JP6891505B2 - 有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機電界発光素子の製造方法に関する。
コダック社による蒸着法を用いた積層型の有機電界発光(electroluminescence:以下「EL」と略する場合がある。)素子の発表以来、有機ELディスプレイや有機EL照明の開発が盛んに行なわれ、現在実用化されつつある。
このような積層型の有機電界発光素子では、陽極と陰極との間に複数の有機層(発光層、正孔注入層、正孔輸送膜、電子輸送層等)が積層して設けられている。これらの有機層の形成は、多くの場合、低分子系色素等の有機層の材料を真空蒸着することにより行なわれている。しかし、真空蒸着法では均質で欠陥がない薄膜を得ることは困難である。また、真空蒸着法は、複数層の有機層を形成するのに長時間を要するため、素子の製造効率の面でも課題があった。
これに対して、積層型有機電界発光素子の複数の有機層を湿式成膜法によって形成する技術が報告されている。例えば、特許文献1には、架橋基を有する化合物を含有する組成物を塗布して光や熱で架橋させることにより得られる架橋性ポリマーを含む電荷輸送膜および発光層を有する有機電界発光素子が記載されている。架橋性ポリマーを含む電荷輸送膜を用いると、該電荷輸送膜の上層に、湿式成膜法により他の層を容易に形成することができる。
このような湿式成膜法による有機電界発光素子の製造工程は、大面積の有機ELデバイス製造の簡便化、効率化、低コスト化が可能になることが期待され、種々の検討がなされている。また、このような湿式成膜法による有機電界発光素子の製造工程は、例えば、特許文献2や特許文献3に記載されるように、インクジェット方式やノズルコート方式などを使用して湿式成膜することが出来ることから、大面積の有機ELデバイスを低コストで実現できると考えられている。
湿式成膜法による有機電界発光素子の製造工程では、様々な機能を有する層を形成するための材料を溶剤に溶解または分散させたインクを製造し、これを用いて塗布膜を作製する。具体的には、代表的な有機電界発光素子の層構成は、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極、という積層体からなるが、この内、正孔注入層、正孔輸送層および発光層の3層を湿式成膜法により形成することが提案されている(例えば、特許文献4)。
この際、正孔注入層および正孔輸送層については、成膜後さらにその上層に湿式成膜法による層が形成されるため、成膜後に架橋処理を行う等により、上層の有機溶媒を含む組成物を塗布した際に成分が溶出しないような工夫がなされている。しかしながら、完全にこのような溶出を抑制することは困難であり、この現象による有機電界発光素子の特性への悪影響が少なからず存在していた。
特開平7−114987号公報 特開2004−127919号公報 特開2004−41943号公報 国際公開WO2010/013780号パンフレット
本発明は、上記事情に鑑み、湿式成膜法により正孔注入層、正孔輸送層および発光層を形成する有機電界発光素子において、駆動電圧の低減が可能な有機電界発光素子の製造方法提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、正孔注入層、正孔輸送層および発光層を湿式成膜法により形成するに際し、上記3層の形成用の組成物に用いる有機溶媒を、特定の有機溶媒で統一することで、有機電界発光素子の駆動電圧を低減できることを見出し、本発明に到達した。
[1]少なくとも陽極と陰極の間に、該陽極に隣接する正孔注入層、正孔輸送層および発光層をこの順に有する有機電界発光素子の製造方法であって、該製造方法は、正孔注入層形成用組成物を湿式成膜して該正孔注入層を形成する工程、正孔輸送層形成用組成物を湿式成膜して該正孔輸送層を形成する工程、および発光層形成用組成物を湿式成膜して該発光層を形成する工程を含み、該正孔注入層形成用組成物、該正孔輸送層形成用組成物および該発光層形成用組成物はそれぞれ独立に、有機溶媒と、該有機溶媒に溶解している1種類以上の電荷輸送性材料または発光材料を含み、該正孔注入層形成用組成物、該正孔輸送層形成用組成物および該発光層形成用組成物それぞれに含まれる該有機溶媒の95重量%以上が全て安息香酸エステル系溶媒であるか、または、該正孔注入層形成用組成物、該正孔輸送層形成用組成物および該発光層形成用組成物それぞれに含まれる該有機溶媒の95重量%以上が全て芳香族エーテル系溶媒であることを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法。
[2]前記各組成物に含まれる前記有機溶媒がすべて、安息香酸エステル系溶媒である、[1]に記載の有機電界発光素子の製造方法。
[3]前記各組成物に含まれるすべての前記有機溶媒の沸点が150℃以上である、[1]または[2]に記載の有機電界発光素子の製造方法。
[4]前記正孔注入層形成用組成物が、電荷輸送材料として高分子化合物を含む、[1]乃至[3]のいずれか1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
[5]前記正孔輸送層形成用組成物が、電荷輸送材料として高分子化合物を含む、[1]乃至[4]のいずれか1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
[6]前記各組成物に含まれる前記有機溶媒がすべて、同一の組成である、[1]乃至[5]のいずれか1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
本発明の有機電界発光素子の製造方法によれば、湿式成膜法により、駆動電圧の低い有機電界発光素子を得ることが可能となる。
本発明の方法により製造された有機電界発光素子は、駆動電圧が低いため、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は高いものである。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の有機電界発光素子の製造方法を詳細に説明する。但し、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
