JP6915290B2 - 液体を吐出する装置 - Google Patents

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本発明は、液体を吐出する装置に関する。
液体を吐出する装置においてノズルから吐出される液体の一つとしてインクがあり、その吐出方法としてインクジェット記録方式がある。インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単であり、かつフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られるという利点がある。このため、インクジェット記録方式は、パーソナルからオフィス用途、商業印刷、或いは工業印刷の分野へと広がりつつある。しかし、インクジェット記録方式において、水性顔料インクを用いて商業印刷、又は出版印刷用コート紙に記録すると、インクの吸収が定着に間に合わずビーディング(濃度ムラ)が発生することがある。ビーディングの防止対策として、インク中に疎水性溶剤等の浸透剤や界面活性剤を添加してインクの表面張力を低下させ、着弾後のインク中の水を記録媒体中に浸透させることにより乾燥を速める方法が試みられている。
ノズルに関しては、ノズル板の液体吐出面側に撥液膜を設けることが知られている。撥液膜としては、例えば、テトラフルオロエチレンとパーフルオロジメチルジオキソールの共重合体樹脂(テフロン(登録商標)AF、デュポン社製)を使用すること(例えば、特許文献1参照)が開示されている。
しかしながら、液体を吐出する装置において、ノズル板に撥液膜を設けたとしても、例えば、浸透剤、及び界面活性剤などを有する表面張力の低い液体を安定して吐出できないという課題が生じる。
課題を解決するための手段としての本発明の液体を吐出する装置は、液体を吐出するノズルと、液体吐出面側、及び前記ノズルの内壁面側に撥液膜を有するノズル板と、を備え、前記撥液膜は、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有し、前記液体の15msにおける動的表面張力Aと静的表面張力Bの関係が1.5≦A/B≦2であり、前記液体の15msにおける動的表面張力Aが25mN/m以上35mN/m以下である。
本発明によると、液体を吐出する装置において、表面張力の低い液体を安定して吐出できるようになるという効果を奏する。
図1は、液体を吐出する装置におけるノズル板の一例を示す平面説明図である。 図2は、液体を吐出する装置におけるノズル板の1つのノズル部分の一例を示す拡大断面説明図である。 図3は、撥液膜の膜厚の説明に供するノズル孔部分の平面説明図である。 図4は、ノズル板の製造方法の一例の説明に供する説明図である。 図5は、真空蒸着の説明に供する説明図である。 図6Aは、ベーク前の状態の説明に供する撥液膜のSEM写真である。 図6Bは、ベーク前の状態の説明に供する撥液膜のSEM写真である。 図7Aは、ベーク後の状態の説明に供する撥液膜のSEM写真である。 図7Bは、ベーク後の状態の説明に供する撥液膜のSEM写真である。 図8は、本発明の液体を吐出する装置における液体吐出ヘッドの一例を示す外観斜視説明図である。 図9は、図8のA−A線に沿うノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図である。 図10は、図8のB−B線に沿うノズル配列方向(液室短手方向)の断面説明図である。 図11は、本発明の液体を吐出する装置の一例を示す要部平面説明図である。 図12は、本発明の液体を吐出する装置の他の一例を示す要部側面説明図である。 図13は、本発明の液体を吐出する装置における液体吐出ユニットの一例を示す要部平面説明図である。 図14は、本発明の液体を吐出する装置における液体吐出ユニットの他の一例を示す正面説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
(液体を吐出する装置及び液体を吐出する方法)
本実施形態の液体を吐出する装置は、液体を吐出するノズルと、液体吐出面側、及びノズルの内壁面側の少なくとも一部に撥液膜を有するノズル板と、を備え、撥液膜は、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有し、液体の15msにおける動的表面張力Aと静的表面張力Bの関係が1.5≦A/B≦2であり、液体の15msにおける動的表面張力Aが25mN/m以上35mN/m以下である。
本実施形態の液体を吐出する装置、及び本実施形態の液体を吐出する方法は、従来の表面張力の低い液体ではノズル孔中でのメニスカスを形成する力が弱く、ノズル孔の汚れ等によりメニスカスが破壊されやすいため、ノズルで液体を吐出させる場合には噴射曲がりが生じてしまうという知見に基づくものである。
<ノズル板>
ノズル板は、ノズル基材と、ノズル基材上の撥液膜とを有し、ノズル基材と、撥液膜との間にシランカップリング剤層を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の層を有する。
−ノズル基材−
ノズル基材には、ノズル孔が設けられており、ノズル孔の数、形状、大きさ、材質、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。以下、ノズル基材において、対向する2面を連通するノズル孔が設けられる場合について説明する。これらの対向する2面のうち、使用時にそのノズル孔から液体が吐出される側の一方の面を液体吐出面と言い、液体吐出面とは反対側の他方の面を液室接合面と言う。
ノズル基材の平面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方形、正方形、菱形、円形、楕円形などが挙げられる。また、ノズル基材の断面形状としては、例えば、平板状、プレート状などが挙げられる。ノズル基材の大きさとしては、特に制限はなく、ノズル板の大きさに応じて適宜選択することができる。
ノズル基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、Al、Bi、Cr、InSn、ITO、Nb、Nb、NiCr、Si、SiO、Sn、Ta、Ti、W、ZAO(ZnO+Al)、Znなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、防錆性の点から、ステンレス鋼が好ましい。
ステンレス鋼としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ノズル基材の少なくとも液体吐出側の面は、撥液膜とノズル基材との密着性を向上させる点から、酸素プラズマ処理を行って水酸基を導入してもよい。
−ノズル孔−
ノズル孔としては、その数、配列、間隔、開口形状、開口の大きさ、開口の断面形状などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ノズル孔の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複数のノズル孔が、ノズル基材の長さ方向に沿って等間隔に並んで配列されている態様などが挙げられる。ノズル孔の配列は、吐出する液体の種類に応じて適宜選定することができるが、1列乃至複数列が好ましく、1列乃至4列がより好ましい。1列当たりのノズル孔の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、10個以上10,000個以下が好ましく、50個以上500個以下がより好ましい。隣接するノズル孔の中心間の最短距離である間隔(ピッチ)Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、21μm以上169μm以下が好ましい。ノズル孔の開口形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。これらの中でも、インクの液滴を吐出する点から、円形が好ましい。
−撥液膜−
撥液膜は、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有する膜である。撥液膜が、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むことにより、表面自由エネルギーが非常に小さくなり、本実施形態で用いる表面張力の低いインクであっても濡れ難い状態を維持できるので好ましい。
ノズルの内壁面にも撥液膜を有していることが、低表面張力の液体におけるメニスカスの保持の点から好ましい。ノズルの内壁面にも撥液膜を有していることは、例えば、TOF−SIMS(ALVAC−PHI社製,PHI nanoTOF IITM)でノズル板の液体吐出面、及びその反対側の液室接合面から観察することにより確認することができる。また、ノズル板の液体吐出面と反対側にテープを貼り付けずに撥液膜の蒸着を行うと、撥液膜がノズル板の液室接合面のノズル孔近傍に蒸着していることが観察されることから、ノズル内壁面にも撥液膜を有していることが推察できる。
