JP6876221B2 - 偽造防止印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書、重要書類等の偽造、改ざんの防止が求められる印刷物において、カラー複写機又はモノクロ複写機により複写した場合に容易に真偽判別することができる偽造防止印刷物に関するものである。
銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書、重要書類等の印刷物において、偽造、改ざん防止策は重要な要素である。これらの印刷物の偽造、改ざん防止策は、主に、幾何学模様を多様化した図柄をデザインに用いる方法と、印刷物に対して画線や網点の配置、複数の層構成、特殊な材料の使用等、印刷模様に手段と作用を加えることで、目視では認識することができない潜像が現出する方法がある。前者の代表的な例は、証券印刷物等のデザインに広く用いられる地紋、彩紋、レリーフ模様等があり、後者の代表的な例は、潜像凹版やカラー複写機で色が正常に再生されないような機能性インキ又はコピー防止画線等がある。
前述の地紋、彩紋、レリーフ模様等は、基本的には一定の画線幅による曲画線の集合によって模様を構成しているものであり、印刷物のデザイン等の意匠性を加味した偽造、改ざん防止策とすることができる。模様を複雑にすることによって、偽造物において同一の模様を作製することを困難とし、カラー複写機では再生されにくい色彩を用いることや、複雑な曲画線を用いることでカラー複写機、モノクロ複写機又はスキャナの走査入出力に対してモアレを発生させることで偽造防止策としての役割を高めている。
また、前述の模様類は、証券印刷物等のデザインにおいて世界的に広く用いられるとともに、銀行券、株券、債券等の金銭的価値を有する印刷物の模様として古くから用いられ、現在でも高級感を印象付けるデザインとして重要な模様となっている。したがって、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書、重要書類等の印刷物において、地紋、彩紋、レリーフ模様等は、デザイン上欠かすことのできない模様である。しかしながら、最近では、高機能化した写真製版装置、カラー複写機又はモノクロ複写機の出現によって、十分な偽造、改ざん防止効果をもたらしていないという欠点がある。
また、前述の印刷物に対し、画線や網点の配置、複数の層構成、特殊な材料の使用等、印刷模様に手段と作用を加えることで、目視では認識することができなかった潜像を複写物に現出させる方法の代表的な技術として、一般的にコピー防止画線と称する一連の技術がある。また、用紙の表面に網点で潜像を印刷し、万線で潜像と同濃度の背景を同時印刷し、背景を含む潜像の上面に装飾模様をコピーで再生されない程度の薄色の透明性インキで重ね刷りすることにより、印刷物表面を体裁良く仕上げ、コピーにかけると模様は見えなくなり、背景は再生されるものの、潜像は再生されず、背景と潜像の濃度差が歴然となって複写物であることが一見して分かるといった方法は、これまでも数多くの出願がある。
それらの発明の多くは、網点又は万線等の点及び線が一定周期で連続配置する画線群(以下「スクリーンパターン」という。)の粗密によって潜像が施され、印刷物に示すように、印刷面全体の模様が均一濃度を持ったスクリーンパターンとなっている。この潜像が施された印刷物において、カラー複写機又はモノクロ複写機によって複写した際、再生されない密構成のスクリーンパターンと、再生される粗構成のスクリーンパターンに複写物の模様に濃度差が生じて、再生される粗構成のスクリーンパターンに対して、再生されない密構成のスクリーンパターンの潜像部分が現出するようにして、複写物であることが一目瞭然となるようにしたものである。
また、本出願人も、用紙表面に網点又は万線等のパターンから成る潜像と、当該潜像周囲に前述の潜像とは粗密が異なるパターンから成る背景を1色で同時印刷した印刷物において、当該潜像を施した潜像模様が肉眼では識別されないことを特徴とする複写防止に適する印刷物として、潜像をカムフラージュするための別の模様や薄色の透明インキ、さらには、淡色の重ね刷りを施さず、白抜きの円形模様や、全面的なスクリーンパターンに対する部分的なスクリーンパターンの網点パーセントを増加した同心円模様等で、カムフラージュする方法を既に出願している(例えば、特許文献1参照)。
