JP6858042B2 - 球状大粒子二酸化チタンの製造方法 - Google Patents

球状大粒子二酸化チタンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、球状大粒子二酸化チタンの製造方法に関する。
従来、二酸化チタン粉末は、硫酸チタニルまたは四塩化チタンの水溶液を熱加水分解し、得られた含水酸化チタンを700〜1000℃の温度で焼成する、あるいは四塩化チタンを800〜1000℃の温度で直接酸化することにより製造される。これらの方法では、平均粒子径が0.1〜0.3μm程度の粒状二酸化チタンが得られるのみである。
二酸化チタンは、屈折率が高く、優れた光散乱能を有するため白色顔料として使用されている。一方、二酸化チタンは、その高誘電性を利用した単一の誘電体材料として、あるいは強誘電体、圧電体、焦電体材料であるチタン酸バリウム、チタン酸鉛などの複合酸化物の合成原料として使用されている。
しかし、従来の二酸化チタンでは粒子径が小さく、付着力が強いため、流動性が充分でなく、粉体との混合の面での課題がしばしば指摘されていた。また、樹脂等のバインダーに分散させて二酸化チタンを使用する場合、濡れ性が充分でなく、高濃度化や高分散化ができない場合があるという点でも改善の余地があった。これらの問題を解決するためにミクロンオーダーの球状二酸化チタン粒子の合成が試みられてきた。
球状二酸化チタンの製造方法に関する技術として、特許文献1および2に記載のものがある。
特許文献1(特開平5−163022号公報)には、硫酸チタンを170℃以上の温度下、該温度の飽和蒸気圧以上の圧力下で加水分解して含水酸化チタンを得、次いで400〜900℃の温度で焼成する方法が記載されている。
特許文献2(特開昭61−17422号公報)には、顔料用のルチル型もしくはアナターゼ型二酸化チタンのサブミクロンの一次粒子を種結晶として、これを希薄な硫酸チタニル溶液中に懸濁させて硫酸チタニルの加水分解をおこない、平均粒子径が1〜20μmの二酸化チタン粒子を得る方法が記載されている。
一方、単分散性が高くシャープな粒度分布を有する球形多孔質アナターゼ型二酸化チタン微粒子の製造方法として、特許文献3(特開平5−178617号公報)に記載の技術がある。同文献には、反応終了時の酸の濃度が3.0〜8.0Nの強酸性領域となるように濃度を調整した硫酸チタニルもしくは硫酸チタンの酸性水溶液を加熱して加水分解する方法が記載されている。
特開平5−163022号公報 特開昭61−17422号公報 特開平5−178617号公報
しかし、上述した特許文献1および2に記載の方法で得られる二酸化チタン粒子は、表面の凹凸が大きく、粒度分布も広いものであった。
また、特許文献3に記載の方法で得られる二酸化チタン微粒子の平均粒子径は1μm前後であった。
こうしたことから、上述した各特許文献に記載の方法により得られる球状二酸化チタン微粒子は、たとえば琺瑯の原料、ガラスへの添加剤、誘電体材料や電子材料用セラミックスなどの原料に適したものとはいえないという点においても改善の余地があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、シャープな粒度分布を有する球状大粒子二酸化チタンを短時間かつ簡便な方法で高収率に得る技術を提供する。
本発明によれば、TiO2換算濃度が30〜100g/Lであり、かつTiO2換算量に対する遊離H2SO4量の割合が、質量比で0.5〜3.0になるよう調製した硫酸チタニル水溶液に、アルカリ金属と塩素とからなる塩を、TiO2(換算)に対するモル比で0.5〜8.0の範囲で存在せしめ、70〜90℃の温度で30〜300分間、熱加水分解して含水酸化チタンを生成する工程と、前記含水酸化チタンを濾過し、洗浄する工程と、含水酸化チタンを濾過し、洗浄する前記工程の後、前記含水酸化チタンを500〜1000℃で焼成する工程と、を含む、球状大粒子二酸化チタンの製造方法が提供される。
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
たとえば、本発明によれば、上述した本発明における二酸化チタンの製造方法により得られる球状大粒子二酸化チタンであって、平均粒子径がレーザー散乱式測定で2〜10μmであり、前記平均粒子径に対する標準偏差の比(標準偏差/平均粒子径)が0.3以下である球状大粒子二酸化チタンを得ることもできる。
