JP6874460B2 - 離型フィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、ポリエステルフィルムを基材とした離型フィルムは、課題として、帯電しやすいこと、加熱時に基材自体に含まれるポリエステルの低分子量成分が析出することが挙げられ、工業上の使用において不具合を生じることがあった。
しかしながら、ポリエステルフィルムの問題として、このような高温に曝されると、フィルム中に含有されるオリゴマー(ポリエステルの低分子量成分、特に環状三量体)が、フィルム内部から析出してくることがある。このようにして析出したオリゴマーが粘着層に移行し、粘着層の内部で結晶化して異物となることで、欠陥を生じた製品となることがあった。
[1] ポリエステルフィルムの少なくとも片面に第一下引き層、第二下引き層、離型層の順に積層されており、前記第一下引き層は電子導電性化合物を含有しており、当該第二下引き層はアルミニウム、チタンおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む有機化合物、有機珪素化合物、触媒及び/又はそれらの重縮合物を含有する硬化物からなり、かつ、当該離型層はシリコーン樹脂硬化物を含有することを特徴とする離型フィルム。
[2] 前記第一下引き層にポリアルキレンオキサイド、グリセリン、ポリグリセリン、及びグリセリンもしくはポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物の群から選ばれる1種以上の化合物又はその誘導体を含有する[1]に記載の離型フィルム。
[3] 前記ポリエステルフィルムが多層構造を有し、第一下引き層と接する表層の厚みが2μm以上である[1]または[2]に記載の離型フィルム。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の離型フィルムと粘着層とを有する離型フィルム付き粘着剤。
このため、離型フィルムを用いた製品に対して、帯電による異物付着やオリゴマー析出による異物生成に伴う欠陥の発生がない、優れた外観を得ることが出来、その工業的な利用価値は高い。
本発明では、離型フィルムの基材としてポリエステルフィルムを用いる。
かかるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。
ポリエステルフィルムに粒子や添加剤を配合する場合、ポリエステルフィルム全体に加えたり、多層構造のポリエステルフィルムの一部の層のみに加えたりすることが出来る。例えば、ポリエステルフィルムが3層構成である場合、中間層には粒子を加えず、一方もしくは両方の表層に粒子を加えることで、易滑性と透明性を両立することが出来る。
本発明では、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、第一下引き層が積層されている。前記第一下引き層は、電子導電性化合物を含むことが特徴である。
ポリチオフェンは、チオフェンもしくはチオフェン誘導体を単独又は共重合して得られる重合体であり、中でもチオフェンもしくはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされたもの、又は化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされたものが、優れた導電性を示しさらに好適である。
特に、第一下引き層を後述の塗布延伸法で設ける場合、通常、前記電子導電性化合物はその剛直な性質から、延伸によって塗膜構造の断裂を生じ、帯電防止性能を失ってしまう場合がある。しかし、前記電子導電性化合物に前記成分を組み合わせることで、延伸後にも帯電防止性能が失われないという効果を奏する傾向がある。
ポリグリセリンとしては、上記式(3)の化合物において、nが2〜20のものが特に好ましい。また、グリセリンもしくはポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b4)としては、上記式(3)の化合物においてnが2のものにエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドを付加した構造のものが特に好ましく、また、その付加数は、最終的な化合物としての重量平均分子量で300〜2000の範囲になるものが特に好ましい。
例えば、バインダーとして、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂などが具体的に挙げられる。前記バインダーを用いると、第一下引き層の塗膜の強度、耐水性、および耐溶剤性を付与することが出来る。なお、前記バインダーと前記電子導電性化合物との相溶性が悪い場合、混合する前に前記電子導電性化合物は中和等によってpH調整をしておくことが好ましい。
なお、第一下引き層の厚みは、第一下引き層を設けたフィルムをルテニウム化合物やオスミウム化合物等の重金属を用いて染色を行い、超薄切片法により塗布フィルムの断面を調整した後、透過型電子顕微鏡にてフィルム断面の第一下引き層を複数個所観測する。その実測値を平均化することで、第一下引き層の厚みを確認することができる。
本発明における第二下引き層は、アルミニウム、チタンおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む有機化合物、有機珪素化合物、触媒及び/又はそれらの重縮合物を含有する硬化物からなるものである。
アルミニウム元素を含む有機化合物の具体例としては、アルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノメチルアセトアセテート等が例示される。
チタン元素を含む有機化合物の具体例としては、例えば、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチタンオルソエステル類;チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類等が挙げられる。
ジルコニウム元素を含む有機化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート等が挙げられる。
その中でも、オリゴマー析出防止性能が良好となる観点でキレート構造を有する有機化合物が好ましい。なお、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助 編者、(株)大成社、平成2年版)にも具体的に記載されている。
Si(X)d(Y)e(R1)f …(4)