また、万線と網点のいずれか一方を構成子として潜像を形成し、かつ、他方を構成子として背景を形成し、万線が50線10%、網点が150線10%であるフィルム原版において、潜像の画線と背景の画線の全体をカムフラージュするために、175線10%の網点から成る地紋を組み込み、一度刷りで用紙に印刷を施すという画線構成が既に出願されている(例えば、特許文献2参照)。
また、本出願人は、曲線状の集合模様として、潜像を施さない部分の画線を連続線、潜像を施した部分の画線を基本線方向に一定の間隔で配列された形状の画線から成る定周期断絶線で構成し、潜像を施した部分の定周期断絶線のうち、基本線方向に連続した一つの画線部と非画線部から成る一周期に相当する部分の画線面積の総和が、潜像を施さない部分の連続線のうち、前述の潜像部における画線部と非画線部から成る一周期と同一の長さに相当する部分の画線面積と等しくし、さらに、潜像を施した部分の定周期断絶線となっている画線において、定周期断絶線の画線同士が交差する部分で、画線同士のどちらか一方の画線を、もう一方の画線の画線幅の範囲内で削除することを特徴とした、複写防止模様の作成方法及びその印刷物を出願している(例えば、特許文献3参照)。
また、本出願人は、直線又は曲線状の1本又は複数の直線又は曲線から成る画線模様を、潜像を施さない部分の画線を実線で、潜像を施した部分の画線を基本線方向を基準として等距離により複数に分岐し、複数に分岐した画線がそれぞれ一定の間隔で配列された形状の画線から成る定周期断絶線で構成した印刷物において、潜像を施した部分の画線は、基本線方向に複数に分岐した画線部と非画線部から成る一周期に相当する部分の画線面積の総和が、潜像を施さない部分の実線のうち、前述の潜像部における画線部と非画線部から成る一周期と同一の長さに相当する部分の画線面積と等しくすることにより、複写すると非視認性となり、複写前に視認される画像を構成する画線は、前述の潜像部における画線部と非画線部から成る一周期と同一の長さに相当する部分の画線面積より大きくするといった印刷物を出願している(例えば、特許文献4参照)。この印刷物は、カラー複写機又はモノクロ複写機での複写後には、不可視画像であった潜像が現れ、可視画像であった模様が入れ替わるように観察することができることで真偽判別性を高めている。
また、本出願人は、複写機で再生される第1の大きさの画線と、複写機で再生されない第2の大きさの画線によって同一濃度の背景部を形成し、さらには、複写機で再生されない第3の大きさの画線によって可視画像部を形成することで、印刷物を通常光下で観察した場合には、背景部上に形成された可視画像部の濃度によって可視画像が観察されるが、印刷物をカラー複写機等の複写機で複写した場合、可視画像部を形成する第3の大きさの画線と、背景部を形成する第2の大きさの画線は再生されないことで、可視画像とは全く異なる潜像画像が出現する、画像のチェンジ効果を備えた複写、改ざん防止印刷物を出願している(例えば、特許文献5参照)。
さらに、本出願人は、印刷物上に形成された可視画像と複写機で複写した際に出現する潜像画像がチェンジする効果を有し、かつ、複写物に出現する潜像画像を写真画像のような連続階調画像とすることができる偽造防止用印刷物を出願している(例えば、特許文献6参照)。この印刷物は、連続階調を有する潜像画像を潜像画線の大小(太細)により形成し、当該潜像画線と濃度を反転させたカムフラージュ画線を複写機で再生されない大きさの画線で形成することで、印刷物を視認しても潜像画像は確認されないが、複写機で複写した場合にカムフラージュ画線が消失し、連続階調を有する潜像画像が出現するものである。
特許第2695523号公報 実用新案第3010365号公報 特許第3268418号公報 特許第3689786号公報 特許第5692663号公報 特開2016−172340号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の印刷物は、近年の高機能化された製版及び印刷出力装置を用いた場合、その画線構成を容易に再生することができてしまうことで複写防止機能が発揮されないことがあった。
また、特許文献3及び特許文献4の印刷物は、複写時の効果は向上したものの、可視画像であった模様が完全に入れ替わるものでなく、可視画像と潜像が重なっている部分については可視画像が優先され、潜像が部分的に欠けた状態となり、複写後に視認される画像の視認性を向上させるという課題があった。
