調制御可能に分散して設けられていても良い。
次いで、計測装置1の動作例、ないしは計測装置1によって実行される視覚ダイナミックレンジ計測方法(計測方法)が、適宜図3に基づいて説明される。
尚、処理のステップは、適宜Sと省略される。
又、制御手段12は、ループカウンタi=1(初期値)にセットする(S2)。ループカウンタiは、最明部想定境界線分対応情報40a,最暗部想定境界線分対応情報40bの組を複数回取得すべく、所定の処理を複数回繰り返す(ループ処理をする)ためのカウンタであり、ここでは10回繰り返すためにiが1から10まで1ずつ増加するものである。
制御手段12は、入力受付画面において、まず「真っ白に見えるギリギリのところをタップしてください。」の操作案内メッセージ24を表示させて、グラデーション視標20に対する最明部想定境界の入力の受付を指令する(S4,入力受付ステップの一部)。被験者は、グラデーション視標20に対する入力をタップにより行い、制御手段12は、線分対応情報40(最明部想定境界線分対応情報40a)を入力手段4から得て、1回目に係るものとして記憶手段11に記憶させる。
制御手段12は、入力受付画面の表示開始時(最明部想定境界の入力の受付開始時)に、カウンタ10を用いた応答時間の計測を開始する。
次いで、制御手段12は、操作案内メッセージ24を「真っ黒に見えるギリギリのところをタップしてください。」と変えさせ、グラデーション視標20に対する最明部想定境界の入力の受付を指令する(S5,入力受付ステップの一部)。被験者は、同様に入力を行い、制御手段12は、線分対応情報40(最暗部想定境界線分対応情報40b)を入力手段4から得て、1回目に係るものとして記憶手段11に記憶させる。尚、i=1(1回目)に係るS5の入力がなされた時点で、カウンタ10を用いた応答時間の計測を終了し、計測された応答時間に係る応答時間情報44を記憶手段11に記憶させる。
続いて、制御手段12は、S6においてループカウンタiに1を加えてS2に戻り、i=10の処理が終わるまで、S2〜S6を繰り返す。制御手段12は、それぞれのS6において、入力段階案内メッセージ26を、ループカウンタiに基づいて書き換えさせる。尚、制御手段12は、戻るボタン28への入力を把握すると、今回の入力情報を消去あるいは上書き可能としたうえで、iを1減らして(i=1であればそのままで)、S2に戻り処理を続ける。
尚、S4,S5は、逆の順序で行われても良く、S4,S5は、入力毎に順序を入れ替えて実行されても良い。又、S4,S5の何れか一方が省略されても良い。更に、照度情報42は、所定の入力時に1度取得されても良いし、各入力毎といったように複数回取得されても良い。応答時間の取得は、1度のみとされたり、1回置きとされたりしても良い。又更に、制御手段12は、応答時間が所定値以上であると、その入力をやり直させるように処理しても良い。加えて、制御手段12は、回毎あるいは入力毎に、背景部分30あるいはグラデーション視標20の周辺部の色を、ランダムに、あるいは照度に応じて変更しても良いし、グラデーション視標20における色変化の態様を、直線的変化から曲線的変化としたり、曲線的変化から別の曲線的変化としたりするといったように変更しても良い。
尚、制御手段12は、10回のうちの最大値と最小値を除外して、8回分の大きさの平均値を演算しても良いし、更に2番目に大きい値と2番目に小さい値を除外して、6回分の大きさの平均値を演算しても良い。又、制御手段12は、応答時間が最大値あるいは最小値であったもの等を除外して平均値を演算しても良いし、応答時間が所定値(上述の所定値と同じでも異なっても良く,本明細書において同様)以上であるものを除外して平均値を演算しても良い。更に、制御手段12は、入力毎の照度や応答時間を加味した加重平均により、最明部想定部平均情報50a,最暗部想定部平均情報50bを得ても良い。
尚、制御手段12は、最明部想定境界線分対応情報40a,最暗部想定境界線分対応情報40bに対して補正を施した後で、最明部想定部平均情報50a,最暗部想定部平均情報50bを演算しても良い。又、S1やS8は、省略されても良い。更に、補正式情報52は、プログラム14に組み込まれていても良く、他の情報についても同様である。加えて、記憶手段11において、補正前の最明部想定部平均情報50a,最暗部想定部平均情報50bが残されていても良い。
