以下、本発明の階段昇降搬送装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る階段昇降搬送装置を用いて搬送対象物を階段に搬送する場合の階段昇降搬送装置の動作を説明する図である。階段昇降搬送装置1Aは、昇降装置2と、昇降装置2に着脱可能に設けられ、搬送対象物3が載せられる載置台4とを備えている。昇降装置2としては、市販の昇降装置2における機構部のみを取り出す改造を施したものが使用されている。搬送対象物3としては、例えば、空気調和機における直方体形状の室外機が挙げられる。室外機は、数100Kg程度の重量となっている。なお、搬送対象物3は、空気調和機の室外機に限らず、その他の装置であってもよい。
搬送対象物3の搬送経路は、基準階である下階101、下階101に連続して設けられ、下階101から斜め上方向に延びる階段102、階段102に連続して設けられた踊り場103、踊り場103に連続して設けられ、踊り場103から斜め上方向に延びる階段104および階段104に連続して設けられた、目的階である上階105から構成されている。階段102および階段104は、上方から見た場合に幅方向に隣り合うように配置されている。したがって、搬送対象物3を下階101から上階105に移動させる場合には、作業者106は、階段昇降搬送装置1Aを下階101から階段102を通って踊り場103に移動させ、その後、踊り場103において階段昇降搬送装置1Aを180度だけ旋回させて、その後、階段昇降搬送装置1Aを踊り場103から階段104を通って上階105に向かって移動させる。一方、上階105を基準階とし下階101を目的階として、搬送対象物3を上階105から下階101に移動させる場合には、作業者106は、階段昇降搬送装置1Aを上階105から階段104を通って踊り場103に移動させ、その後、踊り場103において階段昇降搬送装置1Aを180度だけ旋回させて、その後、階段昇降搬送装置1Aを踊り場103から階段102を通って下階101に向かって移動させる。
図2は図1の階段昇降搬送装置1Aを示す正面図、図3は図2の階段昇降搬送装置1Aを示す側面図である。昇降装置2は、階段102に沿って並べられた2個のホイールを有するホイール式搬送装置となっている。なお、ホイールの数は、2個の限らず、3個以上であってもよい。昇降装置2は、階段102および階段104を昇降することができるように、それぞれのホイールの高さ方向の位置が異なるようになっている。昇降装置2は、図示しないモータの動力を用いて階段102を移動する。
階段昇降搬送装置1Aは、載置台4の姿勢を制御する姿勢制御装置5と、搬送対象物3を載置台4に固定する固定具6と、作業者106に把持されるハンドル7とをさらに備えている。
姿勢制御装置5は、載置台4に設けられている。姿勢制御装置5は、載置台4の載置面41に載せられた搬送対象物3が鉛直線に対して傾斜することを抑制するように、載置台4の姿勢を制御する。言い換えれば、姿勢制御装置5は、載置面41が水平面に対して平行になるように載置台4の姿勢を制御する。
姿勢制御装置5は、載置台4の下部に回転可能に設けられた補助輪51と、階段昇降搬送装置1Aが移動する場合の載置台4における進行方向前方の部分に設けられた第1フリッパーアーム52と、階段昇降搬送装置1Aが移動する場合の載置台4における進行方向後方側の部分に設けられた第2フリッパーアーム53とを有している。補助輪51、第1フリッパーアーム52および第2フリッパーアーム53は、載置台4における幅方向両端部のそれぞれに1個ずつ設けられている。
補助輪51は、階段昇降搬送装置1Aが下階101の床面、踊り場103の床面、上階105の床面にある場合に昇降装置2における最下段のホイールとともに載置台4を支持する。これにより、作業者106がハンドル7を把持していない場合であっても、階段昇降搬送装置1Aが下階101の床面、踊り場103の床面、上階105の床面にある場合に、載置台4の載置面41が鉛直方向を向き、搬送対象物3が鉛直線に対して傾斜しない。
第1フリッパーアーム52は、載置台4に回動可能に設けられている。第1フリッパーアーム52は、階段昇降搬送装置1Aが移動する場合の昇降装置2よりも進行方向前方で下階101の床面、階段102の踏面、踊り場103の床面、階段104の踏面、上階105の床面を下方に向かって押す。これにより、載置台4の載置面41は、進行方向前方側の部分が進行方向後方側の部分よりも下方に位置するように傾くことが抑制される。
