(第一実施形態)
(冷凍サイクル装置の構成)
以下、本発明に係る冷凍サイクル装置の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、箱型に形成された筐体5の内部に、蒸気圧縮式の冷凍サイクル10を収容して構成されており、第一送風機25及び第二送風機26からの送風空気を、冷凍サイクル10で温度調整して供給する。
冷凍サイクル装置1は、例えば、シート空調装置として利用可能であり、車両に配置されたシートの座面部と車室床面との間の小さなスペースに配置される。この場合に、冷凍サイクル装置1は、冷凍サイクル10によって温度調整された空気を、シートを介して供給することで、シートに座った乗員の快適性を高めることができる。
筐体5は、シートの座面部と車室床面との間の小さなスペース内に配置可能な箱型に形成されており、冷凍サイクル装置1の外殻を構成している。筐体5の一面側(即ち、図1における前面側)は開放されており、冷凍サイクル装置1における空調風の吹出口として機能する。
筐体5の吹出口と対向する面には、第一送風機25及び第二送風機26が配置されている。第一送風機25は、冷凍サイクル10を構成する凝縮部12における熱交換の対象である空気を送風する。第二送風機26は、冷凍サイクル10を構成する蒸発部14における熱交換の対象である空気を送風する。
なお、第一送風機25、第二送風機26としては、図1中に太線矢印で示す送風方向に送風することができれば、その方式は限定されるものではない。第一送風機25、第二送風機26として、軸流式送風機を用いても良いし、遠心多翼ファンを用いた送風機としても良い。また、第一送風機25、第二送風機26として、斜流式送風機、貫流式送風機を採用することも可能である。
第一送風機25を構成する電動モータ、及び第二送風機26を構成する電動モータは、それぞれ図2に示す空調制御装置51から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御される。この電動モータとしては、交流モータ、直流モータの何れの形式を採用してもよい。
そして、冷凍サイクル10は、筐体5の内部に収容されており、第一送風機25、第二送風機26から送風される送風空気を冷却或いは加熱する機能を果たす。そして、図2に示すように、冷凍サイクル10は、圧縮機11、凝縮部12、減圧部13、及び蒸発部14を有している。
図2に示すように、冷凍サイクル10は、圧縮機11から吐出された冷媒を複数に分岐させる分岐部21と、分岐部21によって分岐された冷媒が流れる複数の冷媒流路20と、複数の冷媒流路20から流出した冷媒を合流させて圧縮機11の吸込口へ導く合流部22とを有している。
本実施形態の冷凍サイクル装置1において、図3に示すように、各冷媒流路20は、一対の板部材(具体的には、第一板部材31Aと第二板部材31Bを貼り合わせることによって構成される)の流路ユニット30の内部に形成される。流路ユニット30の詳細構成については後述する。図1に示すように、流路ユニット30は、流路ユニット30の厚さ方向(即ち、図1における上下方向)に複数組積層されることによって、複数の冷媒流路20を形成している。
図1に示すように、各流路ユニット30は、所定の間隔をあけて積層されており、各流路ユニット30の間には、コルゲートフィン27が配置されている。コルゲートフィン27は、第一送風機25、第二送風機26からの送風空気と冷媒流路20内を流れる冷媒との熱交換を促進するものである。第一送風機25、第二送風機26からの送風空気は、この空間を介して流れ、冷媒流路20内を流れる冷媒と熱交換して加熱又は冷却される。
なお、冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。もちろん、冷媒としてHFO系冷媒(例えば、R1234yf)や自然冷媒(例えば、R744)等を採用してもよい。なお、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11は、筐体5内部に配置されており、冷凍サイクル10において、冷媒を吸込し、圧縮して凝縮部12に吐出する。圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて駆動する電動圧縮機として構成されている。この圧縮機構としては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用することができる。
