JP6860919B2 - 間葉系kras変異型がん治療剤 - Google Patents

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Description

本発明は、間葉系KRAS変異型がんを標的とする治療剤及び医薬組成物に関する。本発明はまた、間葉系KRAS変異型がんのための検出試薬、及び該検出試薬を用いた、がんの診断及びがん治療の有効性予測のためのデータを取得する方法に関する。
肺がんは年間7万人の死亡者数を認め、部位別がん死亡の第一位であり、全ステージにわたる5年生存率は15%未満である。本邦においては、組織型では腺がんが50%を占め、このうちKRAS(K-RAS又はK-rasともいう)遺伝子変異が10%で認められる。KRAS遺伝子変異は肺がんのみならず、大腸がん、膵臓がんにも高頻度に認められ、がんにおいて最も多い遺伝子変異である。
正常細胞において、KRASはMAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)シグナル伝達経路の主要構成タンパク質である一方、KRASの変異は細胞のがん化につながり、変異したKRASはこの経路の多くの下流シグナルタンパク質を活性化し、腫瘍細胞の生存・増殖を維持している。しかしながらKRASタンパク質の活性を直接阻害する薬剤の開発は困難とされ、現在のところ有効な治療法が同定されていない。このため、KRAS変異腫瘍において生存に重要なタンパク質を阻害し、治療に結びつける試みがなされている。
近年、KRASエフェクター経路の標的化が代替治療として注目されている。本発明者等のグループは、これまでMAPKシグナル伝達経路を構成するKRAS又はRAFに変異を有する大腸がんに対して、これらのがん遺伝子に制御される下流のシグナルを遮断することが有効であることを示してきた(非特許文献1及び2)。特に、KRAS変異大腸がんについては、MAPKシグナルの抑制が重要であること、一方でMAPKシグナルの抑制のみでは腫瘍の縮小が得られず、別の下流シグナルであるPI3Kの抑制を同時に行うことで腫瘍の縮小が得られることを明らかにしてきた。これらの検討の結果により、現在KRAS変異、RAF変異大腸がんを対象として複数の臨床試験が進行中である(NCT01562899, NCT01750918, NCT01791309)。
一方、オランダのグループより、MAPK/ERKキナーゼ(MEK)阻害剤と、細胞表面受容体であるERBB3(ErbB3ともいう)の阻害の組合せがKRAS変異肺がんにおいて有効であることが示され(非特許文献3)、臨床試験が進行中である(NCT02039336)。
また、昨今の科学技術の進歩に伴い、個々の患者の遺伝子やタンパク質等の情報からその患者に適した治療方法を選択する個別化医療が進展している。特定の標的分子の発現等を前提とした分子標的薬等の開発に伴い、治療薬の選択に用いられる診断薬等の重要性が認識されるようになってきている。
J Clin Invest. 121:4311-21, 2011 Cancer Discovery 2:227-35,2012 Sun C et al. Cell Reports 7:86-93, 2014
MAPKはKRASの周知のエフェクター経路である一方、臨床的に入手可能なMAPK阻害剤でこの経路を遮断することで得られる効果は限定的なものである。これは、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)-AKT及びNF-κB経路等のKRASによる他の複数のエフェクターの活性化と関連し得る。また、本発明者等は、KRAS変異型肺がんに対してMEK阻害剤処理を行うことでMAPK経路のフィードバック活性化が起こることを確認した。上皮系のKRAS変異型肺がんにおいて、このフィードバックは、ERBB3が介在するMEKの再活性化に関わっていた。
しかし、KRAS変異型腫瘍の中にはERBB3を発現しないものも多く、上記の非特許文献3で示された併用療法は、このような腫瘍に対しては無効であると考えられる。従って、ERBB3を発現していないKRAS変異がんにおいてMEK阻害剤と併用効果を示す薬剤を同定することが急務と考えられる。
上皮間葉移行(epithelial-mesenchymal transition, EMT)は、発達プロセス及び組織修復における必須のメカニズムである。EMTはまた、細胞骨格動態のシフトにつながる細胞間接着の喪失を促進することによってがんの進行に関わる。EMTの特徴として、E-カドヘリン発現の喪失と、付随する間葉系マーカー、例えばビメンチンの上昇が挙げられる。
本発明者等は、KRAS変異型がんが上皮系であるか間葉系であるかによって、MEKの阻害によって引き起こされる受容体チロシンキナーゼ(RTK)の活性化が相違することを見出した。上皮系KRAS変異型がん細胞では、MEKの阻害はERBB3を上方制御し、その結果、MAPKシグナル伝達が再活性化される。これに対して、間葉系KRAS変異型がん細胞は、ERBB3発現を欠損しており、その代わりに線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)が高い発現を示すことが判明した。そして、このような細胞では、MEK阻害はFGFR1シグナル伝達のフィードバック活性化を誘導することが明らかになった。
更に本発明者等は、間葉系KRAS変異型がんにおいて、FGFR1とMEKとを併せて阻害することで、in vitroで強力なアポトーシスが生じると共に、in vivoにおいても腫瘍の退縮が生じることを確認した。これらのデータから、FGFR1シグナル伝達のフィードバック活性化によって間葉系KRAS変異型肺がんにおけるMEK阻害剤の効果が減弱されることが示され、FGFR1阻害剤とMEK阻害剤の組合せによってこれらのがんを効果的に治療するという治療的アプローチが確立される。
本発明者等はこれらの知見に基づいて、本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は以下を提供するものである。
1.線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)阻害剤を含む、間葉系KRAS変異型がん治療剤。
2.MAPK/ERKキナーゼ(MEK)阻害剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、上記1記載の治療剤。
3.FGFR1阻害剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、MEK阻害剤を含む間葉系KRAS変異型がん治療剤。
4.上記1もしくは2記載の治療剤、又は上記3記載の治療剤を有効成分として含有する、医薬組成物。
5.FGFR1タンパク質または該タンパク質をコードする遺伝子の検出を可能とする、間葉系がん細胞検出試薬。
6.上記5記載の間葉系がん細胞検出試薬と、KRAS遺伝子変異検出試薬を含む、細胞型判定試薬セット。