液体吐出面側の撥液膜は、ノズル孔のエッジの外周部分において、ノズル孔のエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有することが好ましい。なお、斜面領域の斜面は、断面形状で直線状に斜めになっていてもよく、あるいは、曲線状に斜めになっていてもよい。なお、液体吐出面側の撥液膜において斜面領域以外の領域は膜厚がほぼ一定で平坦である。斜面領域を有すると、撥液膜のノズル孔側のエッジが、周囲の撥液膜よりも奥の位置にくるので、ワイパー部材が撥液膜のエッジに干渉しにくくなることで、ワイパー部材が撥液膜のエッジに引っ掛かることを低減、及び防止し、撥液膜のエッジの劣化を低減させる点から好ましい。斜面領域を有していることは、例えば、イオンポリッシュによりノズル断面を出し、SEM(Scanning Electron Microscope)観察することにより確認することができる。
−−含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位−−
含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を有する重合体としては、ヘテロ環状構造を有する含フッ素重合体のうち特に非晶質な重合体を用いることが好ましい。非晶質な重合体は、膜強度、基材への密着性、膜の均一性等が優れているため本実施形態の効果をより一層発揮することができる。
含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位としては、例えば、米国特許第3,418,302号明細書、米国特許第3,978,030号明細書、特開昭63−238111号公報、特開昭63−238115号公報、特開平1−131214号公報、特開平1−131215号公報等に記載されている構造単位などが好適に用いられる。
含フッ素ヘテロ環状構造としては、静的表面張力が低いインクに対する滑落性のよい膜が得られ、ノズル表面のクリーニング性が向上する点から、エーテル結合を有することが好ましい。含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位としては、以下のようなヘテロ環状構造を有する構造単位が例示されるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006915290
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ただし、一般式(i)及び(ii)中、Rf、Rf、及びRfは、それぞれフッ素含有アルキル基を示す。
Figure 0006915290
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Figure 0006915290
Figure 0006915290
Figure 0006915290
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更に、基材との密着性の向上、ガラス転移温度(Tg)、及び溶剤への溶解性をコントロールするためには主鎖中に、下記一般式(iii)で表される構造単位を導入してもよく、これらの構造単位は、以下の構造式(vii)から構造式(ix)で表される構造単位からなるモノマーと共重合することにより導入することができる。
Figure 0006915290
[一般式(iii)]
ただし、一般式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はRfを示す。ただし、Rfはフッ素含有アルキル基である。Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、Rf、又はRfを示す。ただし、Rfは酸、エステル、アルコール、アミン、アミド等の官能基を末端に有する含フッ素有機置換基であり、Rfは含フッ素アルキル基、又は含フッ素エーテル基である。
Figure 0006915290
[構造式(vii)]
Figure 0006915290
[構造式(viii)]
Figure 0006915290
[構造式(ix)]
以上示したような特定の化学構造を持ち、撥液膜に適しているものとしては、例えば、商品名:サイトップCTX−105(旭硝子株式会社製)、商品名:サイトップCTX−805(旭硝子株式会社製)、商品名:テフロン(登録商標)AF1600、商品名:AF2400(デュポン社製)などが挙げられる。
含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位からなる重合体による撥液膜形成方法としては、例えば、フッ素系溶媒を用いたスピンコート、ロールコート、ディッピング等の塗布、印刷、又は真空蒸着等の方法などが挙げられる。
フッ素系溶媒としては、主鎖に含フッ素ヘテロ環状構造を有する重合体を溶解することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーフルオロベンゼン、“商品名:アフルード”(商品名:旭硝子株式会社製のフッ素系溶剤)、“フロリナートFC−75”(商品名:3M社製のパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)を含んだ液体)等の含フッ素溶剤が好適である。これらは、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、混合溶媒の場合、炭化水素系、塩化炭化水素、フッ塩化炭化水素、アルコール、又はその他の有機溶剤も併用できる。溶液濃度は0.01質量%以上50質量%以下が好ましく、0.01質量%以上20質量%以下がより好ましい。
含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位からなる重合体の熱処理条件(温度)は、溶媒の沸点及び重合体のガラス転移温度及び基材の耐熱温度によって決定される。即ち、溶媒の沸点及び重合体のガラス転移温度より高く、基材の耐熱温度より低い温度を選べばよい。含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位からなる重合体のガラス転移温度は、その構造によって異なる。例えば、構造式(iv)から構造式(vi)の構造のものは、50℃以上110℃以下のものが多いため、熱処理条件は、温度は120℃以上170℃以下、時間は30分間〜2時間が好ましい。なお、本実施形態において範囲を示すために用いられる波ダッシュ「〜」の記号は、特に指定した場合を除き、その前後に記された値を含むものとする。
含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂は、下記構造式(x)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 0006915290
主鎖中に一般式(ii)の構造単位と、構造式(x)で表される構造単位を有するフッ素樹脂は“テフロン(登録商標)AF”という商標名でデュポン社より販売されている。
テフロン(登録商標)AFは、その共重合比を変えることによりガラス転移温度(Tg)が変る。即ち、PDD[パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)]成分の比率が高くなるにつれて、ガラス転移温度(Tg)は上昇する。ガラス転移温度としては、その成分比により80℃以上330℃以下ぐらいまで存在し、市販されているのは160℃(商品名:テフロン(登録商標)AF1600、デュポン社製)と240℃(商品名:テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)である。例えば、160℃のものの熱処理温度は、基材の耐熱温度も考え、165℃以上180℃以下が好ましい。
液体吐出面側の撥液膜の平均膜厚は、1μm以上3μm以下が好ましい。ノズル基材に設けた凹凸が撥液膜を構成するフッ素樹脂層表面に影響することなく平滑な表面を得るためには、撥液膜は1μm以上の平均膜厚を有することが好ましく、また、ノズルの形状やノズル径を維持する観点からは薄い方が好ましい。撥液膜の平均膜厚を1μm以上3μm以下の範囲とすると、ワイピング耐久性の観点からも、ノズルの形状の観点からも好ましい。平均膜厚は、例えば、断面SEM観察により測定することができる。
撥液膜(フッ素樹脂層)の算術平均粗さRaは、1.0nm以下であることが好ましい。平均粗さRaが1.0nm以下であると、ノズル面は極めて平滑になり、ワイピングによる拭き残しが少なくなり、耐摩耗性も優れる。
算術平均粗さRaは、以下のように定義される。長さLの区間において粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、抜き取られた部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取る。粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、下記数式(1)によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
