以下、発明を実施する形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。本実施形態では、本発明の空調装置1を内燃機関であるエンジン42および図示しない走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド自動車に適用した例について説明する。
本実施形態の空調装置1は、空調対象空間である車室内を冷房する冷房モード、車室内を除湿しながら暖房する除湿暖房モード、車室内を暖房する暖房モードに切替可能に構成されている。
また、本実施形態の空調装置1は、暖房モードとして、温水暖房およびヒートポンプ暖房を切替可能となっている。温水暖房は、後述するヒートポンプサイクル10とは別の熱源であるエンジン42を利用して室内への送風空気を加熱する暖房モードである。また、ヒートポンプ暖房は、後述するヒートポンプサイクル10の室内凝縮器12により送風空気を加熱する暖房モードである。本実施形態では、温水暖房が第1の暖房モードを構成し、ヒートポンプ暖房が第2の暖房モードを構成している。なお、説明の便宜上、以下、ヒートポンプ暖房をHP暖房と呼ぶことがある。
本実施形態の空調装置1は、図1に示すように、主たる構成要素として、ヒートポンプサイクル10、および室内空調ユニット30を備えている。
ヒートポンプサイクル10は、圧縮機11、室内凝縮器12、第1膨張弁13、室外熱交換器14、第2膨張弁18、室内蒸発器19、およびアキュムレータ22を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクルで構成されている。
本実施形態のヒートポンプサイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(例えば、R134a)を採用しており、サイクル内の高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。なお、勿論、HFO系冷媒(例えば、R1234yf)、二酸化炭素等が採用されていてもよい。
ヒートポンプサイクル10の冷媒には、圧縮機11内部の各種構成要素を潤滑するための潤滑油である冷凍機油が混入されている。潤滑油は、その一部が冷媒とともにサイクルを循環する。
ヒートポンプサイクル10の構成機器である圧縮機11は、車両のエンジンルーム内に配置されている。圧縮機11は、ヒートポンプサイクル10において、吸入した冷媒を圧縮して吐出する機能を果たす。
圧縮機11は、図示しない圧縮機構を図示しない電動モータにて駆動する電動圧縮機である。圧縮機構としては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用することができる。圧縮機11の電動モータは、後述するインバータ80から出力される交流電流によってその作動が制御される交流モータである。
本実施形態の圧縮機11は、図2に示すように、インバータ80を介して空調制御装置50に接続されている。インバータ80は、空調制御装置50からの制御信号に応じて圧縮機11の電動モータを制御する装置である。インバータ80は、圧縮機11の電動モータを制御することで、室内凝縮器12へ流入する高圧冷媒の流量を調整可能に構成されている。そして、インバータ80は、室内凝縮器12へ流入する高圧冷媒の流量を変化させることで、室内凝縮器12における高圧冷媒と送風空気との熱交換量を調整することが可能となっている。
図1に戻り、圧縮機11の冷媒吐出口側には、室内凝縮器12が接続されている。室内凝縮器12は、後述する室内空調ユニット30の空調ケース31内に配置されている。室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を送風空気と熱交換させて、室内蒸発器19を通過した後の送風空気を加熱する放熱器である。
室内凝縮器12の冷媒出口側には、第1膨張弁13が接続されている。第1膨張弁13は、室内凝縮器12から流出した冷媒を減圧する減圧機構である。第1膨張弁13は、絞り開度が変更可能に構成された弁体、および弁体を駆動するアクチュエータを有する。
本実施形態の第1膨張弁13は、減圧作用を発揮する絞り状態と減圧作用を発揮しない全開状態とに設定可能な可変絞り機構で構成されている。また、第1膨張弁13は、空調制御装置50から出力される制御信号によって制御される電気式の可変絞り機構で構成されている。
第1膨張弁13の冷媒出口側には、室外熱交換器14が接続されている。室外熱交換器14は、エンジンルーム内に配置されて、第1膨張弁13を通過した冷媒と車室外空気(すなわち、外気)とを熱交換させる熱交換器である。
室外熱交換器14は、暖房モード時に低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器として機能する。また、室外熱交換器14は、少なくとも冷房モード時に、高圧冷媒を放熱させる放熱用熱交換器として機能する。
室外熱交換器14の冷媒出口側には、室外熱交換器14から流出した冷媒の流れを分岐する低圧側分岐部15が接続されている。低圧側分岐部15は、3つの出入口のうち、1つを冷媒流入口とし、残りの2つを冷媒流出口とする三方継手で構成されている。
低圧側分岐部15には、一方の冷媒流出口に低圧冷媒通路16が接続され、他方の冷媒流出口に低圧バイパス通路17が接続されている。低圧冷媒通路16は、第2膨張弁18、および室内蒸発器19を介して後述するアキュムレータ22へ冷媒を導く冷媒通路である。
第2膨張弁18は、室外熱交換器14から流出した冷媒を減圧する減圧機構である。本実施形態の第2膨張弁18は、減圧作用を発揮する絞り状態と、冷媒の流れを遮断する全閉状態とに設定可能な可変絞り機構で構成されている。また、第2膨張弁18は、第1膨張弁13と同様に、空調制御装置50から出力される制御信号によって制御される電気式の可変絞り機構で構成されている。
室内蒸発器19は、後述する室内空調ユニット30の空調ケース31内のうち、室内凝縮器12の空気流れ上流側に配置されている。室内蒸発器19は、第2膨張弁18を通過した低圧冷媒を、室内凝縮器12を通過する前の送風空気と熱交換させ、低圧冷媒を蒸発させることにより、送風空気を冷却する蒸発器である。
一方、低圧バイパス通路17は、第2膨張弁18、および室内蒸発器19を迂回して後述するアキュムレータ22へ冷媒を導く冷媒通路である。低圧バイパス通路17には、低圧バイパス通路17を開閉する低圧側開閉弁20が設けられている。
ここで、室外熱交換器14から流出した冷媒は、低圧側開閉弁20が開き、第2膨張弁18が全閉状態となっている場合に、低圧バイパス通路17へ流れる。また、室外熱交換器14から流出した冷媒は、低圧側開閉弁20が閉じ、第2膨張弁18が絞り状態となっている場合に、低圧冷媒通路16へ流れる。従って、本実施形態では、低圧側開閉弁20および第2膨張弁18が、室外熱交換器14から流出した冷媒の冷媒通路を、低圧冷媒通路16および低圧バイパス通路17のいずれかに切り替える通路切替部として機能する。なお、低圧側開閉弁20は、流路切替弁で構成してもよい。低圧側開閉弁20を流路切替弁で構成する場合、当該流路切替弁を低圧側分岐部15や低圧側合流部21に配置すればよい。
