〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。本実施形態では、エレベータの利用を含む移動を行う利用者の移動経路を決定するシステムとして、システム100を例に挙げて説明する。
図1は、システム100に含まれる運行状況管理サーバ1(管理装置)の要部構成の一例を示すブロック図である。
(システム100の概要)
図1に示すように、システム100は、運行状況管理サーバ1、経路決定装置2、スケジュール登録端末3、作業員端末4、配達スケジュール用端末5および配達員端末6を含む。
運行状況管理サーバ1は、エレベータの運行状況を管理するサーバである。一例として、運行状況管理サーバ1は、エレベータのメンテナンス(保守点検)や修理のスケジュールを管理する。この例において、運行状況管理サーバ1は、エレベータのメンテナンスや修理を行う企業(以下、メンテナンス業者と記載する)が管理するサーバであるが、運行状況管理サーバ1の管理者はこの例に限定されない。
経路決定装置2は、少なくとも1つの建物においてエレベータを利用し、該建物内の訪問地を利用者が訪問するときの移動経路を決定する。なお、「訪問地」とは、建物内において利用者が訪問する場所である。本実施形態では、利用者は、荷物を配達する配達業者の配達員であり、訪問地は、荷物の配達先の部屋である例を説明する。つまり、本実施形態に係る経路決定装置2は、少なくとも1つの建物においてエレベータを利用し、配達員が配達先を訪問するときの配達経路を決定する。なお、本実施形態では、配達員が複数の建物を回る例を説明する。この例において、経路決定装置2は、荷物の配達を行う企業(以下、配達業者と記載する)が管理する装置であるが、経路決定装置2の管理者はこの例に限定されない。
スケジュール登録端末3は、エレベータのメンテナンスや修理のスケジュールを登録する。スケジュール登録端末3は、ユーザの入力操作に基づき、上記スケジュールを示す情報を運行状況管理サーバ1へ送信する。該ユーザは、例えば、メンテナンス業者の社員であり、エレベータのメンテナンスおよび修理を行う作業員(運転変更者)であってもよい。
作業員端末4は、該作業員がメンテナンスや修理の現場に持っていく端末装置であり、例えば、スマートフォンなどの携帯端末である。
配達スケジュール用端末5は、配達員による配達のスケジュールを決定する端末装置である。
配達員端末6は、配達員が配達時に持っていく端末装置であり、例えば、スマートフォンなどの携帯端末である。
システム100は、スケジュール登録端末3、作業員端末4、配達スケジュール用端末5および配達員端末6の各々について、複数の端末を含んでもよい。
また、スケジュール登録端末3および作業員端末4は同じ端末であってもよい。また、配達スケジュール用端末5と配達員端末6とは同じ端末であってもよい。また、経路決定装置2は、配達スケジュール用端末5と一体の装置であってもよい。
(運行状況管理サーバ1の要部構成)
運行状況管理サーバ1は、制御部10、記憶部11および通信部12を備えている。制御部10は、運行状況管理サーバ1を統括的に制御する。記憶部11は、運行状況管理サーバ1が使用するプログラムおよびデータを永続的に保持するハードウェアであり、ストレージと表現することもできる。記憶部11は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク装置、フラッシュメモリ、その他の不揮発性記憶装置として実現される。
なお、記憶部11は、メモリカードのように着脱可能な記憶装置として実現されてもよい。また、運行状況管理サーバ1に内蔵されたストレージの代わりに、外部の記憶装置に保存されているプログラムおよびデータを使用する構成が採用されてもよい。
通信部12は、運行状況管理サーバ1と外部装置との情報の送受信を行う。外部装置は、例えば、図1に示す経路決定装置2、スケジュール登録端末3および作業員端末4であるが、この例に限定されない。通信部12は、外部装置から受信した情報を制御部10へ出力する。
また、図示していないが、運行状況管理サーバ1は、制御部10を実現するためのハードウェア構成として、さらに、プロセッサおよびメモリを備えていてもよい。プロセッサは、運行状況管理サーバ1に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリまたは記憶部11に格納されているプログラムに含まれる一連の命令を実行する。プロセッサは、一例として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)その他のデバイスとして実現される。メモリは、プログラムおよびデータを一時的に保存する。プログラムは、例えば、記憶部11からロードされる。データは、運行状況管理サーバ1に入力されたデータと、プロセッサによって生成されたデータとを含む。メモリは、一例として、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性メモリとして実現される。
一例として、プロセッサは、記憶部11にアクセスし、記憶部11に格納されているプログラムをメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御部10に含まれている各部が構成される。
該各部として、制御部10は、取得部101、抽出部102、出力部103および通知部104を含む。
取得部101は、経路決定装置2からのデータ出力要求(要求)を取得する。本実施形態では、データ出力要求はエレベータのメンテナンススケジュールの出力要求である。取得部101は、データ出力要求を抽出部102に出力する。
本実施形態に係るデータ出力要求は、位置を指定する位置指定情報と、日時を指定する日時指定情報とを含む。前者は例えば住所であるが、この例に限定されない。
抽出部102は、データ出力要求に基づくデータを、記憶部11から抽出する。抽出部102は、記憶部11に記憶されたメンテナンススケジュール111を参照し、データ出力要求に基づくエレベータのメンテナンススケジュールを抽出する。
図2は、メンテナンススケジュール111の一具体例を示す図である。本実施形態に係るメンテナンススケジュール111は、メンテナンスの対象となるエレベータが設置された建物の住所(設置位置)と、メンテナンス日と、メンテナンスの開始時刻および終了時刻とを対応付けたメンテナンス情報(対応付け情報)を格納するデータベースである。上述したとおり、メンテナンス情報は、例えばスケジュール登録端末3から運行状況管理サーバ1へ送信される。