7.上記5記載の間葉系がん細胞検出試薬と、上皮系がん細胞検出試薬の組合せを含む、細胞型判定試薬セット。
8.更なる間葉系がん細胞検出試薬としてビメンチンの検出を可能とする検出試薬を含む、上記6又は7記載の細胞型判定試薬セット。
9.上皮系がん細胞検出試薬としてE-カドヘリン及び/又はERBB3の検出を可能とする検出試薬を含む、上記7又は8記載の細胞型判定試薬セット。
10.がんと診断された患者由来のサンプルを、上記5記載の間葉系がん細胞検出試薬又は上記6〜9のいずれか記載の細胞型判定試薬セットと接触させ、FGFR1の発現を指標として間葉系KRAS変異型がんの存在又は不存在を検出することを含む、患者に対するがん治療の有効性予測のためのデータを取得する方法。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015-227015号の開示内容を包含する。
FGFR1は、間葉系KRAS変異型がんの新たなマーカーとなり得る。本発明により、がんが疑われる被験者、又はがんと診断された患者に対して、間葉系KRAS変異型がんの存在又は不存在をより高精度で検出することが可能となると共に、間葉系KRAS変異型がんに対して有効な治療剤を提供することができる。
ERBB3発現細胞株においてERBB3がトラメチニブ処理後にリン酸化ERKのフィードバック活性化を仲介することを示す。(a)ERBB3を発現するNCI-H358及びNCI-H1573細胞を、1μMのpan-EGFR阻害剤アファチニブ、50nMのトラメチニブ、又はこれら2つの薬剤の組合せで48時間処理し、溶解液を抗体でプローブした。これらの薬剤処理により誘導されるアポトーシスをcleaved PARP (cl-PARP)により評価した。(b)ERBB3を発現しないNCI-H1792及びLU99細胞を、(a)と同じ薬剤で処理した。NCI-H358の溶解液をERBB3発現の陽性対照として使用した。 間葉系KRAS変異型肺がん細胞株においてFGFR1が優位に発現していることを示す。(a)ERBB3、E-カドヘリン及びビメンチンの発現を、上皮系及び間葉系の複数のKRAS変異型肺がん細胞株の溶解液のウエスタンブロッティングによって解析した。アクチンはローティング対照である。独立した実験を3回ずつ実施し、代表的な結果を示す。(b)上皮系KRAS変異型肺がん細胞株NCI-H358を、EMTを誘導するためTGFβ1(4ng/mL)又はPBSで14日間処理した後、細胞からRNAを抽出し、遺伝子発現プロファイルを比較した。TGFβ1処理後に最も発現上昇した30個の遺伝子リストを示す。(c)TGFβ1又はPBSで処理したNCI-H358細胞から溶解液を抽出し、ERBB3、FGFR1及びEMTマーカーに対する抗体を用いてイムノブロットした。アクチンはローディング対照として用いた。独立した実験を3回ずつ実施し、代表的な結果を示す。 間葉系KRAS変異型肺がん細胞株においてFGFR1が優位に発現していることを示す。(d)Cancer Cell Line Encyclopedia(CCLE)データベースから入手した39種のKRAS変異型非小細胞肺がん細胞株の教師なし階層的クラスタリング(Unsupervised hierarchical clustering)を示す。合計2635種の遺伝子のうち、6以上の平均発現値を有する細胞株間で5倍以上の変化を示す遺伝子を解析した。(e)ERBB3とE-カドヘリンの発現の正の相関を示す。線形回帰分析によりp<0.001。(f)FGFR1とE-カドヘリンの発現の負の相関を示す。線形回帰分析によりp<0.001。 トラメチニブがFGFR1を介してFRS2のリン酸化のフィードバック活性化を誘導することを示す。(a)上皮系及び間葉系の複数のKRAS変異型肺がん細胞株の溶解液のウェスタンブロッティングによってFGFR1タンパク質の発現を解析した。アクチンはローディング対照である。独立した実験を3回実施し、代表的な結果を示す。(b)長時間のMEK阻害は、FGFR1が下流シグナルを活性化する際に必要なアダプタータンパクであるFRS2の強い活性上昇をもたらした。ERBB3を発現しないNCI-H1792及びLU99細胞を50nMのトラメチニブで所定の時間処理し、溶解液を抗体でプローブした。(c)FGFR1はトラメチニブ処理後のFRS2リン酸化を仲介する。FGFR1を標的とする2種のsiRNA又はスクランブルsiRNA(Scr、対照)をNCI-H1792細胞に導入し、48時間培養した。次いで、培地を50nMのトラメチニブを含有するもしくは含有しない培地と交換し、更に48時間細胞を処理した。溶解液を抗体でプローブした。独立した実験を3回実施し、代表的な結果を示す。 MEK阻害剤とFGFR阻害剤との組合せが間葉系KRAS変異型肺がんにおいて細胞死を効果的に誘導することを示す。(a)間葉系KRAS変異型肺がん細胞株NCI-H1792及びLU99を、1μMのpan-FGFR阻害剤NVP-BGJ398、50nMのトラメチニブ、又はこれらの薬剤の組合せで48時間処理し、溶解液を抗体でプローブした。(b)NCI-H1792及びLU99を、1μMのpan-FGFR阻害剤NVP-BGJ398、1μMのセルメチニブ、又はこれらの薬剤の組合せで48時間処理し、溶解液を抗体でプローブした。(c)NCI-H1792及びLU99を、1μMのpan-FGFR阻害剤NVP-BGJ398、50nMのPD0325901、又はこれらの薬剤の組合せで48時間処理し、溶解液を抗体でプローブした。(d)NCI-H1792を、DMSO、1μMのアファチニブ(Afa)、及び1μMのNVP-BGJ398(BGJ)各単剤、または50nMのトラメチニブとの併用で処理し、72時間毎に培地を交換しながら6日間培養した。次いで、細胞培養プレートをクリスタルバイオレットで染色した。代表的なプレートを示す。(e)LU99細胞を用いて(d)と同様の実験を行った結果を示す。 トラメチニブ(Tram)とFGFR阻害剤との組合せが間葉系KRAS変異型肺がんにおいて細胞死を効果的に誘導することを示す。(f)NCI-H1792細胞を、図4−1(a)と同様の薬剤及び薬剤の組合せで72時間処理し、フローサイトメトリー(FACS)で解析してアネキシン陽性細胞を定量した。3回の独立した実験の平均±SDを示す(Student t検定によりp<0.05)。(g)LU99細胞を用いて(f)と同様の実験を行った結果を示す。(h)上皮系KRAS変異型肺がん細胞株NCI-H358及びNCI-H1573を、図4−1(a)と同様に処理した。トラメチニブ処理後のリン酸化FRS2の誘導の陽性対照として、LU99細胞の溶解液を使用した。(i)トラメチニブ、又はトラメチニブ+NVP-BGJ398で処理後のERKのリン酸化レベルを、7種の間葉系KRAS変異型がん細胞株で定量した結果を示す。比較のために対応のあるStudent t検定を使用した。(j)トラメチニブ、又はトラメチニブとNVP-BGJ398の組み合わせによる、7種の間葉系KRAS変異型肺がん細胞株におけるアポトーシスの誘導を示す。比較のために対応のあるStudent t検定を使用した。 