第2フリッパーアーム53は、載置台4に回動可能に設けられている。第2フリッパーアーム53は、階段昇降搬送装置1Aが移動する場合の昇降装置2よりも進行方向後方で下階101の床面、階段102の踏面、踊り場103の床面、階段104の踏面、上階105の床面を下方に向かって押す。これにより、載置台4の載置面41は、進行方向後方側の部分が進行方向前方側の部分よりも下方に位置するように傾くことが抑制される。
第1フリッパーアーム52および第2フリッパーアーム53は、図示しないモータと、このモータの駆動を制御する図示しない制御装置とによって動作が制御される。第1フリッパーアーム52および第2フリッパーアーム53の動作が制御されることによって、階段昇降搬送装置1Aが階段102および階段104を昇降する場合に、載置台4の載置面41が鉛直方向を向き、搬送対象物3が鉛直線に対して傾斜しない。
図4は図3の階段昇降搬送装置1Aが下階101の床面を移動する場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。階段昇降搬送装置1Aには、搬送対象物3を平地で移動させるための平地モードが設定可能となっている。平地としては、下階101の床面および上階105の床面が挙げられる。階段昇降搬送装置1Aが下階101に配置され、階段昇降搬送装置1Aのモードが平地モードである場合には、補助輪51と昇降装置2における最下段のホイールとが下階101の床面に接触し、さらに、第1フリッパーアーム52および第2フリッパーアーム53が下階101の床面に接触する。この場合、進行方向前方から進行方向後方に向かって、第1フリッパーアーム52、最下段のホイール、補助輪51、第2フリッパーアーム53が下階101の床面に接触するので、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くことが維持される。その結果、搬送対象物3が鉛直線に対して傾斜することが抑制される。
図5は図3の階段昇降搬送装置1Aが下階101から階段102に移動する場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。階段昇降搬送装置1Aには、搬送対象物3を下階101から階段102に移動させるための階段昇降開始モードが設定可能となっている。図5では、階段昇降搬送装置1Aが階段102を登る動作について示している。階段昇降搬送装置1Aのモードが階段昇降開始モードである場合には、まず、図5の(a)に示すように、第1フリッパーアーム52は、第1フリッパーアーム52が水平方向に延びるように、載置台4に対して回動する。これにより、第1フリッパーアーム52が階段102の蹴上面に当たることが防止され、階段昇降搬送装置1Aが階段102を登ることができる。その後、図5の(b)に示すように、昇降装置2が階段102の1段目に登ると第2フリッパーアーム53は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、下階101の床面を下方に押す。その後、図5の(c)に示すように、昇降装置2が階段102の2段目に登ると第2フリッパーアーム53は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、下階101の床面を下方に押す。その後、図5の(d)に示すように、昇降装置2が階段102の3段目に登ると第2フリッパーアーム53は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、下階101の床面を下方に押す。
図6は図5の階段昇降搬送装置1Aが階段102の4段目以上を移動する場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。階段昇降搬送装置1Aが階段102の4段目以上を登る場合には、階段昇降搬送装置1Aが階段102の3段目を登る場合と同様に、第2フリッパーアーム53は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、階段102の踏面を下方に押す。
図7は図5の階段昇降搬送装置1Aが階段102から踊り場103に移動する場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。階段昇降搬送装置1Aには、搬送対象物3を階段102から踊り場103に移動させるための階段昇降終了モードが設定可能となっている。階段昇降搬送装置1Aのモードが階段昇降終了モードである場合には、第1フリッパーアーム52は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、踊り場103の床面を下方に押す。これにより、搬送対象物3が進行方向前方側に倒れることが抑制される。その後、階段昇降搬送装置1Aは、階段昇降搬送装置1Aの全体が踊り場103に載せられるように水平方向に移動する。