(上記式中、Xはエポキシ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、ハロアルキル基およびアミノ基から選ばれる少なくとも1種を有する有機基、R1は炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、Yは加水分解性基である。dは1または2の整数、eは2または3の整数、fは0または1の整数であり、d+e+f=4である。)
なお、第二下引き層の厚みは、第一下引き層と同様の方法によって確認することができる。
本発明では、上述のようにして得られたポリエステルフィルム上の第一下引き層、第二下引き層の上に更にシリコーン樹脂硬化物を含有する離型層を設ける。離型層は、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーン樹脂等を使用してもよい。
具体例を挙げると、信越化学工業社製のKS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461;ダウ・コーニング・アジア社製のDKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210;東芝シリコーン社製のYSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721;東レ・ダウコーニング社製のSD7220、SD7226、SD7229等が挙げられる。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明の離型フィルムにおいて、離型層面の表面固有抵抗は、1.0×1010Ω以下が好ましく、1.0×108Ω以下がより好ましい。離型層面の表面固有抵抗が1.0×1010Ω以下であることによって、離形フィルムに十分な帯電防止性を有することができる。前記表面固有抵抗は、第一下引き層の組成、厚み等を調整することによって達成することができる。
一方、離型層面の表面固有抵抗の下限は特に限定されないが、10Ω以上がより好ましい。
本発明の離型フィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
最初に、前述のポリエステル原料を使用し、押出機のダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
次に得られた未延伸シートは、少なくとも一軸以上に延伸されることが好ましく、中でも二軸延伸されていることが好ましい。ポリエステルフィルムが少なくとも一軸以上に延伸されることによって、十分な機械的強度、寸法安定性が得られる。また離型フィルムとして使用する場合、製造工程内での不具合の発生を十分抑制することができる。
ポリエステルフィルムに第一下引き層を設ける方法としては、例えば、「コーティング方式」(原崎勇次著、槙書店、1979年発行)に示されるような塗布技術を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター等のような技術が挙げられる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
特に塗布延伸法としては、一軸延伸フィルムにコーティングした後に幅方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、基材の製膜と塗布層塗設を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがある。また、二軸延伸される前のポリエステルフィルム上を、まず塗布層を構成する樹脂層で被覆し、その後フィルムと塗布層を同時に延伸することで、基材フィルムと塗布層が強固に密着することになる。一方で、塗布層が基材のフィルムと共に延伸されることになるため、塗布層が細かく割れることがある。塗布層の目的によっては、この細かい割れによって所望の性能が得られないことがあるため、使用される材料の組み合わせ等によって上記の製造方法から最適な方法を選択するとよい。
第一下引き層の上に第二下引き層を設ける方法として、上述の第一下引き層の製造方法と同様に従来公知の塗工方法を用いることができる。
第二下引き層の上に離型層を設ける方法として、上述の第一下引き層および第二下引き層の製造方法と同様に従来公知の塗工方式を用いることができる。
なお、透過型電子顕微鏡にて断面から離型層の厚みを確認し、比重で割ることで塗布量を求めることもできる。一般的に硬化性シリコーンの比重は0.9〜1.2程度が多い。厚みが0.1μmの離型層の塗布量は、比重が1の時、0.1g/m2である。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
ポリエステル原料を約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させた。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加えた。沈殿物を濾過により除去し、更に、沈殿物をクロロホルム/メタノールの比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、乾固させた。乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所社製、「LC−7A」)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値をポリエステル原料量で割って、含有オリゴマー量(重量%)とした。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた。(絶対検量線法)
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲となるよう調整した。なお、液体クロマトグラフの条件は下記の通りとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製「MCI GEL ODS 1HU」
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
遠心沈降式粒度分布測定装置(島津製作所社製、SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
包埋樹脂でフィルムを固定した断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して試料を調整した。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM2010)で観察し、厚みを測定した。フィルムの計15箇所を測定し、数値の大きい方から3点と、小さい方から3点を除いた9点の平均を厚みとした。
得られた離型フィルムを、暗室下でハロゲンライトを用いて目視で離型層面から見た外観を評価した。以下の評価基準で判断して、3以上を合格とした。
<評価基準>
