JP6866123B2 - 多孔質フィルムの製造方法、及び、多孔質フィルム - Google Patents

多孔質フィルムの製造方法、及び、多孔質フィルム Download PDF

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Description

本発明は、多孔質フィルムの製造方法、及び、当該方法で製造し得る多孔質フィルムに関する。
入射する光の進路を制御して出射する光制御フィルムや、加圧された空気を透過して微小な泡を発生させるためのフィルム等として、樹脂フィルムにクレーズが形成されてなる多孔質フィルムを用いることが検討されている。
例えば、下記特許文献1には、表面に所定パターンで配置される複数の起点部と当該起点部を起点にして形成されたクレーズまたはクラックを付与された光制御フィルムが開示されている。当該光制御フィルムは、クレーズまたはクラックに光学特性が異なる物質が導入されることによって、光制御性等が高められる光制御フィルムとされる。当該光制御フィルムでは、起点部を起点にしてクレーズまたはクラックが形成されるため、クレーズまたはクラックが形成される位置を制御することができる。
国際公開2007/046467号公報
しかし、上記特許文献1には、クレーズまたはクラックが形成される位置を制御することについては開示されているものの、クレーズまたはクラックの大きさを制御する方法については何ら開示されていない。また、上記特許文献1に開示されている技術では、外周面に凸部が形成されたドラムを樹脂フィルムに押し付けることによって起点部を形成したり、樹脂フィルムに刃で傷をつけて起点部を形成したりしている。このようにして起点部が形成される場合、起点部は、樹脂フィルムを構成する高分子が切断されて形成される。すなわち、樹脂フィルムの表面は破壊されている。このようにして表面が破壊された樹脂フィルムは、クラックが伸展し易くなり、破断し易い。
そこで、本発明は、位置および大きさが制御されたクレーズを有しクラックの伸展が抑制される多孔質フィルムを製造する方法、及び、当該方法で製造し得る多孔質フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の多孔質フィルムの製造方法は、少なくとも一方の面に複数の凹部を有する樹脂フィルムを作製する賦形工程と、面方向に平行な引張応力を前記樹脂フィルムに加える引っ張り工程と、を備えることを特徴とする。
表面に凹部を有する樹脂フィルムが賦形されることにより、樹脂フィルムを構成する高分子の切断が抑制されつつ凹部を有する樹脂フィルムが作製される。よって、クラックの伸展が抑制される。なお、賦形の方法としては、熱賦形やUV賦形が挙げられる。また、このように凹部が形成された樹脂フィルムが引っ張られる際、当該凹部の底と当該凹部が形成される側の面とは反対側の面との間に複数の空孔が形成され易い。よって、賦形により凹部の形成位置を調整できるので、これらの空孔が形成される位置を調整することができる。また、賦形により樹脂フィルムの表面に形成される凹部の大きさを調整できるので、上記のように引張応力を加えられた際に形成される複数の空孔の大きさを調整することができる。このようにして形成される複数の空孔がクレーズとなる。したがって、本発明の多孔質フィルムの製造方法によれば、位置および大きさが制御されたクレーズを有しクラックの伸展が抑制される多孔質フィルムを製造することができる。
また、上記多孔質フィルムの製造方法では、前記賦形工程において、前記樹脂フィルムの両面に複数の前記凹部が形成されても良い。
両面に凹部が形成されることによって、樹脂フィルムの両面側からクレーズを伸展させることができる。また、両面に凹部が形成されると、一方の面の凹部の底から伸展するクレーズと他方の面の凹部の底から伸展するクレーズとが繋がり易くなる。したがって、一方の面から他方の面まで貫通したクレーズを有する多孔質フィルムを得ることが容易になる。
