JP6873759B2 - 工作機械の診断装置における診断モデルの更新システム - Google Patents
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Description
特許文献1に開示の発明では、診断対象装置の使用状況に対応した診断を行うことで、より精度の高い診断を実現している。ここではデータベースに機種・故障内容・使用状況(市場導入後の経過期間、使用度合い、使用環境)ごとに区別した診断モデルを保存し、診断時には、診断対象装置の使用状況情報を取得し、それに該当する診断モデルをデータベースより選択して適用するようになっている。
工作機械を構成する部品及び/又は組立状態から実際に取得される機台差情報と、その機台差情報に応じて予め決定される診断モデルとを併せて保存してなる診断モデル・データベースと、
診断モデルの更新候補となる新たな診断モデルを、診断モデル・データベースから選択する診断モデル選択部と、
診断モデル選択部で更新候補として選択された新たな診断モデルの整合性を確認し、整合性が確認された場合に新たな診断モデルを診断装置へ提供して診断モデルを新たな診断モデルに更新させる診断モデル更新部とを備え、
診断モデル選択部は、工作機械の機台差情報を基に、新たな診断モデルを診断モデル・データベースから選択することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、機台差情報は、過去の複数台の機台差情報をいくつかの種類に分類してなり、診断モデル選択部は、分類に基づいて新たな診断モデルを選択することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、工作機械は、機台差情報の特徴を示す属性を保存する機台差情報記憶部と、属性を変更するための属性変更手段とを備え、診断モデル選択部は、機台差情報と属性を含む分類とを工作機械より収集し、属性を含む分類に基づいて新たな診断モデルを選択することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、工作機械は、回転軸受、回転部、直進部、直動案内、ボールねじナット、主軸モータ、送り軸モータ、軸受・ボールねじ・直動案内のうち、少なくとも1つを備え、
機台差情報は、回転軸受の組み込み予圧、回転部の回転精度、直進部の直進度、直動案内の摺動抵抗、ボールねじナットの回転トルク、主軸モータの回転トルク、送り軸モータの回転トルク、軸受・ボールねじ・直動案内付近の上昇温度、のいずれか一つ、もしくは複数の組み合わせであることを特徴とする。
さらに、工作機械に保存された機台差情報の属性を変更可能とすることで、専門知識を持った工作機械メーカサービス員が、メンテナンスの際に劣化の進行状況や診断装置の誤診状況に応じて属性を変更することができる。例えば、出荷時に設定された機台差情報の属性が「送り軸のボールねじナットの回転トルクが高め」であったものを、メンテナンス時の測定結果から判断して「送り軸モータ負荷が高め」という異なった属性に変更できる。この変更により、ボールねじの異常に主眼を置いた診断モデルではなく、送り軸の全要素(ボールねじ、軸受)に注目した診断モデルが選択され、より適切な診断が期待できる。
そして、診断モデル更新部での診断モデルの正解率や不整合と判断されて更新に至らなかったなどの情報を基にした更新価値評価の評価値に応じ、診断モデル更新費用を算出して回収することで、更新システムの運営維持費用等に充てることができる。
図1は、工作機械の主軸装置の縦断面図である。この主軸装置において、1は、主軸台などの機械本体に固定される主軸ハウジング、2は駆動装置となるモータ、6は主軸で、モータ2は、主軸6の外周に設けられたロータ2bと、その周囲の主軸ハウジング1の内周に設けられたステータ2aとから構成されている。
主軸6の周囲の前側(図1の下側)4カ所と後側1カ所とには、主軸ハウジング1に固定された円筒状の軸受ハウジング36a,36b内に回転支持される転がり軸受31a〜31eが設けられている。モータ2は、前側の転がり軸受31a〜31dと後側の転がり軸受31eとの間に配置されている。
主軸6は、高速な回転速度と数μmの回転精度が求められ、構成する部品精度も同等の精度で製作される。工具ホルダ35に取り付けられた工具により金属を加工するために剛性が必要であり、軸受には予圧がかけられ高剛性を確保している。ところが予圧は、転がり軸受31a〜31eや軸受ハウジング36a,36bの製作精度によって許容範囲内で上下限が生じる。例えば、予圧が高い場合は非加工状態であっても回転トルク及び軸受付近の温度上昇値が大きくなる。従って、これらの値を入力して異常を判断する診断モデルの場合、機台に応じて異なる診断モデルが必要となる。
ここではボールねじ42aの振れまわり量が、ボールねじナット42bの回転トルクや温度上昇値に影響する。よって、回転精度の高い軸受やボールねじが求められるが、構成する部品精度や機械への組み付け精度に影響を受ける。振れ回り量が大きい場合はボールねじナットの回転トルク及び温度上昇値が大きくなる。従って主軸同様、これらの値を入力して異常を判断する診断モデルとした場合、機台に応じて異なる診断モデルが必要となる。