また、本発明によれば、上述した本発明における球状大粒子二酸化チタンの製造方法により得られる球状二酸化チタンの、琺瑯の原料、ガラスへの添加剤、誘電体や圧電体などの電子セラミックス原料への使用が提供される。
本発明によれば、シャープな粒度分布を有する球状大粒子二酸化チタンを短時間かつ簡便な方法で高収率に得ることができる。
実施例1で得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。 実施例2で得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。 実施例3で得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。 実施例4で得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。 比較例1で得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。 比較例2で得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。 比較例3で得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本明細書において、数値範囲の「〜」は、断りがなければ、以上から以下を表す。
本実施形態において、球状大粒子二酸化チタンの製造方法は、以下の工程を含む:
(熱加水分解工程)TiO2換算濃度が30〜100g/Lであり、かつTiO2換算量に対する遊離H2SO4量の割合が、質量比で0.5〜3.0になるよう調製した硫酸チタニル水溶液に、アルカリ金属と塩素とからなる塩を、TiO2(換算)に対するモル比で0.5〜8.0の範囲で存在せしめ、70〜90℃の温度で30〜300分間、熱加水分解して含水酸化チタンを生成する工程、
(濾過・洗浄工程)含水酸化チタンを濾過し、洗浄する工程、および
(焼成工程)含水酸化チタンを濾過し、洗浄する工程の後、含水酸化チタンを500〜1000℃で焼成する工程。
本実施形態において、球状大粒子二酸化チタンの製造方法は、たとえば、上記熱加水分解工程、濾過・洗浄工程および焼成工程からなる。
また、本実施形態において、球状大粒子二酸化チタンの製造方法は、上記熱加水分解工程、濾過・洗浄工程および焼成工程以外の工程を含んでもよい。たとえば、球状大粒子二酸化チタンは、硫酸法酸化チタン製造における中間原料である硫酸チタニル水溶液の調製工程、上記熱加水分解工程、上記濾過・洗浄工程、乾燥[脱水]工程、上記焼成工程および粉砕工程をこの順に経て製造されてもよい。
以下、各工程について具体的に説明する。
(硫酸チタニル水溶液の調製工程)
球状大粒子二酸化チタンを得るための原料である硫酸チタニル水溶液は、たとえば、イルミナイトまたはチタンスラグを硫酸で蒸解した後、生成した硫酸チタニルを水に溶解し、溶解残渣や溶存している鉄分を除去して製造される。
得られた硫酸チタニル水溶液中に、チタン原料に由来する鉄が溶存する場合、その濃度は、後の球状大粒子二酸化チタンの製造工程への影響を低減する観点から、好ましくはFeO換算で30g/L以下である。
本実施形態において重要なことは、硫酸チタニル水溶液中のTi濃度をTiO2換算濃度で30〜100g/L、好ましくは40〜80g/Lとし、TiO2換算量に対する遊離H2SO4量の割合が、質量比で0.5〜3.0の範囲に調製することである。これらの条件をすべて満たすことにより、粒度分布のシャープな球状の大粒子二酸化チタン粒子を得ることができる。
硫酸チタニル水溶液中のTi濃度は、TiO2換算濃度として、後述する熱加水分解工程における含水酸化チタンの生成効率の低下を抑制する観点、および、二酸化チタンの粒度分布の広がりを抑制する観点から、30g/L以上であり、好ましくは40g/L以上である。
また、後述する熱加水分解工程において含水酸化チタン微粒子の結晶核生成の密度が過度に高くなること、および、これに伴う過剰な二次凝集を抑制して、含水酸化チタンの粒子径や形状の制御性を高める観点から、硫酸チタニル水溶液中のTi濃度は、TiO2換算濃度として、100g/L以下であり、好ましくは80g/L以下である。
硫酸チタニル水溶液におけるTiO2換算量に対する遊離H2SO4量の割合は、硫酸チタニル水溶液の安定性を確保し、より確実に球状粒子を生成させる観点から、0.5以上であり、好ましくは1.0以上である。
