以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一形態に係る内部計測システムの使用状況を説明する図である。内部計測システム1は、情報統合装置10と、複数の位置既知ノード20と、複数のセンサノード30と、を有している。この内部計測システム1は、石炭等の流動体が堆積した状況である場合に、その内部の状況を計測し、その結果に基づく内部状況情報を作成するシステムである。図1では、貯蔵庫S(貯留部)に収容された流動体Dの内部を測定する場合を示している。貯蔵庫Sに収容される流動体Dは、適宜その一部が搬出される。なお、流動体Dは、貯蔵庫等の容器内に堆積されている場合に限らず、例えば、ばら積みされた状態や、コンベヤのように移動する台の上に積まれたものなど、開放された空間に堆積されている状態であってもよい。
流動体Dとしては、例えば石炭が挙げられるが、その他、多数の粒状の固体が集合した物体も流動体Dとすることができる。また、固体以外の流動性を有する物質も本実施形態に係る内部計測システム1を用いることができる流動体Dとすることができる。また、流動体Dが固体である場合、流動体Dは構成する各々の粒状の固体の位置関係が相互に変動し得る物体である。すなわち、流動体Dとは、外部からの力の影響により移動可能な物体であり、その種類は特に限定されない。外部からの力とは例えば重力であるがこれに限定されない。
内部計測システム1で計測される内部状況情報とは、例えば、流動体Dの温度分布等である。ただし、温度には限定されず、流動体Dの内部状況に関係する物理量の分布を示す。つまり、内部計測システム1により作成される内部状況情報とは、流動体Dの内部状況に関係する物理量の分布を示す情報である。内部状況に関係する物理量とは、例えば、温度、圧力(気圧など)、湿度(水分量)、振動、音等が挙げられる。また、内部計測システム1は、流動体Dに係る情報を所定の間隔(例えば、数時間〜数十時間)毎に繰り返し測定することを想定している。
情報統合装置10は、位置既知ノード20又はセンサノード30から送信される情報に基づいて、流動体Dの内部状況情報を作成する機能を有する。なお、情報の送信経路を限定してセンサノード30のデータは位置既知ノード20を経由させるようにしてもよい。この場合、位置既知ノード20から送信される情報には、センサノード30において取得されたセンサノード30からの情報も含まれる。つまり、情報統合装置10は、センサノード30及び位置既知ノード20からの情報に基づいて、内部状況情報を作成する。
位置既知ノード20は、基準点に対する位置が既知であるノードである。基準点とは、貯蔵庫Sの特定の位置であったり、緯度・経度・高度の組合せで示す絶対位置であったりする。以下の実施形態では、絶対位置を用いて説明する。位置既知ノード20が固定されたノード(基準点に対して移動しないノード)である場合には、例えば、取り付け位置が明らかとなっているノードである。図1に示す例では、位置既知ノード20は貯蔵庫Sの天井又は側壁等に取り付けられている例を示している。また、位置既知ノード20は基本的に取り付け位置が決まっている、すなわち、存在位置が固定されているノードである。本実施形態での「位置」とは3次元位置情報を指す。すなわち、位置既知ノード20の位置が明らかになっているとは、位置既知ノード20の3次元の位置情報が特定されていることをいう。なお、位置既知ノード20は移動可能なノードであってもよい。その場合には、位置既知ノード20は、例えば、GPSセンサ等により絶対位置を測定可能な構成を有している。また、本実施形態では「位置既知ノード20」という名称をつけたが、必ずしも最初から位置が既知である必要はない。計測の過程で位置を確定するのに十分な情報を得られるようになっていればよく、位置を確定するのはセンサノード30の位置を算出するときまでその確定を遅延させても構わない。すなわち、センサノード30の位置の算出時に位置を確定することが可能なノードを、位置既知ノード20という。また、センサノード30の位置算出に必要とされない幾つかの位置既知ノード20についてはその位置が確定されなくてもかまわない。
また、位置既知ノード20の少なくとも一部は、情報統合装置10との間で有線又は無線による通信が可能となっている。本実施形態では、位置既知ノード20のそれぞれが情報統合装置10との間で情報の送受信が可能である場合について説明する。さらに、位置既知ノード20は、センサノード30との間でも無線通信により情報の送受信を行う。したがって、位置既知ノード20は、センサノード30との間で無線通信を行うための機能を有する。
本実施形態では、情報統合装置10と位置既知ノード20とが通信可能であり、情報統合装置10とセンサノード30とは通信を行わない場合について説明する。ただし、センサノード30が情報統合装置10と直接通信を行うことが可能な構成であってもよい。内部計測システム1では、位置既知ノード20及びセンサノード30において取得された情報を情報統合装置10が取得可能な構成であればよく、情報統合装置10がどのような送信経路で位置既知ノード20及びセンサノード30からの情報を取得するかは特に限定されない。
センサノード30は、流動体D内に分散されると共に流動体Dと共に移動(浮動)することが可能なノードである。複数のセンサノード30はそれぞれ流動体D内で分散しているので、例えば、流動体Dの投入又は搬出等によって流動体Dが流動(移動)すると、流動体Dと共に貯蔵庫S内を移動する。ただし、センサノード30は、自ノードを自発的に移動させるための推進機構は有していない。センサノード30は、流動体Dの流動に伴って自ノードが力を受けた場合に流動体D内を移動する。つまり、流動体Dとセンサノード30とが混在した流動体としてふるまう。
センサノード30を貯蔵庫S内の流動体D中に分散させる方法は特に限定されないが、例えば、流動体D内にセンサノード30を混在させた状態で流動体Dを貯蔵庫Sに投入する方法を用いることができる。あるいは、流動体Dとセンサノード30とを、個別に貯蔵庫Sに投入してもよい。または、貯蔵庫Sに収容した後の流動体Dに対してセンサノード30を混合させる構成としてもよい。
センサノード30は、それぞれが所定の物理量を計測するためのセンサを有している。また、センサノード30は、他のセンサノード30及び位置既知ノード20との間で情報の送受信が可能であり、自ノードのセンサでの計測結果を他のセンサノード30又は位置既知ノード20に対して送信する機能を有する。
詳細は後述するが、センサノード30は、近隣のノードである他のセンサノード30又は位置既知ノード20から発信される電波の電波強度を計測する。この電波強度は、近隣のノードとの相対位置に係る情報(相対位置情報)として取り扱われる。相対位置情報は、センサノード30から情報統合装置10に対して送信される。そして、情報統合装置10において、相対位置情報に基づいて電波を発信したノード(センサノード30又は位置既知ノード20)と、電波を受信したセンサノード30との距離を特定する。なお、本実施形態で説明する相対位置情報には、相対位置が特定された情報だけではなく、相対的な位置関係を特定するために使用される情報も含まれる。
センサノード30が受信する電波の電波強度RSSIは、電波の発信元のノードとの距離に依存する。例えば、電波の発信元のノードとセンサノード30との距離distと、RSSIと、の関係は、例えば、以下の数式(1)として記述することができる。
RSSI=−(10.0×N×log10(dist)+A)…(1)
数式(1)において、N及びAは、周辺の流動体Dの特性等に応じて設定される値である。上記の数式(1)に基づいて、1つのセンサノード30が複数のノードのそれぞれから発信される電波の電波強度を計測して距離が特定できると、複数のセンサノード30と自ノードの相対的な位置関係を把握することができる。なお、複数のセンサノード30に対する自ノードの相対的な位置関係を把握するには、厳密には距離情報だけではなく複数のセンサノード30の位置情報も必要となるが、これらは後述する手法で同時に算出できるため、ここでは距離を得ることで相対的な位置関係を把握できるとする。なお、電波強度から距離を特定する際は、アンテナの方向を基準とした電波強度の分布を加味することで、距離の特定精度を向上させるように上記関係式を補正してもよい。