本発明の有機電界発光素の製造方法は、正孔注入層形成用組成物を湿式成膜して該正孔注入層を形成する工程、正孔輸送層形成用組成物を湿式成膜して該正孔輸送層を形成する工程、および発光層形成用組成物を湿式成膜して該発光層を形成する工程を含む。本製造方法においては、湿式成膜法により、正孔注入層、正孔輸送層および発光層(以下、総称して単に3層と記載することがある)を形成するための正孔注入層形成用組成物、正孔輸送層形成用組成物および発光層形成用組成物(以下、総称して単に全組成物、それぞれを単に各組成物と記載することがある)それぞれをどう調製するかが重要である。すなわち、本発明に係る正孔注入層形成用組成物、正孔輸送層形成用組成物および発光層形成用組成物それぞれが独立して、有機溶媒と、該有機溶媒に溶解している1種類以上の電荷輸送性材料または発光材料を含み、該各組成物それぞれに含まれる該有機溶媒の95重量%以上が、全て安息香酸エステル系溶媒であるか、または、全て芳香族エーテル系溶媒であることが必要である。まずは上記組成物について詳述する。
(各組成物における必須構成)
<有機溶媒>
本発明において、各組成物に含まれる有機溶媒は、その95重量%以上が安息香酸エステル系溶媒または芳香族エーテル系溶媒である。
本発明における安息香酸エステル系溶媒とは、安息香酸とエステル結合を有する化合物であり、例えば安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸N−プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸N−ペンチル、安息香酸イソアミル、安息香酸N−ヘキシル、安息香酸ベンジルなどの有機溶媒である。安息香酸エステル系溶媒の沸点は通常150℃以上であり、240℃以上が好ましく、248℃以上がより好ましく、260℃以上がさらに好ましい。有機溶媒の沸点が上記下限以上であることにより、塗布ムラになりにくく、かつ、乾燥後も極微量、膜内に残留し、後述の作用機構による効果を得られやすいと考えられる。
本発明における芳香族エーテル系溶媒とは、芳香族化合物とエーテル結合を有する化合物であり、例えばベンジルメチルエーテル、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−メチルジフェニルエーテル、m−メチルジフェニルエーテル、p−メチルジフェニルエーテルなどの有機溶媒である。芳香族エーテル系溶媒の沸点は通常150℃以上であり、240℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、270℃以上がさらに好ましい。有機溶媒の沸点が上記下限以上であることにより、塗布ムラになりにくく、かつ、乾燥後も極微量、膜内に残留し、後述の作用機構による効果を得られやすいと考えられる。
各組成物の有機溶媒における、安息香酸エステル系溶媒または芳香族エーテル系溶媒の含有量は、95重量%以上であり、97重量%以上が好ましく、99重量%以上がより好ましく、100重量%であることがさらに好ましい。100重量%というのは実質的に100重量%であるということであり、これは微量の不純物として他の溶媒を含むことを除外していないということである。ここで、各組成物における有機溶媒は、安息香酸エステル系溶媒と芳香族エステル系溶媒の混合溶媒であってもよいが、すべての有機溶媒の沸点が150℃以上であることが好ましく、安息香酸エステル系溶媒のみ、または芳香族エーテル系溶媒のみであることがより好ましい。
各組成物における有機溶媒の組成は、上記範囲内であれば3層すべて同一組成である必要は無く、それぞれ異なっていてもよいが、3層すべて同一であることが好ましい。
また、各組成物における有機溶媒は、すべて安息香酸エステル系であることが好ましい。
各組成物における有機溶媒の含有量は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。有機溶媒の
含有量が上記下限以上であることにより、形成される層の平坦さ及び均一さを良好にすることができる。
(本発明の作用機構)
正孔注入層形成用組成物に含まれる溶媒は、湿式成膜後、乾燥して正孔注入層を形成した際、正孔注入層内に極微量残留していると考えられる。正孔輸送層形成用組成物を湿式成膜後、乾燥して該正孔注入層に接して正孔輸送層を形成する場合、正孔注入層内に極微量残留している有機溶媒の95重量%以上と、正孔輸送層形成用組成物に含まれる有機溶媒の95重量%以上がどちらも同種の溶媒系、すなわち、どちらも安息香酸エステル系溶媒またはどちらも芳香族エーテル系溶媒であると、正孔注入層内に極微量存在する該有機溶媒と正孔輸送層形成用組成物に含まれる有機溶媒との相互作用により、該正孔注入層表面への正孔輸送層形成用組成物の濡れ性が向上すると考えられる。またこのとき、正孔注入層形成用組成物中に電荷輸送性材料が溶解していることにより、均一な表面を有する正孔注入層が形成され、その結果、その上に塗布する組成物の濡れ性が向上すると考えられる。さらに、該正孔注入層上に湿式成膜する正孔輸送層形成用組成物中に電荷輸送材料が溶解していることにより、いっそう密着性が向上するとともに、均一な表面を有する正孔輸送層が形成され、さらにその上に湿式成膜する発光層形成用組成物の濡れ性が向上すると考えられる。これにより、膜と膜の密着性が向上し、膜界面での正孔の注入障壁が低減され、スムーズな正孔移動が可能となる。そのため、低電位で電流を流すことが可能になり、素子の低電圧化を実現できる。また、同様の現象が、正孔輸送層/発光層の界面でも起こるため、さらなる低電圧駆動が可能になる。
特に安息香酸エステル系溶媒は、ITOなどの電極表面を含めたあらゆる表面への濡れ性が高く、ムラなく広がって均一に塗布膜が形成されるため、安定した低電圧化を実現できる。
電荷輸送材料、発光材料は通常、芳香環およびヘテロ原子を有する化合物を含むため、芳香環とヘテロ原子を含む安息香酸エステル系溶媒または芳香族エーテル系溶媒が、溶解性が高く好ましい。さらに、膜内に極微量残留する溶媒の安定性の観点から、安息香酸エステル系溶媒が好ましい。
<電荷輸送材料>
本発明に係る電荷輸送材料は、電荷(正孔、電子)の電極からの注入と輸送を効率よく行うことが可能な材料であり、有機電界発光素子用として従来公知の材料から、本発明に係る有機溶媒に溶解可能な材料を適宜選択して用いることができる。
電荷輸送材料は、有機電界発光素子内では、主に、電荷注入層、電荷輸送層および発光層に使用されている。また、これらの材料は、上記各層において単独でも用いられることが多いが、電荷輸送を制御するために複数種混合して用いられてもよい。さらに、低分子材料でも高分子材料でもよい。
