ユーザにとって、複数の電動工具、電気機器を使用する際に、複数種類の電池パックを準備するのは煩雑であり、電圧を切り替えることで異なる電圧の電動工具や電気機器に対応する使い勝手の良い電池パックの実現が望まれている。しかも、特許文献1のような電気機器本体とは別体型の電源装置ではなくて、電気機器に容易に装着できる電池パックで電圧切替式を実現することが望まれていた。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、電気機器本体に装着できる電池パックであって、出力電圧を切り替え可能とした電池パック及びそれを用いた電気機器を提供することにある。本発明の他の目的は、出力する電圧を容易に切り替えることができる電池パック及びそれを用いた電気機器を提供することにある。本発明の他の目的は、電池パックの出力する電圧が電気機器本体の定格電圧とは異なる電圧に設定された状態で電池パックが電気機器本体に装着されることを防止できる電池パック及びそれを用いた電気機器を提供することにある。
本願において開示される発明のうち代表的なものを説明すれば次のとおりである。第1の発明は、電気機器本体に装着できる電池パックであって、少なくとも一つのセルを有する複数のセルユニットと、電気機器本体に装着可能であり複数のセルユニットを収容するハウジングと、複数のセルユニットを互いに並列に接続して低電圧を出力するか、あるいは複数のセルユニットを互いに直列に接続して高電圧を出力するかを切り替える切替機構と、を有することを特徴とする電池パック及びそれを用いた電気機器である。第1の発明によれば、上記の特徴を備えることにより、電気機器本体に装着できる電池パックであって、出力電圧を切り替え可能とした電池パック及びそれを用いた電気機器を提供するという課題を解決することができる。
第2の発明は、電気機器本体に装着できる電池パックであって、少なくとも一つのセルを有する複数のセルユニットと、複数のセルユニットを収容するハウジングと、複数のセルユニットを互いに並列に接続して低電圧を出力するか、あるいは複数のセルユニットを互いに直列に接続して高電圧を出力するかを切り替える切替機構と、を有し、切替機構は、低電圧を出力する第1の位置と高電圧を出力する第2の位置を有する切替スイッチと、電池パックの外部から操作することで切替スイッチを第1又は第2の位置に切り替える操作部と、を備えることを特徴とする電池パック及びそれを用いた電気機器である。第2の発明によれば、上記の特徴を備えることにより、出力する電圧を容易に切り替えることができる電池パック及びそれを用いた電気機器を提供するという課題を解決することができる。
第3の発明は、電気機器本体に装着できる電池パックであって、少なくとも一つのセルを有するセルユニットと、電気機器本体に装着可能でありセルユニットを収容するハウジングと、低電圧を出力するか高電圧を出力するかを切り替える切替機構と、を有し、切替機構は、低電圧を出力する第1の位置と高電圧を出力する第2の位置を有する切替スイッチと、電池パックの外部から操作することで切替スイッチを第1又は第2の位置に切り替える操作部とを備え、切替スイッチが電気機器本体の定格電圧とは異なる電圧を出力する位置にある場合に、電池パックが電気機器本体に装着される途中で、電気機器本体が操作部と干渉し、切替スイッチが前記位置を維持したまま電池パックを電気機器本体に装着できないよう構成したことを特徴とする電池パック及びそれを用いた電気機器である。第3の発明によれば、電池パックの出力する電圧が電気機器本体の定格電圧とは異なる電圧に設定された状態で電池パックが電気機器本体に接続されることを防止できる電池パック及びそれを用いた電気機器を提供するという課題を解決することができる。
そして上記のような特徴を備えた発明に限らず、例えば以下のような特徴を備えた発明によっても、上記の課題のうち少なくともいずれかの課題を解決することができる。またこれら発明に、発明を実施するための形態の欄に記載された実施例が備える構成を組み合わせることもできる。
第4の発明は、電気機器本体に向かって前方に移動させることで前記電気機器本体に装着可能とされた電池パックであって、前記電池パックは、複数のセルが複数個ずつ直列接続されて構成される複数のセルユニットを収容するハウジングと、前記ハウジングの上部において前後方向に延びるよう設けられたレール機構と、前記複数のセルユニットに接続される正極端子及び負極端子と、前記セルユニットを並列に接続して低電圧を出力するか、あるいは前記セルユニットを直列に接続して高電圧を出力するかを切り替える切替機構と、を有し、前記切替機構は、出力する電圧を切り替える切替スイッチと、前記切替スイッチを操作するための操作部と、を備え、前記切替スイッチの少なくとも一部又は前記操作部の少なくとも一部が、前記正極端子及び前記負極端子と同じ高さの位置において、前記正極端子及び前記負極端子よりも後方に位置するよう構成したことを特徴とする電池パックである。
第5の発明は、第4の発明において、前記電池パックは、前記電池パックを前記電気機器本体から抜けないように固定する一対のラッチを有し、前記切替スイッチは、前記一対のラッチの間に配置されたことを特徴とする電池パックである。
第6の発明は、第4又は第5のいずれか一の発明において、前記電池パックは、前記正極端子及び負極端子が接続された回路基板を有し、前記切替スイッチは、前記回路基板の後方に配置され、前記回路基板に接続されることを特徴とする電池パックである。
第7の発明によれば、複数のセルが複数個ずつ直列接続されて構成される複数のセルユニットを収容するハウジングと、ハウジングに設けられ接続される電気機器本体の装着部と嵌合するためのレール機構と、セルユニットを並列に接続して低電圧を出力するか、あるいはセルユニットを直列に接続して高電圧を出力するかを切り替える切替機構と、を有する電池パックであって、切替機構は出力を切り替える切替スイッチと切替スイッチを操作するための操作部を備え、操作部が操作されることによって切替スイッチが第1又は第2の位置に切り替えられる。操作部の少なくとも一部は、正極端子及び負極端子よりも上方に突出するか、あるいは前記正極端子及び前記負極端子と同じ高さの位置において前記正極端子及び前記負極端子よりも後方に位置するよう構成される。第7の発明によれば、上記の特徴を備えることにより、電気機器本体に装着できる電池パックであって、出力電圧を切り替え可能とした電池パックを提供するという課題を解決することができる。また出力する電圧を容易に切り替えることができる電池パックを提供するという課題を解決することができる。さらに第4の発明によれば、出力電圧を切り替えるための操作部を操作しやすくなり、例えば作業者の手で操作部を操作する場合に、手が正極端子及び負極端子に触れにくくなるという効果を奏する。
第8の発明によれば、切替機構は、電池パックの電気機器本体への装着方向で見て、正極端子と負極端子が装着方向に対して交差する方向で並んで配置される端子配置領域よりも後方側に配置する。
第9の発明によれば、電池パックには、操作部の位置に応じてセルユニットの接続状態を切り替える接点部材を備え、接点部材をインナーケースに収容するとともに、インナーケースをハウジング内に収容した。
第10の発明によれば、電池パックに、正極端子と負極端子が電池パックの電気機器本体への装着方向と交差する方向で並んで配置される端子配置領域と、端子配置領域に対して装着方向の後方側に位置して電池パックを電気機器本体から抜けないように固定するラッチ機構を収容するラッチ収容領域を設け、切替機構を装着方向に見てラッチ収容領域とオーバーラップする範囲内に配置した。
第11の発明によれば、電池パックの端子配置領域は下段面から上方に突出するように設けられ、ラッチ収容領域は端子配置領域よりも上方に突出するように設けられるようにした。切替機構はレール機構よりも後方側に配置される。また、装着方向に対して交差する方向に並んで配置される正極端子及び負極端子と、レール機構は交差する方向において正極端子及び負極端子の外側で装着方向に延びる一対のレールを備え、切替機構は装着方向において正極端子及び負極端子よりも後方側であって、一対のレール間に配置されるようにした。
第12の発明によれば、操作部が切替スイッチを低電圧側の第1の位置として、低電圧に適合する第1の電気機器本体に電池パックが装着され、操作部が切替スイッチを高電圧側の第2の位置として、高電圧に適合する第2の電気機器本体に電池パックが装着されるようにした。操作部は、付勢手段によって電池パックが電気機器本体から取り外された際に切替スイッチを第1の位置に復帰する。さらに、電池パックには、正極端子及び負極端子を収容するハウジングの上段面から上方に***する***部と、***部によって囲まれるストッパ部が形成され、上段面の両側にレール機構が設けられ、操作部はストッパ部内に、即ち、電気機器本体への接続時に外部から隠れる部分に配置される。電池パックは、装着方向に対して交差する方向における***部の中央付近には、ハウジングの内部への通風口を配置するための窪み部が設けられ、操作部は窪み部において通風口の近傍に設けると良い。
第13の発明によれば、出力を切り替える切替スイッチを有する電池パックと、電池パックに接続可能な低電圧に適合した第1の電気機器本体とを有する電気機器であって、電池パックは、操作部が第1の位置にある場合に低電圧を出力し、操作部が第2の位置にある場合は高電圧を出力するよう構成される。第1の電気機器本体は操作部と係合可能な切替素子を有しており、電池パックの操作部が第2の位置にある場合は、電池パックを第1の電気機器本体に接続する途中で、切替素子が操作部と係合する。また、操作部が第2の位置にある場合は、電池パックを第1の電気機器本体に接続する途中で、切替素子が操作部と係合して操作部を第1の位置へと移動させるよう構成する。さらに、操作部が第2の位置にある場合は、電池パックを第1の電気機器本体に接続する途中で、切替素子が操作部と係合して電池パックと第1の電気機器本体との接続を阻止するよう構成する。
第14の発明によれば、複数のセルユニットを備えた電池パックと、電池パックが接続される第1の電気機器本体と、電池パックが接続され第1の電気機器本体よりも定格電圧の大きな第2の電気機器本体と、を有する電気機器システムであって、第1の電気機器本体は、接続方向と交差する方向に離間して配置される第1正極入力端子と第1負極入力端子とを含む第1電源端子組を備え、第2の電気機器本体は、交差する方向で第1電源端子組と異なる位置に配置される第2正極端子と第2負極端子を含む第2電源端子組と、セルユニットを直列接続するための直列用端子を備え、電池パックは第1電源端子組と接続される第1出力端子組と、第2電源端子組と接続される第2出力端子組と、直列用端子を接続される直列接続端子とを備え、電池パックが第1の電気機器本体に接続されると第1電源端子組と第1出力端子組が接続されて複数のセルユニットが並列接続され、電池パックが第2の電気機器本体に接続されると第2電源端子組と第2出力端子組が接続されると共に、直列用端子と直列接続端子が接続されてセルユニットが直列接続されるように構成した。
第15の発明によれば、複数のセルユニットを備える電池パックと、電池パックが接続される第1の電気機器本体と、電池パックが接続され第1の電気機器本体よりも定格電圧の大きな第2の電気機器本体と、を有する電気機器システムであって、第1の電気機器本体は、並列用正極端子と並列用負極端子とを備え、第2の電気機器本体は、直列用正極端子と直列用負極端子と直列用端子とを備える。電池パックは、並列用正極端子、並列用負極端子、直列用正極端子、直列用負極端子、及び直列用端子のそれぞれと接続可能な並列用端子組、直列用端子組、及び直列接続端子を備え、電池パックが第1の電気機器本体に接続されると、並列用正極端子及び並列用負極端子が並列用端子組に接続される。また、電池パックが第2の電気機器本体に接続されると、直列用正極端子及び直列用負極端子が直列用端子組に接続されると共に、直列用端子が直列接続端子に接続されるように構成した。
第16の発明によれば、前記第1の電気機器本体は、前記正極端子群に接続される第1の機器側正極端子と、前記負極端子群に接続される第1の機器側負極端子とを有し、前記電池パックと前記第1の電気機器本体が接続されると、前記複数のセルユニットが互いに並列に接続される。また、前記第2の電気機器本体は、前記直列端子群に接続される機器側直列端子と、前記正極端子に接続される第2の機器側正極端子と、前記負極端子に接続される第2の機器側負極端子とを有し、前記電池パックと前記第2の電気機器本体が接続されると、前記複数のセルユニットが互いに直列に接続される。
第17の発明によれば、複数のセルを収容するハウジングを有し、セルが複数本ずつ直列接続されて複数のセルユニットが構成され、複数のセルユニットを並列に接続して第1の電圧を出力するか、あるいは複数のセルユニットを直列に接続して第2の電圧を出力するかを切替え可能とした電池パックであって、低電圧用の正極端子及び負極端子を有する低電圧用端子組と、高電圧用の正極端子及び負極端子を有する高電圧用端子組と、をそれぞれ独立して設け、低電圧用の端子組の占める領域は高電圧用の端子組の占める範囲に含まれるように配置され、接続する電気機器本体の端子の装着に応じて電圧切替機構が動作して電圧を切り替えるようにした。電圧切替機構は、電気機器本体に接続されたときに、装着された端子組の位置に応じてセルユニット間の配線用の接点位置が移動することにより、複数のセルユニットを並列に接続するか直列に接続するかを切り替える。また、電圧切替機構は電池パックの電気機器本体への装着方向と交差する方向に移動可能な複数の可動部材を備え、可動部材は低電圧用端子組又は高電圧用端子組の一方に接続される電気機器本体の電源端子が接触することにより交差する方向に移動し、可動部材が移動してセルユニット間の接続を切り替える。さらに、電圧切替機構は付勢手段を有し、電気機器本体の電源端子が可動部材に接触していないときに可動部材を低電圧側の接続位置に移動させるようにした。
第18の発明によれば、第1又は第2の電圧を切替え可能とした電池パックであって、電池パックが電気機器本体に接続されたときに、電気機器本体の端子の位置に応じてセルユニット間の接点位置が移動することにより、複数のセルユニットを並列に接続するか直列に接続するかを切り替えるように構成した。そのため、第1の電圧を出力する第1電源端子と、第2の電圧を出力する第2電源端子を有し、電圧切替機構は、第1電源端子または第2電源端子と接続される電気機器本体の機器側電源端子の位置に応じて移動する可動部材を備え、可動部材の移動により複数のセルユニットの接続を切り替える。電圧切替機構は、電池パックの電気機器本体への装着方向と交差する方向に移動可能な複数の可動部材を備え、複数の可動部材は、電気機器側の電源端子が接触することにより交差する方向に移動し、可動部材が移動して複数のセルユニットの接続を切り替える。さらに、電圧切替機構は付勢手段を有し、電気機器側の電源端子が可動部材に接触していないときに可動部材を低電圧側の接続位置に戻すようにした。