また、上記多孔質フィルムの製造方法では、前記樹脂フィルムの一方の面に形成される複数の前記凹部のうち少なくとも一部は、平面視において前記樹脂フィルムの他方の面に形成される前記凹部とずれた位置に形成されても良い。
上記のように、一方の面の凹部の底から伸展するクレーズと他方の面の凹部の底から伸展するクレーズとは繋がり易い。よって、一方の面側と他方の面側とでずれた位置に凹部が形成されることによって、樹脂フィルムの厚さ方向に対して斜めにクレーズを伸展させ易くなる。
また、上記多孔質フィルムの製造方法では、複数の前記凹部には、互いに深さが異なる凹部が含まれていても良い。
深い凹部が形成される部位は、樹脂フィルムの厚さが他の部位より薄くなるため厚さ方向の断面積が小さくなり、面方向に平行な引張応力を加えられる際に大きな応力がかかり易くなる。よって、深い凹部が形成される部位と浅い凹部が形成される部位とで比較すると、深い凹部の底からは相対的に大きなクレーズが伸展し易く、浅い凹部の底からは相対的に小さなクレーズが伸展し易い。
また、上記多孔質フィルムの製造方法において、複数の前記凹部には、互いに幅が異なる凹部が含まれていても良い。
凹部が形成される部位は樹脂フィルムの厚さが他の部位より薄くなり、凹部の幅が広くなることによって、樹脂フィルムの厚さが薄い部分が広くなる。また、樹脂フィルムの厚さが薄い部分は、上記のように、引張応力を加えられる際に大きな応力がかかり易くなる。よって、幅が広い凹部が形成される部位と幅が狭い凹部が形成される部位とで比較すると、幅が広い凹部の底からは相対的に幅が広い範囲でクレーズが伸展し易く、幅が狭い凹部の底からは相対的に幅が狭い範囲でクレーズが伸展し易い。
また、本発明の多孔質フィルムは、少なくとも一方の面に、断面がV字状またはU字状の複数の凹部が形成され、前記凹部の底と、前記凹部が形成される側の面とは反対側の面と、の間に複数の空孔が形成されることを特徴とする。
このような多孔質フィルムは、上記多孔質フィルムの製造方法によって製造し得る。また、このような多孔質フィルムは、上記のように、位置および大きさが制御されたクレーズを有する多孔質フィルムとされる。
また、本発明の多孔質フィルムの他の形態は、複数の凹部が両面に形成され、前記凹部の底と、前記凹部が形成される側の面とは反対側の面と、の間に複数の空孔が形成されることを特徴とする。
このような多孔質フィルムも、上記多孔質フィルムの製造方法によって製造し得る。また、このような多孔質フィルムは、上記のように、位置および大きさが制御されたクレーズを有する多孔質フィルムとされる。多孔質フィルムは、用途に応じて上記のように両面に凹部を有することが好ましい。
また、上記多孔質フィルムにおいて、一方の面に形成される複数の前記凹部のうち少なくとも一部は、平面視において他方の面に形成される前記凹部とずれた位置に形成されていても良い。
このように凹部が形成されることによって、上記のように、厚さ方向に対して斜めに伸展したクレーズを有する多孔質フィルムとされ得る。
また、上記多孔質フィルムにおいて、複数の前記凹部には、深さ又は幅が互いに異なる凹部が含まれていても良い。
多孔質フィルムは、用途に応じて上記のように深さ又は幅が互いに異なる凹部を有することが好ましい。
以上のように、本発明によれば、位置および大きさが制御されたクレーズを有しクラックの伸展が抑制される多孔質フィルムを製造する方法、及び、当該方法で製造し得る多孔質フィルムが提供される。
本発明の第1実施形態に係る多孔質フィルムの厚さ方向断面を概略的に示す図である。 図1に示す多孔質フィルムの製造方法の工程を示すフローチャートである。 図1に示す多孔質フィルムの製造に用いる装置を概略的に示す図である。 本発明の第2実施形態に係る多孔質フィルムの厚さ方向断面を概略的に示す図である。 本発明の第3実施形態に係る多孔質フィルムの厚さ方向断面を概略的に示す図である。 本発明の第4実施形態に係る多孔質フィルムの厚さ方向断面を概略的に示す図である。 本発明の第5実施形態に係る多孔質フィルムの厚さ方向断面を概略的に示す図である。 変形例に係る多孔質フィルムの厚さ方向断面を概略的に示す図である。