このような電荷輸送材料は、正孔輸送性化合物および電子輸送性化合物に分類され、正孔注入層および正孔輸送層には正孔輸送性化合物が主に用いられ、発光層には正孔輸送性化合物および電子輸送性化合物の両方が用いられることが多い。具体的な化合物材料については後述する。
<発光材料>
本発明に係る発光材料は、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である材料であり、有機電界発光素子用として従来公知の材料から、本発明に係る有機溶媒に溶解可能な材料を適宜選択して用いることができる。
発光材料は、有機電界発光素子内では、主に発光層に使用されている。また、これらの材料は、発光層において単独でも用いられることが多いが、所望の発光波長に調整するた
めに複数種混合して用いられてもよい。さらに、低分子材料でも高分子材料でもよい。具体的な材料については後述する。
(本発明に係る有機電界発光素子の層構成と製造方法)
以下に、本発明に係る有機電界発光素子の一般的層構成及びその製造方法等の実施の形態の一例を、図1を参照して説明する。
図1は本発明に係る有機電界発光素子10の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。本発明においては、陽極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、陰極9が必須の構成である。
これらの構造に適用する材料や製造方法は、公知の材料や製造方法を適用することができ、特に制限はないが、各層に関しての代表的な材料や製法を一例として以下に記載する。また、公報や論文等を引用している場合、該当内容を当業者の常識の範囲で適宜、適用、応用することができるものとする。
<基板1>
基板1は、有機電界発光素子の支持体となるものであり、通常、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。これらのうち、ガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。基板1は、外気による有機電界発光素子の劣化が起こり難いことからガスバリア性の高い材質とするのが好ましい。このため、特に合成樹脂製の基板等のようにガスバリア性の低い材質を用いる場合は、基板1の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を上げるのが好ましい。
<陽極2>
陽極2は、発光層側の層に正孔を注入する機能を担う。陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物;ヨウ化銅等のハロゲン化金属;カーボンブラック及びポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。陽極2の形成は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法等の乾式法により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより形成することもできる。また、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は、通常、単層構造であるが、適宜、積層構造としてもよい。陽極2が積層構造である場合、1層目の陽極上に異なる導電材料を積層してもよい。 陽極2の厚みは、必要とされる透明性と材質等に応じて、決めればよい。特に高い透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率が60%以上となる厚みが好ましく、80%以上となる厚みが更に好ましい。陽極2の厚みは、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下とするのが好ましい。一方、透明性が不要な場合は、陽極2の厚みは必要な強度等に応じて任意の厚みとすればよく、この場合、陽極2は基板1と同一の厚みでもよい。
陽極2の表面に成膜を行う場合は、成膜前に、紫外線+オゾン、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ等の処理を施すことにより、陽極上の不純物を除去すると共に、そのイオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させておくのが好ましい。
<正孔注入層3>
陽極側から発光層側に正孔を輸送する機能を担う層として、正孔注入層3と正孔輸送層4があり、より陽極側に近い方の層を正孔注入層3と呼ぶ。正孔注入層3は、陽極上に形成される。
正孔注入層3の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。
正孔注入層3は、正孔輸送性化合物を含み、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことがより好ましい。更には、正孔注入層中にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことが特に好ましい。
正孔注入層形成用組成物は、正孔注入層3となる正孔輸送性化合物および前述の本発明に係る有機溶媒を含有する。正孔注入層形成用組成物は、正孔輸送性が高く、注入された正孔を効率よく輸送できるのが好ましい。このため、正孔移動度が大きく、トラップとなる不純物が製造時や使用時等に発生し難いのが好ましい。また、安定性に優れ、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光に対する透明性が高いことが好ましい。
<<正孔輸送性化合物>>
正孔輸送性化合物としては、陽極2から正孔注入層3への電荷注入障壁の観点から、4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。低分子化合物でも高分子化合物でもよいが、高分子化合物であることが好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物系化合物、キナクリドン系化合物等が挙げられる。