内部計測システム1に含まれる複数のセンサノード30のそれぞれが上記のように近隣の他のノード(センサノード30又は位置既知ノード20)との間での相対的な位置関係を把握する。また、一部のセンサノード30が位置既知ノード20との相対的な位置関係を把握できると、位置既知ノード20の位置に係る情報に基づいて貯蔵庫S内での各センサノード30の位置を推定することができる。内部計測システム1では、このように複数のセンサノード30間の相対的な位置関係と、位置既知ノード20の位置情報とを組み合わせることで、複数のセンサノード30それぞれの存在する位置を推定する。そして、情報統合装置10においてこれらの情報を集約することで、センサノード30の位置に基づいて、流動体Dの内部における所定の物理量の分布に係る内部状況情報を作成することができる。
なお、複数のセンサノード30及び位置既知ノード20は、アドホックネットワークを構成し、近隣のノード同士で情報の送受信を行う。そして、近隣のノード間での情報の送受信を繰り返すことで、位置既知ノード20に情報を集約する。そして、集約された情報が、位置既知ノード20から情報統合装置10に対して送信される。この結果、情報統合装置10は、複数の位置既知ノード20及び複数のセンサノード30に係る情報を取得することができる。このように、複数の位置既知ノード20及び複数のセンサノード30は、近隣のノードとの通信を繰り返すことで、互いに連携して、各ノードの情報を情報統合装置10に対して送信する連携通信機能を有している。なお、アドホックネットワークを構成する位置既知ノード20及びセンサノード30において用いられる通信の種類は特に限定されないが、例えば、RFIDタグ等を利用することができる。
流動体D内に分散させるセンサノード30の数は特に限定されないため、物理量の分布をより詳細に把握したい場合には、流動体D内に分散されるセンサノード30の数を増加させる。ただし、内部計測システム1では、上記のように、センサノード30間の通信及びセンサノード30と位置既知ノード20との通信が必要となる。センサノード30の数が増加すると、通信量が増大し消費電力も増大することが考えられる。したがって、通信量等を考慮してセンサノード30の数を設定することができる。
次に、内部計測システム1の情報統合装置10、位置既知ノード20、及び、センサノード30のそれぞれの機能について、図2を参照しながら説明する。
まず、情報統合装置10は、通信部11、位置再構成部12(位置推定部)、通信経路特定部13、センサ値マップ生成部14(内部状況情報生成部)、センサ情報評価部15、出力部16、位置既知ノード情報保持部17、センサノード情報保持部18、及び、センサ値マップ保持部19(推定結果保持部)を有する。
情報統合装置10は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)、他の機器との間の通信を行う通信モジュール、並びにハードディスク等の補助記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。そして、これらの構成要素が動作することにより、情報統合装置10としての機能が発揮される。
通信部11は、位置既知ノード20との通信を行う機能を有する。通信部11が位置既知ノード20と通信を行うことで、情報統合装置10は、センサノード30の位置を特定するための情報と、センサノード30で計測された物理量に関する情報と、を取得することができる。
位置再構成部12は、通信部11が取得したセンサノード30の位置を特定するための情報である相対位置情報に基づいて、センサノード30の位置を特定するための処理を行うと共にノードマップを作成する、位置推定部としての機能を有する。本実施形態におけるノードマップとは、貯蔵庫S内の流動体D中に分散されたセンサノード30の位置を推定し、その結果に基づいてセンサノード30の分布を示した図である。ノードマップには、センサノード30のほか、位置既知ノード20の位置を示す情報が含まれていてもよい。また、ノードマップには、通信可能なノード同士を特定する情報が含まれていてもよい。
ここで、位置再構成部12によるノードマップの作成について、図3及び図4を参照しながら説明する。
位置既知ノード20及びセンサノード30は、詳細は後述するが、それぞれ隣接するノードとアドホックネットワークを形成して通信を行う際に、他のノードから送信される電波の電波強度を計測し、それを保持する機能を有する。情報統合装置10の通信部11は、位置既知ノード20から、位置既知ノード20及びセンサノード30における電波強度の計測結果を取得する。電波強度の計測結果には、電波を発信した発信元のノードを特定する情報が含まれる。位置既知ノード20又はセンサノード30が電波を発信した場合、発信元からの距離が大きくなるにつれて電波は減衰し、検出される電波強度は小さくなる。したがって、流動体D内での電波の減衰係数を予め把握しておくと、各ノードで計測された電波強度に基づいて当該電波の発信元との距離を推定することができる。位置再構成部12では、位置既知ノード20及びセンサノード30における電波強度の計測結果を、相対位置に関係する相対位置情報として受信し、これらに基づいて、センサノード30の現在位置を推定する。
図3に示すように、現在位置が不明であるセンサノード30Aが3つのノード41〜43からの電波を受信したとする。ノード41〜43は、位置既知ノード20又はセンサノード30に該当する。ここで、位置再構成部12では、センサノード30Aがノード41から受信した電波の電波強度に基づいて、センサノード30Aとノード41との距離r1を算出する。同様に、位置再構成部12では、センサノード30Aがノード42及びノード43のそれぞれから受信した電波の電波強度に基づいて、センサノード30Aとノード42との距離r2、及び、センサノード30Aとノード43との距離r3を算出する。この結果、センサノード30Aは、3つのノード41〜43との距離を算出することができる。
ノード41〜43の位置が明らかである、すなわち、ノード41〜43の3次元の位置情報が明らかである場合、図3に示すように、ノード41〜43をそれぞれの位置情報に対応した位置に配置すると、ノード41〜43との間の距離r1〜r3が特定されているセンサノード30Aの位置を推定することが可能となる。ノード41〜43が位置既知ノード20である場合、位置既知ノード20毎の位置情報を情報統合装置10において把握しているので、ノード41〜43に対応する位置既知ノード20の位置情報と、センサノード30Aとノード41〜43との間の距離r1〜r3と、に基づいて、センサノード30Aの位置を特定することができる。また、ノード41〜43がセンサノード30である場合でも、上記の手法を用いて既に位置が推定されている場合には、推定された位置情報を利用して、上記の手法と同様にセンサノード30Aの位置を推定することができる。このように、位置が既知である又は推定済みである複数のノードと、位置が不明であるノードとの距離を電波強度から推定することで、位置が不明であるノードの位置を推定することが可能となる。そしてこのプロセスを繰り返すことで、他のノードと通信が可能となっているセンサノード30については位置を推定することが可能となる。
なお、センサノード30の位置を適切に推定するためには、位置が既知である又は推定済みである(推定することが可能である)3以上のノードからの電波を検出していることが求められる。ただし、他の条件(例えば、貯蔵庫Sの外側にセンサノード30が存在していることはない、というようなセンサノード30の存在できる空間を特定するための条件等)を組み合わせることで、電波を検出したノードの数が1又は2である場合でも、センサノード30の位置を推定することができる場合がある。
