以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係るプリント基板押さえ機構の第1実施例が適用された電子機器1の概略構成を模式的に示した説明図である。図1中に示すX軸、Y軸、Z軸は、互いに直交するものである。本明細書においては、説明の便宜上、X軸は電子機器1の前後方向を示し、Y軸は電子機器1の左右(幅)方向を示し、Z軸は電子機器1の上下方向を示すものとする。また、図1における上側を電子機器1の上側とし、図1における下側を電子機器1の下側とする。
電子機器1は、箱型の筐体2と、筐体2内に収容保持されるマザーボード3と、マザーボード3に接続された複数のプリント基板4と、プリント基板押さえ機構である押さえ機構5と、を有している。
筐体2は、例えば金属製の薄板によって構成されるものである。図1においては、説明の便宜上、筐体2の一側面を構成する一側壁のみを示している。
マザーボード3は、矩形板状を呈し、筐体2の底面(図示せず)と平行なるように筐体2に配置されている。マザーボード3は、例えば、筐体2の底部に固定されている。
マザーボード3には、プリント基板4が接続される複数のコネクタ6が取り付けられている。つまり、マザーボード3は、複数のプリント基板4を接続可能な基板である。
プリント基板4は、矩形板状を呈し、マザーボード3に対して直交するように筐体2内に収容されている。
本実施例におけるプリント基板4は、電子機器1の幅方向(Y軸方向)に沿った長さが相対的に短いプリント基板4aと、電子機器1の幅方向(Y軸方向)に沿った長さが相対的に長いプリント基板4bである。なお、説明の便宜上に、プリント基板4aとプリント基板4bを区別する必要がない場合には、プリント基板4と表記して両者を同時に説明するものとする。
プリント基板4は、コネクタ6に差し込まれる接続片7が形成された第1端面8と、第1端面8と平行な第2端面9と、第1端面8及び第2端面9に対して直交する第3端面10及び第4端面11と、を有している。換言すれば、プリント基板4は、接続片7の形成された長辺が第1端面8を構成し、接続片7の形成されていない長辺が第2端面9を構成し、短辺が第3端面10、第4端面11を構成している。
また、プリント基板4を平面視した際における当該プリント基板4の角部(4隅)は、第1端面8と第3端面10、第1端面8と第4端面11、第2端面9と第3端面10、第2端面9と第4端面11とによって形成されている。つまり、プリント基板4の角部は、プリント基板4の一端面と、この一端面に連続する他端面とを有している。
プリント基板4は、筐体2の一側壁側(電子機器1の左側)に位置する第3端面10側の端縁が筐体2の一側壁に複数のねじ12等を用いて固定されている。
押さえ機構5は、筐体2内にあってプリント基板4を押さえるものであって、プリント基板4の第2端面9の上方に位置している。
押さえ機構5は、図1〜図3に示すように、支持部材15と、支持部材15に取り付けられた複数の中間部材16と、中間部材16に取り付けられた複数の回転部材17と、回転部材17の取り付けられた複数の先端部材18と、を有している。
図2及び図3は、第1実施例における押さえ機構5を模式的に示した説明図である。
支持部材15は、例えば金属材料からなり、筐体2に対して図示外の位置で取り付けられている。支持部材15は、図1に示すように、マザーボード3に接続された複数のプリント基板4を横切るように配置される。
詳述すると、支持部材15は、電子機器1を平面視した際に、マザーボード3に接続された複数のプリント基板4と直交するように配置されている。
支持部材15は、図1〜図3に示すように、中間部材が取り付けられる細長い平板状の基部20と、基部20の両側に位置し、基部20から同一方向に折り返された一対の側壁部21、21とを有し、断面略C字形状を呈している。
支持部材15は、基部20がプリント基板4の第2端面9と対向するように筐体2に取り付けられている。つまり、基部20は、電子機器1の下方側に面した下面23がプリント基板4の第2端面9と対向している。基部20の上面22は電子機器1の上方側に面している。側壁部21、21は、基部20の上面22側に折り返され、基部20に対して略直交している。