又、制御手段12は、同様に、補正された最暗部想定部範囲情報54bが示す範囲内に最暗部想定部平均情報50bに係る最暗部想定部の大きさが入っているか否かを判断し、入っていないと判断すると、視覚ダイナミックレンジが暗部において健常でない可能性が存在する旨判定し(暗部要注意情報を発生させ)、記憶手段11に記憶させる(S9下段)。
更に、制御手段12は、補正された最明部想定部平均情報50a,最暗部想定部平均情報50bの間に挟まれた部分、即ち最明部想定境界(10回の平均位置)と最暗部想定境界(10回の平均位置)の間の中間部分における大きさに基づいて、視覚ダイナミックレンジ計測値を算出し、これに対応する視覚ダイナミックレンジ計測値情報50を記憶手段11に記憶させる(S10,視覚ダイナミックレンジ算出ステップ)。視覚ダイナミックレンジ計測値は、最明部想定部境界位置に対応する明度を最暗部想定部境界位置に対応する明度で除した値であっても良いし、その値に応じて換算された相対的な値であっても良いし、その他の式により算出されたものであっても良い。
最明部想定部平均情報50aに係る最明部想定部の大きさの平均(最明部想定境界の位置の平均)や、最暗部想定部平均情報50bに係る最暗部想定部の大きさの平均(最暗部想定境界の位置の平均)等は、視覚ダイナミックレンジ計測値に関連する値である視覚ダイナミックレンジ関連値である。
尚、S9,S10は順序を入れ替えて実行されても良く、S9は省略されても良い。又、制御手段12は、視覚ダイナミックレンジ計測値が所定の範囲(健常者の範囲等)内に入っているか否かを判断しても良い。
即ち、視覚ダイナミックレンジ計測値、及び明部要注意情報や暗部要注意情報が存在する場合にはその旨が表示される。
尚、これらのうちの少なくとも何れかが表示されなくても良い。
又、明部要注意情報や暗部要注意情報の不存在時に、その旨が表示されても良い。
更に、視覚ダイナミックレンジ計測値そのものに代えて、あるいはこれと共に、視覚ダイナミックレンジ計測値情報50や最明部想定部平均情報50a,最暗部想定部平均情報50b等に基づいて段階的に決定される指標(レベル1やAランク等)やメッセージ(眩しさを感じやすいかもしれません)等が表示されても良い。
又更に、最明部想定部平均情報50a,最暗部想定部平均情報50bや、照度情報42、応答時間情報44といった、他の情報が表示されても良い。
加えて、制御手段12は、表示手段2において計測結果を表示させず、計測装置1と通信可能に接続された試験者(計測実施者)用のデバイス(例えば無線通信可能な別のタブレット型デバイス)に計測結果を送信しても良い。試験者用のデバイスに計測結果が表示されれば、試験者は、被験者に対し、直接的な結果を示すことなく、結果に基づき被験者の状況等に合わせた説明を行うことができる。この場合、計測装置1が第1の装置、試験者用のデバイスが第2の装置となり、これらの装置によって、視覚ダイナミックレンジ計測システムが構成される。
例えば、通常は問題とならない明るさに対して羞明を来たし、且つ暗所では夜盲を来たすような被験者に係る計測においては、視覚ダイナミックレンジが狭い結果が得られる傾向にあり、羞明や夜盲の程度が激しいほど視覚ダイナミックレンジがより狭くなる結果が得られる傾向にある。
又、羞明が認められるものの夜盲が認められない被験者に係る計測においては、視覚ダイナミックレンジが明るい側にシフトしている結果が得られる傾向にある。
更に、試験者は、視覚ダイナミックレンジ計測値の大きさ等に基づいて、被験者における、遮光眼鏡(サングラス等)の必要性の有無や、遮光眼鏡における遮光(透過率)の程度を把握することができる。
加えて、試験者は、遮光眼鏡を装用した状態の被験者に対して視覚ダイナミックレンジ計測を行うことで、遮光眼鏡の効果を確かめることができる。この場合、試験者は、遮光眼鏡の非装用時の測定結果と比較することができる。
尚、最明部想定境界線分対応情報40aないし最明部想定部平均情報50aのみ取得された場合には、制御手段12は、視覚ダイナミックレンジ計測値の関連情報として、視覚ダイナミックレンジ明部側情報を取得することができる。制御手段12は、視覚ダイナミックレンジ明部側情報によっても、明部要注意情報について判断することができるし、これらの情報の少なくとも何れかを表示手段2等に表示させて、羞明に関する評価に供することができる。
