JP6867660B2 - 鍼治療補助具、並びにこれを用いた経絡療法用セット及び灸頭鍼代替キット - Google Patents
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Description
しかしながら、鍼の上に艾をおいて燃やすことから、施術中において艾が燃え尽きるまで注視する必要がある。また、患者が身動きすると、艾がこぼれ落ちて、患者が火傷をするおそれがある。このような理由から、灸頭鍼は、治療効果が高いものの、特定の患者以外には、一般的に行われないのが実情である。
全身温熱治療は、本来の東洋医学の考え方に基づくものではなく、患者が本来有している免疫力、治癒力アップには、つながりにくく、また機器も大型で高価である。
この点、特定部位を照射する赤外線治療器は、灸治療の代替として、近年、利用が増加している。灸治療の代替としての温熱治療を行うことができるような温熱器も種々提案されている。
しかしながら、鍼治療と併用するものではなく、ツボ刺激との相乗効果は得られない。
前記貫通孔の直径は、2〜8mmであることが好ましい。また、前記炭素材料は、人造黒鉛であることが好ましい。
当該セットに用いられる鍼治療補助具としては、厚み2〜20mm、直径15〜50mmの炭素製円板であることが好ましい。
さらに、経絡療法において、補助具のセットを用いることで、患者の個体差に応じた経絡療法による治療を効果的に行うことができる。
図1は、本発明の鍼治療補助具の一実施形態の構成を示す図である。
図1に示す鍼治療補助具1は、直径(D)が15〜100mm、厚み(t)が1〜20mm、のサイズを有する炭素製円板1Aである。円板1Aのサイズは、施術部位、目的に応じて適宜選択できる。
例えば、腰痛治療や腹部、背面など平面に近い部分の治療の場合には、比較的大きめの炭素製円板を用いることが好ましく、具体的には、直径(D)は20〜100mmが好ましく、より好ましくは25〜50mm、厚み(t)は3〜20mmが好ましく、より好ましくは5〜10mmである。
一方、経絡療法のように、複数箇所に同時に鍼を施術するような場合には、比較的小さめの炭素製円板を用いることが好ましく、具体的には、直径(D)は15〜30mmが好ましく、より好ましくは15〜25mm、厚み(t)は1〜15mmが好ましく、より好ましくは3〜7mmである。
一方、貫通孔2の直径dが大きくなりすぎると、円板1Aの炭素部分が小さくなり、補助具1としての強度が低下し、放射する遠赤外線量も少なくなる傾向にある。
黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛の他、木炭、ピッチや合成樹脂の炭素化物などを用いることができ、より好ましくは人造黒鉛である。人造黒鉛は肌触りが良い。また、容易に身体(施術箇所)の形状に合わせた加工がしやすい。
炭素材料の円板形への成形方法は特に限定しないが、バインダーと混合して円柱状に押出した後、所定厚みにカットする方法、成形型に充填して加圧する方法、炭素塊を所定円板状に削りだす方法などにより製造することができる。
一方、身体が傾斜した部位に補助具を載置する場合、補助具である円板が滑って位置ずれする場合がある。円板の位置ずれは、患部に刺入れている鍼を傾斜させたり、倒すおそれがある。従って、円板の位置ずれ、滑りを防止する必要がある。かかる観点から、円板成形体の表面を粗面加工、さらには滑り止め用の凹凸加工(ローレット、溝加工)などを施してもよい。
上記構成を有する補助具は、1個の補助具を単独で使用するだけでなく、複数個のセット(経絡療法用セット)として使用することもできる。
すなわち、本発明の経絡療法用セットは、上記本発明の鍼治療補助具2〜10個を1セットとしたものである。後述するように、経絡療法のように、複数の鍼を同時に刺入れ、置鍼する場合に、複数個の補助具を同時に用いる必要があるので、かかる補助具のセットとして用いることが好ましい。