抽出部102は、位置指定情報が示す位置に設置されたエレベータにおける、日時指定情報が示す日時のメンテナンス情報を、メンテナンススケジュール111から抽出する。そして、抽出部102は、抽出したメンテナンス情報(運転変更情報)を出力部103へ出力する。
出力部103は、データ出力要求から特定されるエレベータのメンテナンス情報を経路決定装置2へ出力する。具体的には、出力部103は、抽出部102から取得したメンテナンス情報を、通信部12を介して経路決定装置2へ送信する。
通知部104は、エレベータのメンテナンスの時間帯に利用者がエレベータを利用する旨を、通信部12を介して作業員端末4へ通知する。具体的には、通知部104は、該時間帯にエレベータを利用する旨を示す一時利用申請(利用申請)を作業員端末4へ送信する。
(経路決定装置2の要部構成)
図3は、経路決定装置2の要部構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、経路決定装置2は、制御部20、記憶部21および通信部22を備えている。制御部20は、経路決定装置2を統括的に制御する。記憶部21は、経路決定装置2が使用するプログラムおよびデータを永続的に保持するハードウェアであり、ストレージと表現することもできる。記憶部21は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク装置、フラッシュメモリ、その他の不揮発性記憶装置として実現される。記憶部21は、少なくとも配達情報データベース211を記憶している。
本実施形態に係る配達情報データベース211は、荷物の配達先の住所、配達日、配達の時間帯および配達物を示す各情報を対応付けた配達情報を格納するデータベースである。なお、配達の時間帯とは、例えば、配達を依頼した依頼者が指定した時間帯である。
配達情報は、例えば配達スケジュール用端末5から経路決定装置2へ送信される。一例として、配達スケジュール用端末5は、配達業者の社員の入力操作に基づき、配達情報を生成し、経路決定装置2へ送信する。該社員は、例えば、配達伝票に記載の情報に基づき、配達情報における各情報を入力してもよい。制御部20は、受信した配達情報を配達情報データベース211へ格納する。
なお、記憶部21は、メモリカードのように着脱可能な記憶装置として実現されてもよい。また、経路決定装置2に内蔵されたストレージの代わりに、外部の記憶装置に保存されているプログラムおよびデータを使用する構成が採用されてもよい。
通信部22は、経路決定装置2と外部装置との情報の送受信を行う。外部装置は、例えば、運行状況管理サーバ1、配達スケジュール用端末5および配達員端末6であるが、この例に限定されない。通信部22は、外部装置から受信した情報を制御部20へ出力する。
また、図示していないが、経路決定装置2は、制御部20を実現するためのハードウェア構成として、さらに、プロセッサおよびメモリを備えていてもよい。プロセッサは、経路決定装置2に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリまたは記憶部21に格納されているプログラムに含まれる一連の命令を実行する。プロセッサは、一例として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)その他のデバイスとして実現される。メモリは、プログラムおよびデータを一時的に保存する。プログラムは、例えば、記憶部21からロードされる。データは、経路決定装置2に入力されたデータと、プロセッサによって生成されたデータとを含む。メモリは、一例として、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性メモリとして実現される。
一例として、プロセッサは、記憶部21にアクセスし、記憶部21に格納されているプログラムをメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御部20に含まれている各部が構成される。
該各部として、制御部20は、通信制御部201、配達情報抽出部202、移動経路決定部203、エレベータ要否判定部204および到着時刻推定部205を含む。
通信制御部201は、通信部22による外部装置との情報の送受信を制御する。通信制御部201は、通信部22が受信した情報を、制御部20の各部へ出力したり、記憶部21へ記憶したりする。また、通信制御部201は、通信部22を制御し、制御部20の各部から取得した情報を外部装置へ送信させる。
通信制御部201は、例えば、配達スケジュール用端末5から、配達経路決定要求を受信する。配達スケジュール用端末5は、一例として、配達業者の社員の入力操作により、範囲指定情報および日時指定情報を含む配達経路決定要求を生成し、経路決定装置2へ送信する。範囲指定情報は、配達員が配達を行う範囲を指定する情報であり、例えば、或る営業所が担当する配達地域を示す情報であってもよい。通信制御部201は、受信した配達経路決定要求を配達情報抽出部202へ出力する。
配達情報抽出部202は、配達経路決定要求に基づく配達情報を、記憶部21から抽出する。具体的には、配達情報抽出部202は、配達先の住所が、範囲指定情報が示す範囲内であり、配達日および時間帯が、日時指定情報が示す日付および時間帯である配達情報を抽出する。配達情報抽出部202は、抽出した配達情報から配達先の住所、配達日および時間帯を示す情報を抽出し、データ出力要求を生成する。すなわち、データ出力要求における位置指定情報が配達先の住所であり、日時指定情報が配達日および時間帯である。配達情報抽出部202は、生成したデータ出力要求を通信制御部201へ出力し、運行状況管理サーバ1へ送信させる。
移動経路決定部203は、運行状況管理サーバ1から受信したメンテナンス情報に基づき、配達先の建物のエレベータの利用を含む移動経路を決定する。具体的には、移動経路決定部203は、メンテナンス情報が示す、或る建物のエレベータのメンテナンスの時間帯と、配達員による、該建物内の配達先への配達の時間帯(利用時間帯)とが重ならない移動経路を決定する。つまり、移動経路決定部203は、メンテナンス情報が示す日付および時間帯に、メンテナンス対象のエレベータを配達員が利用しない移動経路を決定する。
なお、「移動経路」とは、各建物への到着順を少なくとも含むものであればよい。本実施形態では、移動経路は該到着順であるものとして説明する。すなわち、本実施形態に係る移動経路決定部203は、複数の配達先をどのような順番で回るか、を決定する。なお、「移動経路」は、該到着順以外の情報、例えば、建物間の移動に利用する道順を指定する情報を含むものであってもよい。換言すれば、移動経路決定部203は、配達において配達員が通る道順まで決定するものであってもよい。なお、該道順の決定は、既存の技術を用いて実現することができる。