中間部材16は、例えば金属材料からなる円形断面の軸状の部材であって、図1〜図3に示すように、基部20の下面23から突出するように支持部材15に取り付けられている。
隣接する中間部材16、16の間隔は、マザーボード3に接続された隣接するプリント基板4、4の間隔に応じて設定されている。
中間部材16は、その外周面に雄ねじが形成されている。中間部材16は、例えば植込みボルトであり、その軸方向の両端の外周面が雄ねじ部24となっている。
中間部材16は、例えば、支持部材15の基部20に貫通形成された図示せぬ雌ねじ部に基端側の雄ねじ部24を螺合させることで支持部材15に取り付けられる。なお、中間部材16は、その外周面に軸方向の全長亙って雄ねじを形成してもよい。また、中間部材16は、支持部材15の基部20に、溶接等により取り付けるようにしてもよい。この場合には、基部20の上記雌ねじ部を省略することも可能である。
回転部材17は、例えば金属材料からなる断面六角形の全長に亙って筒状(中空)の部材であって、図1〜図3に示すように、内周面に雌ねじが形成されている。換言すると、回転部材17は、その両端が雌となるように内周面が雌ねじ部25となったいわゆるスペーサである。
回転部材17の先端には、図2、図3に示すように、先端部材18がねじ部材26によって取り付けられている。ねじ部材26は、回転部材17の雌ねじ部25と螺合する。また、回転部材17の基端には、中間部材16が挿入されている。回転部材17は、内周面の雌ねじ部25が中間部材16の雄ねじ部24と螺合することで中間部材16に回転可能かつ進退可能に取り付けられる。ここで、「進退」とは、中間部材16の軸方向に沿った動きを指すものとする。
これにより、回転部材17の外周面を作業者が掴む等して、回転部材17を中間部材16に対して回転させることで、回転部材17の中間部材16からの突出量が調整できる。
例えば、中間部材16の軸方向で、中間部材16の雄ねじ部24と回転部材17の雌ねじ部25との重なり合う部分が長い状態では、図2に示すように、中間部材16からの回転部材17の突出量が小さくなる。この状態で回転部材17を所定の方向に回転させると、中間部材16の雄ねじ部24と回転部材17の雌ねじ部25との重なり合う部分が徐々に短くなり、図3に示すように、中間部材16からの回転部材17の突出量を大きくできる。
ここで、中間部材16からの回転部材17の突出量とは、中間部材16の軸方向に沿った突出量のことである。
なお、回転部材17の雌ねじ部25は、軸方向の一端側(先端側)と他端側(基端側)が連続しないように形成することも可能である。すなわち、回転部材17は、中間部材16の雄ねじ部24が螺合する部分と、ねじ部材26が螺合する部分との間が中空ではなく中身のつまった角柱状となっていてもよい。あるいは、回転部材17は、全長に亙って筒状(中空)の部材であるが、中間部材16の雄ねじ部24が螺合する部分と、ねじ部材26が螺合する部分との間の内周面に雌ねじを形成しないようにすることも可能である。
また、回転部材17の断面の外形状は、六角形に限定されるものではなく、例えば円形や六角形以外の多角形であってもよい。
先端部材18は、電気絶縁性を有するものであり、例えば樹脂材料からなる直方体形状の部材である。
先端部材18は、ねじ部材26の軸回りに回転可能な状態で、回転部材17に取り付けられている。
先端部材18は、図2〜図4に示すように、回転部材17の先端に取り付けられる基端面31と、プリント基板4の第2端面9に対向する押さえ面32と、を有している。
ここで、図4は、第1実施例における押さえ機構5の先端部材18の斜視図である。
押さえ面32には、図4に示すように、ねじ部材26の頭部を収容可能な断面円形の凹部33と、プリント基板4の第2端面9側の端縁を収容可能な直線状の溝部34と、が形成されている。
凹部33は、押さえ面32の中央に位置し、内径がねじ部材26の頭部よりも大径となるよう形成されている。凹部33の底面には、ねじ部材26の雄ねじ部分が貫通する貫通穴35が形成されている。