上記の手順でセンサノード30の位置推定を繰り返すと、図4に示すように、複数の位置既知ノード20と、複数のセンサノード30と、の3次元配置を示したノードマップを作成することができる。図4では、3つの位置既知ノード20及び8つのセンサノード30を示しているが、実際にはより多くの位置既知ノード20及びセンサノード30を含むノードマップが作成される。センサノード30の数が大きくなった場合には、位置推定を繰り返してノードマップを作成する際の計算量が増大するが、半正定値計画問題(SDP:Semi Definite Programming)に近似変換することで、半正定値計画問題に対する公知のソルバを利用した計算を行うことができる。
図4中の矢印は、互いに電波を受信できたノード同士を繋げたものである。図4中のセンサノード30Bのように、受信した電波の発信元のノードが全てセンサノード30である場合でも、センサノード30同士の相対的な位置関係と、位置既知ノード20の固定位置の情報とを組み合わせることで、現在位置を推定することが可能となる。なお、図4に示すセンサノード30のうちセンサノード30C及びセンサノード30Dは、いずれも受信した電波の発信元のノードが1つである。したがって、上述したように、他の条件に基づいて位置を推定することができない限りは、当該センサノードが受信した電波に関する情報だけでは位置の推定が不可能なノードとなる。そのため、センサにより計測された物理量の分布を示す際には、マップから排除される場合がある。このように適宜ノードを除去することで計算負荷を低減することができる。また、ノードの除去を適宜行うことで、計算アルゴリズムが解を見つけられずに不適切な値を出力することが可能である。位置再構成部12は、上記の処理を行うことで、ノードマップを作成することができる。ノードマップが作成されると、センサノード30毎に推定結果に基づく現在位置に係る情報が得られることになる。
図4中の矢印は、アドホックネットワークにより互いに通信を行うことができるノード同士を繋いでいることになる。したがって、例えばセンサノード30Bは、自ノードにおいて取得した電波強度に係る情報及びセンサ値に係る情報を、情報統合装置10と接続された位置既知ノード20の何れかに対して直接送信することはできない。そのため、センサノード30Bは、他のセンサノード30を経由して位置既知ノード20に対して情報を送信するための送信経路を特定し、当該経路に基づいて情報を送信することが必要となる。したがって、各センサノード30は、自ノードが取得した情報を位置既知ノード20に対して送信するための経路に係る情報を保持する機能を有する。この点については後述する。
特定の流動体Dに対して内部計測システム1の運用を開始する際には、以下の運用を行うことができる。まず、位置再構成部12により上記の手法でノードマップを作成する。この時点では、センサノード30から情報統合装置10に提供される情報は、電波強度に係る情報を含む。位置再構成部12では、この情報から初期状態のノードマップを作成する。次に、センサノード30が内部状況の計測を行うと、センサノード30から電波強度に係る情報及びセンサ値に係る情報が情報統合装置10に提供される。位置再構成部12では、センサノード30から送信される電波強度に係る情報に基づいて、センサノード30の位置の推定を行い、ノードマップの再構成を行う。これにより、位置再構成部12では、複数のセンサノード30から送信される情報に基づくノードマップを得ることができる。
内部計測システム1において最初にマップの作成を行う際の手順の一例について説明する。まず、情報統合装置10から位置既知ノード20に対して、ノードの探知の実施を指示する探知指示信号を送信する。当該探知指示信号を受信した位置既知ノード20は、周囲に対し、探知信号の電波を発する。当該探知信号の電波は、位置既知ノード20の周囲にあるセンサノード30に受信される。探知信号の電波を受信したセンサノード30は、センサノードの識別タグを含む応答信号を発する。位置既知ノード20は、当該応答信号を受信し、受信したセンサノードの識別タグと、応答信号の電波強度を情報統合装置10に発する。これにより、位置既知ノード20と通信可能なセンサノード30の群(第1世代)が特定される。図4に示す例では、センサノード30E,30Fが第1世代となる。
次に、情報統合装置10は、第1世代のセンサノード30に対して探知の実施を指示する探知指示信号を送信する。この探知指示信号は、位置既知ノード20を経由して、第1世代のセンサノード30に対して送信される。第1世代のセンサノード30が複数の位置既知ノード20と隣接する場合は、情報統合装置10にてどの位置既知ノード20を経由して探知指示信号を送信するか指定してもよい。当該探知指示信号を受信したセンサノード30は、周囲に対し、探知信号の電波を発する。当該探知信号の電波は、位置既知ノード20の周囲にある第2のセンサノード30に受信される。探知信号の電波を受信した第2のセンサノード30は、自ノード(第2のセンサノード30)の識別タグを含む応答信号を発する。第1世代のセンサノード30は、当該応答信号を受信し、受信した第2のセンサノードの識別タグと、第2のセンサノードからの応答信号の電波強度を、探知指示信号が伝達された経路を逆順に辿り(すなわち、位置既知ノード20を経由して)、情報統合装置10に発する。こうして、第1世代のセンサノード30と通信可能な第2のセンサノード30の群(第2世代)が特定される。図4に示す例では、センサノード30B,30Gが第2世代となる。
上記の「探知指示信号の送信」と「探知指示信号に基づく電波強度の測定」とを繰り返すことで、情報統合装置10には通信可能なすべてのセンサノード同士、あるいはセンサノードと位置既知ノードの組と、それらの間の通信強度(応答信号の電波の強度)が蓄積される。
情報統合装置10の位置再構成部12では、上記の蓄積されたセンサ間のつながりに基づき、センサノードの配置を特定しノードマップを作成することができる。なお、情報統合装置10が各世代のセンサノードに対して探知指示信号を繰り返して送信する際に、上位の世代(例えば、第1世代)として特定されたセンサノードが、他の経路によって下位の世代(例えば、第3世代)としても特定されてしまうことが考えられる。その場合は、当該下位の世代に探知指示信号を送信する際に、上位の世代としても特定されているセンサノードは、再度探知指示信号を送信しないように取り決める構成としてもよい。
また、内部計測システム1が内部状況の計測を繰り返し行う場合、位置再構成部12は、過去の計測時に推定された複数のセンサノード30の位置に係る情報を利用して、センサノード30の位置の推定に係る処理を効率化することができる。また、貯蔵庫Sに対する流動体Dの搬入及び搬出に係る情報を利用して、センサノード30の移動等を推定することによっても、センサノード30の位置の特定に係る処理を効率化することができる。この点は後述する。このように、位置再構成部12は、貯蔵庫S内での複数のセンサノード30の位置を推定したノードマップを作成することができる。なお、ノードマップの作成方法は、上記の手法に限られず、適宜変更することができる。
通信経路特定部13は、アドホックネットワークを介してセンサノード30から位置既知ノード20に対して(さらに情報統合装置10へ)情報を送信する際の通信経路を特定する機能を有する。各センサノード30に係る通信経路とは、各センサノード30における情報を情報統合装置10に対して送信するための経路を指す。図4に示すように、例えば、センサノード30Bは、3つのセンサノード30(30E、30F、30G)との間で情報の送受信が可能であるが、このうちセンサノード30E又はセンサノード30Fに対して情報を送信すると、これらのセンサノード30E、30Fは、位置既知ノード20との間で情報の送受信が可能であるため、情報統合装置10に対して情報を送信することができる。一方、センサノード30Bからセンサノード30Gを経由して位置既知ノード20に対して情報を送信する経路は、センサノード30E又は30Fを経由して情報を送信する経路と比較して経路が長くなり、通信量が増大する。このように、各センサノード30は複数のセンサノード30との間で情報の送受信が可能となるが、位置既知ノード20に対して情報を速やかに送信することが可能な経路を各センサノード30に対して設定することが好ましい。通信経路特定部13は、この通信経路に係る処理を行う機能を有する。