移動経路決定部203は、決定した移動経路を通信制御部201へ出力し、配達スケジュール用端末5へ送信させる。
また、移動経路決定部203は、メンテナンスの時間帯と配達の時間帯とが重ならない移動経路を決定できない場合、2つの時間帯の少なくとも一部が一致する(重なる)移動経路を決定する。移動経路決定部203は、2つの時間帯の少なくとも一部が一致する移動経路を決定した場合、決定した移動経路をエレベータ要否判定部204にも出力する。
エレベータ要否判定部204は、配達にエレベータが必要であるか否かを判定する。エレベータ要否判定部204は、取得した移動経路に基づき、メンテナンスの時間帯と配達の時間帯とが重なる時間帯の配達における、配達先の階床および配達物を特定する。そして、配達先の階床が所定階以上であるか否かと、配達物が所定の配達物であるか否かと、を判定する。所定階は、階段の利用がエレベータの利用の代替案となり難いと判断できる階床であり、例えば、5階であってもよい。所定の配達物は、エレベータを利用せずに配達先へ配達することが難しい配達物であり、例えば、大きさが所定以上の配達物や、重さが所定値以上の配達物を含んでもよい。配達物の大きさおよび重さの情報は、例えば、配達スケジュール用端末5を用いた配達情報の入力の際に、併せて入力されてもよい。また、エレベータ要否判定部204は、配達物の種類に基づき、所定の配達物であるか否かを判定してもよい。例えば、配達物が家具や家電製品である場合、所定の配達物であると判定してもよい。
エレベータ要否判定部204は、配達先の階床が所定階以上である、または、配達物が所定の配達物である、と判定した場合、エレベータのメンテナンス中に該エレベータを利用することを示す一時利用申請を生成し、通信制御部201に出力する。通信制御部201は、該一時利用申請を運行状況管理サーバ1へ送信する。
これにより、エレベータがメンテナンス中で利用できない、かつ、階段を利用して配達物を配達することも難しい場合に、配達員がエレベータを一時的に利用することができる。結果として、配達員は、エレベータも階段も利用できない場合に、エレベータのメンテナンスの終了を待ったり、別の建物へ先に向かったりといった、スケジュール変更を余儀されることなく、その建物での配達を完了させることができる。
なお、エレベータ要否判定部204は、配達にエレベータが必要であるか否かを、配達員の属性に基づき判定してもよい。ここで、「配達員の属性」とは、例えば、配達員の性別や年齢であるが、この例に限定されない。配達員の属性に基づきエレベータの要否を判定する例では、一例として、配達員の属性が、配達スケジュール用端末5から経路決定装置2へ送信される配達情報に含まれる。エレベータ要否判定部204は、該配達員の属性を参照し、例えば、配達員が女性であるか否かを判定する。女性であると判定した場合、エレベータ要否判定部204は一時利用申請を生成し、通信制御部201に出力する。また、エレベータ要否判定部204は、配達情報に含まれる配達員の属性を参照し、例えば、配達員の年齢が閾値以上であるか否かを判定する。該閾値は、例えば、配達員がエレベータを利用することが好ましい年齢、すなわち高齢であることを示す値であればよい。具体的には、該閾値は、「60」であってもよい。配達員の年齢が閾値以上であると判定した場合、エレベータ要否判定部204は一時利用申請を生成し、通信制御部201に出力する。
以上より、エレベータ要否判定部204は、配達の時間帯とメンテナンス情報が示す時間帯とが重なる配達において、配達する配達物の情報、配達先の情報、および、配達員の属性の少なくとも何れかに基づき、配達物の配達にエレベータが必要であるか否かを判定する。
到着時刻推定部205は、配達員の現在位置に基づき、次の配達先の建物への到着時刻(到着予定時刻)を推定する。到着時刻推定部205の詳細については、後述する実施形態3にて説明する。
(経路決定処理の流れ)
図4は、システム100に含まれる運行状況管理サーバ1および経路決定装置2が実行する、経路決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
経路決定装置2の通信制御部201は、配達スケジュール用端末5から配達経路決定要求を受信する(ステップS1、以下、「ステップ」の記載を省略)。通信制御部201は、受信した配達経路決定要求を配達情報抽出部202へ出力する。
なお、ここでは、配達経路決定要求に含まれる時間指定情報は、2019年6月3日という日付、16時から18時までという時間帯を指定するものとする。すなわち、配達スケジュール用端末5は、2019年6月3日の16時から18時までに行うべき配達について、配達経路を経路決定装置2に決定させる。
配達情報抽出部202は、配達経路決定要求に基づく配達情報を配達情報データベース211から抽出する(S2)。具体的には、配達情報抽出部202は、配達経路決定要求に含まれる範囲指定情報および日時指定情報に基づき、配達先の住所が、範囲指定情報が示す範囲内であり、かつ、配達日および時間帯が、日時指定情報が示す日付および時間帯である配達情報を抽出する。この例では、配達情報抽出部202は、配達日が2019年6月3日であり、かつ、16時から18時までの時間指定がなされた配達物の配達情報を抽出する。
図5は、配達情報抽出部202が抽出した配達情報の一具体例を示す図である。「配達ID」のカラムには、配達情報を識別するための情報が格納される。「住所」には、配達先の住所を示す情報が格納される。なお、図5に示す住所は、数字が部屋番号、アルファベットが残りの住所(都道府県、市区町村、丁、番地、建物名など)を示すものとする。「日付」には、配達日を示す情報が格納される。「時間帯」には、配達時間帯(配達の時間指定)を示す情報が格納される。配達情報抽出部202が、配達日が2019年6月3日、かつ、時間指定が16時から18時までの配達情報を抽出しているため、図5に示す配達日および時間帯は、いずれもの配達情報も、2019年6月3日、16時から18時までである。「配達物」のカラムには、配達される物品を示す情報が格納される。
配達情報抽出部202は、抽出した配達情報に基づき、データ出力要求を生成し、通信制御部201へ出力する。該データ出力要求は、抽出した配達情報に含まれる配達先の住所(位置指定情報)、配達日および配達時間帯(日時指定情報)を含む。図5の例の場合、データ出力要求は、日時指定情報として、2019年6月3日、16時から18時までという情報を含む。通信制御部201は、該データ出力要求を運行状況管理サーバ1へ送信する(S3)。なお、データ出力要求は、位置指定情報として、配達先の住所から部屋番号を削除したもの、すなわち、配達先の建物の住所を含むものであってもよい。
