JP6895825B2 - 多孔質焼成体の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気二重層キャパシタのキャパシタ電極などに用いられる多孔質焼成体、多孔質焼成体の作製方法、および、電気二重層キャパシタに用いられるキャパシタ電極に関する。
電気二重層キャパシタは、リチウムイオン二次電池のような化学電池とは異なり、電解質イオンの物理的吸脱着を繰り返すことで、充放電が可能となる蓄電デバイスである。電気二重層キャパシタは出力特性に優れるが、エネルギ密度はリチウムイオン二次電池の1/10以下(10kWh/kg程度)であり非常に少ない。
電気二重層キャパシタを電池代替の蓄電デバイスとして用いるには、電解質イオンが吸脱着する空間を稼ぐ必要がある。現在、市販されている電気二重層キャパシタの電極活物質には活性炭が採用されている(例えば特許文献1、2参照)。その理由は、粒子表面に1nm付近の細孔が多数存在するので、電解質イオンが吸脱着する空間を稼ぐことができることによる。
特開2011−176043号公報 特開2017−014079号公報
ところで、キャパシタ電極に用いられるような活性炭では、粒子表面に1nm付近の細孔が多数存在しているが、粒子内部については空隙のような細孔は複数存在するものの、粒子表面から内部へ電解質イオンが侵入できるような細孔は存在しない。このため、粒子内部に電解質イオンが入り込まないので、活性炭を粉砕しても、当該活性炭(キャパシタ電極)に吸着される電解質イオンの量を多くすることができない。
本発明は、以上のような実情を考慮してなされたものであり、粒子内部に細孔が多数存在し、かつ電解質イオンがアクセス可能な多孔質焼成体を作製する作製方法を提供することを目的とする。
本発明の多孔質焼成体の作製方法は、脱水縮合により四角形または六角形の有機骨格を有する共有結合性有機構造体を合成する合成工程と、 前記合成工程で合成を行った後の共有結合性有機構造体を超音波洗浄することにより前記有機骨格内の細孔内に存在する残存物を除去する洗浄工程と、 前記洗浄工程で洗浄を行った後の共有結合性有機構造体を焼成して当該共有結合性有機構造体の焼成体を得る焼成工程と、前記焼成工程で焼成を行った後の共有結合性有機構造体の焼成体を粉砕する粉砕工程と、を含むことを特徴としている。
本発明に用いる共有結合性有機構造体(COF)は、多孔質構造を有し、細孔の大きさが2〜5nm付近の均一な細孔を含んでいるので多孔質材料を作製しやすい。しかも、共有結合性有機構造体は、ベンゼン環主体で構成されるので、熱安定性が高くて焼成後の質量回収率も高い。さらに、共有結合性有機構造体は、ベンゼン環を多く含み、そのベンゼン環由来のπ電子を多く含むので焼成後の導電性も期待できる。なお、共有結合性有機構造体において、四角形または六角形の有機骨格(細孔)は一方向(一軸方向)に連なっている。
そして、本発明の多孔質焼成体によれば、焼成前駆体である共有結合性有機構造体が、細孔を多く含んでいるので、有機電解液の電解質イオンの細孔への侵入および細孔からの離脱が容易になる。しかも、焼成前駆体である共有結合性有機構造体は内部にも、外部に連通する細孔が存在するので、多孔質焼成体の内部にまで電解質イオンが入り込むことが可能になる。
したがって、このような特徴を有する多孔質焼成体を用いた本発明のキャパシタ電極によれば、内部に電解質イオンが進入できるような細孔が無い活性炭を用いたキャパシタ電極と比べて、内部の細孔を利用でき、しかも、粉砕することによって電解質イオンの吸脱着量が多くなるので、容量を有効に発現することができる。
ここで、本発明において、多孔質焼成体の細孔の大きさ(共有結合性有機構造体の細孔の大きさ)の範囲を1nm以上としているのは、細孔の大きさが小さすぎると有機電解液の電解質イオンが侵入しにくくなる、という点を考慮し、電解質イオン径に細孔への侵入用のマージンをもたせた値つまり1nmを下限値としている。一方、細孔の大きさが大きいほど、電解質イオンが細孔内に侵入しやすくなるが、細孔の大きさが大きすぎると細孔表面積(多孔質焼成体の単位重量あたりの細孔表面積(m2/g))が減少してしまう。このような点つまり電解質イオンの吸脱着性と細孔表面積とのトレードオフの関係を考慮して細孔の大きさを6nm以下としている。
