JP6870436B2 - 金属粒子凝集体とその製造方法、ペースト状金属粒子組成物および接合体の製造方法 - Google Patents

金属粒子凝集体とその製造方法、ペースト状金属粒子組成物および接合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属粒子凝集体とその製造方法に関する。また、本発明は、上記金属粒子凝集体を含むペースト状金属粒子組成物、およびそのペースト状金属粒子組成物を用いた接合体の製造方法に関するものである。
電子部品の組立てや実装等において、2つ以上の部品を接合させる場合、一般的に接合材が用いられる。このような接合材として、銀、金等の高熱伝導性を有する金属粒子を揮発性溶剤に分散させたペースト状の接合材が知られている。接合材を用いて部品を接合する際は、一方の部品の表面に接合材を塗布し、塗布面に他方の部品を接触させ、この状態で加熱処理を行う。この加熱処理によって金属粒子を焼結させて接合層を生成させることによって部品を接合することができる。
接合材としては、粒径がサブミクロンサイズの金属粒子を用いたもの(特許文献1、2)と、粒径がナノサイズの金属粒子を凝集させた凝集体を用いたもの(特許文献3、4)とが知られている。特許文献1には、平均粒径が0.1〜6μmの球状銀粒子を用いた接合材が開示されている。特許文献2には、平均粒径が0.1〜18μmの非球状銀粒子を用いた接合材が開示されている。特許文献3には、表面が有機物で被覆された平均粒径が1nm以上100nm以下の金属粒子が凝集して形成された、粒径が10nm以上100μm以下の凝集体を用いた接合材が開示されている。特許文献4には、数平均粒径50nm以下であり、かつ粒径100〜200nmの金属ナノ粒子と、凝集助剤と、高分子分散剤とを含む接合材が開示されている。
国際公開第2006/126614号 国際公開第2007/034833号 特開2008−161907号公報 特開2011−94223号公報
近年の電子機器の小型化や高集積化に伴って、半導体チップやLED素子などの電子部品の発熱量は増加する傾向にある。このため、電子部品の接合に用いる接合材は、高い接合強度と長期信頼性を持って電子部品を接合できるものであることが要求される。
しかしながら、サブミクロンサイズの金属粒子を用いた接合材は、ナノサイズの金属粒子を凝集させた凝集体を用いた接合材と比較すると、接合強度が低い傾向がある。この理由は、サブミクロンサイズの金属粒子は、ナノサイズの金属粒子と比較して、金属粒子同士の隙間が大きくなるため、サブミクロンサイズの金属粒子を用いた接合材を焼成させて形成した接合層には、微細なボイド(空隙)が発生し易いためであると考えられる。このボイドの発生を抑える方法として、接合時に、接合対象である電子部品などの部材を加圧する方法があるが、この場合は加圧設備が必要となる。
一方、ナノサイズの金属粒子を用いた接合材は、時間の経過とともに接合強度が低下するなど長期信頼性が劣る場合がある。この理由は、ナノサイズの金属粒子を用いた接合材では、ナノサイズの金属粒子表面に凝集を抑制するための保護剤(有機物)を含むのが一般的であるが、この保護剤が接合層に残留し、時間の経過とともに分解して、接合層にボイドを発生させることによって接合強度を低下させるためであると考えられる。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、高い接合強度と長期信頼性とを持って電子部品などの部材を接合できる接合層を形成することができる金属粒子の凝集体とその製造方法、ペースト状金属粒子組成物、およびそのペースト状金属粒子組成物を用いた接合体の製造方法を提供することをその目的とする。
発明者らは、鋭意検討した結果、銀、金および銅からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を70質量%以上の量にて含有し、粒径が100nm以上500nm未満の範囲にある粒子を60体積%以上95体積%以下の範囲、粒径が50nm以上100nm未満の範囲にある粒子を5体積%以上40体積%以下の範囲、そして粒径が50nm未満の粒子を5体積%以下の割合にて含む金属粒子と、有機物とを含み、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の粒度分布曲線において、D10が0.05μm以上0.25μm以下の範囲にあって、D50が0.4μm以上0.6μm以下の範囲にあり、さらにD90が1.5μm以上2.5μm以下の範囲にあって、前記有機物を前記金属粒子に対して2質量%以下の量にて含む金属粒子の凝集体を焼結させることによって、高い接合強度を有する接合層を得ることが可能となることを見出した。さらに、その接合層は、冷熱サイクルを繰り返し付与してもボイドが発生しにくく、長期信頼性が高いことを見出した。