また、後述する熱加水分解工程における含水酸化チタンの生成効率の低下を抑制する観点から、硫酸チタニル水溶液におけるTiO2換算量に対する遊離H2SO4量の割合は、3.0以下であり、好ましくは2.0以下である。
また、硫酸チタニル水溶液中の遊離H2S04濃度は、硫酸チタニル水溶液の安定性を確保し、より確実に球状粒子を生成させる観点から、たとえば45g/L以上であり、また、たとえば300g/L以下である。
(熱加水分解工程)
熱加水分解工程は、硫酸チタニル水溶液を熱加水分解して含水酸化チタン微粒子を生成する工程である。本実施形態において、さらに具体的には、熱加水分解工程において、アナターゼ型の含水酸化チタン微粒子を生成するとともに、生成した含水酸化チタン微粒子を均一かつ球状に集合させる。
ここで、所望の粒子径の含水酸化チタンを安定的に得る観点から、熱加水分解工程において、反応液中にアルカリ金属と塩素とからなる塩を存在させる。たとえば、熱加水分解工程において、上述のとおり所定の組成に調製した硫酸チタニル水溶液にアルカリ金属と塩素からなる塩を所定量添加し、撹拌溶解する。
アルカリ金属と塩素からなる塩の存在により、塩析の効果により含水酸化チタン微粒子の結晶核生成および集合をよりいっそう安定的に制御することが可能となる。さらに具体的には、塩の添加量を変化させることにより、球状含水酸化チタン粒子の粒子径を2〜10μmの範囲において任意に制御することが可能となる。
アルカリ金属と塩素からなる塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等を使用することができるが、塩化ナトリウムを使用することが経済的であり好ましい。
塩の添加方法として、具体的には、硫酸チタニル水溶液に塩の粉末を直接添加する方法、ならびに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属塩と塩酸とを硫酸チタニル水溶液に別々に添加し、硫酸チタニル水溶液中で塩を生成する方法が挙げられ、これらのいずれの方法でおこなってもかまわない。塩を添加する際の作業性がより簡便であるという観点から、塩の粉末を硫酸チタニル水溶液に直接添加する方法が好ましい。
また、アルカリ金属イオン、塩素イオンは酸性溶液中で含水酸化チタンにほとんど吸着および付着しないため、後の洗浄工程で容易に除去することが可能であり、不純物として悪影響を及ぼす可能性が極めて少ないという点においても、アルカリ金属と塩素からなる塩を用いることは好ましい。
硫酸チタニル水溶液へのアルカリ金属と塩素とからなる塩の添加量は、粒度分布のシャープな球状の大粒子酸化チタン粒子をより確実に得る観点から、TiO2(換算)に対するモル比で好ましくは0.5以上であり、より好ましくは1.0以上であり、また、8.0以下であり、好ましくは6.0以下である。
また、2〜10μmの範囲で任意の粒子径の球状粒子を得る観点から、アルカリ金属と塩素とからなる塩の添加量は、TiO2(換算)に対するモル比で0.5〜8.0の範囲で任意に調整できる。
熱加水分解における温度条件は、均一かつ球状の含水酸化チタンを形成する観点から、70〜90℃の範囲に設定し、好ましくは75〜85℃の範囲に設定する。熱加水分解温度を70℃以上とすることにより、含水酸化チタンをより確実に生成させることができる。また、熱加水分解温度を90℃以下とすることにより、加水分解速度の過度の上昇を抑制し、粒子形状を球形にさらに確実に制御することができる。
また、熱加水分解に必要な反応時間は、含水酸化チタン微粒子の生成および成長が実質的に完了されるまでおこなう時間とすることが好ましく、かかる観点から、好ましくは30〜300分間、より好ましくは60〜180分間とする。
加水分解をおこなう反応装置は、加水分解において温度を一定にコントロールできれば回分式、連続式いずれの方法でもよい。反応装置は、たとえば温度コントロール可能な反応容器を有し、必要に応じて、たとえば加水分解反応を円滑におこなわせるための撹拌装置、加水分解反応温度を監視するための温度計が設置される。
(濾過・洗浄工程)
濾過・洗浄工程において、熱加水分解反応によって生成した含水酸化チタンを反応液から濾過して分離するとともに、分離した含水酸化チタン中に挟雑する鉄イオン、塩素イオン、硫酸イオン、ナトリウムイオンなどを洗浄除去する。
