以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[ショベルの構成]
まず、図1、図2を参照して、本実施形態に係るショベルの基本的な構成について説明をする。
図1は、本実施形態に係るショベルの一例を示す側面図である。
本実施形態に係るショベルは、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、作業装置としてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10を備える。
下部走行体1は、例えば、左右1対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1A,1B(図2参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
上部旋回体3は、後述する旋回用電動機21(図2参照)により電気駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
キャビン10は、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
図2は、本実施形態に係るショベルの駆動系を中心とする構成の一例を示すブロック図である。
尚、図中、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
本実施形態に係るショベルの油圧駆動系は、エンジン11と、減速機13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。また、本実施形態に係る油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等を含む。
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。エンジン11は、図示しないエンジンコントロールモジュール(ECM:Engine Control Module)による制御の下、予め設定される目標回転数で定回転する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンであり、減速機13を介してメインポンプ14、パイロットポンプ15を駆動する。また、エンジン11は、減速機13を介して電動発電機12を駆動し、電動発電機12に発電させる。
減速機13は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、エンジン11及び後述する電動発電機12が接続される2つの入力軸と、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が直列に同軸接続される1つの出力軸を有する。減速機13は、エンジン11及び電動発電機12の動力を所定の減速比でメインポンプ14及びパイロットポンプ15に伝達することができる。また、減速機13は、エンジン11の動力を所定の減速比で、電動発電機12とメインポンプ14及びパイロットポンプ15とに分配して伝達することができる。
メインポンプ14は、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、エンジン11、或いは、エンジン11及び電動発電機12により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するショベルコントローラ30Aによる制御の下、レギュレータ(不図示)が斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を制御することができる。
コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載され、オペレータによる操作装置26に対する操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、操作装置26の操作状態に応じて、油圧アクチュエータである走行油圧モータ1A(右用),1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に選択的に供給する。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の油圧制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。
また、本実施形態に係る電気駆動系は、電動発電機12と、旋回用電動機21と、旋回減速機24と、電流センサ21sと、レゾルバ22と、メカニカルブレーキ23と、蓄電系120を含む。
電動発電機12(電動機の一例)は、油圧駆動系に対するアシスト動力源であり、上部旋回体3の後部に搭載される。電動発電機12は、インバータ18A(駆動装置の一例)を介してキャパシタ19を含む蓄電系120と接続され、インバータ18Aを介してキャパシタ19や旋回用電動機21から供給される三相交流電力で力行運転し、減速機13を介してメインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。また、電動発電機12は、エンジン11により駆動されることにより発電運転を行い、発電電力をキャパシタ19や旋回用電動機21に供給することができる。電動発電機12の力行運転と発電運転との切替制御は、後述するハイブリッドコントローラ(HBコントローラ)30Bによってインバータ18Aが駆動制御されることにより実現される。