また、特許文献5の印刷物は、印刷物と複写物において、可視画像と複写物に出現する潜像画像が完全に入れ替わることから、複写後に視認される画像の視認性は向上したが、可視画像と潜像画像を形成する規則的な画線が残る又は消失するというオン又はオフの関係により画像のチェンジ効果を創出しており、潜像画像自体が2値画像であることから、可視画像が消失し、潜像画像が出現した複写物の画像を加工して偽造品を作成する方法に対しては、高い偽造抵抗力を有するものではないという課題が残されていた。
さらに、特許文献6の印刷物は、連続階調を有する潜像画像を形成することで、複写物を加工する行為に対して極めて高い複写防止効果を有しているが、潜像画像を形成する潜像画線及びカムフラージュ画線を「線」と「点」で構成していることから、特許文献3から特許文献5までと同様に、潜像画像の視認性が複写機に搭載されたバンドパス・フィルタ等の画像処理性能に左右され、カムフラージュ画線が完全に消失しない場合がある。そのため、複写防止効果が十分ではないという課題が残されていた。
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、印刷物上に形成された可視模様と複写機で複写した際に出現する連続階調を有する潜像模様がチェンジする効果を有し、かつ、複写機で再生されないカムフラージュ画線をハーフトーン要素に置き換えることで、複写機の解像度への依存性が少なく、複写物に対して確実に連続階調を有する潜像模様を出現させる偽造防止印刷物に関するものである。
本発明の偽造防止印刷物は、基材上の少なくとも一部に基材とは異なる色の印刷模様を有し、印刷模様は、複写機によって再生される大きさの第1の要素が複数配置されて連続階調が形成された潜像模様と、複写機によって再生されないハーフトーン濃度の複数の第2の要素を少なくとも有して形成された潜像模様をカムフラージュする背景模様を備え、潜像模様は、基画像の連続階調に合わせて面積率が変化した第1の要素によって潜像模様のポジ模様が形成され、背景模様は、基画像の連続階調に合わせてハーフトーン濃度が変化した第2の要素によって潜像模様のネガ模様が形成され、印刷模様における単位面積当たりに形成された第1の要素と第2の要素を合計した面積率は、印刷模様内全てにおいて同一の面積率で形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物である。
また、本発明の偽造防止印刷物は、印刷模様における単位面積当たりの面積率が15%から30%までの範囲内であることを特徴とする。
また、本発明の偽造防止印刷物におけるカムフラージュ領域は、更に複写機で再生されないハーフトーン濃度の第3の要素を有し、第3の要素が複数配置されて可視模様が形成されたことを特徴とする。
本発明の偽造防止印刷物は、複写機の解像度等の性能に依存することなく確実にカムフラージュ領域のハーフトーン要素が消失することから、複写機を用いた偽造行為を確実に防止することができる。
また、本発明の偽造防止印刷物は、複写物に視認される画像を複雑な連続階調を有する画像とすることができることから、顔画像等を含む身分証明書、卒業証書等に用いた場合に複写物上に形成された顔写真と潜像模様を比較することで、容易に真偽判別することができる。
第1の実施の形態における印刷物の構成を示す図 第1の実施の形態における複写物の構成を示す図 特定の領域内において潜像模様を形成する第1の要素と第2の要素を示す図 第1の実施の形態における第1の要素及び第2の要素の変形例を示す図 第1の実施の形態における第1の要素の変形例を示す図 第2の実施の形態における印刷物の構成を示す図 第2の実施の形態における複写物の構成を示す図 特定の領域内に形成される第1の要素、第2の要素及び第3の要素の関係を示す図 第3の実施の形態における卒業証書対応の印刷物を示す図 第3の実施の形態における複写物を示す図
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明するが、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他の様々な実施の形態が含まれる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態における偽造防止印刷物(以下「印刷物」という。)について図1を用いて説明する。図1(a)は、第1の実施の形態における印刷物(1)を示すものであり、基材上に複写防止機能を有する印刷模様(2)が形成されたものである。この印刷模様(2)は、通常時において模様として視認可能なように、基材とは異なる色を有している。図1(a)の拡大図に示すように、印刷模様(2)は、複写時に再生される大きさの第1の要素(3)と、複写時に再生されない濃度の第2の要素(4)が形成される。なお、印刷模様(2)が基材とは異なる色を有していることは前述したが、第1の要素(3)と第2の要素(4)は同じ色である。