濾過に用いられる装置は、効率的に固体と液体の分離が可能な装置であれば制限はないが、通常実験室規模の製造であれば吸引濾過、工業的大規模製造ではフィルタープレスなどの分離装置が好適である。生成した含水酸化チタンの洗浄においては、吸引ろ過であれば、たとえば適時水を加えることにより不純なイオンを除去する。また、フィルタープレスの場合には、たとえばポンプを用いて強制的に水を注入して洗浄することにより、挟雑している不純なイオンを除去する。
(乾燥[脱水]工程)
乾燥[脱水]工程は、具体的には、濾過・洗浄工程で得られた含水酸化チタンに付着する水分を除去するとともに二酸化チタンに配位する水酸基から脱水する工程である。
脱水における温度は、通常、105℃程度の温度条件で十分であるが、前記水酸基からの脱水は350℃以上で生じるため、付着水分の除去も含めて、350〜500℃の温度で脱水をおこなうことが好ましい。また、急激な脱水によって粒子形状が損なわれることを抑制する観点からも、500℃以下の温度で処理することが好ましい。
(焼成工程)
焼成工程は、濾過・洗浄工程で得られた含水酸化チタンを熱処理し、二酸化チタンとする工程である。好ましくは、焼成工程は、乾燥[脱水]工程で乾燥・脱水した含水酸化チタンを、さらに高い温度で熱処理する工程である。
500〜800℃程度、好ましくは600〜750℃の温度での焼成により、残留硫酸根の少ない、アナターゼ型二酸化チタンが得られる。
また、800〜1000℃程度ないしはそれ以上の温度、好ましくは850〜950℃の温度での焼成により、ルチル型二酸化チタンが得られる。
(粉砕工程)
粉砕工程は、焼成後得られた焼成物を粉砕する工程である。たとえばアトマイザーなどの乾式粉砕機で焼成物を粉砕する。
以上の手順により、球状大粒子二酸化チタンを得ることができる。
本実施形態の製造方法により、球状大粒子二酸化チタンとして、具体的には、粒子形状が球状であり、その平均粒子径がレーザー散乱式測定法にて2〜10μmであり、かつ平均粒子径に対する標準偏差の比(標準偏差/平均粒子径)が0.3以下である二酸化チタン粒子を得ることができる。
なお、本明細書において、球状大粒子二酸化チタンの平均粒子径とは、レーザー散乱式測定法、具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定法による質量基準粒度分布における平均粒子径d50をいう。
球状大粒子二酸化チタンの平均粒子径は、使用目的に応じて、たとえば2〜10μmの範囲において任意に制御することが可能である。
球状大粒子二酸化チタンにおいて、粒度分布のシャープさを表現する指標である(標準偏差/平均粒子径)は、粒度分布をシャープにする観点から、0.30以下であり、好ましくは0.25以下である。
また、球状大粒子二酸化チタンにおいて、(標準偏差/平均粒子径)は0以上であるが、たとえば0.1以上であってもよい。
このような構成の球状大粒子二酸化チタンは、たとえば、琺瑯の原料、ガラスへの添加剤、誘電体や圧電体などの電子セラミックス原料に適した平均粒子径を有し、かつシャープな粒度分布を併せ持つとともに、製造方法が簡便なため低コストで製造可能である。
本実施形態によれば、シャープな粒度分布を有する球状大粒子二酸化チタンを短時間かつ簡便な方法で高収率に得ることができる。
また、本実施形態により、従来の技術で製造することが困難であった球状大粒子二酸化チタンとして、たとえば、平均粒子径がレーザー散乱式測定で2〜10μm、かつ(標準偏差/平均粒子径)が0.3以下のシャープな粒度分布を有し、しかも球状大粒子二酸化チタンを短時間かつ簡便な方法で高収率に得ることができるため、低コストでの製造が実現できる。
また、本実施形態により、たとえば、琺瑯用、ガラスの添加剤、誘電体や圧電体などの電子セラミックス原料に適した、安価かつ取り扱いが容易な球状大粒子二酸化チタンを工業的かつ安価な方法で製造することも可能となる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下に具体的な実施例をあげて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