以下、本発明に係る多孔質フィルム及び多孔質フィルムの製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る多孔質フィルムの厚さ方向断面を概略的に示す図である。
図1に示すように、本実施形態の多孔質フィルム1は、一方の面に複数のプリズム10を有しており、互いに隣り合うプリズム10間に断面がV字状の凹部12が形成されている。プリズム10の形状は、三角錐、四角錐等の錐体状であってもよく、三角柱状であっても良い。また、複数の凹部12の底からは多孔質フィルム1の厚さ方向に沿って複数の空孔14が形成されており、これらの空孔14によってクレーズ16が形成されている。本実施形態の多孔質フィルム1では、複数の空孔14が繋がることによって、クレーズ16は多孔質フィルム1の厚さ方向に貫通する貫通孔とされる。
次に、多孔質フィルム1の製造方法について説明する。
図2は、図1に示す多孔質フィルム1の製造方法の工程を示すフローチャートである。図2に示す多孔質フィルム1の製造方法は、賦形工程P1と引っ張り工程P2とを備える。また、図3は、図1に示す多孔質フィルム1の製造に用いる装置を概略的に示す図である。
<賦形工程P1>
本工程では、まず、多孔質フィルム1となる樹脂フィルム10aを用意し、熱賦形によって当該樹脂フィルム10aに凹凸を形成する。具体的には、樹脂フィルム10aが巻回された供給ロール50から樹脂フィルム10aを引き出し、樹脂フィルム10aを構成する樹脂の軟化点以上の温度で樹脂フィルム10aを加熱しつつ、複数のプリズム10及び複数の凹部12に対応する凹凸が表面に形成された賦形ロール51を樹脂フィルム10aに押し付ける。このようにして、一方の面に複数のプリズム10及び複数の凹部12を有する樹脂フィルム10bが得られる。また、賦形ロール51に対して供給ロール50側及びその反対側には押圧ロール52,53が設けられており、この押圧ロール52,53と賦形ロール51との位置関係によって、賦形ロール51から樹脂フィルム10aに加えられる圧力を調整することができる。なお、樹脂フィルム10aを構成する高分子材料は、弾性率が高いことが好ましい。
上記のようにして作製される樹脂フィルム10bは、次の引っ張り工程P2の前に冷却される。樹脂フィルム10bを冷却する方法としては、例えば、空冷や、押圧ロール53及びガイドロール54の少なくとも一方を冷却ロールとする方法や、不図示の冷却ロールを追加する方法が挙げられる。
<引っ張り工程P2>
本工程では、上記のようにして複数の凹部12が形成された樹脂フィルム10bに、面方向に平行な引張応力を加える。具体的には、ガイドロール54とガイドロール55との間に配置された曲げロール56によって樹脂フィルム10bに曲げを加えることによって、樹脂フィルム10bの搬送方向に沿った方向の引張応力が樹脂フィルム10bに加えられる。このとき、凹部12が形成されている面が曲げロール56とは反対側となるようにされることが、凹部12が形成されている側に引張応力が加えられ易くなるため好ましい。このように樹脂フィルム10bに引張応力が加えられると、凹部12が形成された部位は、厚さ方向の断面積が小さくなっているため、大きな応力を受け易い。よって、凹部12の底と凹部12が形成される面とは反対側の面との間に複数の空孔14が形成される。そして、これらの空孔14がクレーズとなり、複数の凹部12の底を起点としたクレーズ16が形成された多孔質フィルム1を得ることができる。このように製造された多孔質フィルム1は、巻き取られてロール57とされる。
上記のように、クレーズ16が形成される位置は凹部12が形成される位置に対応するため、凹部12が形成される位置を調整することによって、クレーズ16が形成される位置を調整することができる。また、クレーズ16の大きさは、凹部12の大きさや引っ張り工程P2において加えられる引張応力の強さによって調整することができる。例えば、深い凹部12が形成される部位は、樹脂フィルム10bの厚さが他の部位より薄くなるため断面積が小さくなり、引張応力を加えられる際に大きな応力がかかり易くなる。よって、深い凹部12の底からは大きなクレーズ16が伸展し易い。また、凹部12の幅が広くなることによって、樹脂フィルム10bの厚さが薄い部分が広くなる。よって、幅が広い凹部12の底からは幅が広い範囲でクレーズ16が伸展し易い。さらに、引っ張り工程P2において加えられる引張応力の強さが強い程、大きなクレーズ16が形成され易くなる。