運行状況管理サーバ1の取得部101は、データ出力要求を受信する(S11)と、該データ出力要求を抽出部102へ出力する。
抽出部102は、データ出力要求に含まれる住所および日時のメンテナンス情報を、メンテナンススケジュール111から抽出する(S12)。そして、抽出部102は、抽出したメンテナンス情報を出力部103へ出力する。
図6は、抽出部102が抽出したメンテナンス情報の一具体例を示す図である。ここでは、抽出部102は、図2に示すメンテナンススケジュール111からメンテナンス情報を抽出するとする。抽出部102は、以下の3つの条件をすべて満たすメンテナンス情報を抽出する。(1)データ出力要求に含まれる住所と、「住所」のカラムに格納された情報とが対応する。(2)データ出力要求に含まれる日付と、「日付」のカラムに格納された日付とが一致する。(3)データ出力要求に含まれる時間帯と、「メンテナンス開始時刻」に格納された時刻から「メンテナンス終了時刻」に格納された時刻までの時間帯との少なくとも一部が重なる。なお、本実施形態では、条件(1)における「対応する」は、データ出力要求に含まれる住所のアルファベット部分が、「住所」のカラムに格納された情報と一致することを指す。すなわち、データ出力要求に含まれる住所の部屋番号を除く部分と、「住所」のカラムに格納された住所とが一致することを指す。また、データ出力要求が配達先の建物の住所を含む場合、上記条件(1)は、「データ出力要求に含まれる住所と、「住所」のカラムに格納された情報とが一致する」となる。
抽出部102は、図2に示すメンテナンススケジュール111から、住所が「AAA」であるメンテナンス情報と、住所が「DDD」であるメンテナンス情報とを抽出し、出力部103へ出力する。出力部103は、取得したメンテナンス情報を経路決定装置2へ送信する(S13)。
通信制御部201は、メンテナンス情報を受信する(S4)と、該メンテナンス情報を移動経路決定部203へ出力する。移動経路決定部203は、メンテナンス情報に基づき移動経路(配達経路)を決定する(S5)。移動経路決定部203は、メンテナンス情報が示す日付および時間帯に、メンテナンス対象のエレベータを配達員が利用しない移動経路を決定する。
図7は、移動経路決定部203が決定した移動経路の一例を示す図である。「配達順」のカラムには、各配達の順番を示す数字が格納される。「配達時刻」のカラムには、各配達先への到着時刻を示す時刻が格納される。「配達ID」、「住所」、「日付」、「時間指定」および「配達物」のカラムに格納される情報は、図5で示したこれらのカラムに格納される情報と同一であるため、ここでは説明を繰り返さない。また、「メンテナンス開始時刻」および「メンテナンス終了時刻」のカラムに格納される情報は、図6で示したこれらのカラムに格納される情報と同一であるため、ここでは説明を繰り返さない。
図7の例では、配達ID「03」の配達より、配達ID「04」の配達が先になっている。これは、配達ID「04」の配達を、配達ID「03」の配達の後とすると、配達時刻が17:30となり、配達先の建物に到着したときにエレベータのメンテナンスが行われている可能性があるためである。つまり、移動経路決定部203は、メンテナンス情報が示すエレベータのメンテナンスの時間帯に、配達員が該エレベータを利用しないように、各配達の配達順序を決定する。これにより、配達に行った配達員がエレベータのメンテナンスのためにエレベータを利用できず、次の配達に遅れが生じるといった状況を回避することができる。換言すれば、システム100は、少なくとも1つの経由地においてエレベータを利用する利用者が、該経由地を含む複数の経由地を訪問するときの、最適な配達経路の決定を実現することができる。
移動経路決定部203は、例えば、以下のように移動経路、すなわち配達順序を決定する。なお、以下に示す移動経路の決定方法は一例であり、移動経路の決定方法をこの例に限定する意図はない。
移動経路決定部203は、配達情報抽出部202が抽出した配達情報を取得する。該配達情報は、例えば図5に示す配達情報である。移動経路決定部203は、該配達情報に、運行状況管理サーバ1から受信したメンテナンス情報を結合する。具体的には、移動経路決定部203は、住所が対応する配達情報とメンテナンス情報とを結合する。ここでの「対応する」は、上述した抽出部102の抽出条件の(1)における「対応する」と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
移動経路決定部203は、結合後の配達情報における各住所と、配達の起点の住所(例えば、配達員が勤務している営業所の住所)とに基づき、所定の条件に基づいて、エレベータのメンテナンスを考慮しない移動経路を決定する。所定の条件とは、例えば、「移動距離が最も短い移動経路」であってもよいし、「移動にかかる時間が最も短い移動経路」であってもよいが、この例に限定されない。この移動経路の決定は、既存の移動経路決定の技術を利用すればよい。
ここで、移動経路決定部203は、配達ID「01」、「02」、「03」、「04」の順に配達する移動経路を決定したとする。移動経路決定部203は、配達時刻、すなわち各配達の配達先への到着時刻を推定する。
次に、移動経路決定部203は、推定した配達時刻が、メンテナンスの時間帯に含まれているか否かを判定する。ここで、配達ID「04」の配達において、配達時刻がメンテナンスの時間帯に含まれていたとする。この場合、移動経路決定部203は、所定のルールに基づき、配達順を入れ替える。該所定のルールは、例えば、「直前または直後の配達と配達順を入れ替える」であるが、この例に限定されない。この例において、移動経路決定部203は、配達ID「03」と配達ID「04」とを入れ替える。そして、入れ替えた2つの配達について、配達時刻を推定し、該配達時刻が、メンテナンスの時間帯に含まれているか否かを再度判定する。このとき、移動経路決定部203は、配達時刻が、時間指定の時間帯(この例では16時から18時まで)に含まれているか否かも判定する。
移動経路決定部203は、配達時刻の推定、該配達時刻がメンテナンスの時間帯に含まれているか否かの判定、配達順の入れ替えという3つの処理を、すべての配達の配達時刻が、以下の2つの条件の両方を満たすまで繰り返す。(1)各配達で利用するエレベータのメンテナンスの時間帯に含まれない。(2)時間指定の時間帯に含まれる。
