(本開示の基礎となった知見)
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した技術に関し、以下の問題が生じることを見出した。
まず、無線LANにおけるアクセス制御について説明する。無線LANでは、予め選択した無線周波数(以下、「チャネル」という)を使用して、DCF(Distributed Coordination Function)と呼ばれるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)に基づく自律分散的なアクセス制御が行われる。以下、無線配信システムにおける、DCFを使用したアクセス制御について説明する。
無線配信システムは、サーバと、無線基地局と、第1の無線端末と、第2の無線端末とを備えている。サーバは、有線ネットワークを介して無線基地局に接続されている。無線基地局は、任意のチャネルを使用した無線ネットワークを構築している。クライアントである第1の無線端末及び第2の無線端末は、無線ネットワークを介して無線基地局に接続されている。
第1の無線端末は、サーバにパケットを送信する際には、任意のチャネルを使用して、パケットを含むフレームを無線基地局に送信する。このとき、無線ネットワーク上でチャネル干渉が発生するのを防ぐため、第1の無線端末が上記チャネルを使用してフレームを送信している間、無線基地局及び第2の無線端末はフレームを送信することができない。また、第1の無線端末が送信した電波が、上記チャネルと同じチャネルを使用する他の無線ネットワークにも届く場合には、第1の無線端末が上記チャネルを使用してフレームを送信している間、当該他の無線ネットワークを構築する無線基地局及び無線端末もフレームを送信することができない。
ここで、無線LANにおける無線伝送レートについて説明する。無線LANでは、複数の無線伝送レートの中から任意の無線伝送レートを選択してフレームを送信する。例えば、IEEE802.11aの規格では、6,9,13,18,24,36,48,54Mbpsの8つの無線伝送レートの中から任意の無線伝送レートを選択することができる。
一般的に、無線伝送レートが低速になるほど、無線ネットワーク上での伝送エラーの発生が少なくなり、且つ、フレームをより遠くまで到達させることができる。これにより、フレームの伝送に関する信頼性が高くなる。一方、無線伝送レートが高速になるほど、より多くの情報をより短時間に送信することができる。このため、同じ長さのフレームを送信する場合、無線伝送レートが高速になるほど、チャネルを使用する時間が短くなる。
次に、上述した無線配信システムにおいて、無線ネットワーク上でフレームをマルチキャストで送信する場合の無線伝送レートについて説明する。
サーバが第1の無線端末及び第2の無線端末に対してIPマルチキャストを使用してマルチキャストによりフレームを送信した際には、無線基地局は、サーバから受信したフレームを、無線ネットワークを介して第1の無線端末及び第2の無線端末に送信する。一般的に、無線基地局と第2の無線端末との間の距離が、無線基地局と第1の無線端末との間の距離よりも長い場合には、無線基地局から第2の無線端末に届く電波の減衰量は、無線基地局から第1の無線端末に届く電波の減衰量よりも大きくなる。
上述したように、無線ネットワーク上でマルチキャストによりフレームを送信する場合には、フレームの伝送エラーの発生時にフレームの再送が自動的に行われない。そのため、電波受信状況が異なる複数の無線端末に対するフレーム伝送の信頼性を確保するため、フレームの到達範囲が広くなるように、最も低速な無線伝送レートが選択される。しかしながら、選択した無線伝送レートが低速である場合には、ビットレートの高いデータをリアルタイムに送信することが困難になる。
このような課題に対して、特許文献1に開示された方法では、無線基地局が複数の無線端末に対してマルチキャストによりフレームを送信する際に、使用するマルチキャストIPアドレスと、当該マルチキャストIPアドレス宛にサーバから送信されるフレームに含まれるデータのビットレート情報とを予め無線基地局に登録しておく。無線基地局は、登録されたマルチキャストIPアドレス宛のフレームをサーバから受信した際に、当該フレームに含まれるデータのビットレートに適した無線伝送レートを使用して、当該フレームをマルチキャストにより複数の無線端末に送信する。複数の無線端末の各々は、無線基地局との電波受信状況に応じて受信するデータのビットレートを選択し、当該データに対応するマルチキャストIPアドレスを含むIGMPのJoinメッセージを送信する。これにより、複数の無線端末の各々は、フレーム伝送の信頼性を維持しながら、電波受信状況に適したビットレートのデータをリアルタイムに受信することができる。
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、チャネル干渉の発生が考慮されていない。例えば、無線端末がフレームを送信し始めた場合には、無線基地局はフレームの送信自体ができなくなる。このため、無線端末がフレームを送信している間、無線基地局には送信待ちのフレームが蓄積される。その結果、サーバは、データをリアルタイムに送信することが困難になる。