室内蒸発器19および低圧側開閉弁20の冷媒流れ下流側には、低圧冷媒通路16と低圧バイパス通路17とを合流させる低圧側合流部21が設けられている。低圧側合流部21は、3つの出入口のうち、1つを冷媒流出口とし、残りの2つを冷媒流入口とする三方継手で構成されている。
低圧側合流部21の冷媒流出口側には、アキュムレータ22が接続されている。アキュムレータ22は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して、分離された気相冷媒、および冷媒中に含まれる潤滑油を圧縮機11の冷媒吸入口側に流出させるものである。
また、アキュムレータ22は、その内部で分離された液相冷媒を、サイクル内の余剰冷媒を一時的に貯留する貯留部としても機能する。従って、アキュムレータ22は、圧縮機11に液相冷媒が吸入されることを抑制して、圧縮機11における液圧縮を防止する機能を果たす。
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(すなわち、インストルメントパネル)の内側に配置されている。室内空調ユニット30は、その外殻を形成するとともに、車室内への送風空気の空気通路を形成する空調ケース31を有する。
空調ケース31の空気流れ最上流側には、車室内空気(すなわち、内気)と外気とを切替導入する内外気切替装置32が配置されている。内外気切替装置32は、内気の導入口および外気の導入口の開口面積を、内外気切替ドアで調整することで、空調ケース31内への内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる装置である。
内外気切替装置32の空気流れ下流側には、内外気切替装置32から導入される空気を車室内へ向けて送風する送風機33が配置されている。送風機33は、シロッコファン等の遠心ファン33aを電動モータ33bにて駆動する電動送風機である。送風機33は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって送風能力(例えば、回転数)が制御される。
送風機33の空気流れ下流側には、室内蒸発器19が配置されている。また、室内蒸発器19の空気流れ下流側には、ヒータコア41および室内凝縮器12が、送風空気の流れに対して、ヒータコア41、室内凝縮器12の順に配置されている。すなわち、ヒータコア41は、室内凝縮器12に対して空気流れ上流側に配置されている。
ここで、ヒータコア41は、車両走行用の駆動力を出力するエンジン42の冷却水が循環する温水回路40に配置されている。ヒータコア41は、エンジン42から流出した冷却水を送風空気と熱交換させて、送風空気を加熱する熱交換器である。本実施形態では、ヒータコア41が、ヒートポンプサイクル10とは別の熱源を利用して、室内凝縮器12を通過する前の送風空気を加熱する加熱機器を構成している。なお、ヒータコア41には、エンジン42を通過した後の温水が流入するように、温水回路40におけるエンジン42の冷却水流れ下流側に配置されている。
温水回路40には、エンジン42の冷却水を循環させるウォータポンプ45が設けられている。ウォータポンプ45は、エンジン42の駆動力により制御される。具体的には、ウォータポンプ45は、図示しない電磁クラッチ、エンジンベルト等を介してエンジン42により回転駆動される。したがって、ウォータポンプ45は、エンジン42が停止すると動作を停止する。
温水回路40には、ラジエータ43および開閉弁44が配置されている。ラジエータ43は、エンジン42の冷却水と車両内に送風される空調風との熱交換を行う熱交換器である。ラジエータ43は、例えば、エンジンルーム内など車室外に、室外熱交換器14および室外送風機15と共に配置されている。
開閉弁44は、エンジン42を通過した後の温水がラジエータ43に流入する流量を調整する。開閉弁44が閉じた状態では、エンジン42を通過した後の温水の全量がヒータコア41へ流入する。開閉弁44が開くと、エンジン42を通過した後の温水の一部は、ラジエータ43を通ってウォータポンプ45へ流入し、エンジン42を通過した後の温水の残りの一部は、ラジエータ43を通ってウォータポンプ45へ流入する。
本実施形態の空調ケース31は、室内蒸発器19の空気流れ下流側に設けられた仕切板31aによって、温風通路34および冷風バイパス通路35が形成されている。温風通路34には、ヒータコア41および室内凝縮器12が配置されており、ヒータコア41および室内凝縮器12に送風空気を流す通路となっている。また、冷風バイパス通路35は、ヒータコア41および室内凝縮器12を迂回して送風空気を流す通路である。
また、空調ケース31内には、室内蒸発器19の空気流れ下流側であって、かつ、ヒータコア41および室内凝縮器12の空気流れ上流側にエアミックスドア36が配置されている。
エアミックスドア36は、温風通路34に流す送風空気の風量と冷風バイパス通路35に流す送風空気との風量割合を調整する部材である。車室内へ吹き出す空気の温度は、温風通路34に流す送風空気の風量と冷風バイパス通路35に流す送風空気との風量割合に応じて変化する。このため、エアミックスドア36は、車室内へ吹き出す空気の温度を調整する温度調整部として機能する。なお、エアミックスドア36は、空調制御装置50から出力される制御信号によって作動が制御される。
また、温風通路34および冷風バイパス通路35の空気流れ下流側には、温風通路34を通過した温風、並びに、冷風バイパス通路35を通過した冷風を合流させる図示しない合流空間が形成されている。
空調ケース31の空気流れ最下流部には、合流空間にて合流した送風空気を、車室内へ吹き出す複数の開口穴が形成されている。図示しないが、空調ケース31には、開口穴として、車両前面の窓ガラスの内面に向けて空気を吹き出すデフロスタ開口穴、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス開口穴、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット開口穴が形成されている。
また、図示しないが、各開口穴の空気流れ上流側には、各開口穴の開口面積を調整する吹出モードドアとして、デフロスタドア、フェイスドア、フットドアが配置されている。これら吹出モードドアは、図示しないリンク機構等を介して、空調制御装置50から出力される制御信号によってその作動が制御されるアクチュエータにより駆動される。
さらに、図示しないが、各開口穴の空気流れ下流側は、それぞれ空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられたフェイス吹出口、フット吹出口、およびデフロスタ吹出口に接続されている。