図8は図7の階段昇降搬送装置1Aが水平方向に移動する場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。昇降装置2が踊り場103の床面に載せられた状態で階段昇降搬送装置1Aが水平方向に移動すると、第2フリッパーアーム53は、第2フリッパーアーム53が階段102に当たらないように、載置台4に対して回動する。
図9は図8の階段昇降搬送装置1Aの全体が踊り場103に配置された場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。階段昇降搬送装置1Aには、搬送対象物3を踊り場103で移動させるための踊り場モードが設定可能となっている。補助輪51が踊り場103の床面に載せられた場合には、作業者106は、階段昇降搬送装置1Aのモードを踊り場モードに設定する。階段昇降搬送装置1Aのモードが踊り場モードである場合には、第2フリッパーアーム53は、第2フリッパーアーム53の先端部が上方を向くように載置台4に対して回動する。これにより、階段昇降搬送装置1Aが踊り場103で旋回する場合に第2フリッパーアーム53が踊り場103の側壁に当たることが防止される。
次に、階段昇降搬送装置1Aの動作について説明する。図10は図3の階段昇降搬送装置1Aの動作を示すフローチャートである。まず、階段昇降搬送装置1Aは、ステップS101において、作業者106によってモードが選択される。ステップS101において選択されたモードが平地モードである場合には、ステップS102において、階段昇降搬送装置1Aのモードが平地モードとなり、図4に示すように、補助輪51と昇降装置2における最下段のホイールとが下階101の床面に接触し、さらに、第1フリッパーアーム52および第2フリッパーアーム53が下階101の床面に接触した状態で、階段昇降搬送装置1Aが水平方向に移動する。
ステップS101において選択されたモードが階段昇降開始昇降モードである場合には、ステップS103において、階段昇降搬送装置1Aのモードが階段昇降開始モードとなる。その後、ステップS104において、階段昇降搬送装置1Aが登った階段102の段数を判定する。
ステップS104において、階段昇降搬送装置1Aが登った階段102の段数が0段である場合には、ステップS105において、図5(a)に示すように、第1フリッパーアーム52は、第1フリッパーアーム52が水平方向に延びるように載置台4に対して回動し、さらに、階段昇降搬送装置1Aは、階段102の1段目に登る。
ステップS104において、階段昇降搬送装置1Aが登った階段102の段数が1段である場合には、ステップS106において、図5(b)に示すように、第2フリッパーアーム53は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、下階101の床面を下方に押し、さらに、階段昇降搬送装置1Aは、階段102の2段目に登る。
ステップS104において、階段昇降搬送装置1Aが登った階段102の段数が2段である場合には、ステップS107において、図5(c)に示すように、第2フリッパーアーム53は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、下階101の床面を下方に押し、さらに、階段昇降搬送装置1Aは、階段102の3段目に登る。
ステップS104において、階段昇降搬送装置1Aが登った階段102の段数が3段以上である場合には、ステップS108において、図5(d)および図6に示すように、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、下階101の床面または階段102の踏面を下方に押し、さらに、階段昇降搬送装置1Aは、階段102における階段昇降搬送装置1Aがある段から1段上に登る。
ステップS101において選択されたモードが階段昇降終了モードである場合には、ステップS109において、階段昇降搬送装置1Aのモードが階段昇降終了モードとなり、図7に示すように、第1フリッパーアーム52は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、踊り場103の床面を下方に押す。その後、ステップS110において、昇降装置2のホイールの回転数を判定し、ステップS111において、図8に示すように、第2フリッパーアーム53は、階段102に当たらないように載置台4に対して回動する。