また、特許文献2に開示された方法では、無線基地局は、マルチキャストによりフレームを送信する際に、チャネルが使用されていない時間(以下、「チャネル未使用時間」という)と、マルチキャストIPアドレス宛に送信されるデータのビットレートとに基づき、当該マルチキャストIPアドレス宛のフレームの送信に適用する最適な無線伝送レートを選択する。具体的には、無線基地局は、単位時間あたりのチャネル未使用時間を算出する。さらに、無線基地局は、マルチキャストIPアドレス宛にサーバから送信されたデータのビットレートに基づいて、フレームの送信に任意の無線伝送レートを選択した場合のチャネルを使用する時間がチャネル未使用時間以下になるように、無線伝送レートを選択する。
しかしながら、特許文献2に開示された方法では、チャネル未使用時間が極端に短い場合が考慮されていない。具体的には、フレームの送信に最も高速な無線伝送レートを選択した場合のチャネルを使用する時間がチャネル未使用時間を超えた際には、無線基地局に送信待ちのフレームが蓄積される。このため、サーバは、データをリアルタイムに送信することが困難になる。
このような課題を解決するために、本開示の一態様に係る通信方法は、無線基地局と任意のチャネルを使用した無線ネットワークを介して接続された少なくとも1以上の無線端末に対して、前記無線基地局を介してパケットをマルチキャスト又はブロードキャストで送信するサーバにおける通信方法であって、予め優先度が設定されたデータを含む前記パケットを生成するステップと、前記無線基地局において単位時間あたりに前記チャネルが使用されている時間である被チャネル使用時間を取得するステップと、前記被チャネル使用時間に基づいて、前記無線基地局が前記パケットを前記無線端末に送信するために、前記単位時間あたりに前記チャネルを使用できる時間であるチャネル使用可能時間を算出するステップと、前記無線基地局が前記パケットを前記無線端末に送信するために、前記チャネルを使用すると予想される時間である第1のチャネル使用予想時間を算出するステップと、前記第1のチャネル使用予想時間が前記チャネル使用可能時間以下になるように、前記パケットに含まれる前記データの前記優先度に基づいて、前記無線基地局が前記パケットを前記無線端末に送信する際に適用する無線伝送レートを算出するステップと、前記パケット及び前記無線伝送レートを示す情報を前記無線基地局に送信するステップと、を含む。
本態様によれば、サーバは、第1のチャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間以下になるように、パケットに含まれるデータの優先度に基づいて無線伝送レートを制御する。例えば、チャネル使用可能時間が比較的短い場合には、無線基地局が無線ネットワーク上で優先度の低いデータを含むパケットを送信する際に、より高速な無線伝送レートを適用することにより、第1のチャネル使用予想時間を短くすることができ、データをリアルタイムに送信することができる。一方、例えば、チャネル使用可能時間が比較的長い場合には、無線基地局が無線ネットワーク上で優先度の高いデータを含むパケットを送信する際に、より低速な無線伝送レートを適用することにより、データの送信の信頼性を高めることができる。
例えば、前記通信方法は、さらに、前記無線伝送レートの初期値を設定するステップを含み、前記無線伝送レートを算出するステップでは、前記第1のチャネル使用予想時間が前記チャネル使用可能時間を超える場合に、特定のパケットに含まれる前記データの前記優先度に基づいて、前記無線伝送レートの前記初期値を変更するように構成してもよい。
本態様によれば、第1のチャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間を超える場合に、データの優先度に基づいて無線伝送レートの初期値を変更する。例えば、優先度の低いデータに対応する無線伝送レートの初期値をより高い値に変更することにより、第1のチャネル使用予想時間をチャネル使用可能時間以下にすることができ、データをリアルタイムに送信することができる。
例えば、前記生成するステップでは、前記優先度が互いに異なる複数のデータをそれぞれ含む複数の前記パケットを生成し、前記第1のチャネル使用予想時間を算出するステップでは、前記無線基地局が前記複数のパケットを前記無線端末に送信するために、前記チャネルを使用すると予想される時間である前記第1のチャネル使用予想時間を算出し、前記無線伝送レートを算出するステップでは、前記第1のチャネル使用予想時間が前記チャネル使用可能時間を超える場合に、前記複数のパケットの中から前記優先度が最も低い前記データを含む前記特定のパケットを抽出し、前記特定のパケットに対応する前記無線伝送レートの前記初期値をより高い値に変更するように構成してもよい。
本態様によれば、第1のチャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間を超える場合に、優先度が最も低いデータを含む特定のパケットに対応する無線伝送レートの初期値をより高い値に変更する。これにより、第1のチャネル使用予想時間をチャネル使用可能時間以下にすることができ、データをリアルタイムに送信することができる。
例えば、前記通信方法は、さらに、前記無線伝送レートを算出するステップで前記無線伝送レートを変更した後に、前記無線基地局が前記特定のパケットを含む複数の前記パケットを前記無線端末に送信するために、前記チャネルを使用すると予想される時間である第2のチャネル使用予想時間を算出するステップと、前記第2のチャネル使用予想時間が前記チャネル使用可能時間を超える場合に、前記特定のパケットを前記無線基地局に送信するか否かを判定するステップと、を含むように構成してもよい。