上皮系KRAS変異型細胞であるNCI-H358にEMTを誘導した細胞におけるMAPKシグナル伝達のフィードバック活性化にFGFR1-FRS2経路が関与することを示す。(a)EMT誘導のために、NCI-H358細胞をTGFβ1(4ng/mL)で14日間処理した。次いで、得られたEMT誘導細胞(NCI-H358-TGFβと示す)を、1μMのpan-FGFR阻害剤NVP-BGJ398、50nMトラメチニブ、又はこれらの薬剤の組合せで48時間処理し、溶解液を抗体でプローブした。(b)NCI-H358又はNCI-H358-TGFβを1μMのpan-FGFR阻害剤NVP-BGJ398、50nMトラメチニブ、又はこれらの薬剤の組合せで72時間処理し、FACSで解析してアネキシン陽性細胞を定量した。3回の独立した実験の平均±SDを示す。(c)NCI-H358-TGFβ細胞に、FGFR1を標的とする2種のsiRNA又はスクランブルsiRNA(対照)をトランスフェクトし、48時間培養した。次いで、培地を50nMのトラメチニブを含有するか含有しない培地と交換し、更に48時間細胞を処理した。FACS解析でアポトーシスを起こした細胞のパーセンテージをアネキシンV陽性率により測定し、対照のsiRNAをトランスフェクトした細胞と比較して示す。3回の独立した実験の平均±SDを示す。 FGFR阻害剤とMEK阻害剤との組合せによって間葉系KRAS変異型肺がんのin vivoでの腫瘍が退縮することを示す。(a)生理食塩水(対照)、NVP-BGJ398 15mg/kg、トラメチニブ 0.6mg/kg、及びNVP-BGJ398とトラメチニブとの併用によって、LU99異種移植片を処理した。薬剤は、1日1回マウスに経口投与した。腫瘍体積を処理開始時点から経時的にプロットした(平均±SEM)。Student t検定によりp<0.05。(b)25日間の処理後の個々のLU99腫瘍について、初期体積に対する腫瘍体積のパーセント変化を示すウォーターフォールプロットを示す。対照群のデータは11日目に取得した。 FGFR阻害剤とMEK阻害剤との組合せによって間葉系KRAS変異型肺がんのin vivoでの腫瘍が退縮することを示す。(c)薬剤処理したマウスにおけるLU99由来異種移植腫瘍を溶解し、抗体を用いてイムノブロットした。(d)NCI-H23異種移植片を図6−1(a)と同様に処理した。腫瘍体積を処理開始時点から経時的にプロットした(平均±SEM)。Student t検定によりp<0.05。 KRAS変異型肺腺がん患者において、間葉系マーカーの発現がFGFR1発現と関連していることを示す。がんゲノムアトラス(The Cancer Genome Atlas、TCGA)のデータセットから抽出したKRAS変異型腺がん75症例の教師なし階層型クラスタリングを、Kalluri及びWeinberg(J. Clin. Invest. 119, 1420-1428 (2009))によるEMT関連遺伝子として挙げられた28個の遺伝子を用いて示した。それぞれの腫瘍におけるFGFR1及びERBB3発現も下部に示す。FGFR1発現は、上皮系腫瘍と比較して、間葉系腫瘍において有意に高かった(Student t検定によりp<0.001)。 (a)上皮系KRAS変異型肺がん細胞株HCI-H358、間葉系KRAS変異型肺がん細胞株LU99、及び患者由来の異種移植片(Patient Derived Xenograft、PDX)の溶解液のウェスタンブロッティングによって、FGFR1、ビメンチン、E-カドヘリン及びアクチンの発現を解析した結果を示す。患者由来の腫瘍細胞は間葉系KRAS変異型であることが示される。アクチンはローディング対照である。(b)aで示した間葉系KRAS変異型の性質を示すPDXを移植したマウスに対し、生理食塩水(対照)、FGFR阻害剤NVP-BGJ39815mg/kg、MEK阻害剤トラメチニブ0.6mg/kg、または両剤の併用によって処置した効果を観察した結果を示す。薬剤は、1日1回マウスに経口投与した。腫瘍体積を処理開始時点から経時的にプロットした(平均±SEM)。 MEK阻害剤トラメチニブとFGFR阻害剤との組合せが間葉系KRAS変異型肺がんにおいて細胞死を効果的に誘導することを示す。(a)間葉系KRAS変異型肺がん細胞株NCI-H1792及びLU99を、1μMのpan-FGFR阻害剤AZD4547、50nMのトラメチニブ、又はこれらの薬剤の組合せで48時間処理し、溶解液を抗体でプローブした。(b)NCI-H1792を、DMSO若しくは1μMのAZD4547で処理するか、またはこれらと50nMのトラメチニブとの併用で処理し、72時間毎に培地を交換しながら6日間培養した。次いで、細胞培養プレートをクリスタルバイオレットで染色した。代表的なプレートを示す。(c)LU99細胞を用いて(b)と同様の実験を行った結果を示す。
ERBB3を発現しないKRAS変異型がん細胞に対して有効なMEK阻害剤に基づく標的化治療を開発するために、本発明者等はまず、MAPK経路の再活性化につながるシグナル伝達経路を見出すことを試みた。これまでの報告では、ERBB3の喪失が肺がん等のがんでの間葉系表現型と関連していることが実証されている(Cancer Res. 65, 9455-9462 (2005); Cancer Res. 68, 2391-2399 (2008); Cancer Discov. 4, 186-199 (2014))。従って、間葉系KRAS変異型肺がんでは、ERBB3とは無関係に、MEK阻害後のMAPK経路の再活性化が生じているとの仮説を立てた。
Cancer Cell Line Encyclopedia(CCLE)(Nature 483, 603-607 (2012))から入手した39種のKRAS変異肺がん細胞株について、バイオインフォマティクスの手法を用い発現解析を行ったところ、ERBB3の発現が上皮間葉移行(epithelial-mesenchymal transition : EMT)と関係しており、ERBB3は上皮系腫瘍で発現している結果を得た(図2−2d)。間葉系腫瘍は一般に抗がん薬抵抗性であることが知られているが、この発現解析により、間葉系腫瘍ではERBB3の発現が消失しているのに対し、FGFR1が高発現しているという結果が得られた。
上皮系マーカーであるE-カドヘリン発現陽性のKRAS変異肺がん細胞株に上皮間葉移行を誘導したところ、間葉系マーカーであるビメンチンの発現誘導に加え、ERBB3の発現低下及びFGFR1の発現誘導が認められ、上記の発現解析の結果と一致していた(図2−1c)。
これらの結果から、ERBB3を発現していない腫瘍、すなわち間葉系腫瘍においてはFGFR1が重要な働きを担っていることが考えられた。そして、間葉系マーカー陽性KRAS変異細胞株において、MEK阻害剤とFGFR阻害剤の併用は、細胞増殖を著明に抑制した(図4−1d及びe、図9b及びc)。この組合せによる相乗的阻害効果は、in vitroのみでなく、in vivoにおいても認められ、マウスにおいて間葉系KRAS変異型腫瘍の増殖を劇的に抑制した(図6−1、図6−2及び図8)。
<間葉系KRAS変異型がん治療剤>