第19の発明によれば、セルユニットを並列に接続して第1の電圧を出力するか、あるいは複数のセルユニットを直列に接続して第2の電圧を出力するかを切替え可能とした電池パックであって、セルユニット間の接続を直列又は並列に切り替えるための移動式の切替スイッチ手段を設け、切替スイッチ手段は電池パックの電気機器本体への装着方向と交差する方向に移動する可動部材を有し、可動部材は、第1又は第2の電圧用の電気機器本体の端子の挿入によって移動されることにより電池パックの出力電圧を切り替えるようにした。可動部材は、装着方向と交差する方向に互いに接近又は離合するように移動する2つの部材により構成され、可動部材は、電気機器本体の端子の挿入によって2つの部材を接近させるための傾斜面を有する。また、複数のセルを収容するハウジングを備え、セルが複数本ずつ直列接続されて複数のセルユニットが構成され、セルユニットを並列に接続して第1の電圧を出力するか、あるいは複数のセルユニットを直列に接続して第2の電圧を出力するかを切り替え可能とした電池パックであって、接続される電気機器本体の電源端子の位置に応じて移動する移動端子を有し、移動端子が移動することによってセルユニット間の接続形態を切り替えるように構成した。
本発明によれば、電気機器本体に装着できる電池パックであって、出力電圧を切り替え可能とした電池パック及びそれを備えた電気機器を提供することができる。また本発明によれば、出力する電圧を容易に切り替えることができる電池パック及びそれを備えた電気機器を提供することができる。また本発明によれば、電池パックの出力する電圧が電気機器本体の定格電圧とは異なる電圧に設定された状態で電池パックが電気機器本体に装着されることを防止できる電池パック及びそれを備えた電気機器を提供することができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。本明細書においては、電気機器の一例として電池パックにて動作する電動工具を例示して説明するものとし、電動工具の本体側の前後左右の方向は図2に示す方向とし、電池パックの単体で見た際の前後左右、上下の方向は、電池パックの装着方向を基準として図3に示す方向であるとして説明する。尚、電池パックの装着方向は、説明の都合上、電動工具本体側を動かさずに電池パック側を移動させる状況を基準とした方向として説明する。
図1は本実施例に係る電池パックの電動工具への装着状況を説明するための図である。電気機器の一形態である電動工具は、電池パックを有し、ビット等の先端工具によりボルトやナット、ねじ等を締結する工具であって、いわゆるインパクト工具と呼ばれるものである。電動工具本体1の先端には、軸方向と垂直な断面形状が六角形の装着孔を有する出力軸を有し、出力軸の外周側に前後方向に可動に保持されるスリーブを用いてワンタッチでドライバビット等の先端工具9を装着孔に取り付け又は取り外し可能な先端工具保持部8が形成される。電動工具本体30は、図示しないソケットレンチ等の先端工具に回転力や軸方向の打撃力を加えることにより図示しないボルトやナット等の締め付け作業を行う工具である。これらの電動工具本体1、30は、外形を形成する外枠たるハウジング2、32を備え、ハウジング2,32にはハンドル部3、33が形成される。作業者が片手で、又は片手で把持して他方の手を添えながら電動工具本体1、30を保持して作業を行う。電動工具本体1、30は電池パック15又は100から供給される直流を電源として、ハウジング2、32の内部に収容された図示しないモータを駆動する。ハンドル部3、33の一部であって作業者が把持した際に人差し指があたる付近には、トリガ状の動作スイッチ4、34が設けられ、ハンドル部3、33の下方には電池パック15、100を装着するための電池パック装着部10、40が形成される。
電動工具本体1は定格電圧36Vの従来技術による電池パック15を用いる電気機器であって、負荷装置としてモータを駆動する。従って、矢印aの組み合わせのように、電池パック15を36V対応の電気機器(電動工具本体1)の電池パック装着部10に装着できる。一方、電動工具本体30は、定格電圧108Vという商用電圧並の高電圧を必要とし、矢印b1に示すように108Vの出力が可能な電池パック100を電池パック装着部40に装着する。高電圧を出力可能な電池パック100の内部には、定格3.6Vのリチウムイオン電池のセルが30本収容される。以上のように、電動工具本体1、30においては定格電圧に応じた専用の電池パック15、100を装着するのが通常であるが、本実施例では電池パック100を複数電圧対応に構成し、低電圧での出力も可能とすることにより、矢印b2で示すように電池パック100を36V対応の電動工具本体1にも装着できるようにした。電池パック100を矢印b1、b2のように異なる電圧の電動工具本体1、30に装着できるようにするためには、電池パック装着部10、40の形状をほぼ同じ形状にすることと、電池パック100の電圧を切り替え可能にすることが重要である。また、電池パック100の設定された電圧が、装着される電気機器や電動工具の電圧と対応しない場合には、電池パック100を装着できないように、又は装着できても動作しないように構成することが重要である。尚、図1の例では電気機器本体の例として電動工具本体1、30を示したが、電池パックの電力にて動作する負荷装置として、電気エネルギーを運動エネルギー、熱エネルギー、磁気エネルギー、又は、光エネルギーに変換するような任意の電気機器が考えられる。
図2は電動工具本体1の電池パック装着部10の形状を示す斜視図である。ここで示す電動工具本体1はインパクトドライバであって、ハウジング2の胴体部分から下方に延びるハンドル部が設けられ、ハンドル部の下側に電池パック装着部10が形成される。ハンドル部にはトリガスイッチ4が設けられる。ハウジング2の前方側には出力軸たるアンビル(図示せず)が設けられ、アンビルの先端には先端工具9を装着するための先端工具保持部8が設けられる。ここでは先端工具9としてプラスのドライバビットが装着されている。電動工具だけに限られずに、電池パックを用いた電気機器全般では、装着される電池パックの形状に対応させた電池パック装着部10が形成され、電池パック装着部10に適合しない電池パックを装着できないように構成する。電池パック装着部10には、左右両側の内壁部分に前後方向に平行に延びるレール溝11a、11bが形成され、それらの間にターミナル部20が設けられる。ターミナル部20は、合成樹脂等の不導体材料の一体成形により製造され、そこに金属製の複数の端子、例えば正極入力端子21、負極入力端子22、LD端子(異常信号端子)23が鋳込まれる。ターミナル部20は、装着方向(前後方向)の突き当て面となる垂直面20aと、水平面20bが形成され、水平面20bは電池パック100の装着時に、上段面115(図7にて後述)と隣接、対向する面となる。水平面20bの前方側には、電池パック100の***部132(図7にて後述)と当接する湾曲部12が形成され、湾曲部12の左右中央付近には突起部24が形成される。突起部24は左右方向に2分割で形成される電動工具本体1のハウジングのネジ止め用のボスを兼ねると共に、電池パック100の装着方向への相対移動を制限するストッパの役目も果たす。突起部24の左右方向の幅S1は、電池パック100側に形成されるストッパ部131(図7で後述)に対応する幅とされる。
図3は108V対応の別の電動工具本体30Aを示す図であって、(1)は電源コード90から給電される状態での側面図であり、(2)は電池パック装着部40の底面図であり、(3)は電源コード90とコネクタ部93の形状を示す図である。電動工具本体30Aは、使用されるモータが交流100Vと同等仕様のブラシレスモータ、例えば、インバータ回路(図4にて後述)によって駆動されるブラシレスDCモータである。従って、インバータ回路に電池パック100から出力される直流108Vが入力されるか、又は、交流100V(60Hz)のような商用電源(交流電源装置)を、後述する整流回路によって整流させた後にインバータ回路に入力する。このように電池パック100の出力電圧を商用電圧と同程度まで高めることによって、電池パックでも商用電圧でも動作するAC/DC兼用の高出力の電動工具本体30Aを実現できる。電動工具本体30Aに装着される電源コード90は、接続コード94の一方側に2つの端子92a、92bを保持し、商用電源のコンセントに装着されるためのプラグ部91を有し、他方側に電動工具本体30Aに接続されるコネクタ部93が形成される。本実施例では、コネクタ部93を接続する箇所を、電池パック100を取り外した後の電池パック装着部40内に配置した。つまり、電源コード90を電動工具本体30Aに接続する場合は、電池パック100を電動工具本体30Aから取り外す必要があり、逆に、電池パック100を電動工具本体30Aに装着する場合には電源コード90を取り外す必要がある。
図3(2)は電動工具本体30Aの電池パック装着部40を下から見た図であり、(1)のA方向からの矢視図である。この図は電池パック100及び電源コード90のいずれもが取り外された状態を示している。電池パック装着部40には、後方側から前方側(図中右から左)にかけて電池パック100をスライドさせるようにして、電池パック100が装着される。そのため取付面40aには、装着方向上流側に開口部分が形成され、側方側に2本のレール溝(機器側レール)48a、48bが形成される。また、開口部分よりも上流側(後方側部分)には上方向に窪むように形成された窪み部40bが形成される。取付面40aのレール溝48a、48bに挟まれた部分のほぼ中央付近には、電池パック100の正極端子や負極端子と接続されるターミナル部41が設けられる。本実施例では、ターミナル部41よりもやや後方部分にACソケット49を設けた。ACソケット49には、周方向においてピン状の第1機器側端子49a、第2機器側端子49b、第3機器側端子49cが形成される。
図3(3)は電源コード90のコネクタ部93の形状を示す図であり、左側がコネクタ部93を長手方向外側から見た図であって、右側がコネクタ部93を含む電源コード90の全体形状を示す側面図である。コネクタ本体93aの外周面には雄ねじが形成され、その雄ねじの外周側に円筒状の固定用ネジ93bが相対回転可能であって軸方向の移動量を制限された状態で保持される。コネクタ部93の外形は円形であって、内周部分において3つの雌型の端子、第1コード側端子95a、第2コード側端子95b、第3コード側端子95cが周方向に並んで配置される。ここでは、商用電源供給のためには第1コード側端子95aと第2コード側端子95bの2つだけを結線すれば良く、第3コード側端子95cに接続される第3機器側端子49cは、電動工具本体30A内で非配線状態としても良いし、アース線として利用するようにしても良い。固定用ネジ93bは電源コード90が電動工具本体30Aから抜け落ちないように保持するもので、固定用ネジ93bの内周側の雌ねじ部が、ACソケット49の外周面に形成された雄ねじ部49dと螺合する。このように、コネクタ本体93aをACソケット49に挿入した後に、固定用ネジ93bを締めてACソケット49側の雄ねじと螺合させることによって電源コード90が電動工具本体30Aから抜け落ちないように固定できる。尚、図3では電気機器本体の一例として電動工具本体30Aで説明したが、電池パック装着部40を有して電池パック1、30を装着することができる任意の電気機器本体であれば、電池パックが電池パック装着部40に装着された場合に外部に露出しない箇所に、電源コード90を接続する構成にすることが可能である。また、図3においては、電源コード90が、本発明の交流電源装置に相当するが、電源コード90と電動工具本体30Aへの固定方法は、ネジ式にしなくても、端子部の嵌合圧力にて保持されるような電源コードとしても良いし、その他の公知の固定又は保持方法を用いた電源コードとしても良い。
次に、モータ35の駆動制御系の構成と作用を図4に基づいて説明する。図4はモータ35の駆動制御系の構成を示すブロック図である。本実施例の電動工具では、電池パック100から供給される直流を、インバータ回路70を用いて励磁電流を生成し、モータ35の所定のコイルに励磁電流を切り替えながら流すことによりブラシレス方式のモータ35を回転させる。電池パック100からの入力は、電池パック100の正極端子161に接続される正極入力端子81と、電池パック100の負極端子162に接続される負極入力端子82を介して入力される。モータ35は、例えばインナーロータ型とすることができ、複数組(本実施例では2組)のN極とS極を含む永久磁石(マグネット)を含んで構成される回転子(ロータ)35aと、スター結線された3相の固定子巻線U、V、Wから成る固定子35bと、回転子35aの回転位置を検出するために周方向に所定の間隔毎、例えば角度60°毎に配置された3つの回転位置検出素子(ホール素子)65を有する。これらの出力は回転位置検出回路53によりパルス列に変換され、演算部51に出力される。回転数検出回路54は回転位置検出回路53の出力を用いてモータ35の回転数を検出して演算部51に出力する。演算部51では、これらの出力を用いて固定子巻線U、V、Wへの通電方向と時間を決定する。
制御信号出力回路52は、印加電圧設定回路58と回転位置検出回路53の出力信号に基づいて演算部51の指示により所定のスイッチング素子Q1〜Q6をスイッチングするための駆動信号を形成し、その駆動信号をインバータ回路70に出力する。インバータ回路70は、3相ブリッジ形式に接続されたIGBT等の6個のスイッチング素子Q1〜Q6を含む。スイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートは制御信号出力回路52に接続され、各エミッタまたは各コレクタはスター結線された固定子巻線U、V、Wに接続される。これによって、6個のスイッチング素子Q1〜Q6は、制御信号出力回路52から入力されたスイッチング素子駆動信号(H1〜H6等の駆動信号)によってスイッチング動作を行い、インバータ回路70に印加される電池パック100の直流電圧を3相(U相、V相及びW相)電圧Vu、Vv、Vwとして固定子巻線U、V、Wに印加する。
演算部51は、動作スイッチ56を操作するためのトリガ34A(又は図1の動作スイッチ4、34)の操作の有無をスイッチ操作検出回路57により設定し、操作量(ストローク)の大きさによって変化する印加電圧設定回路58からの信号に基づいてPWM信号のパルス幅(デューティ比)を変化させ、制御信号出力回路52を介して6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートを駆動する。この駆動制御によって、モータ35への電力供給量を調整し、モータ35の起動/停止と回転速度を制御する。ここでPWM信号は、インバータ回路70の正電源側スイッチング素子Q1〜Q3または負電源側スイッチング素子Q4〜Q6の何れか一方に供給され、スイッチング素子Q1〜Q3またはスイッチング素子Q4〜Q6を高速スイッチングさせることによって電池パック100の直流電圧から各固定子巻線U、V、Wに供給する電力量を制御する。
演算部51は、図示していないが、処理プログラムとデータに基づいて駆動信号を出力するためのマイクロコンピュータを含んで構成される。演算部51には、処理プログラムや制御データを記憶するためのROM、データを一時記憶するためのRAM、タイマ等を含んで構成される。コンデンサ61の両端電圧は、入力電源の電圧として電圧検出回路59にて検出され演算部51に出力される。
電動工具本体30Aの電源は、電池パック100だけでなく電源コード90を用いた供給も可能であり、電動工具本体30Aに設けられたAC入力用のACソケット49の第1機器側端子49aと第2機器側端子49bがダイオードブリッジ60の入力側に接続される。ダイオードブリッジ60は、4つの整流用のダイオードを用いて全波整流を行うことで電流をどちらか一方にのみ流れるようにする整流回路であり、交流電圧を直流電圧に変換する。ダイオードブリッジ60の出力はインバータ回路70に接続される。ダイオードブリッジ60の出力は脈流であるので、ダイオードブリッジ60とインバータ回路70の間に、平滑回路を介在させても良い。インバータ回路70に流れる電流の大きさは、シャント抵抗62を用いて電流検出回路55によって測定され、その値が演算部51にフィードバックされることにより、設定された駆動電力がモータ35に印加されるように調整される。