本態様によれば、第2のチャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間を超える場合に、特定のパケットを無線基地局に送信するか否かを判定する。例えば、チャネル使用可能時間が極端に短い場合に、サーバは、優先度が最も低いデータを含む特定のパケットを無線基地局に送信しないことにより、優先度の高いデータをリアルタイムに送信することができる。
例えば、前記通信方法は、さらに、前記判定するステップで前記特定のパケットを前記無線基地局に送信しないと判定した場合に、前記特定のパケットを廃棄するステップを含むように構成してもよい。
本態様によれば、特定のパケットを廃棄することにより、特定のパケットが無線基地局に蓄積されるのを抑制することができる。
例えば、前記送信するステップでは、前記パケットに対して前記無線伝送レートを示す識別子を付与するように構成してもよい。
本態様によれば、簡易な方法で、無線伝送レートを示す情報を無線基地局に送信することができる。
また、本開示の一態様に係る無線基地局は、サーバとネットワークを介して接続され、且つ、少なくとも1以上の無線端末と任意のチャネルを使用した無線ネットワークを介して接続された無線基地局であって、前記サーバからパケットを受信する受信部と、受信した前記パケットを前記無線端末に送信する際に適用する無線伝送レートを決定する決定部と、前記無線伝送レートにより、前記パケットをマルチキャスト又はブロードキャストで前記無線端末に送信する送信部と、前記パケットの送信以外に、単位時間あたりに前記チャネルが使用されている時間である被チャネル使用時間を計測する計測部と、を備える。
また、本開示の一態様に係るサーバは、無線基地局と任意のチャネルを使用した無線ネットワークを介して接続された少なくとも1以上の無線端末に対して、前記無線基地局を介してパケットをマルチキャスト又はブロードキャストで送信するサーバであって、予め優先度が設定されたデータを含む前記パケットを生成する生成部と、前記無線基地局において単位時間あたりに前記チャネルが使用されている時間である被チャネル使用時間を取得する取得部と、前記被チャネル使用時間に基づいて、前記無線基地局が前記パケットを前記無線端末に送信するために、前記単位時間あたりに前記チャネルを使用できる時間であるチャネル使用可能時間を算出する第1の算出部と、前記無線基地局が前記パケットを前記無線端末に送信するために前記チャネルを使用すると予想される時間であるチャネル使用予想時間を算出し、前記チャネル使用予想時間が前記チャネル使用可能時間以下になるように、前記パケットに含まれる前記データの前記優先度に基づいて、前記無線基地局が前記パケットを前記無線端末に送信する際に適用する無線伝送レートを算出する第2の算出部と、前記パケット及び前記無線伝送レートを示す情報を前記無線基地局に送信する送信部と、を備える。
また、本開示の一態様に係る無線配信システムは、サーバと、前記サーバとネットワークを介して接続された無線基地局と、前記無線基地局と任意のチャネルを使用した無線ネットワークを介して接続された少なくとも1以上の無線端末と、を備える無線配信システムであって、前記サーバは、予め優先度が設定されたデータを含むパケットを生成する生成部と、前記無線基地局において単位時間あたりに前記チャネルが使用されている時間である被チャネル使用時間を取得する取得部と、前記被チャネル使用時間に基づいて、前記無線基地局が前記パケットを前記無線端末に送信するために、前記単位時間あたりに前記チャネルを使用できる時間であるチャネル使用可能時間を算出する第1の算出部と、前記無線基地局が前記パケットを前記無線端末に送信するために前記チャネルを使用すると予想される時間であるチャネル使用予想時間を算出し、前記チャネル使用予想時間が前記チャネル使用可能時間以下になるように、前記パケットに含まれる前記データの前記優先度に基づいて、前記無線基地局が前記パケットを前記無線端末に送信する際に適用する無線伝送レートを算出する第2の算出部と、前記パケット及び前記無線伝送レートを示す情報を前記無線基地局に送信する第1の送信部と、を備え、前記無線基地局は、前記サーバから前記パケット及び前記情報を受信する受信部と、前記情報に基づいて、前記無線伝送レートを決定する決定部と、決定した前記無線伝送レートにより、前記パケットをマルチキャスト又はブロードキャストで前記無線端末に送信する第2の送信部と、を備える。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD−ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態)
[1.無線配信システムの構成]
まず、図1を参照しながら、実施の形態に係る無線配信システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る無線配信システムの構成を示す図である。
図1に示すように、無線配信システムは、サーバ12と、無線基地局13と、複数の無線端末14a及び14bとを備えている。
サーバ12は、有線ネットワーク10(ネットワークの一例)を介して無線基地局13と接続されている。サーバ12は、予め優先度(後述する)が設定されたデータを含むマルチキャストパケット(パケットの一例)を、無線基地局13を介して複数の無線端末14a及び14bにマルチキャストで送信する。なお、有線ネットワーク10は、1つ以上のルータ又は1つ以上のスイッチで構成されていてもよい。