また、凹部12は賦形によって形成されるため、樹脂フィルム10bを構成する高分子が切断されることを抑制することができる。よって、引っ張り工程P2や多孔質フィルム1の使用時等において、多孔質フィルム1ではクラックの伸展が抑制される。
以上のように、位置および大きさが制御されたクレーズ16を有しクラックの伸展が抑制される多孔質フィルム1を得ることができる。
多孔質フィルム1は、例えば、細胞培養用シートとして用いることができる。具体的には、多孔質フィルム1は表面に形成される凹部12に培養対象の細胞を設置して貫通しているクレーズ16の開口を当該細胞によって塞ぎ、多孔質フィルム1上に培養液を流通させるとともに貫通したクレーズ16を通して当該細胞に空気を供給することができる。
また、多孔質フィルム1は、微小な泡(マイクロバブル、ナノバブル)の発生に用いることもできる。多孔質フィルム1を水中に浸し、貫通したクレーズ16に加圧した気体を通して多孔質フィルム1の表面から噴出させることによって、微小な泡を発生させることができる。このようにして酸素や酸素を含む空気を微小な泡とする場合、水中への酸素の供給効率を高めることができる。このため、多孔質フィルム1は、水生生物の運搬、水生生物の養殖、水耕栽培等に有用である。このように多孔質フィルム1が用いられる場合において、多孔質フィルム1は、表面に凹凸形状が賦形されているため撥水性が向上しており、表面にぬめりが生じることを抑制することもできる。
また、多孔質フィルム1は、特定の大きさの物質のみを透過させて選別するフィルタとしても用いることができる。クレーズ16の大きさを調整することによって、例えば、空気中から窒素等だけと取り出すことができるフィルタとして多孔質フィルム1を用いることができる。
また、多孔質フィルム1は、入射する光の進路を制御する光制御フィルムとしても用いることができる。例えば、多孔質フィルム1に内包されるクレーズ16によって屈折率を制御することによって、多孔質フィルム1は視野角を制御する光制御フィルムとされる。また、多孔質フィルム1の表面に形成されるプリズム10によって配光特性を制御したり、プリズム10を再帰反射素子としたりすることができる。また、クレーズ16の大きさを制御することによって、多孔質フィルム1に光拡散性や遮光性を備えさせることもできる。
また、多孔質フィルム1の表面に形成される複数の凹部12によって多孔質フィルム1に放熱性を備えさせたり、多孔質フィルム1に内包されるクレーズ16によって多孔質フィルム1に断熱性を備えさせたりすることもできる。
また、多孔質フィルム1は、貫通したクレーズ16の大きさが温度によって変化されるように構成されることによって、温度に応じて特定の物質の透過と遮断とを繰り返すこともできる。このような多孔質フィルム1は、例えば、電池用セパレータとして用いることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る多孔質フィルム2の厚さ方向断面を概略的に示す図である。図4に示すように、本実施形態の多孔質フィルム2は、両面に複数の凹部12を有している。このような多孔質フィルム2は、上記多孔質フィルム1と同様に、賦形工程P1と引っ張り工程P2とを経て製造することができる。ただし、多孔質フィルム2は両面に複数の凹部12を有しているため、賦形工程P1において両面に複数の凹部12が形成される。
両面に凹部12が形成されることによって、引っ張り工程P2において、樹脂フィルム10bの両面側からクレーズ16を伸展させることができる。また、両面に凹部12が形成されると、一方の面の凹部12の底から伸展するクレーズ16と他方の面の凹部12の底から伸展するクレーズ16とが繋がり易くなる。したがって、一方の面から他方の面まで貫通したクレーズ16を有する多孔質フィルム2を得ることが容易になる。