図5は電動工具本体への電源コード90の接続状況を説明するための図であって、(1)は電動工具本体30Aでの接続例であり、(2)及び(3)はその変形例に係る電動工具本体30B、30Cへの接続例を示す図である。電動工具本体30B、30Cは電源コード90の接続位置や接続方法が異なるだけで、電源コード90の接続に関係しないその他の構成は図3にて示した電動工具本体30Aの構成と同じである。従って、電動工具本体30A〜30Cのいずれにも図1で示した電圧切替式の電池パック100を装着することが可能である。また、ここでは図示していないが電圧固定式の108V電池パックや、後述の実施例2、3にて説明する電池パック200、300を電動工具本体30A〜30Cに取り付けることも可能である。尚、電池パック200、300を装着できるために、電池パック装着部40の形状を装着する電池パックに対応させて形成する必要があることは言うまでもない。
図5(1)に示す本実施例の形態では、電池パック装着部40にACソケット49(図3参照)が設けられるため、電池パック100を装着した際には電源コード90を取り付けることができない。また、電源コード90を装着する際には電池パック100を必ず取り外す必要がある。このように電池パック100の装着時にはアクセスできない位置に、電源コード90用のACソケット49を設けたので、電池パック100からの電源供給と電源コード90からの電源供給を誤ること無く確実に区別していずれか一方を選択できる。また、電動工具本体30に定格入力電圧が100V以上のブラシレスモータを搭載しているので、商用交流電源にて駆動させることも、電池パック100で駆動させることも可能であり、AC/DC共用の電動工具を実現できた。
電源コード90は、作業者が電動工具本体30Aのハンドル部33を片手で把持した状態で作業できる程度に十分な長さとすれば良いが、電源コード90の長さが届かないような場所での一時的な作業では、電源コード90を取り外して電池パック100を装着すれば、電動工具本体30Aの出力低下を気にせずに同等に作業を行うことができる。また、図5(1)に示す形態での電動工具本体30Aへの電源コード90の接続の仕方は、AC電源での作業時に電池パック100を必ず取り外すために電動工具本体30Aの重量が軽くなるという利点がある。さらに、電源コード90から電池パック100を用いた運転に切り替える際には、電源コード90を取り外さない限り電池パック100を装着できないために、電源コード90の取り外し忘れを確実に防止できる。また、電池パック100を装着した際にはACソケット49が外部に露出しないために、ACソケット49が粉塵や水等に曝される虞を大幅に低下でき、ACソケット49を覆うカバーの設置も省略できる。
図5(2)は、同図(1)の電動工具本体30Aの変形例に係る電動工具本体30Bであって、ここでは、ACソケット49Aの位置を、電動工具本体30Bのハウジングの下面であって、電池パック100よりも前方側に形成した点にある。符号49Aの下の枠内には、ACソケット49Aの底面図を示している。ここで理解できるようにACソケット49Aの形状は図3(2)で示したACソケット49と完全に同一であり、商用電源供給のために結線される第1機器側端子49aと第2機器側端子49bに加えて、第3機器側端子49cが設けられる。第3機器側端子49cを電動工具本体30B内で配線するか非配線状態とするかは任意である。このように配置すれば、電池パック100を装着したままで電源コード90を接続することが可能となる。電源コード90を取り外した際に、ACソケット49Aが外部に露出されることを防ぐために、ACソケット49Aの開口を塞ぐような何らかのキャップやカバーを設けても良い。本実施例では、電池パック100の出力電圧が直流接続時で108Vであって、商用交流電力が交流100V〜120Vであるので、両方の入力を任意に用いて電動工具本体30Bを駆動させることができる。但し、両方の電源の利用が可能な場合は、電源コード90から供給される商用交流電力を用いる方が、電池パック100の放電を防止できるので好ましい。そこで、図5(2)による電動工具本体30Bでは、電池パック100と商用交流電力が双方利用可能である場合に、商用交流電力側を使用するような入力自動切替手段を設けた。図5(1)、(2)においては、電源コード90が、本発明の交流電源装置に相当する。
図6(1)は、図5(2)で示す電動工具本体30Bの駆動制御系の回路ブロック図である。基本的には図4で示した回路と同様であるが、電池パック100からの正極側入力線の途中に、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の半導体のスイッチング素子66を介在させている。スイッチング素子66のゲート信号は、演算部51からの制御信号線66aに接続され、演算部51によってスイッチング素子66のソース・ドレイン端子間を接続又は遮断を制御する。また、電池パック100の電圧を監視する電池電圧検出回路67と、AC電圧の有無(又は電圧)を監視する商用電源検出回路68を設けて、それぞれの出力を演算部51に入力する。演算部51は商用電源99が利用可能な状態にあるときには、スイッチング素子66のゲート信号をオフにすることにより電池パック100からの入力回路を遮断する。一方、商用電源99が利用不能な状態になったら演算部51はスイッチング素子66のゲート信号をオンにすることにより電池パック100からの入力回路を接続状態とする。
このような回路構成とすることにより電動工具本体30Bにおいて、電池パック100が接続されると直流108V(定格)が供給され、その状態で電源コード90によりACコンセントに接続されると自動的にAC電源が供給されるようになり、電源コード90が取り外されると自動的に電池パック100による駆動に切り替わるので、使い勝手の良い電動工具本体30Bを実現できた。また、電池パック100の着脱と電源コード90の接続状態、特に一方を接続した際の他方の取り外し忘れを気にする必要が無いので、電池パック100の装着と取り外しの扱いも容易になる。尚、図6の例では入力電圧の自動切り替え手段をスイッチング素子66を用い、演算部51が制御するように構成したが、他の方法で実現しても良い。例えば、ダイオードブリッジ60の出力電圧によって作動するリレー手段を用いて、ダイオードブリッジ60の出力がある場合にはダイオードブリッジ60の出力がインバータ回路70に接続されるようにし、電池パック100とインバータ回路70との接続を遮断する。一方、電源コード90のプラグ部91(図5参照)をコンセントから抜いた場合にはインバータ回路70からの出力電圧がゼロになるので、リレー手段の切替動作によってダイオードブリッジ60とインバータ回路70との接続を遮断して、電池パック100の出力がインバータ回路70に接続されるように構成すれば良い。使用中の電動工具30Bが、どちらの電力で稼働しているかを示す識別手段、例えば商用交流電力による駆動中にはLEDが表示するように構成しても良い。
再び図5に戻る。図5(3)は本実施例の別の変形例に係る電動工具本体30Cである。電動工具本体30Cは、直流108Vの電池パック100による駆動と電源コード90を介したAC電源による駆動が可能である点は同図(1)、(2)と同じであるが、電源コード90を接続アダプタ75を介して接続するようにした。ここでは、接続アダプタ75は電源コード90からの2本の出力線を、電池パック100用の正極入力端子81と負極入力端子82に接続させるための、いわゆるダミーケースである。接続アダプタ75の外観形状、特に上側半分の形状(上ケース)は電池パック100と互換性があるように構成されるが、その内部には電池セルは収容されない。接続アダプタ75の下ケースの形状は任意であるが、上ケースと下ケースによる接続アダプタ75のケース形状を、電池パック100と同一にしても良い。また、電動工具本体30A〜30C内に、ダイオードブリッジ60を用いた整流回路が含まれているので、接続アダプタ75内に整流回路を含める必要は無い。尚、電動工具本体30A〜30Cに含まれる電気回路の動作を助けるための補助電気回路を接続アダプタ75内に配置することを排除するものではない。接続アダプタ75には、上段面の左右両側に図示しないレール(アダプタ側レール)が形成され、アダプタ側レールが電気機器本体30B側に形成されたレール溝(形状は図3(2)にて示すレール溝48a、48bと同じ)と係合する。接続アダプタ75には電池パック100と同じラッチ機構が設けられ、その操作用のラッチボタン78が設けられる。左右両側に配置されるレールに囲まれる領域には、複数のスロット(図では見えない)が形成され、そのうちの2つのスロットからアクセス可能な部分に正極端子と負極端子の2つだけが形成される(図6(2)で後述)。接続アダプタ75のケースの下面には、図3(2)で示したACソケット49と同じ形状のACソケット79が設けられる。図5(3)の符号79の下の枠内には、接続アダプタ75の下面に設けられたACソケット79の底面図を示している。ここで理解できるようにACソケット79の形状は図3(2)で示したACソケット49と完全に同一であり、商用電源供給のために結線される第1アダプタ側端子79aと第2アダプタ側端子79bに加えて、第3アダプタ側端子79cが設けられる。第3アダプタ側端子79cを接続アダプタ75内で配線して、電動工具本体側への何らかの端子と結線するか、又は、非配線状態とするかは任意である。ここでは、ACソケット79の第1アダプタ側端子79aが、接続アダプタ75内に配線される電力線76aによりアダプタ側正極端子77aを介して、電動工具30側の正極入力端子81(図4参照)に接続される。同様に、第2アダプタ側端子79bが、接続アダプタ75内に配線される電力線76bによりアダプタ側負極端子77bを介して、電動工具30側の負極入力端子82(図4参照)に接続される。図5(3)においては、電源コード90及び接続アダプタ75が、本発明の交流電源装置に相当する。尚、接続アダプタ75の下面において、ACソケット79とコネクタ部93を用いて電源コード90を着脱可能に構成したが、接続アダプタ75と接続コード44を直結して、接続アダプタ75のケースから直接接続コード44が伸びるように構成しても良い。また、電源コード90を取り外した際に、ACソケット79が外部に露出されることを防ぐために、ACソケット79の開口を塞ぐような何らかのキャップやカバーを設けても良い。
電動工具本体30Cの回路図は、図4に示したブロック図において電池パック100の入力経路を変更して、電池パック100の使用時にもダイオードブリッジ60を介してインバータ回路70に接続されるようにした。図6(2)は図5(3)で示す電動工具本体30Cの駆動制御系の回路ブロック図である。基本的には図4で示した回路と同様であるが、ダイオードブリッジ60の入力端子81、82に電池パック100の正極端子161と負極端子162が装着されるように配線した。電池パック100は直流108Vであるので、ダイオードブリッジ60を介してインバータ回路70に接続しても問題はない。また、接続アダプタ75を装着して、接続アダプタ75に形成されたアダプタ側正極端子(第1端子)77aを正極入力端子81に接続し、アダプタ側負極端子(第2端子)77bを負極入力端子82装着しても、ダイオードブリッジ60によって交流電流が整流されるので、インバータ回路70を同様に作動させてモータ35を駆動できる。接続アダプタ75の内部には電池セルは含まれないため、アダプタ側正極端子77aとアダプタ側負極端子77b以外のその他の信号伝達用の接続端子を設けなくても良い。但し、接続アダプタ75が接続されている旨を電動工具本体30C側に識別させるために、いずれかの接続端子を活用しても良い。本実施例では、直流108Vの直流入力とインバータ回路70を介してブラシレスDCモータを駆動するようにしたが、使用するモータの種類はブラシレスモータだけに限られずに、AC100〜120V程度で駆動される別のモータ、例えば交流整流子モータであっても良い。この構成により、交流整流子モータを用いた電動工具を電池パック100にて駆動することも可能となり、AC/DC共用の電動工具を容易に実現できる。
次に図7〜図9を用いて出力電圧を36Vと108Vに切替可能とした電池パック100について説明する。図7は電池パック100の外観形状を示す斜視図である。電池パック100の筐体は、上下方向に分割される下ケース101と上ケース110により形成され、下ケース101と上ケース110は図示しない4本のネジによって固定される。上ケース110は、電池パック装着部40に取り付けるために2本のレール138a、138bが形成された装着部が形成される。電池パック側のレール138a、138bは、電池パック100の装着方向と平行な方向であって、上ケース110の左右側面に平行するように形成される。レール138a、138bは、電動工具本体30の電池パック装着部40に形成されたレール溝48a、48b(図3(2)参照)と対応して形成され、レール138a、138bがレール溝48a、48bと嵌合した状態で、ラッチ機構が動作することにより電池パック100が電動工具本体30に固定される。上ケース110の前方側は平らな下段面111が形成され、中央付近は下段面111よりも高く形成された上段面115が形成される。下段面111と上段面115の接続部は段差状に形成された段差部112となり、段差部112から上段面115の前方側領域がスロット群配置領域120(図7(2)参照)になる。スロット群配置領域120には、前方の段差部112から後方側に延びる複数のスロット(121〜124)が形成される。ここでは、左側のレール138bに近い側に正極端子挿入口121が配置され、右側のレール138aに近い側に負極端子挿入口122が形成される。正極端子挿入口121と負極端子挿入口122に挟まれる部分には、低電圧切替部材挿入口123と高電圧切替部材挿入口124が形成される。正極端子挿入口121と負極端子挿入口122の内部には、図では見えない金属製の正極端子と負極端子が配置される。また、低電圧切替部材挿入口123と高電圧切替部材挿入口124の位置に重複する部分(上ケース110の内部空間)には、後述する電圧切替手段が配置される。尚、図7ではスロット群配置領域120には4つのスロット(121〜124)だけを有するように図示して、4つ以外のスロットを図示していないが、その他の接続端子を収容するためのスロットを形成しても良い。また、上述したようにスロット群配置領域120が位置する上ケース110の内部空間には端子や電圧切替手段(例えば切替端子)が配置されるため、スロット群配置領域120は端子配置領域となる。
上段面115の後方側には、***するように形成された***部132が形成される。***部132はその外形が上段面115より上側に***しており、その中央付近に窪み状のストッパ部131が形成される。ストッパ部131は、電池パック100を、電池パック装着部10の突起部24(図2参照)に装着した際の収容及び突き当て面となるもので、電動工具本体1側の突起部24がストッパ部131に当接するまで挿入されると、電動工具本体1に配設された複数の端子21〜23(図2参照)と電池パック100に配設された端子群が接触して導通状態となる。ストッパ部131の内側には、電池パック100の内部とつながる冷却風取入口たるスリット134が設けられる。また、電池パック100のラッチ141の係止部がばねの作用によりレール138a、138bの下部で垂直方向外側に飛び出して、電動工具本体30のレール溝48a、48bに形成された図示しない凹部と係合することにより、電池パック100の脱落が防止される。この電池パック100が電動工具本体1に装着された状態では、スリット134が外部から視認できないように覆われる。スリット134は、電池パック100を図示せぬ充電器に連結して充電を行う際に、電池パック100の内部に冷却用の空気を強制的に流すために用いられる風窓であって、電動工具本体30に装着されている際には冷却風取入口たるスリット134が閉鎖状態とされる。