Figure 0006915290
算術平均粗さRaの測定は、原子間力顕微鏡(ブルカー・エイエックス社製、Dimension Icon)のフォース・タッピングモード(空気中)によって行った。カンチレバーは低バネ定数シリコンカンチレバー(オリンパス株式会社製、OMCL−AC240TS−C3)を使用し、測定長さは10μmとした。
下地との界面における撥液膜内の含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂の数平均分子量Cと、撥液膜の最表面におけるフッ素樹脂の数平均分子量Dとの間に、C<D、の関係があることが好ましい。即ち、下地との界面における撥液膜内の分子量が相対的に低いと、高温環境において、分子運動が活発になるため下地との結合状態が良好となる。一方、撥液膜の最表面における分子量が相対的に高いと、払拭部材と直接接触する膜最表面において物理的磨耗に対する耐久性が向上する。
撥液膜の深さ方向における数平均分子量の大小は、温度を徐々に上げることで低分子量のものから優先的に蒸発する性質を利用して、樹脂蒸着時の温度をコントロールすることで達成可能である。なお、撥液膜におけるフッ素樹脂の平均分子量は、GPCにより測定することができる。一実施形態に係る撥液膜における数平均分子量の測定結果は、C=24万、D=29万であった。
−シランカップリング剤層−
ノズル基材と撥液層との間には、シランカップリング剤を含有するシランカップリング剤層を有することが好ましい。シランカップリング剤としては、アミノ基を有するカップリング剤が好ましく、特に、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。具体的には、KBE−903(信越化学工業株式会社製)、A1100(モメンティブパフォーマンスマテリアル社製)などが挙げられる。シランカップリング剤層の形成は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法などが挙げられる。
アミノ基を有するカップリング剤におけるアミノ基は、フッ素樹脂の分子中におけるヘテロ環のエーテル部との親和性がよい。このため、アミノ基を有するシランカップリング剤をシリカ層の上に一層設けることでフッ素樹脂の定着性が大きく向上する。
ここで、一実施形態で用いられるノズル板について、図1及び図2を参照して説明する。図1はノズル板の平面説明図、図2は1つのノズル部分の拡大断面説明図である。
ノズル板1は、液体を吐出するノズル11となるノズル孔21が形成されたノズル基材20と、ノズル基材20の表面に形成された中間層30と、液体吐出面側、及び内壁面側に形成された撥液膜40とを有している。
ノズル基材20は、例えば、金属製平板状部材である。ノズル基材20としては、例えば、ステンレス鋼の金属製平板状部材であるが、これに限るものではない。
中間層30は、下地層となる例えば、SiO層、シランカップリング剤の層などの1又は複数の層で構成している。
撥液膜40は、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂(以下、「フッ素樹脂層」ともいう。)を含有する膜である。
撥液膜40には、液体吐出面におけるノズル11のエッジ11aの外周部分において、ノズル11のエッジ11a側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面41aが形成された斜面領域41がある。なお、斜面領域41の斜面41aは、断面形状で直線状に斜めになっていてもよく、あるいは、曲線状に斜めになっていてもよい。なお、撥液膜40の斜面領域41を除く斜面領域以外の領域42は膜厚がほぼ一定で平坦である。
このように、撥液膜40に、ノズル11の外周部分において、ノズル11のエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域41があることで、撥液膜40のノズル11側のエッジが、周囲の撥液膜40よりも奥の位置にくるので、ワイパー部材が撥液膜40のエッジに干渉しにくくなることで、ワイパー部材が撥液膜40のエッジに引っ掛かることを低減・防止できる。
ノズル板1において、ノズル基材20のノズル孔21の内壁面にも中間層30が形成され、ノズル11の内壁面にも撥液膜40が形成されている。ここで、ノズル11の内壁面(ノズル基材20のノズル孔21の壁面に相当する。)の撥液膜40bの膜厚t2は、撥液膜40aの領域42の膜厚t1の1/10以下(t2/t1<0.1)とすることが好ましい。
ノズル11の内壁面における撥液膜40bの膜厚t2は、膜厚が厚くなるとノズル径のバラつきが多くなるので、安定した吐出を実現させるためには薄いほうが好ましい。一方、液体吐出側の面側における撥液膜40aの膜厚t1は一般的に厚いほど耐久性が向上する。
これら相反する膜厚を有する撥液膜40は、例えば、気相法を用いて成膜することで得られる。なお、膜厚の測定はイオンポリッシュによりノズル断面を出し、SEM観察することで測定する。これにより、このノズル11の内壁面の撥液膜40bの膜厚t2と撥液膜40aの領域42の膜厚t1との関係について評価する。なお、t2/t1の比率が0.1を超えるものは、撥液膜をディップ工法で成膜し、その後、ノズル内に送風することでノズル内に流入したディップ液を飛ばし開口させた状態で乾燥させることでサンプルを得ることができる。この結果、噴射曲がりの有無は、t2/t1<0.05:無し、t2/t1<0.10:無し、t2/t1≧0.3:有り、となった。このことから、t2/t1<0.10であれば噴射曲りを低減ないし防止できる。
撥液膜40の液体吐出面側の表面の平均膜厚は、1μm以上3μm以下が好ましい。ここで、撥液膜の膜厚について図3も参照して説明する。図3は同説明に供するノズル孔部分の平面説明図である。
図3に示すように、ノズル11のエッジ11aからエッジ11aの法線上にノズル中心11oとは反対方向に5μm離れた円周CC上における20点で膜厚を測定し、下記数式(2)で求める膜厚の母集団の相加平均を平均膜厚mとする。
Figure 0006915290
数式(2)及び(3)において、N=20であり、Xiは、i番目の測定における膜厚である。
そして、下記数式(3)で得られる量を分散と定義し、この分散の正の平方根σを、母集団(膜厚)の標準偏差とする。
Figure 0006915290
ここで、変動係数である「膜厚標準偏差σ/平均膜厚m」が小さいほど、膜厚に対する膜厚ばらつきが小さく平坦であることを意味する。
円周CC上における平均膜厚aは、円周CCを等間隔に直径10μmのスポット径でエリプソメータにより測定した。このσ/mを変えたときのワイピング後の表面の液体拭き残しの有無を評価したところ、σ/m=0.03:無し、σ/m=0.06:無し、σ/m=0.09:無しであったが、σ/m=0.12:有り、σ/m=0.15:有りとなった。液体の拭き残しがない場合には、吐出される液体の噴射曲がりが発生しない。したがって、σ/m<0.1、とすることで、噴射曲りを低減できる。
また、中間層30は、撥液膜40の下地となる層がアミノ基を有するシランカップリング剤層であることが好ましい。これにより、アミノ基と撥液膜材料が相互作用することで高い密着性が得られる。
次に、ノズル板の製造方法の一例について図4を参照して説明する。図4は同説明に供する説明図である。
図4(a)の基材準備工程では、ノズル基材20となる金属製平板状部材に対して鏡面研磨工程、洗浄工程の前工程を行う。なお、ノズル基材20は、例えば、長さ30mm、幅15mm、厚み0.05mmの金属製平板状部材にプレス加工でノズル孔21を開口したものである。
金属製平板状部材としては、鉄基合金の代表例としてのステンレス鋼を使用できる。「ステンレス鋼」とはJIS G0203:2000の番号4201に記載されるように、Cr含有量が10.5%以上の鋼であり、種々の鋼種を使用できる。
鋼種として、オーステナイト系であれば、Cr:10.5質量%〜35質量%、好ましくは、11質量%〜30質量%、Ni:5質量%〜30質量%程度、フェライト系であれば、Cr:10.5質量%〜35質量%程度、好ましくは15質量%〜30質量%程度の鋼種を採用することができる。例えば、JIS G4305:2005や、JIS G4312−1991に規定される鋼種を例示することができる。あるいは、これらの規格鋼種などをベースとして他の合金元素を添加し、各種特性の改善を図ったステンレス鋼も使用できる。
ニッケル基合金としては、Cr:12質量%〜27質量%、Fe:5質量%〜18質量%を含有する高耐食性Ni−Cr−Fe合金を使用できる。この種の合金は「インコネル合金」として知られている。
そして、金属製平板状部材に、吐出面と反対側からパンチによる孔開け加工を行い、孔開け加工により生じるバリは、研磨又は化学的なエッチングにより除去する。
次いで、図4(b)の中間層形成工程では、中間層30として、ノズル基材20の表面にスパッタ法などでSiO膜31を成膜し、液体吐出面側と反対側の面にテープ60を貼り付けた後、SiO膜31の表面にシランカップリング剤層32を成膜して形成する。