本発明の多孔質焼成体の具体的な構成として、六角形の有機骨格がハニカム状に配列されたハニカム構造を有する共有結合性有機構造体を焼成した焼成体からなる多孔質焼成体を挙げることができる。このように有機骨格をハニカム構造をとすることにより、有機骨格が変形しにくい構造となるので、細孔の形状安定性が高くなる。
本発明の多孔質焼成体の作製方法は、脱水縮合により四角形または六角形の有機骨格を有する共有結合性有機構造体を合成する合成工程と、その合成工程で合成を行った後の共有結合性有機構造体を超音波洗浄することにより有機骨格内の細孔内に存在する残存物を除去する洗浄工程と、この洗浄工程で洗浄を行った後の共有結合性有機構造体を焼成して当該共有結合性有機構造体の焼成体を得る焼成工程と、を含むことを特徴としている。
このように、焼成前駆体である共有結合性有機構造体を超音波洗浄にて洗浄することにより、共有結合性有機構造体の焼成後において、細孔内部が詰まることを抑制することができる。この点について説明する。
まず、共有結合性有機構造体を合成した際には細孔内に合成材料の残存物がトラップされていることが多く、こうした状態(細孔内に残存物が存在する状態)で共有結合性有機構造体を焼成すると、細孔内の残存物が炭化してしまい、細孔内部が閉塞されてしまう。そこで、本発明の作製方法にあっては、焼成前に共有結合性有機構造体を超音波洗浄して細孔内に存在する残存物を除去してから、さらに、回収した粉末を150℃〜400℃で減圧乾燥して水分除去を行ってから、共有結合性有機構造体を焼成することにより細孔内部が閉塞されることを抑制している。
本発明の多孔質焼成体の作製方法において、焼成を行った共有結合性有機構造体の焼成体を粉砕する。このように共有結合性有機構造体の焼成体を粉砕するにより細孔を多くすることができる。この点について説明する。
まず、共有結合性有機構造体を焼成すると、その焼成時に共有結合性有機構造体の軸方向の端部のカーボンが安定な原子配置をとるため、細孔の軸方向の端部が閉塞されてしまう。このような点を解消するため、本発明の作製方法では、焼成工程で焼成を行った後の共有結合性有機構造体の焼成体を粉砕する。このように共有結合性有機構造体の焼成体を粉砕することにより、共有結合性有機構造体の内部空間(細孔)を利用することが可能になる。
本発明の多孔質焼成体の作製方法によれば、多孔質焼成体は、四角形または六角形の多数の有機骨格を有する共有結合性有機構造体を焼成した焼成体からなり、その各有機骨格内に外部に連通する細孔が形成されているので、粒子内部にも細孔が多数存在し、その内部にまで電解質イオンが入り込むことが可能になる。このような多孔質焼成体を粉砕することで、内部に形成された細孔をより一層利用することが可能となり、粉砕後の電解質イオンの吸脱着量を高めることができる。
本発明の多孔質焼成体の構造を模式的に示す図である。 図1の多孔質焼成体のX部(1つの有機骨格)の構造を示す図である。 COF1の構造を示す図である。 TP-COFの構造を示す図である。 COF66の構造を示す図である。 NiPc-COFの構造を示す図である。 本実施形態の多孔質焼成体およびキャパシタ電極の作製工程および評価工程を示すブロック図である。 図8(A)はCOF5の細孔内に残存物が存在している状態を模式的に示す図、図8(B)は洗浄・乾燥により細孔内の残存物を除去した後のCOF5を模式的に示す図である。 洗浄・乾燥後のCOF5の窒素吸脱着等温線を示すグラフである。 洗浄・乾燥後のCOF5の粉末X線回折パターンを示すグラフである。 COF5焼成体の窒素吸脱着等温線と焼成前のCOF5の窒素吸脱着等温線とを示すグラフである。 COF5焼成体の粉砕後の窒素吸脱着等温線と粉砕前のCOF5焼成体の窒素吸脱着等温線とを示すグラフである。 活性炭の粉砕後の窒素吸脱着等温線と粉砕前の活性炭の窒素吸脱着等温線とを示すグラフである。 キャパシタ電極(実施例)の放電容量の測定結果と、COF5焼成体(粉砕しないもの)を活物質として用いたキャパシタ電極の放電容量の測定結果とを示すグラフである。 粉砕後の活性炭を活物質として用いたキャパシタ電極の放電容量の測定結果と、粉砕前の活性炭を活物質として用いたキャパシタ電極の放電容量の測定結果とを示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の多孔質焼成体は、電気二重層キャパシタのキャパシタ電極(分極性電極)などに用いられるものであって、共有結合性有機構造体(Covalent Organic Frameworks:以下、COFともいう)を焼成した焼成体からなる。その多孔質焼成体の実施形態について図1および図2を参照して説明する。