図7(1)において、36Vで駆動される電動工具本体1側のターミナル部20Aは、金属製の正極入力端子21と負極入力端子22が合成樹脂製の端子取付部にて固定されたものである。ここではさらに電池パック100の出力を低電圧側に切り替えるための切替用突起24Aが形成される。切替用突起24Aはターミナル部20Aの基台部分と一体に形成された切替要素であって合成樹脂製とする。切替用突起24A自体は、回動式ターミナル基台171(図9参照)を移動させるだけのものであり、電力または信号を伝達させる端子としては用いないため、導電材料で作る必要は無くターミナル部の基台部分と同様の絶縁材料で一体に形成しても良い。
図7(2)は108Vにて駆動される電動工具本体30側のターミナル部80に装着される状態を示している。ターミナル部80は、金属製の正極入力端子81と負極入力端子82が合成樹脂製の基台部分にて固定されたものである。ここではさらに電池パック100の出力を高電圧側に切り替えるための切替用突起84が形成される。切替用突起84はターミナル部80の基台部分と一体に形成された部材であって合成樹脂製とする。本実施例によれば、電池パック100の外観形状は、36V出力でも108V出力でも同じである。作業者は電池パック100の出力電圧の設定を何ら気にすること無く、36V用の電気機器本体又は108V用の電気機器本体に単に装着するだけで、切替用突起24A又は切替用突起84によって装着された電気機器本体に最適な出力電圧が選択される(切り替えられる)。
図8は、電池パック100の内部に収容されるものであって、複数のセル151をスタックさせて1つのパックにまとめたセルパック150の外観を示す斜視図である。同図(1)は斜視図であり、(2)はセル151の軸線方向から見た側面図である。ここでは14500サイズと呼ばれる、直径14mm、長さ50mmの複数回充放電可能な二次電池によるセル151を合計30本スタックした。セル151は、10本ずつを1つのユニットとし、3つのセルユニット156〜158を形成した。各セルユニット156〜158内においては、各セル151の軸線A1がそれぞれ平行になるように積み重ねられ、隣接するセル151の向きが交互に逆になるように配置して、隣接するセル151の正極端子と負極端子を金属の薄板159により接続して10本の直列接続とする。スタックされたセル151の最外側の円筒部分は、絶縁体となる合成樹脂製のセパレータ152によって覆われることにより、セル151がセパレータ152に対して動かないように保持される。セル151としてリチウムイオン電池(1本の定格出力3.6V)を用いる場合は、各セルユニット156〜158からは、定格36Vの出力が得られるので、セルユニット156〜158の+出力(プラス出力、正極端子)と−出力(マイナス出力、負極端子)を並列に接続した状態で電池パック100からの出力を取り出すことによって36Vの大容量の電源として利用できる。一方、セルユニット156〜158の+出力と−出力を直列に接続した状態とすると、108Vの高電圧の電源として利用できる。
14500サイズのセル151を30本スタックすると、軸方向の長さが50mm、軸方向と直交する幅方向が124.8mm、軸方向と直交する高さ方向が57.3mmとなる。また、セル151の単体重量は約23gであるので、セル151の合計重量が690gになる。体積的には、セル151が占める部分の体積が230,907mm3であり、セパレータ152の占める体積が67,392mm3であり、合計体積が298,299mm3となった。従って、電池パック100の全体重量を800g又は2lb(ポンド)未満に収めることが可能となった。現在、電動工具の電池パックで広く用いられているリチウムイオン電池は、いわゆる18650サイズと呼ばれるものである。18650サイズとは、直径18mm、長さ65mmであって体積的には14500サイズの2倍をわずかに超える。重量的には、14500サイズのセルの2倍の46gである。直流108Vを得るために、仮に18650サイズのセルを30本スタックすると、セルの重量だけで1380gとなり、電池パック自体の重量が重くなってしまうため、作業者が片手で把持しながらの作業を可能とする電動工具においては実用性のない大きさと重さになってしまう。
発明者らの実験によると、作業者が片手で快適に作業を行うことができる上限は、電池パックを装着した後の電動工具の総重量で2kg又は5lb以内であることがわかった。従って、18650サイズのセル30本を用いて108Vの出力を得る場合には、片手で操作可能な携帯型の電動工具の実現が難しいことになる。本実施例では、14500サイズという、いわゆる単三乾電池と同じサイズのリチウムイオン電池をスタックすることにより携帯性を維持しながら高電圧の電動工具を実現することができた。本実施例の電池パック100では、AC電源と同等の出力電圧100V以上を確実に確保でき、しかもそのセルパック150のセル重量を0.69kgに抑えることできた。このリチウムイオン電池からは15Aほどの電流を得ることができるので、電池パックとしてのパワーウェイトレシオは100V×15A/0.69kg=2173W/kg以上、100V/0.69kg=144V/kg以上の値をクリアすることができた。尚、片手で携帯できるという携帯性よりも、重さを犠牲にしても電池容量を重視する場合は、18650サイズの電池セルを用いたり、またはその他のサイズの電池セルを用いた電池パックとして良い。
図9(1)は、電池パック100を定格36Vの電動工具本体又は電気機器本体に装着した際の状態を示す図である。電池パック100には、セルユニット156〜158の出力を並列接続とするか、又は、直列接続をするかを切り替えるための電圧切替機構170を含んで構成される。電池パック100の出力電圧を切り替える電圧切替要素である電圧切替機構170は、基板160上に固定された揺動軸172により軸支される回動式ターミナル基台171を含んで構成され、電池パック100の装着方向において電源用の接続端子が配置される端子配置領域に設けられる。回動式ターミナル基台171は、揺動軸172から2つの方向に延びる部材に、複数の角棒状の接続端子173a〜173dを設置することにより、接続端子173a〜173dの内周側に位置する複数の接点と、外周側に位置する接点を短絡又は開放させるための部材である。回動式ターミナル基台171は合成樹脂製であって、揺動軸172の一方側と他方側に金属製の接続端子173a〜173dを間隔を空けて2本ずつ鋳込んだものである。負極端子162に近い側には、接続端子173aと173bが基板160に対向する側一面を露出するように配置され、正極端子161に近い側には、接続端子173cと173dが基板160に対向する側一面を露出するように配置される。
基板160は、正極端子161と負極端子162を固定すると共に、これらの端子からセルユニット156〜158への電気的な接続経路を確立又は変更するために用いられる複数の電極(接点)176a〜176jを配置するために用いられる。基板160の上部であって回動式ターミナル基台171の回動領域と部分的に重複する領域には、複数の接点176a〜176jが設けられ、回動式ターミナル基台171の下面に露出する接続端子173a〜173dがこれら接点176a〜176jのいずれかと接触することにより、正極端子161から負極端子162へと至る電気的な接続経路を変更する。36V用の電動工具本体1においては、ターミナル部20Aに切替用突起24Aが形成される。切替用突起24Aは出力電圧を切り替える切替素子又は接続素子としての機能を果たし、正極入力端子が挿入される第1のスロット121と、負極入力端子が挿入される第2のスロット122との間にある第3のスロット123又は124に挿入される。電池パック100が電動工具本体に装着されると、切替用突起24Aが矢印25の位置で回動式ターミナル基台171を押すことにより、回動式ターミナル基台171が上面視で反時計回りに回転して図9(1)に示す第1の位置になる。この第1の位置では、接続端子173aは電極(接点)176dと176bを短絡し、接続端子173bは電極(接点)176eと176cを短絡することが理解できよう。同様にして、接続端子173cは接点176iと176gを短絡し、接続端子173dは接点176jと176hを短絡することが理解できよう。電圧切替要素たる電圧切替機構170は、正極端子161及び負極端子162が配置された位置と略同じ高さに収まるように配置される。このため、電池パック100の下段面111から上段面115に至る段差の位置関係を変更する必要が無い。
図9(2)は、(1)のように切替用突起24Aによって回動式ターミナル基台171が上面視で反時計回りに回転した位置、即ち第1の位置にある状態の接続を示している。セルユニット156の+側出力は正極端子161に直接接続される。セルユニット157の+側出力は接点176bに接続され、セルユニット158の+側出力は接点176gに接続される。セルユニット156の−側出力は、接点176eに接続され、セルユニット157の−側出力は接点176jに接続され、セルユニット158の−側出力は負極端子162に直接接続される。この状態では、接点176dと176b、接点176eと176c、接点176iと176g、接点176jと176hが接続状態となる。この結果、セルユニット156〜158が並列接続状態となり、正極端子161と負極端子162の間には、定格36Vの直流が出力される。尚、回動式ターミナル基台171が第1の位置にない場合に、電池パックを18V用の電気機器本体(第1の電気機器本体)に接続する際には、装着の途中で切替用突起24Aが回動式ターミナル基台171と係合して第1の位置へと移動させることになる。
図10(1)は、電池パック100を定格108Vの電動工具本体又は電気機器本体に装着した際の状態を示す図である。定格108Vの電動工具では、ターミナル部80に切替用突起84が形成され、36V機器のターミナル部20の切替用突起24Aの位置には突起は形成されていない。切替用突起84は出力電圧を切り替える切替素子又は接続素子としての機能を果たし、正極入力端子が挿入される第1のスロット121と、負極入力端子が挿入される第2のスロット122との間にある第3のスロット124に挿入される。この状態で電池パック100を電動工具本体又は電気機器本体に装着すると、正極入力端子81と正極端子161が接触し、負極入力端子82と負極端子162が接触するが、同時に切替用突起84が回動式ターミナル基台171の一方のアームに矢印84aのように接触することにより、回動式ターミナル基台171を上面視で時計回りに回転させて第2の位置に位置づける。この回転によって回動式ターミナル基台171の接続端子173a〜173dと、接点176a〜176jとの接続関係が切り替わる。切り替え後の接続状態を示すのが同図(2)である。ここでは、回動式ターミナル基台171の位置が図9(2)の第1の位置から図10(2)の第2の位置に切り替わることにより、接点176dと176a、接点176eと176b、接点176iと176f、接点176jと176gが接続状態となる。この結果、セルユニット156〜158が直列接続状態となり、正極端子161と負極端子162からは定格108Vの直流が出力されることになる。尚、揺動部材たる回動式ターミナル基台171の揺動軸172にクリック機構又はラッチ機構を設けて、切替用突起24A又は切替用突起84によって揺動部材に所定以上の回転トルクを加えないと揺動しないように構成すると良い。また、接点176aと176fはどこにも結線されていない電極であるので、これらを無くして接点176bと176c、接点176gと176hの電極間隔を大きくすることで、切り替え時に隣接する電極間の短絡のリスクを低減させても良い。
本実施例によれば、コードレス電動工具においても、商用電源駆動の電動工具と同等の高い電圧を電池パック100から得ることができ、高出力の携帯型の電動工具や電気機器を実現できる。また、電圧を上げるためにセルの本数を増やしたものであっても、18650サイズのセルでは無くて14500サイズのリチウムセルを30本使用したので、高出力でありながら小型軽量であり、パワーウェイトレシオを大きくすることができる。さらに、本実施例の電池パック100は、電池パック100の内部に並列接続と直列接続を切り替える電圧切替要素(電圧切替機構170)を配置してセルユニット156〜158の接続を切り替えることで、36Vと108Vの出力切替を可能としたので、広く用いられている定格36Vの電動工具や電気機器を動作させることができる。また本実施例の電池パック100においては、電圧切替要素として機能する電圧切替機構170が、電源端子として機能する正極端子161及び負極端子162が配置された位置と略同じ高さの位置に配置されているから、電池パック100の上下方向のサイズをコンパクトに構成することができる。
次に図11〜図14を用いて本発明の第2の実施例を説明する。第2の実施例では、第1の実施例と同様に、出力電圧を低電圧側の36Vと高電圧側の108Vの2段階に切り替えることができる電池パック200を提供するものである。図11は電池パック200とそれに接続されるターミナル部の形状を示す斜視図であり、(1)は定格36Vの電気機器に接続される際の状態を示し、(2)は定格108Vの電気機器に接続される際の状態を示す。電池パック200の外観形状は、基本的には図1〜図8で示した第1の実施例の電池パック100の形状と一部(スロット群の配置領域付近の形状)を除いて同じである。
電池パック200は、下ケース201と上ケース210を接合することによって形成されるハウジング内に、図8に示したのと同様に14500サイズのリチウムイオン電池によるセル151が30本収容される。ハウジングが大きくなることが許容されるならば、セルとして18650サイズを用いても良いし、その他の形状やサイズのセルを用いても良い。電池パック200の上ケース210には電動工具本体1又は電動工具本体30側への装着のための取付機構が形成されるが、その構成や形状は図7で示した第1の実施例の電池パック100の形状とほとんど同じである。上ケース210には、電気機器側のターミナル部を案内するための下段面211と、その上側に配置される上段面215が形成され、下段面211と上段面215の境界となる段差部212において、複数の端子挿入口(スロット)が形成される。上段面215の左右両側縁部には、電気機器本体側溝レール溝と嵌合するレール部238a、238bが形成される。ここでは、左右方向に5つの端子挿入口が図示されているが、配置される端子挿入口の数は任意であり、さらに増やしても良い。上段面215の上側には***部240が形成され、***部240の左右両側にはラッチ部241が設けられる。ラッチ部241はラッチ爪241aに連動している。***部240内にはストッパ部や冷却風取入口たるスリットが形成されるが、その形状は図7で示した第1の実施例と同型状であるので、ここでの説明は省略する。