溝部34は、プリント基板4の端面のうち先端部材18と対向する第2端面9と接触可能な底面36と、底面36に対して直交する一対の側壁面37、37とを有している。溝部34は、凹部33よりも浅底となっている。溝部34は、押さえ面32の中央を通り、先端部材18の押さえ面32を横断(横貫)している。つまり、溝部34は、凹部33と重なる中央部分が、実質的には不連続となっている。
この第1実施例の押さえ機構5は、回転部材17を回転させることで回転部材17の中間部材16からの突出量を変更(調整)できる。そのため、押さえ機構5は、先端部材18でプリント基板4の第2端面9を押さえることができる。つまり、押さえ機構5は、大きさの異なるプリント基板4を電子機器1の下方側へ先端部材18で押さえて保持することが可能となる。従って、押さえ機構5は、筐体2の大型化を抑制しつつ、市販の様々な大きさのプリント基板4を筐体2内で確実に押さえて保持することが可能となる。
また、押さえ機構5は、プリント基板4に市販品を加工せずにそのまま適用可能である。つまり、押さえ機構5は、市販のプリント基板を加工せずにそのまま利用しても、当該プリント基板を筐体2内で確実に押さえて保持することが可能となる。
また、押さえ機構5は、先端部材18が電気絶縁性を有しているので、電気絶縁性を保ちつつ、傷が付かないようにプリント基板4を押さえて保持することができる。
以下、本発明の他の実施例について説明する。なお、上述した第1実施例と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図5〜図10を用いて本発明の第2実施例を説明する。図5は、本発明に係るプリント基板押さえ機構の第2実施例が適用された電子機器41の概略構成を模式的に示した説明図である。図6及び図7は、第2実施例における押さえ機構42(プリント基板押さえ機構)を模式的に示した説明図である。図8は、第2実施例における押さえ機構42の回転部材44の平面図である。図9は、図8のA−A線に沿った断面図である。図10は、第2実施例における押さえ機構42の回転部材44の底面図である。
なお、図5中に示すX軸、Y軸、Z軸は、互いに直交するものであり、上述した図1中に示すX軸、Y軸、Z軸と同義である。また、図5における上側を電子機器41の上側とし、図5における下側を電子機器41の下側とする。
第2実施例における電子機器41は、上述した第1実施例の電子機器1と略同一構成となっているが、プリント基板押さえ機構である押さえ機構42における中間部材43及び回転部材44の構成が上述した第1実施例とは異なっている。
すなわち、第2実施例の押さえ機構42は、図5〜図10に示すように、中間部材43が全長に亙って円筒状(中空)の部材となり、回転部材44が中間部材43に挿入される軸状の部材となっている。
第2実施例における中間部材43は、例えば金属材料からなり、図5〜図7に示すように、基部20の下面23から突出するように支持部材15に取り付けられている。
中間部材43は、その内周面に軸方向の全長に亙って雌ねじが形成されている。換言すると、中間部材43は、図6、図7に示すように、内周面が軸方向の全長に亙って雌ねじ部45となった全長に亙って円筒状(中空)の部材である。
中間部材43は、例えば、支持部材15の基部20に貫通形成された図示せぬ穴部に嵌合させることで取り付けられている。なお、中間部材43は、支持部材15の基部20に貫通形成された図示せぬ穴部の周囲に、溶接等により取り付けるようにしてもよい。この場合、支持部材15の基部20に貫通形成された図示せぬ穴部の内径は少なくとも回転部材44の内径よりも大きく設定される。
第2実施例における回転部材44は、例えば金属材料からなり、外周面には軸方向の全長に亙って雄ねじが形成されている。換言すると、回転部材44は、図8〜図10に示すように、外周面が軸方向の全長に亙って雄ねじ部46となった頭部のないねじ部材である。
回転部材44の先端には、図9に示すように、断面円形の凹部47が形成されている。この凹部47の内周面には、雌ねじが形成されている。つまり、凹部47の内周面は、先端部材18を取り付けるねじ部材(図示せず)と螺合するための雌ねじ部48となっている。先端部材18は、このねじ部材の軸回りに回転可能な状態で回転部材44に取り付けられている。