これら2つの条件を満たす移動経路が決定できない場合、移動経路決定部203は、例えば、所定の条件に基づき決定した移動経路、すなわち、最初に決定した移動経路を配達の移動経路とする。該移動経路は、配達時刻がメンテナンスの時間帯に含まれる配達がある移動経路である(S6でYES)。この場合、移動経路決定部203は、決定した移動経路をエレベータ要否判定部204へ出力する。エレベータ要否判定部204は、配達時刻がメンテナンスの時間帯に含まれる配達について、エレベータの利用が必要であるか否かを判定する(S7)。ここで、配達時刻がメンテナンスの時間帯に含まれる配達が、配達ID「04」の配達であるとする。エレベータ要否判定部204は、配達ID「04」の配達について、配達先の階床が所定階以上であるか否かと、配達物が所定の配達物であるか否かと、を判定する。エレベータ要否判定部204は、配達先の階床を、例えば配達先の住所(「住所」のカラムに格納された情報)における部屋番号から特定する。また、エレベータ要否判定部204は、配達物を、例えば「配達物」のカラムに格納された情報から特定する。
配達ID「04」の配達において、エレベータ要否判定部204は、配達先の階床を15階と特定する。エレベータ要否判定部204は、この階床を所定階(例えば5階)以上と判定し、エレベータの利用が必要であると判定する。なお、配達ID「04」の配達の配達物は衣服であるため、所定の配達物に含まれないと判定される。
エレベータの利用が必要であると判定した場合(S7でYES)、エレベータ要否判定部204は、エレベータの一時利用申請を生成し、通信制御部201へ出力する。該一時利用申請はメンテナンスの時間帯にエレベータを利用する配達の配達時刻と、該エレベータが設置された建物の住所とを含む。通信制御部201は、取得した一時利用申請を運行状況管理サーバ1へ送信する(S8)。
また、移動経路決定部203は、決定した移動経路を通信制御部201へ出力する。通信制御部201は、該移動経路を配達スケジュール用端末5へ送信する(S9)。これにより、メンテナンスの作業員は、メンテナンス中のエレベータの一時利用を、メンテナンス前に認識することができる。また、一時利用申請には配達時刻が含まれるので、一時利用のおおよその時刻を認識することができる。以上で、移動経路決定処理のうち、経路決定装置2が実行する処理は終了する。
なお、移動経路決定部203が、すべての配達の配達時刻がメンテナンスの時間帯に含まれない移動経路を決定した場合(S6でNO)、S7およびS8の処理は実行されない。また、エレベータ要否判定部204が、エレベータの利用は必要でないと判定した場合(S7でNO)、S8の処理は実行されない。
取得部101は、一時利用申請を受信する(S14)と、該一時利用申請を通知部104へ出力する。通知部104は、取得した一時利用申請を作業員端末4へ転送する(S15)。以上で、移動経路決定処理のうち、運行状況管理サーバ1が実行する処理は終了する。なお、一時利用申請を受信しない場合、S15の処理は実行されない。
一時利用申請の転送に関し、具体的には、運行状況管理サーバ1は、複数の作業員と該作業員の保有する作業員端末4の端末ID、メールアドレス、電話番号などを対応付けて記憶しておく。通知部104は、一時利用申請に含まれる住所と一致する住所の建物のメンテナンスを担当する作業員を特定し、該作業員の作業員端末4へ電子メールなどの方法によって、一時利用申請を転送すればよい。なお、建物のメンテナンスを担当する作業員が複数人登録されていた場合、運行状況管理サーバ1は、全ての作業員の作業員端末4に電子メールなどの方法によって一時利用申請を転送してもよい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
(運行状況管理サーバ1Aの要部構成)
図8は、本実施形態に係るシステム100Aに含まれる運行状況管理サーバ1Aの要部構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、システム100Aは、運行状況管理サーバ1A、経路決定装置2、スケジュール登録端末3、作業員端末4、配達スケジュール用端末5、配達員端末6およびエレベータ制御装置7を含む。運行状況管理サーバ1Aおよびエレベータ制御装置7以外の装置および端末については、実施形態1で説明しているため、ここでは説明を繰り返さない。
エレベータ制御装置7は、受信した情報に基づき、エレベータの運行を制御する。該情報としては、例えば、乗場呼びボタンが押下されたことを示す信号、かご内ボタンが押下されたことを示す信号、行先階登録システムに登録された行先階を示す情報などがあるが、この例に限定されない。エレベータ制御装置7は、これらの情報に基づき、エレベータのかごを移動させる。
また、エレベータ制御装置7は、エレベータの運行における各イベントの発生を示す情報を、各イベントの発生した日時を示す情報(以下、イベント情報と記載する)と対応付けて、運行状況管理サーバ1Aに送信する。イベントは、例えば、各種ボタンの押下、かごの移動、ドアの開閉、利用者の乗降などであるが、この例に限定されない。エレベータ制御装置7は、一例として、所定時刻(例えば24時)に、その日に生成したイベント情報を運行状況管理サーバ1Aに送信する。
エレベータ制御装置7は、一例として、建物ごと、あるいはエレベータごとに設けられる。すなわち、システム100Aにおいて、エレベータ制御装置7は複数存在する。エレベータ制御装置7は、複数の建物のエレベータを一括して制御するものであってもよい。
運行状況管理サーバ1Aが、実施形態1で説明した運行状況管理サーバ1と異なる点は、制御部10が新たに利用履歴生成部105を含む点、および、記憶部11に、新たにエレベータ設置情報112および利用履歴113を記憶している点である。
図9は、エレベータ設置情報112の一具体例を示す図である。エレベータ設置情報112は、一例として、図9に示すように、各エレベータを識別するためのエレベータIDと、各エレベータが設置された建物の住所とを対応付けて格納するデータベースである。
図10は、利用履歴113の一具体例を示す図である。利用履歴113は、各エレベータにおける所定期間ごとの利用回数を示すデータである。図10に示す「0004」はエレベータID(図9参照)である。つまり、図9によれば、図10に示す利用履歴113は、住所「DDD」の建物に設置されたエレベータの利用履歴である。なお、図9には、エレベータID「0004」の利用履歴113のみを示しているが、記憶部11には、他のエレベータの利用履歴113も記憶されている。