上記の金属粒子凝集体を用いることによって高い接合強度を有する接合層が得られる理由としては、次のように考えられる。金属粒子(一次粒子)が上記のように比較的広い粒度分布を有するので、金属粒子凝集体(二次粒子)は、金属粒子同士の隙間(空隙)が少なく緻密となる。そして、金属粒子凝集体もまた、上記のように比較的広い粒度分布を有するので、金属粒子凝集体同士の隙間が少ない緻密な金属粒子凝集体層を形成できる。さらに、有機物の含有量が2質量%以下であり、加熱によって生成する有機物の分解ガスの量が少ない。このため、その金属粒子凝集体層を焼結させることによって生成する接合層は、ボイドが少なく緻密となる。よってその接合層は接合強度と長期信頼性が向上する。
すなわち、本発明の金属粒子凝集体は、銀、金および銅のいずれか1種からなり粒径が500nm以上の粒子を1体積%を超えて含むことがなく、粒径が100nm以上500nm未満の範囲にある粒子を60体積%以上95体積%以下の範囲、粒径が50nm以上100nm未満の範囲にある粒子を5体積%以上40体積%以下の範囲、そして粒径が50nm未満の粒子を5体積%以下の割合にて含む金属粒子と、有機物とを含み、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の粒度分布曲線において、D10が0.05μm以上0.25μm以下の範囲にあって、D50が0.4μm以上0.6μm以下の範囲にあり、さらにD90が1.5μm以上2.5μm以下の範囲にあって、前記有機物を、前記金属粒子に対して2質量%以下の量にて含むことを特徴としている。
本発明の金属粒子凝集体において、前記有機物の含有量は、前記金属粒子に対して0.05質量%以上であることが好ましい。
この場合、金属粒子凝集体が、金属粒子に対して0.05質量%以上の有機物によって被覆されるので、表面状態が安定になる。従って、この金属粒子凝集体は、揮発性溶媒と混合してペースト状にした場合でも、さらに凝集するなどの粒成長を起こさないため、高い接合強度と長期信頼性とを持って部材を接合することが可能となる。
本発明の金属粒子凝集体において、比表面積は2〜8m/gの範囲にあることが好ましい。
この場合、金属粒子凝集体の反応面積が大きいので、加熱による反応性が高くなる。従って、この金属粒子凝集体は、比較的低い温度で焼結させることが可能となる。
本発明の金属粒子凝集体の製造方法は、銀、金および銅のいずれか1種からなり、粒径が500nm以上の粒子を1体積%以上含むことがなく、粒径が100nm以上500nm未満の範囲にある粒子を65体積%以上95体積%の範囲、粒径が50nm以上100nm未満の範囲にある粒子を5体積%以上30体積%の範囲、そして粒径が50nm未満の粒子を5体積%以下の割合にて含む金属粒子と有機還元剤と水とを含むスラリーを調製し、金属粒子を還元処理して、金属粒子を凝集させる工程と、前記スラリーから凝集した金属粒子を取り出して、前記有機還元剤を、前記金属粒子に対して2質量%以下の量にて含む含水金属粒子凝集体を得る工程と、前記含水金属粒子凝集体を乾燥する工程とを備えることを特徴としている。
本発明の金属粒子凝集体の製造方法によれば、特定の粒度分布を持つ金属粒子を、有機還元剤を含むスラリー中にて還元処理することによって、金属粒子を凝集させるので、金属粒子同士の凝集強度が高い金属粒子凝集体を安定に生成させることができる。また、スラリーから取り出した金属粒子凝集体を、有機還元剤を金属粒子に対して2質量%以下の量にて含む含水金属粒子凝集体とした後、乾燥するので、得られた金属粒子凝集体の有機物の含有量を2質量%以下とすることができる。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、揮発性溶媒と上記本発明の金属粒子凝集体とを含むことを特徴としている。
本発明のペースト状金属粒子組成物によれば、上記本発明の金属粒子凝集体を含むので、高い接合強度と長期信頼性とを持って接合対象部材を接合することが可能となる。
接合体の製造方法は、第一の部材と第二の部材とが接合層を介して接合されている接合体の製造方法であって、上記本発明のペースト状金属粒子組成物を用いて前記接合層を形成することを特徴としている。
本発明の接合体の製造方法によれば、上記本発明のペースト状金属粒子組成物を用いて接合層を形成するので、高い接合強度と長期信頼性とを持って第一の部材と第二の部材部材とを接合することが可能となる。
本発明によれば、高い接合強度と長期信頼性とを持って電子部品などの部材を接合することができる金属粒子凝集体とその製造方法、ペースト状金属粒子組成物、およびそのペースト状金属粒子組成物を用いた接合体を提供することができる。
本実施形態のペースト状金属粒子組成物を用いて製造された接合体の一例の断面図である。
<金属粒子凝集体>
本発明の実施形態である金属粒子凝集体について説明する。
本実施形態における金属粒子凝集体は、回路基板と半導体チップやLED素子などの電子部品とを接合するペースト状金属粒子組成物(接合材)の材料として使用することができる。
本実施形態の金属粒子凝集体は、金属粒子と有機物とを含む。
金属粒子(一次粒子)は、銀、金および銅からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を70質量%以上の量にて含有する。