無線基地局13は、任意のチャネルを使用した無線ネットワーク11を構築している。無線基地局13は、サーバ12からのマルチキャストパケットを受信し、且つ、受信したマルチキャストパケットを複数の無線端末14a及び14bにマルチキャストで送信する。
複数の無線端末14a及び14bの各々は、無線ネットワーク11を介して無線基地局13と接続されている。複数の無線端末14a及び14bの各々は、無線基地局13からのマルチキャストパケットを受信する。
なお、サーバ12及び無線基地局13は、有線ネットワーク10を省いた、物理的に一つの装置として実現されていてもよい。
[2.無線基地局の構成]
次に、図2を参照しながら、無線基地局13の構成について説明する。図2は、実施の形態に係る無線基地局13の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、無線基地局13は、有線通信部1301(受信部の一例)と、無線伝送レート設定部1302と、パケット処理部1303(決定部の一例)と、被チャネル使用時間計測部1304(計測部の一例)と、無線通信部1305(送信部及び第2の送信部の一例)とを有している。
有線通信部1301は、有線ネットワーク10を介してサーバ12と接続されている。有線通信部1301は、サーバ12からのマルチキャストパケットを受信する。また、有線通信部1301は、被チャネル使用時間計測部1304により計測された被チャネル使用時間(後述する)をサーバ12に送信する。
無線伝送レート設定部1302は、有線通信部1301で受信したマルチキャストパケットに含まれる識別子に対して、無線ネットワーク11上においてマルチキャストパケットを送信する際に適用する無線伝送レートを対応付ける。なお、この対応付けは、有線ネットワーク10又は無線ネットワーク11を介して行われる。識別子は、例えば、イ)Ethernetフレームに含まれるIEEE802.1Qで規定されたVLAN ID(Virtual LAN Identifier)及びPCP(Priority Code Point)、ロ)IPv4ヘッダに含まれるTOS(Type Of Service)、ハ)IPv6ヘッダに含まれるTraffic Class、並びに、ニ)UDPヘッダに含まれる送信元ポート番号及び宛先ポート番号の少なくとも1つである。
無線伝送レート設定部1302は、例えば、IEEE802.11aの規格に基づいて、6,9,13,18,24,36,48,54Mbpsのうちいずれかの無線伝送レートを対応付けする。なお、無線伝送レート設定部1302は、予め固定値に設定された無線伝送レートを、マルチキャストパケットの識別子に対して対応付けてもよい。
パケット処理部1303は、無線ネットワーク11上においてマルチキャストパケットを送信する際に、マルチキャストパケットに含まれる識別子に基づいて、無線伝送レート設定部1302により対応付けられた無線伝送レートを決定する。
被チャネル使用時間計測部1304は、マルチキャストパケットの送信以外に、単位時間(例えば100msec)あたりにチャネルが使用されている時間である被チャネル使用時間を計測する。
無線通信部1305は、無線ネットワーク11を介して複数の無線端末14a及び14bと接続されている。無線通信部1305は、パケット処理部1303により決定された無線伝送レートを使用して、マルチキャストパケットを複数の無線端末14a及び14bにマルチキャストで送信する。
[3.サーバの構成]
次に、図3及び図4を参照しながら、サーバ12の構成について説明する。図3は、実施の形態に係るサーバ12の構成を示すブロック図である。図4は、無線伝送レート制御管理テーブル30の一例を示す図である。
図3に示すように、サーバ12は、データ生成部1201と、パケット生成部1202(生成部の一例)と、無線伝送レート算出部1203(第2の算出部の一例)と、パケット送信部1204と、チャネル使用可能時間算出部1205(第1の算出部の一例)と、被チャネル使用時間取得部1206(取得部の一例)と、有線通信部1207(送信部及び第1の送信部の一例)とを有している。
データ生成部1201は、予め固定的に優先度が設定されたデータを生成する。なお、優先度は、データを送信する優先順位を示す情報であり、例えば「高」、「中」、「低」の3段階で構成される。例えば、データに設定された優先度が「高」である場合には、当該データを送信する優先順位は最も高い。データに設定された優先度が「中」である場合には、当該データを送信する優先順位は2番目に高い。データに設定された優先度が「低」である場合には、当該データを送信する優先順位は最も低い。
パケット生成部1202は、データ生成部1201により生成されたデータを含むマルチキャストパケットを生成する。なお、サーバ12においてマルチキャストパケットの宛先に指定されるマルチキャストIPアドレスは、全て同一であってもよい。これにより、有線ネットワーク10が1つ以上のルータ又は1つ以上のスイッチで構成されている場合に、マルチキャストパケットを有線ネットワーク10上で転送するための配送木の構築が行われる回数及び時間が、複数のマルチキャストIPアドレスを使用する場合に比べて少なくなる。その結果、複数の無線端末14a及び14bは、サーバ12が送信したマルチキャストパケットをより素早く受信することができる。