5:外観上の欠陥が全く無い
4:ムラ状の外観欠陥が僅かに認められるが、外観が良好
3:ムラ状の外観欠陥が認められ、外観が普通
2:ムラ状の外観欠陥がやや多く認められ、外観がやや悪い
1:ムラ状の外観欠陥が多く認められ、外観が悪い
離型フィルムを23℃、50%RHの室内に30日間放置後、離型層面を指先で数回摩擦し、離型層面の状態を以下の評価基準で判断し、密着性の目安とした。
<評価基準>
○:フィルム表面に変化が見られず良好
×:フィルム表面に指で擦った痕が見られ、剥離力も変化している
低抵抗率計(三菱化学社製、ロレスタGP MCP−T600)を使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気で離型フィルムの試料を30分間調湿後、離型層面の表面固有抵抗を測定した。
試料の抵抗値が高く、測定不可の場合は、高抵抗測定器(日本ヒューレット・パッカード社製、HP4339B)および測定電極(日本ヒューレット・パッカード社製、HP16008B)を使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気で離型フィルムの試料を30分間調湿後、離型層面の表面固有抵抗を測定した。
離型フィルム試料の離型層面に粘着テープ(日東電工社製、No.31Bテープ、基材厚み25μm)を貼り付けた後、100℃の熱風循環式恒温槽にて1時間加熱し、恒温槽から取り出した後、23℃で30分放置後の剥離力を測定した。剥離力は、引張試験機(インテスコ社製、「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離試験を行った。
離型フィルムの離型層面に、アクリル系粘着剤(日本合成化学工業製、コーポニールN−2233)を乾燥後の厚みが3μmになるように塗布し、粘着層を設けた。この粘着層を介し、離型フィルムをガラス板に貼り付けた後、160℃で2.5時間加熱した。その後、粘着層内に生じた異物を光学顕微鏡下で検査した。検査は、100mm×100mmの面積を試料の任意の箇所から12箇所選択し、大きさが5μm以上の異物の個数をカウントした。全12箇所の検査範囲のうち、異物の個数が最も多かった2箇所を除き、10箇所の検査範囲内での異物の個数の合計を算出し、以下の評価基準で判断した。
<評価基準>
○:異物が見つからない
△:異物が1個以上、3個未満(実用上やや問題になる)
×:異物が3個以上(実用上問題になる)
上記粘着層光学欠陥検査1と同様の処理を施し、160℃で2.5時間加熱した試験片から離型フィルムを剥離し、さらにガラス板に貼り付けて、2枚のガラス板で粘着層が挟まれた状態の試験片を作成した。次にこの試験片を60℃、95%RHの環境下で10日間エージング処理を行った。このエージング処理により、粘着層に溶解していたオリゴマーが結晶成長し、より異物として顕在化しやすくなる。この試験片の粘着層内に生じた異物を光学顕微鏡下で検査した。検査は、100mm×100mmの面積を試料の任意の箇所から12箇所選択し、大きさが5μm以上の異物の個数をカウントした。全12箇所の検査範囲のうち、異物の個数が最も多かった2箇所を除き、10箇所の検査範囲内での異物の個数の合計を算出し、以下の評価基準で判断した。
<評価基準>
○:異物が見つからない
△:異物が1個以上3個未満(実用上やや問題になる)
×:異物が3個以上(実用上問題になる)
<ポリエステル1>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度が0.63dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル1の極限粘度は0.63dl/g、オリゴマー(環状三量体)の含有量は0.97重量%であった。
ポリエステル1を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度が0.75dl/g、オリゴマー(環状三量体)含有量が0.46重量%のポリエステル2を得た。
ポリエステル1の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径(d50)が1.6μmのシリカ粒子を0.3重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、極限粘度が0.65dl/gに相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル1の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル3を得た。得られたポリエステル3は、極限粘度が0.65dl/g、オリゴマー(環状三量体)含有量が0.91重量%であった。
(A1):ポリ(エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸) (H.C.スタルク社製、Baytron P AG)
(B1):前記式(3)でn=2であるポリグリセリン骨格への、ポリエチレンオキサイド付加物。(平均分子量350)
(B2):ポリビニルアルコール。(けん化度88モル%、重合度500)
(J1):テレフタル酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチレングリコールがモル比で49/49/2/50/50であるスルホン酸基導入水分散ポリエステル樹脂
(J2):テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコールを282重量部/282重量部/62重量部/250重量部を成分とするポリエステルポリオールを876重量部と、トリレンジイソシアネート244重量部、エチレングリコール81重量部、およびジメチロールプロピオン酸67重量部を構成成分としたポリエステルポリウレタンをアンモニアで中和して水分散させた物
(E1):下記式(5)に示す、側鎖にポリエチレンオキサイドを有する構造のノニオン性界面活性剤。(m+n=10となるものを用いた)
(S1):下記(Sa)、(Sb)、(Sc)を19.5重量%、80重量%、0.5重量%の割合で配合した混合物を、トルエン/メチルエチルケトン混合溶媒(混合比率は1:4)にて希釈し、当該混合物の濃度が4重量%とした。
(Sa):アルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)
(Sb):γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(Sc):ジブチル錫ジアセテート
(S2): エチル化メチロールメラミン(酸触媒含有)
<離型層組成物1>
下記(R1)を50重量部、(R2)を1重量部、メチルエチルケトン/トルエン/n−ヘプタン混合溶媒(混合比率は1/2/2)を800重量部