旋回用電動機21(電動機の一例)は、下部走行体1に対して上部旋回体3を旋回自在に接続する旋回機構2を駆動する旋回駆動装置40(図7参照)の構成要素であり、HBコントローラ30Bによる制御の下、上部旋回体3を旋回駆動する力行運転、及び回生電力を発生させて上部旋回体3を旋回制動する回生運転を行う。旋回用電動機21は、インバータ18B(駆動装置の一例)を介して蓄電系120に接続され、インバータ18Bを介してキャパシタ19や電動発電機12から供給される三相交流電力により駆動される。また、旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して、回生電力をキャパシタ19や電動発電機12に供給する。これにより、回生電力で、キャパシタ19を充電したり、電動発電機12を駆動したりすることができる。旋回用電動機21の力行運転と回生運転との切替制御は、HBコントローラ30Bによってインバータ18Bが駆動制御されることにより実現される。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続され、旋回用電動機21は、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24等と共に、一体として旋回駆動装置40を構成する。
旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aと接続され、旋回用電動機21の出力(トルク)を所定の減速比で減速させることにより、トルクを増大させて、上部旋回体3を旋回駆動する。即ち、力行運転の際、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して、上部旋回体3を旋回駆動する。また、旋回減速機24は、上部旋回体3の慣性回転力を増速させて旋回用電動機21に伝達し、回生電力を発生させる。即ち、回生運転の際、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して伝達される上部旋回体3の慣性回転力により回生発電を行い、上部旋回体3を旋回制動する。
電流センサ21sは、旋回用電動機21の3相(U相、V相、W相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ21sは、例えば、旋回用電動機21とインバータ18Bの間の電力経路に設けられる。電流センサ21sは、旋回用電動機21の3相それぞれの電流に対応する検出信号をHBコントローラ30Bに出力する。
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転位置(回転角)等を検出する。レゾルバ22は、検出した回転角に対応する検出信号をHBコントローラ30Bに出力する。
メカニカルブレーキ23は、HBコントローラ30Bによる制御の下、上部旋回体3(具体的には、旋回用電動機21の回転軸21A)に対して、機械的に制動力を発生させ、上部旋回体3を旋回制動すると共に、上部旋回体3の停止状態を維持させる。
尚、図2中において、旋回減速機24とメカニカルブレーキ23とは、簡単のため、別のブロック要素として記載されるが、後述の如く、本実施形態におけるメカニカルブレーキ23は、旋回減速機24に含まれる複数の減速機の間に組み込まれる。
蓄電系120は、キャパシタ19と、DCバス110と、昇降圧コンバータ100を含み、例えば、インバータ18A,18Bと共に、上部旋回体3の右側前部に搭載される。
キャパシタ19(蓄電装置の一例)は、電動発電機12、旋回用電動機21に電力を供給すると共に、電動発電機12、旋回用電動機21の発電電力を充電する。
DCバス110は、インバータ18A,18Bと昇降圧コンバータ100との間に配設され、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。
昇降圧コンバータ100(駆動装置、コンバータの一例)は、電動発電機12、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス110の電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える。昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス110の電圧検出値、キャパシタ19の電圧検出値、及びキャパシタ19の電流検出値に基づき、HBコントローラ30Bにより実現される。
また、本実施形態に係るショベルの操作系は、パイロットポンプ15、操作装置26、圧力センサ29等を含む。
パイロットポンプ15は、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットライン25を介して操作装置26にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、エンジン11、或いはエンジン11及び電動発電機12により駆動される。