図11(1)は、36V定格の電気機器本体、電動工具本体1等に接続される場合を示している。電気機器本体1側に設けられるターミナル部270は、左右方向に狭い幅を有し、電池パック200は、正極入力端子271と負極入力端子272が中央寄りの2つの端子挿入口222、224に挿入されるように移動される。図11(2)は、108V定格の電気機器本体、電動工具本体30等に接続される場合を示している。電動工具本体30のターミナル部280は、ターミナル部270に対して左右方向に広い幅を有し、この間の領域が端子配置領域となる。端子配置領域では左右両端近くに配置された正極入力端子281と負極入力端子282を有し、左右方向のほぼ中央に接続素子283が形成される。接続素子283の長手方向の長さは、正極入力端子281と負極入力端子282とほぼ同じ(厳密にはわずかに短い)である。また、高さ方向においては同一寸法である。このことは、電圧切替要素を操作するための接続素子283を付加したことによって、正極入力端子281と負極入力端子282の寸法関係を変更しなくてもすむので、電圧切替要素を付加したことによる電池パック200の大型化を回避できることである。電池パック200が電動工具本体30に装着されると、正極入力端子281と負極入力端子282が端子挿入口221と225に挿入され、接続素子283が端子挿入口223に挿入されることになる。
図12は、電池パック200の接続回路図である。電池パック200内には3つのセルユニット156〜158(図8(2)参照)が収容される。セルユニット156〜158は図8で示したセルパック150として形成され、セパレータ152によって保持されたものであり、それぞれ14500サイズのリチウムイオン電池のセル151が10本ずつ直列接続されている。尚、図12では10本分のセルをまとめて1つの電池として図示しているので注意されたい。ターミナル部270、280側の入力端子を挿入するための端子挿入口(スロット)221〜225にはそれぞれ1〜4個の接続端子が、ターミナル部270、280の挿入方向に並べて配置される。ここに配置される接続端子群は、電池パック200の並列接続と直列接続を切り替える電圧切替要素となるものである。端子挿入口222と端子挿入口224の組は、36V用のターミナル部270に対応するものあり、そこには低電圧を出力するための切替端子群(端子群232と端子群234)が配置される。正極入力端子271は端子群232の3つの端子と接触するように装着され、負極入力端子272は端子群234の3つの端子と接触するように装着される。
端子挿入口221と端子挿入口225の組は108V用のターミナル部280に対応するものあり、そこには高電圧を出力するための切替端子(端子231と端子群235)が配置される。正極入力端子281は端子231と接触するように装着され、負極入力端子282は端子235と接触するように装着される。ターミナル部280の左右中央部には、出力電圧を切り替えるための接続素子283がさらに設けられる。並列接続と直列接続を切り替える電圧切替要素となる接続素子283は端子挿入口223に挿入される。接続素子283は先端側(図中、電池パック200に近い側)の導通部283aと後端側の導通部283cを有し、それらの導通部283aと283cの間に絶縁体283bを配置することによって、導通部283aと導通部283cが電気的に非導通状態とされる。導通部283aと283cの目的は、端子群233中の所定の端子間を短絡させる短絡子として機能させるものであって、電気機器本体側では導通部283aと283cから配線する必要がない。従って、接続素子283はターミナル部280と一体成形で形成される非導電体による接続素子基台に、導通部283aと283cを形成する金属板を鋳込むようにして製造するか、又は非導電体による接続素子基台の外周面に金属板を張り付けるか又は外周面を金属メッキ等による導電処理することで製造すると良い。このようにターミナル部280には複数のセルユニットを互いに直列に接続する短絡子を付加して形成した。
図13は端子231〜235の形状を示す図であり、(1)は上面図であり、(2)は端子群232の側面図((1)のB方向からの矢視図)である。ここでは端子231、235と、端子232a、233a、234aは従来から広く用いられている端子と同じ形状であり、平板をU字形状に曲げ、開口端部付近の両側側面を内側に向けて凸状にへこませたような形状にし、凸状部分による最狭部がターミナル部側の板状の端子の両面と接触するように形成される。端子231、235、232a、233a、234aは、嵌合するターミナル部側の金属端子が後方側に貫通しないため、後方側が閉鎖された形状とされる。一方、その他の端子群、即ち端子232b、232c、233b〜233d、234b、234cは、接触するターミナル部側の金属端子を前方から後方に貫通させた状態で嵌合するため、前方側だけでなく後方側にも開口部が形成される。(2)の側面図においてその具体型な形状を示しており、端子232aは上端の後方付近(矢印236a)が閉鎖されているが、端子232b、232cは前方側だけで無く後方側(矢印236b、236cで示す付近)が開放されているような形状とされる。このため、図に示すようなターミナル部270が矢印265の方向に挿入されると、正極入力端子271が3つの端子232a〜232cに同時に接触することにより、それぞれが電気的に導通状態になる。この接続状態は、負極入力端子272と3つの端子234a〜234cにおいても同様となる。このように一つの端子挿入口において、複数の端子を装着方向と同方向(平行方向)に並べ、ターミナル部の電極板を用いて電池パック200内のセルユニット156〜158の接続状態を並列接続と直列状態のいずれかに設定することができるようにした。
図14は電池パック200をターミナル部270、280に装着した時の状態を示す図であり、(1)は36V出力状態、(2)は108V出力状態である。(1)に示す36V出力の時のターミナル部270は、正極入力端子271と負極入力端子272を有する。正極入力端子271は、端子232a、232b、232cと接触することによりこれらが導通する。端子232aはセルユニット156の+端子(正極)に接続されており、端子232bはセルユニット157の+端子に接続されており、端子232cはセルユニット158の+端子に接続されている。従って、正極入力端子271が3つのセルユニット156〜158の+端子に接続されたことになる。同様にして負極入力端子272は、端子234a、234b、234cと接触することによりこれらが導通する。端子234aはセルユニット156の−端子(負極)に接続されており、端子234bはセルユニット157の−端子に接続されており、端子234cはセルユニット158の−端子に接続されている。従って、負極入力端子272が3つのセルユニット156〜158の−端子に接続されたことになる。尚、端子群233には何も接続されないため、端子233a〜233dは開放状態にされる。これらの結果、セルユニット156〜158が並列接続され、即ち定格36Vの直流が正極入力端子271と負極入力端子272に出力されることになる。
図14(2)は電池パック200をターミナル部280に装着した時の状態を示す図である。108V出力の時のターミナル部280は、正極入力端子281と負極入力端子282と接続素子283を有する。正極入力端子281は、セルユニット156の+端子と接続される端子231とだけ接触する。同様にして負極入力端子282は、セルユニット158の−端子と接続される端子235とだけ接触する。また接続素子283(接続端子)が4つの端子群(直列端子要素233a〜233d)と接触するようにして挿入される。この接続素子283により、端子233aと端子233bが導通部283a(図12参照)により短絡し、端子233cと端子233dが導通部283c(図12参照)により短絡する。ここで、端子233bと端子233cの間は、接続素子283に形成された絶縁体283b(図12参照)によって非導電状態で保たれる。端子233aはセルユニット156の−端子に接続され、端子233bはセルユニット157の+端子に接続されるため、セルユニット156、157間の直列接続状態が確立される。同様にして、端子233cはセルユニット157の−端子に接続され、端子233dはセルユニット158の+端子に接続されるため、セルユニット157、158間の直列接続状態が確立される。これらの導通状態の結果、セルユニット156〜158が直列接続され、定格108Vの直流が正極の端子231と負極の端子235に出力されることになる。尚、端子群232と端子群234の各端子は開放状態にされる。
以上、第2の実施例では電圧を切替えるための複数の端子(端子群)を備えて、切替端子群は複数のセルユニットのそれぞれから延びる端子を隣接して配置するように構成したので、複数電源に対応できる電池パック200を実現できた。特に、スロット223内に複数のセルユニットの正極又は負極に接続されたものであって、複数のセルユニットを直列に接続するための直列端子群(直列端子要素233a〜233d)を備えたので36Vと108Vの切り替えが可能な電池パック200を実現できた。この際、電動工具本体(電気機器本体)側のターミナル部270又は280を図示したような形状に設定しておくことによって、正極入力端子が挿入されるスロット(221又は222)と、負極入力端子が挿入されるスロット(224と225)とは別に、出力電圧を切り替える切替素子(接続素子283)が挿入される第3のスロット(223)を設けたので、電池パック200を装着するだけで電池パック200側からの出力電圧が自動的に切り替わる。よって、作業者は電池電圧の切り替え作業に注意する必要は無い上に、設定電圧ミスによって電気機器本体側を破損する虞もない。さらに、電池パック200を取り外した際に、3つのセルユニット156〜157が開放状態(非接続状態)とされるため、保管時や輸送時に最適な状態とすることができる。第2の実施例の電池パック200においては、電圧切替要素として機能する端子群232、端子群234及び接続素子283と、電源端子として機能する端子231、端子235、端子群232及び端子群234が、上下方向において略同じ高さの位置に配置されているから、電池パック200の上下方向のサイズをコンパクトに構成することができる。
第2の実施例を用いた電池パック200の構造は、電圧切替式の電池パックだけに限られずに、電圧固定の電池パックにおいても有効に適用できる。そのような電池パックの構造を示したのが図15である。図15は108V専用の電池パック200Aの回路図を説明するための図である。ここでは、図14(2)の端子群232、234を取り除いたものと同じ構造であり、端子群232、234の挿入位置に形成される端子挿入口222、224(共に図11参照)は閉鎖される。108V用の電動機器本体は、正極入力端子281と負極入力端子282と接続素子283を有するターミナル部280を用いる。ターミナル部280の構造は図12で示した構造と同一であり、接続素子283は先端側の導通部283aと後端側の導通部283cを有し、それらの導通部283aと283cの間が絶縁体283bによって電気的に非導電状態で接続されるものである。このように複数の端子群を用いて、ターミナル部280が接続されたときにセルユニット156〜158の直列接続状態を確立させるので、電気機器に電池パック200Aが装着されていない際に(取り外した際に)3つのセルユニット156〜158が非接続状態とされるため、保管時や輸送時に最適な状態とすることができる。また、スロット222、224の開口部分を閉鎖すれば、108V用電池パック200Aが、36V用電気機器本体に装着できないように構成できるので、誤装着を効果的に防止できる。
図15(2)は別の変形例の電池パック200Bを示す回路図である。正極入力端子281Aと負極入力端子282Aは、左右方向の間隔を広くした点を除いて、端子形状や嵌合対象(端子231と235)は、(1)の構造と同様である。しかしながら、(2)は(1)の接続素子283を左右方向に2つに分けて、第1接続端子285と第2接続端子286に分割したものである。この分割に併せて端子233a〜233dを横方向に分けて配置した。第1接続端子285は、セルユニット157の+端子側と接続される端子233bと、セルユニット156の−端子側と接続される端子233aを短絡させるための金属板である。同様にして、第2接続端子286は、セルユニット157の−端子側と接続される端子233cと、セルユニット158の+端子側と接続される端子233dを短絡させるための金属板である。この変形例でも(1)と同等の効果を得ることができる上に、端子233aと233b、223cと233dの設置スペースが小さくて済むので、既存の電池パックに実装する上では有利である。尚、図15(2)の変形例において、端子挿入口を横方向に6列設けるようにすれば、(2)の構成に36V出力用の端子群232、234(図13参照)を配置することができ、前後方向の端子の長さを短くした電池パックを実現できる。
次に図16〜図20を用いて本発明の第3の実施例を説明する。第3の実施例の電池パック300においては、第1及び第2の実施例に比べて電池パックの出力電圧を、低電圧側と高電圧側の2段階に切り替えることができる点で共通する。しかしながら、第3の実施例では、36Vと108Vのように電圧比を3倍で切り替えるのではなくて、18Vと36Vのように電圧比を2倍で切り替えるようにしたものである。図16は本発明の第3の実施例に係る電池パック300と、それに装着されるターミナル部370、380の形状を示す概略斜視図である。電池パック300に装着可能な電気機器は、ターミナル部370を有する定格18V機器と、ターミナル部380を有する定格36V機器の2種類である。ターミナル部370には第1の電源入力端子組(機器側電源端子)たる正極入力端子371と負極入力端子372が形成され、ターミナル部380には第2の電源入力端子組(機器側電源端子)たる正極入力端子381と負極入力端子382の機器側電源端子が形成される。これらターミナル部370、380は電気機器本体側の電池パック装着部に設けられ、電気機器のハウジング内部において、負荷装置等に電気的に接続される。正極入力端子371、381と負極入力端子372、382は金属製の板状部材で形成され、これらを固定する基台部分は合成樹脂等の非導電体の成形品で形成される。
ここで図示される電池パック300は、概略図であって下段面311と上段面315の間の段差部312から後方側にかけて、複数のスロット321〜324が形成される。これらスロット321〜324を含めた電池パック300の上側形状は図7で示した電池パック100の形状とほぼ同等の形状とすれば良いが、ここでは***部やラッチ部等の図示は省略している。18V用のターミナル部370は、左右方向に幅が狭く構成され、36V用のターミナル部380は左右方向の幅が広く構成される。これらのターミナル部370、380の幅の違いに応じて正極入力端子371と負極入力端子372の間隔は狭く形成され、正極入力端子381と負極入力端子382の間隔は広く形成される。また、低電圧用の端子組(371、372)の占める領域は、高電圧用の端子組(381、382)の占める範囲に含まれるように配置される。正極入力端子371と負極入力端子372は、スロット322とスロット323にそれぞれ挿入され、正極入力端子381と負極入力端子382は、スロット321とスロット324にそれぞれ挿入される。これらの端子とスロットの位置は、電動工具本体側の電池パック装着部に形成されたレール溝と、電池パック300に形成されるレール部(ここでは図示を省略している)によって適切に案内される。このように電気機器本体側のターミナル部のクリップ(正極入力端子371、381と負極入力端子372、382)が挿入されるスロットを2パターン設け、ターミナル部のクリップの幅が異なる18Vと36Vの製品を取り付けることにより、出力切り替えを可能とした。作業者は電池パック300を18V用の電動工具等の電気機器本体又は36V用の電気機器本体に単に装着するだけで、電池パック300から適切な出力電圧を得ることができる。