上述の例示化合物のうち、非晶質性及び可視光透過性の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、芳香族三級アミン化合物が特に好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は、特に制限されないが、表面平滑化効果により均一な発光を得やすい点から、重量平均分子量が1000以上1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)を用いるのが好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例としては、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物等が挙げられる。
Figure 0006891505
(式(I)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を表す。Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar〜Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
下記に連結基を示す。
Figure 0006891505
(上記各式中、Ar〜Ar16は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を表す。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。)Ar〜Ar16の芳香族基及び複素芳香族基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。
<<電子受容性化合物>>
正孔注入層3には、正孔輸送性化合物の酸化により、正孔注入層3の導電率を向上させることができるため、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物としては、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、電子親和力が5eV以上である化合物が更に好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物;トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体及びヨウ素等が挙げられる。
<<カチオンラジカル化合物>>
カチオンラジカル化合物としては、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンとからなるイオン化合物が好ましい。但し、カチオン
ラジカルが正孔輸送性の高分子化合物由来である場合、カチオンラジカルは高分子化合物の繰り返し単位から一電子取り除いた構造となる。
カチオンラジカルとしては、正孔輸送性化合物として前述した化合物から一電子取り除いた化学種であることが好ましい。正孔輸送性化合物として好ましい化合物から一電子取り除いた化学種であることが、非晶質性、可視光の透過率、耐熱性、及び溶解性などの点から好適である。
ここで、カチオンラジカル化合物は、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより生成させることができる。即ち、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを混合することにより、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物へと電子移動が起こり、正孔輸送性化合物のカチオンラジカルと対アニオンとからなるカチオンイオン化合物が生成する。
PEDOT/PSS(Adv.Mater.,2000年,12巻,481頁)やエメラルジン塩酸塩(J.Phys.Chem.,1990年,94巻,7716頁)等の高分子化合物由来のカチオンラジカル化合物は、酸化重合(脱水素重合)することによっても生成する。
ここでいう酸化重合は、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的に、又は、電気化学的に酸化するものである。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマーが酸化されることにより高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオンとする、高分子の繰り返し単位から一電子取り除かれたカチオンラジカルが生成する。
<<湿式成膜法による正孔注入層3の形成>>
本発明の有機電界発光素子の製造方法においては、湿式成膜法により正孔注入層3を形成する。本発明において湿式成膜法とは、成膜方法、即ち、塗布方法として、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、ノズルプリンティング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等、湿式で成膜される方法を採用し、この塗布膜を乾燥して膜形成を行う方法をいう。前述の正孔注入層形成用組成物を調製し、この正孔注入層形成用組成物を正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に上述の方法を用いて塗布して成膜し、乾燥させることにより形成させる。
正孔注入層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点では、低い方が好ましく、また、一方、正孔注入層3に欠陥が生じ難い点では、高い方が好ましい。具体的には、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上であるのが更に好ましく、0.5質量%以上であるのが特に好ましく、また、一方、70質量%以下であるのが好ましく、60質量%以下であるのが更に好ましく、50質量%以下であるのが特に好ましい。
<正孔輸送層4>
正孔輸送層4は、正孔注入層3と発光層5の間に形成される。
正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、一方、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
正孔輸送層形成用組成物は、正孔輸送層4となる正孔輸送性化合物および前述の本発明に係る有機溶媒を含有する。
<<正孔輸送性化合物>>
正孔輸送層4に含まれる正孔輸送性化合物としては、前述の正孔注入層3に含まれる正