(R1):硬化型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製、LTC303E)
(R2):硬化剤(東レ・ダウコーニング社製、SRX212)
<離型層組成物2>
下記(R3)を48重量部、(R4)を1重量部、メチルエチルケトン/トルエン/n−ヘプタン混合溶媒(混合比率は1/2/2)を820重量部
(R3):硬化型シリコーン樹脂(信越化学工業社製、KS−847H)
(R4):硬化剤(信越化学工業社製、CAT−PL−50T)
ポリエステル2とポリエステル3とを重量比で93/7でブレンドしたものをA層、ポリエステル1のみのものをB層の原料として、二台のベント式二軸押出機にそれぞれを供給した。285℃で加熱溶融を行い、A層を表層、B層を中間層とする二種三層(A層/B層/A層)の層構成で共押出し、静電密着法を用いて表面温度が40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、厚み構成比がA層/B層/A層=2.5/33/2.5となる未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを作成した。
前記シートを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。得られた一軸延伸フィルムの片面に、表1に示すとおりの第一下引き層の塗布液を塗布した。次いで前記一軸延伸フィルムをテンター延伸機に導き、第一下引き層の塗布液の乾燥、および熱処理を行いつつ、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行った。こうして、厚みが38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、厚みが0.04μmの第一下引き層を設けた積層ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの第一下引き層の上に第二下引き層を設けるために、表1に示す第二下引き層の塗布液を塗布し、130℃で30秒間乾燥および熱処理をした。第二下引き層の乾燥後の厚みは表1に示す。
さらに第二下引き層の上に離型層組成物1を、乾燥後の塗布量が0.1g/m2になるように、リバースグラビアコート方式により塗布した後、150℃で30秒間乾燥および熱処理をして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表2に示す。
第一下引き層の塗布液の組成を表1に示す通りに変更した。この時、成分(A1)は最初にイオン交換水で2倍に希釈させた後、10%アンモニア水でpHが8になるまで中和させた。中和後に他の成分と混合させて塗布液を得た。上記以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表2に示す。
第一下引き層の塗布液を表1に示す通りに変更した。なお、成分(A1)は最初にイオン交換水で2倍に希釈させた後、10%アンモニア水でpHが8になるまで中和させた。中和後に他の成分と混合させて塗布液を得た。また離型層の塗布液を離型層組成物2に変更した。上記以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表2に示す。
ポリエステルフィルムについて、ポリエステル1とポリエステル3とを重量比で90/10で混合したものをA層(表層)の原料として用いた。また第一下引き層の塗布液を表1に示す通りに変更した。また離型層の塗布液を離型層組成物2に変更した。上記以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表2に示す。
第一下引き層の組成物を表1に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表2に示す。
第一下引き層の組成物を表1に示す通りに変更した。また第二下引き層の成分と厚みを表1に示す通りに変更した。また離型層の塗布液を離型層組成物2に変更した。上記以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表2に示す。第二下引き層に金属元素を含む有機化合物、有機珪素化合物、触媒及び/又はそれらの重縮合物が含まれていないため、離型フィルムの剥離力は悪化し、離型層面は経時変化を起こした。
第一下引き層を設けなかった以外は実施例3と同様にして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表2に示す。第一下引き層が設けられておらず、表面固有抵抗が高いため、帯電しやすく、異物が付着しやすい離型フィルムとなった。
第一下引き層の組成物を表1に示す通りに変更して、第二下引き層を設けなかった。上記以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表2に示す。第二下引き層が設けられていないため、生成された異物が粘着層光学欠陥検査で検出された。
Claims (3)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に第一下引き層、第二下引き層、離型層の順に積層されており、
当該第一下引き層はチオフェンもしくはチオフェン誘導体からなる化合物に、他の陰イオン化合物によりドーピングされたもの、又は化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされたものと、
ポリアルキレンオキサイド、グリセリン、ポリグリセリン、及びグリセリンもしくはポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物の群から選ばれる1種以上の化合物又はその誘導体とを含有しており、
当該第二下引き層はアルミニウム、チタンおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む有機化合物、有機珪素化合物、触媒及び/又はそれらの重縮合物を含有する硬化物からなり、
かつ当該離型層はシリコーン樹脂硬化物を含有することを特徴とする離型フィルム。 - 前記ポリエステルフィルムが多層構造を有し、第一下引き層と接する表層の厚みが2μm以上である請求項1に記載の離型フィルム。
- 請求項1又は2に記載の離型フィルム、粘着層および透明導電フィルムを積層した積層体。
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JP2017060754A JP6874460B2 (ja) | 2017-03-27 | 2017-03-27 | 離型フィルム |
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