図17は、電池パック300の内部、特に段差部312(図16参照)の後方側であってスロット321〜324の位置付近(端子配置領域)に配置される電圧切替機構(電圧切替要素)320の構成パーツを示す図である。電圧切替機構320は切替スイッチ手段であり、金属製の端子部材が鋳込まれた合成樹脂製の2つの可動案内部材330、340を有し、これらはスプリング348等の付勢手段によって、電池パック300の電気機器本体への装着方向に対して交差する方向においてお互いが離れるように付勢される。可動案内部材330、340の左右両側付近と中央付近後方側には、接点端子(351〜354)が4つ設けられる。可動案内部材330、340には、正極入力端子371と負極入力端子372が挿入されるための端子装着部331、341が形成される。図17(1)の左側の図は電池パック300が電気機器本体に装着されていない時の可動案内部材330、340の位置を示しており、この状態では正極入力端子371と負極入力端子372を、端子装着部331、341にそのまま挿入させることができる。一方、図17(2)の左側の図に示すようにターミナル部380を装着するときは状況が異なる。ターミナル部380の接続素子である正極入力端子381と負極入力端子382に対して電池パック300を相対移動させると、正極入力端子381が可動案内部材330の傾斜部332に接触し、負極入力端子382が可動案内部材340の傾斜部342に接触する。これはスプリング348の作用によって可動案内部材330、340の平行面333、343が正極入力端子381と負極入力端子382の間隔よりも広い間隔の位置に静止しているためである。
正極入力端子381が傾斜部332に接触しながら、負極入力端子382が傾斜部342に接触しながらターミナル部380が矢印349のように押し込まれると、すなわち、正極入力端子381、負極入力端子382がそれぞれ、スロット321、324(図16参照)に挿入されていくと、スプリング348を圧縮しながら可動案内部材330、340が内側に向けて矢印336、346の方向(互いに近づく方向)に移動する。尚、本実施例での説明では、ターミナル部380を電池パック300に近づけるように図示した矢印349の意味は、電池パック300側との距離が縮まることを意味するだけであって、便宜上方向を示したにすぎず、固定した電気機器本体側に電池パック300側を移動させる場合と、電池パック300側に電気機器本体側を移動させる場合の双方を含む。本実施例では理解の容易性から、これらの相対移動をターミナル部380が矢印349のように電池パック300側に移動するとして説明したが、どちら側を移動させても装着後の状態は同じである。
可動案内部材330、340が矢印336、346の方向に移動しながらターミナル部380がさらに挿入されると、スプリング348がさらに圧縮されて可動案内部材330、340がさらに互いに接近するので、正極入力端子381が可動案内部材330の外側(右側)の平行面333と第1+端子(第1正極端子)351の間に入り込み、同様にして負極入力端子382が可動案内部材340の外側(左側)の平行面343と第2−端子(第2負極端子)354の間に入り込む。この入り込んだ状態でターミナル部380が矢印349の方向の所定位置まで移動したら、電池パック300の装着完了であって、この状態を示すのが図17(2)の右側の図である。この可動案内部材330、340の移動によって、同時に中間端子335、345の位置も移動して、それらの最接近点が“非接触”状態から“接触”状態に変わって中間端子335、345間が導通することになる。さらに、可動案内部材330、340と端子351〜354との接触状態が変わり、この結果ターミナル部380には定格36Vの直流が出力されることになる。
図18は、可動案内部材330、340と端子351〜354を用いた電圧切替機構320を説明するための図である。同図(1)は電圧切替機構320の電池パック300内での収容位置を示す図である。同図(1)において電圧切替機構320は、電池パックの下段面311と上段面315により形成される段差部312よりも後方側であって、上面視では複数のスロット321〜324(図16参照)の配置位置と重複する位置に収容される。可動案内部材330、340は端子基板360(図18(3)参照)上において、左右方向に移動する可動部材であり、4つの接点端子(351〜354)は端子基板360に固定されて動かない非可動部材である。
図18(2)は電圧切替機構320の上面から見た展開図であり、各部品の構成がわかるように距離的に離して図示している。同図(2)において、可動案内部材330は、上面視で四角形の部材と三角形の部材を連結したような基本形状であって、基本形状部分はプラスチック等の合成樹脂で製造される。合成樹脂部分には、金属製の中間端子335が鋳込まれ、これらは強固に固定される。中間端子335は後方側に2つの接触子335cと335dが形成され、端子装着部331の間に延びるようにして前方側に延在してターミナル部370の正極入力端子371と接触するために内側から外側に凸状に曲げられた接触子335aが形成され、内側部分(図中、可動案内部材330の左側)には他方の可動案内部材340側の中間端子345の接触子345bと接触する接触子335bが形成される。可動案内部材340とそれに鋳込まれる中間端子345は、可動案内部材330と中間端子335と左右対称に形成されるものである。中間端子345は後方側に2つの接触子345cと345dが形成され、端子装着部341の間に延びるようにして前方側に延在してターミナル部370の負極入力端子372と接触するために内側から外側に向けて凸状に曲げられた接触子345aが形成され、内側部分(図中、可動案内部材340の右側)には他方の中間端子335の接触子335bと接触する接触子345bが形成される。接触子335aと345aが低い電圧を出力する低電圧用端子組であって第一電源端子を構成する。可動案内部材330、340の間にはスプリング348(図18(2)では図示省略)が鋳込まれ、成形時点において可動案内部材330、340が弾性体を介して連結される。スプリング348は金属製の圧縮コイルバネである。
中間端子335、345の後方側には、4つの端子351〜354が配置される。左右方向で中央寄りに配置されるのは、第一セルユニットの+端子(正極端子)に接続される第2+端子(第2正極端子)352と、第1セルユニットの−端子(負極端子)に接続される第1−端子(第1負極端子)353である。第2+端子352には、前方側に凸状に曲げられ左右方向に並んで配置した接触子352a、352bが形成され、第1−端子353には前方側に凸状に曲げられ左右方向に並んで配置した接触子353a、353bが形成される。接触子335cは接触子352a、352bのいずれかと択一的に接触し、接触子345cは接触子353a、353bのいずれかと択一的に接触する。
中間端子335の右側には第1+端子(第1正極端子)351が配置され、中間端子345の左側には第2−端子(第2負極端子)354が配置される。第1+端子351は上面視で略L字状に折り曲げられた部材であり、前側に位置する一方の端部には、ターミナル部380の正極入力端子381(図17参照)と接触するために外側から内側に向けて凸状に曲げられた接触子351aが形成され、後方に位置する他方の端部には、中間端子335の接触子335dと接触するために前側に凸状に曲げられた接触子351bが形成される。第2−端子354は第1+端子351と左右対称の形状とされ、前側に位置する一方の端部には、ターミナル部380の負極入力端子382(図17参照)と接触するために凸状に曲げられた接触子354aが形成され、後方に位置する他方の端部には、中間端子345の接触子345dと接触するために凸状に曲げられた接触子354bが形成される。接触子351aと354aが高い電圧を出力する高電圧用端子組であって第2電源端子を構成する。
図18(3)は、同図(1)のC−C部の断面図である。可動案内部材330は上側を電池パック300の上ケース310にて覆われ、下側は端子基板360によって左右方向に摺動可能なように保持される。端子基板360の上面には、上側に向けて凸状に突出し、左右方向に直線状に延びる案内レール361が形成される。また、上ケース310の上段面315の内側壁には、左右方向に直線状に延びるように設けられた案内レール316が形成される。一方、可動案内部材330の上側面には左右方向に連続して形成される案内溝部334aが形成され、下側面には左右方向に連続して形成される案内溝部334bが形成される。案内溝部334aが案内レール316と係合し、案内溝部334aが案内レール361と係合する。尚、可動案内部材330の案内溝部334aと、可動案内部材340側に設けられる案内溝部344aは図18(1)にて図示されていが、図18(2)にはその図示を省略しているので注意されたい。
このように案内溝部334bが案内レール361により案内され、案内溝部334aが案内レール316により案内されることによって、可動案内部材330は電池パック300の装着方向と交差する方向(ここでは直交方向)に移動可能となる。可動案内部材340側も同様にして、案内溝部と案内レールが形成され、それらによって案内されることによって、可動案内部材340が電池パック300の装着方向と交差する方向(左右方向)にスムーズに摺動可能となり、装着方向と同方向(前後方向)には移動しないことになる。中間端子335は可動案内部材330に固定されるため、端子基板360とはほぼ非接触となるように配置される。第2+端子352は位置決め用のピン部352cが端子基板360の内部に嵌合し、電気的な接続用のピン(図示せず)が端子基板360を貫通して半田付けされる。なお、ピン部352cと接続用のピンを分けずに、ピン部352cを回路基板360の配線パターンに直接半田付けしても良い。
以上、第3の実施例によれば端子基板360の上面であって電源端子(正極端子と負極端子)が配置される端子配置領域において、電池パック300の装着方向と交差する方向に移動可能な複数の可動案内部材たる電圧切替要素(330、340)によって、複数のセルユニットを並列に接続するか直列に接続するかを切り替えることができるので、電圧の自動切り替え機構を有する電池パック300を実現できた。尚、本実施例では可動案内部材330の移動方向は電池パック300の装着方向と直交するようにしているが、必ずしも90度の交差角に限られる訳で無く、90度よりも所定の角度だけ増減させて斜めに交差するように移動させても良い。このように第3の実施例では、可動案内部材330、340を電池パック300の装着方向において、端子351〜354、335、345の配置領域(スロット321〜324が配置されている領域)の範囲内に収めるように配置しているので、電池パックを大きくすることなく電圧の切り替えを行うことができる。
次に、図19を用いて定格18Vの電気機器本体と接続される時の電圧切替機構320によるセルユニットの接続状態を説明する。図19は(1)がターミナル部370を電池パック300に装着する前の状態を示している。同図(2)が装着後の状態を示すもので、4つの端子351〜354からセルユニット356、357への結線状態を回路図として示している。電池パック300には2つのセルユニット356、357が収容される。セルユニット356、357はそれぞれ5本のリチウムイオン電池のセル161が直列に接続された集合体であって、その出力は定格18Vである。セルユニット(第1セルユニット)356の+出力(プラス出力)は第1+端子351にリード線により配線され、−出力(マイナス出力)は第1−端子353にリード線により配線される。同様にして、セルユニット(第2セルユニット)357の+出力は第2+端子352にリード線により配線され、−出力は第2−端子354にリード線により配線される。
ターミナル部370が装着されていない場合は、可動案内部材330、340はスプリング348によって互いに離反するように付勢される。この状態では接触子335bと接触子345bは離反しており非接触状態である。図19(1)の状態からターミナル部370が装着されると、同図(2)に示すようにターミナル部370の正極入力端子371がスロット322(図16参照)を介して端子装着部331内に収容され、その結果、接触子335aと正極入力端子371が接触する。同様にして負極入力端子372がスロット323(図16参照)を介して端子装着部341に収容され、その結果、接触子345aと負極入力端子372が接触する。しかしながら可動案内部材330と340は矢印349と同方向にも直交する方向(左右方向又は上下方向)にも移動しないため、中間端子335、345と4つの端子351〜354との接触関係に変化はない。この状態では接触子335dと351bが接触し、接触子335cと352aが接触し、接触子345cと353aが接触し、接触子345dと354bが接触する。これら接触子の接触の結果、正極入力端子371からセルユニット356、357の+出力(プラス出力、正極端子)への接続経路が確立され、負極入力端子372からセルユニット356、357の−出力(マイナス出力、負極端子)への接続経路が確立され、2つのセルユニット356、357は並列接続され、その出力、即ち定格18Vの直流が電池パック300から出力されることになる。
図20は(1)がターミナル部380を電池パック300に装着する前の状態を示し、(2)が装着後の状態を示すもので、4つの端子351〜354からセルユニット356、357への結線状態を回路図で示している。図20(1)に示すように、ターミナル部380が装着されていない場合は、可動案内部材330、340はスプリング348によって互いに離反するように付勢される。この状態では接触子335bと接触子345bは離反しており非接触状態である。同図(1)の状態からターミナル部380が装着されると、正極入力端子381がスロット321(図16参照)を介して傾斜部332に接触するが、接触したままターミナル部380を押し込む(又は、電池パック300をターミナル部380側に移動させる)と、傾斜部332が正極入力端子381の内側に逃げるようにして移動するため、可動案内部材330が矢印336の方向にスプリング348を圧縮しながら移動する。同様にして負極入力端子382がスロット324(図16参照)を介して傾斜部342に接触しながら押し込まれると、傾斜部342が負極入力端子382の内側に逃げるようにして移動するため、可動案内部材340が矢印346の方向にスプリング348を圧縮しながら移動する。可動案内部材330が内側に移動すると、正極入力端子381は傾斜部332よりも側方側に位置する平行面333と第1+端子351の間に入り込み、スプリング348の付勢によってその状態(図20(2)で示す状態)にて保持され、正極入力端子381が第1+端子351の接触子351aと良好に接触する。同様にして可動案内部材340が内側に移動すると、負極入力端子382は傾斜部342よりも側方側に位置する平行面343と第2−端子354の間に入り込み、その状態(同図(2)で示す状態)にて保持され、負極入力端子382が第2−端子354の接触子354aと良好に接触する。