孔輸送性化合物が挙げられるが、特に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4’’−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体などが挙げられる。また、例えばポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等も好ましく使用できる。
<湿式成膜法による正孔輸送層4の形成>
本発明の有機電界発光素子の製造方法においては、湿式成膜法により正孔輸送層4を形成する。
前述の正孔輸送層形成用組成物を調製し、この正孔輸送層形成用組成物を正孔注入層3の上に、湿式成膜法を用いて塗布して成膜し、乾燥させることにより形成させる。
正孔輸送層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度は、正孔注入層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度と同様の範囲とすることができる。
<発光層5>
発光層5は、一対の電極間に電界が与えられた時に、陽極2から注入される正孔と陰極9から注入される電子が再結合することにより励起され、発光する機能を担う層である。発光層5は、陽極2と陰極9の間に形成される層であり、発光層5は、正孔輸送層4と陰極9との間に形成される。
発光層5の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜に欠陥が生じ難い点では厚いことが好ましいが、また、一方で、駆動電圧が低くなりやすい点では薄いことが好ましい。具体的には、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲であるのがよい。
なお、本発明に係る有機電界発光素子には、発光層は2層以上設けてもかまわない。
発光層形成用組成物は、発光層5となる発光材料および前述の本発明に係る有機溶媒を含有する。その他に、電荷輸送性材料を含むことが好ましい。
<<発光材料>>
本発明に係る発光材料としては、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。
蛍光発光材料としては、例えば、以下の材料が挙げられる。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光発光材料)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、クリセン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光発光材料)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)等のアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光発光材料)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光発光材料)としては、例えば、DCM(4−
(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
また、燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表の第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体等が挙げられる。周期表の第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
有機金属錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子等の(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリン等が連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
好ましい燐光発光材料として、具体的には、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム等のフェニルピリジン錯体及びオクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等のポルフィリン錯体等が挙げられる。
高分子系の発光材料としては、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(1,4−ベンゾ−2{2,1’−3}−トリアゾール)]等のポリフルオレン系材料、ポリ[2−メトキシ−5−(2−ヘチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]等のポリフェニレンビニレン系材料が挙げられる。
<<電荷輸送性材料>>
電荷輸送性材料としては、具体的には、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物、シラナミン系化合物、ホスファミン系化合物、キナクリドン系化合物等の正孔注入層の正孔輸送性化合物として例示した化合物等が挙げられる他、アントラセン系化合物、ピレン系化合物、カルバゾール系化合物、ピリジン系化合物、フェナントロリン系化合物、オキサジアゾール系化合物、シロール系化合物等の電子輸送性化合物等が挙げられる。
また、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4’’−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン系化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン系化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のフルオレン系化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル等のカルバゾ
ール系化合物等の正孔輸送層の正孔輸送性化合物として例示した化合物等も好ましく用いることができる。