本実施形態に係る利用履歴113は、図10に示すように、各日付における1時間毎の利用回数を示すデータである。なお、利用回数とは、例えば、「エレベータの乗場およびかごのドアが開閉し、利用者がかごに乗り込み、かごが移動し、エレベータの乗場およびかごのドアが開閉し、利用者がかごから降りる」が行われた回数である。この回数の具体的算出方法としては、乗場呼びの登録回数と、かご呼びの登録回数との和を求める、などがあるが、この例に限定されない。
利用履歴生成部105は、利用履歴113を生成し、更新する。具体的には、利用履歴生成部105は、取得部101からイベント情報を取得すると、各時間帯の利用回数を特定する。そして、日付、時間帯、利用回数を対応付けた情報を利用履歴113へ追加する。該情報は、換言すれば、各日付における各時間帯のエレベータの利用状況を示す情報である。
本実施形態に係る抽出部102は、実施形態1にて説明した処理に加え、以下の処理を実行する。すなわち、抽出部102は、位置指定情報が示す位置に設置されたエレベータの利用履歴から、所定期間内における、日時指定情報が示す時間帯のレコードを抽出する。所定期間は例えば、1日前から7日前まで(直近1週間)であるが、この例に限定されない。そして、抽出部102は、抽出したレコード(以下、利用状況情報と記載する)を出力部103へ出力する。
本実施形態に係る出力部103は、データ出力要求から特定されるエレベータのメンテナンス情報に加え、データ出力要求から特定されるエレベータの利用状況情報を経路決定装置2へ出力する。具体的には、出力部103は、抽出部102から取得したメンテナンス情報および利用状況情報を、通信部12を介して経路決定装置2へ送信する。
(経路決定処理の流れ)
図11は、システム100Aに含まれる運行状況管理サーバ1Aおよび経路決定装置2が実行する、経路決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、S1〜S3、S6〜S9、S11、S12、S14およびS15の処理は、実施形態1で説明しているためここでは説明を繰り返さない。また、配達経路決定要求に含まれる時間指定情報は、実施形態1と同じであるとする。
抽出部102は、データ出力要求に含まれる住所および日時に基づく利用状況情報を、利用履歴113から抽出する(S21)。具体的には、抽出部102は、エレベータ設置情報112を参照し、データ出力要求に含まれる住所に対応付けられたエレベータIDを特定する。続いて、抽出部102は、特定したエレベータIDの利用履歴113を特定する。そして、抽出部102は、所定期間内における、データ出力要求に含まれる時間帯の利用状況情報を抽出し、出力部103へ出力する。出力部103は、取得したメンテナンス情報および利用状況情報を経路決定装置2へ送信する(S22)。
通信制御部201は、メンテナンス情報および利用状況情報を受信する(S31)と、該メンテナンス情報および利用状況情報を移動経路決定部203へ出力する。移動経路決定部203は、メンテナンス情報および利用状況情報に基づき移動経路(配達経路)を決定する(S32)。移動経路決定部203は、メンテナンス情報が示す日付および時間帯に、メンテナンス対象のエレベータを配達員が利用しない、かつ、エレベータの利用者が多い日付および時間帯に、配達先の建物のエレベータを配達員が利用しない移動経路を決定する。
図12は、移動経路決定部203が決定した移動経路の一例を示す図である。なお、図12に示す移動経路において、図7に示す移動経路と同じ部分については、説明を繰り返さない。
図12の例では、図7の例と異なる点として、配達ID「02」の配達より、配達ID「04」の配達が先になっている。これは、配達ID「04」の配達を、配達ID「02」の配達の後とすると配達時刻が17:00となり、この時刻は、エレベータの利用者が多く、配達先への到達に時間がかかる可能性があるためである(図10参照)。つまり、移動経路決定部203は、さらに、エレベータの利用者が多い時間帯に、配達員が該エレベータを利用しないように、各配達の配達順序を決定する。これにより、配達に行った配達員がエレベータの混雑のためにエレベータを使用できず、次の配達に遅れが生じるといった状況をも回避することができる。換言すれば、システム100Aは、システム100に比べて、少なくとも1つの経由地においてエレベータを利用する利用者が、該経由地を含む複数の経由地を訪問するときの配達経路として、さらに最適な配達経路の決定を実現することができる。
移動経路決定部203は、例えば、以下のように移動経路、すなわち配達順序を決定する。なお、実施形態1で説明した配達順序の決定と同じ処理については、ここでは説明を繰り返さない。
移動経路決定部203は、結合後の配達情報における各住所と、配達の起点の住所(例えば、配達員が勤務している営業所の住所)とに基づき、所定の条件に基づいて、エレベータのメンテナンスおよび利用状況を考慮しない移動経路を決定する。
ここで、移動経路決定部203は、配達ID「01」、「02」、「03」、「04」の順に配達する移動経路を決定したとする。移動経路決定部203は、配達時刻、すなわち各配達の配達先への到着時刻を推定する。
また、移動経路決定部203は、利用状況情報に基づき、各時間帯の利用回数の平均値を算出する。
移動経路決定部203は、推定した配達時刻が、メンテナンスの時間帯に含まれているか否かの判定に加え、推定した配達時刻が、利用回数の平均値が所定値以上の時間帯に含まれているか否かの判定を行う。該所定値は、例えば15であるが、この例に限定されない。移動経路決定部203は、推定した配達時刻が、利用回数の平均値が所定値以上の時間帯に含まれていると判定した場合、所定のルールに基づき、配達順を入れ替える。そして、入れ替えた2つの配達について、配達時刻を推定し、該配達時刻が、メンテナンスの時間帯に含まれているか否かを再度判定する。このとき、移動経路決定部203は、配達時刻が、時間指定の時間帯(この例では16時から18時まで)に含まれているか否かも判定する。
移動経路決定部203は、配達時刻の推定、該配達時刻がメンテナンスまたは利用者の平均値が所定値以上の時間帯に含まれているか否かの判定、配達順の入れ替えという3つの処理を、すべての配達の配達時刻が、以下の2つの条件の両方を満たすまで繰り返す。(1)各配達で利用するエレベータについて、メンテナンスの時間帯または利用回数の平均値が所定値以上の時間帯に含まれない。(2)時間指定の時間帯に含まれる。