ステップS101において選択されたモードが踊り場モードである場合には、ステップS112において、階段昇降搬送装置1Aのモードが踊り場モードとなり、図9に示すように、第2フリッパーアーム53は、第2フリッパーアーム53の先端部が上方を向くように載置台4に対して回動する。
その後、階段昇降搬送装置1Aは、ステップS113において、階段昇降搬送装置1Aの電源が遮断されたか否かを判定する。ステップS113において、階段昇降搬送装置1Aの電源が遮断されていない場合には、ステップS101に戻り、一方、階段昇降搬送装置1Aの電源が遮断されている場合には、階段昇降搬送装置1Aの動作が終了する。
図11は図6の階段昇降搬送装置1Aが鉛直線に対して傾斜した場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。階段昇降搬送装置1Aは、載置台4に設けられた傾斜検出装置8をさらに備えている。傾斜検出装置8は、水平面に対する載置面41の傾斜を検出する。言い換えれば、傾斜検出装置8は、載置面41に載せられた搬送対象物3の鉛直線に対する傾斜を検出する。
第2フリッパーアーム53は、傾斜検出装置8の検出結果に基づいて、載置台4の姿勢を制御する。具体的には、図11の(a)に示すように、載置台4における進行方向後方側の部分が進行方向前方側の部分よりも下方に位置するように載置面41が水平面に対して傾斜した場合には、第2フリッパーアーム53は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、階段102の踏面を下方に押す。これにより、図11の(b)に示すように、載置台4の載置面41が鉛直方向を向く。
図12は図6の階段昇降搬送装置1Aが鉛直線に対して傾斜した場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。第1フリッパーアーム52は、傾斜検出装置8の検出結果に基づいて、載置台4の姿勢を制御する。具体的には、図12の(a)に示すように、載置台4における進行方向前方側の部分が進行方向後方側の部分よりも下方に位置するように載置面41が水平面に対して傾斜した場合には、第1フリッパーアーム52は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、踊り場103の床面を下方に押す。これにより、図12の(b)に示すように、載置台4の載置面41が鉛直方向を向く。
図13は図6の階段昇降搬送装置1Aの動作を示すフローチャートである。図13では、傾斜検出装置8の検出結果に基づいた第1フリッパーアーム52および第2フリッパーアーム53の動作を示している。まず、ステップS201において、傾斜検出装置8は、水平面に対する載置面41の傾斜を検出する。
ステップS201において、載置台4における進行方向後方側の部分が進行方向前方側の部分よりも下方に位置するように載置面41が水平面に対して傾斜した場合、つまり、作業者106とは反対側に搬送対象物3が傾くように載置面41が水平面に対して傾斜した場合には、ステップS202において、第2フリッパーアーム53が、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、階段102の踏面を下方に押す。
ステップS201において、載置台4の載置面41が水平面に対して平行である場合には、ステップS203において、第1フリッパーアーム52および第2フリッパーアーム53を動作させない。
ステップS201において、載置台4における進行方向前方側の部分が進行方向後方側の部分よりも下方に位置するように載置面41が水平面に対して傾斜した場合、つまり、作業者106側に傾くように載置面41が水平面に対して傾斜した場合には、ステップS204において、第1フリッパーアーム52は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、踊り場103の床面を下方に押す。
その後、階段昇降搬送装置1Aは、ステップS205において、階段昇降搬送装置1Aの電源が遮断されたか否かを判定する。ステップS205において、階段昇降搬送装置1Aの電源が遮断されていない場合には、ステップS201に戻り、一方、階段昇降搬送装置1Aの電源が遮断されている場合には、階段昇降搬送装置1Aの動作が終了する。
図14は図3の固定具6を説明する図である。図14の(a)では、固定具6の平面図が示され、図14の(b)では図14の(a)の固定具6の断面図が示され、図14の(c)では図14の(a)の固定具6が回動した場合の平面図が示され、図14の(d)では、図14の(c)の固定具6の断面図が示されている。固定具6は、T字形状に形成されている。固定具6は、載置面41に対して垂直に延びる回動軸61と、回動軸61から径方向外側に向かって載置面41に沿って延びる一対の平板部62とを有している。