圧縮機11を構成する電動モータは、図2に示す空調制御装置51から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御される。この電動モータとしては、交流モータ、直流モータの何れの形式を採用してもよい。そして、空調制御装置51が電動モータの回転数を制御することによって、圧縮機構の冷媒吐出能力が変更される。
図2に示すように、圧縮機11の吐出口には、分岐部21が接続されている。分岐部21は、圧縮機11から吐出された冷媒を複数の冷媒流路20に分岐させる。分岐部21は、後述する流路ユニット30の第一接続部32を複数接続することによって構成されている。
分岐部21の冷媒出口側には、凝縮部12の流入口側が接続されている。図1に示すように、凝縮部12は、筐体5内部において、第一送風機25の送風方向下流側に配置されており、複数の冷媒流路20の一部である第一熱交換流路34によって構成されている。
凝縮部12は、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒を放熱させて、高温高圧の冷媒を凝縮させるものである。凝縮部12は、高温高圧の冷媒が各第一熱交換流路34を流れる過程で、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒と第一送風機25により送風された送風空気とを熱交換させる。これにより、凝縮部12において高温高圧の冷媒の熱が送風空気に放熱されて、送風空気が加熱される。即ち、凝縮部12は、加熱用熱交換器として機能する。
冷媒流路20のうち凝縮部12の冷媒流れ下流側には、サブクール部15が形成されている。サブクール部15は、その内部を流通する冷媒と、後述するスーパーヒート部16を流通する冷媒との間で熱交換を行わせる部位である。サブクール部15及びスーパーヒート部16については、後で詳細に説明する。
冷媒流路20のうちサブクール部15の冷媒流れ下流側には、減圧部13が形成されている。減圧部13は、サブクール部15から流出した冷媒を減圧させる部位である。図2に示すように、減圧部13は、冷媒流路20の一部である減圧流路35によって構成されている。減圧流路35は、例えば、固定絞りである毛細管状のキャピラリーチューブによって構成されており、第一熱交換流路34から流出した冷媒を減圧させる。つまり、減圧流路35は、本実施形態に係る減圧部13として機能する。
そして、減圧部13の出口側には、蒸発部14の流入口側が接続されている。図1に示すように、蒸発部14は、筐体5内部において、第二送風機26の送風方向下流側に配置されており、複数の冷媒流路20の一部である第二熱交換流路36によって構成されている。蒸発部14は、減圧部13において減圧された冷媒を蒸発させるものである。冷媒が蒸発する際の気化熱によって、蒸発部14は冷却される。そして、蒸発部14は、各第二熱交換流路36を流れる過程で、減圧部13から流出した冷媒と、第二送風機26により送風された送風空気とを熱交換させ、冷媒に吸熱させて送風空気を冷却する。即ち、蒸発部14は、冷却用熱交換器として機能する。
冷媒流路20のうち蒸発部14の冷媒流れ下流側には、スーパーヒート部16が形成されている。図4に示すように、スーパーヒート部16とサブクール部15は、第一板部材31Aに形成された熱交換壁部17Aおよび第二板部材31Bに形成された熱交換壁部17Bとを介して隣接するように形成されている。これにより、スーパーヒート部16を流通する冷媒とサブクール部15を流通する冷媒とを熱交換させることができる。
より具体的には、サブクール部15を流通する冷媒は、スーパーヒート部16を流通する低温の冷媒によって冷却される。このため、サブクール部15では、凝縮部12において凝縮された冷媒が過冷却される。一方で、スーパーヒート部16を流通する冷媒は、サブクール部15を流通する高温の冷媒によって加熱される。このため、スーパーヒート部16では、蒸発部14から流出した冷媒が過熱される。