液組成が、TiO2換算濃度で50g/L、遊離H2SO4濃度で65g/L、FeO換算濃度で15g/Lの硫酸チタニル水溶液3リットルと塩化ナトリウム800gを5リットルのビーカーに入れ、撹拌しながら溶解し、液温が80℃になるまで加熱し、その温度を180分間維持しながら加水分解をおこなった。本例において、TiO2換算量に対する遊離H2SO4量の割合は、質量比で1.3である。また、本例において、塩化ナトリウムの添加量は、TiO2(換算)に対するモル比で7.3である。得られた含水酸化チタンはデカンテーションにより、FeO換算量がTiO2換算量に対し0.01%以下になるまで洗浄をおこなった。次に10%のアンモニア水でpHを7に調整し、上澄み液の比抵抗が2000Ω・cm以上になるまで洗浄した後、吸引濾過し、500℃で1時間乾燥・脱水した後、950℃で1時間焼成した。焼成物はアトマイザー(スクリーン2mmφ)で粉砕し、二酸化チタン粉末132gを得た。
図1は、得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。具体的には、図1は、得られた二酸化チタンの走査電子顕微鏡観察像(倍率1500倍)である。また、得られた二酸化チタンのレーザー散乱式測定法による粒度分布の測定結果を表1に示す。これらの結果から、本例において、平均粒子径が2.2μm、その(標準偏差/平均粒子径)が0.25と粒度分布のシャープな球状大粒子二酸化チタンが得られたことがわかった。なお、X線回折の結果、本例で得られた二酸化チタンは、ルチル型二酸化チタンであった。
(実施例2)
実施例1において、添加する塩化ナトリウムの量を500gとしたこと以外は実施例1に準じた操作をおこない、132gの酸化チタン粉末を得た。本例において、塩化ナトリウムの添加量は、TiO2(換算)に対するモル比で4.6である。
図2は、得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。具体的には、図2は、得られた酸化チタンの走査電子顕微鏡観察像(倍率1500倍)である。また、得られた二酸化チタンのレーザー散乱式測定法による粒度分布の測定結果を表1に示す。これらの結果から、本例において、平均粒子径が4.4μm、その(標準偏差/平均粒子径)が0.24と粒度分布のシャープな球状大粒子二酸化チタンが得られたことがわかった。なお、X線回折から、本例で得られた二酸化チタンは、ルチル型二酸化チタンであった。
(実施例3)
実施例1において、添加する塩化ナトリウムの量を200gとしたこと以外は実施例1に準じた操作をおこない、129gの二酸化チタン粉末を得た。本例において、塩化ナトリウムの添加量は、TiO2(換算)に対するモル比で1.8である。
図3は、得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。具体的には、図3は、得られた二酸化チタンの走査電子顕微鏡観察像(倍率1500倍)である。また、得られた二酸化チタンのレーザー散乱式測定法による粒度分布の測定結果を表1に示す。これらの結果から、本例において、平均粒子径が6.2μmで、その(標準偏差/平均粒子径)が0.21と粒度分布のシャープな球状大粒子二酸化チタンが得られたことがわかった。なお、X線回折から、本例で得られた酸化チタンは、ルチル型二酸化チタンであった。
(実施例4)
液組成が、TiO2換算濃度で50g/L、遊離H2SO4濃度で65g/L、FeO換算濃度で15g/Lの硫酸チタニル水溶液8リットルと塩化ナトリウム585gを10リットルのビーカーに入れ、撹拌しながら溶解し、その内の3リットルを別の10リットルのビーカーに移し、撹拌しながら液温が80℃になるまで加熱し、その温度を120分間維持した後、残りの5リットルを1時間かけて添加し、さらにその温度を120分間維持して加水分解をおこなった。本例において、TiO2換算量に対する遊離H2SO4量の割合は、質量比で1.3である。また、本例において、塩化ナトリウムの添加量は、TiO2(換算)に対するモル比で2.0である。その他は実施例1に準じた操作をおこない、335gの二酸化チタン粉末を得た。
図4は、得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。具体的には、図4は、得られた二酸化チタンの走査電子顕微鏡観察像(倍率1500倍)である。また、得られた二酸化チタンのレーザー散乱式測定法による粒度分布の測定結果を表1に示す。これらの結果から、平均粒子径が10.2μmで、その(標準偏差/平均粒子径)が0.20と粒度分布のシャープな球状大粒子二酸化チタンが得られたことがわかった。なお、X線回折から、本例で得られた二酸化チタンは、ルチル型二酸化チタンであった。
(比較例1)
