JP6894147B2 - 身体の運動機能障害を回復させる電流刺激装置 - Google Patents
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Description
つまり、即時的に筋出力を向上させることはできないという課題があった。
特に、筋の収縮が強すぎることで生じている運動機能障害に対し、その筋出力を低下させることで運動機能障害を回復することができる。
その際、筋の発揮できる力(筋力)は基本的には筋肉の断面積に比例する。しかし、実際に出力する筋力は、単純に筋肉の断面積だけでは決まらず、その筋肉の総量の内、何パーセントを使いこなしているか否かが筋力発揮の大きな要因となる。
つまり、脳が神経を通じて、筋に命令を伝えるときの命令量が多いほど、筋はたくさんの筋線維を収縮させる事ができ、大きな力(筋力)を発揮できる。
その割合には個人差があり、同じ量の筋肉を持っていても筋力差が生じる原因となっている。また、通常は、最大の命令でも筋の約60%〜70%の筋にしか命令が届いていないと考えられている。何故なら、筋の持つ筋力を100%発揮すると、腱や骨、関節、さらには筋自身に負担がかかりすぎるため、一種の防衛措置として100%の命令がされない様に制御されている。
つまり、「促通」を選択すると筋出力が向上し、「抑制」を選択すると、筋出力を低下させる。
例えば、関節等に障害を抱え、痛みを抱えている患者等は、本来使うべき筋肉がうまく使えていない運動機能障害をもっている。また、このうまく使えてない筋肉を補うために、その周囲の特定の筋肉を使用している。
これらのうまく使えていない筋肉は筋力が弱っているため、筋出力を向上させて筋の機能を回復し、逆に、周囲の特定の筋肉は筋出力が強すぎるため、筋出力を低下させることで運動機能障害から回復させる。
このような筋収縮の異常による運動機能障害から回復させることを目的とする装置とその装置を用いた方法について提供する。
本発明の特徴は、即時的に筋出力の向上と低下ができることである。
この効果を得るには、ランプアップタイムとランプダウンタイムにかける時間が重要となる。
本発明者は、筋出力を向上させるには、ランプアップタイムとランプダウンタイムを1秒より大きくすることであり、筋出力を低下させるには、ランプアップタイムとランプダウンタイムを1秒より小さくすることが条件であることを見出した。
例えば、介護現場での寝たきり患者や、心疾患、呼吸器疾患、糖尿病患者などの廃用性筋委縮により低下した筋出力を回復させたり、整形疾患の術後の廃用性筋委縮予防等、リハビリテーションに用いる事ができる。
以下、本発明について、図面を参照しながら述べる。
本実施例では、筋収縮を起こさせない微弱電流(マイクロカレント)を印加し、経皮的に刺激を与えることで、その神経に付随する筋肉の筋出力を向上又は低下させ、低下した身体機能の障害を回復させる電流刺激装置100であり、図1に示すように、微弱電流を発生させる本体10と、その電流を印加する導子14から構成される。
図2において、電源部15から出力される電源電圧Vccは、制御電圧回路17で必要な電圧に制御され、CPU19、メモリ21、昇圧回路16、その他必要な回路に供給される。また、CPU19で制御される出力回路20へも供給される。
微弱電流発生部は、出力回路20と、昇圧回路16から供給された電圧Vccと、CPU19から構成される。
出力回路20は、昇圧回路16から供給された電圧Vccと、CPU19からの信号を受けて、微弱電流を生成する。この微弱電流は、筋収縮を起こさせないレベルの電流のことをいい、具体的には20mA以下の電流をいう。この20mAという数値は、EBM物理療法原著第2版(医歯薬出版株式会社)のP242、図8−20に記載されている。この図から読み取れるように、筋収縮を起こさせるには20mA以上の出力が必要である。
本実施例は出力1000μA未満の電流(マイクロカレント)を用いるため、筋収縮を起こすことが無いのが特徴である。
制御部は、CPU19と、制御電圧回路17、電源電圧監視回路18、メモリ21から構成される。CPU19はEEPROMからなるメモリ21や、上述した各SW、更にクロックを発生する源発振機が接続されている。また、CPU19は、電源電圧監視回路18により電源電圧Vccを監視している。また、CPU19は、ランプアップタイムやホールドタイム、ランプダウンタイムやオフタイムについての時間制御もおこなっている。
尚、制御プログラム用ROMや作業用RAM等のメモリ21はCPU19とワンチップに構成されている。
制御電圧回路17は、電源部15から供給された電源をCPU19等の制御に必要な電圧に変換し、供給する。
出力部は、出力回路20と極性切替回路22とで構成される。