従って本発明は、一実施形態において、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)阻害剤を含む、間葉系KRAS変異型がん治療剤を提供する。
本発明において使用可能なFGFR1阻害剤としては、特に限定するものではないが、例えばFGFR1タンパク質に特異的に結合可能な物質、例えば抗体及びその抗原結合性断片を挙げることができる。抗体は、当分野において通常使用されている方法によって、FGFR1タンパク質を抗原として作製することができる。
また、FGFR特異的阻害剤として知られる薬剤、例えばNVP-BGJ398(3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-1-{6-[4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニルアミノ]-ピリミジン-4-イル}-1-メチル-尿素、CAS:872511-34-7)、AZD4547 (N-(5-(3,5-ジメソキシフェネチル)-1H-ピラゾル-3-イル)-4-((3S,5R)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ベンザミド、CAS:1035270-39-3)、LY2874455 ((R)-(E)-2-(4-(2-(5-(1-(3,5-ジクロロピリジン-4-イル)エトキシ)-1H-インダゾール-3イル)ビニル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール)、TAS-120等を挙げることができる。
また、FGFR1阻害剤として、FGFR1の発現を阻害することが可能な物質、例えばsiRNA及びshRNAを挙げることができる。
siRNA及びshRNAは、RNA干渉と呼ばれるメカニズムにより、特定のmRNAを標的として、その翻訳を阻止することが知られている。標的配列の塩基数は特に限定されず、15〜500塩基の範囲で選択され得る。siRNAは、短鎖二本鎖RNA分子であり、shRNAは、生体内でダイサーによってプロセシングされてsiRNAを生成することができるヘアピン型RNAである。siRNA及びshRNAは、例えばリポフェクタミン等のトランスフェクション試薬と共に、in vitro又はin vivoで細胞内に導入することができる。あるいはまた、siRNA及びshRNAは、細胞内でこれらを生成することができるようにDNAの形態でベクターに組み込んで細胞内に導入することができる。当業者であれば、siRNA及びshRNAの設計及び選択は、標的配列の情報等に基づいて容易に得ることができる。
上記したFGFR1阻害剤は、臨床的に使用可能なものも既に知られている。
上記のFGFR1阻害剤は、MAPK/ERKキナーゼ(MEK)阻害剤と組み合わせて投与されることで、間葉系KRAS変異型がん細胞に対して阻害効果を有する。従って、本発明は、MEK阻害剤と組み合わせて投与されることを特徴とするFGFR1阻害剤を含む間葉系KRAS変異型がん治療剤を提供する。
上記の組み合わせが、特定のがんである間葉系KRAS変異型がんに対して非常に有効であることは、本発明によって初めて見出された知見である。
従って本発明は、FGFR1阻害剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、MEK阻害剤を含む間葉系KRAS変異型がん治療剤をも提供する。
本発明において使用可能なMEK阻害剤としては、特に限定するものではないが、例えばMEKタンパク質に特異的に結合可能なアロステリック阻害剤がある。例えばトラメチニブ、セルメチニブ、pd98059、ピマセルチブ、MEK162、PD0325901等を挙げることができる。
また、MEK阻害剤として、MEKの発現を阻害することが可能な物質、例えばsiRNA及びshRNAを挙げることができる。
上記したMEK阻害剤は、臨床的に使用可能なものも既に知られており、市販されているものを適宜使用することもできる。
本発明の治療剤による治療の対象は、間葉系KRAS変異型がんであり、例えば間葉系KRAS変異型肺がん、すい臓がん、大腸がん等が挙げられる。本発明の治療剤は特に、間葉系KRAS変異型肺腺がんの治療に好適である。
上記の本発明の治療剤は、単独で使用することもできるが、異なるメカニズムの抗がん剤及び抗がん治療と組み合わせて使用することもできる。
また、本発明の抗がん剤は、単独又は他の有効成分と組み合わせて、医薬組成物の形態とすることができる。本発明の治療剤又は医薬組成物は、限定するものではないが、例えば患部若しくは患部の近辺に注射又は注入により投与する局所投与又は全身投与することができる。医薬組成物には、本発明の治療剤及び他の有効成分の他に、投与形態に応じて、当分野で通常使用される担体、賦形剤、緩衝剤、安定化剤等を含めることができる。本発明の治療剤の投与量は、患者の体重、年齢、疾患の重篤度等に応じて変動するものであり、特に限定するものではないが、例えば0.0001〜1mg/kg体重の範囲で1日1回〜数回、2日毎、3日毎、1週間毎、2週間毎に投与することが可能である。
<間葉系がん細胞検出試薬及び方法>
本発明の検出試薬は、がんの診断が確定した患者に対して治療方法を選択する段階で使用する、いわゆるコンパニオン診断薬として使用することができる。上記の通り、間葉系KRAS変異型がん細胞においては、FGFR1タンパク質の発現が大きく上昇する。すなわち、FGFR1は、間葉系KRAS変異型がんを同定するための新たなマーカーとなり得る。
従って本発明は、別の実施形態において、FGFR1タンパク質または該タンパク質をコードする遺伝子の検出を可能とする間葉系がん細胞検出試薬として使用し得る。FGFR1タンパク質の検出を可能とする検出試薬は、例えばFGFR1タンパク質と特異的に結合し得る抗体等である。この場合、当分野で通常使用される免疫染色等の手法によってFGFR1タンパク質を検出することができる。
あるいはまた、FGFR1タンパク質をコードする遺伝子の検出を可能とする検出試薬として、FGFR1遺伝子、より具体的にはmRNAもしくはcDNAが存在する場合に増幅させることができるプライマー、又はFGFR1をコードするmRNAもしくはcDNAに結合することができるプローブを挙げることができる。
検出試薬は、必要に応じて、蛍光標識、放射性標識等の標識やタグをつけることができる。当業者であれば、目的物質の検出のためのこうした手法について容易に理解し、実施することができる。
また、間葉系KRAS変異型がんの同定に際しては、FGFR1の検出のみを単独で行うことも可能であるが、実際には他のマーカーについても同時に検査することが考えられる。従って、本発明の検出試薬は、他の検出試薬と組み合わせて使用することが臨床的には好ましい。
従って、本発明は、上記のFGFR1の検出を可能とする間葉系がん細胞検出試薬と、上皮系がん細胞検出試薬の組合せを含む、細胞型判定試薬セットを提供する。上皮系がん細胞検出試薬としては、特に限定するものではないが、例えばE-カドヘリン及び/又はERBB3の検出を可能とする検出試薬が挙げられる。