操作装置26は、レバー26A,26Bと、ペダル26Cを含む。操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等)の操作を行うための操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、各動作要素を駆動する各油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等)や電動アクチュエータ(旋回用電動機21等)の操作を行うための操作入力手段である。操作装置26(レバー26A,26B、及びペダル26C)は、油圧ライン27を介して、コントロールバルブ17にそれぞれ接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット信号(パイロット圧)が入力される。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26における操作状態に応じて、各油圧アクチュエータを駆動することができる。また、操作装置26は、油圧ライン28を介して圧力センサ29に接続される。
圧力センサ29は、上述の如く、油圧ライン28を介して操作装置26と接続され、操作装置26の二次側のパイロット圧、即ち、操作装置26における各動作要素の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。圧力センサ29は、ショベルコントローラ30Aに接続され、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じた圧力信号(圧力検出値)がショベルコントローラ30Aに入力される。
また、本実施形態に係るショベルの制御系は、ショベルコントローラ30A、HBコントローラ30B等を含む。ショベルコントローラ30A、HBコントローラ30Bを含む各種コントローラは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(Input-Output interface)等を含むマイクロコンピュータで構成され、ROMに格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能が実現されると共に、例えば、CAN(Controller Area Network)規格等に基づく通信ネットワークで相互に接続される。
ショベルコントローラ30Aは、HBコントローラ30Bや上述したECM等を含む各種コントローラ(制御装置)と連携し、ショベルの駆動制御を行う。例えば、ショベルコントローラ30Aは、HBコントローラ30Bを中心とする各種コントローラとの双方向通信に基づき、ショベル全体(ショベルに搭載される各種機器)の動作を統合的に制御してよい(全体制御)。具体的には、ショベルコントローラ30Aは、圧力センサ29から入力される検出値を含む駆動指令をHBコントローラ30Bに送信することにより、操作装置26に対するオペレータの操作状態に応じた電動発電機12及び旋回用電動機21の動作を実現してよい。また、例えば、ショベルコントローラ30Aは、HBコントローラ30Bを中心とする各種コントローラとの双方向通信に基づき、全体制御に関する情報(各種センサの検出値、各種コントローラの制御信号等)を統合的に取得してよい。具体的には、ショベルコントローラ30Aは、HBコントローラ30Bから電気駆動系の各種情報(例えば、電動発電機12、インバータ18A,18B、キャパシタ19、旋回用電動機21の電流検出値、電圧検出値、異常に関する情報等)を受信してよい。
HBコントローラ30Bは、ショベルコントローラ30Aから送信される各種情報(例えば、操作装置26に対する操作状態に対応する圧力センサ29の検出値を含む駆動指令等)に基づき、電気駆動系の駆動制御を行う。また、HBコントローラ30Bは、電気駆動系の各種情報を、ショベルの全体制御を司るショベルコントローラ30Aに送信してもよい。
[電気駆動部からの放射ノイズを抑制する構造の概要]
次に、図3を参照して、本実施形態に係るショベルの特徴的な構造、即ち、電気駆動系から放射される放射ノイズを抑制する構造の概要について説明する。
図3は、電気駆動系の配置構造の一例を概略的に示す図である。具体的には、電気駆動系に含まれる電気駆動部(例えば、キャパシタ19、インバータ18A,18B、昇降圧コンバータ100、電動発電機12、旋回用電動機21)の上部旋回体3の旋回フレーム3aに対する取付構造の一例を概略的に示す図である。
尚、図中の一点鎖線は、電気駆動系における電力系統を概略的に示す。また、本例では、インバータ18A,18Bが同じ筐体18Cに収容され、インバータ18A,18Bを包括的にインバータ18(駆動装置の一例)と称する。後述する図4、図5についても同様である。
図3に示すように、キャパシタ19(電気駆動部の一例)は、導電性を有すると共に、比較的高い剛性を有する、例えば、アルミダイカスト製等の筐体19Cに収容される。キャパシタ19は、旋回フレーム3aに取り付けられるラバーマウント19Mの上に、その筐体19Cが取り付けられる。即ち、キャパシタ19は、その筐体19Cが、ラバーマウント19Mを介して、旋回フレーム3aに取り付けられる。
キャパシタ19の筐体19Cには、導電線65の一端が取り付けられる。
導電線65は、その他端が旋回フレーム3aに取り付けられ、筐体19Cと旋回フレーム3aとの間を導通可能に接続する。これにより、比較的インピーダンスが低い導電線65を通じて、筐体19Cと旋回フレーム3aとの間が導通可能となるため、筐体19Cと旋回フレーム3aとの間の電位差を抑制することができる。
ここで、上述の如く、ラバーマウント19Mが採用されるため、筐体19Cと旋回フレーム3aとの間が導通不可の状態となり、キャパシタ19における高周波電流によるノイズが筐体19Cから放射され易くなる。
これに対して、本実施形態では、導電線65を通じて、高周波ノイズを筐体19Cから旋回フレーム3aに逃がし易くなり、筐体19Cから放射される放射ノイズを抑制することができる。