搬送対象物3は、載置台4の載置面41に載せられる一対のベース脚31を備えている。一対のベース脚31は、互いに平行に配置されている。
平板部62は、回動軸61を中心に回動することによって、平板部62が一対のベース脚31に渡って配置される係合位置と、平板部62が一対のベース脚31から離れる解除位置との間で変位する。
図15は図14の平板部62の要部を示す拡大図である。図15では、図14の(d)の平板部62を示している。ベース脚31は、ベース脚本体311と、ベース脚本体311から、他方のベース脚31に向かって延びる突起部312とを有している。平板部62は、平板部62の位置が係合位置である場合に載置面41に載せられた搬送対象物3におけるベース脚31の突起部312が平板部62と載置台4との間に挟まれる。一方、平板部62は、平板部62の位置が解除位置である場合に、突起部312が平板部62と載置台4との間から外れる。
図16は図15のXVI−XVI線に沿って視た矢視断面図である。平板部62の先端部には、幅方向中央部から幅方向端部に向かうにつれて載置台4から離れる傾斜面621が形成されている。傾斜面621は、くさびとして働く。その結果、固定具6を比較的小さな力で回転させて、大きな固定力を発生させることができる。例えば、傾斜面621の傾斜角度を5度とした場合に、1/tan5°倍、つまり、約11倍の力で搬送対象物3を固定することができる。
図17は図14の固定具6の変形例を示す平面図、図18は図17の固定具6を示す断面図である。T字形状の固定具6ではなく、複数のL字形状の固定具6であってもよい。この場合、固定具6は、載置面41に対して垂直に延びる回動軸61と、回動軸61から径方向外側に向かって載置面41に沿って延びる平板部62とを有している。また、この場合、ベース脚31は、ベース脚本体311と、ベース脚本体311から、他方のベース脚31から離れる方向に延びる突起部312とを有している。平板部62は、回動軸61を中心に回動することによって、平板部62と載置台4との間にベース脚31の突起部312が挟まれる係合位置と、平板部62と載置台4との間からベース脚31の突起部312が外れる解除位置との間で変位する。この場合、T字形状の固定具6と比較して、設置数が増えるために操作が煩雑となるものの、固定具6の機構を小さくすることができる。
図19は図9の階段昇降搬送装置1Aを示す平面図である。階段昇降搬送装置1Aは、載置台4に設けられた2個の回動補助装置9をさらに備えている。この例では、2個の回動補助装置9における進行方向後方側の回動補助装置9を第1回動補助装置9aとし、進行方向前方側の回動補助装置9を第2回動補助装置9bとする。
図20は図19の回動補助装置9を示す側面図である。回動補助装置9は、載置台4から下方に延びて設けられ上下方向に変位する支持軸91と、支持軸91を上下方向に変位させる変位装置92とを有している。
図21は図20の支持軸91が変位した状態を示す図である。支持軸91は、支持軸91の下端部が踊り場103の床面に接触し昇降装置2の下端部よりも下方に配置されて載置台4を支持する支持位置と、支持軸91の下端部が踊り場103の床面よりも上方に配置され、さらに、昇降装置2の下端部よりも上方に配置される収納位置との間で変位する。
変位装置92は、支持軸91の位置が支持位置から収納位置に向かう方向に支持軸91を押す引張ばね921と、作業者106に操作されるレバー922と、支持軸91に設けられ、レバー922が操作されることによって、引張ばね921の弾性力に逆らって支持軸91の位置を収納位置から支持位置に変位させるトグルリンク923とを有している。
支持軸91の位置が支持位置である場合に、昇降装置2が踊り場103の床面から数mm程度浮くようになっている。一方、支持軸91の位置が収納位置である場合に、昇降装置2が踊り場103の床面に接触する。
図22は図19の階段昇降搬送装置1Aが旋回する場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。支持軸91は、支持軸91の位置が支持位置である場合に、支持軸91の軸線を中心に回動可能となっている。支持軸91の位置が支持位置である場合には、昇降装置2のホイールが踊り場103の床面から離れ、かつ、支持軸91が軸線を中心に回動可能となるので、作業者106がハンドル7を操作することによって、階段昇降搬送装置1Aを、支持軸91の軸線を中心に旋回させることができる。その結果、踊り場103において階段昇降搬送装置1Aを容易に旋回させることができる。図22では、第1回動補助装置9aを用いて階段昇降搬送装置1Aを旋回した場合を示している。第1回動補助装置9aを用いた階段昇降搬送装置1Aの旋回の角度は、およそ90度程度となっている。