ここで、シランカップリング剤としては、アミノ基を有するカップリング剤が好ましく、特に、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。具体的には、KBE−903(信越化学工業株式会社製)、A1100(モメンティブパフォーマンスマテリアル)などが挙げられる。シランカップリング剤層32の形成は、ディッピング法、スピンコート法、又はスプレー法などいずれの方法を用いてもよい。
その後、図4(c)に示す撥液膜40の成膜工程を行い、蒸着工法によって、ノズル基材20上に、撥液材料を蒸着して成膜する。このとき、撥液膜40はノズル基材20上であるシランカップリング剤層32の表面に成膜される。
含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂は、1.5×10−3Pa〜8.0×10−3Paの高真空下で、350℃〜420℃に加熱し、蒸着膜の厚みが蒸着源に対向したノズル基材20上の厚みが1μm〜3μmになるまで真空蒸着する。図5は、真空蒸着の説明に供する説明図である。真空蒸着は、例えば、図5に示すように、真空槽500内に、蒸着源501とノズル基材20とを対向配置して行う。
液体吐出面上の撥液膜のノズル孔のエッジの外周部分において、ノズル孔のエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を形成する方法としては、特に限定されないが、真空蒸着することで容易に斜面領域を形成できる。
続いて、図4(d)に示すように、アニーリング(加熱処理)による平坦化工程を行う。ノズル基材20を特に加熱せず、成り行きの温度で蒸着することで得られた膜を、フッ素樹脂のガラス転移点Tg以上の温度でベークする(アニーリング)加熱処理を行う。
ベークは、対流式乾燥炉、循環送風式乾燥炉、フラッシュアニール装置、ハロゲンランプヒータ、真空乾燥機など、いずれの方法でもよいが、窒素雰囲気下で実施するのが好ましい。ベーク温度は、フッ素樹脂のガラス転移点Tgより20℃〜30℃高い温度が好ましく、例えばガラス転移点Tgが160℃(テフロン(登録商標)AF1600)の場合は、およそ180℃での加熱が好ましい。フッ素樹脂のガラス転移点Tg以上の温度でベーク(アニール)することにより、緻密で、表面が平滑で、ノズル11のエッジへ近づくに従って膜厚が薄くなる斜面領域41を有する撥液膜40としてのフッ素樹脂膜となる。
図6Aは、ベーク前の状態の説明に供する撥液膜のSEM写真である。図6Bは、ベーク前の状態の説明に供する撥液膜のSEM写真である。図7Aは、ベーク後の状態の説明に供する撥液膜のSEM写真である。図7Aは、ベーク後の状態の説明に供する撥液膜のSEM写真である。例えば、ベーク前は、図6A及び図6Bに示すように、膜内部には細孔600が存在し、膜表面は純水に対する接触角が114°、算術平均粗さRa=8nmであるのに対して、ベーク後は、図7A及び図7Bに示すように、膜内部には空洞がなくなり、膜表面は純水に対する接触角が129°、算術平均粗さRaは1nm以下となる。
また、フッ素樹脂膜の表面は、ノズル11のエッジ11aから40nmの範囲内でテーパ形状(斜面形状)となり、40nmの周囲より外側では平坦な面となった。
なお、蒸着工程(図4(c))の後に加熱処理を行うのではなく、蒸着工程中に加熱処理(アニール)を行ってもよい。ノズル基材20を加熱しながらフッ素樹脂を蒸着することで、フッ素樹脂のガラス転移点(Tg)に達しない温度での加熱処理でも、フッ素樹脂の表面を平滑にすることができる。
次に、撥液膜の成膜方法について説明する。含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を使用し、蒸着によりノズル基材に成膜した撥液膜は、液相法(例えば、ディッピング)で得られる撥液膜と異なり、最表面が微小な凹凸状態になることが判明した。また、上述したように、膜内部には細孔が存在する。そのため、界面活性剤が添加されている液体、有機溶剤からなる液体のように表面張力が低い液体の場合には、ノズル面に設けたフッ素樹脂本来の撥液性を確保できない。
そこで、上記実施形態では、蒸着後、若しくは、蒸着中に撥液膜を加熱することにより、撥液膜を流動させることで、膜の表面を平滑化し、膜内部の細孔が無くなるようにしている。そのため、蒸着後に撥液膜を加熱する場合には、上記フッ素樹脂のガラス転移点Tg以上の温度で加熱処理している。他方、ガラス転移点(Tg)より大幅に高い温度での加熱は、気相法で得られた高い寸法精度の膜形状を溶融し壊してしまうことから、ガラス転移点Tgより20℃〜30℃高い温度で、成膜後の撥液膜を加熱処理することが好ましい。
また、蒸着工程中に加熱処理を行う場合は、ノズル基材20を加熱しながらフッ素樹脂を蒸着する。これにより、ノズル基材20に成膜された直後の撥液膜を加熱することになるので、ガラス転移点Tgに達しない温度での加熱処理とすることができる。この場合、ノズル基材や中間層に用いる材料を、耐熱性が比較的低い材料も選択することができる。撥液膜のノズル孔への侵入率は、下記数式(4)で表される。なお、本実施形態でノズルの内壁面にも撥液膜を有する場合とは、下記数式(4)で表される侵入率が20%以上100%以下である場合と定義する。
Figure 0006915290
[数式4]
蒸着法では、後処理することなく、均一かつ所望の厚み以下の撥液膜をノズル内壁に形成できる。ディップ法、或いはスピンコート法では、撥液膜でノズル孔をふさいでしまうため、ノズル孔部を貫通させるための後処理を要する。
<液体>
乾燥性に優れた表面張力の低い液体は、ノズル孔中でのメニスカスを形成する力が弱く、ノズル孔の汚れ等によりメニスカスが破壊されやすいため、ノズルで吐出させようとした場合に噴射曲がりを起こすことがある。ノズル内壁に撥液膜材料を有する場合、ノズル孔中で液体はぬれ広がりにくく、メニスカスをよく保つことができる。メニスカスが安定することで、液体の吐出曲りが生じにくくなり、吐出安定性が向上する。
液体の動的表面張力Aが25℃における最大泡圧法による表面寿命15msecで25mN/m以上35mN/m以下であり、この動的表面張力Aと静的表面張力Bの関係が1.5≦A/B≦2であることで、着弾後の濡れ性が高まりインクのレベリング性がよくなる。また静的表面張力Bが上記式の関係になることで、紙面に早く浸透するので、紙面上のインクが素早く紙面上に吸収される。液体の動的表面張力A、及び静的表面張力Bを上記の範囲に調整する方法は特に限定されないが、界面活性剤と適量用いて調整することが挙げられる。
動的表面張力は、例えば、ポータブル表面張力計(英弘精機株式会社製、SITA DynoTester)により測定することができる。測定条件は、温度:25℃、bublelifetime:15msecである。
<<インク>>
吐出される液体が、水、色材、及び有機溶剤を含有するインクである場合について、以下に説明する。ただし、液体はその他の添加物を含んでいてもよい。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料をインク中に分散させるには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料等が使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂株式会社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
前記分散剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、トータルHSP(Hansen solubility parameter)値が20[(J/cm0.5]以上24.9[(J/cm0.5]以下である樹脂粒子が好ましい。この理由として、トータルHSP値が20[(J/cm0.5]以上24.9[(J/cm0.5]以下の場合、ノズル内のメニスカスが乾燥しやすい状態で放置された後でも、本実施形態における撥液膜に対して樹脂粒子の固着が抑制された。このことは一定時間キャッピングされずに放置されたヘッドにおいても、正常に吐出できることを意味する。
樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよいが、トータルHSP値が20[(J/cm0.5]以上24.9[(J/cm0.5]以下の市販品としては、例えば、三井化学株式会社製タケラックWS−4000、W−6010、W−6110、W−6061、W−5661、W−6010などが挙げられる。
HSP値とはハンセンの溶解度パラメーターを示し、物質の溶解性を表す指標である。HSP値は、溶剤ハンドブック(発行:株式会社講談社サイエンティフィック)などにおいて採用されているヒルデブランドのSP値とはその思想が異なり、溶解性を多次元(典型的には、3次元)のベクトルで表す。このベクトルは、代表的には、分散項、極性項、水素結合項で表すことができ、この分散項はファンデルワールス力、極性項はダイポール・モーメント、水素結合項は水、アルコールなどによる作用を反映している。トータルHSP値は、上記三つのベクトル和である。HSP値は、HSPiPなどの、ソフトウエアにより算出することが可能である。