つまり、サブクール部15とスーパーヒート部16は、内部を流通する冷媒同士を互いに熱交換させる内部熱交換器を構成している。
なお、スーパーヒート部16は、冷凍サイクルの負荷変動等により、蒸発部14から気液二相の冷媒が流出した場合等に、当該冷媒が滞留させるアキュムレータとして機能させることもできる。つまり、負荷変動等により、スーパーヒート部16に、冷媒を一次的に滞留させて、スーパーヒート部16にて気液分離された冷媒のうち、気相の冷媒のみを圧縮機11に吸い込ませることもできる。
スーパーヒート部16の流出口側と圧縮機11の吸込口の間には、合流部22が接続されている。図2に示すように、合流部22は、それぞれの流路ユニット30において蒸発部14を構成する複数の第二熱交換流路36から流出した冷媒を合流させて、圧縮機11の吸込口へ導く。合流部22は、後述する流路ユニット30における第二接続部37を複数接続することによって構成される。
(流路ユニットの説明)
図3に示すように、第一実施形態の流路ユニット30は、第一板部材31Aと第二板部材31Bとを貼り合わせて構成されており、その内部には、一つの冷媒流路20が形成される。
第一板部材31A及び第二板部材31Bは、熱伝達性の良好な金属材料(例えば、アルミニウム合金や銅合金等)によって構成されている。第一板部材31A及び第二板部材31Bは、長方形状に形成されている。
第一板部材31Aと第二板部材31Bは、第一板部材31A及び第二板部材31Bよりも低融点の金属材料であるロウ材(例えば銀ろう)によるロウ付けによって貼り合わされる。なお、第一板部材31Aと第二板部材31Bを接着剤によって接着させて貼り合わせてもよい。
流路ユニット30内部に形成される一つの冷媒流路20によって、凝縮部12の一部として機能する第一熱交換流路34、サブクール部15、減圧部13の一部として機能する減圧流路35、蒸発部14の一部として機能する第二熱交換流路36、及びスーパーヒート部16が形成されている。流路ユニット30は、第一熱交換流路34の流入口側に、分岐部21の一部を構成する第一接続部32を有している。また、流路ユニット30は、第二熱交換流路36の流出口側に、合流部22の一部を構成する第二接続部37を有している。
図3の紙面上方側に示す第一板部材31Aは、筐体5内部に収容可能なサイズに形成された板状の部材である。図3に示すように、第一板部材31Aには、第一熱交換流路溝34A、サブクール溝15A、減圧流路溝35A、第二熱交換流路溝36A、スーパーヒート溝16A、第一接続凹部32A、及び第二接続凹部37Aが形成されている。これらの第一熱交換流路溝34A〜第二接続凹部37A等は、プレス形成、鋳造、切削等によって形成される。
図3に示すように、第一板部材31Aの長手方向の一端側には、第一熱交換流路溝34Aが配置され、第一板部材31Aの長手方向の他端側には、第二熱交換流路溝36Aが配置されている。第一板部材31Aの長手方向における中央部分には、つまり、第一熱交換流路溝34Aと第二熱交換流路溝36Aとの間には、窓穴形状の開口部39Aが、第一板部材31Aの表裏を貫通するように形成されている。開口部39Aは、流路ユニット30として積層された際に、圧縮機11の配置スペースとして利用される。
第一熱交換流路溝34Aは、第一板部材31Aの開口部39Aに対して一方側(例えば、図3における右側)に配置されている。第一熱交換流路溝34Aは、第一板部材31Aのうち、第二板部材31Bに対応する側の面において、蛇行状に曲がった溝として形成されており、流路ユニット30における第一熱交換流路34の一部(本実施形態では、上側部分)を構成する。
第一熱交換流路溝34Aの流入口側には、第一接続凹部32Aが形成されている。第一接続凹部32Aは、板材に絞り加工を施すことによって、第一板部材31Aの一面側が窪んだ椀状に形成されており、その内側と第一熱交換流路溝34Aとが接続されている。そして、椀状に形成された第一接続凹部32Aの突出部分には、連通穴33Aが形成されており、第一接続凹部32A内部との間を連通している。第一接続凹部32Aは、流路ユニット30における第一接続部32の一部を構成する。