回転部材44の基端には、図6〜図9に示すように、回転部材44を回転させるドライバー等の工具49(図7を参照)の先端と係合する溝50が形成されている。
回転部材44は、外周面の雄ねじ部46が中間部材43の雌ねじ部48と螺合することで中間部材43に回転可能かつ進退可能に取り付けられる。ここで、「進退」とは、中間部材43の軸方向に沿った動きを指すものとする。
これにより、工具49等で回転部材44を回転させることで、回転部材44の中間部材43からの突出量が調整できる。
例えば、回転部材44は、支持部材15の基部20の上面22側への突出量が大きい状態では、図6に示すように、支持部材15の基部20の下面23側への突出量が小さくなる。この状態で回転部材44を所定の方向に回転させると、回転部材44は、支持部材15の基部20の上面22側への突出量が徐々に小さくなり、図7に示すように、支持部材15の基部20の下面23側への突出量を大きくできる。
このような第2実施例の押さえ機構42においても、回転部材44を回転させることで回転部材44の中間部材43からの突出量を変更(調整)できる。そのため、押さえ機構42は、先端部材18でプリント基板4の第2端面9を押さえることができる。つまり、押さえ機構42は、大きさの異なるプリント基板4を電子機器41の下方側へ先端部材18で押さえて保持することが可能となる。従って、この第2実施例の押さえ機構42においても、上述した第1実施例の押さえ機構5と略同様の作用効果を奏することができる。
また、第2実施例における押さえ機構42は、支持部材15の上方から工具49を用いて回転部材を回転させることができる。つまり、支持部材15とプリント基板4との間に回転部材44を回転させるための作業に必要な空間を確保する必要がない。すなわち、上述した第1実施例の押さえ機構5のように、支持部材15とプリント基板4との間に作業者の手等が入る作業用の空間を確保する必要がない。
そのため、第2実施例の押さえ機構42においては、支持部材15とプリント基板4との間の空間を相対的に小さく設定することが可能となり、第1実施例の押さえ機構5に比べて小型化すること可能となる。
なお、第2実施例における中間部材43の外形は、円形に限定されるものではなく、例えば六角形等の多角形であってもよい。
図11〜図14を用いて本発明の第3実施例を説明する。図11は、本発明に係るプリント基板押さえ機構の第3実施例が適用された電子機器51の概略構成を模式的に示した説明図である。図12〜図14は、第3実施例における押さえ機構52(プリント基板押さえ機構)を模式的に示した説明図である。
なお、図11中に示すX軸、Y軸、Z軸は、互いに直交するものであり、上述した図1中に示すX軸、Y軸、Z軸と同義である。また、図11における上側を電子機器51の上側とし、図11における下側を電子機器51の下側とする。
第3実施例における電子機器51は、上述した第1実施例の電子機器1と略同一構成となっているが、プリント基板押さえ機構である押さえ機構52における支持部材53、中間部材54及び回転部材55の構成が上述した第1実施例とは異なっている。
第3実施例における支持部材53は、上述した第1実施例の支持部材15と略同一構成となっているが、図11〜図14に示すように、電子機器51の幅方向(Y軸方向)に沿って長くなるように、基部56が幅広に形成されている。
支持部材53は、例えば金属材料からなり、筐体2に対して図示外の位置で取り付けられている。支持部材53は、図11に示すように、マザーボード3に接続された複数のプリント基板4を横切るように配置される。
支持部材53は、基部56と、基部56の両側に位置し、基部56から同一方向に折り返された一対の側壁部57、57とを有し、断面略C字形状を呈している。
支持部材53は、基部56がプリント基板4の第2端面9と対向するように筐体2に取り付けられている。つまり、基部56は、電子機器1の下方側に面した下面58がプリント基板4の第2端面9と対向している。基部56の上面59は電子機器51の上方側に面している。側壁部57、57は、基部56の上面59側に折り返され、基部56に対して略直交している。