また、この他、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)等のオキサジアゾール系化合物、2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール系化合物、バソフェナントロリン(BPhen)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)等のフェナントロリン系化合物等も挙げられる。
<湿式成膜法による発光層5の形成>
本発明の有機電界発光素子の製造方法においては、湿式成膜法により発光層5を形成する。
前述の発光層形成用組成物を調製し、この発光層形成用組成物を正孔輸送層4の上に、湿式成膜法を用いて塗布して成膜し、乾燥させることにより形成させる。
発光層形成用組成物における発光材料の含有量は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
発光層形成用組成物における電荷輸送性材料の含有量は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
<正孔阻止層6>
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止する役割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層6の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005/022962号パンフレットに記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層6の材料として好ましい。
正孔阻止層6の形成方法に制限はなく、前述の発光層5の形成方法と同様湿式成膜法を用いて形成してもよいが、通常は下記の真空蒸着法を用いることが好ましい。
<<真空蒸着法による正孔阻止層6の形成>>
真空蒸着法により正孔阻止層6を形成する場合には、通常、正孔阻止層6の前述の構成材料の1種類又は2種類以上を真空容器内に設置された坩堝に入れ(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々を別々の坩堝に入れ)、真空容器内を真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、坩堝を加熱して(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々の坩堝を加熱して)、坩堝内の材料の蒸発量を制御しながら蒸発させ(2種類以上の材料を用
いる場合は、通常各々独立に蒸発量を制御しながら蒸発させ)、坩堝に向き合って置かれた基板上の発光層5上に正孔阻止層を形成する。なお、2種類以上の材料を用いる場合は、それらの混合物を坩堝に入れ、加熱、蒸発させて正孔阻止層6を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上、50℃以下で行われる。
正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上であり、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
<電子輸送層7>
有機電界発光素子の電流効率をさらに向上させることを目的として、発光層5と後述の電子注入層8との間に、電子輸送層7を設けてもよい。
電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極9又は電子注入層8からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
電子輸送層7に用いる電子輸送性化合物は、通常、陰極9又は電子注入層8からの電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送できる化合物が好ましい。電子輸送性化合物としては、具体的には、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層7の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上であり、また、一方、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層7は、前記と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により正孔阻止層上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
<電子注入層8>
陰極9から注入された電子を効率よく、電子輸送層7又は発光層5へ注入する役割を果たす層として、電子輸送層7と陰極9の間に、電子注入層8を設けてもよい。
電子注入を効率よく行うために、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアル
ミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことも、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。
膜厚は通常、5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
電子注入層8は、前記と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により電子輸送層上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
<陰極9>
陰極9は、発光層側の層(電子注入層8又は発光層5など)に電子を注入する役割を果たす。陰極9の材料としては、前記の陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なう上では、仕事関数の低い金属を用いることが好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属又はそれらの合金などが用いられる。具体例としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数の合金電極などが挙げられる。
素子の安定性の点では、陰極9の上に、仕事関数が高く、大気に対して安定な金属層を積層して、低仕事関数の金属からなる陰極9を保護するのが好ましい。積層する金属としては、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が挙げられる。