図1(b)は、印刷模様(2)内に形成されている潜像模様(10)の基となる基画像(12)を示している。本発明の特徴点として、潜像模様(10)が連続階調を有していることであるため、この基画像(12)は、図1(b)に示すように、連続階調を有している。なお、図1(b)では、女性の顔画像を基画像(12)としている。潜像模様(10)は、第1の要素(3)が規則的に一定ピッチで形成された万線パターンであり、この基画像(12)が有する連続階調の濃淡に合わせて第1の要素(3)の面積率を変化させて形成することで、潜像模様(10)を形成している。
第2の要素(4)は、高精細な網点等から成るハーフトーン要素によって形成され、特定の領域内における第1の要素(3)と第2の要素(4)を合計した面積率が一定になるように、潜像模様(10)の階調を表現する第1の要素(3)の面積率の増減に合わせて面積率を変化させて形成される。
第2の要素(4)は、カラー複写機等で再生されない要素として形成する必要があるため、例えば、線数200line/インチ相当以上の高精細網点で形成する必要があり、可視光下での視認状態を考慮すると、最高面積率が20%程度のハーフトーンであることが好ましい。
なお、第1の実施の形態では、第1の要素(3)を規則的に一定ピッチで形成された万線パターンとし、第2の要素(4)を高精細な網点等を複数配置したハーフトーン要素で形成しているが、第1の要素(3)を点線、波線、二重線等の異なる形状により形成しても、複写機で再生される構成であれば特に限定されず、さらには、第2の要素(4)を、FMスクリーン等のランダム配置の50μm以下の微細ドット等によって、複写機で再生されない濃度で形成すれば、同様の効果を得ることができる。
図2は、第1の実施の形態における印刷物(1)の複写物(6)を示すものである。図2に示すように、複写物(6)における複写模様(7)は、第1の要素(3)の面積率を増減させていることで形成された潜像模様(10)が可視化される。なお、本明細書中において、複写模様(7)とは、印刷物(1)に形成されている印刷模様(2)が複写された後の状態を示す模様のことであり、潜像模様(10)とは、複写模様(7)内に出現する有意味な模様のことであり、その潜像模様(10)以外が背景模様(11)である。背景模様(11)とは、第2の要素(4)が複写後には実際に消失した領域のことである。逆に言えば、第2の要素(4)で背景模様(11)が形成されていることとなる。図2では、複写模様(7)内に女性の顔が再生されているが、この女性の顔が潜像模様(10)となる。これは、図2の拡大図に示すように、複写機で再生されない濃度で形成された第2の要素(4)が複写物(6)では消失して背景模様(11)となるため、特定の領域内において同一濃度で観察された状態が保たれなくなり、潜像模様(10)の濃淡を表現している第1の要素(3)の濃度差がそのまま再生され、複写模様(7)となって可視化されるものである。
次に、第1の実施の形態における印刷物(1)の構成について、図3を用いて説明する。図3は、印刷模様(2)全体が面積率を20%とした場合に、第1の要素(3)と第2の要素(4)の構成を示すものである。第1の要素(3)は、潜像模様(10)のポジ模様(3a)をそのまま再生するものであり、画像を面積率0%から20%までの範囲内で表現することができる潜像模様(10)に濃度補正して形成する。また、第2の要素(4)は、潜像模様(10)のネガ模様(4a)を形成するものであり、第1の要素(3)が潜像模様(10)の最も淡い濃度の要素として配置された場合の最大値である、面積率20%の要素で形成することができるネガ模様(4a)まで濃度補正した画像を用いることで、特定の領域内において同一濃度を保つことができる。
図3に示すように、潜像模様(10)のポジ模様(3a)の最も淡色部分、すなわち0%を形成する場合、第1の要素(3)の面積率は同様に0%で形成し、第1の要素(3)の濃度を補う面積率20%で形成された第2の要素(4)を形成することで、特定の領域内の面積率を20%とすることができる。万線パターンの線数は50line/インチであることから、万線パターンのピッチ(P)は508μmとなっている。