また、図3に示すように、電動発電機12、旋回用電動機21を駆動するインバータ18、昇降圧コンバータ100(共に、電気駆動部の一例)は、キャパシタ19の上方に配置される。具体的には、インバータ18、昇降圧コンバータ100は、各々、導電性を有すると共に、比較的高い剛性を有する、例えば、アルミダイカスト製等の筐体18C,筐体100Cに収容され、キャパシタ19の上方を覆うキャパシタカバー60(ブラケットの一例)の上面60Aに、ボルト18BT,100BTで締結される。即ち、インバータ18、昇降圧コンバータ100は、その筐体18C,100Cがキャパシタカバー60を介して、旋回フレーム3aに取り付けられる。
キャパシタカバー60は、例えば、導電性を有する鋼板製であり、ボルト60BTにより旋回フレーム3aに取り付けられる(締結される)。また、キャパシタカバー60は、その表面全体に塗装、具体的には、防錆塗装60acが施されている。インバータ18及び昇降圧コンバータ100とキャパシタカバー60は、ショベルの主たる組立工程(メイン工程)と異なるサブ工程で、組み立てられた上で、旋回フレーム3aに取り付けられるため、サブ工程で組み立てられてからメイン工程で組み立てられるまでの保管状態での錆の発生を防止する必要があるからである。
キャパシタカバー60には、導電線55の一端が取り付けられる。
導電線55は、他端が旋回フレーム3aに取り付けられ、キャパシタカバー60と旋回フレーム3aとの間を導通可能に接続する。これにより、比較的インピーダンスが低い導電線55を通じて、キャパシタカバー60と旋回フレーム3aとの間が導通可能となる。即ち、結果として、キャパシタカバー60に対して、ボルト18BT,100BTで導通可能に締結されるインバータ18の筐体18C及び昇降圧コンバータ100の筐体100Cと、旋回フレーム3aとの間が、比較的インピーダンスが低い導電線55を通じて導通可能となるため、筐体18C,100Cと旋回フレーム3aとの間の電位差を抑制することができる。
ここで、キャパシタカバー60は、上述の如く、その表面に防錆塗装60acが施されると共に、メイン工程で既に塗装3acが施された状態の旋回フレーム3aに取り付けられる。そのため、キャパシタカバー60と旋回フレーム3aとの間が導通不可の状態となり、インバータ18及び昇降圧コンバータ100の高周波動作によるノイズが筐体18C,100Cから放射され易くなる。
これに対して、本実施形態では、導電線55を通じて、高周波ノイズを筐体18C,100Cから旋回フレーム3aに逃がし易くなり、筐体18C,100Cから放射されるノイズを抑制することができる。また、導電線55は、その一端がキャパシタカバー60に取り付けられることにより、1本で、インバータ18の筐体18C、及び昇降圧コンバータ100の筐体100Cの双方からの放射ノイズの抑制を図ることができる。
尚、導電線55の代わりに、或いは、加えて、筐体18C,100Cの双方と旋回フレーム3aとの間を繋ぐ導電線が設けられてもよい。
また、図3に示すように、電動発電機12(電気駆動部の一例)は、油圧駆動系の一部に含まれる態様、即ち、油圧駆動系のアッセンブリ部品として、旋回フレーム3aに取り付けられる。具体的には、電動発電機12は、メインポンプ14を駆動するための減速機13及びエンジン11等を介して、旋回フレーム3aに取り付けられる。
エンジン11は、その駆動軸が略水平方向に沿う態様で、旋回フレーム3aに搭載される。具体的には、エンジン11の側面、即ち、エンジンブロックの側面には、振動等を吸収するラバー部を含む複数のエンジンマウント11M(ラバーマウントの一例)が取り付けられ、エンジンマウント11Mは、各々、旋回フレーム3aに取り付けられる。これにより、エンジン11は、旋回フレーム3aに固定される。エンジン11は、導電性を有すると共に、比較的高い剛性を有する、例えば、鋳鉄製或いはアルミダイカスト製等の筐体(エンジンブロック等)を有する。
減速機13は、その一方の入力軸、即ち、エンジン11の出力軸と連結される入力軸が設けられる一端面において、エンジン11の出力軸が延出する端面にボルト締結される。減速機13は、導電性を有すると共に、比較的高い剛性を有する、例えば、鋳鉄製等の筐体を有する。
メインポンプ14は、その駆動軸が略水平方向に沿う態様で、減速機13の他端面の上部にボルト締結される。メインポンプ14は、導電性を有すると共に、比較的高い剛性を有する、例えば、鋳鉄製等の筐体を有する。
電動発電機12は、導電性を有すると共に、比較的高い剛性を有する、例えば、アルミダイカスト製等の筐体12Cに収容され、その駆動軸が略水平方向に沿う態様で、減速機13の他端面に筐体12Cがボルト締結される。
電動発電機12の筐体12Cには、導電線45の一端が取り付けられる。
導電線45は、他端が旋回フレーム3aに取り付けられ、筐体12Cと旋回フレーム3aとの間を導通可能に接続する。これにより、比較的インピーダンスが低い導電線45を通じて、筐体12Cと旋回フレーム3aとの間が導通可能となるため、筐体12Cと旋回フレーム3aとの間の電位差を抑制することができる。
ここで、電動発電機12の筐体12Cが減速機13を介して連結されるエンジン11(エンジンブロック)は、上述の如く、エンジンマウント11Mのラバー部により略絶縁される態様で、旋回フレーム3aに取り付けられる。そのため、エンジン11と旋回フレーム3aとの間が略導通不可の状態となり、電動発電機12の高周波動作によるノイズが電動発電機12の筐体12Cから放射され易くなる。