通信経路特定部13は、位置再構成部12により作成されたノードマップに用いられる情報を利用して、各センサノード30に係る通信経路を特定する。通信経路特定部13において特定された通信経路に係る情報がセンサノード30に対して提供されると、センサノード30から情報統合装置10への情報の送信を効率よく行うことができる。具体的な手順について、以下説明する。
情報統合装置10の通信経路特定部13では、上記の手順に基づいて蓄積されたセンサ間のつながりと電波強度に基づいて、各センサノード30に係る通信経路を特定する。
具体的には、情報統合装置10の通信経路特定部13では、位置再構成部12によって取得されたセンサ間のつながりを示す情報に対して、安定して通信できる通信強度(電波強度)を閾値として、その閾値を超えるつながりのみを抽出する。情報統合装置10は通信経路を特定したいセンサノード30を選び、抽出したつながり情報をもとに同ノードから情報統合装置10までの間に介在するセンサノード数が最小となる通信経路を探索する。この経路に介在するセンサノード30を中継ノードと呼ぶ。中継ノード数が最小となる通信経路が複数見つかった場合には、経路ごとに最も小さい通信強度を代表スコアと名付けて抽出し,その代表スコアが最も大きい通信経路を使用する通信経路として選択する。なお、経路の特定方法については必ずしもこれに限定するものではなく、中継ノードが特定のセンサノード30に偏らないように経路を分散させる経路特定方法を使ってもよい。
次に、決定された通信経路に基づいて、各センサノード30について、当該ノードから発信された信号を選択的に受信するノードである受信ノードを特定する。受信ノードとは、自ノードと情報統合装置10との間に設けられるノードであり、上述の中継ノードに相当する。したがって、受信ノードとしては、通常の場合、自ノードよりも上位の世代のセンサノード30が特定される。各センサノード30についてそれぞれ受信ノードが特定されると、当該受信ノードに対応する識別タグを、各センサノード30に対して通知する。
各センサノード30が信号を発信する際には、自ノードに対応付けられた受信ノードの識別タグの情報を含める。このような構成とすると、他のセンサノード30が信号を受信した場合は、当該信号に含まれる受信ノードの識別タグの情報と、自ノードの識別タグの情報とを比較する。そして、信号に含まれる受信ノードの識別タグの情報が自ノードの識別タグの情報と一致している場合には、送信された(自ノードにおいて受信した)信号に含まれる情報と、自ノードで取得した情報とを統合し、統合された信号に対して、自ノードに対応付けられた受信ノードの識別タグの情報を含めた上で発信する。また、受信した信号に含まれる受信ノードの識別タグの情報が自ノードの識別タグの情報と一致していない場合は、当該信号については処理を行わない。このような構成とすると、他の通信経路のセンサノード30から送信される情報についても送信処理を行うことを防ぐことができる。
なお、通信経路特定部13は、上記の通信経路のほかに、予備通信経路を特定することもできる。すなわち、各センサノード30に対し、さらに予備的な受信ノードが設定される構成としてもよい。予備通信経路は、何らかの問題が発生して本来の通信経路を使用することができない場合に使用する通信経路である。予備的な受信ノードが設定される場合には、情報統合装置10から各センサノード30に対して予備的な受信ノードが通知される。そして、各センサノード30が信号を発信する際には、自ノードに対応付けられた予備的な受信ノードの識別タグの情報も含めることになる。
また、予備通信経路を運用する場合、本来の通信経路から予備通信経路への変更等を管理する目的から、各センサノード30は受信ノードの識別タグと一致した信号を受信した場合は、応答信号を発する構成とすることができる。そして、応答信号の有無に基づいて各センサノード30において予備通信経路への切替要否を判断し切替を行う構成とすることができる。
上記の構成とした場合、センサノード30は、信号を発した後所定の時間以内に応答信号を受信できない場合は、当該信号再発信する際に、予備的経路を使用することを示す情報を含めた上で信号を発することになる。そして、センサノード30では、予備的な受信ノードを示すタグを含み、予備的経路であることを示す情報を含まない信号を受信した場合は、当該信号について処理を行わない。また、センサノード30は、予備的な受信ノードを示すタグを含み、予備的経路であることを示す情報を含む信号を受信した場合は、予備的経路に関する情報を保持し、センサノード30からの情報と統合し、信号を発する。
なお、応答信号が受信できないために予備的経路を使用する場合、予備的経路に切り替わったことに関する情報は、情報統合装置10に伝達される。このような構成とすると、情報統合装置10では、例えば、本来の通信経路から予備的経路への切替が一定数以上発生した場合に、センサノード30の位置関係が変化した(流動体Dの移動量が増大した)として、ノードマップを作成しなおすこともできる。
なお、上記の構成は一例であり、ノードマップの作成及び運用の仕方は適宜変更することができる。例えば、上記説明では、センサノード30が発信する信号に受信ノードの識別タグに係る情報を含める構成としたが、各センサノード30が自ノードで処理する対象となるセンサノードを特定する情報を保持しておき、当該センサノードから送信された信号のみを受信して処理する構成としてもよい。
通信経路特定部13による送信経路の特定のタイミングは特に限定されないが、例えば、流動体Dに係る計測を行うタイミングで経路の特定に係る処理を行う構成とすることができる。また、流動体D内でのセンサノード30同士の位置関係の変化がほとんど起きない場合には、流動体Dに係る計測を行うタイミングよりも間隔を広げて経路の特定に係る処理を行ってもよい。
図2に戻り、センサ値マップ生成部14は、位置再構成部12により生成されたセンサノード30の位置を示すノードマップに対応して、各センサノード30で計測された物理量(センサ値)を当てはめることで、物理量の分布を示す情報であるセンサ値マップを生成する機能を有する。センサ値マップを生成すると、貯蔵庫Sの流動体Dにおける当該物理量の分布を把握することができる。
センサ情報評価部15は、センサ値マップの生成の際に用いた各センサノード30において計測された物理量(センサ値)を評価する機能を有する。例えば、物理量として温度を計測している場合には、温度が閾値を超えているか等の評価を行うことができる。
出力部16は、センサ値マップ生成部14において生成されたセンサ値マップ又はセンサ情報評価部15における評価結果等を出力する機能を有する。出力部16によるセンサ値マップ又は評価結果等の出力先及び出力方法は特に限定されないが、例えば、情報統合装置に取り付けられたモニタに表示する、又は、外部装置に結果を送信する、等の処理を行うことができる。また、出力部16は、センサ情報評価部15における評価の結果、必要に応じて警報等を発する機能を有していてもよい。
位置既知ノード情報保持部17は、内部計測システム1に含まれる複数の位置既知ノード20それぞれに係る情報を保持する機能を有する。位置既知ノード情報保持部17に保持される情報とは、例えば、各位置既知ノード20を特定するための情報(例えば、識別用のID)、各位置既知ノード20の取り付け位置(絶対位置)、及び、各位置既知ノード20が受信した他のノードからの電波強度に係る情報等が含まれる。これらの情報は、ノードマップの生成等に使用される。
センサノード情報保持部18は、内部計測システム1に含まれる複数のセンサノード30それぞれに係る情報を保持する機能を有する。センサノード情報保持部18に保持される情報とは、例えば、各センサノード30を特定するための情報(例えば、識別用のID)、各センサノード30の最新位置(位置再構成部12による推定の結果得られた位置情報)、各センサノード30が受信した他のノードからの電波強度に係る情報、及び、各センサノード30において計測されたセンサ値に係る情報、当該センサ値の取得時間(計測時間)に係る情報等が含まれる。これらの情報は、ノードマップ及びセンサ値マップの生成等に使用される。