そして、基部56には、互いに平行な複数の貫通した長穴56aが、電子機器51の幅方向(Y軸方向)に沿って形成されている。換言すれば、基部56には、筐体2内に位置してマザーボード3に接続されたプリント基板4の第2端面9(一端面)に沿うように、互いに平行な複数の長穴56aが形成されている。隣接する長穴56a、56aの間隔は、マザーボード3に接続された隣接するプリント基板4、4の間隔に応じて設定されている。
第3実施例における中間部材54は、例えば金属材料からなる断面六角形の全長に亙って筒状(中空)の部材であって、図11〜図14に示すように、基部56の下面58から突出するように支持部材53に取り付けられている。
中間部材54は、その内周面に軸方向の全長に亙って雌ねじが形成されている。換言すると、中間部材54は、その両端が雌となるように内周面が軸方向の全長に亙って雌ねじ部60となった部材である。
中間部材54は、基端側が支持部材53の基部56の上面59側から長穴56aを貫通したねじ部材61によって支持部材53に取り付けられている。つまり、中間部材54は、長穴56a上の任意の位置に取り付け可能となっている。
第3実施例における回転部材55は、例えば金属材料からなり、図12及び図13に示すように、中間部材54に取り付けられる基端部62が相対的に細くなった段付き形状の部材である。
詳述すると、回転部材55は、中間部材54に挿入される基端側の基端部62と、先端部材18が取り付けられる先端側の先端部63と、を有している。
基端部62は、その外周面に軸方向の全長に亙って雄ねじが形成されている。換言すれば、回転部材55は、基端部62の外周面が雄ねじ部64となっている。
先端部63は、外形が六角形に形成されている。先端部63の先端面には、断面円形の凹部65が形成されている。凹部65の内周面には、雌ねじが形成されている。つまり、回転部材55は、先端部63の内周面が雌ねじ部66となっている。
回転部材55は、基端側が雄となるように外周面が雄ねじ部64となり、先端側が雌となるように内周面が雌ねじ部66となったいわゆるスペーサである。
回転部材55の先端には、先端部材18がねじ部材26によって取り付けられている。先端部材18は、ねじ部材26の軸回りに回転可能な状態で、回転部材55に取り付けられている。ねじ部材26は、回転部材55の先端部63内周面の雌ねじ部66と螺合する。また、回転部材55は、基端部62の外周面の雄ねじ部64が中間部材54の雌ねじ部60と螺合することで中間部材54に回転可能かつ進退可能に取り付けられる。ここで、「進退」とは、中間部材54の軸方向に沿った動きを指すものとする。
これにより、回転部材55の先端部63の外周面を作業者が掴む等して、回転部材55を中間部材54に対して回転させることで、図12及び図13に示すように、回転部材55の中間部材54からの突出量が調整できる。
このような第3実施例の押さえ機構52においても、回転部材55を回転させることで回転部材55の中間部材54からの突出量を変更(調整)できる。そのため、押さえ機構52は、先端部材18でプリント基板4の第2端面9を押さえることができる。つまり、押さえ機構52は、大きさの異なるプリント基板4を電子機器51の下方側へ先端部材18で押さえて保持することが可能となる。従って、この第3実施例の押さえ機構52においても、上述した第1実施例の押さえ機構5と略同様の作用効果を奏することができる。
また、第3実施例における押さえ機構52は、中間部材54が長穴56a上の任意の位置に取り付け可能となっている。そのため、第3実施例における押さえ機構52は、図14に示すように、プリント基板4の大きさ(長さ)に応じて、先端部材18によって押さえ付けられるプリント基板4の端縁位置を変更することができる。
また、中間部材54が長穴56a上の任意の位置に取り付け可能となっているので、プリント基板4の第2端面9側にコネクタ等の突出箇所がある場合でも、この突出箇所を避けて、プリント基板4の第2端面9を押さえることができる。