これに対して、本実施形態では、導電線45を通じて、高周波ノイズを筐体12Cから旋回フレーム3aに逃がし易くなり、筐体12Cから放射されるノイズを抑制することができる。
尚、導電線45の一端は、電動発電機12の筐体12Cではなく、筐体12Cと導通可能に接続される、エンジン11の筐体(エンジンブロック)、減速機13の筐体、或いは、メインポンプ14の筐体に取り付けられてもよい。
また、図3に示すように、旋回用電動機21(電気駆動部の一例)は、導電性を有すると共に、比較的高い剛性を有する、例えば、アルミダイカスト製等の筐体21Cに収容され、その筐体21Cが旋回減速機24の上に取り付けられる。
旋回減速機24は、旋回フレーム3aの上にボルト24BTで締結されると共に、その上部に、旋回用電動機21が取付られる。即ち、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して、その筐体21Cが旋回フレーム3aに取り付けられる。旋回減速機24は、導電性を有すると共に、比較的高い剛性を有する、例えば、鋳鉄製等の筐体を有する。
旋回用電動機21の筐体21Cには、導電線35の一端が取り付けられる。
導電線35は、その他端が旋回フレーム3aに取り付けられ、旋回用電動機21の筐体21Cと旋回フレーム3aとの間を導通可能に接続する。これにより、比較的インピーダンスが低い導電線35を通じて、筐体21Cと旋回フレーム3aとの間が導通可能となるため、筐体21Cと旋回フレーム3aとの間の電位差を抑制することができる。
ここで、旋回用電動機21は、上述の如く、旋回減速機24が間に介設される態様で、旋回フレーム3aに取り付けられる。そのため、介設される旋回減速機24等の影響により、旋回減速機24の筐体が導電性を有する態様であっても、旋回用電動機21の筐体21Cと旋回フレーム3aとの間に電位差が生じ易くなる。
これに対して、本実施形態では、導電線35を通じて、高周波ノイズを筐体21Cから旋回フレーム3aに逃がし易くなり、筐体21Cから放射されるノイズを抑制することができる。
尚、導電線35は、その一端が旋回減速機24の筐体に取り付けられてもよい。この場合、導電線35は、旋回減速機24と旋回フレーム3aとの取付位置よりも上方の位置に取り付けられるとよい。
[電気駆動部からの放射ノイズを抑制する構造の具体例]
次に、図4〜図7を参照して、電気駆動部からの放射ノイズを抑制する構造の具体例について説明する。
[キャパシタの筐体からの放射ノイズを抑制する構造]
まず、図4は、本実施形態に係るショベルの電気駆動部(キャパシタ19)からの放射ノイズを抑制する構造の一例を示す図である。具体的には、図4は、本実施形態に係るキャパシタ19の具体的な配置構造の一例を示す構成図である。
尚、図4(a),(b)は、キャパシタ19が配置される、上部旋回体3の右側前部を右側方及び前方(正面)から見た右側面図及び正面図である。また、後述の如く、キャパシタ19の上には、キャパシタ19を覆う態様のキャパシタカバー60が設けられると共に、キャパシタカバー60の上面60Aには、インバータ18、昇降圧コンバータ100が配置される。
図4に示すように、キャパシタ19は、上述の如く、ラバーマウント19Mを介して、旋回フレーム3aの略水平方向に延在するフロア部3aFに取り付けられる。
導電線65は、上述の如く、その一端がキャパシタ19の筐体19Cに取付られると共に、その他端が旋回フレーム3aに取り付けられる。これにより、上述の如く、キャパシタ19の筐体19Cからの放射ノイズを抑制することができる。
具体的には、本例では、導電線65は、電線部65aと、その両端に設けられる端子部65bとを含む。導電線65は、端子部65bの一方が筐体19Cに取り付けられると共に、端子部65bの他方が旋回フレーム3aのフロア部3aFに取り付けられる。
導電線65の一端、即ち、端子部65bの一方と、筐体19Cとの接続態様は、任意であってよい。例えば、端子部65bの一方は、キャパシタ19の筐体19Cの上部に設けられる、キャパシタ19の脱着時にアイボルトが螺着される複数のアイボルト取付孔19EH(アイボルト取付部の一例)のうちの筐体19Cの前端部に設けられるアイボルト取付孔19EHにボルト65BTにより締結されてよい。また、例えば、端子部65bの一方は、キャパシタ19から延出するワイヤハーネスを保持するブラケット等がボルトで締結される、筐体19Cのハーネス保持部にボルト締結、即ち、共締めされてもよい。これにより、筐体19Cに設けられる既存のボルト孔に導電線65の一端、即ち、端子部65bの一方を締結することができるため、専用の取付座を設ける場合に比して、コスト上昇を抑制することができる。
また、導電線65の他端、即ち、端子部65bの他方と、旋回フレーム3aとの接続態様は、任意であってよい。例えば、図4(a),(b)に示すように、端子部65bの他方は、キャパシタ19の前方に隣接する旋回フレーム3aのフロア部3aFの上面にボルト65BTで取り付けられてよい。また、例えば、端子部65bの他方は、キャパシタ19の左側方或いは右側方に隣接する旋回フレーム3aのフロア部3aFの上面にボルト締結されてもよい。また、例えば、端子部65bの他方は、キャパシタ19の後方に隣接する旋回フレーム3aのフロア部3aFの上面にボルト締結されてもよい。この場合、端子部65bの一方は、筐体19Cの後端部に設けられるアイボルト取付孔19EHに取り付けられるとよく、これにより、導電線65、即ち、電線部65aの長さを短くすることができる。また、例えば、端子部65bの他方は、旋回フレーム3aの略鉛直方向(上下方向)に延在する壁部にボルト締結されてもよい。