センサ値マップ保持部19は、センサ値マップ生成部14により生成されたセンサ値マップに係る情報が保持される推定結果保持部としての機能を有する。センサ値マップに係る情報には、位置再構成部12により推定されたセンサノード30の位置情報と、各センサノード30のセンサにおける計測結果とが含まれる。これらの情報は、センサ情報評価部15における評価、又は、位置再構成部12によるノードマップの生成等に用いられる。
次に、位置既知ノード20は、通信部21(連携通信部)、電波強度計測部22(相対位置情報取得部)、及び、電波強度結果保持部23を有する。位置既知ノード20は、自ノードでの各部を適切に動作させるための電源を別途有していてもよい。
通信部21は、周囲のセンサノード30との間で通信を行うための電波を発信し、周囲のセンサノード30との間で通信を行う機能を有する。また、通信部21は、情報統合装置10との間で通信を行う機能を有する。このような構成を有することで、位置既知ノード20は、センサノード30において取得された電波強度に関する情報及びセンサ値に係る情報をセンサノード30から取得し、情報統合装置10に対して送信(転送)する機能を有する。さらに、通信部21は、位置既知ノード20で取得された他のノードからの電波の電波強度の計測結果を情報統合装置に対して送信する機能を有する。すなわち、通信部21は、位置既知ノード20における連携通信部としての機能を有する。
電波強度計測部22は、他のノードから発信される電波の電波強度を計測する機能を有する。また、電波強度結果保持部23は、電波強度計測部22による電波強度計測結果を保持する機能を有する。電波強度計測部22による電波強度計測結果は、発信元であるノードを特定する情報(例えば、ID)と対応付けて、電波強度結果保持部23に保持される。
次に、センサノード30は、通信部31(連携通信部)、電波強度計測部32(相対位置情報取得部)、センサ部33、センサ結果保持部34、通信経路取得部35(相対位置情報取得部)、及び、経路情報保持部36を有する。センサノード30は、自ノードでの各部を適切に動作させるための電源を別途有していてもよい。
通信部31は、周囲の位置既知ノード20及びセンサノード30との間で通信を行うための電波を発信し、周囲の位置既知ノード20及びセンサノード30との間で通信を行う機能を有する。また、通信部31は、他のセンサノード30から電波強度に関する情報及びセンサ値に係る情報を取得し、他のセンサノード30又は位置既知ノード20に対して送信(転送)する機能を有する。さらに、通信部21は、自ノードで取得された他のノードからの電波の電波強度の計測結果を及びセンサ値に係る情報を、他のセンサノード30又は位置既知ノード20に対して送信する機能を有する。すなわち、通信部31は、センサノード30における連携通信部としての機能を有する。
電波強度計測部32は、他のノードから発信される電波の電波強度を計測する機能を有する。また、電波強度計測部32は、計測結果を、電波の発信元であるノードを特定する情報(例えば、ID)と対応付けて保持すると共に、後述の経路情報保持部36で保持される情報に基づいた経路により、計測結果を送信する。
センサ部33は、流動体Dに係る物理量(温度等)を計測する機能を有する。計測するタイミングは特に限定されないが、例えば、予め決められた間隔毎に計測する構成とすることができる。また、位置既知ノード20を介して送信される情報統合装置10からの計測指示等に基づいて計測を行う構成であってもよい。
センサ結果保持部34は、センサ部33において計測された物理量(センサ値)を保持する機能を有する。センサ結果保持部34では、センサ部33において計測されたセンサ値を計測日時と対応付けて保持する。また、この情報を他のノードへ送信する場合には、計測日時に係る情報をセンサ値に対応付けて送信する。
通信経路取得部35は、情報統合装置10から提供されるセンサノード30から情報統合装置10に対して情報を送信する際の、通信経路にかかる情報を取得する機能を有する。また、経路情報保持部36では、上記の経路に係る情報、すなわち、情報の送信先に係る情報を保持する。このように、通信経路取得部35及び経路情報保持部36は、センサノード30における連携通信部としての機能を有する。
次に、図5〜図8を参照しながら、内部計測システム1による流動体Dの内部状況に係る計測及びセンサ値マップの生成の方法を説明する。図5は、センサノード30において行われる処理を示すフロー図である。また、図6は、位置既知ノード20において行われる処理を示すフロー図である。また、図7及び図8は、情報統合装置10において行われる処理を示すフロー図である。以下では、装置毎に行われる処理について説明するが、センサノード30において行われる処理、位置既知ノード20において行われる処理、及び、情報統合装置10において行われる処理のタイミングは互いに前後する場合がある。
まず、図5を参照しながら、センサノード30において行われる処理を説明する。図5で説明する処理は、センサノード30のセンサ部33において、物理量の計測が行われる際の処理であり、各センサノード30から情報統合装置10に対しての情報送信のための通信経路を各センサノード30が把握している状態での処理である。まず、センサノード30のセンサ部33において、物理量の計測(センサ計測)が行われる(S01)。これにより、センサ部33においてセンサ値が取得され、センサ結果保持部34において計測日時と共に保持される。次に、センサノード30の通信部31は、センサ計測の段階で、アドホックネットワークを形成するための他のノードを特定するための電波を発信する(S02)。このとき、自ノードを特定するための情報(ID)を発信することで、当該電波を受信したノードは、電波を発信したノードを特定することができる。次に、センサノード30の電波強度計測部32は、周辺の他のノードから送信される電波を受信しその電波強度を計測し、当該電波強度の計測結果を、近隣のノードとの相対位置情報として取得する。なお、他のノードから、当該ノードで計測されたセンサ値及び電波強度情報等が送信される場合には、センサノード30において当該データを受信する(S03)。ここで、上記実施形態で説明したように、他のノードから送信された受信ノードに係る情報を参照して、以降の処理を行うかを決定する処理を行ってもよい。次に、センサノード30の通信部31は、自ノードで取得されたセンサ値に係る情報と、自ノードが受信した電波の電波強度に係る情報と、他のノードから送信されたセンサ値に係る情報及び電波強度情報と、を周辺のノード宛に送信する(S04)。さらに、センサノード30の通信部31は、自ノードで取得されたセンサ値に係る情報と、自ノードが受信した電波の電波強度に係る情報と、他のノードから送信されたセンサ値に係る情報及び電波強度情報と、を経路情報保持部36において保持される情報に基づいて、受信ノードにかかる識別タグを付与した状態で、送信する(S05)。なお、他のノードから、当該ノードで計測されたセンサ値及び電波強度情報等が送信されない場合には、当該データの受信(S03)は省略され、自ノードで取得されたセンサ値に係る情報と、自ノードが受信した電波の電波強度に係る情報と、を送信する(S04,S05)。なお、自ノードで取得されたセンサ値に係る情報を既に送信である場合には、他のノードから送信されたセンサ値に係る情報及び電波強度情報のみを送信してもよい。