次に、本実施形態の電気制御部について、図2を参照して説明する。空調制御装置50は、CPU、ROMおよびRAM等の記憶部を含むマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。空調制御装置50は、記憶部に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種空調用の制御機器の作動を制御する。なお、空調制御装置50の記憶部は、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
空調制御装置50の入力側には、図示しない空調制御用のセンサ群が接続されている。具体的には、空調制御装置50には、空調制御用のセンサ群として、内気温を検出する内気センサ、外気温を検出する外気センサ、車室内への日射量を検出する日射センサ等が接続されている。
また、空調制御装置50には、ヒートポンプサイクル10の作動状態を検出するセンサが接続されている。具体的には、空調制御装置50には、室内蒸発器19通過後の空気温度を検出する第1温度センサ51、室内凝縮器12に流入する高圧冷媒の温度を検出する第2温度センサ52、室内凝縮器12通過後の冷媒圧力を検出する冷媒圧力センサ53等が接続されている。
説明の便宜上、本実施形態では、室内蒸発器19通過後の空気温度を蒸発器温度Teと呼ぶことがある。また、本実施形態では、圧縮機11から吐出されて室内凝縮器12に流入する高圧冷媒の温度を吐出冷媒温度Thと呼ぶことがある。さらに、本実施形態では、室内凝縮器12通過後の冷媒圧力を高圧冷媒圧力Phと呼ぶことがある。なお、吐出冷媒温度Thは、放熱器を構成する室内凝縮器12の冷媒温度として解釈することができる。
第1温度センサ51としては、室内蒸発器19の熱交換フィンの温度を蒸発器温度Teとして直接的に検出するセンサや、室内蒸発器19を流れる冷媒の温度を蒸発器温度Teとして間接的に検出するセンサ等が考えられるが、いずれのセンサを用いてもよい。
また、第2温度センサ52としては、圧縮機11の吐出冷媒温度Thを直接的に検出するセンサや、室内凝縮器12の熱交換フィンの温度を吐出冷媒温度Thとして間接的に検出するセンサ等が考えられるが、いずれのセンサを用いてもよい。
さらに、空調制御装置50には、ヒータコア41に流入する冷却水の温度を検出する第3温度センサ54が接続されている。第3温度センサ54は、ヒータコア41に流入する冷却水の温度からヒータコア41で加熱された送風空気の空気温度を算出するためのセンサである。本実施形態では、第3温度センサ54がヒータコア41の温度、すなわち、加熱機器の温度を検出する温度センサを構成している。なお、説明の便宜上、本実施形態では、ヒータコア41に流入する冷却水の温度をヒータコア水温度Twhと呼ぶことがある。また、本実施形態では、ヒータコア41で加熱された送風空気の空気温度をヒータコア温度Tcaと呼ぶことがある。
ここで、ヒータコア温度Tcaは、ヒータコア41の熱交換効率に従って、ヒータコア41に流入するヒータコア水温度Twhよりも若干低い温度となる。このため、本実施形態の空調制御装置50は、ヒータコア水温度Twhから所定の補正温度を減算した温度をヒータコア温度Tcaとして算出する。
さらに、空調制御装置50には、ウォータポンプ45から作動状態を示す信号が入力される。空調制御装置50は、このウォータポンプ45から入力される信号に基づいてウォータポンプ45から作動中であるか否かを判定する。
空調制御装置50には、各種空調操作スイッチが配置された操作パネル60が接続されている。空調制御装置50には、操作パネル60の各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル60には、各種空調操作スイッチとして、空調装置1の作動スイッチ、車室内の目標温度を設定する温度設定スイッチ、室内蒸発器19で送風空気を冷却するか否かを設定するA/Cスイッチ等が設けられている。
また、空調制御装置50には、車両全体の制御を司る車両制御装置70に対して双方向通信可能に接続されている。空調制御装置50には、車両制御装置70からエンジン42の作動状態や、車両の走行状態等の各種車両情報が入力される。
本実施形態の空調制御装置50は、出力側に接続された各種制御機器の作動を制御するハードウェアおよびソフトウェアで構成される制御部を集約した装置である。
空調制御装置50には、例えば、ヒートポンプサイクル10の運転モードを切り替えるモード切替部50a、モード切替部50aを制御する運転制御部50b、車室内へ吹き出す空気の目標吹出温度TAOを算出する目標温度算出部50cが集約されている。
また、空調制御装置50には、後述する判定基準温度を設定する基準温度設定部50d、後述する吸熱補正温度ΔTを算出する吸熱温度算出部50e、エアミックスドア36の作動を制御するドア制御部50f等の制御部が集約されている。
本実施形態では、モード切替部50aが、圧縮機11を停止した状態でヒータコア41により送風空気を加熱する温水暖房、および圧縮機11を稼働した状態で少なくとも室内凝縮器12により送風空気を加熱するHP暖房を切り替える暖房切替部を構成している。
次に、上記構成における空調装置1の作動について説明する。本実施形態の空調装置1は、冷房モード、暖房モード、および除湿暖房モードに切り替え可能となっている。これら運転モードは、空調制御装置50が実行する空調制御処理により切り替え可能となっている。
空調制御装置50が実行する空調制御処理については、図3に示すフローチャートを参照して説明する。空調制御処理は、車両のスタートスイッチが投入されることで開始される。なお、図3に示すフローチャートの各ステップは、空調制御装置50により実現されるものであり、各ステップで実現される機能それぞれを機能実現部として解釈することができる。
図3に示すように、空調制御装置50は、空調ON、すなわち、空調装置1の作動スイッチが投入されたか否かを判定する(S1)。この際、空調装置1の作動スイッチが投入されたと判定されると、空調制御装置50は、記憶部に記憶されたフラグ、タイマ等の初期化や、各種制御機器の初期位置を合わせる初期化処理を行う(S2)。この初期化処理では、前回の空調装置1の運転停止時に記憶部に記憶された値に合わせることもある。
続いて、空調制御装置50は、操作パネル60の操作信号を読み込む(S3)。また、空調制御装置50は、空調制御用のセンサ群の各センサ信号を読み込む(S4)。そして、空調制御装置50は、ステップS3、S4の処理で読み込んだ各種信号に基づいて、車室内へ吹き出す送風空気の目標吹出温度TAOを算出する(S5)。
具体的には、空調制御装置50は、ステップS5の処理において、以下の数式F1を用いて目標吹出温度TAOを算出する。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×As+C…(F1)