金属粒子の上記金属の含有量は、好ましくは90質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。金属粒子は純度が高い方が、溶融し易くなるので、比較的低い温度で焼結させることが可能となる。
金属粒子は、粒径が500nm以上の粒子を1体積%以上含むことがなく、粒径が100nm以上500nm未満の範囲にある粒子を65体積%以上95体積%の範囲、粒径が50nm以上100nm未満の範囲にある粒子を5体積%以上30体積%の範囲、そして粒径が50nm未満の粒子を5体積%以下の割合にて含む。金属粒子が、上記のような比較的広い粒度分布を有することによって、金属粒子同士の隙間が小さい緻密な金属粒子凝集体を形成させることができる。金属粒子凝集体を構成する金属粒子間の隙間が小さいので、ボイドの少ない接合層を形成することが可能となる。金属粒子の粒径は、例えば、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて、金属粒子の投影面積を測定し、得られた投影面積から円相当径(銀粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径)を算出し、算出した粒径を体積基準の粒径に換算することによって得ることができる。
粒径が100nm以上500nm未満の範囲にある金属粒子の含有量は、70体積%以上90体積%の範囲にあることが好ましい。粒径が50nm以上100nm未満の範囲にある金属粒子の含有量は10体積%以上30体積%の範囲にあることが好ましい。粒径が50nm未満の金属粒子の含有量は1体積%以下であることが好ましい。金属粒子の粒度分布が上記の範囲にあることによって、粒子間の隙間の小さい凝集体を形成させる効果が高くなり、さらにボイドの少ない接合層を形成することが可能となる。
本実施形態の金属粒子凝集体に含まれる有機物は、有機還元剤あるいはその分解物であることが好ましい。また、有機物は、150℃の温度で分解もしくは揮発するものであることが好ましい。有機還元剤の例としては、アスコルビン酸、ギ酸および酒石酸が挙げられる。
有機還元剤あるいはその分解物である有機物は、金属粒子凝集体の保存時では、金属粒子の表面の酸化を抑制し、金属原子の拡散を抑制する効果を有する。また、上記の有機物は、金属粒子凝集体を接合対象部材の被接合面に印刷して加熱したときでは、容易に分解もしくは揮発して、金属粒子の高活性な表面を露出させることにより、金属粒子同士の焼結反応を進行しやすくする効果がある。更に、上記の有機物の分解物もしくは揮発物は、接合対象部材の被接合面の酸化膜を還元させる還元能力を有する。
金属粒子凝集体に含まれる有機物が接合層に残留すると、時間の経過とともに分解して、接合層にボイドを発生させるおそれがある。このため、本実施形態の金属粒子凝集体では、有機物の含有量を、金属粒子に対して2質量%以下の量に制限している。
但し、有機物による上記の効果を得るためには、有機物の含有量は金属粒子に対して0.05質量%以上であることが好ましい。
本実施形態の金属粒子凝集体は、上記の金属粒子(一次粒子)の凝集体であり、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の粒度分布曲線において、D10が0.05μm以上0.25μm以下の範囲にあって、D50が0.4μm以上0.6μm以下の範囲にあり、さらにD90が1.5μm以上2.5μm以下の範囲とされている。金属粒子凝集体が、上記のような比較的広い粒度分布を有することによって、金属粒子凝集体同士の隙間が少ない緻密な金属粒子凝集体層を形成でき、さらにボイドの少ない接合層を形成することができる。
本実施形態の金属粒子凝集体は、比表面積が2〜8m/gの範囲にあることが好しい。
比表面積が上記の範囲にある金属粒子凝集体は、金属粒子の反応面積が大きく、加熱による反応性が高くなる。従って、この金属粒子凝集体は、比較的低い温度で焼結させることが可能となる。
次に、本実施形態の金属粒子凝集体の製造方法について説明する。
本実施形態の金属粒子凝集体の製造方法は、銀、金および銅からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を70質量%以上の量にて含有し、粒径が500nm以上の粒子を1体積%以上含むことがなく、粒径が100nm以上500nm未満の範囲にある粒子を65体積%以上95体積%の範囲、粒径が50nm以上100nm未満の範囲にある粒子を5体積%以上30体積%の範囲、そして粒径が50nm未満の粒子を5体積%以下の割合にて含む金属粒子と有機還元剤と水とを含むスラリーを調製し、金属粒子を還元処理して、金属粒子を凝集させる工程と、前記スラリーから凝集した金属粒子を取り出して、前記有機還元剤を、前記金属粒子に対して2質量%以下の量にて含む含水金属粒子凝集体を得る工程と、前記含水金属粒子凝集体を乾燥する工程とを備える。
原料として用いる金属粒子の成分は、前述の金属粒子凝集体に含まれる金属粒子の好ましい成分と同じである。また、金属粒子の好ましい粒度分布は、前述の金属粒子凝集体に含まれる金属粒子の粒度分布と同じである。