図15〜図17を用いて本発明の第4実施例を説明する。図15は、本発明に係るプリント基板押さえ機構の第4実施例が適用された電子機器71の概略構成を模式的に示した説明図である。図16は、第4実施例における押さえ機構72(プリント基板押さえ機構)の要部を拡大して示した説明図である。図17は、第4実施例における押さえ機構72で用いられる先端部材73の斜視図である。
なお、図15中に示すX軸、Y軸、Z軸は、互いに直交するものであり、上述した図1中に示すX軸、Y軸、Z軸と同義である。また、図15における上側を電子機器71の上側とし、図15における下側を電子機器71の下側とする。
第4実施例における電子機器71は、上述した第1実施例の電子機器1と略同一構成となっているが、プリント基板押さえ機構である押さえ機構72の構成が上述した第1実施例とは異なっている。さらに言えば、第4実施例における電子機器71は、上述した第3実施例における電子機器51と略同一構成となっているが、押さえ機構72における先端部材73が第3実施例と異なっている。
この第4実施例においては、電子機器71の幅方向(Y軸方向)に沿った長さが相対的に短いプリント基板4a(4)が先端部材73によって押さえられている。また、電子機器71の幅方向(Y軸方向)に沿った長さが相対的に長いプリント基板4b(4)が先端部材18によって押さえられている。
第4実施例における支持部材53は、上述した第1実施例の支持部材15と略同一構成となっているが、図15に示すように、電子機器71の幅方向(Y軸方向)に沿って長くなるように、基部56が幅広に形成されている。
そして、基部56には、互いに平行な複数の貫通した長穴56aが、電子機器71の幅方向(Y軸方向)に沿って形成されている。隣接する長穴56a、56aの間隔は、マザーボード3に接続された隣接するプリント基板4、4の間隔に応じて設定されている。
第4実施例における中間部材54は、例えば金属材料からなる断面六角形の全長に亙って筒状(中空)の部材であって、図15及び図16に示すように、基部56の下面58から突出するように支持部材53に取り付けられている。
中間部材54は、その内周面に軸方向の全長に亙って雌ねじが形成されている。換言すると、中間部材54は、その両端が雌となるように内周面が軸方向の全長に亙って雌ねじ部60となった部材である。
中間部材54は、基端側が支持部材53の基部56の上面59側から長穴56aを貫通したねじ部材61によって支持部材53に取り付けられている。つまり、中間部材54は、長穴56a上の任意の位置に取り付け可能となっている。
第4実施例における回転部材55は、例えば金属材料からなり、図15及び図16に示すように、中間部材54に取り付けられる基端部62が相対的に細くなった段付き形状の部材である。
詳述すると、回転部材55は、中間部材54に挿入される基端側の基端部62と、先端部材18または先端部材73が取り付けられる先端側の先端部63と、を有している。
基端部62は、その外周面に軸方向の全長に亙って雄ねじが形成されている。換言すれば、回転部材55は、基端部62の外周面が雄ねじ部64となっている。
先端部63は、外形が六角形に形成されている。先端部63の先端面には、断面円形の凹部65が形成されている。凹部65の内周面には、雌ねじが形成されている。つまり、回転部材55は、先端部63の内周面が雌ねじ部66となっている。
換言すると、回転部材55は、基端側が雄となるように外周面が雄ねじ部64となり、先端側が雌となるように内周面が雌ねじ部66となったいわゆるスペーサである。
回転部材55の先端には、先端部材18または先端部材73がねじ部材26によって取り付けられている。ねじ部材26は、回転部材55の先端部63内周面の雌ねじ部66と螺合する。また、回転部材55は、基端部62の外周面の雄ねじ部64が中間部材54の雌ねじ部60と螺合することで中間部材54に回転可能かつ進退可能に取り付けられる。ここで、「進退」とは、中間部材54の軸方向に沿った動きを指すものとする。