本発明はまた、更なる間葉系がん細胞検出試薬と組み合わせた細胞型判定試薬セットを提供する。更なる間葉系がん細胞検出試薬としては、特に限定するものではないが、例えばビメンチンの検出を可能とする検出試薬が挙げられる。
上記のFGFR1及びビメンチンは間葉系がん細胞を検出するための、E-カドヘリン及びERBB3は上皮系がん細胞を検出するための、細胞型判定用試薬である。本発明の知見によって、被験者のがんが間葉系もしくは上皮系いずれの性質を有するかをより高精度に判定し、それぞれの症例に対して有効な治療方法を選択することが可能となる。
上記の細胞型判定試薬セットは、更に種々のバイオマーカーの検出のための試薬を含めることもできる。
本発明の細胞型判定試薬セットは、例えば各検出試薬が抗体である、抗FGFR1抗体を含む複数の抗体のセットである。あるいはまた、本発明の細胞型判定試薬セットは、各検出試薬がプライマーである、FGFR1をコードするmRNAもしくはcDNAを増幅させることができるプライマーを含む複数のプライマーのセットである。あるいはまた、本発明の細胞型判定試薬セットは、各検出試薬がプローブである、FGFR1をコードするmRNAもしくはcDNAに結合することができるプローブを含む複数のプローブのセットである。
本発明の細胞型判定試薬セットの一例として、例えばFGFR1、ERBB3、E-カドヘリン及びビメンチンを含む遺伝子パネルが挙げられる。このような遺伝子パネルを用いることで、被験者又は患者由来のサンプルから抽出したDNA又はRNAと反応させて、次世代シーケンサーによってこれら4種の遺伝子の発現解析を行うことも可能である。
上記の検出試薬及び試薬セットは、単独で、またはKRAS遺伝子変異検査と組み合わせて行うことも可能であり、抗がん治療の選択のためのコンパニオン診断薬として使用することができる。例えば、腫瘍よりmRNAを抽出し、次世代シーケンサーによってKRASの遺伝子変異およびFGFR1 mRNAの発現、場合によって更にERBB3、E-カドヘリン、ビメンチン、更なるバイオマーカーのmRNAを同時に測定することが可能である。従って、本発明の細胞型判定試薬セットは、FGFR1の検出を可能とする間葉系がん細胞検出試薬と、KRAS遺伝子変異検出試薬、場合によって更なる検出試薬とを含み得る。この細胞型判定試薬セットは、被験者のがんが間葉系もしくは上皮系いずれの性質を有するものであるか、及びがんがKRAS変異型であるかどうかを同時に判定することを可能とする。
複数の検出試薬を組合せることで、被験者又は患者におけるKRAS変異型のがんが上皮系であるか間葉系であるかの判定をより高い精度で行うことができる。更に、上記のように、KRAS遺伝子の変異を同時に検出することもできる。複数の検出試薬は、具体的にはがん診断キットの形態で提供することができる。キットには、検出試薬の他、必要に応じて検出のために必要な他の試薬、例えばPCR反応のための酵素及びプライマー、緩衝剤、容器、説明書等を含めることができる。
下記の表1には、EMTのプロセスに関与するとされる28種の遺伝子を記載する(J. Clin. Invest. 119, 1420-1428 (2009))。本発明は、これらのマーカー遺伝子に加え、間葉系マーカーとしてFGFR1、上皮系マーカーとしてERBB3を加えることを提案するものであるが、例えばFGFR1及びERBB3に加えてE-カドヘリン(CDH1)及び/又はビメンチン(VIM)、更に下記の表1から選択される1種、2種、3種、4種、5種以上、10種以上、15種以上、20種以上のマーカーについて同時に検出することもできる。本発明の特定の態様は、FGFR1及びERBB3、及び表1に記載する28種のマーカーの全てについて検出することを含む。
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本発明はまた、がんと診断された患者由来のサンプルを、上記の本発明の検出試薬又は細胞型判定試薬セットと接触させ、FGFR1の発現を指標として間葉系KRAS変異型がん細胞の存在又は不存在を検出することを含む、患者に対するがん治療の有効性予測のためのデータを取得する方法を提供する。
サンプルとしては、特に限定するものではないが、被験者由来の血液、胸水等の体液、組織生検サンプル、手術標本等を挙げることができる。
上記の方法においてFGFR1の発現が検出された場合、被験者は間葉系KRAS変異型がんを有する高い可能性が示される。その場合、間葉系KRAS変異型がんに対して有効であることが判明した本発明の治療薬を投与することが有効である可能性が示される。
本発明の方法は、間葉系KRAS変異型肺がん、すい臓がん、大腸がん等、特に、間葉系KRAS変異型肺腺がんの検出及びそれらに対するがん治療の有効性予測のために使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例全体を通して使用した試薬及び手法の一部については以下の通りである。
<細胞株及び薬剤>
肺がん細胞株NCI-H358、NCI-H1792、NCI-H23、SW1573は、ATCC(American Type Culture Collection)から購入した。SK-LU-1、Calu-6及びNCI-H460は名古屋大学の高橋隆教授からご供与頂いた。LU-99は国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンクから入手した。NCI-H1573はマサチューセッツ総合病院がんセンターから入手した。細胞は10%FBSを含むRPMI1640(Invitrogen)中で培養した。NVP-BGJ398、GDC-0941、セルメチニブ、アファチニブ、トラメチニブ、及びAZD4547はActive Biochem社から入手した。化合物はDMSO中に10mmol/lの最終濃度となるように溶解し、-20℃で保存した。
<siRNAノックダウン>
細胞を1-2×105個/ウェルの密度で6ウェルプレートに播種した。24時間後、Lipofectamine RNAiMAX(Invitrogen)を用い、FGFR1(Dharmacon)、ERBB3(Invitrogen)又はStealth RNAi-陰性対照のlow GC Duplex#3(Invitrogen)に対するsiRNAで細胞をトランスフェクトした。
<アポトーシスの分析>
細胞を6ウェルプレートにおよそ30%−40%コンフルエンスで播種した。一晩インキュベーションした後、培地をDMSO又は薬剤を含む培地と交換した。72時間後、培地中の細胞及びトリプシン処理した細胞を試験管に回収した。細胞をペレット化し、PBSで1回洗浄した。アポトーシスした細胞をAnnexin V:PE Apoptosis Detection Kit Iを用いてアネキシンVで染色し、BD Accuri C6フローサイトメーター(BD)でアッセイした。全ての実験を3重に行った。
<異種移植マウス試験>