前述の粒度分布を有する金属粒子は、例えば、粒径が100nm以上500nm未満の範囲にある金属粒子、粒径が50nm以上100nm未満の範囲にある金属粒子、そして粒径が50nm未満の金属粒子をそれぞれ用意して、混合する方法によって製造することができる。
また、前述の粒度分布を有する金属粒子は、有機酸金属塩(銀、金、銅の塩)の水溶液と、銀、金および銅に対して還元作用を有する有機物とを混合して、金属塩を還元させて、金属粒子として析出させて金属粒子のスラリーを得る方法によっても製造することができる。有機酸金属塩の例としては、シュウ酸金属塩、クエン酸金属塩およびマレイン酸金属塩が挙げられる。還元作用を有する有機物の例としては、アスコルビン酸、ギ酸、酒石酸およびそれらの塩が挙げられる。この製造方法によって得られる金属粒子の粒度分布は、有機酸金属塩と有機物の配合量、還元時の温度や時間によって適宜調整することができる。
本実施形態の金属粒子凝集体の製造方法では、金属粒子と有機還元剤と水とを含むスラリーを調製し、金属粒子を還元処理して、金属粒子を凝集させる。金属粒子の表面が還元されて、酸化被膜が除去され、金属粒子の表面が活性化されることによって、金属粒子同士の凝集強度が高い金属粒子凝集体を安定に生成させることができる。金属粒子を有機還元剤によって還元処理して、金属粒子の凝集体を生成させる。その生成した金属粒子凝集体の表面を有機還元剤が被覆する。これによって、形状の安定性が高い凝集体が得られる。
スラリーの調製に際して、金属粒子と有機物と水の混合順序に特に制限はない。金属粒子と有機物と水とを同時に混合してよいし、金属粒子と有機物を含む混合物と水とを混合してもよいし、金属粒子と水を含む混合物と有機物とを混合してもよいし、有機物と水を含む混合物と金属粒子とを混合してもよい。
金属粒子を還元処理する際には、スラリーを加熱することが好ましい。スラリーの加熱温度は、通常は90℃以下、好ましくは50℃以上80℃以下である。加熱温度が上記の温度よりも高いと金属粒子の過剰に還元されて、凝集体の粒径が大きくなりすぎることがある。一方、加熱温度が上記の温度よりも低いと金属粒子が還元されずに、凝集体が生成しないことがある。
本実施形態の金属粒子凝集体の製造方法では、スラリーから凝集した金属粒子を取り出して、水洗などによって、有機還元剤を、金属粒子に対して2質量%以下の量にて含む含水金属粒子凝集体を得る。スラリーから金属粒子を取り出す方法としては、遠心分離、ろ過、デカンテーションなどの方法を用いることができる。
<ペースト状金属粒子組成物>
次に、本実施態様のペースト状金属粒子組成物(接合材)について説明する。
本実施態様のペースト状金属粒子組成物は、揮発性溶媒と上述の金属粒子凝集体とを含む。揮発性溶媒の例としては、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、アセテート系溶媒、炭化水素系溶媒およびアミン系溶媒が挙げられる。アルコール系溶媒の具体例としては、α−テルピネオール、イソプロピルアルコールが挙げられる。グリコール系溶媒の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールが挙げられる。アセテート系溶媒の具体例としては、酢酸ブチルトールカルビテートが挙げられる。炭化水素系溶媒の具体例としては、デカン、ドデカン、テトラデカンが挙げられる。アミン系溶媒の具体例としては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミンが挙げられる。
ペースト状金属粒子組成物の金属粒子凝集体の含有量は、ペースト状金属粒子組成物の全体量に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上95質量%以下の範囲にあることが特に好ましい。金属粒子凝集体の含有量が上記の範囲にあると、ペースト状金属粒子組成物の粘度が低くなりすぎず、部材の表面に安定してペースト状金属粒子組成物を塗布することができる。また、そのペースト状金属粒子組成物を焼成することによって、密度が高く、ボイドの発生量が少ない焼結体(接合層)を得ることができる。
本実施形態のペースト状金属粒子組成物は、さらに酸化防止剤、粘度調整剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤の含有量は、ペースト状金属粒子組成物の全体量にして1質量%以上5質量%以下の範囲であることが好ましい。
本実施形態のペースト状金属粒子組成物は、例えば、揮発性溶媒と金属粒子凝集体とを混合して得た混合物を、混練装置を用いて混練することによって製造することができる。混練装置としては、三本ロールミルを用いることができる。
<接合体>
次に、本実施態様のペースト状金属粒子組成物を用いた接合体の製造方法について、図1を参照して説明する。図1に本実施形態のペースト状金属粒子組成物を用いて製造された接合体の断面図を示す。図1に示すように、接合体11は、基板12と、第1の金属層13と、接合層14と、第2の金属層15と、被接合物16と、を備えて概略構成されている。
本実施形態では、一例として、上述したペースト状金属粒子組成物(接合材)を用いて基板12(第一の部材)と被接合物16(第二の部材)とを接合した接合体11について説明するが、ペースト状金属粒子組成物を用いて接合するものとしては、特に限定されるものではない。