自ノードで取得されたセンサ値に係る情報と、自ノードが受信した電波の電波強度に係る情報と、他のノードから送信されたセンサ値に係る情報及び電波強度情報と、の送信は、少なくとも経路情報保持部36において保持される識別タグにより特定される受信ノード宛(S05)に行われ、受信ノードに到達すればよい。したがって、周辺のノード宛の送信(S04)は省略してもよい。ただし、経路情報保持部36において保持される送信先のノード(受信ノード)との間で情報の送受信が適切に行われない場合に、周辺のノード宛の送信(S04)も行うことで、自ノードから発信される情報が情報統合装置10に対して未達となることを防ぐことができる。受信ノードに係る情報が含まれていない情報を各センサノード30においてどのように取り扱うかは、事前に情報統合装置10を含む内部計測システム1内で決めておき、その取り扱い方針に基づいて、周辺のノード宛の送信(S04)を行うか等を決めればよい。例えば、上記実施形態では、他のノードから送信された信号に含まれる受信ノードを特定する識別タグに、受信側のセンサノード30に係る識別タグが含まれていない場合には、受信側のセンサノード30では何ら処理を行わないと設定する場合について説明した。このような構成とする場合、周辺のノード宛の送信(S04)の段階では、例えば、受信ノードを指定しないということを示すフラグ等を付与することで、受信側のセンサノード30において処理が中止されることを防ぐような構成とすることもできる。
次に、図6を参照しながら、位置既知ノード20において行われる処理を説明する。図6で説明する処理は、センサノード30のセンサ部33において、物理量の計測が行われる際の処理であり、各センサノード30から情報統合装置10に対しての情報送信のための通信経路を各センサノード30が把握している状態での処理である。まず、位置既知ノード20の通信部21は、アドホックネットワークを形成するための他のノードを特定するための電波を発信する(S11)。このとき、自ノードを特定するための情報(ID)を発信することで、当該電波を受信したノードは、電波を発信したノードを特定することができる。次に、位置既知ノード20の電波強度計測部22は、周辺の他のノードから送信される電波を受信しその電波強度を計測する。このとき、他のノードから、センサ値及び電波強度情報等が送信される場合には当該データを受信する(S12)。次に、位置既知ノード20の通信部21は、自ノードが受信した電波の電波強度に係る情報と、他のノードから送信されたセンサ値に係る情報及び電波強度情報と、を周辺のノード宛に送信する(S13)。さらに、位置既知ノード20の通信部21は、自ノードが受信した電波の電波強度に係る情報と、他のノードから送信されたセンサ値に係る情報及び電波強度情報と、を情報統合装置10に向けて送信する(S14)。自ノードが受信した電波の電波強度に係る情報と、他のノードから送信されたセンサ値に係る情報及び電波強度情報と、の送信は、少なくとも情報統合装置10宛の送信(S14)であればよく、周辺のノード宛の送信(S13)は省略してもよい。ただし、情報統合装置10との通信が適切に行われない場合に、周辺のノード宛の送信(S13)も行うことで、自ノードから発信される情報が情報統合装置10に対して未達となることを防ぐことができる。この点は、センサノード30と同様と考えることができる。
なお、情報統合装置10において最初にノードマップを作成する段階では、センサノード30におけるセンサの計測は行わない。上述の通り、情報統合装置10から位置既知ノード20及びセンサノード30に対して、ノードの探知の実施を指示する探知指示信号を送信することで、ノード同士の位置関係の把握が行われて、情報統合装置10においてノードマップが作成される。そして、ノードマップの作成に基づいて、通信経路に係る情報が各ノードに対して提供される。この結果に基づいて、センサノード30は上記の処理を行うことになる。
次に、図7及び図8を参照しながら、情報統合装置10において行われる処理を説明する。まず、情報統合装置10の通信部11では、センサノード30から送信される情報を受信する(S21)。実際には、センサノード30からの情報は、位置既知ノード20を経由して送信されるので、通信部11ではこれを受信する。次に、情報統合装置10の通信部11では、位置既知ノード20から送信される情報を受信する(S22)。位置既知ノード20からの情報及びセンサノード30からの情報は、センサノード情報保持部18及びセンサ値マップ保持部19に格納される。次に、通信部11において所定数のデータが受信できているかを確認し(S23)、データ数が不十分である場合(S23−NO)には、引き続きデータ受信を継続する(S21、S22)。所定数のデータが受信できているかの確認(S23)とは、例えば、位置既知ノード20及びセンサノード30の合計のノード数に対して80%以上のノード数からのデータを情報統合装置10が受信した場合には、所定数のデータが受信できていると判断(S23−YES)して、次の処理に進む、等の処理である。なお、センサノード30からの情報の受信(S21)と、位置既知ノード20からの情報の受信(S22)と、の順序は逆でもよく、同時に行われていてもよい。
通信部11が受信するデータ数が所定数を超えていた場合(S23−YES)には、位置再構成部12において、通信部11が受信した電波強度に関する情報と、位置既知ノード情報保持部17、センサノード情報保持部18、及びセンサ値マップ保持部19が保持する情報と、に基づいて、位置再構成、すなわち、ノードマップの作成を行う(S24)。ここでの位置再構成は、センサノード30の位置の最適化に係る処理である。ここでいう最適化としては、例えば電波強度が示唆する距離と位置再構成結果から得られた距離の差を例えば2乗和などで合算したものを指標とし、その最小化することが考えられるが、この処理に限定されるものではない。
位置再構成の具体的な処理については、図8を参照しながら説明する。まず、センサ値マップ保持部19において前回の位置再構成の結果(前回作成したノードマップ)に係る情報を保持している場合には、当該情報を取得する(S31)。前回の位置再構成の結果に係る情報を利用すると、上述したように、位置再構成の際の計算負荷を低減することができる。次に、流動体Dの投入又は搬出に係る情報があれば、当該情報を取得する(S32)。流動体Dの投入又は搬出に係る情報は、例えば、貯蔵庫Sの管理を行う装置等から取得することができる。また、自装置において当該情報を保持していてもよい。前回の位置再構成の結果(前回作成したノードマップ)に係る情報と、流動体Dの投入又は搬出に係る情報と、が取得できた場合、前回の位置再構成において推定された各センサノード30の位置から、流動体Dの移動に伴って各センサノード30がどの程度移動したかを予測する(S33)ことができる。この結果、各センサノード30の仮位置を特定することができる(S34)。なお、前回の位置再構成の結果(前回作成したノードマップ)に係る情報は保持しているが、流動体Dの移動に関する情報を取得できない場合には、前回の位置再構成の結果に基づいて各センサノード30の仮位置を特定する。
次に、前段で特定された各センサノード30の仮位置に基づいて、各センサノード30間の仮位置間の距離も算出することができる。また、仮位置が分かると、事前のシミュレーション等により仮位置周辺の流動体Dの特性等に係る情報を得ることもできる。また、仮位置情報に基づいて、センサノード30が流動体Dの表面近傍にあるか否か、又は、貯蔵庫Sの壁面近傍にあるか否か等の電波の伝搬特性に影響を与える環境の有無等を推測することもできる。したがって、この各センサノード30の仮位置を求めると、これらの情報に基づいて、各センサノード30の周辺での電波の伝搬特性を予め算出することができる。すなわち、電波強度から周辺のノードとの距離を算出するための補正値を算出することができる(S35)。なお、流動体Dが容器等に収容されている場合、容器の内面形状に基づいて、容器の内面よりも内側に補正値を用いるか否かを判定する境界を設け、当該境界と容器の内面に配置された点については、所定の補正値を設けてもよい。例えば、容器が、材質が一様の円筒容器である場合、円筒容器と軸心が一致する円筒容器より小さい径の円筒形状の領域を予め設定し、当該円筒形状の領域外に仮位置が有するセンサノード30に関しては距離算出のための補正値を用いる構成とすることができる。
なお、前回の位置再構成の結果に係る情報が取得できず、流動体Dの移動に関する情報のみが取得できる場合、及び、流動体Dの移動に関する情報も取得できない場合は、各センサノード30の仮位置が特定できないため、仮位置を用いた補正値の算出に関する処理(S34、S35)は省略する。