樹脂粒子のトータルHSP値は、実験的に求めた溶解性から算出することができる。前記HSP値が既知である十数種類の溶媒を用いて、樹脂の膨潤試験を行う。膨潤試験の方法は、例えば、テフロン(登録商標)容器に樹脂粒子が分散した樹脂エマルジョン液を流し込み、50℃で3時間乾燥させて作製する、1cm角、厚み2mmの樹脂片を、溶媒に1時間浸漬した際の質量の増加率を評価するものである。そうして溶媒ごとの溶解性を求めた結果を、HSPiPなどの、ソフトウエアに入力することで目的の樹脂のHSP値を算出できる。
樹脂粒子のガラス転移点(Tg)は、−30℃以上30℃以下であることが好ましい。この理由として、30℃以下であることで、室温での成膜が可能であり、紙面上で速やかに成膜されるためブロッキングを予防できる。更に、ガラス転移点(Tg)が低い樹脂では、ノズル内壁に固着しやすくメニスカスの破壊の原因になりうるという課題があったが、本実施形態ではノズル内壁まで撥液膜を有しているため、−30℃以上であれば、撥液膜にも固着せずにメニスカスを形成できる。
樹脂粒子のガラス転移点(Tg)は、例えば、高感度示差走査熱量計(株式会社リガク製、Thermo plus EVO2 DSC8231)により測定することができる。具体的には、装置内に基準試料と測定試料を入れて、−70℃から140℃まで、10℃/minで昇温させた際の2つの試料の温度差から、熱エネルギーの変化を定量的に測定してTgを特定する方法である。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン化合物を含むことが好ましい。前記ポリエーテル変性シロキサン化合物を界面活性剤として用いることにより、インク吐出ヘッドのノズル板の撥液膜に濡れ難いインクとなり、インクのノズル付着による吐出不良を防ぎ、吐出安定性が向上する。
ポリエーテル変性シロキサン化合物としては、着色剤の種類や有機溶剤の組合せによって分散安定性を損なわず、動的表面張力が低く、浸透性、及びレベリング性の点から、下記一般式(III)から(VI)で表される化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 0006915290
[一般式(III)]
ただし、一般式(III)中、mは、0〜23の整数を示し、nは、1〜10の整数を示す。aは、1〜23の整数を示し、bは、0〜23の整数を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Figure 0006915290
[一般式(IV)]
ただし、一般式(IV)中、mは、1〜8の整数を示し、c及びdは、1〜10の整数を示す。R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Figure 0006915290
[一般式(V)]
ただし、一般式(V)中、eは、1〜8の整数を示し、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Figure 0006915290
[一般式(VI)]
ただし、一般式(VI)中、fは、1〜8の整数を示す。Rは、下記一般式(VI−1)で表されるポリエーテル基を表す。
Figure 0006915290
ただし、一般式(VI−1)中、gは、0〜23の整数を示し、hは、0〜23の整数を示し、g及びhが同時に0となることはない。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
一般式(III)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006915290
Figure 0006915290
Figure 0006915290
Figure 0006915290
Figure 0006915290
Figure 0006915290
Figure 0006915290
[構造式(XII)]
Figure 0006915290
[構造式(XIII)]
前記一般式(IV)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006915290
[構造式(XIV)]
前記一般式(V)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006915290
[構造式(XV)]
前記一般式(VI)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006915290
[構造式(XVI)]
Figure 0006915290
[構造式(XVII)]
Figure 0006915290
[構造式(XVIII)]
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第5101598号公報、特許第5032325号公報、特許第5661229号公報などの記載を参照することができる。
具体的には、(A)ポリエーテルと、(B)オルガノハイドロジェンシロキサンとを、ヒドロシリル化反応させることにより合成することができる。
(A)成分のポリエーテルは、−(C2nO)−(式中、nは2〜4である。)によって表されるポリオキシアルキレンコポリマーを示す。
前記ポリオキシアルキレンコポリマー単位は、好ましくは、オキシエチレン単位−(CO)−、オキシプロピレン単位−(CO)−、オキシブチレン単位−(CO)−、又はそれらの混合単位を含むことができる。オキシアルキレン単位は、どのようなやり方で配置されていてもよく、ブロック又はランダムコポリマー構造のいずれかを形成できるが、好ましくはランダムコポリマー基を形成する。より好ましくはポリオキシアルキレンは、オキシエチレン単位(CO)及びオキシプロピレン単位(CO)の両方をランダムコポリマー中に含む。
(B)成分のオルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子当たり少なくとも1つの、ケイ素に結合した水素(SiH)を含むオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサンとしては、例えば、(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、(SiO)(ただし、式中、Rは独立して有機基又は炭化水素基である)のシロキシ単位の任意の数あるいは組み合わせなどが挙げられる。
オルガノポリシロキサンの(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)のRがメチル基である場合は、前記シロキシ単位は、それぞれM、D、及びT単位として示され、一方、(SiO)シロキシ単位はQ単位として示される。
オルガノハイドロジェンシロキサンは類似した構造をもっているが、シロキシ単位上に存在する少なくとも1つのSiHを有する。
オルガノハイドロジェンシロキサン中のメチル系シロキシ単位は、「M」シロキシ単位(RHSiO0.5)、「D」シロキシ単位(RHSiO)、「T」シロキシ単位(HSiO1.5)を含むものとして表すことができる。
オルガノハイドロジェンシロキサンは、少なくとも1つのシロキシ単位がSiHを含むことを条件として、任意の数のM、M、D、D、T、T、又はQシロキシ単位を含むことができる。
(A)成分及び(B)成分は、ヒドロシリル化反応によって反応させる。ヒドロシリル化反応は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヒドロシリル化触媒を添加して行うことが好ましい。
ヒドロシリル化触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、もしくはイリジウム金属、又はそれらの有機金属化合物、あるいはそれらの組み合わせなどが挙げられる。
ヒドロシリル化触媒の含有量は、(A)成分及び前記(B)成分の重量を基準にして、0.1ppm以上1,000ppm以下が好ましく、1ppm以上100ppm以下がより好ましい。
ヒドロシリル化反応は、希釈なし、あるいは溶媒の存在下で行うことができるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