基板12としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、アルミ板、及びアルミ板が接合された絶縁基板および回路基板が挙げられる。
第1の金属層13は、基板12に隣接して積層されている。第1の金属層13を介して、基板12と接合層14とが接合されている。第1の金属層13の材料としては、具体的には、例えば、金、銀、銅等からなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属を用いることができる。
接合層14は、第1の金属層13と第2の金属層15の間に隣接して積層されている。
接合層14は、第1の金属層13と接触して界面17を形成している。また、接合層14は、第2の金属層15と接触して界面18を形成している。接合層14は、上述した接合材を第1の金属層13上に塗布し、塗布した面と第2の金属層15が対向するように被接合物16を置き、加熱処理することで形成されるものである。
接合層14の厚さとしては、基板12と被接合物16とを接合することができる厚さであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、1〜100μmであってもよい。
第2の金属層15は、接合層14を介して第1の金属層13の反対側に隣接して積層されている。第2の金属層15を介して、接合層14と被接合物16とが接合されている。
第2の金属層15の材料としては、第1の金属層13に用いられる材料と同様のものを用いることができる。
被接合物16は、第2の金属層15を介して接合層14の反対側に隣接して積層されている。被接合物16としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、半導体チップおよびLED素子などの電子部品が挙げられる。また、本実施形態の接合体11は、上述した接合材を用いているため、被接合物16として熱に弱い材料も用いることができる。
本実施形態の接合体11は、接合層14により、基板12と被接合物16とが接合される。接合層14は上述した接合材を用いて形成しているため、接合層14の接合強度と長期信頼性とが向上する。本実施形態の接合体11の接合強度(シェア強度)としては、具体的には、例えば、20MPa以上が好ましく、30MPa以上がより好ましい。
なお、接合強度の測定は、例えば、市販のボンディングテスタ(例えば、RHESCA社製等)を用いて行うことができる。長期信頼性の向上効果は、例えば、接合体11に冷熱サイクルを繰り返し付与したときの接合層14のボイド面積率の増加量によって確認できる。ボイド面積率の増加が少ないと、長期信頼性が高い。
次に、上述した接合体11の製造方法について、図1を用いて説明する。
先ず、基板12の表面に、周知の方法により金属を積層することで、第1の金属層13を積層する。同様にして、被接合物16の表面に、第2の金属層15を積層する。
基板12及び被接合物16の表面に金属を積層する方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法、印刷法等が挙げられる。
次に、第1の金属層13の表面に、周知の方法により上述した接合材を塗布する。第1の金属層13の表面に接合材を塗布する方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、スピンコート法、メタルマスク法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
次に、第1の金属層13の表面に塗布した接合材の上に、第2の金属層15側が対向するように被接合物16を置く。その後、加熱処理することで、接合材から接合層14が形成され、接合層14を介して第1の金属層13及び第2の金属層15が接合される。
加熱処理の際の加熱温度としては、特に限定されないが、例えば、120℃以上、より具体的には120℃以上400℃以下の範囲が好ましい。加熱温度が上記の範囲であることにより、接合層14の接合強度と長期信頼性とを高くすることができる。また、加熱処理の際に、基板12と被接合物16のどちらかを10MPa以下の圧力で加圧してもよい。加圧することにより、接合層14が緻密になり、接合強度と長期信頼性とを高くすることができる。
加熱処理の際の加熱時間としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、30分以上が好ましい。加熱時間が30分以上であることにより、接合層14の接合強度と長期信頼性とを高くすることができる。
以上の工程により、接合体11が製造される。
以下、本発明の効果を、実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[本発明例1]
(1)銀粒子凝集体
D10が20nm、D50が50nm、D90が100nmの銀粒子と、D10が150nm、D50が300nm、D90が500nmの銀粒子とを用意した。銀粒子のD10、D50、D90は、銀粒子の粒度分布曲線から求めた。銀粒子の粒度分布曲線は動的光散乱法を用いて下記の方法により測定した。