また、本実施形態の多孔質フィルム2において、一方の面に形成される複数の凹部12は、平面視において他方の面に形成される凹部12とずれた位置に形成されている。上記のように、一方の面の凹部12の底から伸展するクレーズ16と他方の面の凹部12の底から伸展するクレーズ16とは繋がり易い。よって、一方の面側と他方の面側とでずれた位置に凹部12が形成されることによって、多孔質フィルム2の厚さ方向に対して斜めにクレーズ16を伸展させ易くなる。このようにクレーズ16が斜めに伸展されることによって、多孔質フィルム2の厚さ方向に透過しようとする光は、クレーズ16に入射し易くなり、散乱され易くなる。したがって、多孔質フィルム2を正面から見たときに多孔質フィルム2の反対側が見えにくくなる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図5を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図5は、本発明の第3実施形態に係る多孔質フィルム3の厚さ方向断面を概略的に示す図である。図5に示すように、本実施形態の多孔質フィルム3は、一方の面に形成される凹部12の数が他方の面に形成される凹部12の数より多くなっている。すなわち、一方の面では複数の凹部12の間隔が密となり、他方の面では複数の凹部12の間隔が疎となっている。このような多孔質フィルム3は、上記多孔質フィルム1と同様に、賦形工程P1と引っ張り工程P2とを経て製造することができる。ただし、多孔質フィルム3は両面に複数の凹部12を有しているため、賦形工程P1において両面に複数の凹部12が形成される。また、引っ張り工程P2において、一方の面に形成される複数の凹部12のそれぞれの底と他方の面に形成される1つの凹部12の底との間にクレーズ16を形成することができる。すなわち、一点から複数の点に向かって伸展する複数のクレーズ16を回路のように形成することができる。このような多孔質フィルム3は、濾過フィルタとして好適である。多孔質フィルム3が濾過フィルタとして用いられる場合、濾液は多孔質フィルム3の一方の面から他方の面までクレーズ16を通る。ここで、クレーズ16のうち濾液が流入する側の端を入口とし、クレーズ16のうち濾液が抜ける側の端を出口とする。上記のように一点から複数の点に向かって複数のクレーズ16が伸展していることによって、クレーズ16の入口側よりも出口側の面積を大きくすることができる。このため、濾液にかかる流動負荷が低減され易く、濾過効率を向上させることが容易になる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図6は、本発明の第4実施形態に係る多孔質フィルム4の厚さ方向断面を概略的に示す図である。図6に示すように、本実施形態の多孔質フィルム4は、一方の面に、複数の凹部12と当該凹部12より幅が大きく深い複数の凹部12aとを有している。このような多孔質フィルム4は、上記多孔質フィルム1と同様に、賦形工程P1と引っ張り工程P2とを経て製造することができる。ただし、多孔質フィルム4は大きさが互いに異なる凹部12,12aを有しており、賦形工程P1において凹部12,12aに対応した形状の賦形ロールが用いられる。
深い凹部12aが形成される部位は、樹脂フィルム10bの厚さが他の部位より薄くなるため断面積が小さくなり、引っ張り工程P2において引張応力を加えられる際に大きな応力がかかり易くなる。よって、深い凹部12aが形成される部位と浅い凹部12が形成される部位とで比較すると、深い凹部12aの底と凹部12aが形成される側の反対側の面との間には相対的に大きな空孔14aが形成され易く、深い凹部12aの底からは相対的に大きなクレーズ16aが伸展し易い。一方、浅い凹部12と凹部12が形成される側の反対側の面との間には相対的に小さな空孔14が形成され易く、凹部12の底からは相対的に小さなクレーズ16が伸展し易い。また、幅が広い凹部12aが形成される部位と幅が狭い凹部12が形成される部位とで比較すると、幅が広い凹部12aの底からは相対的に幅が広い範囲でクレーズ16aが伸展し易く、幅が狭い凹部12の底からは相対的に幅が狭い範囲でクレーズ16が伸展し易い。