陰極の膜厚は通常、陽極2と同様である。
<その他の層>
本発明の有機電界発光素子は、本発明の効果を著しく損なわなければ、更に他の層を有していてもよい。すなわち、陽極2と陰極9との間に、上述の他の任意の層を有していてもよい。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(正孔注入層形成用組成物の準備)
電荷輸送性材料として、下記式P1の繰り返し構造を有する正孔輸送性高分子化合物を2.0重量パーセントと、電子受容性化合物として4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート0.4重量%を、有機溶媒として安息香酸ブチル、安息香酸イソアミル、トルエンにそれぞれ溶解させ、110℃のホットプレート上のバイアル瓶内で3時間加熱し、3種類の正孔注入層形成用組成物を調製した。トルエンで調整されたインクについては、冷却後に再度トルエン溶媒を添加し、4倍希釈した。安息香酸ブチルを用いた組成物を正孔注入層形成用組成物1、安息香酸イソアミルを用いた組成物を正孔注入層形成用組成物2、トルエンを用いた組成物を正孔注入層形成用組成物3とした。
Figure 0006891505
(正孔輸送層形成用組成物の準備)
電荷輸送性材料として、下記式P2の繰り返し構造を有する正孔輸送性高分子化合物1.5重量%を、有機溶媒として安息香酸ブチル、安息香酸イソアミル、フェニルシクロヘキサンにそれぞれ溶解させ、80℃のホットプレート上のバイアル瓶内で30分加熱し、3種類の正孔輸送層形成用組成物を調製した。安息香酸ブチルを用いた組成物を正孔輸送層形成用組成物1、安息香酸イソアミルを用いた組成物を正孔輸送層形成用組成物2、フェニルシクロヘキサンを用いた組成物を正孔輸送層形成用組成物3とした。
Figure 0006891505
(発光層形成用組成物の準備)
発光材料として下記式D1、電荷輸送性材料として下記式H1、H2の構造を有する材料を、H1:H2:D1=37.5:45.8:16.7の比率で秤量し、全体として5.94重量%となるように、安息香酸ブチル、安息香酸イソアミル、フェニルシクロヘキサンにそれぞれ溶解させ、80℃のホットプレート上のバイアル瓶内で30分加熱し、3種類の発光層形成用組成物を調製した。安息香酸ブチルを用いた組成物を発光層形成用組成物1、安息香酸イソアミルを用いた組成物を発光層形成用組成物2、フェニルシクロヘキサンを用いた組成物を発光層形成用組成物3とした。
Figure 0006891505
Figure 0006891505
Figure 0006891505
(基板1および陽極2の準備)
膜厚0.7mmのガラス基板上に、スパッタ法によってインジウム・スズ酸化物(ITO)膜を50nm製膜し、通常のフォトリソグラフィ法によりITOをストライプ状にパターニングすることで、陽極を形成した。出来上がった前記パターン基板を、37.5mm×25.0mmの個片に切り出し、表面をワイパーでこすり洗いした後にアルカリ洗剤で超音波洗浄し、さらにその後純水で超音波洗浄した。洗浄後の基板は、エアブローで表面の水滴を飛ばした後に、120℃で15分間熱風乾燥を行った。上記基板のITO膜側の表面に対し、さらに紫外線オゾン洗浄処理を行った。
(実施例1)
図1に示す構造を持つ有機電界発光素子を、下記に示す手順で作製した。
<正孔注入層3の形成>
上記陽極2を形成した基板1上に、スピンコート装置により、正孔注入層形成用組成物1を、スピナ回転数500rpm、スピナ回転時間2秒で回転させた後に、スピナ回転数
2350rpm、スピナ回転時間30秒で回転させて塗布した。塗布環境は大気中であり、環境温度が26.4〜26.6℃であった。スピンコートされた塗布膜を、10Pa以下の真空で2分間真空乾燥させ、その後120℃のホットプレートにて20秒間加熱することで、30〜34nmの正孔注入層3を得た。該正孔注入層3を、さらに220℃のホットプレートで30分間加熱することで、P1の架橋反応を促進させて熱硬化させた。
<正孔輸送層4の形成>
上記正孔注入層3を形成した基板1上に、スピンコート装置(MIKASA社製MS−A100)により、正孔輸送層形成用組成物1を、スピナ回転数500rpm、スピナ回転時間2秒で回転させた後に、スピナ回転数1750rpm、スピナ回転時間50秒で回転させて塗布した。塗布環境は窒素中であり、環境温度は34.4〜35.2℃であった。スピンコートされた塗布膜を、10Pa以下の真空で1分間真空乾燥させ、その後120℃のホットプレートにて20秒間加熱することで、20〜23nmの正孔輸送層4を得た。該正孔輸送層4を、さらに230℃のホットプレートで30分間加熱することで、P2の架橋反応を促進させて熱硬化させた。
<発光層の形成>
上記正孔輸送層4を形成した基板1上に、スピンコート装置(MIKASA社製MS−A100)により、発光層形成用組成物1を、スピナ回転数500rpm、スピナ回転時間2秒で回転させた後に、スピナ回転数1950rpm、スピナ回転時間50秒で回転させて塗布した。塗布環境は窒素中であり、環境温度は35.5〜35.9℃であった。スピンコートされた塗布膜を、10Pa以下の真空で1分間真空乾燥させ、その後120℃のホットプレートにて20秒間加熱することで、52〜53nmの発光層5を得た。該発光層5を、さらに120℃のホットプレートで20分間加熱した。
<正孔阻止層6>
上記発光層5を形成した基板1上に、正孔阻止層6として、下記構造式(HB−1)で示される化合物を、真空加熱蒸着装置を用いて形成した。該正孔阻止層6は、水晶振動子によって膜厚を制御され、10nmの膜厚で成膜した。
Figure 0006891505
<電子輸送層7>
上記正孔阻止層6を形成した基板1上に、電子輸送層7として、下記構造式(ET−1)で示される化合物を、真空加熱蒸着装置を用いて形成した。該電子輸送層7は、水晶振動子によって膜厚を制御され、20nmの膜厚で成膜した。
Figure 0006891505
<電子注入層8・陰極9>
上記電子輸送層7を形成した基板1上に、電子注入層8として、フッ化リチウムを真空加熱蒸着装置を用いて形成した。該電子注入層は、水晶振動子によって膜厚を制御され、0.5nmの膜厚で成膜した。
次いで、上記電子注入層8を形成した基板1上に、陰極9として、アルミニウムを真空加熱蒸着装置を用いて形成した。該陰極9は、水晶振動子によって膜厚を制御され、80nmの膜厚で成膜した。該電子注入層8と該陰極9は、シャドーマスクによって成膜面積を規定されており、2mm幅のITOパターニングに直交して2mm幅の領域で成膜することで、ITOパターンと陰極パターンのクロスセクションに、2mm×2mmの有機電界発光素子10が形成されるようにした。