被チャネル使用時間取得部1206は、無線基地局13の被チャネル使用時間計測部1304により計測された被チャネル使用時間を、無線基地局13から取得する。
チャネル使用可能時間算出部1205は、被チャネル使用時間取得部1206により取得された被チャネル使用時間に基づいて、無線基地局13がマルチキャストパケットを送信するために、単位時間あたりにチャネルを使用できる時間であるチャネル使用可能時間を算出する。具体的には、チャネル使用可能時間算出部1205は、例えば次式1を用いてチャネル使用可能時間を算出する。
上式1において、Tusableはチャネル使用可能時間であり、αは0より大きく且つ1以下の実数であり、Tは無線基地局13が被チャネル使用時間を計測する際の単位時間であり、Tusedは被チャネル使用時間である。なお、被チャネル使用時間は、今回計測された被チャネル使用時間と過去に計測された被チャネル使用時間との平均値であってもよい。
無線伝送レート算出部1203は、チャネル使用予想時間を算出する。チャネル使用予想時間は、無線基地局13が任意の無線伝送レートを使用してマルチキャストパケットを複数の無線端末14a及び14bに送信する際に、チャネルを使用すると予想される時間である。具体的には、無線伝送レート算出部1203は、次式2及び3を用いて、例えばIEEE802.11aで定められた規格に基づくチャネル使用予想時間を算出する。
上式2において、Testはチャネル使用予想時間であり、Nは優先度が設定されたデータを含むマルチキャストパケットの個数であり、tDIFSはDCF IFS(Inter Frame Space)の時間間隔であり、tbackoffはContention Windowに基づく平均バックオフ時間間隔であり、tPLCP_preambleは無線ネットワーク11上でPLCP(Physical Layer Convergence Protocol)のプリアンブル送信に要する時間であり、tPLCP_signalは無線ネットワーク11上でPLCPヘッダのシグナル部分の送信に要する時間であり、tvariableは無線ネットワーク11上で後述するPLCPヘッダのサービス部分からパディングまでのビットを無線伝送レートで送信した場合に要する時間である。
また、上式3において、SPLCP_serviceはPLCPヘッダのサービス部分のビット数であり、SPSDUはマルチキャストパケットを含むMAC(Media Access Control) Protocol Data Unitのビット数であり、Stailはフレームの終端を示すテイルビットのビット数であり、Spaddingはパディング部分のビット数であり、Ssymbleは無線ネットワーク11上で無線伝送レートを使用してフレームを送信する場合の1シンボルあたりのビット数であり、tsymbleは無線ネットワーク11上で1シンボルの送信に要する時間である。
無線伝送レート算出部1203は、チャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間以下になるように、マルチキャストパケットの個数及びサイズと、マルチキャストパケットに含まれるデータの優先度とに基づいて、マルチキャストパケットを送信する際に適用する無線伝送レートを算出する。このとき、無線伝送レート算出部1203は、チャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間以下になるように、マルチキャストパケットを送信する際に適用する無線伝送レートを算出できない場合には、マルチキャストパケットに含まれるデータの優先度に基づいて、マルチキャストパケットを無線基地局13に送信するか否かを判定する。
さらに、無線伝送レート算出部1203は、送信対象のマルチキャストパケットに関する情報が格納された無線伝送レート制御管理テーブル30を記憶している。ここで、図4を参照しながら、無線伝送レート制御管理テーブル30について説明する。図4に示すように、無線伝送レート制御管理テーブル30は、優先度列301、制御対象列302、送信対象列303及び無線伝送レート列304を含んでいる。
優先度列301には、マルチキャストパケットに含まれるデータの優先度が格納されている。図4に示す例では、優先度列301の1行目には、最も高い優先度を示す「高」という情報が格納されている。優先度列301の2行目には、2番目に高い優先度を示す「中」という情報が格納されている。優先度列301の3行目には、最も低い優先度を示す「低」という情報が格納されている。
制御対象列302には、マルチキャストパケットを送信する際に適用する無線伝送レートを変更する対象であるか否かを示す情報が格納されている。図4に示す例では、制御対象列302の1行目には、マルチキャストパケットを送信する際に適用する無線伝送レートを変更する対象でないことを示す「false」という情報が格納されている。制御対象列302の2行目及び3行目には、マルチキャストパケットを送信する際に適用する無線伝送レートを変更する対象であることを示す「true」という情報が格納されている。
送信対象列303には、マルチキャストパケットを送信する対象であるか否かを示す情報が格納されている。図4に示す例では、送信対象列303の1行目、2行目及び3行目には、マルチキャストパケットを送信する対象であることを示す「true」という情報が格納されている。