次に、通信部11が受信した電波強度に関する情報に基づいて、ノード間の距離を算出する(S36)。上述のように、各センサノード30において取得された電波強度に関する情報から、ノード間の距離を算出することができる。なお、仮位置を利用して補正値を算出している(S35)場合には、この段階で補正値を利用してノード間の距離の補正を行う。
なお、受信できた電波の数が少ない等の隣接性が不良なノードの情報をこの段階で除去する(S37)。上述のように、隣接性が不良なノードは、一意に位置の特定が行えない。そのため、解析精度に影響が出る虞があるため,隣接性が不良なノードを必要に応じて除去することになる。その後、各センサノードの現在位置を推定することができる(S38)。前段で算出したノード間の距離と、位置既知ノード情報保持部17で保持される位置既知ノードの位置に関する情報とを用いて、半正定値計画問題に対する公知のソルバを利用した計算を行うことで、各センサノードの現在位置を推定することができ、センサノード30の分布を示すノードマップを作成することができる。
その後、位置再構成部12では、推定結果の妥当性を検証し(S39)、再計算が必要であると判断した場合には(S39−YES)、推定結果により得られた位置をセンサノード30の仮位置として(S34)、一連の計算を繰り返す。また、その際に、推定結果に問題がある部分の修正を行う。具体的には、例えば、ノードマップを作成した結果、例えば、一部のセンサノード30の現在位置が貯蔵庫Sの外側にあるような結果が得られてしまった場合には、当該領域の推定結果が適切ではない場合がある。また、センサの仮位置を事前に特定していた(S34)場合、ノードマップを作成した結果推定されたセンサノード30の推定位置がセンサの仮位置と大きく異なっている場合には、仮位置の特定結果又は補正値が適切ではなかった可能性がある。
このように、推定結果の妥当性を検証した結果、妥当性に問題があると判断した場合には、必要に応じて、推定結果に影響を与えたと推定されるパラメータ等の補正を行い(S40)、繰り返しセンサノード30の位置の推定に係る処理を行う。推定結果が妥当であると判断された場合(S39−NO)には、位置再構成に係る処理を終了する。位置再構成部12による再構成の結果得られたセンサノード30の最新位置に関する情報は、センサノード情報保持部18に保持される。
図7に戻り、位置再構成部12による位置再構成が行われると、通信経路特定部13において通信経路の特定が行われる(S25)。通信経路特定部13による通信経路の特定に係る処理は位置再構成(ノードマップの作成)の度に行われる構成としてもよいが、特に限定されない。通信経路の特定に係る処理が終わると、各センサノード30に対して通信経路に係る情報を送信する。各センサノード30では、自ノードに係る通信経路に係る情報を通信経路取得部35において取得した後、経路情報保持部36において保持する。この結果、次回のセンサノード30によるセンサ計測の際には、更新された通信経路を利用して通信を行うことができる。
次に、センサ値マップ生成部14では、上記の手順で作成されたノードマップに含まれる各センサノード30に対応する位置に、各センサノード30で取得されたセンサ値を当てはめることで、センサ値マップを生成する(S26)。さらに、センサ情報評価部15は、各センサノード30で取得されたセンサ値に係る評価を行う(S27)。その後、出力部16は、センサ値マップ及び/又はセンサ情報評価部15での評価結果を出力する(S28)。評価結果に基づいて、必要に応じて警告等を発することもできる。以上により、内部計測システム1による流動体Dの内部状況に係る計測及びセンサ値マップの生成が終了するが、内部計測システム1のように流動体Dの内部状況を繰り返し計測する場合には、所定の時間が経過した後に、一連の処理(S21〜)を繰り返す。
なお、上述したように、内部計測システム1の運用を開始する際には、事前に情報統合装置10から位置既知ノード20に対して、ノードの探知の実施を指示する探知指示信号を送信することによって開始される探知に係る処理を繰り返す。この段階で、情報統合装置10の通信部11では、センサノード30及び位置既知ノード20から送信される情報を受信することになる(S21、S22)。そして、その結果に基づいて、位置再構成に係る処理を行う(S23、S24及び図8)。この結果、当初のノードマップが作成されて、通信経路特定部13において通信経路の特定が行われる(S25)。この特定された通信経路に係る情報を、センサノード30に対して通知することで、初回のセンサによる計測の結果を、情報統合装置10へ向けて予め指定された経路を利用して送信することが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る内部計測システム1では、流動体Dと混在された複数のセンサノード30のセンサ部33において流動体Dに係る物理量を計測すると共に、相対位置情報取得部として機能する電波強度計測部32において、近隣のノードとの間の相対位置に係る相対位置情報を取得する。そして、連携通信部として機能する通信部31等により、他のセンサノード30と連携して、これらの情報が情報統合装置10に対して送信される。一方、情報統合装置10では、複数のセンサノード30から送信される相対位置情報と、位置既知ノード20の位置に係る情報とに基づいて、複数のセンサノード30の位置の推定を行うと共に、この情報を利用して内部状況情報を生成する。このように、本実施形態の内部計測システム1によれば、流動体D中を浮動するセンサノード30の位置を適切に推定した上で、センサノード30で計測された物理量に係る情報に基づいて、物理量の分布に係る内部状況情報を生成することができる。したがって、本実施形態の内部計測システム1によれば、流動体内部の情報を適切に計測することが可能となる。
また、内部計測システム1では、近隣のノードからの電波の電波強度に係る情報を相対位置情報として利用して、センサノード30と近隣のノードとの間の距離を推定している。このように、相対位置情報として近隣のノードからの電波の電波強度を利用する構成とすることで、精度良くノード間の距離を推定することができる。したがって、センサノード30の位置の推定をより高い精度で行うことができるため、物理量の分布に係る内部状況情報もより高い精度で生成することができる。
また、内部計測システム1では、センサ値マップ保持部19で保持される前回の位置推定の結果にも基づいて、センサノード30と近隣のノードとの間の距離を推定する構成としている。このため、例えば、上記実施形態で説明したように、前回の推定結果で得られたセンサノードの位置の情報から、流動体Dの特性に係る情報等を得て、この情報を利用して距離算出の補正を行うことができる。したがって、情報統合装置10におけるセンサノード30の位置の推定をより高い精度で行うことができる。
また、上記実施形態で説明した内部計測システム1では、位置既知ノード20においてもセンサノード30との相対位置情報を取得すると共に、取得した情報をセンサノード30と連携して情報統合装置10に対して送信する。このような構成としていることで、情報統合装置10では、位置既知ノード20からの情報も利用してセンサノード30の位置の推定をより高い精度で行うことができる。したがって、物理量の分布に係る内部状況情報をより高い精度で生成することができる。
また、内部計測システム1のように、情報統合装置10の内部状況情報生成部として機能するセンサ値マップ生成部14において、センサノードの位置をマップ化して、マップに対して物理量に係る情報を当てはめたセンサ値マップを生成する態様とすることで、流動体内部での物理量の分布を視覚的に容易に把握可能となる。なお、内部計測システム1において、センサ値マップを生成することに代えて、センサノード30の位置の推定結果と、当該センサノード30で計測されたセンサ値と、を対応付けた情報を内部状況情報として生成した場合でも、当該情報に基づいて、流動体D内部の状況に関する情報を適切に把握することができる。