用意したD50が50nmの銀粒子と、D50が300nmの銀粒子とを、質量比で1:3の割合にて混合して、銀粒子混合物を得た。
(動的光散乱法による粒度分布曲線の測定方法)
先ず、銀粉末0.1gをイオン交換水20g中に投入し、25kHzの超音波を5分間照射して、イオン交換水に銀粒子を分散させた。次に、得られた銀粒子凝集体分散液を、動的光散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製:LB−550)用の観察セルに注ぎ、この装置の手順に従い粒度分布を測定した。
上記で得られた銀粒子混合物とアスコルビン酸ナトリウム(有機還元剤)と水とを、質量比で10:1:89となる割合にて混合して、銀粒子スラリーを調製した。調製した銀粒子スラリーを、90℃の温度で3時間加熱して、銀粒子を還元処理した。次いで、銀粒子スラリーを室温まで放冷した後、遠心分離器を用いて、固形物を分離、回収した。回収した固形物(含水銀粒子凝集体)を数回水洗し、乾燥して銀粒子凝集体を得た。
得られた銀粒子凝集体について、銀粒子凝集体を構成している銀粒子(一次粒子)の粒度分布、銀粒子凝集体(二次粒子)のレーザ回折散乱法による粒度分布曲線、銀粒子凝集体に含まれている有機物の含有量、そして銀粒子凝集体の比表面積を、下記の方法により測定した。その結果を表1に示す。
(銀粒子の粒度分布の測定方法)
SEMを用いて、銀粒子凝集体500個の画像を取得し、各銀粒子凝集体に含まれている銀粒子の粒径を測定した。このときSEMの装置倍率は100000倍とした。500個の銀粒子凝集体のSEM画像から、銀粒子(一次粒子)の全体の輪郭が視認できる銀粒子を抽出した。次いで、画像処理ソフト(Image−J)を用いて、抽出した銀粒子の投影面積を測定し、得られた投影面積から円相当径を算出して、これを銀粒子の粒径とした。輪郭が視認できない箇所がある銀粒子については、円相当径を測定しなかった。得られた銀粒子の粒径を、体積基準の粒径に変換し、その体積基準の粒径の粒度分布を求めた。その結果を、表1の「金属粒子の粒度分布」の欄に示す。
(銀粒子凝集体のレーザ回折散乱法による粒度分布曲線の測定方法)
先ず、銀粒子凝集体0.1gをイオン交換水20g中に投入し、25kHzの超音波を5分間照射して、イオン交換水に銀粒子凝集体を分散させた。次に、得られた銀粒子凝集体分散液を、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製:LA−960)の観察セルに適量滴下し、この装置の手順に従い粒度分布を測定した。このレーザ回折散乱法によって測定された粒度分布は、銀粒子(一次粒子)の凝集体を一つの粒子として扱う、銀粒子凝集体(二次粒子)の粒度分布である。この結果を、表1の「金属粒子凝集体の粒度分布」の欄に示す。
(有機物の含有量の測定方法)
銀粒子凝集体を量り取り、大気中にて150℃の温度で30分間加熱した。加熱後、室温まで放冷し、銀粒子凝集体の質量を測定した。下記の式より、有機物の含有量を算出した。この結果を、表1の「有機物含有量」の欄に示す。
有機物の含有量(質量%)=(A−B)/A×100
(但し、Aは、加熱前の銀粒子凝集体の質量、Bは、加熱後の銀粒子凝集体の質量である。)
(比表面積の測定方法)
測定装置として、QUANTACHROME AUTOSORB−1(カンタクローム・インスツルメンツ製)を用い、冷却した銀粒子凝集体へのNガスの吸着量から求めた。この結果を、表1の「比表面積」の欄に示す。
(2)ペースト状銀粒子組成物
上記(1)で得られた銀粒子凝集体とエチレングリコールとを、質量比で70:30の割合で混合した。得られた混合物を、三本ロールミルを用いて混練して、ペースト状銀粒子組成物を調製した。
(3)接合体
第一部材として、最表面に金メッキを施した20mm角のCu板(厚さ:1mm)を、第二部材として、最表面に金メッキを施した2.5mm角のSiウエハ(厚さ:200μm)を用意した。第一部材の表面に、上記(2)で調製したペースト状銀粒子組成物を、メタルマスク法により塗布してペースト層を形成した。次いで、ペースト層の上に第二部材を配置して、200℃の温度で30分加熱して、第一の部材と第二の部材とが接合層を介して接合されている接合体を作製した。得られた接合体の接合強度(シェア強度)を下記の方法により測定した。また、接合体に対して、液相法にて200℃⇔−40℃1000サイクルの冷熱サイクルを負荷し、その冷熱サイクルの前後での接合層中のボイド面積率を下記の方法により測定した。その結果を、下記の表1に示す。
(接合体の接合強度の測定方法)
せん断強度評価試験機を用いて接合強度を測定した。測定は、接合体の第一部材(Cu板)を水平に固定し、接合層の表面から50μm上方の位置にてシェアツールを用いて、第二部材(Siウエハ)を横から水平方向に押して、第二部材が破断されたときの強度を測定した。シェアツールの移動速度は0.1mm/secとした。一条件に付き3回強度試験を行い、それらの算術平均値を測定値とした。せん断強度評価試験機として株式会社レスカ製ボンディングテスタ(Model:PTR−1101)を用いた。