ここで、Tsetは温度設定スイッチで設定された車室内の設定温度、Trは内気センサで検出された検出信号、Tamは外気センサで検出された検出信号、Asは日射センサで検出された検出信号を示している。なお、Kset、Kr、Kam、およびKsは、制御ゲインであり、Cは、補正用の定数である。
続いて、空調制御装置50は、送風機33の送風能力を決定する(S6)。ステップS6の処理では、ステップS5で算出した目標吹出温度TAOに基づいて、予め記憶部に記憶された制御マップを参照して、送風機33の送風能力を決定する。
本実施形態の空調制御装置50は、目標吹出温度TAOが極低温域、および極高温域となる場合に、送風機33の送風量が多くなるように、送風能力を最大能力付近に決定する。また、本実施形態の空調制御装置50は、目標吹出温度TAOが極低温域から中間温度域へ上昇したり、極高温域から中間温度域へ低下したりする場合に、送風機33の送風量が減少するように、送風能力を最大付近よりも低い能力に決定する。
続いて、空調制御装置50は、内外気切替装置32の切替状態を示す吸込口モードを決定する(S7)。ステップS7の処理では、目標吹出温度TAOに基づいて、予め記憶部に記憶された制御マップを参照して吸込口モードを決定する。本実施形態の空調制御装置50は、基本的には、外気を導入する外気モードに吸込口モードを決定する。本実施形態の空調制御装置50は、目標吹出温度TAOが極低温域となって高い冷房性能が要求される状況や、目標吹出温度TAOが極高温域となって高い暖房性能が要求される状況等に内気を導入する内気モードに吸込口モードを決定する。
続いて、空調制御装置50は、吹出口モードを決定する(S8)。ステップS8の処理では、目標吹出温度TAOに基づいて、予め記憶部に記憶された制御マップを参照して吹出口モードを決定する。本実施形態の空調制御装置50は、目標吹出温度TAOが高温域から低温域へと低下するに伴って、フットモード→バイレベルモード→フェイスモードへと移行するように吹出口モードを決定する。
続いて、空調制御装置50は、ステップS3、S4で読み込んだ各種信号、およびステップS5で算出した目標吹出温度TAOに基づいて、空調装置1の運転モードを決定する(S9)。
ステップS9の処理では、例えば、A/Cスイッチがオンされ、且つ、目標吹出温度TAOが予め定めた値よりも低くなっている場合に、室内冷房を行う冷房モードに決定する。また、ステップS9の処理では、例えば、A/Cスイッチがオンされ、且つ、目標吹出温度TAOが暖房基準値以上となっている場合に、室内の除湿暖房を行う除湿暖房モードに決定する。さらに、ステップS9の処理では、例えば、A/Cスイッチがオフされ、且つ、目標吹出温度TAOが暖房基準値以上となっている場合に、室内暖房を行う暖房モードに決定する。
続いて、空調制御装置50は、ステップS9で決定した運転モードに基づいて、低圧側開閉弁20の開閉状態を決定する(S10)。ステップS10の処理では、図4に示すように、ステップS9の処理で冷房モードおよび除湿暖房モードに決定された場合に、低圧側開閉弁20を閉状態に決定する。また、ステップS10の処理では、ステップS9の処理で暖房モードに決定された場合に、低圧側開閉弁20を開状態に決定する。
続いて、空調制御装置50は、ステップS3、S4で読み込んだ各種信号、ステップS5で算出した目標吹出温度TAO、およびステップS9で決定した運転モードに基づいて、圧縮機11の回転数を決定する(S11)。
ステップS11の処理では、ステップS9の処理で冷房モードおよび除湿暖房モードに決定された場合、圧縮機11の回転数を以下のように決定する。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め記憶部に記憶された制御マップを参照して、室内蒸発器19の目標蒸発器温度TEOを決定する。この際、目標蒸発器温度TEOは、室内蒸発器19の着霜(すなわち、フロスト)を防止するため、着霜温度(例えば、0℃)よりも高い温度(例えば、1℃)以上となるように決定される。
そして、空調制御装置50は、目標蒸発器温度TEOと第1温度センサ51で検出した蒸発器温度Teとの偏差に基づいて、蒸発器温度Teが目標蒸発器温度TEOに近づくように、圧縮機11の回転数を決定する。
また、ステップS11の処理では、ステップS9の処理で暖房モードに決定された場合、ヒータコア温度Tca、高圧冷媒圧力Pd、目標吹出温度TAO、吐出冷媒温度Thに基づいて、圧縮機11の回転数を決定する。
ここで、本実施形態の空調装置1は、暖房モードとして温水暖房とHP暖房とが切替可能となっている。温水暖房は、ヒータコア温度Tcaが目標吹出温度TAOよりも高い場合に選択可能であり、ヒータコア温度Tcaが目標吹出温度TAO以下の場合には、室内空調ユニット30から車室内へ吹き出す空気の温度である吹出空気温度TAVが低下してしまう。
これに対して、暖房モード時においてヒータコア温度Tcaが目標吹出温度TAO以下となった際に、温水暖房からHP暖房に切り替えることが考えられる。
しかしながら、温水暖房の実行中にヒータコア温度Tcaが目標吹出温度TAO以下となった際に、温水暖房からHP暖房に切り替えたとしても、室内空調ユニット30から車室内へ吹き出す空気の温度である吹出空気温度TAVが低下することがある。
この点について、図5を参照して説明する。なお、図5は、ヒータコア温度Tcaが目標吹出温度TAO以下となった際に、温水暖房からHP暖房に切り替える構成(比較例)における吹出空気温度TAV、目標吹出温度TAO、ヒータコア温度Tca、吐出冷媒温度Thの変化の一例を示している。
図5に示すように、ヒータコア温度Tcaが目標吹出温度TAO以下となった際に、温水暖房からHP暖房に切り替えると、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11が稼働することで、吐出冷媒温度Thが目標吹出温度TAOに近づくように、徐々に上昇する。そして、ヒートポンプサイクル10では、圧縮機11の回転数が安定した定常状態において、吐出冷媒温度Thが、ヒータコア温度Tcaよりも高くなるようにバランスする。
ところが、ヒートポンプサイクル10の起動時には、サイクル内の冷媒が、その周囲の雰囲気温度相当の温度や圧力となっている。このため、吐出冷媒温度Thが、ヒータコア温度Tcaよりも低い温度になることがある。
サイクル内の冷媒の温度がヒータコア温度Tcaよりも低い状態で圧縮機11が稼働すると、ヒータコア温度Tcaよりも低温の冷媒がサイクル内を循環する。この際、室内凝縮器12には、ヒータコア温度Tcaよりも低温の冷媒が流入し続けることになる。このため、室内凝縮器12では、吐出冷媒温度Thがヒータコア温度Tcaよりも高くなるまでの期間、室内凝縮器12を流れる冷媒が、ヒータコア41通過後の空気から吸熱する状態が継続される。これにより、吹出空気温度TAVが目標吹出温度TAOよりも低い温度に低下してしまう。
また、ハイブリッド自動車では、エンジン42の駆動力で走行するエンジン走行と、走行用電動モータの駆動力で走行を行うEV走行を切り替えて走行する。このような車両では、エンジン走行からEV走行に切り替わり、エンジン42が作動を停止した際に、室内空調ユニット30から車室内へ吹き出す空気の温度である吹出空気温度TAVが低下することがある。