このような多孔質フィルム4は、例えば、大きなクレーズ16aに薬剤等を配置する共に小さいクレーズ16が空気は通すが固体や液体は通しにくいように構成されることによって、薬用シートとして有用である。このような薬用シートによれば、大きなクレーズ16aに配置された薬剤から薬用成分を患部に供給しつつ、小さなクレーズ16を通して新鮮な空気を患部に供給することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図7を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図7は、本発明の第5実施形態に係る多孔質フィルム5の厚さ方向断面を概略的に示す図である。図7に示すように、本実施形態の多孔質フィルム5は、一方の面に、断面がU字状の複数の凹部12bを有している。このような多孔質フィルム5は、上記多孔質フィルム1と同様に、賦形工程P1と引っ張り工程P2とを経て製造することができる。ただし、多孔質フィルム5は断面がU字状の凹部12bを有しており、賦形工程P1において凹部12bに対応した形状の賦形ロールが用いられる。
このような多孔質フィルム5は、凹部12bの断面形状がU字状であることから、凹部12bに配置される部材によって貫通しているクレーズ16の開口を塞ぎ易くなる。したがって、多孔質フィルム5を上述した細胞培養用シートとする場合、多孔質フィルム5の上面側に流通させる培養液がクレーズ16を通して漏れることを抑制することが容易になる。
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記各実施形態を組わせた形態とすることができる。すなわち、例えば第2から第5実施形態の多孔質フィルム2〜5に、第1実施形態の多孔質フィルム1に形成されるプリズム10を形成することができる。
また、上記実施形態では、凹部が多孔質フィルムの両面に形成される場合に一方の面に形成される凹部の位置と他方の面に形成される凹部の位置とが平面視においてずれている形態を例に挙げて説明したが、本発明は係る形態に限定されない。凹部が多孔質フィルムの両面に形成される場合、一方の面に形成される凹部の位置と他方の面に形成される凹部の位置とが平面視において一致していても良い。
また、上記実施形態では、クレーズが多孔質フィルムの厚さ方向に貫通した貫通孔とされる例を挙げて説明したが、クレーズは貫通していなくても良い。
また、上記実施形態では、クレーズがそれぞれ概ね一定の方向に向かって伸展している例を挙げて説明したが、クレーズの伸展方向は曲がっていても良い。図8は、変形例に係る多孔質フィルムの厚さ方向断面を概略的に示す図である。図8において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付している。図8に示す多孔質フィルム6は、厚さ方向断面において屈曲したクレーズ16を有している。
また、上記実施形態では、凹部の断面形状がV字状またはU字状である形態を例に挙げて説明したが、凹部の断面形状は特に限定されない。
また、上記実施形態の賦形工程P1では、ロール成型による熱賦形を例示したが、賦形工程P1において凹部を有する樹脂フィルムを作製する方法は当該方法に限定されない。例えば、プレス成型や溶融押出による熱賦形で凹部を有する樹脂フィルムが作製されても良い。また、事前に用意された樹脂フィルムの平坦な表面上に、金型等を用いて樹脂からなる凸部を複数賦形することによって、複数の凹部を有する樹脂フィルムが作製されても良い。さらに、賦形する方法は熱賦形に限定されず、紫外線硬化樹脂を用いたUV賦形であっても良い。