図3に示すように、第一板部材31Aにおいて、第一熱交換流路溝34Aの流出口側には、サブクール溝15Aが配置されている。サブクール溝15Aは、第一板部材31Aの長手方向に沿って、つまり、第一熱交換流路溝34A側から第二熱交換流路溝36A側に流れるように形成されている。
図3に示すように、第一板部材31Aにおいて、サブクール溝15Aの流出口側には、減圧流路溝35Aが配置されている。減圧流路溝35Aは、第一板部材31Aの一面側において、蛇行状に曲がった細溝を有して形成されており、流路ユニット30における減圧流路35の一部(本実施形態では、上側部分)を構成する。
減圧流路溝35Aの流出口側には、第二熱交換流路溝36Aが形成されている。第二熱交換流路溝36Aは、第一板部材31Aの開口部39Aに対して他方側(例えば、図3における左側)に配置されている。そして、第二熱交換流路溝36Aは、第一板部材31Aの一面側において、蛇行状に曲がった溝として形成されており、流路ユニット30における第二熱交換流路36の一部(本実施形態では、上側部分)を構成する。
図3に示すように、第二熱交換流路溝36Aの流出口側には、スーパーヒート溝16Aが形成されている。本実施形態では、スーパーヒート溝16Aは、開口部39Aの周縁に沿って形成されている。スーパーヒート溝16Aの一部は、薄板形状の熱交換壁部17Aを介して、サブクール溝15Aと隣接している。
図3に示すように、スーパーヒート溝16Aの流出口側には、第二接続凹部37Aが形成されている。第二接続凹部37Aは、第一接続凹部32Aと同様に、板材に絞り加工を施すことによって、第一板部材31Aの一面側が窪んだ椀状に形成されており、その内側とスーパーヒート溝16Aとが接続されている。椀状に形成された第二接続凹部37Aの突出部分には、連通穴38Aが形成されており、第二接続凹部37A内部との間を連通している。第二接続凹部37Aは、流路ユニット30における第二接続部37の一部を構成する。
図3の紙面下方側に示す第二板部材31Bは、筐体5内部に収容可能なサイズに形成された板状の部材であり、第一板部材31Aと同じサイズで形成されている。図3、図4に示すように、第二板部材31Bには、第一板部材31Aと同様に、第一熱交換流路溝34B、サブクール溝15B、減圧流路溝35B、第二熱交換流路溝36B、スーパーヒート溝16B、第一接続凹部32B、及び第二接続凹部37Bが形成されている。これらの第一熱交換流路溝34B〜第二接続凹部37B等は、プレス形成、鋳造、切削等によって形成される。
図3、図4に示すように、第二板部材31Bの長手方向の一端側には、第一熱交換流路溝34Bが配置され、第二板部材31Bの長手方向の他端側には、第二熱交換流路溝36Bが配置されている。第二板部材31Bの長手方向における中央部分には、つまり、第一熱交換流路溝34Bと第二熱交換流路溝36Bとの間には、窓穴形状の開口部39Bが、第二板部材31Bの表裏を貫通するように形成されている。開口部39Bは、第一板部材31Aの開口部39Aと同様に、流路ユニット30として積層された際に、圧縮機11の配置スペースとして利用される。
第一熱交換流路溝34Bは、第二板部材31Bの開口部39Bに対して一方側(例えば、図3における右側)に配置されている。第一熱交換流路溝34Bは、第二板部材31Bのうち、第一板部材31Aに対応する側の面において、蛇行状に曲がった溝として形成されており、流路ユニット30における第一熱交換流路34の他の部分(本実施形態では、下側部分)を構成する。
従って、図3、図5に示すように、第一板部材31Aと第二板部材31Bとを貼り合わせて流路ユニット30を組み立てると、第一熱交換流路溝34Aと第一熱交換流路溝34Bによって、管路状の第一熱交換流路34が流路ユニット30の内部に形成される。
図3、図4に示すように、第二板部材31Bにおいて、第一熱交換流路溝34Bの流入口側には、第一接続凹部32Bが配置されている。第一接続凹部32Bは、板材に絞り加工を施すことによって、第二板部材31Bの一面側が窪んだ椀状に形成されており、その内側と第一熱交換流路溝34Bとが接続されている。椀状に形成された第一接続凹部32Bの突出部分には、連通穴33Bが形成されており、第一接続凹部32Bの内部と連通している。
図3に示すように、第一板部材31Aと第二板部材31Bとを貼り合わせて流路ユニット30を組み立てると、第一熱交換流路34の流入口側には、第一接続凹部32Aと第一接続凹部32Bによって、略球状に形成されて流路ユニット30の積層方向に突出する第一接続部32が形成される。