出力回路20で生成された微弱電流と電圧は、極性切替回路22で極性が切替られてパルス信号となり、出力端子から導子14へ出力される。
導子14を患部に貼り付けた後、電源SW11により電源を投入し装置本体を起動させる。スタート/ストップSW12を押して施術を始める。
施術が完了したら、再度スタート/ストップSW12を押して終了する。
尚、モード選択SWを設けて出力部ごとにモードを選択することができるような構成にしてもよい。
第1の出力モードは、筋出力を向上させるモードであり、ランプアップタイムとランプダウンタイムを1秒より大きくした出力モードである。
つまり、設定した電流まで1秒より長い時間をかけて徐々上げていき、その設定した電流にて数秒間出力した後、1秒より長い時間をかけて徐々に電圧を下げていく制御である。
このような制御はCPU19と出力回路20にて行う。
つまり、設定した電流まで1秒より短い時間で上げていき、その電流にて数秒間出力した後、1秒より短い時間で電流を下げていく制御である。このような制御はCPU19と出力回路20にて行う。
この様な数値範囲を導き出した実験については後ほど試験例2として詳述する。
[試験例1]
この試験は、電流刺激装置100により、筋出力の向上や低下をさせることができたことを証明する試験である。また、即時的に筋出力を変化させることから、筋出力の向上が筋肥大によるものではないことを証明する試験である。
また、トリックモーション(代替えの筋肉による運動)を起こりにくくするために、左側の足は壁へ密着させた。
尚、次の施術までのインターバル間隔は20分とした。
尚、次の施術までのインターバル間隔は20分とした。
周波数50Hz、パルス幅200μs、出力450μA、出力時間5分、ランプアップタイム1.5秒、ホールド2.0秒、ランプダウンタイム1.5秒、オフタイム3.0秒
周波数50Hz、パルス幅200μs、出力450μA、出力時間5分、ランプアップタイム0.5秒、ホールド4.0秒、ランプダウンタイム0.5秒、オフタイム3.0秒
また、即時的に筋出力の向上(促通)と低下(抑制)を起こすことができることが証明された。
また、施術後すぐに効果が表れていることから、筋収縮により筋を肥大させ、その結果として筋出力を増強したものではないことが証明された。
一方、抑制モードで刺激を与えると、筋出力の低下がみられる。このような効果は従来のEMSにはできないものである。更に、筋出力の向上、低下効果には持続性も見られた。
次に、ランプアップタイムとランプダウンタイムの範囲について試験した。
尚、単位は(N:ニュートン)である。
一方、ランプアップタイムとランプダウンタイムを0.9秒から0.1秒に設定することで筋出力を低下させることができる。
筋出力を向上させるには、ランプアップタイムとランプダウンタイムが1秒より大きいこと、反対に筋出力を低下させるにはランプアップタイムとランプダウンタイムが1秒より小さいことであることが必要となる。
また、施術後すぐに効果が表れていることから、筋収縮により筋を肥大させ、その結果として筋出力を増強していないことも証明された。
また、即時的に筋出力の低下もみられる。このような結果は従来のEMSにおいてはできないものである。更に、筋出力の向上、低下効果には持続性も見られた。
また、促通モード、抑制モードの出力はユーザが任意に変更できるようにしてもよい。例えば、5段階の出力レベル調整SWを設けて、ユーザの好みの出力としてもよい。
11 電源スイッチSW11
12 スタート/ストップSW12
14 導子
15 電源部
16 昇圧回路
17 制御電圧回路
18 電源電圧監視回路
19 CPU
20 出力回路
21 メモリ
22 極性切替回路
100 電流刺激装置
Claims (9)
- 導子を使用して電気信号を供給することによって経皮的な電流刺激を与える電流刺激装置であって、
前記電気信号は、
命令量を増やすことで即時的に筋出力の向上を行う促通に使用されるために設けられた促通モードによる電気信号であるとともに筋肉が収縮を起こさない微弱な電気信号であって、
所定時間内に電気信号の電流の振幅が所定の設定値まで大きくなる電気信号と、1000μA以下の振幅の電気信号と、
所定時間内に電気信号の電流の振幅が所定の設定値から小さくなる電気信号から構成されるものであり、
前記各所定時間はそれぞれ1秒より大きい電気信号であることを特徴とする電流刺激装置。 - 導子を使用して電気信号を供給することによって経皮的な電流刺激を与える電流刺激装置であって、
前記電気信号は、
命令量を減らすことで即時的に筋出力の低下を行う抑制に使用されるために設けられた抑制モードによる電気信号であるとともに筋肉が収縮を起こさない微弱な電気信号であって、
所定時間内に電気信号の電流の振幅が所定の設定値まで大きくなる電気信号と、1000μA以下の振幅の電気信号と、