(接合層中のボイド面積率の測定方法)
超音波探傷装置を用いて、以下の式から接合層中のボイド面積率を求めた。ここで、接合層の面積は、接合層により接合すべき面積、すなわち第二部材の面積とした。また、超音波探傷像において第一部材と第二部材とが剥離した部分は白色部で示されることから、この白色部の面積をボイド面積とした。
ボイド面積率(%)=ボイド面積/接合層の面積×100
[本発明例2]
本発明例1の(1)銀粒子凝集体において、D50が50nmの銀粒子と、D50が300nmの銀粒子との混合割合を、質量比で1:1としたこと、以外は本発明例1と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
[本発明例3]
本発明例1の(1)銀粒子凝集体において、D50が50nmの銀粒子と、D50が300nmの銀粒子との混合割合を、質量比で1:5としたこと以外は本発明例1と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
[本発明例4]
本発明例1の(1)銀粒子凝集体において、銀粒子混合物の代わりに下記の方法により作製した銀粉を用いたこと以外は本発明例1と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
(銀粉の作製方法)
先ず、50℃に保持した1200gのイオン交換水に、50℃に保持した900gの硝酸銀水溶液と、50℃に保持した600gのクエン酸ナトリウム水溶液とを、5分かけて同時に滴下し、クエン酸銀スラリーを調製した。なお、イオン交換水中に硝酸銀水溶液とクエン酸ナトリウム水溶液を同時に滴下している間、イオン交換水を撹拌し続けた。また、硝酸銀水溶液中の硝酸銀の濃度は66質量%であり、クエン酸ナトリウム水溶液中のクエン酸の濃度は56質量%であった。
次いで、50℃に保持したクエン酸銀スラリーに、50℃に保持した300gのギ酸ナトリウム水溶液を30分かけて滴下して混合スラリーを得た。このギ酸ナトリウム水溶液中のギ酸の濃度は58質量%であった。
次に、上記混合スラリーに所定の熱処理を行った。具体的には、上記混合スラリーを昇温速度10℃/時間で最高温度60℃まで昇温し、60℃(最高温度)で30分保持した後に、60分間かけて20℃まで温度を下げた。これにより銀粉スラリーを得た。上記銀粉スラリーを遠心分離機に入れて1000rpmの回転速度で10分間回転させた。これにより銀粉スラリー中の液層が除去され、脱水及び脱塩された銀粉スラリーを得た。
この脱水及び脱塩された銀粉スラリーを凍結乾燥法により30時間乾燥することで、銀粉を得た。
[本発明例5]
本発明例1の(1)銀粒子凝集体において、銀粒子スラリーから回収した含水銀粒子凝集体の水洗の回数を多くして、含水銀粒子凝集体に残留するアスコルビン酸の量を低減させたこと以外は本発明例1と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
[本発明例6]
本発明例1の(1)銀粒子凝集体において、銀粒子スラリーから回収した含水銀粒子凝集体の水洗の回数を少なくして、含水銀粒子凝集体に残留するアスコルビン酸の量を増加させたこと以外は本発明例1と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
[本発明例7]
銀粒子の代わりに、D10が35nm、D50が50nm、D90が70nmの金粒子を使用したこと、この金粒子とアスコルビン酸ナトリウム(有機還元剤)と水とを、質量比で10:5:85となる割合にて混合した以外は本発明例1と同様にして、金粒子凝集体、ペースト状金粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。なお、金粒子のD10、D50、D90は、動的光散乱法によって測定した。
[本発明例8]
銀粒子の代わりに、表1に示す粒度分布を有する銅粒子を使用したこと以外は本発明例1と同様にして、銅粒子凝集体、ペースト状銅粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
[本発明例9]
本発明例1の(1)銀粒子凝集体において、D50が50nmの銀粒子と、D50が300nmの銀粒子との混合割合を、質量比で2:1としたこと、以外は本発明例1と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
[本発明例10]
本発明例1の(1)銀粒子凝集体において、D50が50nmの銀粒子と、D50が300nmの銀粒子との混合割合を、質量比で1:6としたこと以外は本発明例1と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
[本発明例11]
本発明例5において、銀粒子スラリーから回収した含水銀粒子凝集体の水洗の回数をさらに多くして、含水銀粒子凝集体に残留するアスコルビン酸の量を低減させたこと以外は本発明例5と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