この第一接続部32には、第一接続部32を貫通するように、連通穴33Aと連通穴33Bが形成されている。従って、図5に示すように、複数の流路ユニット30を積層した場合には、下側の流路ユニット30における連通穴33Aと、上側の流路ユニット30における連通穴33Bとを接続することができる。これにより、積層した複数の流路ユニット30の第一接続部32の間における冷媒の流れが許容される為、各第一接続部32は、分岐部21の一部として機能する。
第一熱交換流路溝34Bの流出口側には、サブクール溝15Bが配置されている。サブクール溝15Bは、第二板部材31Bの長手方向に沿って、つまり、第一熱交換流路溝34B側から第二熱交換流路溝36B側に向かって形成されている。
従って、図3、図5に示すように、第一板部材31Aと第二板部材31Bとを貼り合わせて流路ユニット30を組み立てると、サブクール溝15Aとサブクール溝15Bによって、管路状のサブクール部15が流路ユニット30の内部に形成される。
図3、図4に示すように、第二板部材31Bにおけるサブクール溝15Bの流出口側には、減圧流路溝35Bが配置されている。減圧流路溝35Bは、第二板部材31Bの一面側において、第一板部材31Aにおける減圧流路溝35Aに対応して、蛇行状に曲がった細溝を有して形成されており、流路ユニット30における減圧流路35の他の部分(本実施形態では、下側部分)を構成する。
従って、第一板部材31Aと第二板部材31Bとを貼り合わせて流路ユニット30を組み立てると、減圧流路溝35Aと減圧流路溝35Bによって、冷媒流路20の他の部位と比較して流路断面積の小さい毛細管状の減圧流路35が流路ユニット30の内部に形成される。減圧流路35は、冷凍サイクル装置1における減圧部13を構成する。
第二板部材31Bにおける減圧流路溝35Bの流出口側には、第二熱交換流路溝36Bが形成されており、第二板部材31Bの開口部39Bに対して他方側(例えば、図3、図4における左側)に配置されている。そして、第二熱交換流路溝36Bは、第二板部材31Bの一面側において、第一板部材31Aの第二熱交換流路溝36Aに対応するように蛇行状に曲がった溝として形成されており、流路ユニット30における第二熱交換流路36の他の部分(本実施形態では、下側部分)を構成する。
図3、図5に示すように、第一板部材31Aと第二板部材31Bとを貼り合わせて流路ユニット30を組み立てると、第二熱交換流路溝36Aと第二熱交換流路溝36Bによって、管路状の第二熱交換流路36が流路ユニット30の内部に形成される。
図3、図4に示すように、第二熱交換流路溝36Bの流出口側には、スーパーヒート溝16Bが形成されている。本実施形態では、スーパーヒート溝16Bは、開口部39Bの周縁に沿って形成されている。スーパーヒート溝16Bの一部は、薄板形状の熱交換壁部17Bを介して、サブクール溝15Bと隣接している。
図3、図5に示すように、第一板部材31Aと第二板部材31Bとを貼り合わせて流路ユニット30を組み立てると、第一熱交換流路34の流出口側には、管路状のスーパーヒート部16が形成される。
図3に示すように、サブクール部15及びスーパーヒート部16は、凝縮部12と蒸発部14との間であって、流路ユニット30の長手方向の中央部に形成されている。
上述したように、スーパーヒート溝16A、16Bの一部は、薄板形状の熱交換壁部17A、17Bを介して、サブクール溝15A、15Bと隣接している。このため、サブクール部15内を流通する冷媒とスーパーヒート部16内を流通する冷媒との間で、熱交換壁部17A、17Bを介して、熱交換が行われる。
図3に示すように、スーパーヒート溝16Bの流出口側には、第二接続凹部37Bが形成されている。第二接続凹部37Bは、板材に絞り加工を施すことによって、第二板部材31Bの一面側が窪んだ椀状に形成されており、その内側とスーパーヒート溝16Bとが接続されている。椀状に形成された第二接続凹部37Bの突出部分には、連通穴38Bが形成されており、第二接続凹部37B内部との間を連通している。