また、例えば、端子部65bの他方は、ショベルの所定の部品を取り付けるために予め設けられるボルト締結用の取付座に、当該部品と共にボルト締結(即ち、共締め)されてよい。また、当該部品がオプション装備に関連する部品である場合、当該部品に対応するオプション装備が選択されないショベルでは、端子部65bの他方だけが、当該取付座に取り付けられてよい。これにより、旋回フレーム3aに専用の取付座を設ける必要がないため、コストの上昇を抑制することができる。また、旋回フレーム3aは、塗装されることにより塗膜に覆われる場合があるところ、取付座に形成されるボルト孔は塗膜に覆われないため、当該取付座を利用することにより、導電線65と旋回フレーム3aとの間の電気的接続を容易に実現することができる。
尚、本例では、キャパシタ19の筐体19Cと旋回フレーム3aとの間を接続する導電線65を1本設けるが、複数本設けてもよい。例えば、一端がキャパシタ19の後端部に位置するアイボルト取付孔19EHにボルト締結されると共に、他端がキャパシタ19の後方に隣接する旋回フレーム3aのフロア部3aFにボルト締結される導電線65を更に設けてもよい。これにより、キャパシタ19(筐体19C)が前後方向に長い形状であるために、筐体19Cに前後方向での電位差が生じうるところ、筐体19Cの前後端の双方に、旋回フレーム3aと接続する導電線65を設けることにより、筐体19Cからの放射ノイズを更に抑制することができる。
[インバータ、昇降圧コンバータの筐体からの放射ノイズを抑制する構造]
続いて、図5は、本実施形態に係るショベルの電気駆動部(インバータ18、昇降圧コンバータ100)からの放射ノイズを抑制する構造の他の例を示す図である。具体的には、図5は、本実施形態に係るインバータ18、及び昇降圧コンバータ100の具体的な配置構造の一例を概略的に示す構成図である。
尚、図5(a),(b)は、インバータ18、及び昇降圧コンバータ100が配置される、上部旋回体3の右側前部を右側方及び前方(正面)から見た右側面図及び正面図である。また、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、上部旋回体3の右側前部において、左右方向に並列に配置されるため、図5(a)に示す右側面図において、区別することなく説明を行う場合がある。
図5に示すように、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、前後方向に比較的長い直方体形状を有し、左右方向に並列して配置される態様で、その筐体18C,100Cが、上述したキャパシタカバー60の上面60Aにボルト18BT,100BTで締結される。
導電線55は、上述の如く、その一端が、キャパシタカバー60或いは筐体18C,100Cに取り付けられると共に、その他端が、旋回フレーム3aに取り付けられる。これにより、上述の如く、インバータ18、昇降圧コンバータ100の筐体18C,100Cからの放射ノイズを抑制することができる。
具体的には、本例では、導電線55は、電線部55aと、電線部55aの両端に設けられる端子部55bとを含む。導電線55は、端子部55bの一方がキャパシタカバー60に取り付けられると共に、端子部55bの他方が旋回フレーム3aに取り付けられる。
導電線55の一端、即ち、端子部55bの一方と、キャパシタカバー60との接続態様は、任意であってよい。例えば、端子部55bの一方は、キャパシタカバー60の前端部中央の下面(上面60Aの裏面)にボルト55BTにより締結されてよい。また、例えば、端子部55bの一方は、キャパシタカバー60の後端部の下面にボルト締結されてもよいし、キャパシタカバー60の前端部或いは後端部の上面にボルト締結されてもよい。また、例えば、端子部55bの一方は、キャパシタカバー60の左右の脚部の側面にボルト締結されてもよい。また、例えば、端子部55bの一方は、キャパシタカバー60に所定の部品を取り付けるために予め設けられるボルト締結用の取付座や、ハーネス等を保持するブラケット等を取り付ける取付座等、キャパシタカバー60に設けられる既存のボルト孔にボルトで締結(即ち、共締め)されてもよい。これにより、上述したキャパシタ19の場合と同様の作用・効果を奏する。
また、導電線55の他端、即ち、端子部55bの他方と、旋回フレーム3aとの接続態様は、任意であってよい。例えば、図5(a),(b)に示すように、端子部55bの他方は、キャパシタ19、即ち、キャパシタカバー60の前方に隣接する旋回フレーム3aのフロア部3aFにボルト55BTにより締結されてよい。また、例えば、端子部55bの他方は、キャパシタカバー60の後方、左側方、或いは右側方等に隣接する旋回フレーム3aのフロア部3aFにボルト締結されてもよい。また、端子部55bの他方は、キャパシタカバー60に隣接する旋回フレーム3aの上下方向に延在する壁部にボルト締結されてもよい。また、端子部55bの他方は、上述と同様、ショベルの所定の部品を取り付けるために予め設けられるボルト締結用の取付座に、当該部品と共にボルト締結(即ち、共締め)されてもよい。これにより、上述したキャパシタ19の場合と同様の作用・効果を奏する。
尚、本例では、キャパシタカバー60と旋回フレーム3aとの間を接続する導電線55を1本設けるが、複数本設けてもよい。例えば、一端がキャパシタカバー60の後端部にボルト締結されると共に、他端がキャパシタ19(キャパシタカバー60)の後方に隣接する旋回フレーム3aのフロア部3aFにボルト締結される導電線55を更に設けてもよい。これにより、インバータ18、昇降圧コンバータ100の筐体18C,100Cが前後方向に長い形状であるために、筐体18C,100Cに前後方向での電位差が生じうるところ、キャパシタカバー60の前後端の双方に、旋回フレーム3aと接続する導電線55を設けることにより、筐体18C,100Cからの放射ノイズを更に抑制することができる。