NC装置20は、工作機械を制御するものであり、NC装置20の記憶部に記憶されているNCプログラム12で機械を動作させてワーク4の加工を行う。NCプログラム12は、プログラム解釈部13で実行処理を行い、機械制御命令を解釈し、送り軸の目標位置指令および主軸6の目標回転速度指令を関数発生部14に受け渡す。主軸制御部16は、関数発生部14から指令された主軸回転速度となるようにモータ2の指令負荷を、送り軸制御部15は、関数発生部14から指令された位置座標となるようにモータ2の指令負荷をそれぞれ出力する。また、記憶部には、工作機械の部品や組立状態から実際に取得される機台差情報11(固有情報)も記憶されている。
定期診断時等の定期的或いは任意のタイミングで、診断モデルを更新する工作機械のNC装置20より、機台差情報の分類、マスター診断データが整合性確認部54に送られる。さらに機台差情報の分類は、診断モデル選択部52に送られ、診断モデル選択部52は、機台差情報の分類に基づいて、複数の機台差情報の分類とそれぞれに対応する診断モデルとが予め保存された診断モデル・データベース51から、診断モデルを更新する工作機械に最も適していると判断した診断モデルを選択する。ここでは、更新対象の工作機械の機台差情報の分類と同じ分類を持つ診断モデルを診断モデル・データベース51より選択する処理となる(図7のS1)。この新たな診断モデルは複数あってもよい。
よって、診断モデル選択部52では、新たに作成された診断モデルと新たな機台差情報の分類とが選択されて整合性確認部54へ送られる。
ここでの更新価値の判断は、例えば、更新前の診断モデルに対する正解率の向上幅に応じて価値を上げたり、過去に診断モデルを診断モデル・データベース51に追加した履歴がある場合は価値を下げたりすることで、対象の工作機械における更新システムの価値を判断する。この更新価値判断は、例えば数字による五段階評価や色付けした円等の記号の大きさ等で具体化して診断モデルに添付して工作機械へ提供することで、サービス員が確認できる。なお、更新価値に一定の閾値を設定して、更新価値が閾値よりも低い場合は、工作機械への提供を行わず、再度追加学習部53で新たな診断モデルと新たな機台差情報の分類とを作成し直してもよい。
そして、整合性確認部54での診断モデルの正解率や不整合と判断されて更新に至らなかったなどの情報を基にした更新価値評価部55での評価値に応じ、診断モデル更新費用を算出して回収することで、更新システムの運営維持費用等に充てることができる。
また、診断モデル・データベースは、機種、主軸や送り軸といった診断の対象軸によって分けても良い。加えて、機台差情報に加え、主軸の総回転数や送り軸の移動距離などの稼働履歴とも併せて診断モデルを選択してもよい。
また、更新システムは、工作機械メーカもしくはユーザのどちらで構築・運用しても良い。工作機械メーカで運用する場合は、更新価値評価部の評価値に応じて診断モデルの費用を算出できる。ユーザで運用する場合は、評価値を各工作機械における更新システムの貢献指標とすることで、システムの評価指標として用いることができる。
Claims (4)
- 予め設定された診断モデルにより正常・異常を判断する工作機械の診断装置において、前記診断モデルを更新するシステムであって、
前記工作機械を構成する部品及び/又は組立状態から実際に取得される機台差情報と、その機台差情報に応じて予め決定される前記診断モデルとを併せて保存してなる診断モデル・データベースと、
前記診断モデルの更新候補となる新たな診断モデルを、前記診断モデル・データベースから選択する診断モデル選択部と、
前記診断モデル選択部で更新候補として選択された前記新たな診断モデルの整合性を確認し、前記整合性が確認された場合に前記新たな診断モデルを前記診断装置へ提供して前記診断モデルを前記新たな診断モデルに更新させる診断モデル更新部とを備え、
前記診断モデル選択部は、前記工作機械の前記機台差情報を基に、前記新たな診断モデルを前記診断モデル・データベースから選択することを特徴とする工作機械の診断装置における診断モデルの更新システム。 - 前記機台差情報は、過去の複数台の機台差情報をいくつかの種類に分類してなり、前記診断モデル選択部は、前記分類に基づいて前記新たな診断モデルを選択することを特徴とする請求項1に記載の工作機械の診断装置における診断モデルの更新システム。
- 前記工作機械は、前記機台差情報の特徴を示す属性を保存する機台差情報記憶部と、属性を変更するための属性変更手段とを備え、前記診断モデル選択部は、前記機台差情報と前記属性を含む前記分類とを前記工作機械より収集し、前記属性を含む前記分類に基づいて前記新たな診断モデルを選択することを特徴とする請求項2に記載の工作機械の診断装置における診断モデルの更新システム。
- 前記工作機械は、回転軸受、回転部、直進部、直動案内、ボールねじナット、主軸モータ、送り軸モータ、軸受・ボールねじ・直動案内のうち、少なくとも1つを備え、
前記機台差情報は、前記回転軸受の組み込み予圧、前記回転部の回転精度、前記直進部の直進度、前記直動案内の摺動抵抗、前記ボールねじナットの回転トルク、前記主軸モータの回転トルク、前記送り軸モータの回転トルク、前記軸受・ボールねじ・直動案内付近の上昇温度、のいずれか一つ、もしくは複数の組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の工作機械の診断装置における診断モデルの更新システム。
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