6〜8週齢の雄のヌードマウス(Clea, Tokyo, Japan)の脇腹に5×106個のがん細胞を含む懸濁液を皮下注射した。実験動物の管理及び処置は施設のガイドラインに従った。平均腫瘍体積がLU99異種移植でほぼ300mm3、NCI-H23異種移植でほぼ230mm3に達した時点でマウスを無作為化した(LU99異種移植にn=8及びNCI-H23異種移植にn=5)。薬剤は経口投与によって1日1回投与した。NVP-BGJ398は酢酸バッファー pH4.6/PEG300 1:1に溶解した。トラメチニブは、7% DMSO、13% Tween 80、4% グルコース、及びトラメチニブと等モル濃度のHCl中に溶解した。マウスの体重及び全身状態を毎日モニタリングした。キャリパーを用いて週に2回腫瘍径を測定し、以下の式を用いて体積を計算した:長さ×幅2×0.52。施設のガイドラインに従って、LU99異種移植の対照群で腫瘍体積が1,000mm3に達した時点でマウスを犠牲にした。
<Agilentマイクロアレイ解析>
RNeasyキット(QIAGEN)を用いてRNAを単離した。マイクロアレイ解析は、SurePrint G3 Human Gene Expression 8x60K v2 Microarray Kit(Agilent technology)を用いて実施した。
<KRAS変異を有する39種の非小細胞肺がん細胞株の遺伝子発現解析>
肺がん細胞株の遺伝子発現データはCancer Cell Line Encyclopedia(CCLE)(Nature 483, 603-607 (2012))から取得した。CCLEから得られた情報(CCLE_sample_info_file)に基づき、187種の肺がん細胞株の中で、KRAS変異を有する39種の非小細胞肺がん細胞株を更なる解析のために抽出した。Cluster 3.0プログラム(Bioinformatics 20, 1453-1454 (2004))を使用して39種のKRAS変異型非小細胞肺がん細胞株において教師なし階層クラスタリングを実施し、JAVA TreeViewプログラム(Bioinformatics 20, 3246-3248 (2004))によって結果を視覚化した。6以上の中間発現値を有し、細胞株間で5倍以上の変化を示した合計2635種の遺伝子を解析に用いた。マーカー遺伝子のERBB3、CDH1、FGFR1及びVIMを含め、3つの異なるサブクラスターが抽出された。
<KRAS変異型肺腺がん患者の遺伝子発現解析>
切除された230症例の肺腺がんのメッセンジャーRNAプロファイリングをTCGAから取得した(Nature 511, 543-550 (2014))。臨床情報に基づいて、230症例の腺がんサンプルから、KRAS変異を有する75症例のサンプルを更なる解析のために抽出した。KRAS変異を有する75症例の腺がんサンプルの教師なし階層的クラスタリングを、Kalluri及びWeinberg(J. Clin. Invest. 119, 1420-1428 (2009))によってEMT関連遺伝子として挙げられた28種の遺伝子について実施した。更に2つの遺伝子発現データ(FGFR1及びERBB3)を抽出し、階層的クラスタリングの順序に基づいて並べた。
[実施例1 KRAS変異型肺がんにおけるMEK阻害によるERKシグナル伝達のフィードバック活性化]
ERBB3を発現する上皮系KRAS変異型肺がん細胞株NCI-H358及びNCI-H1573を2つのアロステリックMEK阻害剤、トラメチニブ又はセルメチニブで48時間以上処理すると、ERKが再活性化しリン酸化ERBB3の明白な上昇を示した。トラメチニブを用いて得られた結果の一部を図1aに示す。更に、ERBB3のsiRNAによるノックダウン、またはpan-ERBB阻害剤のアファチニブによるERBB3の薬理学的阻害によって、トラメチニブによって誘導されるERKの再活性化が無効になり、cl-PARPで示される通りアポトーシスが誘導された。これらの結果から、ERBB3によって誘導されるフィードバックによるERK経路の活性化が、これらの細胞株に対するMEK阻害剤の効果を減弱することが確認された。
一方、ERBB3を発現しないKRAS変異型細胞株NCI-H1792及びLU99においてもMAPK経路が再活性化されるか否かを検討したところ、トラメチニブ処理の48時間処理によりERKの再活性化を認めたが、この再活性化はアファチニブ処理による影響を受けなかった(図1b)。
[実施例2 間葉系KRAS変異型肺がんにおけるFGFR1の発現上昇]
複数種のKRAS変異型肺がん細胞株のウェスタンブロット解析を実施し、ERBB3を発現する細胞は上皮系細胞マーカーのE-カドヘリンを発現し、一方ERBB3を発現しない細胞は間葉系マーカーのビメンチンを発現していることを見出した(図2−1a)。
この相関性を更に調べるために、上皮系細胞株であるNCI-H358にTGF-β1処理によってEMTを誘導し、発現の変化した遺伝子を解析した(図2−1b)。予想された通り、EMTの誘導後、ERBB3及びE-カドヘリン(CDH1)の発現は強く抑制された。一方、EMT誘導されたNCI-H358で最も高い発現上昇を来した遺伝子の一つとして、線維芽細胞受容体チロシンキナーゼFGFR1が見出された。さらに、ウェスタンブロット解析から、EMT誘導後にFGFR1の発現が顕著に上昇し、ERBB3の発現が低下していることが確認された(図2−1c)。
次に、CCLEから入手した39種のKRAS変異型非小細胞肺がん細胞株について、教師なし階層的クラスタリングを実施した。平均発現値が6以上の細胞株で5倍以上の変化倍率を示す2635種の遺伝子を分析した。分析の結果、KRAS変異型がん細胞株の2つの明確なサブタイプが特定された(図2−2d)。NCI-H358及びNCI-H1573細胞を含む一方のサブタイプは、典型的にはERBB3及びE-カドヘリンを発現し、上皮系の表現型と一致していた。他方のサブタイプは、E-カドヘリンの低発現、ビメンチンの高発現、及びERBB3の低発現を有する間葉系の表現型を有していた。
間葉系の表現型を有する細胞株は、上皮系の細胞株と比較して有意により高いFGFR1発現を有していた。線形回帰分析から、ERBB3とE-カドヘリンとの正の相関性、並びにFGFR1とE-カドヘリンとの負の相関性とが実証された(図2−2e及び2−2f)。これらの結果からFGFR1が間葉系KRAS変異型のがんにおいて優性に発現していると結論付けた。
[実施例3 間葉系KRAS変異型肺がん細胞株におけるFGFR1-FRS2経路のフィードバック活性化]
次に、間葉系KRAS変異型のがんにおいて、FGFR1がMEK阻害剤処理後のERKシグナル伝達のフィードバック活性化と関連するか否かを検討した。その結果、CCLEからの遺伝子発現データと一致して、KRAS変異型がん細胞パネルのウェスタンブロット分析によって、間葉系細胞がより高いFGFR1発現を有することが確認された(図3a)。また、間葉系KRAS変異型肺がん細胞株NCI-H1792及びLU99において、MEK阻害剤処理はERKのリン酸化を強く抑制したが、長期間のMEK阻害はFGFRのアダプタータンパク質であるFRS2の活性化をもたらした(図3b)。