1セット中の補助具は、いずれも同形同サイズであり、好ましくは直径(D)15〜30mmが好ましく、より好ましくは15〜25mm、厚み(t)は2〜15mmが好ましく、より好ましくは3〜7mmの比較的小さめの円板を用いることが好ましい。
本発明の鍼治療補助具又は経絡療法用セットは、灸頭鍼代替に利用できる。すなわち、本発明の灸頭鍼代替キットは、上記本発明の1個又は複数個の鍼治療補助具;前記鍼治療補助具に赤外線を照射する赤外線照射器;及び前記鍼治療補助具の貫通孔に挿通できる鍼を備えたものである。
上記構成を有する補助具の使用方法について、1個の補助具を単独で使用する場合、複数個の補助具をセットとして使用する場合について、各順に説明する。
1個の補助具の使用方法について、図2に基づいて説明する。
まず、皮膚10のツボ(施術部位)に、刺手で鍼3を挿入する(図2(a))。鍼3は、施術者が把持する鍼柄4と身体に刺入される鍼体5とからなる。鍼3の挿入について、鍼管を使用する場合には、鍼をツボに挿入した後、鍼管を取り去ればよい。
かかる状態で、赤外線照射器8で、補助具1に向けて、赤外線を照射する(図2(c))。
この点、赤外線治療器では、小型のものであっても、患部から10〜30cm上方からの照射となるため、径10cm以上の領域に赤外線を照射することになる。一方、本発明の補助具では、円板1Aの直径(D)の領域からの熱放射となるので、経穴に集中して遠赤外線を放射することができる。また、炭素製円板は、直接、皮膚上に載置された状態で、遠赤外線を放射しているので、より効率的に、遠赤外線を皮膚表面及び表面近傍に浸透させることが可能であり、その部分を流れる血液を温めることができる。そして、このようにして温められた血液が、患部深部に届けられることで、、患部の深部まで温めることができる。
一方、炭素材料自体は、温熱器からの光を照射しても適温以上の温度に上がることはないので、火傷等の心配もなく、治療が終了するまでの間、注意して見守る必要もない。また、炭素材料は、生体親和性がよいので、治療の間、皮膚に接触していても、アレルギー等を引き起こすおそれは小さい。
手技に支障がない場合、長い鍼を用いた場合であれば、複数枚重ねることで、円板の合計厚みを分厚くすることができ、これにより、遠赤外線の放射量を増大することができる。
鍼治療において、1個のツボだけを刺激する治療法の他に、経絡に沿って複数のツボを同時に刺激する治療方法(経絡療法)がある。
経絡とは、気と知がめぐる通路のことであり、経絡は全身に張り巡らされていることから、刺激されたツボから離れた場所まで、経路を通じて、刺激を伝えることができる。
図4は、脊椎11に沿って存在する、経絡療法の対象となる全てのツボに、鍼3a〜3f,3’a〜3’fを刺入れた状態を示している。
図5は、施術者が温熱を必要と感じた部位(3’a,3b,3e,3f,3’f)のみに補助具1を挿通配置した状態を示している。
このような炭素板を、本発明の補助具を用いた鍼治療と併用してもよい。
補助具として、人造黒鉛(等方性高密度黒鉛、かさ密度1.75g/cm3)からなる直径20mm、厚み3mmの中央部に直径4mmの貫通穴を有する円板を用いた。
パネラー全員が、補助具を用いないで赤外線照射を併用した鍼治療と比べて、被施術箇所の奥まで温かい感じが持続したとの回答であった。
実施例1で用いた補助具と同じ人造黒鉛からなる、サイズの異なる下記4種類の円板(補助具)を作製した。それぞれについて、上記と同様にして鍼治療を行ったところ、パネラー全員が、補助具を用いないで赤外線照射を併用した鍼治療と比べて、被施術箇所の奥まで温かい感じが持続したとの回答であった。また、2人のパネラーが、分厚い炭素板の方が、温かいと感じるとの回答であった。
ii)直径20mmで厚み5mmの円板の中央部に直径4mmの貫通孔が開設された円板
iii)直径40mmで厚み3mmの円板の中央部に直径4mmの貫通孔が開設された円板