溶媒としては、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn−プロパノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、又はキシレン);脂肪族炭化水素(例えば、ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン);グリコールエーテル(例えば、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、又はエチレングリコールn−ブチルエーテル)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、又はメチレンクロライド、クロロホルム)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、揮発油、ミネラルスピリット、又はナフサなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ヒドロシリル化反応に用いられる前記(A)成分及び前記(B)成分の量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができ、(A)成分中の全不飽和基と、(B)成分のSiH含有量とのモル比で表される。オルガノハイドロジェンシロキサンのSiHモル量に対して、20モル%以下のポリエーテル不飽和基量を用いて行うことが好ましく、10モル%以下のポリエーテル不飽和基量を用いて行うことがより好ましい。
ヒドロシリル化反応は、特に制限はなく、公知の任意のバッチ法、半連続法、又は連続法において行うことができ、例えば、プラグフロー反応器を用いた連続法で行うことができる。
ポリエーテル変性シロキサン化合物の市販品としては、例えば、71ADDITIVE、74ADDITIVE、57ADDITIVE、8029ADDITIVE、8054ADDITIVE、8211ADDITIVE、8019ADDITIVE、8526ADDITIVE、FZ−2123、FZ−2191(いずれも、TORAY ダウ・コーニング株式会社製);TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4460(いずれも、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製);シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG003、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG503A、シルフェイスSAG008、シルフェイスSJM003(いずれも、日信化学工業株式会社製);TEGO Wet KL245、TEGO Wet 250、TEGO Wet 260、TEGO Wet 265、TEGO Wet 270、TEGO Wet 280(いずれも、エボニック社製);BYK−345,BYK−347,BYK−348,BYK−375,BYK−377(いずれも、ビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、TEGO Wet 270(エボニック社製)、シルフェイスSAG503A(日信化学工業株式会社製)が好ましい。
前記界面活性剤としては、前記ポリエーテル変性シロキサン化合物以外にも、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール又はアセチレンアルコール系界面活性剤などを併用してもよい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの固形分含有量としては、1質量%以上13質量%以下が好ましい。固形分含有量が、13質量%以下であることでノズル孔への固着が発生しにくくなり、良好な吐出性が得られる。
インクの固形分の平均粒子径としては、累積50%粒径(D50)で、80nm以上200nm以下が好ましい。累積50%粒径(D50)が80nm以上であることで,印刷対象表面上に粒子が残りやすくなり,濃度ムラは低減される。また、累積50%粒径が、200nm以下であることで、固形分によるノズル詰まりが発生しにくくなる。インクの固形分の平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インク中の水分が蒸発すると、インク中の固形分含有量の増加等により増粘することがある。増粘率が高いと増粘インクによりノズル孔が詰まりやすくなり、吐出異常の原因となる。良好な吐出を維持するには、30質量%の水分が蒸発した時に,下記数式(5)で表される粘度増加率は、600%以下が好ましく、400%以下がより好ましい。
Figure 0006915290
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<記録媒体>
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
<液体吐出ヘッド>
本実施形態の液体を吐出する装置は、ノズル板を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する液体吐出ヘッドを備えている。
<<その他の部材>>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加圧室、刺激発生手段などが挙げられる。
−加圧室−
加圧室は、ノズル板に設けられた複数のノズル孔に個別に対応して配置され、ノズル孔と連通する複数の個別流路であり、インク流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室などと称することもある。
−刺激発生手段−
刺激発生手段は、インクに印加する刺激を発生する手段である。
刺激発生手段における刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。刺激発生手段としては、具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
刺激が「熱」の場合、インク吐出ヘッド内のインクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、例えば、サーマルヘッド等を用いて付与する。熱エネルギーによりインクに気泡を発生させ、気泡の圧力により、ノズル板の前記ノズル孔からインクを液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
刺激が「圧力」の場合、例えば、前記インク吐出ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓む。それにより、圧力室の容積が収縮して、インク吐出ヘッドの前記ノズル孔からインクを液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
これらの中でも、ピエゾ素子に電圧を印加してインクを飛翔させるピエゾ方式が好ましい。
ここで、本実施形態で用いられる液体吐出ヘッドの一例について、図8から図10を参照して説明する。図8は同ヘッドの外観斜視説明図、図9は図8のA−A線に沿うノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図、図10は図8のB−B線に沿うノズル配列方向(液室短手方向)の断面説明図である。
液体吐出ヘッドは、本実施形態に係るノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、液体吐出ヘッドは、振動板部材3を変位させる圧電アクチュエータ14と、共通流路部材としてのフレーム部材16とを備えている。
ノズル板1、流路板2及び振動板部材3によって、液滴を吐出する複数のノズル11が通じる個別流路を形成している。個別流路は、ノズル11側を下流側とするとき、下流側からノズル11が通じる個別液室6と、個別液室6に液体を供給する流体抵抗部7と、流体抵抗部7に通じる液導入部8とで構成される。
そして、フレーム部材16の共通流路としての共通液室10から振動板部材3に形成した導入口部(供給口)9を通じて、個別流路に液体が導入され、液導入部8、流体抵抗部7を経て個別液室6に液体が供給される。なお、導入口部9にはフィルタが設けられてもよい。
ここで、ノズル板1は、上述した本実施形態に係るノズル板であって、液体吐出面には撥液膜が設けられているものである。
流路板2は、SUS基板をエッチングして、個別液室6、流体抵抗部7、液導入部8などの個別流路5を形成する貫通部を形成している。
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する壁面部材である。この振動板部材3は3層構造とし、流路板2側を1層目とするとき、1層目で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域(振動板)31を形成している。
この振動板部材3は、ニッケル(Ni)の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法(電鋳)で製造したものを用いている。これに限らず、その他の金属部材、樹脂部材、樹脂層と金属層の積層部材などを用いることができる。
そして、この振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域31を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ14を配置している。