他方、最暗部想定境界線分対応情報40bないし最暗部想定部平均情報50bのみ取得された場合においても、同様に視覚ダイナミックレンジ暗部側情報を取得することができ、暗部要注意情報の判断ないし発出や、夜盲の評価への提供を行うことができる。
以上の計測装置1は、各種の情報を表示する表示手段2と、被験者による入力を受け付ける入力手段4と、表示手段2及び入力手段4を制御する制御手段12と、を備えており、表示手段2は、最明部から最暗部にかけて段階的に明度が変化する視標であるグラデーション視標20を表示し、入力手段4は、グラデーション視標20のうち、被験者において最明部と同じ見え方であると想定される部分とそうでない部分の境界である最明部想定境界の入力、及び被験者において最暗部と同じ見え方であると想定される部分とそうでない部分の境界である最暗部想定境界の入力、のうちの少なくとも一方を受け付け、制御手段12は、最明部想定境界の位置(最明部想定境界線分対応情報40a)、及び前記最暗部想定境界の位置(最暗部想定境界線分対応情報40b)のうちの少なくとも一方に基づいて、視覚ダイナミックレンジ計測値(視覚ダイナミックレンジ計測値情報50)、あるいはこれに関連する値である視覚ダイナミックレンジ関連値(最明部想定部平均情報50a,最暗部想定部平均情報50b等)を算出する。
よって、被験者がグラデーション視標20に対する入力を行うだけで、羞明等の評価につながる視覚ダイナミックレンジの定量的な計測が簡単に行える。試験者や被験者は、視覚ダイナミックレンジ計測値の把握により、遮光眼鏡の必要性や種類を客観的に判断することができ、又遮光眼鏡の効果判定を定量的に行うことができる。更に、試験者や被験者は、夜盲等に係る評価を行うことができ、被験者に対して、夜間や暗所では注意を払い、できるだけ灯火や照明を確保するといった指導において参酌することができる。加えて、羞明や夜盲等に関する定量的なデータの蓄積が可能となり、試験者は、計測装置1を、眼疾患ないし羞明や夜盲等のメカニズムの解析に用いることができる。
更に、最明部は、白色であり、最暗部は、黒色である。よって、明暗がシンプルに表現され、処理が容易である。
又更に、最明部は、所定色の光の加法混色による白色を呈している。よって、グラデーション視標20が紙に印刷されている場合のように、最明部の反射光を視認する場合に比べて、最明部が一層はっきりと提示される。
又、表示手段2は、グラデーション視標20の背景部分30の明度を変更して表示可能である。よって、背景部分30の明度のバリエーションが複数存在し、複数の明度で表示した結果を併用することで、視覚ダイナミックレンジの計測の正確性がより一層良好になる。
加えて、制御手段12(カウンタ10)は、被験者による入力の応答時間(応答時間情報44)を計測する。よって、視覚ダイナミックレンジの計測において、入力状況が加味され、より一層正確な計測が行われる。
又、制御手段12は、計測装置1(グラデーション視標20)の周囲の照度(照度情報42)を測定する。よって、視覚ダイナミックレンジの計測において、周囲の照度が加味され、より一層正確な計測が行われるし、暗室を用意する必要がなく測定が容易である。
更に、制御手段12は、照度の関数である所定の補正式(補正式情報52)に基づいて、視覚ダイナミックレンジ計測値あるいは視覚ダイナミックレンジ関連値を補正する。よって、周囲の照度が自動でより具体的に加味される。
又更に、制御手段12は、視覚ダイナミックレンジ計測値あるいは視覚ダイナミックレンジ関連値が、所定の範囲(最明部想定部範囲情報54a,最暗部想定部範囲情報54b)内に入っているか否かを判断する。よって、所定の範囲について、健常者を被験者とした複数の計測値に基づいて定めておけば、今回の視覚ダイナミックレンジ測定値が、複数の健常者が入る範囲に入っているか否かを自動的に判断することができる。
加えて、入力手段4は、最明部想定境界の入力及び最暗部想定境界の入力のうちの少なくとも一方を、複数回受け付け、制御手段12は、複数の最明部想定境界の位置及び複数の最暗部想定境界の位置のうちの少なくとも一方の平均値(最明部想定部平均情報50a,最暗部想定部平均情報50b)を算出する。よって、視覚ダイナミックレンジの計測が、複数のサンプルの取得ないし平準化により、一層正確に行われる。