可動案内部材330、340が内側に移動すると他の接触子の接触関係も変化する。まず中間端子335の接触子335bと中間端子345の接触子345bが接触することにより、中間端子335と345が導通状態になる。また、中間端子335の接触子335cと接触するのが、図20(1)で示すような接触子352aから同図(2)で示すように接触子352bに切り替わり、中間端子335の接触子335dと第1+端子351の接触子351bとの接続状態が解消される。同様にして、中間端子345の接触子345cと接触するのが、同図(1)で示すような接触子353aから同図(2)で示すように接触子353bに切り替わり、中間端子345の接触子345dと第2−端子354の接触子354bとの接続状態が解消される。これら接触子の接触状態の切り替えの結果、正極入力端子381からセルユニット356の+出力(プラス出力、正極端子)への接続経路が確立され、セルユニット356の−出力(マイナス出力、負極端子)からセルユニット357の+出力への接続経路が確立され、セルユニット357の−出力から負極入力端子382への接続経路が確立される。この接続は、2つのセルユニット356、357の直列接続であって、電池パック300から定格36Vの直流が出力されることになる。尚、電圧切替機構320の可動案内部材330、340はスプリング348によって付勢されているので、図20(2)の状態からターミナル部380を取り外した場合は、元の同図(1)の状態に戻るため、セルユニット356と357の直列接続状態は自動的に解消され、並列接続状態に戻る。
以上のように、可動案内部材330、340を用いた電圧切替機構320を実現することによって、作業者は電池パック300を定格18Vの電気機器本体又は定格36Vの電気機器本体のいずれかに単に装着するだけで、電気機器本体に対して最適な出力電圧を得ることができる。尚、上述した第3の実施例は、電圧比が2倍であれば、他の電圧、例えば54V/108Vの切替をおこなう電池パックにおいても実現可能である。さらに、可動案内部材を3つ用いることによって切り替え電圧比が3倍となるような切り替え機構を実現しても良い。第3の実施例の電池パック300においては、電圧切替要素として機能する電圧切替機構320と、電源端子として機能する接触子335a及び接触子345aが、上下方向において略同じ高さの位置に配置されているから、電池パック300の上下方向のサイズをコンパクトに構成することができる。
次に、本発明の第4の実施例に係る電池パック400を図21〜図28を用いて説明する。図21は電池パック400の斜視図であり、(1)は出力18Vの時の状態を示し、(2)は出力36Vの時の状態を示す。第4の実施例では、切替機構による18Vと36Vの出力電圧の切り替えを作業者が切替スイッチにより手動で行うようにした。そのため、電池パック400の上側の一部に、切替スイッチの操作レバー(操作部)452を設けた。その他の基本構成は、従来から用いられている18V用の電池パックと互換に構成した。電池パック400の上側には、レール部438a、438bと、複数のスロット群と、接続用の接点端子を有する電池パックの装着機構が設けられる。左右両側に配置されるレール部438a、438bの上側は上段面415になっており、上段面415の前方側の下段面411との境界は段差部412となっており、段差部412から後方側に向けて複数のスロットが形成された端子配置領域420が設けられる。更に、上段面415の後部にはその上面から上方に突出する***部432が上面視で略コの字状に設けられており、操作レバー452を***部432で囲まれた窪み領域に配置している。操作レバー452は少なくともその一部が、上段面415よりも上方に突出するように設けられる。端子配置領域420では8つのスロットが形成され、+出力と−出力に加えて様々な信号が出力される。上段面415と同一面であって、***部432の左右ほぼ中央付近にはハウジング内への通風口を配置するための窪み部分とされたストッパ部431が形成される。
従来の18V用の電動工具で用いられる電池パックに対して、互換性を阻害しない位置に操作レバー452が設けられる。操作レバー452は、電気機器本体に装着して通電中には操作できないようにすることが重要であるので、本実施例では、電池パック400の上段面415の後方側であって、レール部438a、438bよりも後方側の前後方向の距離Lの範囲内にスイッチ機構の操作レバー452が設けられる。操作レバー452の設けられる位置は、ストッパ部431として利用する空間内であって、ラッチ441を有するラッチ機構と前後方向にオーバーラップする領域内である。操作レバー452の周囲には、その可動範囲を確保するために上カバー410の壁面に切り抜き部435が形成され、切り抜き部435を避けるようにして窪み部分の左側部分に冷却風取入れ用のスリット434が形成される。(1)は18V出力時の状態を示し、この状態において操作レバー452まで含めた右側部分の幅W1は、左側部分の幅W3と同じに設定され、ストッパ部431の左右方向の幅S1は、従来から市販されている18V用の電池パックと同じになるようにすると良い。右側部分の幅W1を実現するために、右側部分の***部432の幅W2は、従来よりもわずかに小さく形成される。このように構成した結果、本実施例による電池パック400を、従来の18V用の電気機器にそのまま装着することができる。
図21(2)は電池パック400の出力電圧を36Vに設定した時の状態である。36V出力の際には、揺動式の操作レバー452を矢印471の方向に移動させて第2の位置に位置づける。電圧を18Vに戻すときは(2)の状態から操作レバー452を矢印471と反対方向に移動させる。この第2の位置は、***部432の左右中央付近に形成される略長方体の空間内に操作レバー452が突出するような状態にある。***部432で囲まれた窪み領域において、第1の位置にある際には上面視で操作レバー452が***部432による壁面に接するような位置にあり、第2の位置にある際には、***部432による壁面から操作レバー452の揺動片側が大きく離れるように位置する。この操作レバー452のストッパ部431内への突出現象を利用することで、操作レバー452の固定位置を変化させるようにし、操作レバー452が突出して第2の位置にある状態、即ち36V出力に設定されている際にはストッパ部431の左右方向の幅がS1からS2のように小さく限定されるようにした。これは電池パック400が36V設定のままでは、18V用の電気機器本体の電池パック装着部には取り付けができないことを意味する。以上のように、電圧切替用のスイッチの取り付け位置を工夫して、操作レバー452を36V側に設定した際には、18V用の電気機器本体には装着できないようにした。また、操作レバー452の設置位置は、電池パック400を電気機器本体側に装着している最中には操作できない位置にあるので、電気機器の稼働中に電圧を切り替えてしまう虞を確実に防止できる。
図22は定格18Vの電気機器の一例である電動工具本体1Aの形状を示す斜視図である。電動工具本体1Aは、インパクトドライバであって略円筒形の胴体部2から下方に延びるハンドル部3を有し、ハンドル部3の下側には電池パック装着部10Aが形成される。電池パック装着部10Aの一部には、電池パック400の装着方向への相対移動を阻害するため、電池パックの装着の位置決め用の突起部44が形成され、突起部44がストッパ部431に当接するようにして電池パック400が装着される。ここで突起部44は、左右方向に2分割で形成される電動工具本体1Aのハウジングのネジ止め用のボスを兼ねていることもあり、左右方向に所定の幅S1を有するような凸部を構成している。従って、操作レバー452を18Vモード側に設定している際には、***部432に形成された凹部(窪み部)に対応するので、電池パック400を電動工具本体1Aにスムーズに装着することができる。一方、操作レバー452を36Vモード側に設定している際には、操作レバー452がストッパ部431の内側に突出して、ストッパ部431の左右方向の幅がS2(図21(2)参照)のように小さくなるため突起部44と干渉してしまい、電池パック400を電動工具本体1Aには装着できない。従って、作業者が対象とする電動工具本体1Aとは異なる電圧設定をしたままで電池パック400を装着することを防止できる。
図23は定格36Vの電気機器の一例である電動工具本体480の形状を示す斜視図である。本実施例において18Vと36V用の切替式の電池パック400を実現するにあたり、36V用の電動工具本体480の電池パック装着部481の形状が図22に示す電池パック装着部481とほぼ形状とされる。しかしながら、突起部484の幅だけがS2(<S1)のように小さく形成されており、操作レバー452が36V側であって、左方向に突出している場合でも電池パック400を電動工具本体480に装着できるようになっている。
図24は電池パック400の上ケース410(図21参照)を取り外した状態の斜視図である。スイッチ機構450は、セル151Aが5本ずつ直列接続された2組のセルユニットを、並列接続又は直列接続に切り替えるためのスイッチである。セル151Aは、18650サイズのリチウムイオン電池であり、上下2段、前後方向に5本の計10本が収容される。セル151Aは合成樹脂製のセパレータ152Aに収容された状態で下ケース401内に配置される。セパレータ152Aの上側には複数の端子421〜427を固定するための端子基板(回路基板)470が配置され、端子基板470の後方側にはスイッチ機構450が設けられる。スイッチ機構450はスイッチケース451の内部から延在し、端子基板470に半田付けされる4つの接点(461、462と図25、図26で後述する464,465)を有する。ここではスイッチケース451が電池パック400から見るとインナーケースとなる関係であり、スイッチ機構450内の接点部材はインナーケース内に収容されることになる。スイッチケース451の長手方向中心線C1が電池パック400の装着方向を示す線B1と所定の角度を有するようにスイッチ機構450が斜めに配置されるが、これは上ケース410と下ケース401によるハウジング内の限られた範囲内にスイッチ機構450を収容するためである。よって、収容スペースが十分にあれば長手方向中心線C1が装着方向線B1と一致するように、又は、長手方向中心線C1が装着方向線B1と直交するように配置しても良い。また、スイッチ機構450は、左右方向(装着方向と交差する方向)に見て一対のレール部438a、438b(図21参照)の間に配置され、前後方向(装着方向)に見てレール部438a、438bで囲まれる領域よりも後方側に配置される。また、スイッチ機構450のハウジング(スイッチケース)451の上面位置は、上下方向で見て複数の端子421〜427の上端位置と同じか、それよりも低い位置に配置される。
複数の端子421〜427のうち端子422が+出力端子(正極端子)となり、端子426が−出力端子(負極端子)となる。図24(2)は作業者が操作レバー452を矢印θの方向に揺動させることにより第1の位置から第2の位置に切り替えて、スイッチ機構450の回路を並列接続側から直列接続側、即ち、出力18V側から出力36V側に設定した状態を示す図である。ここでは操作レバー452が後端側が揺動支点になり、前方側が移動する移動端となるように形成される。このような操作レバー452の形状としたことによって、操作レバー452の前方側が大きく揺動するように構成できた。この操作レバー452の位置(第2の位置)とした際には、収容されたセル151Aが10本の直列接続状態となり、端子422と426から定格電圧36Vの直流が出力される。ここで、操作レバー452の少なくとも一部が、正極端子422及び負極端子426よりも上方に突出するような位置関係となる。
図25は電池パック400の接続状態を示す回路図であって、(1)が18V出力時であり、(2)が36V出力時である。電池パック400内には5本のセル151Aが直列接続された第1のセルユニット356と第2のセルユニット357が収容されており、セルユニット356の+出力(+端子)は正極端子422に接続され、セルユニット357の−出力(−端子)は負極端子426に接続される。スイッチ機構450内は6つの接点461a、462a、463a、463b、464、465が設けられ、操作レバー452(図24参照)によって移動する切替素子455によってこれらの接続状態が変化する。切替素子455の揺動支点側は、接点端子464と465に接続される。接点端子464はセルユニット356の−出力(−端子)に接続され、接点端子465はセルユニット357の+出力(+端子)に接続される。さらに、セルユニット356の+出力(+端子)は接点461aに接続され、セルユニット357の−出力(−端子)は接点462aに接続される。さらに短絡用の接続端子463(後述する図26参照)によって接点463aと接点463bが接続される。図25(1)に示す18V出力状態時には、切替素子455によって接点端子464と接点462aが接続され、接点端子465と接点461aが接続される。これらの接続関係によって、セルユニット356、357のそれぞれの+出力(+端子)が正極端子422に接続され、セルユニット356、357のそれぞれの−出力(−端子)が負極端子426に接続されることになり、2組のセルユニット356、357が並列接続されて電池パック400から定格18Vが出力される。
図25(2)のようにスイッチ機構450を切り替えて36V出力とした際には、切替素子455に接続される接点が変更され、接点端子464は接点463aに接続され、接点端子465は接点463bに接続される。つまり接点463aと463bは、接続端子463(後述する図26参照)によって短絡されることになり、この結果、セルユニット356の−端子(−出力)はセルユニット357の+端子(+出力)と接続される。一方、接点461aと462aは共に開放状態とされる。このようにしてセルユニット356と357が直列接続され、その+出力が正極端子422に接続され、−出力が負極端子426に接続されて電池パック400から定格36Vが出力される。
図26は、スイッチケース451内における接点端子461〜465の形状を示す図である。接点端子461〜465は金属の部材により構成され、スイッチケース451の内部に収容され、接続端子463を除く接点端子461、462、464、465の一部が配線用にスイッチケース451の外部に露出する。尚、接点端子461〜465の形状を示すために、ここでは図27及び図28で後述する切替素子455の記載を省略していることに注意されたい。スイッチ機構450は、スイッチケース451の外部に露出する4つの端子が形成された、2回路2接点スイッチである。接点端子461、462の一部が延在して端子基板470(図24参照)に接続され、接点端子464、465が電力線によってセルユニット356の−出力(−端子)と、セルユニット357の+出力(+端子)に接続される。スイッチケース451の短辺側の一方には、略正方形の平面状の4つの接点462a、463a、464a、464bが所定の間隔を隔てて配置される。ここでは接点462a、463a、464a、464bの水平方向の開口側に半円筒状に曲げられたラッチ爪462b、463c、463d、464cが形成される。ラッチ爪462b、463c、463d、464cは、後述する接続端子463が接点462aと接点464a側、又は、接点463aと接点464b側のいずれか側に位置する際に、金属部材のバネ力によって容易に接触状態が解消されないようにする、いわばラッチ機構として作用する。ここでは接点462aと接点464a、又は、接点463aと接点464bのいずれか一方側が短絡されることになる。スイッチケース451の短辺側の他方には、平面状に形成された4つの接点461a、463b、465a、465bが所定の間隔を隔てて配置される。ここでは接点461aと接点465a、又は、接点463bと接点465bのいずれかが短絡されることになる。