所定時間内に電気信号の電流の振幅が所定の設定値から小さくなる電気信号から構成されるものであり、
前記各所定時間はそれぞれ1秒より小さい電気信号であることを特徴とする電流刺激装置。 - 導子を使用して電気信号を供給することによって経皮的な電流刺激を与える電流刺激装置であって、
前記電流刺激装置は前記電気信号として、第1のモードによる第1の電気信号か第2のモードによる第2の電気信号を供給可能であり、
前記第1の電気信号は、
命令量を増やすことで即時的に筋出力の向上を行う促通に使用されるために設けられた促通モードである前記第1のモードによって出力される電気信号であるとともに筋肉が収縮を起こさない微弱な電気信号であって、
第1の時間内に電気信号の電流の振幅が所定の設定値まで大きくなる電気信号と、
1000μA以下の振幅の電気信号と、
第2の時間内に電気信号の電流の振幅が所定の設定値から小さくなる電気信号から構成されるものであり、
前記第2の電気信号は、
命令量を減らすことで即時的に筋出力の低下を行う抑制に使用されるために設けられた抑制モードである前記第2のモードによって出力される電気信号であるとともに筋肉が収縮を起こさない微弱な電気信号であって、
第3の時間内に電気信号の電流の振幅が所定の設定値まで大きくなる電気信号と、1000μA以下の振幅の電気信号と、
第4の時間内に電気信号の電流の振幅が所定の設定値から小さくなる電気信号から構成されることを特徴とする電流刺激装置。 - 前記第1のモードと前記第2のモードのいずれかを任意に選択するモード設定手段を備え、選択されたモードに従って前記第1の電気信号または前記第2の電気信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の電流刺激装置。
- 前記第1の時間と前記第2の時間は1.1秒以上4秒以下であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電流刺激装置。
- 前記第3の時間と前記第4の時間は0.1秒以上0.9秒以下であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電流刺激装置。
- 導子を使用して電気信号を供給することによって経皮的な電流刺激を与える電流刺激装置であって、
前記電気信号は、
命令量を増やすことで即時的に筋出力の向上を行う促通に使用されるために設けられた促通モードによって出力される電気信号であるとともに筋肉が収縮を起こさない微弱な電気信号であって、
所定時間内に電気信号の出力が所定の設定値まで大きくなる電気信号と、
1000μA以下の電気信号と、
所定時間内に電気信号の出力が所定の設定値から小さくなる電気信号から構成されるものであり、
前記各所定時間はそれぞれ1秒より大きい電気信号であることを特徴とする電流刺激装置。 - 導子を使用して電気信号を供給することによって経皮的な電流刺激を与える電流刺激装置であって、
前記電気信号は、
命令量を減らすことで即時的に筋出力の低下を行う抑制に使用されるために設けられた抑制モードによって出力される電気信号であるとともに筋肉が収縮を起こさない微弱な電流であって、
所定時間内に電気信号の出力が所定の設定値まで大きくなる電気信号と、
1000μA以下の電気信号と、
所定時間内に電気信号の出力が所定の設定値から小さくなる電気信号から構成されるものであり、
前記各所定時間はそれぞれ1秒より小さい電気信号であることを特徴とする電流刺激装置。 - 導子を使用して電気信号を供給することによって経皮的な電流刺激を与える電流刺激装置であって、
前記電流刺激装置は前記電気信号として第1の電気信号か第2の電気信号を供給可能であり、
前記第1の電気信号は、
命令量を増やすことで即時的に筋出力の向上を行う促通に使用されるために設けられた促通モードによって出力される電気信号であるとともに筋肉が収縮を起こさない微弱な電気信号であって、
所定時間内に電気信号の出力が所定の設定値まで大きくなる電気信号と、
1000μA以下の電気信号と、
所定時間内に電気信号の出力が所定の設定値から小さくなる電気信号から構成されるものであり、
前記第2の電気信号は、
命令量を減らすことで即時的に筋出力の低下を行う抑制に使用されるために設けられた抑制モードによって出力される電気信号であるとともに筋肉が収縮を起こさない微弱な電気信号であって、
所定時間内に電気信号の出力が所定の設定値まで大きくなる電気信号と、
1000μA以下の電気信号と、
所定時間内に電気信号の出力が所定の設定値から小さくなる電気信号から構成される
ことを特徴とする電流刺激装置。
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