支持軸91が支持位置にある場合であっても、補助輪51および第1フリッパーアーム52の先端部は踊り場103の床面に接触する。したがって、補助輪51および第1フリッパーアーム52の先端部は、回転自由なキャスタを有していることが望ましい。これにより、階段昇降搬送装置1Aの旋回をより容易に行うことができる。
図23は図22の階段昇降搬送装置1Aがさらに旋回する場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。第1回動補助装置9aを用いて階段昇降搬送装置1Aを90度だけ旋回させた後、図26の(a)、図26の(b)および図26の(c)に示すように、第2回動補助装置9bを用いて階段昇降搬送装置1Aをさらに90度だけ旋回させる。これにより、階段昇降搬送装置1Aが踊り場103において180度だけ旋回される。踊り場103から階段104を通って上階105に搬送対象物3を搬送する手順は、下階101から階段102を通って踊り場103に搬送対象物3を搬送する手順と同様である。
図24は図1の搬送対象物3を載置台4の載せるためのハンドリフタを示す側面図、図25は図24のハンドリフタを用いて搬送対象物3を載置台4に載せる場合のハンドリフタの動作を説明する図、図26は図25のXXVI−XXVI線に沿って視た矢視断面図である。ハンドリフタ201は、ハンドリフタ本体202と、ハンドリフタ本体202に設けられ、搬送対象物3を支持する一対のフォーク203を有している。
載置台4の載置面41には、ハンドリフタ201のフォーク203が挿入される溝411が形成されている。フォーク203に搬送対象物3が載せられた状態で、フォーク203を溝411に挿入し、溝411からフォーク203を引き抜くと、搬送対象物3が載置台4の載置面41に載せられる。これにより、搬送対象物3の載置台4へのスムーズな積み込みが可能となる。
次に、ハンドリフタ201を用いて搬送対象物3を階段昇降搬送装置1Aに載せる手順について説明する。図27は図24のハンドリフタ201を用いて搬送対象物3を載置台4に載せる場合のハンドリフタ201の動作を説明する図である。まず、図27の(a)に示すように、ハンドリフタ201のフォーク203に搬送対象物3を載せる。その後、図27の(b)に示すように、フォーク203を上昇させ、さらに、フォーク203を載置面41の溝411に挿入する。これにより、載置面41に搬送対象物3がスムーズに載せられる。このとき、固定具6を用いて、搬送対象物3を載置台4に対して固定する。その後、図27の(c)に示すように、フォーク203を載置面41の溝411から引き抜く。以上により、搬送対象物3が載置台4に載せられる。
図28は図5の階段昇降搬送装置1Aの変形例が下階101から階段102に移動する場合の階段昇降搬送装置1Aの変形例の動作を説明する図である。階段昇降搬送装置1Aは、載置台4に設けられた昇降脚10をさらに備えてもよい。昇降脚10は、作業者によって操作されることによって、載置台4から下方に延びて下階101の床面、階段102の踏面、踊り場103の床面、階段104の踏面を下方に押す突出位置と、載置台4に収容される収容位置との間で変位する。昇降脚10は、収容位置から突出位置に変位する場合に、進行方向後方側にも移動する。したがって、昇降脚10が収容位置から突出位置に変位することによって、載置台4が上昇するとともに、載置台4が進行方向前方に移動する。
図28の(a)に示すように下階101の床面に載せられた階段昇降搬送装置1Aは、昇降脚10が収容位置から突出位置に変位することによって、図28の(b)に示すように下階101の床面から上昇するとともに、進行方向前方に移動する。昇降装置2の上昇距離は、階段102の1段分と一致するようになっている。したがって、図28の(c)に示すように、階段昇降搬送装置1Aが階段102に載せられる。
図29は図28の階段昇降搬送装置1Aが階段102を登る場合の階段昇降搬送装置1Aの動作を説明する図である。階段昇降搬送装置1Aが下階101から階段102に移動する場合と同様に、昇降脚10が収容位置から突出位置に変位することによって、階段昇降搬送装置1Aが階段102の踏面から上昇するとともに、階段昇降搬送装置1Aが水平方向に移動する。これにより、階段昇降搬送装置1Aが階段102における1段上の段に載せられる。この動作を連続して行うことによって、階段昇降搬送装置1Aが階段102を連続して登る。