[電動発電機の筐体からの放射ノイズを抑制する構造]
続いて、図6は、本実施形態に係るショベルの電気駆動部(電動発電機12)からの放射ノイズを抑制する構造の更に他の例を示す図である。具体的には、図6は、本実施形態に係るエンジン11、電動発電機12、減速機13、及びメインポンプ14を含む油圧駆動系の具体的な配置構造の一例を概略的に示す構成図である。
尚、図6は、油圧駆動系を上部旋回体3の前方から見た正面図である。また、エンジンマウント11Mは、各々、旋回フレーム3aのフロア部3aFで前後方向に延在する縦メンバ3aMに取り付けられている。
導電線45は、上述の如く、その一端が、油圧駆動系の筐体部(エンジン11のエンジンブロック、電動発電機12の筐体12C、減速機13の筐体13C、或いはメインポンプ14の筐体14C)に取り付けられると共に、その他端が、旋回フレーム3aに取り付けられる。これにより、上述の如く、電動発電機12の筐体12Cからの放射ノイズを抑制することができる。
具体的には、本例では、導電線45は、電線部45aとその両端に設けられる端子部45bを含む。導電線45は、端子部45bの一方が油圧駆動系の筐体部(本例では、電動発電機12の筐体12C)に取り付けられると共に、端子部45bの他方が旋回フレーム3aに取り付けられる。
導電線45の一端、即ち、端子部45bの一方と、油圧駆動系の筐体部との接続態様は、任意であってよい。例えば、図6に示すように、端子部45bの一方は、電動発電機12に電力を供給するワイヤハーネスを保持するブラケットがボルトで締結されるハーネス保持部にボルト45BTa(実線)により締結、即ち、共締めされてよい。また、例えば、端子部45bの一方は、電動発電機12の脱着時にアイボルトが螺着されるアイボルト取付孔12EH(アイボルト取付部の一例)にボルト45BTa(点線)により締結されてもよい。また、端子部45bの一方は、油圧駆動系の筐体部における複数の部材同士がボルト締結される連結部(例えば、筐体12Cと筐体13Cとがボルト締結される部分)にボルト締結、即ち、共締めされてもよい。これにより、上述したキャパシタ19等の場合と同様、油圧駆動系の筐体部に設けられる既存のボルト孔に導電線45の一端(端子部45bの一方)を締結することができるため、同様の作用・効果を得ることができる。
また、導電線45の他端、即ち、端子部45bの他方と、旋回フレーム3aとの間の接続態様は、任意であってよい。例えば、図6に示すように、端子部45bの他方は、例えば、旋回フレーム3aのフロア部3aFにボルト45BTで締結されてよい。この場合、導電線45は、略上下方向に延在する態様で配置される。また、端子部45bの他方は、油圧駆動部(電動発電機12)に隣接する旋回フレーム3aの上下方向に延在する壁部にボルト締結されてもよい。これにより、導電線45は、油圧駆動系の筐体部と旋回フレーム3aの壁部の側面との間に橋設されるため、導電線45の一端の上下位置によっては、導電線45の長さをより短くすることができる。
また、端子部45bの他方は、例えば、ショベルの所定の部品を取り付けるために設けられるボルト締結用の取付座に、所定の部品と共にボルト締結で取り付けられてよい。これにより、上述したキャパシタ19等の場合と同様の作用・効果を得ることができる。
尚、本例では、電動発電機12は、減速機13を介してエンジン11に取り付けられるが、直接、エンジン11に取り付けられる態様であってもよい。
[旋回用電動機の筐体からの放射ノイズを抑制する構造]
続いて、図7は、本実施形態に係るショベルの電気駆動部(旋回用電動機21)からの放射ノイズを抑制する構造の更に他の例を示す図である。具体的には、図7は、本実施形態に係る旋回駆動装置40の配置構造の一例を概略的に示す構成図である。
尚、図7は、旋回駆動装置40を含む上部旋回体3の部分を前方から見た正面断面図であり、旋回駆動装置40のうちの旋回用電動機21、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24は、概略的なブロック図として示される。
図7に示すように、旋回駆動装置40は、上述の如く、駆動力源としての旋回用電動機21と、旋回用電動機21の回転位置等を検出するレゾルバ22と、旋回用電動機21の回転を減速させる旋回減速機24と、旋回駆動装置40の回転を制動するメカニカルブレーキ23を含む。また、旋回駆動装置40は、旋回駆動装置40を収容する筐体40Cを含み、筐体40Cは、旋回用電動機21等を収容する筐体21Cと、旋回減速機24等を収容する筐体24Cを含む。
旋回用電動機21は、出力軸が略下方向になるように配置され、旋回減速機24の上部に取り付けられる。また、旋回用電動機21の出力軸の反対側(上部)には、レゾルバ22が取り付けられる。旋回用電動機21は、レゾルバ22と共に、上端が閉じられ、下端が開放される略円筒形状の筐体21Cに収容される。
筐体21Cは、上下の端部が開放される略円筒形状の側面部21Caと、側面部21Caの上部の開放端を閉塞する略円盤形状のカバー部21Cbを含む。カバー部21Cbは、側面部21Caの上部の開放端に設けられるフランジ部に複数のボルト21Baにより締結される。