なお、移動経路決定部203は、各時間帯の利用回数の平均値に代えて、利用回数の中央値または最頻値を算出してもよい。また、利用状況情報は、各時間帯の利用回数に代えて、各時間帯の利用者数を含んでいてもよい。各時間帯の利用者数は、乗場呼びの登録回数、かご呼びの登録回数およびエレベータのかごの荷重値の変化を示すイベント情報に基づき推定することができる。
〔実施形態3〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
本実施形態に係る配達員端末6は、1の建物における配達が完了する度に、配達完了を示す情報である配達完了報告を経路決定装置2へ送信する。例えば、配達員は、1の建物における配達が完了すると、配達員端末6に対し、所定の操作を入力する。配達員端末6は、該入力を受け付けた場合、配達完了報告を経路決定装置2へ送信する。配達完了報告は、一例として、配達が完了した建物の住所を含む。
本実施形態に係る通信制御部201は、受信した配達完了報告を到着時刻推定部205へ出力する。到着時刻推定部205は、配達完了報告を取得すると、配達完了報告に含まれる住所と、移動経路決定部203が決定した移動経路(配達経路)とに基づき、次の配達先の建物の住所を特定する。
具体的には、到着時刻推定部205は、移動経路から、配達完了報告に含まれる住所と対応する住所を含むレコードを特定する。ここでの「対応する」は、実施形態1にて説明した抽出部102の抽出条件の(1)における「対応する」と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。到着時刻推定部205は、特定したレコードの次の配達順となるレコードを特定する。
続いて、到着時刻推定部205は、特定した次の配達順となるレコードが、エレベータの一時利用申請を行った配達先のレコードであるか否かを判定する。つまり、到着時刻推定部205は、該レコードが、メンテナンスの時間帯に配達時刻が含まれるレコードであるか否かを判定する。一時利用申請を行った配達先のレコードであると判定した場合、到着時刻推定部205は、配達員端末6に対し、現在位置の情報を送信するよう要求する。具体的には、到着時刻推定部205は、該要求を通信制御部201に出力し、通信部22を介して配達員端末6へ送信させる。
通信制御部201は、該要求に対する応答として、配達員端末6の現在位置を示す位置情報を受信すると、該位置情報を到着時刻推定部205へ出力する。到着時刻推定部205は、取得した位置情報と、特定した次の配達先の建物の住所とに基づき、該建物への到着時刻を推定する。この推定は、既存の技術を用いて実現可能である。
到着時刻推定部205は、推定した到着時刻を通信制御部201に出力し、通信部22を介して運行状況管理サーバ1へ送信する。
運行状況管理サーバ1の取得部101は、受信した到着時刻を出力部103へ出力する。出力部103は、通信部12を介して、取得した到着時刻を作業員端末4へ送信する。これにより、作業員は、事前に通知されていた、エレベータの一時利用の時刻に比べて、より正確なエレベータの一時利用の時刻を認識することができる。結果として、エレベータの一時利用のための作業開始時刻が、より適切な時刻となり、メンテナンスを中断する時間を最低限とすることができる。
(到着時刻推定処理の流れ)
図13は、システム100に含まれる運行状況管理サーバ1および経路決定装置2が実行する、到着時刻推定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
通信制御部201は、配達員端末6から配達完了報告を受信する(S41)と、該配達完了報告を到着時刻推定部205へ出力する。
到着時刻推定部205は、取得した配達完了報告に含まれる住所に基づき、次の配達先の建物の住所を特定する(S42)。到着時刻推定部205は、続いて、該次の配達先が、エレベータの一時利用申請を行った配達先であるか否かを判定する(S43)。
エレベータの一時利用申請を行った配達先である場合(S43でYES)、到着時刻推定部205は、配達員端末の現在位置を特定する(S44)。続いて、到着時刻推定部205は、取得した位置情報と、特定した次の配達先の建物の住所とに基づき、次の配達先への到着時刻を推定する(S45)。到着時刻推定部205は、推定した到着時刻を通信制御部201へ出力する。通信制御部201は、取得した到着時刻を運行状況管理サーバ1へ送信する(S46)。
取得部101は、経路決定装置2から送信された到着時刻を受信する(S51)。取得部101は、受信した到着時刻を出力部103に出力し、出力部103は、取得した到着時刻を作業員端末4へ送信する。換言すれば、運行状況管理サーバ1は、受信した到着時刻を作業員端末4へ転送する(S52)。
なお、到着時刻の転送に関し、作業員端末4が複数ある場合、運行状況管理サーバ1は、一時利用申請を送信した作業員端末4の端末IDを記憶しておく。出力部103は、該端末IDの作業員端末4へ、到着時刻を送信すればよい。また、別の例として、運行状況管理サーバ1は、到着時刻とともに次の配達先の住所を受信してもよい。この例において、運行状況管理サーバ1は、一時利用申請を送信した作業員端末4の端末IDと、該作業員端末4を持った作業員がメンテナンス作業を行うエレベータが設置されている建物の住所とを対応付けて記憶しておく。出力部103は、受信した住所と一致する住所が対応付けられている端末IDの作業員端末4へ、到着時刻を送信すればよい。
また、運行状況管理サーバは、実施形態2にて説明した運行状況管理サーバ1Aであってもよい。
〔変形例〕
図14は、利用状況情報の一具体例を示す図である。実施形態2において、運行状況管理サーバ1Aの制御部10は、利用履歴113から抽出したレコードに基づき、図14に示す利用状況情報を生成し、経路決定装置2へ送信してもよい。
具体的には、制御部10は、抽出したレコードに含まれる、各日付の同時間帯の利用回数を平均し、各時間帯の利用回数平均を算出する。また、制御部10は、利用回数平均の値が所定値以上であるか否かに基づき、各時間帯の混雑度を特定する。例えば、制御部10は、利用回数平均が15以上である場合に混雑度が高いと特定する一方、15未満である場合、混雑度が低いと特定する。
そして、制御部10は、図14に示す、各エレベータにおいて、時間帯、利用回数平均および混雑度を対応付けた利用状況情報を生成し、経路決定装置2へ送信する。利用回数平均の算出および混雑度の特定は、例えば抽出部102が行ってもよい。
なお、制御部10は、各時間帯の利用回数の平均値に代えて、利用者数の中央値または最頻値を算出してもよい。また、制御部10は、各時間帯の利用回数に代えて、利用者数の平均値、中央値または最頻値を算出してもよい。