図27はスイッチケース451の内部構造を示す斜視図であって、(1)と(2)は見る角度を変えた同じ図である。図26に比べて切替素子455も図示した。切替素子455は揺動軸453を中心に所定範囲で揺動可能に構成され、各接点間を短絡するためのU字状の湾曲された金属部材456と457を保持する。切替素子455の揺動軸453を隔てた反対側には、操作レバー452(図24参照)を固定するための操作片454が形成される。図27では操作片454の形状を平面状に図示しているが、図24で示すように切り抜き部435(図21参照)の開口を覆うような形状にすると共にその上側に延びるレバー状の操作部(操作レバー452)と一体に形成してもよい。操作片454、切替素子455、操作レバー452、揺動軸453は、合成樹脂の一体成形により製造できる。切替素子455は上下方向に並ぶ接点間の接続をする目的であるため、合成樹脂の成形品に金属部材456、457を固定又は鋳込んで形成するか、またはスプリング等で付勢して固定させるようにしてもよい。金属部材456、457は上面視でU字状に曲げられた金属の板材であって、U字状の湾曲部分が接点側に向くように配置される。図27に示す切替素子455は揺動軸453を中心に揺動されたことにより、金属部材456が接点462aと464bを短絡し、金属部材457が接点461aと接点465aを短絡する。
図28は切替素子455を図27の状態から揺動して36V出力状態とした時のスイッチケース451の内部構造を示す斜視図であって、(1)と(2)は見る角度を変えた同じ図である。図28に示す切替素子455の位置では、揺動軸453から見て外側の金属部材456が接点463aと接点464bを短絡し、内側の金属部材457が接点463bと接点465bを短絡する。この切替素子455による切替の結果、図25(2)の回路図で示したようなセルユニット356と357の直列出力が得られることになる。第4の実施例ではスイッチ機構450の切替素子455を回動式とすることで、切替動作が安定し、粉塵等による接点の動作悪化を抑制することが可能となる。また、高電圧の設定時には操作レバー452と干渉することにより低電圧用の電気機器を装着できないように構成することで、異なる電圧の電池パックの誤装着による電気機器の破損を抑制することが可能となる。さらに出力切替を手動スイッチ式とすることで、切替機構の訴求力向上を図ることが可能となる。さらに電池パック400のケース(401、410)の内部に切替機構のケースをさらに設けて2重構造とすることで、粉塵等の接点部への流入を抑制でき、接点不良を抑制することが可能となる。
以上説明したように、第4の実施例においては、スイッチ機構450を用いて手動にて電圧切替えが可能とされた電池パック400を実現できた。しかも、電気機器本体側の突起部44(図22参照)又は突起部484(図23参照)の幅を変えることにより、低電圧側の電気機器本体に高電圧側に設定された電池パックを装着してしまうミスを防止することができる。更に、スイッチ機構450を、装着方向に見てラッチ収容領域とオーバーラップする範囲、言い換えると、装着方向で見てレール部438aと438b(図21参照)よりも後方側に配置している。そのため、電池パック400の左右方向の寸法が大きくなることを抑えることができる。更に、スイッチ機構450を***部432で囲まれた領域に配置することで、電池パック400を電気機器本体に装着した際に、スイッチ機構450が外部に露出することがない。尚、36V用の電気機器本体に、18Vにセットした電池パック400を装着しても実害はない。これは定格18Vの直流を36V用機器に装着しても、電池パックの使用可能下限電圧(例えば24V)以下となって、電気機器が動作しないためである。このような低い電圧では、電気機器のモータを駆動することは難しいが、電気機器の演算部を動作させることは可能である。従って、電気機器本体側にブザーやその他の手段を設けて、高電圧に適合する電気機器本体に切替スイッチが低電圧状態のまま装着しようとした際に電池電圧の設定ミスを知らせる警告音を発するようにしても良い。このアラームは音だけに限られずに、LEDランプを利用した光の点滅によるアラーム表示を行うようにしても良いし、モータをわずかに駆動させて人為的な振動を発生させて振動により伝達しても良いし、その他の報知手段で合っても良い。
図29は第4の実施例の変形例であって、高電圧用の電気機器本体480Aへ18Vに設定した電池パック400を装着できないようにした構成を示す図である。ここでは、36V用の電気機器たる電動工具本体480A側の電池パック装着部481に形成され突起部484に隣接して、第2の突起部485を設けたものである。第2の突起部485の形状は、下側から上方向を見た際に略三角形の形状とされる。突起部485の前側頂点の位置は、18Vに設定した際の電池パック400の操作レバー452の位置と一致するように形成され、操作レバー452が18Vのままでは電池パック400が装着できない。このように構成することにより電池パック400の装着ミスを効果的に防止することができる。上述の誤装着防止機構は、電池パック400を装着する際に誤りに気がつくようにしたものであるが、本変形例ではさらに電池パック側の一部に出力電圧の切り替え状況がわかる表示窓490を設けて、作業者が設定電圧を一目で見てわかるように構成した。表示窓490は、切り抜かれた開口又は透明素材による窓であり、内部にスイッチ機構450の操作レバー452の移動に伴う表示態様が切り替わるようにした。表示窓490を形成する位置は、作業者が電池パック400を装着する時に見やすい位置、例えば、後方側上部で左右に設けられたラッチ441の間付近の後壁面に配置すると良い。ここでは電池パック400Aを18V設定とした際には矢印491に示すように赤く表示されるようにし、電池パック400Aを36V設定とした際には矢印492のように別の色で表示されるようにした。しかしながら、表示窓490内の表示形態を変えるのは色だけに限定されずに、表示窓490の大きさをさらに大きくして、表示窓490の内側に“18V”又は“36V”と文字で表示するように切り替えても良いし、その他の文字、図形又は色彩の組み合わせで表示するようにしても良い。以上のように構成することにより、作業者にとっても電池電圧の状態を一目でわかるように構成できた。
以上、第4の実施例について説明したが、電池パックを接続する電気機器本体の電圧に合わせて、低電圧又は高電圧を出力可能とする切替素子(スイッチ機構450)を設け、切替動作を操作する操作部(操作レバー452)が第1の位置にあるときは低電圧を出力するように構成し、第2の位置にある場合は高電圧を出力するように構成した。この構成は、図21〜図23にて示したような電池パック400、即ちラッチ441が左右両側に存在して、***部432が上面視でコの字状の凹部として形成され、その内側部分のストッパ部431を有する構成だけに適用するのではなく、他の電池パックの筐体や、ラッチ形状を有する電池パックにおいても同様に適用できる。第4の実施例で重要なことは、電池パックのハウジングの内部にスイッチ機構を設けること、スイッチ機構を操作するための操作レバー等の操作部を設けること、電池パックの装着時に操作部が操作できないようにするために操作部は電池パック装着時に外から触れることができない場所に設けることである。これらの要件を満たすことにより、様々な構成の電池パックに対して第4の実施例を適用することができる。
例えば、ラッチ機構のボタンが2つでなくて、ハウジングの後方側中央に1つだけあるような電池パックであっても、実施例4で示した発明を適用することができる。ラッチ機構のボタンが1つの場合であっても、電池パックのハウジングの内部にスイッチ機構を収容し、レール機構によって挟まれる空間又は正極端子と負極端子が配置される端子配置領域の後方側に、又はレール機構によって挟まれる空間や端子配置領域と部分的に重複するように後方側にスイッチ機構を操作する操作部を、電池パックの装着時に隠れる位置に設けるようにすれば良い。操作部の形状は揺動式の操作レバーだけに限られずに、プッシュ式の操作ボタン又はスライド式のレバーであっても良い。
次に図30及び図31を用いて本発明の第5の実施例を説明する。第5の実施例の電池パック500においては、第4の実施例と同様に18Vと36Vを切替スイッチにより切り替え可能としたが、切替スイッチを作業者が手動でおこなうのではなく、電池パック500が電気機器本体に装着された際に、自動的に本体側の定格電圧に対応した出力電圧に切り替わるように構成した。ここでは電気機器本体側の突出部(図2の24、図22の44)の幅に対応して、2つのスイッチレバー572、577が自動的に移動することによって切替スイッチ機構を動作させて電気回路の接続状態を変更するものである。
図30(1)は本発明の第5の実施例に係る電池パック500の上面図(一部断面部)であり、(2)は(1)の状態の時の回路図である。電池パック500の***部432(図21参照)には、左右方向に移動するラッチ141が形成される。ラッチ141は前方側にラッチ爪を有する部材であって、スプリング142によって外側に突出するように付勢される。本実施例では2つのラッチ141の内側部分に移動式のスイッチレバー572と577を有するスイッチ機構を設けた。スイッチレバー572、577はぞれぞれのスイッチハウジング571、576によって収容されており、電池パック500の左右方向にスイッチレバー572、577が移動可能なように保持する。スイッチハウジング571とスイッチレバー572の間にはスプリング573が介在され、スイッチレバー572が電池パックの内側に近づくように付勢する。同様にして、スイッチハウジング576とスイッチレバー577の間には同じ付勢手段、即ちスプリング578が介在され、スイッチレバー577が電池パックの内側に近づくように付勢する。
図30(1)に示すスイッチレバー572、577の位置は、電気機器本体1A側の突起部44に挿入される際に、突出部44の左右側面に当接することによって外側に押し込まれた状態である。ここではスイッチレバー572、577の挿入方向でみて電気機器本体1A側(図22)の端部に、点線で示す突起部44の角部が当接することによって装着方向と直交する外側方向にスイッチレバー572、577が押し出されるようにした。この押し出される方向への移動を容易にするために、スイッチレバー572、577の接触部付近には前方から後方に掛けて内側に傾斜するような斜面部572aと577aを形成した。電池パック500を電気機器本体1Aに対して完全に装着すると、スイッチレバー572、577の先端位置が***部432の内側壁面とほぼ同一となるまで移動する。スイッチレバー572の前方側には絶縁端子541を保持するためのスライダ572bが形成される。同様にして、スイッチレバー577の前方側には絶縁端子542と短絡端子544を保持するためのスライダ577bが形成される。絶縁端子541、542はプラスチック等の合成樹脂の成形品であって、対向する接触端子対531、532の間に入り込み、それぞれの接触している端子間を離合させて電気的に遮断させる。短絡端子544は金属製の薄板であって、スイッチレバー577側にだけ固定される。ここでは、絶縁端子541、542は、合成樹脂の成形によってスイッチレバー572、577と一体に成形され、短絡端子544はその成形の際に金属板が鋳込まれることによりスライダ577bに強固に固定される。
図30(2)は、電池パック500が図22に示す電気機器本体1Aに装着された際の接続状態を示す回路図である。接触端子対531、532はそれぞれが2つの短絡端子から構成され、配線の途中に位置して短絡端子が接触している状態で配線を接続状態にし、2つの短絡端子が離反して非接触状態になったら配線を非接続状態にする。電気機器本体1Aが装着されていない状態では、接触端子対531、532のそれぞれの2つの短絡端子は接触していて接続状態にある。非接触端子対534は、2つの離合している金属端子から構成され、セルユニット356の−出力(−端子)とセルユニット357の+出力(+端子)を接続する直列接続用の配線内に位置し、2つの金属端子の間に導通用の金属部材、即ち短絡端子544が介在することによって配線が接続状態とされる。図30の状態では、絶縁端子541、542が接触端子対531、532から離れており、短絡端子544が非接触端子対534から離れているので、結果として2つのセルユニット356、357の並列回路が形成され、正極出力端子521と負極出力端子522から定格18Vの直流が出力される。
図31(1)は、36V用の電気機器本体480(図23)に電池パック500が装着された時の状態を示す図である。ここでは電気機器本体480の電池パック装着部481に形成される突起部484Bの幅を、左右方向に狭く形成してS3とした。この幅S3は、図22で示した幅S1や図23で示した幅S2よりも狭く形成することによって、電池パック500を36V用の電気機器本体480に装着された際に、突起部484Bはスイッチレバー572、577のいずれにも接触しないようにした。つまり、図31(1)の各端子組の状態は、電池パック500が36V用の電気機器本体480に装着された状態を示すと共に、電池パック500が電気機器本体等から取り外されている状態を示している。この状態においては、(2)の回路図で示すように、接触端子対531、532の間に絶縁端子541、542が入り込んでいる状態にあり電気的導通は解除される、一方、非接触端子対534の間には短絡端子544が入り込んでいる状態にあって電気的導通は確立される。従って、セルユニット356、357の並列接続状態が解消されて、直列接続状態となり、正極出力端子521と負極出力端子522から定格36Vの直流が出力されることになる。第5の実施例においては、切替スイッチ機構を、装着方向に見てラッチ収容領域L1とオーバーラップする範囲L2に配置した。ラッチ収容領域L1は、ラッチ機構を設置するのに要する前後方向長さであり、長さL2はスイッチレバーとスイッチハウジングを含むスイッチ機構を設置するのに要する前後方向長さである。この切替スイッチ機構の位置は、装着方向で見てレール部538aと538b(図31では図示省略)が配置される箇所よりも後方側に配置されることになる。そのため、電池パック500の左右方向の寸法が大きくなることを抑えることができる。更に、切替スイッチ機構は電池パック500の上段面(図21の上段面415と同様の位置)よりも下方であって、上面視において***部432で囲まれたコの字状の内側領域と部分的に重複するように配置したため、電池パック500を電気機器本体に装着した際に切替スイッチ機構が外部に露出することがない。
以上、第5の実施例によれば、基本状態を直列回路構成とし、スイッチ機構による切り替え後の出力形態を並列回路構成とすれば、電池パックの出力電圧の切り替えを容易に行うことが可能となる。更に、本構成に用いた電池パックの基本形状は、従来から用いられている18V用の電池パック同等の大きさを維持した状態で、本実施例に対応する変更が可能である。本実施例の構成によれば、従来技術に比べ異電圧切替構造は単純化が可能となり、部品点数も少なく、本実施例の構造を採用するに当たりコスト上昇を抑制することができる。更に従来の電池パックと比較しても、サイズ的に大きくならないという利点もあり、課題であった従来の電池パックとの互換性も図れるという効果を得られる。
上述の実施例は種々の変更が可能である。上述の実施例では18Vと36Vの電圧切り変えに対応させたが、その他の電圧比としても良い。