トラメチニブ処理後に認められるFRS2の活性化がFGFR1によって仲介されているか否かを決定するために、NCI-H1792細胞においてFGFR1の発現をノックダウンにより低下させた後トラメチニブで処理した。その結果、FGFR1ノックダウンにより、トラメチニブ処理後のFRS2の活性化およびERKシグナル伝達のフィードバック活性化が完全に抑制された(図3c)。
[実施例4 FGFR阻害剤及びMEK阻害剤の併用によるERKのフィードバック活性化抑制及び間葉系KRAS変異型肺がん細胞株の細胞死の誘導]
EMT及びFGFR1を介したERK再活性化の関連を更に調べるために、上皮系及び間葉系KRAS変異型肺がん細胞株をトラメチニブ及びNVP-BGJ398の組み合わせで処理した。間葉系KRAS変異型肺がん細胞株NCI-H1792及びLU99において、NVP-BGJ398及びトラメチニブの組合せによりERKリン酸化のより完全な抑制が示され、MEK阻害剤で誘導されるフィードバックにおけるFGFR1の重要な役割と一致した(図4−1a)。別のMEK阻害剤であるセルメチニブ、PD0325901とNVP-BGJ398の組み合わせで処理した場合にも同様の結果が得られた(図4−1b及びc)。
FGFR阻害剤及びMEK阻害剤の組合せは、pan-ERBB阻害剤、FGFR阻害剤、及びMEK阻害剤の単剤処理、並びにpan-ERBB阻害剤及びMEK阻害剤の組合せと比較して、細胞増殖を高度に阻害した(図4−1d及びe)。また、FGFR阻害剤及びMEK阻害剤の組合せにより、アポトーシスの誘導も有意に上昇していた(図4−2f及びg)。
一方、同様のFGFR阻害剤及びMEK阻害剤の組合せは、上皮系KRAS変異型細胞における下流のシグナル伝達には影響を与えなかった(図4−2h)。従って、上皮系細胞株のNCI-H358及びNCI-H1573においてFGFR阻害剤とMEK阻害剤トラメチニブとの組合せは、トラメチニブ単剤療法以上のアポトーシスを誘導しなかった(図4−2h)。
次いで、種々の間葉系KRAS変異型肺がん細胞株について、トラメチニブとNVP-BGJ398との同時処理の効果を更に検討した。イムノブロット解析から、FGFR阻害剤が、トラメチニブ48時間又は72時間処理後に認められるERKのフィードバック活性化を抑制することが確認された(図4−1a及び図4−2i)。7種の間葉系KRAS変異型肺がん細胞株のうち5つの細胞株において、MEK阻害剤とFGFR阻害剤の併用はアポトーシスを誘導した(図4−2j)。
上皮系細胞株であるNCI-H358にEMT誘導を行った細胞(NCI-H358-TGFβ)においては、NVP-BGJ398の添加は、トラメチニブ単剤療法と比較して、リン酸化ERKの更なる抑制をもたらし(図5a)、トラメチニブ+NVP-BGJ398又はFGFR1ノックダウンの組合せによって、高度なアポトーシスが誘導された(図5b及び5c)。
まとめると、これらのデータから、MEK阻害はEMT状態に依存して異なるRTKの活性化を誘導し、FGFR1-FRS2経路の活性化は、間葉系KRAS変異型肺がん細胞において優先的に誘導されることが示された。
[実施例5 FGFR阻害剤及びMEK阻害剤の組合せによるin vivoにおける腫瘍退縮の誘導]
FGFR阻害剤とMEK阻害剤の組み合わせの効果をin vivoにおいて実証した。NVP-BGJ398又はトラメチニブの単剤治療は、いずれもLU99腫瘍異種移植モデルマウスにおいて腫瘍の増殖を軽度抑制するのみであるが、FGFR阻害剤とMEK阻害剤の組み合わせで処置すると腫瘍が劇的に退縮した(図6−1a及び6−1b)。この薬剤の組み合わせは、4週間の治療期間の間、許容された(データは示さない)。薬剤処理した腫瘍の薬物動態試験の結果はin vitroの結果と同様であり、トラメチニブはリン酸化ERKを部分的に抑制したが、同時にFRS2リン酸化を誘導した。このFRS2のフィードバック活性化はFGFR阻害剤の添加によって抑制され、ERKのリン酸化もより大きく抑制された(図6−2c)。FGFR阻害剤とMEK阻害剤との組合せの効果は、NCI-H23異種移植モデルでも確認された(図6−2d)。
[実施例6 間葉系マーカーの発現とFGFR1発現との関連性]
FGFR1発現が原発性KRAS変異型肺がんの間葉系表現型と関連しているか否かを決定するために、TCGAから入手したKRAS変異型肺腺がん75症例のRNA配列発現データを解析した。Kalluri及びWeinberg(J. Clin. Invest. 119, 1420-1428 (2009))によって報告されたEMTプロセスと高い相関性を有した28個の遺伝子のセットを使用して階層的クラスタリング解析を行った結果、KRAS変異型のがんを上皮系マーカー及び間葉系マーカーに基づいて2つの群に分類することができた(図7)。重要なことに、間葉系KRAS変異型腫瘍は、上皮系KRAS変異型腫瘍と比較して、より高いFGFR1発現及びより低いERBB3発現を示した(FGFR1についてp<0.001、ERBB3についてp=0.03)。これらのデータから、間葉系KRAS変異型のがんにおいてFGFR1発現が優位であることが確認された。
[実施例7 ヒト患者検体移植ゼノグラフトモデルにおける治療効果]
KRAS G12D遺伝子異常を有する53歳女性の肺がん検体を雌のNOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ (NSG)マウスに移植したヒト患者検体由来ゼノグラフトモデルマウスを米国ジャクソン研究所より入手した。マウスより摘出した腫瘍について、上皮系及び間葉系のKRAS変異型肺がん細胞株と共に、ウェスタンブロッティング法によってFGFR1、ビメンチン及びE-カドヘリンの発現を解析した。図8aに示すように、患者由来のがん組織は、LU99細胞株と同様にFGFR1及びビメンチンの高発現が認められ、一方E-カドヘリンの発現は認められなかったことから、間葉系KRAS変異型がん細胞であると判定された。
次に、腫瘍の平均が約300mm3に達したところで各群3匹として、生理食塩水を投与する対照群、NVP-BGJ398投与群及びトラメチニブ投与群に分け、治療効果を15日間観察した。薬剤の投与法は実施例5記載の異種移植マウス実験と同様に行った。
対照群及びNVP-BGJ398投与群では観察開始から5日後に腫瘍体積が増大したため、試験を終了した。トラメチニブ投与群では観察開始から14日後に腫瘍体積が増大した時点でNVP-BGJ398との組合せ投与に切り替えた。
その結果、NVP-BGJ398とトラメチニブとを組合せて投与することにより、腫瘍体積が顕著に減少し、その後、28日間の観察終了まで腫瘍増大の抑制効果が維持された。
[実施例8 FGFR阻害剤及びMEK阻害剤の併用によるERKのフィードバック活性化抑制及び間葉系KRAS変異型肺がん細胞株の細胞死の誘導]
上皮系及び間葉系KRAS変異型肺がん細胞株をトラメチニブ及びFGFR阻害剤AZD4547の組み合わせで処理した。間葉系KRAS変異型肺がん細胞株NCI-H1792及びLU99において、AZD4547及びトラメチニブの組合せによりERKリン酸化のより完全な抑制が示され、MEK阻害剤で誘導されるフィードバックにおけるFGFR1の重要な役割と一致した(図9a)。