無線伝送レート列304には、マルチキャストパケットを送信する際に適用する無線伝送レートを示す情報が格納されている。図4に示す例では、無線伝送レート列304の1行目には、無線伝送レートが6Mbpsであることを示す「OFDM6Mbps」という情報が格納されている。無線伝送レート列304の2行目には、無線伝送レートが12Mbpsであることを示す「OFDM12Mbps」という情報が格納されている。無線伝送レート列304の3行目には、無線伝送レートが24Mbpsであることを示す「OFDM24Mbps」という情報が格納されている。
なお、無線基地局13において、任意の優先度が設定されたデータを含むマルチキャストパケットを予め定められた無線伝送レートの初期値で必ず送信したい場合には、制御対象列302を「false」に設定し、且つ、無線伝送レート列304を無線伝送レートの初期値に設定すればよい。
図3に戻り、パケット送信部1204は、無線伝送レート算出部1203の算出結果に基づいて、送信対象のマルチキャストパケットに対して、無線伝送レートに対応する識別子(無線伝送レートを示す情報の一例)を付与する。
有線通信部1207は、有線ネットワーク10を介して無線基地局13と接続されている。有線通信部1207は、パケット送信部1204により処理されたマルチキャストパケットを無線基地局13に送信する。このとき、マルチキャストパケットに対して無線伝送レートに対応する識別子が付与されているので、有線通信部1207は、マルチキャストパケットを無線基地局13に送信することにより、無線伝送レートを示す情報を無線基地局13に通知することになる。また、有線通信部1207は、無線基地局13からの被チャネル使用時間を受信し、受信した被チャネル使用時間を被チャネル使用時間取得部1206に出力する。
[4.サーバの処理]
次に、図5〜図7Cを参照しながら、実施の形態に係るサーバ12の処理について説明する。図5は、実施の形態に係るサーバ12の処理を示すフローチャートである。図6は、図5における無線伝送レート変更処理(S20)の処理を具体的に示すフローチャートである。図7A〜図7Cは、図5における無線伝送レート変更処理の一例を説明するための図である。
なお、図7A〜図7Cでは、説明を簡略化するために、上式1においてα=1であり、且つ、マルチキャストパケットP1,P2及びP3のそれぞれの個数及びサイズが同じであると仮定する。
図5に示すように、まず、パケット生成部1202は、データ生成部1201により生成されたデータを含むマルチキャストパケットを生成する(S11)。具体的には、図7A〜図7Cに示すように、データの優先度は「高」、「中」及び「低」の3段階で構成され、パケット生成部1202は、優先度「高」のデータを含むマルチキャストパケットP1と、優先度「中」のデータを含むマルチキャストパケットP2と、優先度「低」のデータを含むマルチキャストパケットP3とを生成する。
無線伝送レート算出部1203は、パケット生成部1202により生成されたマルチキャストパケットP1,P2及びP3に含まれるデータの優先度「高」、「中」及び「低」毎に、マルチキャストパケットの個数及びサイズをカウントする(S12)。
次に、無線伝送レート算出部1203は、図4に示す送信対象列303が「true」となる、マルチキャストパケットP1,P2及びP3にそれぞれ含まれるデータの優先度「高」、「中」及び「低」毎に、無線伝送レートの初期値R1,R2及びR3を設定する(S13)。すなわち、無線伝送レート算出部1203は、優先度「高」に対する無線伝送レートの初期値R1を設定し、優先度「中」に対する無線伝送レートの初期値R2を設定し、優先度「低」に対する無線伝送レートの初期値R3を設定する。なお、説明の都合上、無線伝送レートの初期値R1,R2及びR3は全て同じ値であると仮定する。
次に、被チャネル使用時間取得部1206は、被チャネル使用時間Tusedを無線基地局13から取得する(S14)。チャネル使用可能時間算出部1205は、被チャネル使用時間取得部1206により取得された被チャネル使用時間Tusedに基づいて、チャネル使用可能時間Tusableを算出する(S15)。
次に、無線伝送レート算出部1203は、無線伝送レートの初期値R1,R2及びR3と、マルチキャストパケットP1,P2及びP3のそれぞれの個数及びサイズとに基づいて、チャネル使用予想時間(第1のチャネル使用予想時間の一例)を算出する(S16)。
次に、無線伝送レート算出部1203は、チャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間Tusable以下であるか否かを判定する(S17)。図7Aに示すように、無線伝送レート算出部1203は、チャネル使用予想時間Test_1がチャネル使用可能時間Tusable以下であると判定した場合には(S17でYES)、無線伝送レートの初期値R1,R2及びR3を変更することなくそのまま維持する。パケット送信部1204は、マルチキャストパケットP1,P2及びP3に対して、無線伝送レートの初期値R1,R2及びR3に対応する識別子をそれぞれ付与する。これにより、有線通信部1207は、パケット送信部1204により処理されたマルチキャストパケットP1,P2及びP3をそれぞれ、無線伝送レートの初期値R1,R2及びR3で無線基地局13に送信する(S18)。