同様に、面積率が5%の第1の要素(3)が形成された場合、約15%の第2の要素(4)が形成され、10%の第1の要素(3)が形成された場合、約10%の第2の要素(4)が形成され、15%の第1の要素(3)が形成された場合、約5%の第2の要素(4)が形成され、20%の第1の要素(3)が形成された場合、0%として第2の要素(4)が配置されない状態となる。以上の法則性を成すことにより、潜像模様(10)のポジ模様(3a)の連続階調において全体の面積率を20%に保つことで、印刷模様(2)内に形成された潜像模様(10)を可視化されない状態として形成することができる。
また、図3では、特定の領域内における第1の要素(3)及び第2の要素(4)の合計面積を20%とした例で説明したが、これに限定されるものではなく、二つの要素の合計面積を15%から30%までの範囲内に設定すれば、本発明の印刷物の効果を得ることができる。さらに、第1の要素(3)の面積率は必ずしも0%から20%までの範囲内である必要はなく、面積率5%から20%までの範囲等、連続階調の上限が30%以下の範囲内であればよい。すなわち、本発明では、印刷模様における単位面積当たりに形成された第1の要素(3)と第2の要素(4)の合計の面積率が、印刷模様内の全てにおいて15%から30%までの範囲で、同じ面積率により形成されている。
図4は、第1の実施の形態の印刷物(1)における特定の領域内の変形例を示すものであり、前述したとおり、図3に示された各々の特定の領域内における面積率を一定濃度として形成することができれば、第1の要素(3)と第2の要素(4)の形状、配置位置等は特に限定されず、例えば、図4(a)に示すように、第2の要素(4)を高精細な網点(AMスクリーン)としてもよいし、図4(b)に示すように、ランダム配置の微細ドット(FMスクリーン、誤差拡散ディザ等)としてもよい。すなわち、印刷で表現し得る形状は本発明の範囲内である。
また、本発明の印刷物(1)における第1の要素(3)は、図4(c)及び図4(d)に示すように、複写機で再生される網点形状の要素として形成することも可能であり、その場合の第2の要素(4)については、図4(c)に示すように、高精細な網点(AMスクリーン)としてもよいし、図4(d)に示すように、ランダム配置の微細ドット(FMスクリーン、誤差拡散ディザ等)としてもよい。すなわち、印刷で表現し得る形状は本発明の範囲内である。
特定の領域内とは、第1の要素(3)と第2の要素(4)とを含む領域であり、特定の領域内において第1の要素(3)が万線パターンを有するものであれば、図5に示したように全体として曲線状の万線パターンを形成することができる。これにより、万線パターンについては、波万線、同心円万線等、様々なパターンを適用でき、第1の要素(3)によってデザイン性を考慮した地紋、彩紋、レリーフ模様等を形成することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態における印刷物(1)について、図面を参照して説明するが、第1の実施の形態の印刷物(1)と同様の構成である第1の要素(3)及び第2の要素(4)の説明は省略し、第2の実施の形態の特徴的部分である、可視模様(8a)を形成する第3の要素(8)について詳細に説明する。
図6は、第2の実施の形態における印刷物(1)を示すものであり、基材上に形成された印刷模様(2)内に通常光下で観察される可視模様(8a)が形成されたものである。第2の実施の形態における印刷物(1)は、第1の実施の形態における印刷物(1)と同様に、潜像模様(10)を形成する第1の要素(3)と、第1の要素(3)の面積率の増減によって形成された濃度差をカムフラージュする背景模様(11)を形成するための第2の要素(4)を配置することで、各々の特定の領域内における濃度を一定に保ち、潜像模様(10)が可視化されない状態としている。
図6の拡大図に示すように、第2の実施の形態における印刷物(1)は、第1の要素(3)の面積率の増減によって形成された階調をカムフラージュしている第2の要素(4)以外に、複写機で再生されない第3の要素(8)の濃度に、第2の要素の濃度が加味されて形成されており、第1の実施の形態の印刷物(1)を可視光下で観察した場合に一定濃度として視認された印刷模様(2)内に可視模様(8a)を形成する第3の要素(8)の濃度を加味することで、印刷物(1)を通常光下で観察した場合に、第3の要素(8)で形成された可視模様(8a)が視認される。