iv)直径40mmで厚み5mmの円板の中央部に直径4mmの貫通孔が開設された円板
(1)治療例1:合谷部
左右の手の甲(合谷部)における鍼灸治療に対する治療補助具の効果について測定した。
施術箇所である、左右の手の甲(合谷部)の表面温度を、サーモグラフィカメラ(フリアーシステムズジャパン株式会社製、型番TG165)を用いて、放射率0.95に設定して測定したところ、いずれも34.5℃であった。
左右の合谷部に寸六の6番鍼を刺した後、左手の合谷部に対してだけ、補助具である炭素製円板(直径20mm、厚み5mmの中央部に直径4mmの貫通穴を有する円板)2枚を、鍼に挿通し、載置した。かかる状態で、左右の患部に対して、遠赤外線治療器(株式会社ワコー製の遠赤外線照射器)により、患部の上方15cmから、赤外線を照射した。15分間照射した後、鍼を抜き、次いで補助具を取り去り、左右の手の患部の表面温度を上記サーモグラフィーを用いて測定した。測定の開始は、赤外線照射後20秒後であった。測定開始から、1分毎に10分間、表面温度を測定した結果を図6に示す。
この温度測定結果から、補助具を用いた鍼灸治療の方が、患部がより温められたというパネラーの意見(補助具を用いた鍼灸治療効果)を確認できた。
左右の足の太衝部及び足三里部おける鍼灸治療に対する治療補助具の効果について測定した。
施術前の太衝部の表面温度を、治療例1と同様に測定したところ、左右ともに24.7℃であった。また、施術前の足三里部の表面温度は、左足が26.7℃、右足が26.5℃であった。
左右の足の患部に寸三の3番鍼(長さ39mm、直径0.2mm)を刺した後、右足の患部に対してだけ、補助具である炭素製円板(直径40mm、厚み5mmの中央部に直径4mmの貫通穴を有する円板)1枚を、鍼に挿通して、載置した。かかる状態で、左右の施術部に対して、治療例1と同様に、遠赤外線治療器を用いて、施術部の上方15cmから、赤外線を照射した。15分間照射した後、鍼を抜き、次いで補助具を取り去り、左右の手の患部の表面温度を上記サーモグラフィーを用いて測定した。測定の開始は、赤外線照射後20秒後であった。温度変化の測定結果を図7(太衝部)及び図8(足三里部)に示す。
さらに、患者の個体差に応じて、経絡療法を効果的に行うことができるので、鍼灸院にとって有用である。
1A 炭素製円板
2 貫通孔
3,3a〜3f,3’a〜3’f 鍼
4 鍼柄
5 鍼体
8 赤外線照射器
10 皮膚
11 脊椎
Claims (6)
- 鍼が挿通できる貫通孔を有する、厚み2〜20mm、直径15〜100mmである炭素製円板からなる鍼治療補助具であって、
鍼治療のために患部に載置し、前記貫通孔に鍼を挿通した状態で、前記鍼治療補助具及び前記鍼に赤外線を照射するように用いられる鍼治療補助具。
- 前記貫通孔の直径は、2〜8mmである請求項1に記載の鍼治療補助具。
- 前記炭素材料は、人造黒鉛である請求項1又は2に記載の鍼治療補助具。
- 鍼治療の経絡療法に用いる補助具セットであって、
請求項1に記載の鍼治療補助具の2〜10個のセットである経絡療法用セット。 - 前記鍼治療補助具は、厚み2〜20mm、直径15〜50mmの炭素製円板である請求項4に記載の経絡療法用セット。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鍼治療補助具を1個、又は2〜10個のセット;
前記鍼治療補助具に赤外線を照射する赤外線照射器;及び
前記鍼治療補助具の貫通孔に挿通できる鍼
を備えた灸頭鍼代替キット。
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JP2019128024 | 2019-07-10 |
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2020
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