一方、図7Bの(a)及び図7Cの(a)に示すように、無線伝送レート算出部1203は、チャネル使用予想時間Test_2がチャネル使用可能時間Tusableを超えると判定した場合には(S17でNO)、無線伝送レート制御管理テーブル30を探索することにより、制御対象列302及び送信対象列303がいずれも「true」となる、マルチキャストパケットP1,P2及びP3に含まれるデータの優先度が存在するか否かを判定する(S19)。すなわち、無線伝送レート算出部1203は、無線伝送レートを変更する制御対象であり、且つ、送信対象であるマルチキャストパケットが存在するか否かを判定する。
図4、図7B及び図7Cに示す例では、無線伝送レート算出部1203は、制御対象であり、且つ、送信対象であるマルチキャストパケットP2及びP3が存在すると判定する(S19でYES)。この場合には、優先度に基づく無線伝送レート変更処理が実行される(S20)。無線伝送レート変更処理については後で詳述する。
一方、無線伝送レート算出部1203は、制御対象であり、且つ、送信対象であるマルチキャストパケットが存在しない、換言すると、無線伝送レート制御管理テーブル30において、全てのマルチキャストパケットP1,P2及びP3に含まれるデータの優先度に対して制御対象列302及び送信対象列303の少なくとも一方が「false」である場合には(S19でNO)、処理を終了する。
ここで、図6を参照しながら、上述した無線伝送レート変更処理(S20)について具体的に説明する。図6に示すように、無線伝送レート算出部1203は、無線伝送レート制御管理テーブル30を探索することにより、制御対象列302及び送信対象列303がいずれも「true」となる、優先度が最も低いデータを含むマルチキャストパケット(特定のパケットの一例)を抽出する(S41)。図4、図7B及び図7Cに示す例では、無線伝送レート算出部1203は、優先度「低」のデータを含むマルチキャストパケットP3を抽出する。
次に、無線伝送レート算出部1203は、無線伝送レート制御管理テーブル30において、抽出したマルチキャストパケットP3の優先度「低」に対応する無線伝送レートの初期値R3をより高い値に変更可能か否かを判定する(S42)。無線伝送レート算出部1203は、無線伝送レートの初期値R3をより高い値に変更可能であると判定した場合には(S42でYES)、無線伝送レートの初期値R3をより高い値R3’(R3<R3’)に変更する(S43)。
次に、無線伝送レート算出部1203は、無線伝送レートの初期値R1,R2及び変更値R3’と、マルチキャストパケットP1,P2及びP3のそれぞれの個数及びサイズとに基づいて、チャネル使用予想時間(第2のチャネル使用予想時間の一例)を算出する(S44)。なお、ステップS44におけるチャネル使用予想時間の算出方法は、上述したステップS16におけるチャネル使用予想時間の算出方法と同じである。
次に、無線伝送レート算出部1203は、チャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間Tusable以下であるか否かを判定する(S45)。図7Bの(b)に示すように、無線伝送レート算出部1203は、チャネル使用予想時間Test_3がチャネル使用可能時間Tusable以下であると判定した場合には(S45でYES)、図5のステップS21に進み、ステップS20において、優先度が最も低いデータを含むマルチキャストパケットP3を廃棄したか否かを判定する。
図5に戻り、無線伝送レート算出部1203は、優先度が最も低いデータを含むマルチキャストパケットP3を廃棄していないと判定した場合には(S21でNO)、パケット送信部1204に無線伝送レートの初期値R1,R2及び変更値R3’を通知する。パケット送信部1204は、マルチキャストパケットP1及びP2に対して無線伝送レートの初期値R1及びR2に対応する識別子を付与し、且つ、マルチキャストパケットP3に対して無線伝送レートの変更値R3’に対応する識別子を付与する。これにより、有線通信部1207は、マルチキャストパケットP1及びP2をそれぞれ無線伝送レートの初期値R1及びR2で無線基地局13に送信し、且つ、マルチキャストパケットP3を無線伝送レートの変更値R3’で無線基地局13に送信する(S18)。
図6のステップS45に戻り、図7Cの(b)に示すように、無線伝送レート算出部1203は、チャネル使用予想時間Test_4がチャネル使用可能時間Tusableを超えると判定した場合には(S45でNO)、ステップS42に戻る。これにより、無線伝送レート算出部1203は、マルチキャストパケットP3の優先度「低」に対応する無線伝送レートの変更値R3’をより高い値に変更可能か否かを判定する(S42)。無線伝送レート算出部1203は、チャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間Tusable以下になるまで、上述したステップS42〜S45の各処理を繰り返し実行する。
一方、無線伝送レート算出部1203は、マルチキャストパケットP3の優先度「低」に対応する無線伝送レートの初期値R3又は変更値R3’をより高い値に変更できないと判定した場合には(S42でNO)、図7Cの(c)に示すように、優先度が最も低いデータを含むマルチキャストパケットP3を送信対象から除外する(S46)。具体的には、無線伝送レート算出部1203は、無線伝送レート制御管理テーブル30において、優先度「低」に対応する送信対象列303を「true」から「false」に変更する。なお、マルチキャストパケットP3の優先度「低」に対応する無線伝送レートの初期値R3又は変更値R3’をより高い値に変更できない場合としては、例えば無線伝送レートの初期値R3又は変更値R3’がIEEE802.11aの規格の上限値54Mbpsである場合が考えられる。無線伝送レート算出部1203は、送信対象から除外した、優先度が最も低いデータを含むマルチキャストパケットP3を廃棄し(S47)、図5のステップS21に進む。