図7は、第2の実施の形態における印刷物(1)の複写物(6)を示すものである。図7に示す複写物(6)上に形成された複写模様(7)は、第1の要素(3)で形成された潜像模様(10)が可視化したものである。この理由は、第2の実施の形態における印刷物(1)に形成された第2の要素(4)及び第3の要素(8)が、複写時に再生されない濃度で形成されているため、図7の拡大図に示すように、複写物(6)上に再生されず、第1の要素(3)のみが形成されることで、第1の要素(3)の面積率の増減によって濃淡表現された連続階調を有する潜像模様(10)が出現するものである。
図8は、第2の実施の形態における印刷物(1)の特定の領域内における構成を示すものである。第2の実施の形態では、各々の特定の領域内における最大濃度、すなわち、最も濃度の高い可視模様(8a)領域を表現する特定の領域内の面積率を29%とし、最低濃度、すなわち、最も濃度の低い可視模様(8a)部位分を表現する特定の領域内の面積率を20%としたものである。
図8に示す特定の領域内は、可視模様(8a)を9%の濃度で再生した第3の要素(8)と潜像模様(10)を形成する第1の要素(3)と第2の要素(4)で形成される画像を合成することで、印刷模様(2)を形成している。各々の特定の領域内において潜像模様(10)と潜像模様(10)をカムフラージュする第1の要素(3)及び第2の要素(4)を面積率20%で形成し、可視模様(8a)を形成する第3の要素(8)を面積率0%から9%までの範囲で任意に形成することで可視模様(8a)が形成される。なお、第2の実施の形態における印刷物(1)では、可視模様(8a)を形成する面積率の範囲を0%から9%までの連続階調としているが、0%から9%までの範囲といった2階調であってもよい。
また、第2の実施の形態における印刷物(1)では、特定の領域内の最高濃度を29%としているが、30%以下で形成すれば本発明の効果を得ることができる。特定の領域内の最高濃度を、30%を超える面積率とした場合、印刷模様(2)の全体が高濃度となり、デザイン性を損なうだけでなく、図7に示す複写物(6)上に複写模様(7)が形成されないこともあり、好ましくない。
図8は、潜像模様(10)を形成する第1の要素(3)の面積率を段階的に大きくした場合であって、かつ、可視模様(8a)を形成する第3の要素(8)を段階的に大きく形成した例を示すものである。ここでは、第1の要素(3)及び第2の要素(4)の面積の変動については説明を省略し、可視模様(8a)を形成する第3の要素(8)についてのみ説明する。図8では、面積率0%から9%までの範囲で階調を表現したものであり、縦方向に隣接して形成された特定の領域内における第2の要素(4)の濃度、すなわち、第2の要素(4)の面積率に、第3の要素(8)の濃度、すなわち、第3の要素(8)の面積率が加味された構成としており、上から、第3の要素(8)0%、2%、4%、7%、9%と、段階的に第3の要素(8)の面積率を増加させた例を示している。結果として印刷模様(2)は、特定の領域内において、第1の要素(3)、第2の要素(4)及び第3の要素(8)が合計された面積率となる。なお、第3の要素(8)は、各々の特定の領域内において可視模様(8a)に合わせた濃淡を表現すればよく、各々の特定の領域内に形成された第1の要素(3)及び第2の要素(4)との組合せについては特に限定されない。
また、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、第2の要素(4)及び第3の要素(8)を複写機で再生されない網点の集合によって形成する方法や、第3の要素(8)を複写機で再生されない大きさで形成された複数の要素で形成する等の方法を用いることができ、これらは本発明の範囲内である。
したがって、第1の実施の形態で説明したように、本発明では、印刷領域における単位面積当たりに形成された第1の要素及び第2の要素を合計した面積率が15%から30%までの範囲内であったが、本第2の実施の形態でも、印刷領域内での単位面積当たりの面積率は15%から30%までの範囲であるため、第1の要素、第2の要素及び第3の要素の合計の面積率が15%から30%までの範囲内である。
(第3の実施の形態)
図9は、第3の実施の形態における卒業証書タイプの印刷物(1)であり、基材上に顔写真と複写防止機能を有する印刷模様(2)が形成された印刷物(1)である。印刷模様(2)には、可視模様(8a)と潜像模様(10)が形成されており、地紋領域内に顔写真画像(9)と、顔写真画像(9)と同じ潜像模様(10)が形成されている。したがって、本第3の実施の形態では、基画像(12)が顔写真画像(9)となっている。