これにより、回転部材55の先端部63の外周面を作業者が掴む等して、回転部材55を中間部材54に対して回転させることで、回転部材55の中間部材54からの突出量が調整できる。
第4実施例における先端部材73は、電気絶縁性を有するものであり、例えば樹脂材料からなる直方体形状の部材である。
先端部材73は、ねじ部材26の軸回りに回転可能な状態で、回転部材55に取り付けられている。
先端部材73は、図17に示すように、回転部材55の先端に取り付けられる基端面74と、プリント基板4の第2端面9に対向する押さえ面75と、を有している。
押さえ面75には、ねじ部材26の頭部を収容可能な断面円形の凹部76と、プリント基板4の第2端面9側の端縁を収容可能な直線状の溝部77と、が形成されている。
凹部76は、押さえ面75の中央に位置し、内径がねじ部材26の頭部よりも大径となるよう形成されている。凹部76の底面には、ねじ部材26の雄ねじ部分が貫通する貫通穴78が形成されている。
溝部77は、先端部材73と対向する第2端面9と接触可能な底面79と、第2端面9と連続する第3端面10と接触可能な端面80と、底面79及び端面80に対して直交する一対の側壁面81、81と、を有している。
つまり、溝部77は、押さえ面75の中央を通るように形成されるものの、先端部材73を横断(横貫)しておらず、底面79と端面80とによって構成されるL字状の突き当て壁面82を有している。突き当て壁面82は、プリント基板4の角部の2辺を突き当てることが可能なものである。この第4実施例では、突き当て壁面82に、プリント基板4aの第2端面9と第4端面11とによって構成される角部が突き当てられている。
また、溝部77は、凹部76よりも浅底となっている。つまり、溝部77は、凹部76と重なる中央部分が、実質的には不連続となっている。
このような第4実施例の押さえ機構72においても、回転部材55を回転させることで回転部材55の中間部材54からの突出量を変更(調整)できる。そのため、押さえ機構72は、先端部材18、73でプリント基板4の第2端面9を押さえることができる。つまり、押さえ機構72は、大きさの異なるプリント基板4を電子機器71の下方側へ先端部材18、73で押さえて保持することが可能となる。従って、この第4実施例の押さえ機構72においても、上述した第1実施例の押さえ機構5と略同様の作用効果を奏することができる。
また、この第4実施例においては、図16に示すように、先端部材73の溝部77にプリント基板4aの角部を突き当てることができるので、プリント基板4aを互いに直交する2方向で固定することができる。詳述すると、押さえ機構72は、先端部材73でプリント基板4aの第2端面9と第4端面11を押さえることができる。つまり、押さえ機構72は、プリント基板4aを電子機器71の下方側及び左側へ先端部材73で押さえて保持することが可能となる。換言すると、この第4実施例においては、プリント基板4aを電子機器71の左右方向と上下方向の2方向で押さえることができる。従って、先端部材73を用いれば、先端部材18を用いた場合よりも、プリント基板4aを一層強固に押さえることができる。
なお、第3、第4実施例において、中間部材54の雌ねじ部60は、軸方向の一端側と他端側が連続しないように形成することも可能である。すなわち、第3、第4実施例における中間部材54は、ねじ部材26が螺合する部分と、回転部材44の雄ねじ部64が螺合する部分との間が中空ではなく中身のつまった角柱状となっていてもよい。あるいは、第3、第4実施例における中間部材54は、全長に亙って筒状(中空)の部材であるが、内周面のうち軸方向の中間部分に雌ねじを形成しないようにしてもよい。
上述した各実施例においては、押さえ機構5、42、52、72が、それぞれ複数のプリント基板4を押さえるものであるが、本発明のプリント基板押さえ機構は、筐体2内に1枚のプリント基板4しかないような電子機器に適用することも可能である。つまり、押さえ機構5、42、52、72は、筐体2内のプリント基板4の数に応じて中間部材16、43、54等の構成部品の数を適宜増減させて対応することが可能である。
また、第1、第2実施例において、先端部材18に換えて先端部材73を使用することも可能である。