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る階段昇降搬送装置1Aによれば、載置面41が形成された載置台4と、載置台4の姿勢を制御する姿勢制御装置5とを備えているので、載置面41に載せられた搬送対象物3が鉛直線に対して傾斜することを抑制するように、載置台4の姿勢が制御される。これにより、踊り場103において搬送対象物3の位置を直立位置から傾倒位置に変位させる必要がなくなる。その結果、搬送対象物3をより確実に搬送することができる。
また、階段昇降搬送装置1Aは、載置面41に対して垂直に延びる回動軸61および回動軸61から載置面41に沿って延びる平板部62を有し、回動軸61を中心に回動することによって、搬送対象物3におけるベース脚31の突起部312が平板部62と載置台4との間に挟まれる係合位置と、突起部312が平板部62と載置台4との間から外れる解除位置との間で変位する固定具6を備えているので、搬送対象物3を載置台4に対して容易に固定することができる。
また、平板部62の先端部には、平板部62の幅方向中央部から幅方向端部に向かうにつれて載置台4から離れる傾斜面621が形成されているので、搬送対象物3を載置台4に対してより確実に固定することができる。
また、階段昇降搬送装置1Aは、載置台4から下方に延びる支持軸91および支持軸91を上下方向に変位させる変位装置92を有する回動補助装置9を備え、支持軸91は、支持軸91が載置台4を支持する支持位置と、支持軸91の下端部が昇降装置2の下端部よりも上方に配置される収納位置との間で変位するので、階段昇降搬送装置1Aを容易に旋回させることができる。
また、載置面41には、ハンドリフタ201のフォーク203が挿入される溝411が形成されているので、ハンドリフタ201によって持ち上げられた搬送対象物3を載置面41に容易に載せることができる。
また、昇降装置2は、階段102に沿って並べられた複数のホイールを有するホイール式搬送装置であり、姿勢制御装置5は、載置台4が床面に載せられている場合にホイール式搬送装置における最下段のホイールとともに載置台4を支持する補助輪を有しているので、階段昇降搬送装置1Aが下階101の床面に載せられている場合に、載置台4に載せられた搬送対象物3が鉛直線に対して傾斜することを抑制することができる。
また、姿勢制御装置5は、昇降装置2よりも進行方向一方側および進行方向他方側で下階101の床面または階段102の踏面を下方に向かって押すことによって載置台4の姿勢を制御する第1フリッパーアーム52および第2フリッパーアーム53を有しているので、階段昇降搬送装置1Aが階段102の踏面に載せられている場合に、載置台4に載せられた搬送対象物3が鉛直線に対して傾斜することを抑制することができる。
また、階段昇降搬送装置1Aは、搬送対象物3の鉛直線に対する傾斜を検出する傾斜検出装置8を備え、第1フリッパーアーム52および第2フリッパーアーム53は、傾斜検出装置8の検出結果に基づいて、載置台4の姿勢を制御するので、載置台4に載せられた搬送対象物3が鉛直線に対して傾斜することをより確実に抑制することができる。
実施の形態2.
図30はこの発明の実施の形態2に係る階段昇降搬送装置を示す側面図である。階段昇降搬送装置1Bでは、昇降装置2はクローラ式搬送装置となっている。載置台4は、クローラ式搬送装置に対して回動可能となっている。載置台4には、第1フリッパーアーム52のみが設けられており、第2フリッパーアーム53は設けられていない。その他の構成は、実施の形態1と同様である。なお、階段昇降搬送装置1Bは、実施の形態1と同様に、第2フリッパーアーム53を備えてもよい。
図31は図30の階段昇降搬送装置1Bが階段102から踊り場103に移動する場合の階段昇降搬送装置1Bの動作を説明する図である。載置台4は、昇降装置2が階段102を移動する場合に、階段102の傾斜に対応して昇降装置2に対して回動する。これにより、載置台4の載置面41が鉛直方向を向いたままで、昇降装置2が階段102を移動することができる。その結果、搬送対象物3が鉛直線から傾斜することが抑制される。
図32は図30の階段昇降搬送装置1Bが下階101から階段102を通って踊り場103に移動する場合の階段昇降搬送装置1Bの動作を説明する図である。まず、図32の(a)に示すように、ハンドリフタ201のフォーク203に搬送対象物3を載せる。その後、図32の(b)に示すように、ハンドリフタ201を用いて搬送対象物3を載置台4に載せ、さらに、固定具6を用いて、搬送対象物3を載置台4に固定する。