旋回減速機24は、旋回用電動機21の下方に隣接して配置され、その上部で旋回用電動機21に取り付けられると共に、その下部で上部旋回体3の底部を構成する旋回フレーム3aに取り付けられる。旋回減速機24は、第1旋回減速機24−1、第2旋回減速機24−2、及び第3旋回減速機24−3の3段構成を有し、メカニカルブレーキ23は、第1旋回減速機24−1と第2旋回減速機24−2との間に組み込まれる。具体的には、第1段の第1旋回減速機24−1は、旋回用電動機21の下方に隣接して配置され、旋回用電動機21の出力軸と機械的に連結される。また、第1旋回減速機24−1の出力軸には、メカニカルブレーキ23(ディスクブレーキ)が設けられ、メカニカルブレーキ23は、第1旋回減速機24−1の出力軸の回転を制動することにより、旋回駆動装置40(即ち、上部旋回体3)の回転を制動する。また、第2段の第2旋回減速機24−2は、メカニカルブレーキ23を間に挟んで、第1旋回減速機24−1の下方に隣接して配置され、第1旋回減速機24−1の出力軸と機械的に連結される。また、第3段の第3旋回減速機24−3は、第2旋回減速機24−2の下方に隣接して配置され、第2旋回減速機24−2の出力軸に機械的に連結される。そして、第3旋回減速機24−3の出力軸、即ち、旋回駆動装置40の出力軸40Aは、旋回フレーム3aに設けられる孔を貫通し、旋回フレーム3aの下方に隣接して配置される旋回機構2に機械的に連結される。第1旋回減速機24−1、第2旋回減速機24−2、及び第3旋回減速機24−3は、それぞれ、遊星歯車減速機で構成されてよい。旋回減速機24は、メカニカルブレーキ23と共に、上端及び下端が開放される略円筒形状の筐体24Cに収容される。
筐体21C及び筐体24Cは、例えば、鋳鉄、アルミダイカスト等の導電性を有し、比較的剛性が高い材質で構成される。筐体21C(側面部21Ca)は、例えば、下端にフランジ部を有し、該フランジ部を利用して、筐体24Cとボルト締結される。また、筐体24Cは、上述の如く、その上端部が筐体21Cに取り付けられると共に、下端に設けられるフランジ部を利用して、上部旋回体3の底部を構成する旋回フレーム3aのフロア部3aFに取り付けられる。即ち、筐体40Cは、旋回減速機24及びメカニカルブレーキ23を収容する筐体24Cの下端部において、旋回フレーム3aに取り付けられる。
また、旋回駆動装置40は、導電線35を介して、その筐体40Cが旋回フレーム3aと電気的に接続される。即ち、導電線35は、上述の如く、その一端が筐体21C或いは筐体24C、即ち、筐体40Cに取り付けられると共に、その他端が旋回フレーム3aに取り付けられる。これにより、上述の如く、旋回用電動機21の動作に応じて筐体21Cから放射される放射ノイズを抑制することができる。
具体的には、本例では、導電線35は、電線部35aと、電線部35aの両端に設けられる端子部35bとを含む。導電線35は、端子部35bの一方が筐体40C(本例では、旋回用電動機21の筐体21C)に取り付けられると共に、端子部35bの他方が旋回フレーム3aに取り付けられる。
導電線35の一端、即ち、端子部35bの一方と、筐体40C、即ち、筐体21C或いは筐体24Cとの接続態様は任意であってよい。例えば、図7に示すように、端子部35bの一方は、筐体21Cを構成する側面部21Caとカバー部21Cbとがボルト締結される連結部に、ボルト21Baにより締結されてよい。また、例えば、端子部35bの一方は、筐体40Cにおける複数の部材同士がボルト締結される他の連結部(例えば、筐体21Cの側面部21Caと筐体24Cとがボルト締結される部分)にボルト締結されてもよい。また、例えば、端子部35bの一方は、旋回駆動装置40或いは旋回用電動機21単体の脱着時にアイボルトが螺着される図示しないアイボルト取付孔(アイボルト取付部の一例)が筐体21C或いは筐体24Cに設けられる場合、当該アイボルト取付孔にボルト締結されてもよい。また、例えば、端子部35bの一方は、旋回用電動機21に電力を供給するワイヤハーネスを保持するブラケットをボルトで締結するハーネス保持部(不図示)が筐体21C或いは筐体24Cに設けられる場合、当該ハーネス保持部にボルト締結されてもよい。これにより、上述したキャパシタ19等の場合と同様、筐体40Cに設けられる既存のボルト孔に導電線35の一端(端子部35bの一方)を締結することができるため、同様の作用・効果を奏する。
また、導電線35の他端、即ち、端子部35bの他方と、旋回フレーム3aとの接続態様は、任意であってよい。例えば、図7に示すように、端子部35bの他方(実線)は、旋回フレーム3aのフロア部3aFにボルト35BT(実線)で締結されてよい。この場合、導電線35は、略上下方向に延在する態様で配設される。また、例えば、端子部35bの他方(点線)は、旋回駆動装置40に隣接し、上下方向に延在する旋回フレーム3aの壁部3aW(例えば、ブーム4が支持される構造体等)にボルト35BT(点線)で締結されてもよい。この場合、導電線35は、筐体40Cと旋回フレーム3aの壁部3aWの側面との間に橋設されるため、導電線35、即ち、電線部35aの長さをより短くすることができる。そのため、導電線35のコストを抑制することができると共に、作業者は、導電線35の組み付け作業や脱着作業等を容易に行うことが可能になる。
また、例えば、端子部35bの他方は、上述したキャパシタ19等の場合と同様、ショベルの所定の部品を取り付けるために設けられるボルト締結用の取付座に、所定の部品と共にボルト締結で取り付けられてよい。これにより、同様の作用・効果を奏する。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。