次に、本実施形態に係る内部計測システム1の変形例について説明する。まず、上記実施形態では、センサノード30を混在させる流動体Dが貯蔵庫Sに収容されている例について説明した。上記の貯蔵庫Sでは、流動体Dの導入及び排出の手法は特に限定されないが、流動体Dとセンサノード30を適切に混在させることが可能な貯蔵庫(貯留部)の例を図9に示す。
図9では、貯蔵庫Tが、流動体を導入するための導入経路T1と、流動体を排出するための排出経路T2と、を含む例を示している。流動体が石炭等である場合、導入経路T1及び排出経路は、例えばベルトコンベアにより構成することもできる。導入経路T1及び排出経路T2の取り付け位置は特に限定されないが、流動体が固体である場合には、図9に示すように導入経路T1は貯蔵庫Tの上方に取り付けられると共に排出経路T2が貯蔵庫Tの下方に取り付けられる構成とすることができる。
また、図9では、導入経路T1にセンサノード30を導入経路T1内に導入するための投入口T11を有する例を示している。このような構成を有していると、導入経路T1を利用して流動体を貯蔵庫T内に導入する際に、導入経路T1上でセンサノード30と流動体とを混在させ、そのまま貯蔵庫T内に投入することができる。したがって、センサノード30が流動体内に好適に分散した状態で貯蔵庫T内に流動体を収容することができるため、センサノード30により流動体内部の状況をより適切に計測することができる。
一方、排出経路T2には、経路の開閉が可能な開閉部T21が設けられている。排出経路T2上に、経路の開閉が可能な開閉部T21を有することで、貯蔵庫Tからの流動体の排出を適切に行うことができる。また、開閉部T21による開閉を行いながら流動体を排出することで、流動体と共に排出され得るセンサノードの回収が容易となる。なお、開閉部T21の前段又は後段において、センサノード30を回収するための回収部を別途設ける構成としてもよい。このような場合、センサノード30の導入及び排出にかかる情報を使用することで、大凡のセンサノード30の存在位置を予め推定でき、推定結果が大きく現実と乖離するのを防ぐことができるという効果がある。また、センサノード30の導入及び排出に係る情報を利用して、センサノード30の存在位置を予め推定できると、センサノード30の位置の推定に必要な演算能力を削減することができる。さらに、このような導入・排出機構があれば、何らかの理由で現在のセンサノード30の分布位置が完全に不明な状態で内部計測を開始しても、新しいセンサノード30を導入経路T1から導入し,貯蔵庫T内の格納物を排出経路T2から排出するという工程を繰り返すことで、導入・排出に係る情報から概略位置を推定できたセンサノード30を貯蔵庫Tに十分に分布させた状態を作ることができるという効果がある。
また、上記実施形態では、センサノードと近隣のノードとの相対位置を把握するための相対位置情報として、電波強度の情報を利用する場合について説明した。しかしながら、相対位置情報として、電波強度以外の情報を用いることもできる。電波強度以外の情報としては、例えば、電波を発信してから受信するまでの時間に係る情報等が挙げられる。電波を発信してから受信するまでの時間に係る情報を相対位置情報として利用する場合、例えば、各ノード電波を発信する時間に係る情報を情報統合装置10が把握しておく構成とする。そして、センサノード30において電波を受信した時間を相対位置情報として情報統合装置10に送信する構成とすると、情報統合装置10において、発信元のノードにおいて電波が発信されてからセンサノード30が電波を受信するまでの所要時間を把握することができる。したがって、所要時間に基づいて、ノード間の距離を算出することができ、上記実施形態で説明した内部計測システム1と同様に、各センサノード30の位置を推定することが可能となる。
また、センサノード30の位置を推定する際に、電波強度に係る情報以外に、センサ部で計測された物理量に関する情報やその他の情報を利用してもよい。例えば、センサノード30が気圧センサを有している場合には、情報統合装置10では、当該気圧に関する情報をセンサノード30の位置推定に利用することができる。
また、上記実施形態では、センサノード30の位置の推定について、貯蔵庫S内のセンサノード30の位置推定(ノードマップの作成)を一度に行う場合について説明した。しかしながら、例えばセンサノード30の数が著しく多い場合(例えば、数千個、等)に、センサノード30の位置推定を一度に行うと、計算量が莫大となり適切に処理を行うことができない可能性がある。そこで、図10に示すように、流動体Dが存在する領域を複数の区画Aに区切り、区画毎に位置推定を行う構成としてもよい。なお、図10(A)は流動体Dが例えばばら積み状態である場合に、流動体Dの側面から見た模式図である。流動体Dが存在する領域を予め複数の区画Aに区切る場合には、各区画Aにおいて位置既知ノード20が存在するように区画Aを作成し、まず当該区画A内でセンサノード30の位置推定を行う。さらに、隣接する区画Aからの電波を受信することが可能なセンサノード30で取得された情報を利用して、隣接する区画Aとの間でセンサノード30の位置の整合が取れるように、隣接する区画Aとの位置合わせを行う。これにより、全ての区画Aに含まれるセンサノード30の位置推定が可能となる。
図10(B)は、ピラミッド積みされた流動体Dを上面から見た模式図である。図10(B)では、図示上下方向に3つの区画Aを作成している例を示している。図10(B)に示す例では、まず図示上下方向に3つの区画Aを設けて、センサノード30の位置推定を行った後、図示左右方向に3つの区画Aを改めて設けて、センサノード30の位置推定を再度行う。区画A毎に位置推定を行う構成とした場合、区画A毎に位置推定精度等に偏りが出る可能性が考えられる。したがって、区画Aの区切り方を変更して複数回位置推定を行う構成とすると、区画Aで区切ることによる位置推定結果の偏りを減らすことができる。
以上、本発明の実施形態に係る内部計測システムについて説明したが、上述した実施形態は本発明の一例を示すものである。本発明に係る内部計測システムは、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、内部計測システムの情報統合装置は、上記実施形態で説明したように1台の装置によって実現されていてもよいし、複数台の装置の組み合わせによって実現されていてもよい。
また、通信経路の特定の仕方も適宜変更することができる。例えば、上記実施形態では、情報統合装置10側で通信経路を特定する場合について説明したが、各センサノード30側で、自ノードから情報統合装置10までの通信経路を決定する態様としてもよい。その場合には、センサノード30の通信経路取得部35において、通信経路の決定に係る処理が行われる。センサノード30は、それぞれ自ノード、情報統合装置10(と通信可能な位置既知ノード20)へ到達するまでの転送回数がより少ない経路を特定し、この情報を保持することでこの構成を実現することができる。
各センサノード30から位置既知ノード20へ到達するまでの転送回数がより少ない通信経路を特定する方法の一例について、図4を参照しながら説明する。ここでは、位置既知ノード20に近いセンサノード30から順に自ノードと位置既知ノード20との間の経路を特定する方法を説明する。まず、位置既知ノード20との直接の通信が可能なセンサノード30(例えば、センサノード30E、30F)が送信経路を特定した後に、自ノードから位置既知ノード20までの経路において経由するセンサノードの数(センサノード30E、30Fの場合は、直接位置既知ノード20に送信するので、経由するノードの数は0)を周囲のノードに発信する。そして、その情報を受信したセンサノード30B等が、経由するノードの数が少なくなるように、通信経路を特定する。この手順を経ることで、各センサノード30は、自ノードから位置既知ノード20までの最短経路を特定することができる。なお、通信経路を特定する手順は上記に限定されない。また、良好な通信相手(電波強度が大きな相手)のセンサノードを選択するように、RSSIが所定の範囲内にある通信相手のセンサノードのみを選定した上で、上記の処理を行ってもよい。