その後、図32の(c)に示すように、昇降装置2が階段102を登る。このとき、載置台4は、載置面41が鉛直方向を向くように、昇降装置2に対して回動する。また、このとき、昇降装置2に対する載置台4の回動は、傾斜検出装置8の検出結果に基づいて行われる。その後、図32の(d)に示すように、昇降装置2が踊り場103に到達すると、第1フリッパーアーム52は、載置台4の載置面41が鉛直方向を向くように、載置台4に対して回動しながら、踊り場103の床面を下方に押す。これにより、搬送対象物3が進行方向前方側に倒れることが抑制される。このとき、第1フリッパーアーム52の回動は、傾斜検出装置8の検出結果に基づいて行われる。
図33は図30の階段昇降搬送装置1Bの全体が踊り場103に配置された場合の階段昇降搬送装置1Bの動作を説明する図である。階段昇降搬送装置1Bの全体が踊り場103に配置された場合には、第1フリッパーアーム52は、先端部が上方を向くように載置台4に対して回動する。これにより、階段昇降搬送装置1Bが踊り場103で旋回する場合に第1フリッパーアーム52が踊り場103の側壁に当たることが防止される。
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る階段昇降搬送装置1Bによれば、階段102を昇降するクローラ式搬送装置である昇降装置2に設けられ、搬送対象物3が載せられる載置面41が形成された載置台4と、載置台4の姿勢を制御する姿勢制御装置5とを備えているので、載置面41に載せられた搬送対象物3が鉛直線に対して傾斜することを抑制するように、載置台4の姿勢が制御される。これにより、踊り場103において搬送対象物3の位置を直立位置から傾倒位置に変位させる必要がなくなる。その結果、搬送対象物3をより確実に搬送することができる。
実施の形態3.
図34はこの発明の実施の形態3に係る階段昇降搬送装置の要部を示す正面図である。実施の形態3の階段昇降搬送装置1Cでは、搬送対象物3として、室外機の他に、工具コンテナが含まれている。図34では、工具コンテナが載置台4に載せられている場合を示している。室外機の設置工事には、設置する室外機を搬入する作業の他に、作業工具の搬入、作業治具の搬入および既設の室外機の搬出する作業が含まれる。作業工具の搬入および作業治具の搬入の場合には、搬送対象物3として、工具コンテナが用いられる。
工具コンテナは、作業工具および作業治具が収められる収納箱32と、固定具6によって載置台4に固定されるベース脚33とを有している。ベース脚33は、ベース脚本体331と、ベース脚本体331から、他方のベース脚33に向かって延びる突起部332とを有している。平板部62は、平板部62の位置が係合位置である場合に載置面41に載せられた搬送対象物3におけるベース脚33の突起部332が平板部62と載置台4との間に挟まれる。一方、平板部62は、平板部62の位置が解除位置である場合に、突起部332が平板部62と載置台4との間から外れる。図34では、T字形状の固定具6を用いてベース脚33が載置台4に固定される構成を示しているが、複数のL字形状の固定具6を用いてベース脚33が載置台4に固定される構成であってもよい。
図35は図34の階段昇降搬送装置1Cに既設の室外機が載せられた状態を示す図である。既設の室外機のベース脚34の形状が新設の室外機のベース脚33の形状と異なるために、階段昇降搬送装置1Cは、載置台4と既設の室外機である搬送対象物3との間に設けられ、搬送対象物3に固定され、ベース脚111を有するパレット11をさらに備えている。ベース脚111は、ベース脚本体112と、ベース脚本体112から、他方のベース脚111に向かって延びる突起部113とを有している。平板部62は、平板部62の位置が係合位置である場合に載置面41に載せられた搬送対象物3におけるベース脚111の突起部113が平板部62と載置台4との間に挟まれる。一方、平板部62は、平板部62の位置が解除位置である場合に、突起部113が平板部62と載置台4との間から外れる。パレット11は、ねじ114を用いて搬送対象物3に対して固定される。その他の構成は、実施の形態1と同様である。なお、実施の形態2と同様であってもよい。
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る階段昇降搬送装置1Cによれば、載置台4と搬送対象物3との間に設けられ、搬送対象物3に固定され、ベース脚111を有するパレット11を備え、固定具6は、回動軸61を中心に回動することによって、パレット11におけるベース脚111の突起部113が平板部62と載置台4との間に挟まれる係合位置と、突起部113が平板部62と載置台4との間から外れる解除位置との間で変位するので、固定具6の形状を合わない形状の搬送対象物3であっても、パレット11を用いることで、搬送対象物3を載置台4に対して固定することができる。