図3に示すように、第一板部材31Aと第二板部材31Bとを貼り合わせて流路ユニット30を組み立てると、スーパーヒート溝16Bの流出口側には、第二接続凹部37Aと第二接続凹部37Bによって、略球状に形成されて流路ユニット30の積層方向に突出する略球状の第二接続部37が形成される。
この第二接続部37には、第二接続部37を貫通するように、連通穴38Aと連通穴38Bが形成されている。従って、図5に示すように、複数の流路ユニット30を積層した場合には、下側の流路ユニット30における連通穴38Aと、上側の流路ユニット30における連通穴38Bとを接続することができる。これにより、積層した複数の流路ユニット30の第二接続部37の間における冷媒の流れが許容される為、第二接続部37は、合流部22の一部として機能する。
なお、複数の流路ユニット30を積層した場合には、分岐部21を構成する複数の第一接続部32の内、一つの第一接続部32に対して、圧縮機11の吐出口側が接続されている。同様に、合流部22を構成する複数の第二接続部37の内、一つの第二接続部37に対して、圧縮機11の吸込口側が接続されている。
図3や図4に示すように、開口部39A、39Bは、第一熱交換流路34(凝縮部12)と第二熱交換流路36(蒸発部14)の間に形成されている。このため、第一熱交換流路34(凝縮部12)と第二熱交換流路36(蒸発部14)との間の熱伝達が開口部39Aによって阻害される。なお、開口部39A、39Bは、熱伝達阻害部に対応する。
冷凍サイクル装置1においては、このように構成された流路ユニット30を複数組積層することによって、複数の冷媒流路20を介して、冷媒を循環させる回路構成が実現される。
(冷凍サイクル装置の作動)
冷凍サイクル装置1は、空調運転の開始に伴って、圧縮機11と、第一送風機25及び第二送風機26の作動を開始する。
第一送風機25及び第二送風機26は、その作動開始に伴って、図1に太線矢印で示す送風方向へ送風する。第一送風機25から送風された空気は、積層された複数の流路ユニット30の間であって、各流路ユニット30における第一熱交換流路34の間を流れる。一方、第二送風機26から送風された空気は、複数の流路ユニット30の間であって、各流路ユニット30における第二熱交換流路36の間を流れる。
そして、圧縮機11は、その作動開始により、吸込冷媒を圧縮して、高温高圧の気相冷媒として吐出口から吐出する。上述したように、圧縮機11の吐出口には、分岐部21が接続されている為、高温高圧の気相冷媒は分岐部21内に流入する。
分岐部21は、積層された複数の流路ユニット30の第一接続部32を、連通穴33A、連通穴33Bを利用して接続することによって構成されている。また、各第一接続部32は、流路ユニット30内に形成された冷媒流路20の一部である第一熱交換流路34と接続されている。従って、分岐部21は、圧縮機11から吐出された冷媒を複数の冷媒流路20に分岐させることができる。この際、分岐部21では、気相状態の冷媒の流れを分岐させるので、各流路ユニット30の冷媒流路20へ略均等の流量の冷媒を流入させることができる。
高温高圧の気相冷媒は、分岐部21から第一熱交換流路34内を流れる。この時、高温高圧の気相冷媒は、第一熱交換流路34の管壁を構成する第一板部材31A、第二板部材31B及びコルゲートフィン27を介して、第一送風機25から送風された空気と熱交換して、当該空気に放熱する。
これにより、第一送風機25からの送風空気は温められる。第一熱交換流路34は、冷凍サイクル10における凝縮部12の一部として機能する。そして、第一熱交換流路34を流れる冷媒は、第一送風機25からの送風空気に対する放熱によって凝縮して液相状態になる。
そして、各流路ユニット30内の冷媒流路20において、第一熱交換流路34から流出した液相冷媒は、サブクール部15を流通することによって過冷却されたうえで、減圧流路35に流入する。減圧流路35では、第一熱交換流路34から流出した冷媒が減圧される。
各冷媒流路20において、減圧流路35にて減圧された低温低圧の冷媒は、気液二相状態で第二熱交換流路36に流入し、第二熱交換流路36を流れる過程で蒸発する。この時、当該冷媒は、第二送風機26から送風された空気と熱交換して、当該空気から吸熱する。