<封止>
上記により得られた有機電界発光素子10が、大気中の酸素や水分等で劣化しないよう、下記の方法で封止を実施した。
まず、23.0mm×23.0mm×1.1mmのガラス板の外周2mm幅部分を残して、片面側を一般的なウェットエッチングにて削り出し、中空構造を有した封止ガラスを準備した。このガラスの掘り込み面側に対して、外周2mm幅部分に紫外線硬化性樹脂を塗布し、中央部分に水分を吸収するゲッター材料を貼り合わせた。該ゲッター材料を、有機電界発光素子10と対向するようにして封止ガラスと基板1とを貼り合わせ、外周の紫外線硬化樹脂部分に紫外線を照射して硬化させることで、有機電界発光素子10と外部雰囲気とを遮蔽した。
(実施例2)
実施例1において、正孔輸送層4を、正孔輸送層形成用組成物2を用いてスピンコート条件を変更して形成したこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子10を作製した。正孔輸送層4のスピンコート条件は、スピナ回転数500rpm、スピナ回転時間2秒で回転させた後に、スピナ回転数1750rpm、スピナ回転時間60秒で回転させた。
(比較例1)
実施例1において、正孔注入層3を、正孔注入層形成用組成物2を用いてスピンコート条件を変更して形成し、正孔輸送層4を、正孔輸送層形成用組成物3を用いてスピンコート条件を変更して形成し、発光層5を、発光層形成用組成物2を用いてスピンコート条件を変更して形成したこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子10を作製した。正孔注入層3のスピンコート条件は、スピナ回転数500rpm、スピナ回転時間2秒で回転させた後に、スピナ回転数2200rpm、スピナ回転時間30秒で回転させた。また、正孔輸送層4のスピンコート条件は、スピナ回転数500rpm、スピナ回転時間2秒で回転させた後に、スピナ回転数1800rpm、スピナ回転時間120秒で回転させた。また、発光層5のスピンコート条件は、スピナ回転数500rpm、スピナ回転時間2秒で回転させた後に、スピナ回転数1800rpm、スピナ回転時間60秒で回転させた。
(比較例2)
実施例1において、正孔注入層3を、正孔注入層形成用組成物3を用いてスピンコート条件を変更して形成し、正孔輸送層4を、正孔輸送層形成用組成物3を用いてスピンコート条件を変更して形成し、発光層5を、発光層形成用組成物3を用いてスピンコート条件を変更して形成したこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子10を作製した。正孔注入層3のスピンコート条件は、スピナ回転数500rpm、スピナ回転時間2秒で回転させた後に、スピナ回転数4000rpm、スピナ回転時間30秒で回転させた。また、正孔輸送層4のスピンコート条件は、スピナ回転数500rpm、スピナ回転時間2秒で回転させた後に、スピナ回転数1800rpm、スピナ回転時間120秒で回転させた。また、発光層5のスピンコート条件は、スピナ回転数500rpm、スピナ回転時間2秒で回転させた後に、スピナ回転数2550rpm、スピナ回転時間120秒で回転させた。
(評価結果)
得られた実施例1〜2および比較例1〜2の有機電界発光素子は、すべて均一で良好な発光が確認された。これらの有機電界発光素子に対して、10mA/cmの電流を流すための駆動電圧を測定し、実施例1の値を差し引いた相対駆動電圧値を求めた。結果を、表1に示す。
Figure 0006891505
実施例1は、3層の各組成物に含まれる有機溶媒がすべて安息香酸エステル系である安息香酸ブチルであり、実施例2は、3層の各組成物に含まれる有機溶媒がすべて安息香酸エステル系である安息香酸ブチルまたは安息香酸イソアミルである。安息香酸ブチルの沸点は249℃であり、安息香酸イソアミルの沸点は261〜262℃である。(Aldrichより)
一方、比較例1は、正孔輸送層形成用組成物に含まれる有機溶媒が、安息香酸エステル系でも芳香族エーテル系でもないフェニルシクロヘキサンであり、比較例2は、さらに、正孔注入層形成用組成物に含まれる有機溶媒が、安息香酸エステル系でも芳香族エーテル系でもないトルエンであり、かつ、発光層形成用組成物に含まれる有機溶媒が、安息香酸エステル系でも芳香族エーテル系でもないフェニルシクロヘキサンである。
上記結果から、本発明の有機電界発光素子の製造方法によれば、駆動電圧の低い有機電界発光素子を得ることが可能であることが分かる。
本発明は、有機電界発光素子の製造方法として、有機電界発光素子が使用される各種の分野、例えば、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯、照明装置等の分野において、好適に使
用することが出来る。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
10 有機電界発光素子

Claims (3)

  1. 少なくとも陽極と陰極の間に、該陽極に隣接する正孔注入層、正孔輸送層および発光層をこの順に有する有機電界発光素子の製造方法であって、
    該製造方法は、
    正孔注入層形成用組成物を湿式成膜して該正孔注入層を形成する工程、
    正孔輸送層形成用組成物を湿式成膜して該正孔輸送層を形成する工程、および
    発光層形成用組成物を湿式成膜して該発光層を形成する工程を含み、
    該正孔注入層形成用組成物は電荷輸送性材料として芳香族三級アミン高分子化合物を含み、
    該正孔注入層形成用組成物、該正孔輸送層形成用組成物および該発光層形成用組成物それぞれに含まれる該有機溶媒の95重量%以上が全て沸点240℃以上の安息香酸エステル系溶媒であることを特徴とする、
    有機電界発光素子の製造方法。
  2. 前記正孔輸送層形成用組成物が、電荷輸送材料として高分子化合物を含む、請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  3. 前記各組成物に含まれる前記有機溶媒がすべて、同一の組成である、請求項1又は2に記載の有機電界発光素子の製造方法。
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