[比較例1]
本発明例1の(1)銀粒子凝集体において、D50が300nmの銀粒子のみを使用したこと、アスコルビン酸ナトリウムを加えなかったこと以外は本発明例1と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
[比較例2]
本発明例1の(1)銀粒子凝集体において、D50が50nmの銀粒子のみを用いたこと以外は本発明例1と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例3]
本発明例1の(1)銀粒子凝集体において、粒子スラリーから回収した含水銀粒子凝集体を水洗しなかったこと以外は本発明例1と同様にして、銀粒子凝集体、ペースト状銀粒子組成物、接合体を製造し、本発明例1と同様の評価を行った。その結果を、表1に示す。
Figure 0006870436
銀粒子凝集体の最大粒径が本発明の範囲を超える比較例1では、銀粒子凝集体同士の隙間に起因するボイドが多数発生したため、ボイド面積率が高くなり、接合強度が低くなったと考えられる。
銀粒子凝集体に含まれる50nm未満の微細な銀粒子(一次粒子)の割合が本発明の範囲を超える比較例2では、微細な銀粒子同士が不均一に凝集し、銀粒子凝集体に部分的な空隙が形成され、この銀粒子凝集体に形成された空隙がボイドとなって現れて、ボイド面積率が高くなり、接合強度が低くなったと考えられる。
銀粒子凝集体の有機物の含有量が本発明の範囲を超える比較例3では、接合体の作製時の加熱によって、有機物が揮発して、接合層にボイドが多量に形成され、ボイド面積率が高くなり、接合強度が低くなったと考えられる。
これに対して、金属粒子(一次粒子)の粒度分布と有機物の含有量が、本発明の範囲内とされた本発明例1−11においては、接合体の接合強度が高く、接合層中のボイド面積率が低くなった。特に、有機物の含有量が金属粒子に対して0.05質量%以上とされ、比表面積が2〜8m/gの範囲とされた本発明例1−8においては、接合体の接合強度がより高くなった。また、冷熱サイクル前の接合層中のボイド面積率がより低くなり、さらに同時に冷熱サイクル後のボイド面積率の増加が抑制された。このボイド面積率の増加が抑制されることによって、接合体の長期信頼性が向上していることが確認された。
本発明の銀粒子凝集体は、パワーモジュールの半導体チップの接合、加圧なしでの接合が必要なLED素子の接合への適用が可能である。
11…接合体
12…基板
13…第1の金属層
14…接合層
15…第2の金属層
16…被接合物
17、18…界面

Claims (6)

  1. 銀、金および銅のいずれか1種からなり粒径が500nm以上の粒子を1体積%を超えて含むことがなく、粒径が100nm以上500nm未満の範囲にある粒子を60体積%以上95体積%以下の範囲、粒径が50nm以上100nm未満の範囲にある粒子を5体積%以上40体積%以下の範囲、そして粒径が50nm未満の粒子を5体積%以下の割合にて含む金属粒子と、
    有機物とを含み、
    レーザ回折散乱法により測定される体積基準の粒度分布曲線において、D10が0.05μm以上0.25μm以下の範囲にあって、D50が0.4μm以上0.6μm以下の範囲にあり、さらにD90が1.5μm以上2.5μm以下の範囲にあって、前記有機物を、前記金属粒子に対して2質量%以下の量にて含むことを特徴とする金属粒子凝集体。
  2. 前記有機物の含有量が、前記金属粒子に対して0.05質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属粒子凝集体。
  3. 比表面積が2〜8m/gの範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属粒子凝集体。
  4. 銀、金および銅のいずれか1種からなり、粒径が500nm以上の粒子を1体積%以上含むことがなく、粒径が100nm以上500nm未満の範囲にある粒子を65体積%以上95体積%の範囲、粒径が50nm以上100nm未満の範囲にある粒子を5体積%以上30体積%の範囲、そして粒径が50nm未満の粒子を5体積%以下の割合にて含む金属粒子と有機還元剤と水とを含むスラリーを調製し、金属粒子を還元処理して、金属粒子を凝集させる工程と、前記スラリーから凝集した金属粒子を取り出して、前記有機還元剤を、前記金属粒子に対して2質量%以下の量にて含む含水金属粒子凝集体を得る工程と、前記含水金属粒子凝集体を乾燥する工程とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の金属粒子凝集体の製造方法。
  5. 揮発性溶媒と請求項1乃至3のいずれか1項に記載の金属粒子凝集体とを含むことを特徴とするペースト状金属粒子組成物。
  6. 第一の部材と第二の部材とが接合層を介して接合されている接合体の製造方法であって、
    請求項5に記載のペースト状金属粒子組成物を用いて前記接合層を形成することを特徴とする接合体の製造方法。
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