上部の印刷模様(2)は、潜像模様(10)の階調を表現するために各々の特定の領域内において幅を増減して形成された第1の要素(3)と、第1の要素(3)の階調をカムフラージュする第2の要素(4)が形成され、下部の印刷模様(2)は、潜像模様(10)の階調を表現するために各々の特定の領域内において幅を増減して形成された第1の要素(3)と、第1の要素(3)の階調をカムフラージュする第2の要素(4)と、可視模様(8a)を形成する第3の要素(8)が形成される。なお、第1の要素(3)、第2の要素(4)及び第3の要素(8)の構成については、第2の実施の形態の印刷物(1)と同様であるため、説明を省略する。
図10は、第3の実施の形態における複写物(6)に形成された複写模様(7)を示すものであり、第2の要素(4)及び第3の要素(8)は複写機で再生されない大きさの要素で形成されていることから、複写物(6)上に再生されず、第1の要素(3)で形成された潜像模様(10)が観察される。これにより、上部の複写模様(7)及び下部の複写模様(7)が、写真画像(9)と一致するか否かを確認することで、写真画像(9)を貼り替える改ざん行為に対しても確実な真偽判別が可能となる。
1 印刷物
2 印刷模様
3 第1の要素
3a 潜像模様のポジ模様
4 第2の要素
4a 潜像模様のネガ模様
5 複写機
6 複写物
7 複写模様
8 第3の要素
8a 可視模様
9 写真画像
10 潜像模様
11 背景模様
12 基画像
P 万線パターンのピッチ

Claims (4)

  1. 基材上の少なくとも一部に前記基材とは異なる色の印刷模様を有し、
    前記印刷模様は、複写機によって再生される大きさの第1の要素が複数配置されて連続階調が形成された潜像模様と、複写機によって再生されないハーフトーン濃度の複数の第2の要素を少なくとも有して形成された前記潜像模様をカムフラージュする背景模様を備え、
    前記第2の要素は、線数200line/インチ相当以上の高精細ハーフトーンで形成され、
    前記潜像模様は、基画像の連続階調に合わせて面積率が変化した前記第1の要素によって前記潜像模様のポジ模様が形成され、前記背景模様は、前記基画像の連続階調に合わせてハーフトーン濃度が変化した前記第2の要素によって前記潜像模様のネガ模様が形成され、
    前記印刷模様における単位面積当たりに形成された前記第1の要素と前記第2の要素を合計した面積率は、前記印刷模様内全てにおいて同一の面積率で形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物。
  2. 基材上の少なくとも一部に前記基材とは異なる色の印刷模様を有し、
    前記印刷模様は、複写機によって再生される大きさの第1の要素が複数配置されて連続階調が形成された潜像模様と、複写機によって再生されないハーフトーン濃度の複数の第2の要素を少なくとも有して形成された前記潜像模様をカムフラージュする背景模様を備え、
    前記背景模様は、更に複写機で再生されないハーフトーン濃度の第3の要素を有し、
    前記潜像模様は、基画像の連続階調に合わせて面積率が変化した前記第1の要素によって前記潜像模様のポジ模様が形成され、前記背景模様は、前記基画像の連続階調に合わせてハーフトーン濃度が変化した前記第2の要素によって前記潜像模様のネガ模様が形成され、
    前記第3の要素は、可視模様を形成し、
    前記第2の要素及び前記第3の要素はそれぞれ濃度がいずれかの要素に加味されて形成されており、
    前記印刷模様における単位面積当たりに形成された前記第1の要素、前記第2の要素及び前記第3の要素を合計した面積率は、前記印刷模様内全てにおいて同一の面積率で形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物。
  3. 前記請求項2記載の前記第2の要素及び前記第3の要素が線数200line/インチ相当以上の高精細ハーフトーンで形成されていることを特徴とする偽造防止印刷物。
  4. 前記印刷模様における単位面積当たりの面積率が15%から30%までの範囲内であることを特徴とする請求項1から3記載の偽造防止印刷物。
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