本実施形態の多孔質焼成体1は、細孔1aの外郭を構成する六角形の多数の有機骨格六角形の有機骨格1b・・1bを有するCOF5(共有結合性有機構造体)を焼成したCOF5焼成体(粉砕後)からなり、その各有機骨格1b内に外部に連通する細孔(ポア)1aが形成されている。そして、各細孔1aの大きさが1nm以上で6nm以下であることを特徴としている。なお、細孔1aの大きさとは、図2に示す六角形の有機骨格1bの対向する内面間距離Daのことをいう。
このように、本実施形態の多孔質焼成体1にあっては、細孔1aを多く含んでいるので、有機電解液(例えば、TEA+BF4 -)の電解質イオンIonの細孔1aへの侵入および細孔1aからの離脱が容易になる。しかも、多孔質焼成体1の焼成前駆体であるCOF5は内部にも空間(細孔)が存在するので、多孔質焼成体1の内部にまで電解質イオンIonが入り込むことが可能になる。
したがって、このような特徴を有する多孔質焼成体1を含んで形成されたキャパシタ電極(本実施形態のキャパシタ電極)によれば、活性炭を用いたキャパシタ電極と比べて、有機電解液の電解質イオンIonの吸着領域が大きい(電解質イオンIonの吸脱着量が多い)ので容量を高めることができる。しかも、高出力領域においても電解質イオンIonの吸脱着をスムーズに行うことができるので、高出力領域における容量も確保することが可能になる。
なお、多孔質焼成体1の焼成前駆体であるCOF5は、後述するように、粉末[1,4-フェニレンジボロン酸(BDBA)と2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン(HHTP)との組合せ]と、溶媒[メシチレンと1,4-ジオキサンとの組合せ]とを使用して合成される。
<COFの他の例>
本発明において、焼成前駆体として用いられるCOFは、上記COF5に限られることなく、他の構造のCOFを使用してもよい。
例えば、六角形の有機骨格を有するCOFとしては、図3に示す構造のCOF1や、図4に示す構造のTP-COFなどを挙げることができる。COF1は、粉末[1,4-フェニレンジボロン酸(BDBA)]と、溶媒[メシチレンと1,4ジオキサンとの組合せ]とを使用して合成することができる。また、TP-COFは、粉末[2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン(HHTP)とピレン-2,7-ジボロン酸(PDBA:pyrene-2,7-diboronic acid)との組合せ]と溶媒[メシチレンと1,4-ジオキサンとの組合せ]とを使用して合成することができる。
また、四角形の有機骨格を有するCOFとしては、例えば、図5に示す構造のCOF66や、図6に示す構造のNiPc-COFなどを挙げることができる。このような四角形の有機骨格を有するCOFにおいても、有機骨格内の細孔の大きさは、例えば、図5に示すように有機骨格の対向する内面間距離Dbである。
ここで、COFの合成に用いる溶媒としては、上記の組合せの溶媒のほか、例えば、[1,4ジオキサンとメシチレンとの組合せ]、[N,N-ジメチルアセトアミドと1,2-ジクロロベンゼンとの組合せ]、[テトラヒドロフランとメタノールとの組合せ]、[トルエンと1,4ジオキサンとの組合せ]などを挙げることができる。
−キャパシタ電極の作製工程・評価−
次に、本実施形態の多孔質焼成体1およびキャパシタ電極の作製工程および評価工程について説明する。
まず、本実施形態にあっては、図7に示すように、COF5の合成工程S1、COF5合成後の洗浄・乾燥工程S2、COF5の焼成工程S3、および、COF5焼成体の粉砕工程S4をこの順で行うことにより多孔質焼成体1を作製する。さらに、これらの工程S1〜S4で作製した多孔質焼成体1を用いてキャパシタ電極を作製する(電極作製工程S5)。