この点について、図6を参照して説明する。なお、図6は、エンジン走行からEV走行に切り替わり、エンジン42が作動を停止し、これによりウォータポンプ45が作動を停止した際における吹出空気温度TAV、目標吹出温 度TAO、ヒータコア温度Tca、吐出冷媒温度Thの変化の一例を示している。
図6に示すように、エンジン走行からEV走行に切り替わると、エンジン42が作動を停止する。これにより、ウォータポンプ45が作動を停止し、エンジン42からヒータコア41への冷却水の流入がなくなる。
この際、ヒータコア41には、送風空気が当たるためヒータコア温度Tacが急速に低下する。したがって、ヒータコア温度Tcaが目標吹出温度TAO以下となった際に、温水暖房からHP暖房に切り替える構成では、室内空調ユニット30から車室内へ吹き出す空気の温度である吹出空気温度TAVが低下してしまう。
これらの点を考慮して、本実施形態の空調制御装置50では、ステップS11の処理にて、温水暖房の実行中に、ヒータコア温度Tcaが、目標吹出温度TAOよりも高い温度に設定された判定基準温度以上であると判定された場合、または、温水暖房の実行中に、ウォータポンプ45が停止したと判定された場合、暖房切替部50aを制御してHP暖房に切り替える切替制御処理を実施する。
以下、ステップS9の処理で暖房モードに決定された場合におけるステップS11の処理の詳細について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、図7に示す制御ルーチンは、ステップS9の処理で暖房モードに決定された場合にステップS11で処理する処理内容を示している。
図7に示すように、空調制御装置50は、第3温度センサ54の検出値から算出したヒータ温度Tcaが、目標吹出温度TAOよりも高い温度に設定された判定基準温度(TAO+ΔT)以上であるか否かを判定する(S110)。
具体的には、ステップS110の処理では、目標吹出温度TAOに対して、室内凝縮器12を通過した際の送風空気の温度変化量(すなわち、吸熱量)に相当する吸熱補正温度ΔTを加算した温度を判定基準温度に設定する。
ここで、室内凝縮器12における送風空気の温度変化量は、温水暖房時におけるヒータコア41の温度(すなわち、ヒータコア温度Tca)と室内凝縮器12の冷媒温度(すなわち、吐出冷媒温度Th)との温度差(=Tca−Th)が大きい程大きくなる。
この点を鑑み、本実施形態の空調制御装置50は、温水暖房時におけるヒータコア温度Tcaと吐出冷媒温度Thとの温度差(=Tca−Th)が大きい程、吸熱補正温度ΔTを高い温度に補正している。
具体的には、本実施形態の空調制御装置50には、ヒータコア温度Tcaと吐出冷媒温度Thとの温度差、および吸熱補正温度ΔTの関係が規定された図8に示す制御マップを参照して、吸熱補正温度ΔTを算出する。なお、図8では、ヒータコア温度Tcaと吐出冷媒温度Thとの温度差の増加に比例して吸熱補正温度ΔTが大きくなる制御マップを例示しているが、これに限定されない。例えば、ヒータコア温度Tcaと吐出冷媒温度Thとの温度差の増加に応じて、吸熱補正温度ΔTが段階的に高くなる制御マップを用いて、吸熱補正温度ΔTを算出してもよい。
ステップS110の判定処理の結果、ヒータコア温度Tcaが判定基準温度(TAO+ΔT)以上であると判定された場合、次に、ウォータポンプ45が作動中であるか否かを判定する(S112)。ここで、ウォータポンプ45が作動中であるか否かを判定は、ウォータポンプ45からの作動状態を示す信号に基づいて行うことができる。
ここで、車両がエンジン走行中で、ウォータポンプ45が作動している場合には、運転モードをエンジン42の排熱を利用した温水暖房に決定する(S114)。つまり、空調制御装置50は、圧縮機11を停止した状態でエンジン42を熱源として送風空気を加熱する温水暖房に決定する。
一方、ステップS110の判定処理の結果、ヒータコア温度Tcaが判定基準温度(TAO+ΔT)未満であると判定された場合、エンジン42の排熱を利用した温水暖房を継続すると、HP暖房に切り替えた際に吹出空気温度TAVが低下する可能性がある。
このため、空調制御装置50は、ヒータコア温度Tcaが判定基準温度(TAO+ΔT)未満である場合、運転モードをHP暖房に決定する(S116)。つまり、空調制御装置50は、圧縮機11を稼働して室内凝縮器12を流れる高圧冷媒により送風空気を加熱するHP暖房に切り替える。
具体的には、ステップS116の処理では、圧縮機11の回転数を決定する。すなわち、空調制御装置50は、室内凝縮器12の空気流れ下流側の温度が目標吹出温度TAOに近づくよう圧縮機11の回転数を決定する。室内凝縮器12の空気流れ下流側の温度は、冷媒圧力センサ53で検出した高圧冷媒圧力Ph、あるいは室内凝縮器12から流出する冷媒温度から推定してもよい。また、室内凝縮器12の空気流れ下流側の温度を検出する温度センサを備え、この温度センサにより室内凝縮器12の空気流れ下流側の温度を直接検出してもよい。
また、ステップS110の判定処理の結果、ヒータコア温度Tcaが判定基準温度(TAO+ΔT)以上であると判定された場合でも、S112の判定処理の結果、ウォータポンプ45が作動中でないと判定された場合、運転モードをHP暖房に決定する(S116)。
例えば、車両がエンジン走行からEV走行に切り替わり、エンジン42が作動を停止し、これによりウォータポンプ45が作動を停止した場合、空調制御装置50は、圧縮機11を稼働して室内凝縮器12を流れる高圧冷媒により送風空気を加熱するHP暖房に切り替える。
図3に戻り、ステップS11にて圧縮機11の回転数を決定した後、空調制御装置50は、各膨張弁13、18の開度を決定する(S12)。ステップS12の処理では、ステップS9の処理で冷房モードおよび除湿暖房モードに決定された場合、図9に示すように、第1膨張弁13を全開状態とし、第2膨張弁18を絞り状態に決定する。第2膨張弁18の絞り開度は、第2膨張弁18へ流入する冷媒の過冷却度が、目標過冷却温度に近づくように決定する。目標過冷却度は、外気センサで検出した外気温等に基づいて、予め記憶部に記憶された制御マップを参照して決定すればよい。
また、ステップS12の処理では、ステップS9の処理で暖房モードに決定された場合、図9に示すように、第1膨張弁13を絞り状態とし、第2膨張弁18を全閉状態に決定する。第1膨張弁13の絞り開度は、第1膨張弁13へ流入する冷媒の過冷却度が、目標過冷却温度に近づくように決定する。目標過冷却度は、冷房モード等と同様に、外気温センサの検出値等に基づいて、予め記憶部に記憶された制御マップを参照して決定すればよい。
図3に戻り、空調制御装置50は、エアミックスドア36の開度を決定する(S13)。ステップS13の処理では、冷房モード時に、温風通路34が閉塞されて、室内蒸発器19を通過後の送風空気の全流量が冷風バイパス通路35を通過するように、エアミックスドア36の開度を決定する。