以上説明したように、本発明によれば、位置および大きさが制御されたクレーズを有しクラックの伸展が抑制される多孔質フィルムを製造する方法、及び、当該方法で製造し得る多孔質フィルムを提供することができる。当該多孔質フィルムは、微小な泡の発生装置、光制御フィルム、フィルタ装置等の分野において利用することができる。
1,2,3,4,5,6・・・多孔質フィルム
10・・・プリズム
12・・・凹部
14・・・空孔
16・・・クレーズ
P1・・・賦形工程
P2・・・引っ張り工程

Claims (10)

  1. 少なくとも一方の面に複数の凹部を有し、前記複数の凹部のうちの一部の前記凹部は他の一部の前記凹部よりも深い樹脂フィルムを作製する賦形工程と、
    前記複数の凹部のそれぞれと前記複数の凹部が形成される側の面とは反対側の面との間に複数の空孔が形成されると共に、前記一部の凹部と前記一部の凹部が形成される側の面とは反対側の面との間に形成される前記空孔が前記他の一部の凹部と前記他の一部の凹部が形成される側の面とは反対側の面との間に形成される前記空孔よりも大きくなるように、面方向に平行な引張応力を前記樹脂フィルムに加える引っ張り工程と、
    を備えることを特徴とする多孔質フィルムの製造方法。
  2. 前記賦形工程において、前記樹脂フィルムの両面に前記複数の凹部が形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の多孔質フィルムの製造方法。
  3. 前記樹脂フィルムの一方の面に形成される前記複数の凹部のうち少なくとも一部は、平面視において前記樹脂フィルムの他方の面に形成される前記凹部とずれた位置に形成される
    ことを特徴とする請求項2に記載の多孔質フィルムの製造方法。
  4. 前記賦形工程において、前記複数の凹部の断面は、U字状に形成される
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の多孔質フィルムの製造方法。
  5. 前記複数の凹部には、互いに幅が異なる凹部が含まれる
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の多孔質フィルムの製造方法。
  6. 少なくとも一方の面に、断面がU字状の複数の凹部が形成され、
    前記複数の凹部のうちの一部の前記凹部は、他の一部の前記凹部よりも深く、
    前記複数の凹部のそれぞれと前記複数の凹部が形成される側の面とは反対側の面との間に複数の空孔が形成され
    前記一部の凹部と前記一部の凹部が形成される側の面とは反対側の面との間に形成された前記空孔は、前記他の一部の前記凹部と前記他の一部の凹部が形成される側の面とは反対側の面との間に形成された前記空孔よりも大きい
    ことを特徴とする多孔質フィルム。
  7. 複数の凹部が両面に形成され、
    前記複数の凹部のうちの一部の前記凹部は、他の一部の前記凹部よりも深く、
    前記複数の凹部のそれぞれと前記複数の凹部が形成される側の面とは反対側の面との間に複数の空孔が形成され
    前記一部の凹部と前記一部の凹部が形成される側の面とは反対側の面との間に形成された前記空孔は、前記他の一部の凹部と前記他の一部の凹部が形成される側の面とは反対側の面との間に形成された前記空孔よりも大きい
    ことを特徴とする多孔質フィルム。
  8. 一方の面に形成される前記複数の凹部のうち少なくとも一部は、平面視において他方の面に形成される前記凹部とずれた位置に形成される
    ことを特徴とする請求項に記載の多孔質フィルム。
  9. 前記複数の凹部の断面は、U字状に形成される
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の多孔質フィルム。
  10. 前記複数の凹部には、互いに幅が異なる凹部が含まれる
    ことを特徴とする請求項6からのいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
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