そして、工程S1およびS2で作製した焼成前COF5の窒素吸着測定および粉末X線回折を行う(細孔評価工程S11a,X線回折工程S11b)。また、工程S1〜S3で作製したCOF5焼成体(粉砕前)の窒素吸着測定を行い(細孔評価工程S12)、工程S1〜S4で作製した多孔質焼成体1(COF5焼成体を粉砕したもの)の窒素吸着測定を行う(細孔評価工程S13)。さらに、工程S1〜S5で作製したキャパシタ電極の容量測定を行う(容量評価工程S14)。
<S1:焼成前駆体COF5の合成工程>
(粉末(合成材料))
下記式(1)で表される分子構造の1,4-フェニレンジボロン酸(以下、BDBAという)と、下記式(2)で表される分子構造の2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン(以下、HHTPという)の2種類の粉末
Figure 0006895825
(触媒)
メシチレンと1,4-ジオキサンの2種類の溶媒
(合成方法)
循環精製装置付きグローブボックス(グローブボックスUN-800L/ガス循環精製装置CM-200:株式会社UNICO製)内を、酸素濃度0.001ppm以下、露点−80℃以下の環境とし、この循環精製装置付きグローブボックス内において、BDBA:0.055g、HHTP:0.071g、メシチレン:4mL、1,4ジオキサン:16mLを、50mL用水熱合成容器(HU−50:三愛科学株式会社製)内に入れたものを5セット作製した。その後、それら5セットの50mL用水熱合成容器(以下、水熱合成容器という)を90℃で72時間加熱してCOF5の合成(脱水縮合による合成)を行った。
以上のようにして合成したCOF5において、六角形の有機骨格1b(細孔1a)は一方向(一軸方向:図8の紙面と直交する方向)に連なっている。また、COF5にあっては、六角形の有機骨格1b・・1bがハニカム状に積層されたハニカム構造(図8参照)となっている。
<S2:COF5合成後の洗浄・乾燥工程>
まず、上記工程S1で合成したCO5の細孔1aには、図8(A)に示すように、HHTPなどの合成材料の残存物Rがトラップされていることが多く、こうした状態(細孔1a内に残存物Rが存在する状態)でCOF5を焼成すると、COF5の細孔1a内の残存物Rが炭化してしまい、細孔1a内部が閉塞されてしまう。
そこで、本実施形態では、COF5を焼成する前に洗浄・乾燥を行って残存物Rを除去する。具体的には、上記工程S1によりCOF5を合成した後、5セットの水熱合成容器からそれぞれ上澄み液を廃棄する。次に、各水熱合成容器に低水分アセトンを入れた状態で超音波洗浄を行った後に24時間静置する。その後、60℃〜65℃の窒素雰囲気で乾燥させ、さらに150℃減圧乾燥を5時間以上行うことにより、COF5の細孔1a内の残存物Rを除去する(図8(B)参照)。
<S11a・S11b:COF5の細孔評価工程・粉末X線回折工程>
上記工程S2において洗浄・乾燥を行った後のCOF5の窒素吸着測定を行った。その測定結果(窒素吸脱着等温線)を図9に示す。窒素吸着測定には、比表面積/細孔分布測定装置BELSORP-minII(マイクロトラックベル株式会社製)を用いた。
また、洗浄・乾燥後のCOF5について粉末X線回折を行った。その結果を図10に示す。粉末X線回折には、X線回折装置RINT-Ultima+(株式会社リガク製)を用いた。
(評価)
図9の窒素吸着測定の測定結果から、洗浄・乾燥後のCOF5の細孔表面積(COF5の単位重量あたりの細孔表面積(m2/g))を求めたところ、その細孔表面積は1400m2/gであった。なお、図9に示すグラフの横軸のP/P0は相対圧力であり、P0は窒素の飽和蒸気圧である。縦軸のVaは、サンプル重量当たりの窒素の吸脱着体積であり、以下「吸脱着量Va」と表記する。
また、図10の粉末X線回折の回折結果(回折パターン)において、2.7nmの細孔に相当する2θ=2〜3°付近のピークが鋭く現れており、細孔1a内の残存物R(図8(A)参照)が除去されたことが確認できた。
さらに、図9の窒素吸着測定の測定結果および図10の粉末X線回折の回折結果を用いて、文献(Porous,Crystalline,Covalent Organic Frameworks)の窒素吸着測定・粉末X線回折の結果を参照して上記合成のCOF5を評価したところ、理論上のCOF5ができていることが確認できた。
なお、図10において、破線で示すデータは、洗浄・乾燥前(細孔1a内の残存物を除去する前)の粉末X線回折データである。
<S3:COF5の焼成工程>