また、ステップS13の処理では、除湿暖房モード時および暖房モード時に、目標吹出温度TAO、蒸発器温度Te、温風通路34における室内凝縮器12通過後の空気温度TC等に応じて、エアミックスドア36のドア開度SWを決定する。
具体的には、ドア開度SWは、以下の数式F2を用いて算出する。
SW={(TAO−{Te+α})/Max[10、TC−{Te+α}]}×100[%]・・・(F2)
ここで、数式F2に示す「α」は、補正係数であり、例えば、「2」に設定される。また、SW≦0[%]は、冷風バイパス通路35を全開状態にするエアミックスドア36の最大冷房位置(すなわち、MaxCool)である。これに対して、SW≧100[%]は、温風通路34を全開状態にするエアミックスドア36の最大暖房位置(すなわち、MaxHot)である。
数式F2に示す「TC」は、温風通路34における室内凝縮器12通過後の空気温度である。この室内凝縮器12通過後の空気温度を温度センサで検出することも考えられるが、部品点数が増加することから好ましくない。
このため、本実施形態では、部品点数を抑えるために、既存のセンサの検出値等から室内凝縮器12通過後の空気温度TCを算出している。具体的には、温水暖房時には、ヒータコア温度Tcaを室内凝縮器12通過後の空気温度TC(=Tca)として、エアミックスドア36のドア開度を決定する。
また、HP暖房時においてヒータコア温度Tcaが吐出冷媒温度Th以下の場合には、吐出冷媒温度Thを室内凝縮器12通過後の空気温度TC(=Th)として、エアミックスドア36のドア開度を決定する。
ここで、HP暖房時においてヒータコア温度Tcaが吐出冷媒温度Thよりも高い場合、室内凝縮器12を流れる高圧冷媒がヒータコア41を通過した空気から吸熱する。これにより、室内凝縮器12通過後の空気温度TCは、ヒータコア温度Tcaよりも低い温度となってしまう。
そこで、HP暖房時にてヒータコア温度Tcaが吐出冷媒温度Thよりも高い場合には、ヒータコア温度Tcaから吸熱補正温度ΔTを減算した温度を室内凝縮器12通過後の空気温度TC(=Tca−ΔT)として、エアミックスドア36のドア開度を決定する。
これにより、HP暖房時においてヒータコア温度Tcaが吐出冷媒温度Thよりも高い場合には、吸熱補正温度ΔTを減算する分、数式F2における分母の値が大きくなるので、吸熱補正温度ΔTが大きい程、エアミックスドア36の開度が大きくなる。つまり、本実施形態の空調制御装置50は、HP暖房時においてヒータコア温度Tcaが吐出冷媒温度Thよりも高い場合、吸熱補正温度ΔTが大きい程、温風通路34に流す送風空気の風量が多くなるようにエアミックスドア36を制御する。
続いて、空調制御装置50は、ステップS6〜S13にて決定された制御信号等を各種制御機器へ出力する(S14)。その後、空調制御装置50は、操作パネル60により空調装置1の作動停止が要求されるまで、所定の周期でステップS3〜S13の制御処理を繰り返す。
ここで、圧縮機11の回転数に関する制御信号については、空調制御装置50がインバータ80へ出力する。インバータ80は、空調制御装置50から出力された制御信号に応じて、圧縮機11の回転数を制御する。
本実施形態の空調装置1は、以上の如く制御される。このため、空調装置1は、ステップS9で選択された運転モードに応じて、以下のように作動する。
(A)冷房モード
冷房モードでは、空調制御装置50が、低圧側開閉弁20を閉状態、第1膨張弁13を全開状態、および第2膨張弁18を絞り状態とした状態で、圧縮機11を稼働させる。このため、冷房モード時には、圧縮機11からの吐出冷媒が、室内凝縮器12→第1膨張弁13→室外熱交換器14→第2膨張弁18→室内蒸発器19→アキュムレータ22の順に流れ、再び圧縮機11に吸入される。
具体的には、冷房モード時には、圧縮機11からの吐出冷媒が室内凝縮器12へ流入する。この際、エアミックスドア36が温風通路34を閉塞しているので、室内凝縮器12へ流入した冷媒は殆ど送風空気へ放熱することなく、室内凝縮器12から流出する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1膨張弁13が全開状態となっているので、第1膨張弁13にて殆ど減圧されることなく、室外熱交換器14へ流入する。室外熱交換器14へ流入した冷媒は、外気と熱交換して放熱し、目標過冷却度となるまで冷却される。
室外熱交換器14から流出した冷媒は、低圧側開閉弁20が閉じ、かつ、第2膨張弁18が絞り状態となっているので、第2膨張弁18に流入して低圧冷媒となるまで減圧される。そして、第2膨張弁18から流出した低圧冷媒は、室内蒸発器19へ流入し、送風機33から送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気が冷却および除湿される。
室内蒸発器19から流出した冷媒は、アキュムレータ22へ流入して気液分離される。そして、アキュムレータ22にて分離された気相冷媒が圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
ここで、アキュムレータ22で分離された液相冷媒は、ヒートポンプサイクル10が要求される冷凍能力を発揮するために不要な余剰冷媒として、アキュムレータ22の内部に貯留される。このことは、除湿暖房モードや暖房モードにおいても同様である。
以上の如く、冷房モードでは、室外熱交換器14にて冷媒を放熱させ、室内蒸発器19にて冷媒を蒸発させることで、車室内へ送風する送風空気が冷却される。これにより、車室内の冷房を実現することができる。
(B)除湿暖房モード
除湿暖房モードでは、空調制御装置50が、低圧側開閉弁20を閉状態、第1膨張弁13を全開状態、および第2膨張弁18を絞り状態とした状態で、圧縮機11を稼働させる。このため、除湿暖房モード時には、冷房モード時と同様に、冷媒が流れる。
具体的には、除湿暖房モード時には、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。この際、エアミックスドア36は、目標吹出温度TAO、蒸発器温度Te、温風通路34における室内凝縮器12通過後の空気温度TC等に応じたドア開度SWとなる。このため、室内蒸発器19を通過した送風空気は、適切な風量割合で温風通路34および冷風バイパス通路35に分配される。これにより、送風空気が目標吹出温度TAOに近づくように調整される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、冷房モードと同様に、第1膨張弁13を介して室外熱交換器14へ流入する。そして、室外熱交換器14に流入した冷媒は、外気と熱交換して放熱し、目標過冷却度となるまで冷却される。さらに、室外熱交換器14を流出した冷媒は、冷房モードと同様に、第2膨張弁18→室内蒸発器19→アキュムレータ22→圧縮機11の順に流れる。