実施例1において、塩を添加しなかった以外は実施例1に準じた操作をおこない、72gの二酸化チタン粉末を得た。
図5は、得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。具体的には、図5は、得られた二酸化チタンの走査電子顕微鏡観察像(倍率1500倍)である。また、得られた二酸化チタンのレーザー散乱式測定法による粒度分布の測定結果を表1に示す。これらの結果から、得られた酸化チタンの平均粒子径は4.8μmであり、その(標準偏差/平均粒子径)が0.77と粒度分布が広かった。また、粒子表面には凹凸がみられ、球状大粒子二酸化チタンは得られなかった。なお、X線回折から、本例で得られた二酸化チタンは、アナターゼ型とルチル型の二酸化チタンの混合物であった。
(比較例2)
実施例1において、塩化ナトリウムのかわりに硫酸ナトリウムを140g添加する以外は実施例1に準じた操作をおこない、102gの二酸化チタン粉末を得た。
図6は、得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。具体的には、図6は、得られた二酸化チタンの走査電子顕微鏡観察像(倍率1500倍)である。また、得られた二酸化チタンのレーザー散乱式測定法による粒度分布の測定結果を表1に示す。これらの測定結果から、得られた二酸化チタンの平均粒子径は7.6μmであり、その(標準偏差/平均粒子径)が0.25と粒度分布はシャープであったが、粒子表面には凹凸がみられ、球状大粒子二酸化チタンは得られなかった。
(比較例3)
実施例1において、添加する塩化ナトリウムの量を200gとし、加水分解反応温度を100℃に変更した以外は実施例1に準じた操作をおこない、130gの二酸化チタン粉末を得た。本例において、塩化ナトリウムの添加量は、TiO2(換算)に対するモル比で1.33である。
図7は、得られた二酸化チタンの粒子形状を示す図である。具体的には、図7は、得られた二酸化チタンの走査電子顕微鏡観察像(倍率1500倍)である。また、得られた二酸化チタンのレーザー散乱式測定法による粒度分布の測定結果を表1に示す。これらの結果から、得られた酸化チタンの平均粒子径は10.2μmであり、その(標準偏差/平均粒子径)が0.22と粒度分布も比較的シャープであったが、粒子表面には凹凸がみられ、球状大粒子二酸化チタンは得られなかった。
表1に、実施例1〜4および比較例1〜3で得られた二酸化チタンの平均粒子径(A:μm)、標準偏差(B:μm)、(B/A)すなわち(標準偏差/平均粒子径)、形状および収率(%)を示す。
Figure 0006858042
以上のように、実施例1〜4で得られた大粒子二酸化チタンは、いずれも、平均粒子径が2〜10μmの範囲内にあり、粒度分布のシャープさの指標であるその(標準偏差/平均粒子径)が0.3以下を示し、かつ表面に凹凸がみられない球状の二酸化チタンであった。
実施例1〜4で得られた球状大粒子二酸化チタンは、たとえば、琺瑯の原料、ガラスの添加剤、誘電体や圧電体などの電子セラミックス原料として好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. TiO2換算濃度が30〜100g/Lであり、かつTiO2換算量に対する遊離H2SO4量の割合が、質量比で0.5〜3.0になるよう調製した硫酸チタニル水溶液に、アルカリ金属と塩素とからなる塩を、TiO2(換算)に対するモル比で0.5〜8.0の範囲で存在せしめ、70〜90℃の温度で30〜300分間、熱加水分解して含水酸化チタンを生成する工程と、
    前記含水酸化チタンを濾過し、洗浄する工程と、
    含水酸化チタンを濾過し、洗浄する前記工程の後、前記含水酸化チタンを500〜1000℃で焼成する工程と、
    を含む、球状大粒子二酸化チタンの製造方法。
  2. 球状二酸化チタンであって、レーザー散乱式測定法による平均粒子径が2〜10μmであり、かつ前記平均粒子径に対する標準偏差の比(標準偏差/平均粒子径)が0.3以下である前記球状大粒子二酸化チタンを製造する方法である、請求項1に記載の球状大粒子二酸化チタンの製造方法。
JP2017052798A 2017-03-17 2017-03-17 球状大粒子二酸化チタンの製造方法 Active JP6858042B2 (ja)

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