上記工程S2において洗浄・乾燥を行った後、各水熱合成容器の上澄み液を廃棄し、各水熱合成容器の底部に沈降した粉末(COF5)を回収した。この回収した粉末に対して150℃での減圧乾燥を5時間以上行った。このようにして回収・乾燥を行った粉末(COF5)を、窒素雰囲気において昇温速度10℃/分で1000℃まで昇温し、1000℃の状態を5時間保持した。その後に、降温速度10℃/分で降温することによりCOF5焼成体を得た。
<S12:COF5焼成体の細孔評価工程>
上記工程S11aと同様にして、上記工程S3で得たCOF5焼成体(焼成前駆体)の窒素吸着測定を行った。その測定結果(窒素吸脱着等温線)を図11に示す。図11には、上記工程S11aにおいて測定した焼成前のCOF5(洗浄・乾燥後のCOF5)の測定結果(窒素吸脱着等温線)も併記している。
(評価)
図11の窒素吸着測定の測定結果から、COF5焼成体の吸脱着量Vaは、焼成前のCOF5と比較して大幅に減少していることがわかる。また、図11の窒素吸着測定の測定結果から、焼成後のCOF5の細孔表面積を求めたところ、その細孔表面積は20〜40m2/gであり、焼成前のCOF5の細孔表面積(1400m2/g)よりも大幅に低下している。
このように吸脱着量Vaおよび細孔表面積が低下する理由は、COF5を焼成すると、その焼成時にCOF5の軸方向の端部のカーボンが安定な原子配置をとるため、細孔1aの軸方向の端部が閉塞されてしまうことによる。そこで、本実施形態では、COF5焼成体を粉砕することで、粒子内部の空間(細孔)を利用できるようにする。その粉砕工程について以下に説明する。
<S4:COF5焼成体の粉砕工程>
上記工程3で作製したCOF5焼成体を、粉砕を行うものと、粉砕を行わずに保存するものとに分けた。その粉砕を行うCOF5焼成体を、遊星ボールミルを用いて、エタノールによる湿式の状態で、ミル回転数を400rpmとして12時間粉砕した。この粉砕後のCOF5の平均粒径は0.2μmである。以下、COF5焼成体の粉砕物を多孔質焼成体ともいう。なお、粉砕を行わずに保存したCOF5焼成体の平均粒径は1μmである。
COF5焼成体の粉砕には、フリッチュ社(ドイツ)製の遊星ボールミルP-6を用いた。
<S13:多孔質焼成体の細孔評価工程>
上記工程S11aと同様にして、上記工程S4で得た多孔質焼成体の窒素吸着測定を行った。その測定結果(窒素吸脱着等温線)を図12に示す。図12には、上記工程S12において測定したCOF5焼成体(粉砕前のCOF5焼成体)の測定結果(窒素吸脱着等温線)も併記している。
(評価)
図12の窒素吸着測定の測定結果から、多孔質焼成体(COF5焼成体を粉砕したもの)の吸脱着量Vaは粉砕前に対して大幅に増加することが確認できた。また、図12の窒素吸着測定の測定結果から、多孔質焼成体の細孔表面積(多孔質焼成体の単位重量あたりの細孔表面積(m2/g))を求めたところ、その粉砕後の細孔表面積は810m2/gであり、粉砕を行っていないCOF5の細孔表面積(40m2/g)に対して20倍程度増加することが確認できた。
(活性炭の窒素吸着測定)
キャパシタ電極に一般に用いられている活性炭について、上記工程S11aと同様にして窒素吸着測定を行った。その測定結果(窒素吸脱着等温線)を図13に示す。
また、活性炭を上記工程4と同様にして粉砕し、その粉砕後の活性炭について、上記工程S11aと同様にして窒素吸着測定を行った。その測定結果(窒素吸脱着等温線)を図13に示す。
この図13の窒素吸着測定の測定結果から、活性炭については粉砕前後において、吸脱着量Vaがほとんど変化しないことがわかる。また、図13の窒素吸着測定の測定結果から、粉砕前後の活性炭の細孔表面積(活性炭の単位重量あたりの細孔表面積(m2/g))を求めたところ、粉砕前の活性炭の細孔表面積は1737m2/g、粉砕後の活性炭の細孔表面積は1777m2/gであり、細孔表面積についてもほとんど変化しないことも確認できた。これらのことから、活性炭では、粒子表面には細孔が多数存在するが、粒子内部には細孔は存在しないことが確認できた。
<S5:電極作製工程>