以上の如く、除湿暖房モードでは、室内凝縮器12および室外熱交換器14にて冷媒を放熱させ、室内蒸発器19にて冷媒を蒸発させることで、室内蒸発器19にて冷却および除湿された送風空気が室内凝縮器12にて加熱される。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
(C)暖房モード
暖房モードでは、空調制御装置50が、低圧側開閉弁20を開状態、第1膨張弁13を絞り状態、および第2膨張弁18を全閉状態とする。この状態で、ヒータコア温度Tcaおよび判定基準温度(TAO+ΔT)に応じて、エンジン42を熱源として送風空気を加熱する温水暖房と、室内凝縮器12により送風空気を加熱するHP暖房とを切り替える。
(温水暖房)
空調制御装置50は、ヒータコア温度Tcaが判定基準温度(TAO+ΔT)以上となる条件が成立すると、圧縮機11を停止した状態で、エンジン42の排熱を熱源とする温水暖房を実施する。この温水暖房では、図10の矢印で示すように、エンジン42からの冷却水が、ヒータコア41→ウォータポンプ45の順に流れ、再びエンジン42に流入する。この温水暖房では、ヒータコア41にてエンジン42の冷却水を送風空気と熱交換させることで、送風空気が加熱される。これにより、車室内の暖房を実現することができる。
(HP暖房)
空調制御装置50は、ヒータコア温度Tcaが判定基準温度(TAO+ΔT)未満となる条件が成立すると、圧縮機11を稼働して温水暖房からHP暖房に切り替える。HP暖房時には、図11の矢印で示すように、圧縮機11からの吐出冷媒が、室内凝縮器12→第1膨張弁13→室外熱交換器14→アキュムレータ22の順に流れ、再び圧縮機11に吸入される。
具体的には、HP暖房時には、圧縮機11からの吐出冷媒が室内凝縮器12へ流入する。この際、ヒータコア温度Tcaが目標吹出温度TAO以下、且つ、ヒータコア温度Tcaが吐出冷媒温度Th以上となると、室内凝縮器12を流れる冷媒がヒータコア41を通過した送風空気から吸熱することで、車室内への吹出空気温度TAVが低下する。
これに対して、本実施形態では、温水暖房からHP暖房に切り替える際の判定基準温度を目標吹出温度TAOよりも高い温度に設定している。このため、図12に示すように、本実施形態の空調装置1では、図5に示す比較例に比べて、室内凝縮器12における送風空気からの吸熱による車室内への吹出空気温度TAVの大幅な低下を抑えることができる。
また、本実施形態では、空調制御装置50が、温水暖房の実行中に、ウォータポンプ45が停止したと判定した場合、暖房切替部50aを制御してHP暖房に切り替えている。すなわち、図13に示すように、本実施形態の空調装置1では、図6に示す比較例に比べて、速やかに圧縮機11を稼働させるので、室内凝縮器12における送風空気からの吸熱による車室内への吹出空気温度TAVの大幅な低下を抑えることができる。
特に、HP暖房時には、エアミックスドア36が、目標吹出温度TAO、蒸発器温度Te、温風通路34における室内凝縮器12通過後の空気温度TC、吸熱補正温度ΔT等に応じたドア開度SWとなる。具体的には、エアミックスドア36は、HP暖房時においてヒータコア温度Tcaが吐出冷媒温度Thよりも高い場合、吸熱補正温度ΔTが大きい程、温風通路34に流す送風空気の風量が多くなるようにドア開度が制御される。このため、本実施形態の空調装置1では、室内凝縮器12における送風空気からの吸熱による車室内への吹出空気温度TAVの低下を抑えることができる。
図10に戻り、室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1膨張弁13が絞り状態となっているので、第1膨張弁13に流入して低圧冷媒となるまで減圧される。第1膨張弁13から流出した低圧冷媒は、室外熱交換器14へ流入する。室外熱交換器14へ流入した冷媒は、外気と熱交換して吸熱して蒸発する。
室外熱交換器14から流出した冷媒は、低圧側開閉弁20が開き、かつ、第2膨張弁18が全閉状態となっているので、アキュムレータ22へ流入して気液分離される。そして、アキュムレータ22にて分離された気相冷媒が圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
以上説明した本実施形態の空調装置1は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機11と、圧縮機から吐出された高圧冷媒を空調対象空間に吹き出す送風空気と熱交換させる放熱器12を含んで構成される蒸気圧縮式の冷凍サイクル10と、を備える。また、冷凍サイクルとは別の熱源42により加熱された熱媒体との熱交換により送風空気を加熱する加熱機器41と、加熱機器への熱媒体の流れを制御するポンプ45と、を備える。また、圧縮機を停止した状態で加熱機器により送風空気を加熱する第1の暖房モード、および圧縮機を稼働した状態で少なくとも放熱器により送風空気を加熱する第2の暖房モードを切り替える暖房切替部50aを備える。また、空調対象空間に吹き出す送風空気の目標吹出温度を算出する目標温度算出部50cと、暖房切替部を制御する運転制御部50bと、を備える。そして、運転制御部は、第1の暖房モードの実行中に、加熱機器の温度が、目標吹出温度よりも高い温度に設定された判定基準温度以上であるか否かを判定する温度判定部(S110)と、第1の暖房モードの実行中に、ポンプの動作状態を判定する動作状態判定部(S112)と、温度判定部により、第1の暖房モードの実行中に、加熱機器の温度が、目標吹出温度よりも高い温度に設定された判定基準温度未満であると判定された場合、または、温度判定部により、第1の暖房モードの実行中に、加熱機器の温度が、目標吹出温度よりも高い温度に設定された判定基準温度以上であると判定され、かつ、動作状態判定部により、第1の暖房モードの実行中に、ポンプが停止したと判定された場合、暖房切替部を制御して第2の暖房モードに切り替えるモード切替部(S114、S116)と、を備える。
これによれば、モード切替部は、温度判定部により、第1の暖房モードの実行中に、加熱機器の温度が、目標吹出温度よりも高い温度に設定された判定基準温度未満であると判定された場合、暖房切替部を制御して第2の暖房モードに切り替える。したがって、加熱機器の温度が目標吹出温度を下回る前に、冷凍サイクルとは別の熱源を利用した暖房から冷凍サイクルの高圧冷媒を利用した暖房に切り替える構成となる。このため、第1の暖房モードから第2の暖房モードに切り替える際に、放熱器において高圧冷媒が加熱機器で加熱された送風空気から吸熱したしても、空調対象空間へ吹き出す空気の温度低下を抑えることができる。
さらに、モード切替部は、温度判定部により、第1の暖房モードの実行中に、加熱機器の温度が、目標吹出温度よりも高い温度に設定された判定基準温度以上であると判定され、かつ、動作状態判定部により、第1の暖房モードの実行中に、ポンプが停止したと判定された場合、暖房切替部を制御して第2の暖房モードに切り替える。したがって、第1の暖房モードから第2の暖房モードに切り替える際に、速やかに圧縮機を稼働して放熱器により送風空気を加熱する第2の暖房モードに切り替わるので、空調対象空間へ吹き出す空気の温度低下を抑えることができる。この結果、乗員の快適性を確保することが可能となる。