よって、被験者によるグラデーション視標20への入力によって、羞明等の評価につながる視覚ダイナミックレンジの定量的な計測が簡単に行え、被験者に係る遮光眼鏡や羞明等に関する分析が容易に行われる。
Claims (7)
- 各種の情報を表示する表示手段と、
被験者による入力を受け付ける入力手段と、
前記表示手段及び前記入力手段を制御する制御手段と、
を備えており、
前記表示手段は、最明部から最暗部にかけて、前記最暗部からの道程に対して比例的である状態で段階的に明度が変化する視標であるグラデーション視標を表示し、
前記入力手段は、前記グラデーション視標のうち、前記被験者において前記最明部と同じ見え方であると想定される部分とそうでない部分の境界である最明部想定境界の入力、及び前記被験者において前記最暗部と同じ見え方であると想定される部分とそうでない部分の境界である最暗部想定境界の入力、のうちの少なくとも一方を受け付け、
前記制御手段は、
前記最明部想定境界の位置、及び前記最暗部想定境界の位置のうちの少なくとも一方に基づいて、視覚ダイナミックレンジ計測値、あるいはこれに関連する値である視覚ダイナミックレンジ関連値を算出し、
周囲の照度を測定し、前記照度の関数である所定の補正式に基づいて、前記視覚ダイナミックレンジ計測値あるいは前記視覚ダイナミックレンジ関連値を補正し、
補正された前記視覚ダイナミックレンジ計測値あるいは前記視覚ダイナミックレンジ関連値が、所定の範囲内に入っているか否かを判断する
ことを特徴とする視覚ダイナミックレンジ計測装置。 - 前記最明部は、白色であり、
前記最暗部は、黒色である
ことを特徴とする請求項1に記載の視覚ダイナミックレンジ計測装置。 - 前記最明部は、所定色の光の加法混色による白色を呈している
ことを特徴とする請求項2に記載の視覚ダイナミックレンジ計測装置。 - 前記表示手段は、前記グラデーション視標の背景部分の明度を変更して表示可能である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の視覚ダイナミックレンジ計測装置。 - 前記制御手段は、前記被験者による入力の応答時間を計測する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の視覚ダイナミックレンジ計測装置。 - 前記入力手段は、前記最明部想定境界の入力及び前記最暗部想定境界の入力のうちの少なくとも一方を、複数回受け付け、
前記制御手段は、複数の前記最明部想定境界の位置及び複数の前記最暗部想定境界の位置のうちの少なくとも一方の平均値を算出する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の視覚ダイナミックレンジ計測装置。 - 最明部から最暗部にかけて、前記最暗部からの道程に対して比例的である状態で段階的に明度が変化する視標であるグラデーション視標を表示するグラデーション視標表示ステップと、
前記グラデーション視標のうち、被験者において前記最明部と同じ見え方であると想定される部分とそうでない部分の境界である最明部想定境界の入力、及び前記被験者において前記最暗部と同じ見え方であると想定される部分とそうでない部分の境界である最暗部想定境界の入力、のうちの少なくとも一方を受け付ける入力受付ステップと、
前記最明部想定境界の位置、及び前記最暗部想定境界の位置のうちの少なくとも一方に基づいて、視覚ダイナミックレンジ計測値、あるいはこれに関連する値である視覚ダイナミックレンジ関連値を算出する視覚ダイナミックレンジ算出ステップと、
周囲の照度を測定し、前記照度の関数である所定の補正式に基づいて、前記視覚ダイナミックレンジ計測値あるいは前記視覚ダイナミックレンジ関連値を補正する視覚ダイナミックレンジ補正ステップと、
補正された前記視覚ダイナミックレンジ計測値あるいは前記視覚ダイナミックレンジ関連値が、所定の範囲内に入っているか否かを判断する判断ステップと、
を有する
ことを特徴とする視覚ダイナミックレンジ計測方法。
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