つまり、第二熱交換流路36は、冷凍サイクル10における蒸発部14の一部として機能する。これにより、冷凍サイクル装置1は、第二送風機26からの送風空気を冷却することができる。そして、冷媒は、第二熱交換流路36を流れる過程で蒸発する為、気相状態で第二熱交換流路36から流出する。
各冷媒流路20の第二熱交換流路36から流出した気相冷媒は、スーパーヒート部16を流通することによって過熱されたうえで、それぞれ第二接続部37内に流入する。上述したように、各第二接続部37は、連通穴38A、連通穴38Bを利用して相互に接続されており、合流部22を構成している。また、合流部22には、圧縮機11の吸込口側が接続されている。従って、合流部22は、各冷媒流路20から流出した気相冷媒を合流させて、圧縮機11の吸込口側に導くことができる。
(冷凍サイクル装置の効果)
以上説明したように、冷凍サイクル装置1は、一対の板部材31A、31Bを貼り合わせることによって形成されて、内部に冷媒を流通させる冷媒流路20を有する流路ユニット30を備えている。そして、冷媒流路20によって、凝縮部12、減圧部13、及び蒸発部14が形成されている。
これにより、冷凍サイクル装置1の構成部品である凝縮部12、減圧部13、及び蒸発部14を、一枚の流路ユニット30に形成することができる。このため、冷凍サイクル装置1の構成部品である凝縮部12、減圧部13、及び蒸発部14を配管で接続する必要が無い。この結果、冷凍サイクル装置1の組付工数を低減させることができる。また、冷凍サイクル装置1の構成部品である凝縮部12、減圧部13、及び蒸発部14を接続する配管が不要となるので、冷凍サイクル装置1の小型化が可能となる。
また、流路ユニット30の凝縮部12と蒸発部14との間には、凝縮部12と蒸発部14との間の熱伝達を阻害する開口部39A、39B(熱伝達阻害部)が形成されている。これにより、凝縮部12と蒸発部14との間の熱伝達が開口部39A、39B(熱伝達阻害部)によって阻害される。このため、凝縮部12及び蒸発部14を一枚の流路ユニット30に形成したことにより、凝縮部12と蒸発部14との間の熱伝達による冷凍サイクル装置1のサイクル効率の低下が抑制される。
凝縮部12と蒸発部14との間の熱伝達を阻害する熱伝達阻害部は、流路ユニット30の表裏を貫通する開口部39A、39Bで構成されている。このように開口部39A、39Bによって熱伝達阻害部を構成したので、凝縮部12と蒸発部14との間の熱伝達を阻害する熱伝達阻害部を容易に設けることができる。また、開口部39A、39Bによって、凝縮部12と蒸発部14との間の熱伝達を確実に阻害させることができる。
圧縮機11は開口部39A、39Bの内部に配置されている。これにより、凝縮部12と蒸発部14との間の熱伝達を阻害するための開口部39A、39Bの内部に圧縮機11が配置されることにより、圧縮機11が流路ユニット30の外部に配置された構成と比較して、冷凍サイクル装置1を小型化することができる。
また、凝縮部12と減圧部13との間の冷媒流路20には、凝縮部12において凝縮された冷媒を過冷却させるサブクール部15が形成されている。そして、蒸発部14の流出口側の冷媒流路20には、蒸発部14から流出した冷媒を過熱するスーパーヒート部16が形成されている。これにより、サブクール部15によって冷媒が過冷却され、スーパーヒート部16によって冷媒が過熱される。従って、蒸発部14の出口側冷媒のエンタルピから入口側冷媒のエンタルピを減算したエンタルピ差を拡大させて、冷凍サイクル装置1のサイクル効率を向上させることができる。
また、サブクール部15とスーパーヒート部16は、流路ユニット30に形成された熱交換壁部17A、17Bを介して隣接し形成され、サブクール部15内を流通する冷媒とスーパーヒート部16内を流通する冷媒とを熱交換させる内部熱交換器を構成している。
これにより、サブクール部15を流通する高温の冷媒がスーパーヒート部16を流通する低温の冷媒によって冷却されるとともに、スーパーヒート部16を流通する低温の冷媒がサブクール部15を流通する高温の冷媒によって加熱される。このため、外部の熱等を利用すること無く、サブクール部15内を流通する冷媒とスーパーヒート部16内を流通する冷媒とを熱交換させることができ、流路ユニット30を小型化することが可能となる。