この圧電アクチュエータ14は、ベース部材13上に接着剤接合した複数の積層型圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材12に対して所要数の圧電柱12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
圧電部材12の圧電柱12A、12Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電柱を駆動圧電柱(駆動柱)12A、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電柱を非駆動圧電柱(非駆動柱)12Bとして区別している。
そして、駆動柱12Aを振動板部材3の振動領域31に形成した島状の厚肉部である凸部31aに接合している。また、非駆動柱12Bを振動板部材3の厚肉部である凸部31bに接合している。
この圧電部材12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、駆動柱12Aの外部電極に駆動信号を与えるための可撓性を有するフレキシブル配線基板としてのFPC15が接続されている。
フレーム部材16は、例えば、エポキシ系樹脂或いは熱可塑性樹脂であるポリフェニレンサルファイト等で射出成形により形成し、ヘッドタンクや液体カートリッジから液体が供給される共通液室10が形成されている。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば駆動柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって駆動柱12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域31が下降して個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内に液体が流入する。
その後、駆動柱12Aに印加する電圧を上げて駆動柱12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域31をノズル11方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル11から液滴が吐出(噴射)される。
そして、駆動柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3の振動領域31が初期位置に復元し、個別液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から個別液室6内に液体が充填される。そこで、ノズル11のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
このように、この液体吐出ヘッドは本発明に係るノズル板を備えているので、滴吐出特性のバラツキの少ない安定した滴吐出を行うことができる。
次に、本発明の液体を吐出する装置の一例について図11及び図12を参照して説明する。図11は同装置の要部平面説明図、図12は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、本実施形態で用いられるノズル板を含む液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。
液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパー部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
このように、この装置では、本発明で用いられる液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、本発明で用いられる液体吐出ユニットの他の例について図13を参照して説明する。図13は同ユニットの要部平面説明図である。
この液体吐出ユニットは、液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図14を参照して説明する。図14は同ユニットの正面説明図である。
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
本実施形態において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能もの」とは液体が一時的にでも付着可能なものを意味する。「液体が付着するもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液なども含まれる。
また、「液体を吐出する装置」には、特に限定しない限り、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、図12で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図13で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、図14で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本実施形態の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、実施例において範囲を示すために用いられる波ダッシュ「〜」の記号は、特に指定した場合を除き、その前後に記された値を含むものとする。
(実施例1)
<ノズル板の作製>
−ノズル基材の作製−
長さ30mm、幅15mm、厚み0.05mmのSUS316Lからなる金属製平板状部材に対し、液体吐出面の反対側からパンチによって孔開け加工を行った。孔開け加工に用いたパンチは、円筒状の先端部分を長さ10μm、直径20μmとした。なお、液体吐出面側に生じたバリは研磨により除去した。これにより、図2に示す液体吐出面側の円筒状部分21aの直径が20μm、液体吐出面の反対側の面の円錐台形状部分21bの開口の直径が40μm、円筒状部分21aの高さが10μmのノズル孔21を384個形成したノズル基材20を得た。
次いで、中間層30として、ノズル基材20の表面にスパッタ法でSiO膜31を成膜し、液体吐出面と反対側の面にテープ60を貼り付けた後、SiO膜31の表面にシランカップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、KBE−903(信越化学工業株式会社製))の層32をスピンコート法で成膜して形成した。
−撥液膜の形成−
ノズル基材20の液体吐出面側に、テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)を、1.5×10−3Pa〜8.0×10−3Paの高真空下で、350℃〜420℃に加熱し、蒸着膜の平均厚みが蒸着源に対向した部分で1μm〜3μm程度になるまで真空蒸着した。得られた蒸着膜は、フッ素樹脂のガラス転移点(Tg)以上の温度(320℃)で5〜60分間ベークすることにより、緻密で表面が平滑な撥液膜40となるフッ素樹脂膜を形成した。撥液膜の液体吐出面として利用する面側表面の平均膜厚は、2.0μmであった。なお、平均膜厚は、断面SEM観察(日本電子株式会社製、JSM−7001F)により測定した。得られたノズル板は、図2に示すように、ノズルの外周部分において、ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域を有しており、ノズル基材20のノズル孔21の内壁面にも撥液膜40を形成していた。ここで、ノズル11の内壁面(ノズル基材20のノズル孔21の壁面に相当する。)の撥液膜40bの膜厚t2は、撥液膜40aの領域42の膜厚t1の1/10以下(t2/t1≦0.1)であった。
<インクの調製>
−顔料分散体の調整−
−シアン顔料分散液の調製−
シアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を低温プラズマ処理しカルボン酸基を導入したイエロー顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを限外濾過膜により脱塩濃縮して、顔料濃度15質量%の調製例1のシアン顔料分散液を得た。
−インクの調整−
表2−1の配合となるように、調製例1のシアン顔料分散液に各材料を撹拌装置に添加し、攪拌後1.0μのポリプロピレンフィルターで濾過を行い、実施例1で用いるインクを調製した。なお、表2−1、及び表2−2における配合量の数値は「質量%」である。
(実施例2〜15)
<ノズル板の作製>
実施例1で用いるノズル板の撥液膜材料、製造方法、及びベーク温度を表1のとおり変更して実施例2で用いるノズル板を作製した。実施例3〜15では、実施例1で用いるノズル板と同じノズル板を用いた。実施例2で用いるノズル板について、実施例1と同様に、ノズル内壁面の撥液膜の有無、斜面領域の有無を確認し、t2/t1を測定した。
<インクの調製>