また、本実施形態の空調装置1では、モード切替部は、温度判定部により、第1の暖房モードの実行中に、加熱機器の温度が、目標吹出温度よりも高い温度に設定された判定基準温度以上であると判定され、かつ、動作状態判定部により、第1の暖房モードの実行中に、ポンプが動作していると判定された場合、暖房切替部を制御して第1の暖房モードに切り替える。
したがって、圧縮機を停止した状態で第1の暖房モードによる暖房を行うことができ、圧縮機で消費される電力を抑制することができる。
なお、熱媒体は、車両走行用の駆動力を出力する内燃機関(42)を冷却する冷却水とし、ポンプは、内燃機関の駆動力により制御されるものとすることができる。
ここで、本実施形態では、第3温度センサ54で検出したヒータコア水温度Twhからヒータコア温度Tcaを算出する例について説明したが、これに限定されない。例えば、ヒータコア41の熱交換フィンの温度を検出する温度センサを設け、当該温度センサにより、ヒータコア温度Tcaを直接的に検出してもよい。また、第3温度センサ54で検出したヒータコア水温度Twhを、ヒータコア温度Tcaとして検出してもよい。このように、ヒータコア41の温度(加熱機器の温度)は、ヒータコア41の温度に相関性を有する物理量(ヒータコア41を通過する送風空気や、ヒータコア41を流れる冷却水の温度)から検出してもよい。
また、本実施形態では、第2温度センサ52により室内凝縮器12の冷媒温度(吐出冷媒温度Th)を検出する例について説明したが、これに限定されない。例えば、冷媒圧力センサ53で検出した高圧冷媒圧力Phに基づいて、室内凝縮器12における飽和冷媒温度を算出し、当該飽和冷媒温度を室内凝縮器12の冷媒温度(吐出冷媒温度Th)として用いてもよい。
ここで、温水暖房時における室内凝縮器12の冷媒温度(吐出冷媒温度Th)は、圧縮機11が稼働していないので、外気温度と同程度の温度となる。すなわち、温水暖房時には、外気センサの検出値を吐出冷媒温度Thとして検出することができる。このため、例えば、判定基準温度を算出する際には、外気センサの検出値を室内凝縮器12の冷媒温度とし、ヒータコア温度Tcaと外気センサの検出値との温度差に基づいて、吸熱補正温度ΔTを補正するようにしてもよい。このように、室内凝縮器12の冷媒温度は、実際の室内凝縮器の冷媒温度に限らず、室内凝縮器12の冷媒温度に相関性を有する物理量(高圧冷媒の圧力や、外気温度)から検出してもよい。
なお、本実施形態では、HP暖房時に、ヒータコア温度Tcaと吐出冷媒温度Thとの温度差に応じて設定した吸熱補正温度ΔTを目標吹出温度TAOに加算した温度を判定基準温度とする例について説明したが、これに限定されない。例えば、HP暖房時には、予め定めた固定値を目標吹出温度TAOに加算した温度を判定基準温度としてもよい。
また、本実施形態では、HP暖房時には、吸熱補正温度ΔTが大きい程、エアミックスドア36のドア開度を大きくする例について説明したが、これに限定されない。例えば、HP暖房時には、エアミックスドア36のドア開度を最大暖房位置(すなわち、MaxHot)に制御するようにしてもよい。
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、上記数式F1を用いて目標吹出温度TAOを算出したが、このような数式に限定されない。例えば、ダクトでの熱損失を考慮して、上記数式F1に一定温度を加えるようにして目標吹出温度TAOを算出してもよい。
(2)上記実施形態では、空調制御装置50は、S112にて、ウォータポンプ45からの作動状態を示す信号に基づいてウォータポンプ45が作動中であるか否かを判定したが、例えば、エンジン42の作動状態を示す車両情報に基づいてウォータポンプ45が作動中であるか否かを判定してもよい。例えば、エンジン42の作動状態を示す車両情報に基づいてエンジン42が作動停止中の場合には、ウォータポンプ45も作動停止中であると判定してもよい。
(3)上記実施形態では、本発明の空調装置1をハイブリッド自動車に適用した例について説明したが、このような車両に限定されるものではなく、例えば、車両の走行停止時に内燃機関の動作を停止させるアイドルストップ機能を備えた車両に適用してもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、空調装置1は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機から吐出された高圧冷媒を空調対象空間に吹き出す送風空気と熱交換させる放熱器(12)を含んで構成される蒸気圧縮式の冷凍サイクル(10)と、を備える。また、冷凍サイクルとは別の熱源(42)により加熱された熱媒体との熱交換により送風空気を加熱する加熱機器(41)と、加熱機器への熱媒体の流れを制御するポンプ(45)と、を備える。また、圧縮機を停止した状態で加熱機器により送風空気を加熱する第1の暖房モード、および圧縮機を稼働した状態で少なくとも放熱器により送風空気を加熱する第2の暖房モードを切り替える暖房切替部(50a)と、空調対象空間に吹き出す送風空気の目標吹出温度を算出する目標温度算出部(50c)と、を備える。さらに、暖房切替部を制御する運転制御部(50b)を備える。そして、運転制御部は、第1の暖房モードの実行中に、加熱機器の温度が、目標吹出温度よりも高い温度に設定された判定基準温度以上であるか否かを判定する温度判定部(S110)と、第1の暖房モードの実行中に、ポンプの動作状態を判定する動作状態判定部(S112)と、温度判定部により、第1の暖房モードの実行中に、加熱機器の温度が、目標吹出温度よりも高い温度に設定された判定基準温度未満であると判定された場合、または、温度判定部により、第1の暖房モードの実行中に、加熱機器の温度が、目標吹出温度よりも高い温度に設定された判定基準温度以上であると判定され、かつ、動作状態判定部により、第1の暖房モードの実行中に、ポンプが停止したと判定された場合、第2の暖房モードに切り替えるモード切替部(S114、S116)と、を備える。
また、第2の観点によれば、モード切替部は、温度判定部により、第1の暖房モードの実行中に、加熱機器の温度が、目標吹出温度よりも高い温度に設定された判定基準温度以上であると判定され、かつ、動作状態判定部により、第1の暖房モードの実行中に、ポンプが動作していると判定された場合、暖房切替部を制御して第1の暖房モードに切り替える。
したがって、圧縮機を停止した状態で第1の暖房モードによる暖房を行うことができ、圧縮機で消費される電力を抑制することができる。
また、第3の観点によれば、熱媒体は、車両走行用の駆動力を出力する内燃機関(42)を冷却する冷却水であり、ポンプは、内燃機関の駆動力により制御される。
このように、熱媒体は、車両走行用の駆動力を出力する内燃機関(42)を冷却する冷却水とし、ポンプは、内燃機関の駆動力により制御されるものとすることができる。