移動経路決定部203は、受信した利用状況情報を参照し、推定した配達時刻が、混雑度が高い時間帯に含まれているか否かを判定し、混雑度が高い時間帯に含まれていると判定した場合、配達順を入れ替える。
また、配達時刻がメンテナンスの時間帯に含まれている移動経路を決定した場合に、エレベータの要否を判定する構成は必須ではない。つまり、経路決定装置2は、配達時刻がメンテナンスの時間帯に含まれている移動経路を決定した場合、常に一時利用申請を運行状況管理サーバ1、1Aへ送信する構成であってもよい。
また、システム100、100Aは、エレベータが設置された建物への配達が発生する度に、以下の情報を対応付けて記憶してもよい。(1)建物の住所、(2)配達員の該建物への到着時刻および出発時刻(あるいは、これらの時刻から特定される配達員の滞在時間)、(3)該建物における訪問戸数および訪問階、(4)滞在時間中のエレベータの利用状況情報。これらの情報は、運行状況管理サーバ1、1A、または、経路決定装置2のいずれかが記憶すればよい。
到着時刻および出発時刻(あるいは滞在時間)は、経路決定装置2が配達員端末6から受信する時刻情報が対応付けられた位置情報に基づき特定することができる。訪問戸数および訪問階は、経路決定装置2が配達情報から特定することができる。利用状況情報は、実施形態2にて説明したとおり、運行状況管理サーバ1、1Aが特定することができる。
システム100、100Aは、配達にかかる所要時間の算出要求を外部から受信した場合、これらの情報の蓄積に基づき、配達所要時間を推定し、要求元に提供する。該要求元は、これらの情報を運行状況管理サーバ1、1Aが記憶している場合、経路決定装置2であってもよい。この例の場合、配達所要時間の推定は、運行状況管理サーバ1、1Aが行う。以降、この例を説明する。
一例として、算出要求は、建物の住所、訪問戸数および訪問階を含む。制御部10は、蓄積された情報から、住所、訪問戸数および訪問階が一致する情報を抽出する。抽出した情報が1つである場合、該情報における出発時刻および到着時刻から滞在時間を算出し、該滞在時間を配達所要時間として要求元へ提供する。該情報が滞在時間を含む場合は、その滞在時間を要求元へ提供する。一方、抽出した情報が複数ある場合、滞在時間を平均した平均値を配達所要時間として要求元へ提供する。
また、制御部10が各エレベータ制御装置7から受信する情報(例えば、イベント情報)は、内容およびフォーマットの少なくとも一方が統一されていない可能性がある。制御部10は、この内容およびフォーマットの少なくとも一方が不統一のイベント情報について、所定の演算を実行し、共通の内容およびフォーマットとしてもよい。
本開示では、経路決定装置2の管理者として、配達業者を例に挙げて説明した。これに対し、経路決定装置2の管理者は配達業者とは異なる企業であってもよい。該管理者は、例えば、社員が複数の建物を訪問する、セールス、訪問介護などの企業であってもよいし、個人が移動経路を決定する際に利用するサービスを提供する企業であってもよい。管理者が前者の企業である例において、エレベータの利用者は、例えば企業の社員である。管理者が後者の企業である例において、エレベータの利用者は、上記サービスの利用者である。
利用者が訪問する訪問地は、1つの建物において複数あってもよい。例えば、利用者が荷物の配達員である場合、1つの建物に複数の配達先があってもよい。
また、利用者は、出発地から1つの建物へ移動し、当該建物において1つの訪問地を訪問し、出発地へ戻ってもよい。この構成の一例としては、利用者がピザの配達員である場合が考えられる。すなわち、該配達員は、店舗から1つの配達先へピザを届け、店舗へ戻る。この場合において、経路決定装置2は、配達予定時刻を店舗の端末から取得する。そして、経路決定装置2は、運行状況管理サーバ1から取得したメンテナンス情報に基づき、該配達予定時刻が、配達先がある建物のエレベータのメンテナンスの時間帯に含まれるか否かを判定する。そして、含まれると判定した場合、配達にエレベータが必要であるか否かを判定する。この判定は、例えば、実施形態1で説明したエレベータ要否判定部204の判定と同一であってもよい。エレベータが必要であると判定した場合、経路決定装置2は、一時利用申請を生成し、該一時利用申請を運行状況管理サーバ1へ送信する。
以上のとおり、この変形例に係る経路決定装置2は、出発地から訪問地までの移動経路において、エレベータのメンテナンス情報に基づき、訪問地がある建物においてエレベータを利用するか否かを決定する。当該構成は、経路決定装置2による、運転変更情報に基づく移動経路の決定の一態様である。
また、本開示では、エレベータが通常と異なる運転形態となる日付および時間帯として、メンテナンスの日付および時間帯を例に挙げて説明した。これに対し、エレベータが通常と異なる運転形態となる日付および時間帯は、メンテナンスの日付および時間帯に限定されない。該日付および時間帯は、引っ越しなどの理由でエレベータを特定の個人または団体のみが使用する日付および時間帯などであってもよい。この場合、運行状況管理サーバ1は、これら個人および団体が使用する端末から、該日付および時間帯(スケジュール)を取得する。換言すれば、エレベータを通常と異なる運転形態とする運転変更者は、メンテナンスの作業員に限定されず、例えば、上述した特定の個人、または、特定の団体の一員であってもよい。
また、本開示では、データ出力要求に含まれる位置指定情報が住所である例を説明した。これに対し、該位置指定情報は住所に限定されない。例えば、該位置指定情報は緯度および経度であってもよい。この例において、運行状況管理サーバ1は、受信したデータ出力要求に含まれる緯度および経度を、住所に変換する機能を有していてもよい。あるいは、運行状況管理サーバ1は、メンテナンススケジュール111およびエレベータ設置情報112において、エレベータが設置されている建物の住所に代えて、該建物の緯度および経度を格納していてもよい。
また、経路決定装置2による移動経路決定において、メンテナンス情報は必須でなくてもよい。例えば、経路決定装置2は、メンテナンス情報および利用状況情報のうち、利用状況情報のみに基づいて移動経路を決定してもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
運行状況管理サーバ1、1Aおよび経路決定装置2の制御ブロック(特に制御部10および制御部20)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、運行状況管理サーバ1、1Aおよび経路決定装置2は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。