上記工程S1〜S4にて作製した多孔質焼成体(COF5焼成体を粉砕したもの:平均粒径0.2μm)を活物質として用い、その[活物質(多孔質焼成体)]と[導電助剤(アセチレンブラック)]と[結着剤(PVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂))]とを[8:1:1]の重量比で混練した。その混練物をペースト状にしたものをアルミニウム箔(厚さ20μm)上に、乾燥・プレス後の電極厚み(アルミニウム箔の厚さも含む)が50μmとなるように塗布した。その後に乾燥・プレスを行うことにより、キャパシタ電極を作製した。
<S14:容量評価工程>
(本実施例のキャパシタ電極の容量測定)
電気化学計測器(VSP300 Biologic社製)を用いて、上記工程S1〜S5にて作製したキャパシタ電極(以下、本実施例のキャパシタ電極という)について放電容量(以下、容量ともいう)を測定した。その測定結果を図14に示す。なお、図14の縦軸は、放電時に流れた電気量[C]を、活物質(COF焼成体)の重量(g)と放電電圧(V)で除したもの[重量比容量F/g]としている。
(キャパシタ電極の比較例・容量測定)
上記工程S1〜S3にて作製したCOF5焼成体(粉砕を行わずに保存したもの:平均粒径1μm)を活物質として、上記電極作製工程S5と同様な処理にてキャパシタ電極(比較例)を作製した。そして、このようにして作製したキャパシタ電極について、上記[本実施例のキャパシタ電極の容量測定]と同様にして容量測定を行った。その測定結果を図14に示す。
(活性炭を用いたキャパシタ電極の作製・容量測定)
キャパシタ電極に一般に用いられている活性炭を活物質として、上記電極作製工程S5と同様な処理にてキャパシタ電極を作製した。そして、このようにして作製したキャパシタ電極について、上記[本実施例のキャパシタ電極の容量測定]と同様にして容量測定を行った。その測定結果を図15に示す。なお、図15の縦軸は、放電時に流れた電気量[C]を、活物質(活性炭)の重量(g)と放電電圧(V)で除したもの[重量比容量F/g]としている。
また、活性炭を上記工程4と同様にして粉砕を行い、その粉砕後の活性炭を活物質として、上記電極作製工程S5と同様な処理にてキャパシタ電極を作製した。そして、このようにして作製したキャパシタ電極について、上記[本実施例のキャパシタ電極の容量測定]と同様にして容量測定を行った。その測定結果を図15に示す。
(評価)
図14の測定結果から、COF5焼成体を破砕したもの(多孔質焼成体)を用いた本実施例のキャパシタ電極は、COF5焼成体を破砕せずに、そのまま用いたキャパシタ電極(比較例)よりも容量が大幅に増加していることがわかる。これにより、COF5焼成体の内部の細孔を利用して電解質イオンが吸脱着されること(容量が有効に発現されること)が確認できた。
図15の測定結果から、活性炭を用いたキャパシタ電極では、活性炭を粉砕した場合と粉砕しない場合とにおいて、キャパシタ電極の容量がそれほど変わらないこと(粉砕した場合が僅かに減少していること)がわかる。これにより、活性炭には粒子内部に空間(細孔)が存在しておらず、活性炭表面の細孔への電解質イオンの吸脱着量のみで容量が発現していることが確認できた。
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、本発明の多孔質焼成体は、電気二重層キャパシタのキャパシタ電極に限られることなく、他の各種分野に用いられる多孔質材料にも適用できる。
本発明は、電気二重層キャパシタのキャパシタ電極などにおいて多孔質材料として用いられる多孔質焼成体に利用することができる。また、電気二重層キャパシタに用いられるキャパシタ電極に有効に利用することができる。
1 多孔質焼成体(COF焼成体を粉砕したもの)
1a 細孔
1b 有機骨格
Ion 有機電解液の電解質イオン

Claims (1)

  1. 脱水縮合により四角形または六角形の有機骨格を有する共有結合性有機構造体を合成する合成工程と、
    前記合成工程で合成を行った後の共有結合性有機構造体を超音波洗浄することにより前記有機骨格内の細孔内に存在する残存物を除去する洗浄工程と、
    前記洗浄工程で洗浄を行った後の共有結合性有機構造体を焼成して当該共有結合性有機構造体の焼成体を得る焼成工程と、
    前記焼成工程で焼成を行った後の共有結合性有機構造体の焼成体を粉砕する粉砕工程と、
    を含むことを特徴とする多孔質焼成体の作製方法。
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