流路ユニット30の一端側には凝縮部12が配置され、流路ユニット30の他端側には蒸発部14が配置され、サブクール部15及びスーパーヒート部16は、凝縮部12と蒸発部14との間に形成されている。これにより、サブクール部15及びスーパーヒート部16が、凝縮部12と蒸発部14との外側に形成されている構造と比較して、流路ユニット30を小型化することができ、ひいては、冷凍サイクル装置1を小型化することができる。
以上説明したように、冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル10を筐体5内部に収容して、第一送風機25、第二送風機26から送風される送風空気を温度調整して空調対象空間である車室内へ供給することができる。
図1、図2に示すように、冷凍サイクル10は、圧縮機11から吐出された冷媒を複数に分岐する分岐部21と、分岐部21によって分岐した冷媒がそれぞれ並列に流れる複数の冷媒流路20と、複数の冷媒流路20から流出した冷媒を合流させ、圧縮機11側へ流出させる合流部22とを有している。
更に、各冷媒流路20は、図2〜図5に示すように、凝縮部12の一部を構成する第一熱交換流路34と、第一熱交換流路34から流出した冷媒を減圧させる減圧流路35と、蒸発部14の一部を構成する第二熱交換流路36とを直列に接続して構成されている。
このように構成することで、係る冷凍サイクル装置1は、複数の冷媒流路20を有する冷凍サイクル10において、気相状態の冷媒を分岐・合流させる為、気液二相状態での冷媒の分岐・合流を抑制することができ、複数の冷媒流路20における液相冷媒と気相冷媒の割合の差を小さくすることができる。
この結果、冷凍サイクル装置1は、各冷媒流路20における第一熱交換流路34及び第二熱交換流路36の熱交換性能のばらつきを抑え、凝縮部12及び蒸発部14としての熱交換性能の低下を抑制することができる。これにより、冷凍サイクル装置1は、第一送風機25、第二送風機26からの送風空気を適切に温度調整することができ、より均一な温度分布の空調風を供給することができる。
また、図1〜図5に示すように、冷凍サイクル装置1は、複数の冷媒流路20を有する冷凍サイクル10を筐体5内部に収容して構成されている為、シートの座面部と車室床面のような小さなスペースに配置可能としつつ、凝縮部12及び蒸発部14における熱交換性能の低下を抑制することができる。即ち、本実施形態に係る冷凍サイクル装置1によれば、装置自体の配置スペースの増大を抑えつつ、凝縮部12及び蒸発部14における性能低下を抑制することができる。
(第二実施形態)
第二実施形態の流路ユニット30では、第一実施形態の流路ユニット30に対して、図6に示すように、第一熱交換流路溝34Bは、第一送風機25の送風方向に沿って形成され、第二熱交換流路溝36Bは、第二送風機26の送風方向に沿って形成されている。第一熱交換流路溝34Aもまた、第一送風機25の送風方向に沿って形成され、第二熱交換流路溝36Aもまた、第二送風機26の送風方向に沿って形成されている。
(他の実施形態)
以上説明した実施形態では、流路ユニット30の凝縮部12と蒸発部14との間に形成された熱伝達を阻害する熱伝達阻害部は、流路ユニット30の表裏を貫通する開口部39A、39Bである。しかし、流路ユニット30の凝縮部12と蒸発部14との間に、流路ユニット30の他の部分に比べて板厚が薄い熱伝達阻害部を形成してもよい。このような実施形態であっても、凝縮部12と蒸発部14との間の熱伝達が阻害される。
また、開口部39A、39Bに、グラスウール等の繊維系断熱材やウレタンフォーム等の発泡系断熱材等で構成された断熱部材を設けた実施形態であってもよい。この実施形態であれば、断熱部材によって、凝縮部12と蒸発部14との間の熱伝達がより一層阻害される。
以上説明した実施形態では、第一送風機25及び第二送風機26は、筐体5の吹出口と対向する面に配置されている。しかし、第一送風機25及び第二送風機26の配置位置は、これに限定されず、流路ユニット30の両側部に配置されている実施形態であってもよい。
以上説明した実施形態では、第一板部材31A及び第二板部材31Bは、アルミニウム合金や銅合金等の熱伝達性の良好な金属材料によって構成されている。しかし、第一板部材31A及び第二板部材31Bは、カーボン材料や樹脂材料であってもよい。