実施例1で利用するインクの組成を、表2−1、又は表2−2に示す組成に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜15で用いるインクを調整した。実施例2〜15で用いるインクには、実施例1、又は他の実施例で用いるインクと同じものも含まれている。
(比較例1)
<ノズル板の作製>
テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)2質量部、及びフッ素系溶剤(FC−75、住友3M株式会社製)98質量部を混合溶解し、樹脂溶液を作製した。予め、超音波で洗浄した長さ30mm、幅15mm、厚み0.05mmのポリイミドフィルム(ユーピレックス(登録商標)S、宇部興産株式会社製)の表面に対し、上記樹脂溶液をスピンコート法により、1st・5,000rpm/5秒間、2nd・1,500rpm/20秒間の条件で塗布し、30分間自然乾燥後、320℃でベークすることにより、撥液膜を形成した。ポリイミドフィルムの裏面から、KrFエキシマレーザーにより、液体吐出側の面側の円筒状部分21aの直径が20μmノズル孔を384個形成したノズル板を作製した。
<インクの調製>
表2−1のとおり、実施例1と同じインクを用いた。
(比較例2)
<ノズル板の作製>
含フッ素アクリレートエステル重合体溶液(オプツールDSX原液、ダイキン工業株式会社製)をロータリーポンプにより10−1Paまで減圧し、その状態で室温(25℃)から徐々に約450℃まで昇温させることで、蒸着膜の厚みが蒸着源に対向した部分で20nm程度になるまでSiO膜が成膜されたノズル基材20に対して蒸着し、蒸着膜を形成した。得られた蒸着膜を、70℃で10分間ベークすることにより、緻密で表面が平滑な撥液膜となるフッ素樹脂膜を形成し、ノズル板を作製した。得られたノズル板について、実施例1と同様に、ノズル内壁面の撥液膜の有無、斜面領域の有無を確認し、t2/t1を測定した。
<インクの調製>
実施例1と同じインクを用いた。
(比較例3〜7)
<ノズル板の作製>
実施例1と同じノズル板を用いた。
<ノズル板の作製、及びインクの調製>
実施例1のインク組成を、表2−1に示す組成に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例2〜7で用いるインクを調製した。
Figure 0006915290
*○:ノズルの内壁面側の撥液膜の膜厚t2が、液体吐出面側の撥液膜の領域の膜厚t1の1/10以下(t2/t1≦0.1)である。
*×:ノズルの内壁面側の撥液膜の膜厚t2が、液体吐出面側の撥液膜の領域の膜厚t1の1/10を超えている。
*AF2400:テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(テフロン(登録商標)AF2400、デュポン社製)
*AF1600:テトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマー(商品名、テフロン(登録商標)AF2400、AF1600、デュポン社製)
*オプツールDSX:含フッ素アクリレートエステル重合体溶液、ダイキン工業株式会社製
Figure 0006915290
Figure 0006915290
*モビニール5450:日本合成化学工業
*TEGO WET270:Evonik Industries社製
*サーフィノール465:信越化学工業株式会社
<動的表面張力>
各実施例、又は比較例で用いるインクの動的表面張力を、ポータブル表面張力計(英弘精機株式会社製、SITA DynoTester)により、温度:25℃、bublelifetime:15msecの条件で測定した。
<静的表面張力>
各インクの静的表面張力は、表面張力計(協和界面株式会社製、DY300)を用いて、温度:25℃の条件で測定した。
動的表面張力の測定結果、静的表面張力の測定結果、及び動的表面張力の測定結果を静的表面張力の測定結果で除したものを表3に示す。なお、表3中、動的表面張力の測定結果、及び静的表面張力の測定結果の単位は「mN/m」である。
Figure 0006915290
各実施例、及び比較例において、表1に示すノズル板を備える液体吐出ヘッド、並びに表2−1、又は表2−2に示すインクを、液体を吐出する装置としてのインクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)に搭載した。各実施例、及び比較例のインクジェットプリンタを用いて、以下に示す諸特性の評価を行った。結果を表4に示す。
評価1<ビーディング>
GXe5500を用いて、リコービジネスコートグロス100に光沢紙−きれいモード、色補正なしを選択肢、シアンベタ画像を印字し、濃度ムラ(ビーディング)の目視判定を行った。Bランク以上であれば、装置を好適に実用できる。
[評価基準]
A:全くなし。
B:30cm離れたところから濃度ムラが確認できる。
C:1m離れたところからでも濃度ムラが確認できる。
D:1.5m以上離れたところからでも濃度ムラが確認できる。
<吐出安定性>
各実施例、及び比較例のインクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)を用いて、3万回のクリーニングを実施した後の状態(耐久試験後)で、それぞれノズルチェックパターンを印刷し、印刷されたノズルチェックパターンを目視観察して噴射曲がりの有無から、下記基準にしたがって、吐出安定性を評価した。Bランク以上であれば、装置を好適に実用できる。
[評価基準]
A:初期状態と同等の良好な吐出安定性を有している
B:吐出異常が10ch以下
C:吐出異常が100ch以下
D:吐出異常が150ch以下
<インク保存安定性>
E−550L(東機産業株式会社製:コーン1°34’×R24)を用いて、保存前の粘度と、密封した容器中で70℃14日間保存した後に測定した粘度から保存安定度を次式に従って求め、以下の基準に基づいて評価した。Aランクであれば、装置を好適に実用できる。
[評価基準]
A:100±5%以内
B:100±5%超え〜±10%未満
C:100±10%以上
Figure 0006915290
特開2008−188911号公報
1 ノズル板
11 ノズル
20 ノズル基材
21 ノズル孔
30 中間層
40 撥液膜
2 流路板
3 振動板部材
6 個別液室
10 共通液室
12 圧電部材
16 フレーム部材
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット

Claims (9)

  1. 液体を吐出するノズルと、
    液体吐出面側、及び前記ノズルの内壁面側に撥液膜を有するノズル板と、を備え、
    前記撥液膜は、含フッ素ヘテロ環状構造を有する構造単位を含むフッ素樹脂を含有し、
    前記撥液膜には、前記液体吐出面側において、前記ノズルのエッジ側に向かって膜厚が薄くなる方向に傾斜している斜面領域があり、
    前記内壁面側の前記撥液膜の膜厚は、前記液体吐出面側における前記斜面領域以外の領域の前記撥液膜の膜厚の1/10以下であり、
    前記液体の15msにおける動的表面張力Aと静的表面張力Bの関係が1.5≦A/B≦2であり、
    前記液体の15msにおける動的表面張力Aが25mN/m以上35mN/m以下である
    液体を吐出する装置。
  2. 前記フッ素樹脂が、更に、下記構造式(x)で表される構造単位を含む請求項1に記載の液体を吐出する装置。
    Figure 0006915290
  3. 前記含フッ素ヘテロ環状構造が、エーテル結合を有する請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
  4. 前記液体が、水、顔料、及び有機溶剤を含有するインクである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体を吐出する装置。
  5. 前記インクにおいて、固形分のD50粒径が80nm以上、200nm以下である請求項4に記載の液体を吐出する装置。
  6. 前記撥液膜の下地との界面における前記フッ素樹脂の数平均分子量Cと前記撥液膜の最表面における前記フッ素樹脂の数平均分子量Dの間にC<Dの関係がある請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体を吐出する装置。
  7. 前記ノズル板における基材と前記撥液膜とが、シランカップリング剤層を介して密着している請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体を吐出する装置。
  8. 前記シランカップリング剤層は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含む請求項7に記載の液体を吐出する装置。
  9. 前記撥液膜の前記液体吐出面側の膜厚は、1μm以上3μm以下である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液体を吐出する装置。
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