また、AZD4547及びトラメチニブの組合せは、それぞれの単剤処理と比較して、細胞増殖を顕著に阻害した(図9b及びc)。
本発明は、FGFR1を介した経路が、間葉系KRAS変異型肺がんにおいてMEK阻害後のMAPKのフィードバック活性化を仲介することを見出した。この知見は、EMT状態に基づいて患者を分類し、間葉系の腫瘍を標的とする有効な治療につなげることを可能とする。本発明は、患者に対してより小さな負担でより効果的な治療を提供することを可能とするものである。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (9)

  1. MAPK/ERKキナーゼ(MEK)阻害剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)阻害剤を含む、間葉系KRAS変異型がん治療剤であって、該FGFR1阻害剤が、NVP-BGJ398(3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-1-{6-[4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニルアミノ]-ピリミジン-4-イル}-1-メチル-尿素、CAS:872511-34-7)、AZD4547 (N-(5-(3,5-ジメソキシフェネチル)-1H-ピラゾル-3-イル)-4-((3S,5R)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ベンザミド、CAS:1035270-39-3)、LY2874455 ((R)-(E)-2-(4-(2-(5-(1-(3,5-ジクロロピリジン-4-イル)エトキシ)-1H-インダゾール-3イル)ビニル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール)、TAS-120、FGFR1タンパク質に特異的な抗体及びその抗原結合性断片、及びFGFR1の発現を阻害するsiRNA及びshRNAからなる群から選択され、該MEK阻害剤が、トラメチニブ、セルメチニブ、pd98059、ピマセルチブ、MEK162、PD0325901、及びMEKの発現を阻害するsiRNA及びshRNAからなる群から選択される、上記治療剤
  2. FGFR1阻害剤と組み合わせて投与されることを特徴とする、MEK阻害剤を含む間葉系KRAS変異型がん治療剤であって、該FGFR1阻害剤が、NVP-BGJ398(3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-1-{6-[4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニルアミノ]-ピリミジン-4-イル}-1-メチル-尿素、CAS:872511-34-7)、AZD4547 (N-(5-(3,5-ジメソキシフェネチル)-1H-ピラゾル-3-イル)-4-((3S,5R)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ベンザミド、CAS:1035270-39-3)、LY2874455 ((R)-(E)-2-(4-(2-(5-(1-(3,5-ジクロロピリジン-4-イル)エトキシ)-1H-インダゾール-3イル)ビニル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール)、TAS-120、FGFR1タンパク質に特異的な抗体及びその抗原結合性断片、及びFGFR1の発現を阻害するsiRNA及びshRNAからなる群から選択され、該MEK阻害剤が、トラメチニブ、セルメチニブ、pd98059、ピマセルチブ、MEK162、PD0325901、及びMEKの発現を阻害するsiRNA及びshRNAからなる群から選択される、上記治療剤
  3. 請求項1記載の治療剤、又は請求項2記載の治療剤を有効成分として含有する、間葉系KRAS変異型がん治療用医薬組成物。
  4. FGFR1阻害剤及びMAPK/ERKキナーゼ(MEK)阻害剤を有効成分として含有する、間葉系KRAS変異型がん治療用医薬組成物であって、該FGFR1阻害剤が、NVP-BGJ398(3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-1-{6-[4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニルアミノ]-ピリミジン-4-イル}-1-メチル-尿素、CAS:872511-34-7)、AZD4547 (N-(5-(3,5-ジメソキシフェネチル)-1H-ピラゾル-3-イル)-4-((3S,5R)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ベンザミド、CAS:1035270-39-3)、LY2874455 ((R)-(E)-2-(4-(2-(5-(1-(3,5-ジクロロピリジン-4-イル)エトキシ)-1H-インダゾール-3イル)ビニル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール)、TAS-120、FGFR1タンパク質に特異的な抗体及びその抗原結合性断片、及びFGFR1の発現を阻害するsiRNA及びshRNAからなる群から選択され、該MEK阻害剤が、トラメチニブ、セルメチニブ、pd98059、ピマセルチブ、MEK162、PD0325901、及びMEKの発現を阻害するsiRNA及びshRNAからなる群から選択される、上記組成物
  5. 請求項1若しくは2記載の治療剤、又は請求項3若しくは4記載の組成物の患者への投与の有効性を予測するためのデータを取得する方法であって、がんと診断された患者由来のサンプルを、FGFR1タンパク質若しくは該タンパク質をコードする遺伝子の検出を可能とする間葉系がん細胞検出試薬、又は該試薬を含む細胞型判定試薬セットと接触させ、FGFR1の発現を指標として間葉系KRAS変異型がん細胞の存在又は不存在を検出することを含む、上記方法。
  6. 細胞型判定試薬セットが、KRAS遺伝子変異検出試薬を含む、請求項記載の方法。
  7. 細胞型判定試薬セットが、上記間葉系がん細胞検出試薬と上皮系がん細胞検出試薬の組合せを含む、請求項5又は6記載の方法。
  8. 細胞型判定試薬セットが、更なる間葉系がん細胞検出試薬としてビメンチンの検出を可能とする検出試薬を含む、請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 細胞型判定試薬セットが、上皮系がん細胞検出試薬としてE-カドヘリン及び/又はERBB3の検出を可能とする検出試薬を含む、請求項5〜8のいずれか1項記載の方法。
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