図5に戻り、無線伝送レート算出部1203は、ステップS20において優先度が最も低いデータを含むマルチキャストパケットP3を廃棄したと判定した場合には(S21でYES)、ステップS16に戻り、無線伝送レートの初期値R1及びR2と、マルチキャストパケットP1及びP2のそれぞれの個数及びサイズとに基づいて、チャネル使用予想時間Test_5を算出する(S16)。図7Cの(c)に示すように、チャネル使用予想時間Test_5がチャネル使用可能時間Tusable以下である場合には(S17でYES)、パケット送信部1204は、マルチキャストパケットP1及びP2に対して、無線伝送レートの初期値R1及びR2に対応する識別子をそれぞれ付与する。これにより、有線通信部1207は、マルチキャストパケットP1及びP2をそれぞれ、無線伝送レートの初期値R1及びR2で無線基地局13に送信する(S18)。
なお、チャネル使用予想時間Test_5がチャネル使用可能時間Tusableを超える場合には(S17でNO)、チャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間Tusable以下になるまで、上述したステップS16,S17及びS20〜S21の各処理が繰り返し実行される。
[5.効果]
以上説明したように、サーバ12は、チャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間以下になるように、マルチキャストパケットに含まれるデータの優先度に基づいて無線伝送レートを制御する。例えば、チャネル使用可能時間が比較的短い場合には、無線基地局13が無線ネットワーク11上で優先度の低いデータを含むパケットを送信する際に、より高速な無線伝送レートを適用することにより、チャネル使用予想時間を短くすることができる。その結果、データをリアルタイムに送信することができる。
(他の変形例)
以上、一つ又は複数の態様に係る通信方法等について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
上記実施の形態では、サーバ12がマルチキャストパケットを複数の無線端末14a及び14bにマルチキャストで送信する場合について説明したが、これに限定されず、例えばブロードキャストパケット(パケットの一例)を複数の無線端末14a及び14bにブロードキャストで送信してもよい。
上記実施の形態では、無線配信システムが2つの無線端末14a及び14bを備える場合について説明したが、これに限定されず、例えば1つ又は3つ以上の無線端末を備えてもよい。
上記実施の形態では、優先度を「高」、「中」及び「低」の3段階で構成したが、これに限定されず、例えば優先度を2段階又は4段階以上で構成してもよい。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態のサーバ等を実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、予め優先度が設定されたデータを含むパケットを生成するステップと、無線基地局において単位時間あたりにチャネルが使用されている時間である被チャネル使用時間を取得するステップと、被チャネル使用時間に基づいて、無線基地局がパケットを無線端末に送信するために、単位時間あたりにチャネルを使用できる時間であるチャネル使用可能時間を算出するステップと、無線基地局がパケットを無線端末に送信するために、チャネルを使用すると予想される時間である第1のチャネル使用予想時間を算出するステップと、第1のチャネル使用予想時間がチャネル使用可能時間以下になるように、パケットに含まれるデータの優先度に基づいて、無線基地局がパケットを無線端末に送信する際に適用する無線伝送レートを算出するステップと、パケット及び無線伝送レートを示す情報を無線基地局に送信するステップとを実行させる。
上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしても良い。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等から構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
本発明は、上記に示す方法であるとしても良い。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしても良い。また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ等に記録したものとしても良い。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしても良い。また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしても良い。また、前記プログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。